記事公開日:2025.03.04
最終更新日:2025.03.04

【製造業必見】構内物流改善!課題を解決する5つのステップ|自動化事例と導入のポイント

製造業における構内物流の課題を解決する5つのステップを解説した記事です。
工場内のモノの流れを効率化する構内物流は、生産性向上に重要です。
本記事では、物流の基礎知識から、倉庫・工程における課題、改善事例、自動化の導入ポイントまでご紹介します。
構内物流の効率化で、全体的な生産性向上を目指しましょう。

目次

1. 構内物流とは?その役割と重要性を解説

1.1. 構内物流の定義と種類

構内物流とは、工場や倉庫内におけるモノの流れを指します。具体的には、原材料の調達から製品の出荷まで、工場内で行われる一連の物流業務を指します。
工場によっては、物流が生産性向上に大きく影響する場合もあります。

構内物流は、大きく分けて以下の3つの種類があります。

  • 調達物流: 原材料や部品を調達し、工場に搬入する物流
  • 生産物流: 製造工程における資材や部品の搬送、保管など
  • 販売物流: 完成品を倉庫に保管し、顧客に配送する物流

1.2. 製造業における構内物流の役割

製造業において、構内物流は生産活動を支える重要な役割を担っています。

  • 必要な時に、必要な場所へ、必要な量の資材を供給する
  • 製造工程におけるモノの移動を効率化し、生産性を向上させる
  • 製品の品質を維持し、顧客満足度を高める
  • 在庫管理を適切に行い、コストを削減する

1-3. 構内物流が重要な理由

構内物流が重要な理由は、以下の点が挙げられます。

  • 生産性向上: 効率的な構内物流は、製造工程における無駄を排除し、生産性を向上させます。
  • コスト削減: 適切な在庫管理や搬送の効率化は、物流コストを削減します。
  • 品質向上: 適切な保管方法や搬送経路は、製品の品質を維持します。
  • 顧客満足度向上: 迅速かつ正確な出荷は、顧客満足度を高めます。

2. 構内物流における課題と問題点

2.1. 倉庫における課題(在庫管理、スペース不足など)

倉庫における課題は、主に以下の点が挙げられます。

  • 在庫管理の煩雑さ: 製品の種類が増えるほど、在庫管理が煩雑になり、誤出荷や在庫過剰が発生しやすくなります。
  • スペース不足: 製品の保管スペースが不足すると、作業効率が低下し、製品の品質劣化を招く可能性があります。
  • ピッキング作業の非効率: ピッキング作業は、倉庫内作業の中でも特に時間と手間がかかる作業です。

2.2. 工程における課題(搬送のムダ、作業のムラなど)

工程における課題は、主に以下の点が挙げられます。

  • 搬送のムダ: 搬送距離が長かったり、搬送回数が多かったりすると、時間とエネルギーの無駄が発生します。
  • 作業のムラ: 作業者のスキルや経験によって作業時間にバラつきが生じると、生産ライン全体の効率が低下します。
  • ラインの停止: 部品や資材の供給が遅れると、生産ラインが停止し、生産計画に影響が出ます。

2.3. 人材に関する課題(人手不足、高齢化、教育不足など)

人材に関する課題は、主に以下の点が挙げられます。

  • 人手不足: 物流業界は人手不足が深刻であり、必要な人員を確保することが難しい状況です。
  • 高齢化: 物流現場では高齢化が進んでおり、若手人材の育成が急務となっています。
  • 教育不足: 物流業務には専門的な知識やスキルが必要ですが、教育体制が整っていない企業が多くあります。

2.4. 情報管理の課題(可視化不足、情報共有不足など)

情報管理の課題は、主に以下の点が挙げられます。

  • 可視化不足: 在庫情報や搬送状況などがリアルタイムに把握できないと、適切な判断ができません。
  • 情報共有不足: 倉庫、工程、販売部門間で情報共有がスムーズに行われないと、連携がうまくいかず、非効率な作業が発生します。
  • システム化の遅れ: 情報管理システムが導入されていないと、手作業での管理が多くなり、ミスが発生しやすくなります。

3. 構内物流を改善する5つのステップ

3.1. ステップ1:現状分析と課題の明確化

まずは、自社の構内物流の現状を分析し、課題を明確にすることが重要です。

  • 現状把握: 倉庫のレイアウト、搬送経路、在庫管理方法、作業者のスキルなどを把握します。
  • データ収集: 在庫データ、搬送時間データ、作業時間データなどを収集します。
  • 課題分析: 収集したデータを分析し、課題を洗い出します。

3.2. ステップ2:改善目標の設定

次に、改善目標を設定します。

  • 数値目標: 生産性向上率、コスト削減率、誤出荷率削減率など、具体的な数値目標を設定します。
  • 達成時期: いつまでに目標を達成するか、具体的な時期を設定します。

3.3. ステップ3:具体的な改善策の検討

課題と目標を踏まえ、具体的な改善策を検討します。

  • レイアウト改善: 搬送距離の短縮、保管スペースの確保などを検討します。
  • 搬送効率化: 自動搬送機の導入、搬送ルートの最適化などを検討します。
  • 在庫管理システム導入: WMSなどの在庫管理システム導入を検討します。
  • 情報共有システム導入: 情報共有システム導入を検討します。

3.4. ステップ4:改善策の実施と効果測定

検討した改善策を実施し、効果測定を行います。

  • テスト導入: まずは小規模でテスト導入し、効果を確認します。
  • 本格導入: テスト導入で効果が確認できたら、本格導入します。
  • 効果測定: 改善策実施後、目標達成状況を測定します。

3.5. ステップ5:継続的な改善活動

改善は一度行ったら終わりではありません。継続的な改善活動が重要です。

  • 定期的な見直し: 定期的に現状を見直し、改善点を探します。
  • PDCAサイクル: PDCAサイクルを回し、継続的に改善を行います。

4. 構内物流の改善事例

4.1. 倉庫のレイアウト改善で効率化を実現した事例

ある企業では、倉庫のレイアウトを見直すことで、ピッキング作業の効率化を実現しました。

  • 改善前: 製品が種類別に保管されておらず、ピッキング作業者が倉庫内を歩き回る必要がありました。
  • 改善後: 製品を種類別に保管し、ピッキングしやすい場所に配置しました。
  • 結果: ピッキング作業時間が大幅に短縮されました。

4.2. AGV導入による搬送の自動化で省人化を実現した事例

ある企業では、AGV(無人搬送車)を導入することで、搬送作業の自動化を実現しました。

  • 改善前: 作業者がフォークリフトで製品を搬送していました。
  • 改善後: AGVが製品を自動で搬送するようになりました。
  • 結果: 搬送作業の人員を削減し、人件費を削減しました。

4.3. 情報共有システム導入による在庫管理の精度向上を実現した事例

ある企業では、情報共有システムを導入することで、在庫管理の精度向上を実現しました。

  • 改善前: 在庫情報が正確に把握できず、誤出荷や在庫過剰が発生していました。
  • 改善後: 情報共有システムにより、リアルタイムに在庫情報を把握できるようになりました。
  • 結果: 誤出荷が減少し、在庫管理コストが削減されました。

4.4. 3PL活用による物流業務のアウトソーシングでコスト削減を実現した事例

ある企業では、3PL(サードパーティーロジスティクス)を活用することで、物流業務のアウトソーシングを実現しました。

  • 改善前: 自社で物流業務を行っていましたが、コストがかかっていました。
  • 改善後: 3PL事業者に物流業務を委託しました。
  • 結果: 物流コストが削減され、本業に集中できるようになりました。

5. 構内物流の自動化

5.1. 自動化のメリットとデメリット

構内物流の自動化には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 省人化: 人手不足の解消、人件費削減
  • 効率化: 搬送時間の短縮、作業効率向上
  • 精度向上: 誤搬送の減少、品質向上
  • 安全性向上: 作業者の負担軽減、事故防止
  • 24時間稼働: 夜間や休日も稼働できる

デメリット

  • 導入コスト: 設備投資が必要
  • 運用コスト: メンテナンス費用、電気代など
  • 柔軟性: レイアウト変更に時間がかかる場合がある
  • システム依存: システムトラブル時に業務が停止する可能性がある
  • 初期設定: 導入時の設定や調整が必要

5.2. 自動化に適した工程と作業

構内物流の自動化は、以下の工程や作業に適しています。

  • 搬送: 決まった通路を走行するAGVAMR
  • ピッキング: 自動倉庫やピッキングロボット
  • 在庫管理: WMS や RFID
  • 梱包: 自動梱包機
  • 入庫・出庫: 自動倉庫、スタッカークレーン

5.3. 自動化の導入手順とポイント

構内物流の自動化を導入する際は、以下の手順とポイントを押さえましょう。

  • 現状分析: 課題を明確にし、自動化の必要性を検討する
  • 目的設定: 自動化によって達成したい目標を設定する
  • システム選定: 自社の課題や目的に合ったシステムを選定する
  • 導入計画: 導入スケジュール、予算、体制などを計画する
  • テスト導入: まずは小規模でテスト導入し、効果を確認する
  • 本格導入: テスト導入で効果が確認できたら、本格導入する
  • 効果測定: 導入後、目標達成状況を測定する
  • 運用・改善: 運用状況を監視し、継続的に改善を行う

導入時のポイント

  • 現場との連携: 現場の意見を聞き、協力体制を築く
  • 段階的な導入: 最初から全てを自動化するのではなく、段階的に導入する
  • 教育・研修: 作業者に自動化システムの操作方法などを教育する
  • メンテナンス: 定期的なメンテナンスを行い、故障を防ぐ

5.4. AGV、AMR、RFIDなどの自動化技術を紹介

構内物流の自動化に活用される主な技術には、以下のものがあります。

  • AGV (Automated Guided Vehicle):
    ・設定されたルートを走行する無人搬送車。
    ・磁気テープやレーザー誘導などで走行する。
    ・比較的安価で導入しやすいが、ルート変更に手間がかかる。
  • AMR (Autonomous Mobile Robot):
    ・自律的に移動するロボット。
    ・地図作成機能や障害物回避機能などを搭載し、柔軟な搬送が可能。
    ・AGVに比べて高価だが、汎用性が高い。
  • RFID (Radio Frequency Identification):
    ・ICタグを利用した情報管理システム。
    ・製品やパレットにICタグを取り付け、情報を読み取ることで、在庫管理や搬送管理を効率化する。
  • WMS (Warehouse Management System):
    ・倉庫管理システム。
    ・入庫、出庫、在庫管理、ピッキング、梱包などの業務を管理する。
    ・RFIDと連携することで、より効率的な管理が可能になる。
  • 自動倉庫:
    ・コンピューター制御によって、入庫、出庫、保管を行う倉庫。
    ・高密度な保管が可能で、スペース効率が良い。
  • ピッキングロボット:
    ・ピッキング作業を自動化するロボット。
    ・画像認識機能やAIを活用し、様々な形状の製品をピッキングできる。

これらの技術を組み合わせることで、より効率的な構内物流を実現できます。

6. さらに構内物流を改善するためのポイント

6.1. 5S活動による現場環境の整備

5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)は、構内物流の改善に欠かせない活動です。

  • 整理: 不要なものを処分し、必要なものを必要な場所に置く
  • 整頓: ものの置き場所を決め、誰でもすぐに取り出せるようにする
  • 清掃: 現場を清潔に保ち、安全な作業環境を作る
  • 清潔: 整理、整頓、清掃を維持する
  • 躾: 決められたことを守り、習慣化する

5S活動を徹底することで、無駄な動きや探す時間を減らし、作業効率を向上させることができます。

6.2. 標準化による業務の効率化

業務を標準化することで、作業のバラつきをなくし、効率化を図ることができます。

  • 作業手順書の作成: 各作業の手順を明確に記載した作業手順書を作成する
  • マニュアル作成: 作業に必要な知識やスキルをまとめたマニュアルを作成する
  • 教育訓練: 作業者に標準化された手順を教育する

標準化により、作業時間の短縮、ミスの削減、品質の安定化を実現できます。

6.3. 人材育成によるスキルアップ

構内物流の改善には、人材育成も重要です。

  • 研修: 物流に関する知識やスキルを習得する研修を実施する
  • 資格取得支援: 物流関連の資格取得を支援する
  • OJT: 実務を通してスキルを習得する機会を提供する

人材育成により、作業者のモチベーション向上、定着率向上、生産性向上を実現できます。

6.4. 最新技術の活用

最新技術を積極的に活用することで、構内物流をさらに効率化できます。

  • AI (人工知能): 需要予測や在庫管理に活用する
  • IoT (Internet of Things): センサーで取得したデータを活用する
  • ビッグデータ: 収集したデータを分析し、改善に役立てる
  • VR (仮想現実): 作業者の教育訓練に活用する

これらの技術を活用することで、より高度な自動化や効率化を実現できます。

まとめ|構内物流改善で生産性向上を実現

構内物流は、製造業の生産性を大きく左右する重要な要素です。課題を解決し、改善を進めることで、生産性向上、コスト削減、品質向上、顧客満足度向上など、様々なメリットが得られます。

この記事では、構内物流の基礎知識から、課題、改善ステップ、自動化事例、導入ポイントまで、網羅的に解説しました。ぜひ、この記事を参考に、自社の構内物流を見直し、改善に取り組んでみてください。

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