記事公開日:2019.07.23
最終更新日:2022.12.14
従業員14名の町工場でスタッド溶接加工のロボット化!!
この事例におけるロボット化によるメリット
□ ロボット導入による生産性の向上
□ ロボットによる過酷作業の代替
課題
精密板金加工業では様々な製品を製作します。
製缶業者では溶接作業が多く発生しますが、立体形状になった部品へのスタッド溶接作業は核な作業です。
本事例では毎月6,000本もの手加工によるスタッド溶接加工があります。
・単純作業の繰り返し
・溶接不良がでないようにするには、垂直に溶接ガンを保持しなければならない
等、集中力が必要不可欠です。
また、スタッド溶接の加工時に火花でやけどをすることもあり、作業者へ精神的、肉体的負担が多くのしかかりました。
ロボットを導入した工程
スタッド溶接加工
ポイント
垂直多関節ロボットを導入し、ティーチングやパーツフィーダの工夫で自動化を実現しました
その結果、ワークを設置しスタートボタンを押すだけでスタッド溶接ができるようになり、作業者の負担
が軽減し女性パート社員でも作業ができるようになりました。
生産スピードも4.4倍になり、手加工時の不良率4%が1%に下がった。
コンサルタントの視点
溶接は今よく見る産業用ロボットが自動化のために初めて導入された工程だといわれています。
溶接工程は多くの現場でロボットによる自動化の対象となっています。
特に自動車産業では車体に多くのロボットが溶接を実施しているシーンは有名で、
「ロボットといえばあのシーン」という感じがします。
溶接でロボットの導入は進んでいますが、単純な溶接の自動化は進んでいる分、多くの課題も聞かれます。
お聞きすると多品種対応が難しいようです。
まとめると下記の様な形になります。
・ティーチングを製品毎にやらなければいかず、新製品の登録がうまくいかない
・冶具のセッティングを自動化したい
・冶具を多品種用意するのに手間がかかる
キーワードはティーチングと冶具レスでそれが自動化に関する問題のようです。
小職も上記点には同意で、その為の技術調査を実施しています。
今回はそこを書きたく思います。
ティーチングに関しては、オフラインティーチングソフトが有効と思われます。
各ロボットメーカーではシュミレーションソフトは出ていますが、オフラインティーチングとなると難しいようです。
CAD/CAMメーカーもオフラインティーチングソフトを出しています。
有名なところで言うとJBMが提供しているオクトパスがあります。
他にも小さいところであると富士ロボットという会社もあります。
冶具レスは非常に難しい課題です。
システム的な課題解決が必要で、どれだけお金がかかるかは未知数です。
今回抽出した事例は恐らくシステム運用的な解決をしたのでしょう。
天吊りにロボットを設置し、設置レイアウトの簡素化をする。
品種変更を簡単にできるようにプログラムも工夫されているのでしょう。
マスタープログラム(ここでは品種追加用のマスター)を用意し、
溶接位置にティーチングと簡単な行の追加だけを行うようにする、
始点を決めておいて移動量、Xいくら、Yいくら、Zいくら、RXいくら…を制御盤に入力するだけで済むようにしておく。
これなら、現場での作業も多くなく、女性でもできる環境となります。
ワークの冶具による固定の問題が残りますが、ここの自動化をしようとすると更に莫大な費用が掛かるかと思います。
“ティーチングの時間を短縮化し、システムの工夫と現場運用で冶具レスという課題を和らげる”感じです。
ロボットを導入された中小企業では性別関わりなく若い人を担当につけるのが良いでしょう。
端末入力や操作といった行動は若い人にはもってこいです。
上記を実施しようとすると要件定義、導入工場側の運用理解と説得が非常に大きなカギとなります。
昔から導入が進んでいる分、各導入企業では色々な工夫がされているのだと思います。
その工夫を分かりやすく伝え、ロボットの普及を推進できればと思います。
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板金・溶接加工業様向け 多品種少量溶接ロボット導入事例解説レポート
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②多品種少量溶接ロボットにおける具体的事例
③補助金を活用した溶接ロボット導入成功事例
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