記事公開日:2023.03.17
最終更新日:2024.03.08
製造業における原価見える化の重要性とその効果
2021年9月、経済産業省が公開した「製造業の動向と将来課題」レポートによると、中小規模を含む製造業界は、上昇傾向にある労働費や原材料のコスト増に対峙しています。
この挑戦に直面している中で、価格交渉だけではなく、生産性を高める努力も同様に必要とされています。
生産性を向上させるアプローチは様々存在しますが、中でも工程の「見える化」を進めることで、各工程における具体的な工数や原価をクリアにすることは、経営戦略上、極めて重要な取り組みになります。
1.原価の見える化をする主なメリットと潜在的デメリット
【メリット】
- 製品ごとの原価を明確にすることで、必要に応じて見積もり額の調整が可能になり、利益向上につながります。
- 各製品の利益率を把握しやすくなり、価格交渉時には具体的な数値を提示することで、より有利に交渉を進めることが可能になります。
- 工程ごとの工数と原価を知ることで、工程の見直しや改善活動を効果的に行うことができます。
【デメリット】
- 原価計算が粗大なものであると、各部門や工程ごとの評価が難しくなります。
- 材料コストの上昇や工数の問題を具体的に把握できず、改善策の立案が難しくなります。
- 具体的な目標が設定されていない場合、原価改善に向けた現場のモチベーション維持が難しくなります。
2.原価見える化を成功させるためのポイント
経営陣の積極的な関与
経営者自身が改善活動に積極的に参加し、リードすること。
データ化の徹底
誰が、どの機械で、どの作業を行うかなど、詳細をデータ化し、分析可能にすること。
作業者の負担軽減
現場作業者が負担を感じないシステムの構築。
運用ルールの徹底
新しい運用が決まったら、そのルールを厳守し、正確な原価の把握を目指すこと。
トライアルと展開
最初は小規模なトライアルから始め、徐々にシステム化していくこと。
製造業における原価の見える化は、生産性の向上、利益率の改善、そして価格交渉の有利な進行など、多くのメリットをもたらします。
上記のポイントを実践することで、製品ごと、取引先ごと、工程ごとの原価の把握が可能になり、組織全体の改善と成長に繋がるでしょう。
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