記事公開日:2023.05.22
最終更新日:2023.05.22
中堅・中小製造業のDX・IoT活用のコツ、IoT化の手順
いつも当コラムをご愛読頂きましてありがとうございます。
本コラムでは、中堅・中小製造業の企業におけるDX・IoT活用について、まずはどこからどの様にDX・IoTを導入していくべきか、わかりやすく説明させていただきます。
1.はじめに
ここ数年、製造業においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)やIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)の活用がテーマになっています。
漠然としたイメージをお持ちの状態で・・・・実際に具体的にDXやIoT、AIを活用した業務の革新や改善を実施したいと考えたとき、生産管理、在庫管理、見積もり作成、製造管理、生産工程管理等など製造業の業務は多岐にわたるため、まずどこから手をつけて良いのか?分からないのが現実だと思います。
私がその立場なら、迷わず最優先で『製造現場』へ導入します。
なぜなら、『製造現場』の革新や改善が会社の売上や利益の向上に最も直結する業務だからです。
製造業は『モノを作る企業』です。
『モノを作る』企業ですので、それを実際に行っている製造現場(工程)の状況を正確に把握(各工程の作業時間、各機器の稼働時間等)することが重要です。製造工程の状況を正確把握することは、生産性向上や品質向上、コスト削減などの多くのメリットをもたらします。
製造業では定期的に製造工程状況を正確に把握し、必要に応じて改善策を実施することが重要です。
今回は、IoTを活用した製造工程の状況把握の目的、製造工程のIoT化手順に関して説明させていただきます。
2.IoTを活用した製造工程の状況把握の目的
まずは、IoTを活用した製造工程状況把握を行う目的に付いて考えたいと思います。
主な目的として5つが考えられます。
①リアルタイムデータ収集と分析:
これがIoT化を行う一番の目的となります。
製造工程の機器や製品の状態データをリアルタイムで収集し、分析することができます。これにより、生産ラインの状況をリアルタイムに把握し、もし問題が発生した場合には早期に対処することができます。
また、これらのデータを利用して各機器の稼働率の確認、稼働待機時間を確認することによりボトルネックになっている工程を把握することもできます。
②メンテナンスの効率化:
製造工程の機器から収集したデータを分析することで、設備の故障や劣化の予知が可能となり、メンテナンスの計画的な実施が可能になります。
これにより、メンテナンスコストの削減や生産ラインの停止時間の短縮が期待できます。
③異常検知:
生産ラインでトラブルが発生した場合には、自動的にアラートが発生し異常を通知することが可能です。また、異常内容に合わせた最適な対処方法を提案することができます。これにより、生産ラインの停止時間を最小限に抑え、生産性を向上させることができます。
この時、タイムラグなく生産ラインを停止させるためエッジコンピューティングを活用することになります。
④製造プロセスの改善:
製造工程中のデータをリアルタイムで収集し、分析することで、製造プロセスの改善策を導き出すことができます。これにより、生産性向上や品質向上など、製造工程全体の改善が期待できます。
⑤製品のトレーサビリティ:
最近取引条件として管理を求められることが多くなってきている項目です。
管理製品に関する情報を収集することで、製品のトレーサビリティを確保することができます。製品の品質に問題が発生した場合、追跡が容易になり、問題の原因を特定することができます。
IoTを活用した製造工程状況把握は、製造プロセスの改善や生産性の向上、品質の向上など、
多くのメリットをもたらします。
IoTを活用した製造工程の状況把握には、高度な技術や専門知識が必要ですが、効果的に活用することで、競争力のある製品を効率よく生産することが可能になります。
次に、IoTを活用して製造工程を管理する手順をお伝えします。
3.製造工程のIoT化手順
IoTを活用して製造工程を管理するには、まずは製造工程をIoT化する必要があります。
IoTを構成する主な要素は3つです。
- デバイス:各種データを取得
- ネットワーク:インターネットや社内システムへ接続
- プラットフォーム・アプリケーション:データを蓄積・分析する。
これらを下記手順で導入し製造工程をIoT化していきます。
①IoTセンサーの設置:
製造工程中の機器や製品にIoTセンサーを設置することで、データのリアルタイム収集が可能になります。例えば、温度、湿度、振動、圧力、電流、電圧、位置情報などのセンサーを使用してデータを収取します。
②ネットワークの構築:
IoTセンサーから収集されたデータを集めるために、通信インフラストラクチャを構築する必要があります。製造現場での通信には、無線通信(Wi-Fi、Bluetoothなど)や有線通信(イーサネット、RS-485など)が使用されます。
③データ収集プラットフォームの導入:
IoTセンサーから収集されたデータを収集し、保存、処理するためのデータ収集プラットフォームを導入することが必要です。AWS IoT、Azure IoT、IBM Watson IoTなどを活用するケースが多いです。
ここまで導入することで製造工程の見える化が実現できます。
取得したデータの解析やさらなる活用を行う場合、以下の機能の導入の検討を行います。
④データ解析ツールの導入:
IoTセンサーから収集されたデータを解析するためのツールを導入することで、製造工程の問題点や改善点を特定することができます。
⑤クラウドコンピューティングの活用:
IoTセンサーから収集されたデータをクラウドにアップロードし、クラウドコンピューティングの力を活用することで、リアルタイムのデータ処理や解析を行うことができます。
また、リモートでの監視・管理が可能になります。
⑥AI/機械学習の活用:
IoTセンサーから収集されたデータを用いて、AIや機械学習による予測や最適化を行うことができます。例えば、異常検知や品質予測などの分野で活用されます。
この様な手順で製造工程をIoT化することにより、前述の目的を達成できます。
4.まとめ
今回のコラムでは、中堅・中小製造業のDX・IoT活用のコツ~まずどこから手をつけるか~” につきまして簡単ではありますが説明させていただきました。次回以降、それぞれの項目をより詳しく説明していく予定です。
今回の紹介した内容をご検討頂き、自社での製造工程のIoT化導入検討や、過去に断念されたIoT化を再度進めていただければ幸いです。また、上記内容について、より具体的に詳細をお知りになりたい場合や導入支援が必要といった場合は、お気軽に弊社にご相談いただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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