記事公開日:2022.05.10
最終更新日:2024.10.11
意外と身近な「最適化問題」とは
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1.最適化問題とは
「最適化問題」とは、変数や目的関数、制約条件などの要素を定義した上で、目的の値を最大化/最小化する条件を求める問題を指します。一見、難しそうに聞こえますが、例えばカーナビによるルート提案などは最適化問題の解そのものです。つまり、一番合理的な結果を求めるための手段と言い換えることができます。さらに、最適化問題を数学的な手法によって解くことを「数理最適化」といいます。現実社会では、例えば以下のような例で活用されています。
- ①最適解・改善策を見つける
- ・・・ トラック配送効率の向上、オフィス移転地の選定、投資アドバイスなど
- ②判断を最適化する
- ・・・ 目的地までのルート選択、勤務シフト作成、需要予測、不良品の選定など
上記のような現実的な問題を数理最適化の手法で解決することはDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるにあたり非常に重要な考え方です。このDXにおいて、ビジネスで発生する問題の大半が「組み合わせの最適化」の問題と言われており、以下のような例が挙げられます。
2.組み合わせの最適化問題の例① ナップザック問題
ナップザック問題とは、下記のイラストのように「決められた枠にどれだけたくさんの価値を詰めることができるか」を求める問題です。
この袋には容量や強度の制限があり、それを超えないようにたくさん積めたい状況があったとします。袋に入れたフルーツの価値の和が最大になるようにするためには、重くても安いものや、小さくても高いものをうまく組み合わせる必要があります。このイラストのように数個であれば容易に計算が出来ますが、個数が多くなればその計算は複雑化します。その時に利用するのが数理最適化です。
3.組み合わせの最適化問題の例② 巡回セールスマン問題
巡回セールスマン問題が実際に活かされているのはGoogleマップです。
あなたがセールスマンだったと仮定し、外回りの営業でn件を訪問する場合、何も考えずでたらめに回っていると余計な時間がかかってしまいます。そこで移動距離が最短になるような「最適な巡回路」を決定する必要があります。巡回すべき地点の数をn個としたとき、可能な巡回路の総数はn!/2n通り存在します。nが小さいときは全部の組み合わせを算出してみることができますが、nが大きくなってしまうとそうはいきません。実際に計算してみると、10地点の場合の巡回炉の総数は181,440件、30地点であれば4.42×1030となります。
「最適化問題」「数理最適化」というと、この文字から難しいことを想像しがちですが、案外日常生活で使っている考え方です。しかし、日々携わっている業務は意外と「最適化」が出来ていない箇所も多いのではないでしょうか。まずは身近なところからDXのヒントを見つけてみることをおすすめします。
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