記事公開日:2021.08.04
最終更新日:2023.01.20
産業用ロボット活用の為のティーチングについて解説 (ティーチングの種類とそれぞれの特徴や必要な資格について解説)
教示(ティーチング)の種類
ティーチングとは、産業用ロボットに一連の動きを教え込む作業のことで、大きく分けてオンラインティーチングとオフラインティーチングの2種類があります。
最近では協働ロボットに用いられるダイレクトティーチング等他にもありますが、今回は産業用ロボットに良く使われるオンラインティーチングとオフラインティーチングについて解説します。
オンラインティーチング(ペンダントティーチング)
オンラインティーチングとは、ティーチングペンダントを使い、ロボットを実際に低速で動かしながら特定のポイントを記録させるとともに、溶接等の加工の指令や動作条件のPRGを1行1行書き込んでいく作業を繰り返してロボットの一連の動作を作るティーチング方法です。
オンラインティーチングは、手軽かつ確実に実施しやすいことから最も一般的な手法ですが、全体の動きをイメージしながら一つ一つの動作を教示していく為に、何度も修正を掛けて完成に近づけていく為に非常に時間が掛かり、更にティーチングする人によって個人差があり、最も効率の良い動きとはかけ離れた動作となる事もしばしばです。
ティーチングの実施中は工場のライン自体をストップする必要がある為、残業対応や休日での対応することも多く、ティーチングマンの労務費が多く掛かってきます。
実際にロボットを導入していてもティーチングするより手作業でやってしまった方が早いという理由でロボット活用を諦めてしまっている企業も非常に多いです。
自社で対応する人材がいない場合や工数が確保出来ない場合にはシステムインテグレータやティーチング専門としている企業等にティーチングを依頼する事でティーチングを代行してくれる事もありますが、1日ティーチングマンを派遣してもらうと、作業内容にもよりますが5万円~の費用が1日当たりで掛かります。
社内でロボットティーチングマンの育成が進んでいない場合や難易度が高いティーチングを実施する必要がある場合は、無理に社内で完結しようとしても、時間とコストをムダにしてしまうので、費用を払ってでも専門家に助けていただく事が良いと思います。
しかし、長期的にわたって外部に依頼をしていると当然費用も膨らんできますので、将来的には社内で対応出来る様に専門家の実施している作業に社内のロボット担当者を付けて一緒に作業させる等を行い社内のティーチングマンの育成につなげていく事が肝要でしょう。
オフラインティーチング
オフラインティーチングとは、実機を用いずにPCの操作にてロボットティーチングを実践する方法です。
オフラインティーチングを行う為には、専用のソフトウェアが必要です。
このソフトウェアは基本的に3D-CADの設計ソフトにアドオン(機能付加)するタイプのソフトウェアとなり、各3D-CADソフト専用のオフラインティーチングソフトウェアが存在します。
このソフトウェアを用いたティーチングの場合、ロボットシステム実機と同様のCADモデルと加工したいワークのCADモデルがPCの画面上に表現されており、ワークの形状を表す稜線や交点をマウスで選択、加工方法等を選択してあげるだけで、ロボットが原点位置から自動で加工して原点に戻るPRGが生成されます。
当然、実機を長時間停止させる必要も無く、ロボットを稼働しながら別品種のティーチングを実施する事が出来ます。
更に干渉確認や特異点回避(ロボットがエラーを起こしやすい場所)の機能もあり、実機を動かさずにほとんどのティーチング作業を完了させる事が出来ます。
ただし、あくまでもCADモデル上でのシュミレーションになりますので、実機での調整は必須です。
8割程度はオフラインティーチングで作成し、作ったPRGを実機に書き込んだのちに、ペンダントで微調整していく事で大幅にティーチングに掛かる時間を削減する事が出来ます。
非常に便利なソフトウェアですが、上述したとおり3D-CADが必須です。
自社での3D設計→自社生産であればこのよなソフトは絶大な効果を発揮出来ますが、外部から受注している仕事の場合難易度が高いのは事実です。
中小製造業では、今も2Dや手書きの図面がFAXでやり取りされる事がまだまだ多く、受注段階で3D-CADを貰える事はあまり無いという実態があります。
本来であれな受注直後にCADモデルが客先から支給され、それをもとにオフラインティーチングを実施し、現場の微調整をかけてロボットで着工という流れでものづくりをしていければ良いですが、現状ではそういう環境になっていない場合も多く、自社で3Dモデルの作成が必須となります。
既に社内図面の3D化を進めている企業様には是非活用していただきたいですが、特殊なシステム(外部軸を多用や特殊な加工方法)に対応出来ないソフトやバグやアフターサポートが悪いソフトも多く見受けられますので、活用の際は慎重に検討いただきたいですね。
資格・講習について
産業用ロボットを取り扱う作業には危険も伴い、十分な知識や技術を特別教育で習得したことを証明する資格の取得が法律で義務付けられています。
特別教育で学ぶべき項目も、法律で定められています。特別教育を実施する機関を選択する際、法令に則った教育が受けられることが最も重要な確認項目です。
特別教育の内容は「教示」と「検査」に分かれており、担当する作業によって受講する内容が異なるため、自分の担当作業に対応した特別教育を受講する必要があります。
受講を促す責任者はその点を踏まえ、適切な教育を受けられるよう配慮が必要です。
産業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育(教示)
「教示」とはティーチング作業を指します。具体的には、マニピュレータの動く順序や位置、速度の設定だけでなく、すべての動作の確認を行うことです。
この作業は産業用ロボットに近づいて行うことが多く、作業員とロボットとの接触事故が起こりやすい場面です。教示作業を安全に行うため、担当作業員は必ず上記の特別教育を受け、資格を取得することが義務付けられています。
科目 | 範囲 | 時間 | |
---|---|---|---|
学科 | 産業用ロボットに | 産業用ロボットの種類、 | 2時間以上 |
関する知識 | 各部の機能および取り扱いの方法 | ||
産業用ロボットの | 教示等の作業の方法 | 4時間以上 | |
教示等の作業に関する知識 | 教示等の作業の危険性 | ||
関連する機械等との連動の方法 | |||
関係法令 | 法、令及び安衛則中の関係条項 | 1時間以上 | |
実技 | 産業用ロボットの | ー | 1時間以上 |
操作の方法 | |||
産業用ロボットの | ー | 2時間以上 | |
教示等の操作の方法 |
※引用元:中央労働災害防止協会の安全衛生特別教育規程
産業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育(検査)
「検査」とは、修理や調整、そしてそれらに伴う結果の確認を行うことです。検査を行う際には、産業用ロボットを停止して行うことが安全衛生規則第150条にて原則として定められています。しかし状況によっては稼働したまま検査することもあるため、教示作業を行う作業員だけでなく、検査作業に携わる作業員も特別教育を行わなければならないとされています。
科目 | 範囲 | 時間 | |
---|---|---|---|
学科 | 産業用ロボットに | 産業用ロボットの種類、制御方式、 | 4時間以上 |
関する知識 | 駆動方式、各部の構造及び機能並びに | ||
取り扱いの方法 | |||
制御部品の種類及び特性 | |||
産業用ロボットの | 検査等の作業の方法 | 4時間以上 | |
検査等の作業に関する知識 | 検査等の作業の危険性 | ||
関連する機械等との連動の方法 | |||
関係法令 | 法、令及び安衛則中の関係条項 | 1時間以上 | |
実技 | 産業用ロボットの | ー | 1時間以上 |
操作の方法 | |||
産業用ロボットの | ー | 3時間以上 | |
検査等の操作の方法 |
※引用元:中央労働災害防止協会の安全衛生特別教育規程
特別教育を受講できる場所は全国各地にあり、各都道府県の労働基準協会連合会やJISHA(中央労働災害防止協会)で特別教育の講座が定期的に開講されています。開催元によって講座内容が大きく変わることはありませんが、法律で定められた科目と所要時間を満たしているかどうか確認が必要です。また、特別教育の講座を実施している産業用ロボットのメーカーもあります。導入するメーカーが決まっている場合、そのメーカーが主催する特別教育を受けると作業内容の理解が容易になることがあります。
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-
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- 7軸ロボットの導入により、人手に頼っていた溶接部門のロボット化を実現
- ●車両用大型部品の溶接工程にロボット導入
- 大量生産にしか向かないロボットのイメージを払拭、はじめてのロボット導入に至る
- ●曲面や立体形状アルミ部品のスタッド溶接加工作業をロボット化
- スタートボタンを押すだけの簡単操作でパート社員でも操作が可能に
- ●建設部品の外観部溶接工程にロボット導入
- 高度な技術をもった熟練作業者しかできない外観部溶接工程にロボットを導入
- ●鍛造金型の硬化肉盛り工程へのロボット導入
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開催方式:オンライン(PCがあればどこでも受講可能)
2021/08/25 (水)
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2021/08/26 (木)
13:00~15:00
2021/09/07 (火)
13:00~15:00
2021/09/08 (水)
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