記事公開日:2024.07.22
最終更新日:2024.07.25

ERP導入の目的やメリットは?デメリットや導入事例、導入の流れについても解説!

「基幹システム刷新!」、「ERP導入!」というキーワードは聞きなれた言葉ではありますが、実際にERPとは?基幹システムとの違いは?などの疑問にお答えしたく、そこで今回はERPと基幹システムの違いについてわかりやすく解説いたします。

1.ERPとは?

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の資源を一元管理し、業務プロセスを最適化するための基幹業務の統合システムを指します。ERPは、財務、人事、製造、販売、在庫管理など、企業のさまざまな部門のデータを統合し、リアルタイムで情報を共有することができるシステムです。
これにより、経営判断の迅速化や業務効率の向上が期待されます。

2.ERPの導入目的

ERPの導入目的は、企業の業務プロセスを統合し、効率化することにあります。歴史を紐解くと、基幹業務に応じてシステムが別々に入れられてきたという経緯があります。これでは、各業務でデータベースは区切られてしまい、様々なデータを連動させるにも時間がかかってしまう上に、都度別のシステムにアクセスや同じデータの転記などといった無駄な業務も生じてしまいます。こういった問題を解決するためにERPは導入されるケースが多いです。
具体的には、データの一元管理による情報の可視化、業務の標準化、保守コストの低減、迅速な意思決定の支援などの効果を狙っての導入が挙げられます。

3.ERP導入の3つのメリット

1.情報の一元管理
特に、ERPの大きなメリットは、企業内の情報を一元管理しているということにあります。
これは、企業内のあらゆる情報を瞬時に一箇所に集められることを意味し、したがって経営分析や経営戦略の構築、経営の見える化という点でも大きなパワーを秘めているといえるのです。

2.業務効率化
また、システム同士のスムーズな連携によって業務効率が向上することもERPのメリットの一つです。
ERPでは、会計や販売、生産といった業務をまとめて管理できます。
ERPを導入すれば、それぞれの情報を個別に管理する煩雑さから解放され、効率よく業務を進められるようになるでしょう。

3.データドリブンな意思決定
次に、経営上の意思決定を迅速に行えることもERPの強みです。
情報の一元管理によって、経営層は企業内の状況を素早く正確に把握できるようになります。
その結果、経営層は会社にとって最適な意思決定を迅速に下すことが可能となるのです。
ERPには、成功企業のベストプラクティスを有効活用できるというメリットもあります。
ベストプラクティスとは、各業種において蓄積されたビジネスプロセスのノウハウのことです。
ERPパッケージが所有しているベストプラクティスを自社においても活用できるため、事業の効率的な成長が図れるでしょう。

4.ERP導入の3つのデメリット

1.選定の難しさ
ERPのデメリットは、種類が多岐にわたるため、自社に合ったシステムを選ぶのが難しいことです。
目についたシステムを気軽に導入するのではなく、事前に検討を重ねることが重要です。

2.活用のハードルの高さ
また、ERPを導入する前には社内教育をしっかりと行う必要があります。
ERPは業務効率を改善してくれるツールですが、社員が正しく使いこなさなければ意味がありません。
ERPを導入する前に、ERPが何の役に立つのか、どのように使うのかといったことを教育する必要がありますが、多機能なため教育に時間がかかるケースが多く、導入前にしっかりとてを打たないとメリットを出すまでに非常に時間がかかってしまいます。

3.導入コスト
そして、導入にある程度のコストがかかることもERPのデメリットの一つです。
最近でこそ様々なパッケージ製品が出てきていますが、現在の業務に合わせてERPを導入するとなると、かなりの数のアドオン・カスタマイズが発生することになり、導入コストが高額になってしまう事が想定されます。

5.中堅・中小製造業におけるERP導入事例3選

事例1.食品加工 X社
食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。
X社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、属人的な判断をシステマチックな判断に変えることで業務を標準化すべく、ERPの導入に踏み切りました。発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が5%から2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。

事例2.建材製造販売 Y社
Y社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。
基本的に基幹システムは導入されておらず、エクセルで受注や製造の管理を行ってきました。
支店拡大に伴い、ERPを導入することに決めました。いままで出来ていなかったデータの一元管理を実現し、KPIや閾値を設定して改善活動を推進しました。
結果、無駄な業務を大幅に削減できました。

事例3.機械部品加工 Z社
Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、ERPを導入することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。
結果、総在庫数を30%削減しつつ、欠品率を5%から1%に改善することができました。

6.ERP導入の流れ

ERPを実際に導入する前に、ERP導入の基本的な流れを押さえておきましょう。

ERPを導入する流れは、少しざっくりとした説明になりますが、以下の通りだと認識いただいて問題ありません。

1)現状分析・課題抽出
現行の業務プロセスを分析し、課題を洗い出します。

2)要求明確化
ERPシステムに求める要件を明確にします。

3)ベンダー選定
要件に合ったERPベンダー、ツールを選定します

4)要件定義
Fit&Gapを行い、本格的に必要な機能とアドオン・カスタマイズ内容を固め、正確な見積もりを算出してもらいます
5)システム設計・開発
業務プロセスに合わせたシステム設計・開発を行います。

6.)各種テスト
システムの動作確認を行い、不具合を修正します。

7.)教育・訓練
従業員に対するシステムの操作・管理の教育訓練を行います。

8.)運用開始
システムの運用を開始します。

7.ERP導入に失敗しないためにおこなうべき4つのこと

ERP導入はツールやベンダーを選択することも大切ですが、特に大切なポイントというのはその前段階にあります。
ここでは前段階の重要なポイントを4つご紹介します。

1つ目のプロセスは、ERPを導入する目的を明確にすることです。
ERPを導入することでどのような課題を解決したいのか、最初に明らかにしておきましょう。
それによって必要な機能が把握でき、導入するERPパッケージが選びやすくなります。
また、社員にERPの導入目的を説明するうえでも役に立ちます。

2つ目のプロセスは、プロジェクトの責任者を選定し、各部署の担当者を巻き込むことです。
ERPに関するプロジェクトは社内の業務全般に関わるため、広い範囲をカバーできるように必ず2人以上の推進者を選ぶようにしてください。
推進者に適している人材としては、部署間をまたいで発言できる経営層に近い役職者が挙げられます。
推進者の次に、各部署でプロジェクトの責任を負う担当者を選び、打ち合わせを進めていきます。

3つ目のプロセスは、ERP導入に関わる業務プロセスなどについて棚卸ししておくことです。
今後ERPで管理することになる業務について、今はどのようなツールで管理しているのかを確かめておきましょう。
業務プロセスは各企業に固有のものなので、基本的には自社で棚卸しを進める必要があります。

4つ目のプロセスは、ERPでカバーできる範囲に合わせて新しい業務フローを構築することです。
棚卸しした業務内容を基に、ERPでどの範囲までをカバーするのかということを決めていきましょう。
これを準備しないと、現状の業務を焼き直すようなシステム実装となってしまうため、改善効果が薄くなってしまうため注意が必要です。

8.ERP導入に関するよくある質問

最後に、ERP導入に関するよくある質問にお答えしたいと思います。

○ERPの導入費用はいくらですか?
ERPの導入費用は、企業の規模や導入するシステムの範囲によって大きく異なります。一般的には数千万円程度が必要とされますが、クラウド型のERPシステムを利用することで、初期費用を抑えることも可能です。

○ERP導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
導入するERPの種類にもよって期間は大きく変わります。開発を伴わないのであれば、通常6ヶ月から1年程度、開発を伴うのであれば(事業部数にもよりますが)1年以上の期間がかかります。
企業の規模や業務プロセスの複雑さによっては、さらに長期間を要する場合も大いにありえます。

○中小企業におけるERP導入状況は?
中小企業においても、業務効率化やコスト削減を目的にERPシステムの導入が進んでいます。特にクラウド型のERPシステムは、初期費用が低く、スケーラビリティが高いため、中小企業にとって導入しやすい選択肢となっています。

以上です。
このコラムが皆様のERP検討に少しでも役立てば幸いです。
また、弊社では様々なノウハウをもとにERPの導入・活用のご支援を行っております。ご興味のある方はぜひご相談いただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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