記事公開日:2025.06.11
最終更新日:2025.06.12

なぜ、あなたの会社の営業部門は「人手不足」と「非効率」から抜け出せないのか?

いつもお世話になっております。船井総合研究所の高階でございます。

今回のコラムでは、多くの成長企業が直面する「事業規模の拡大と営業効率の低下」というジレンマについて、その原因と対策のヒントをお届けします。

1.はじめに

企業の成長、組織の拡大というのは、経営者にとって何よりの喜びであると言えます。
しかし、その輝かしい成長の裏側で、このような声が聞こえてくることはないでしょうか?

「社員は増えているのに、会社全体の売上目標達成が年々厳しくなっている」
「かつての少数精鋭時代の方が、むしろ収益性は高かったかもしれない」
「規模が大きくなったことで、情報の風通しが悪くなったように思う」

もし、こうした課題に心当たりがあるとしたら、それは個々の社員の能力や意欲の問題ではなく、組織の「成長痛」のサインかもしれません。

2.規模拡大に潜む営業マネジメントの落とし穴

なぜ、組織が大きくなるほど、一人当たりの生産性は下がってしまうのでしょうか。
そこには、規模拡大期特有の「落とし穴」が存在します。
今回は私がお話を伺ってきた中で、最もよく声の上がっていたポイントを3つ紹介したいと思います。

落とし穴1:情報のブラックボックス化

個々の営業担当者が、自身のPCや手帳の中だけで顧客情報や商談履歴を管理している状態をイメージしてみてください。
担当者以外は誰も状況を把握できず、急な休みや退職が発生した際に、大切なビジネスチャンスや顧客との関係性まで失ってしまうリスクを抱えています。特定の誰かがいないと業務が回らない、そういった状態はどんどん深刻化していきます。
取引先、商談数が増えれば増えるほどこういった情報の属人的な管理は深刻化していくわけです。

落とし穴2:勘と経験頼りのマネジメント

メンバーが少なければ、マネージャーの経験則やきめ細やかな声がけ(マイクロマネジメント)で組織は回ります。しかし、人数が増えるとその手法は通用しなくなります。
各担当者が「今、何に困っているのか」「どの案件が停滞しているのか」を正確に把握できず、適切なアドバイスやリソース配分ができなくなります。
そもそも、現状何件の商談を抱えているのかすら分からない状況と言うのも、実は珍しくはないのです。

落とし穴3:部門間の断絶

「インサイドセールス部門が獲得した見込み客に、営業がアプローチしていない」
「インサイドセールス部門が獲得する商談は、商談するようなレベルの状況じゃない。パスが悪い」
「営業現場で得た顧客の生の声が、商品開発に活かされない」
…etc.
このように部門間の連携が取れていない状態では、会社としての一貫した顧客体験を提供できず、機会損失を生み続けます。

皆様の会社では起きていないでしょうか?

前述した根深い課題は、精神論や個人の努力だけで解決することは極めて困難です。
今、成長企業に求められているのは、営業部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)に他なりません。

DXと聞くと、難しく聞こえるかもしれませんが、本質はシンプルです。

3.営業部門こそDXを

DXと聞くと、難しく聞こえるかもしれませんが、本質はシンプルです。
「データとデジタル技術を活用して、旧来の業務プロセスや組織のあり方を、顧客価値の向上と競争力の強化につながる形に変革すること」
です。

顧客との最前線に立つ営業部門のDXは、企業全体の生産性を左右する、まさに経営戦略の核となる一手と言えるでしょう。

4.営業業務のDX化のポイント

では、具体的に何から始めればよいのでしょうか。
営業DXを成功に導くための3つの重要なポイントをご紹介します。

ポイント1:情報の一元管理と可視化
点在する顧客情報や案件の進捗、活動履歴を、誰もがリアルタイムで確認できる一つの場所に集約します。これにより、情報の属人化を防ぎ、組織全体で最適なアクションを取れるようになります。
データの一元管理だけでなく、営業会議資料を作るために、複数のエクセルをつなぎ合わせて1日を終える、といった非効率業務の撲滅も同時に意識すると良いでしょう。

ポイント2:業務プロセスの標準化と自動化
トップセールスの行動やノウハウを「型」として標準化し、チーム全体で共有します。
また、報告書作成のような定型業務は可能な限り自動化し、営業担当者が「本来やるべき、付加価値高い創造的な活動」に集中できる環境を整えます。
営業活動の標準化の際に、育成スピードアップは必ず意識した方が良いポイントです。

ポイント3:データに基づく戦略的な意思決定
蓄積されたデータを分析し、「なぜ売れたのか」「なぜ失注したのか」を客観的に把握します。勘や経験だけに頼るのではなく、データという羅針盤を手にすることで、営業戦略の精度は飛躍的に向上していきます。
感覚的なマネジメントも悪いわけではないですが、定量的な指標と言う羅針盤は皆様の営業活動の成長を大きく押し上げる要素となりえます。

おわりに

事業の成長に伴う営業効率の低下は、多くの企業が通る道です。
しかし、それを「仕方のないこと」で済ませるか、それとも「変革のチャンス」と捉えるかで、企業の未来は大きく変わります。

営業DXは、単なるツール導入ではありません。それは、企業の成長をさらに加速させるための「新しい営業の仕組み」を構築するプロジェクトです。

まずは、自社の営業部門がどのような課題を抱えているのか、現状を正しく見つめ直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
船井総合研究所では、営業経験豊富なコンサルタントが多数在籍しています。もし、ご興味があればお気軽にお声がけください。

また、以下に同様のテーマについてご紹介するセミナーのご案内を添付させていただきました。
こちらもご興味があれば、是非ご確認いただければと思います。

 
 
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