記事公開日:2024.10.01
最終更新日:2024.10.03
食品製造業で“売上10%増/営業利益率2%増”した事例:どんぶり勘定から脱却し、利益構造を解明した方法とは!
いつもお世話になっております。船井総合研究所の久保です。
今回は、従業員数200名規模の食品製造業におけるどんぶり勘定脱却事例をご紹介いたします。
本コラムを読むことで、利益構造解明に踏み切った経緯や、取り組み内容、成功へのポイントを知ることができます。
貴社の情報収集の一助になれば幸いです。
1.どんぶり勘定脱却の背景・課題/目指す姿
この会社様では、以前は製造および販売管理システムが互いに連携しておらず、個別の製造原価を把握することができていませんでした。そのため、利益構造が不明瞭であり、製造工程の改善や販売価格の設定も勘と経験に頼らざるを得ない状況がありました。また、在庫情報の信頼性が低いため、過剰在庫とその処分を繰り返す悪循環に陥っていました。
上記のような課題があったため、この会社様では、以下の項目を実現したいビジョンに定め、改革をおこなっていきました。
- 各部門が統合化された基幹システムにリニューアルして一元管理する
- 各部門のモノとカネの出入り(原材料仕入から製品出荷まで)を一致させる
- システムへの二重三重の入力を排除してミスによる矛盾をなくす
- タイムリーに経営指標を算出して有効活用できる
- 一般社員も会社の動きを理解できる
2.取り組み内容
まずは、経営陣主導で業務改革プロジェクトを発足し、全社一丸となってプロジェクトを進めることを宣言しました。
どんぶり勘定からの脱却は、非常に労力のかかるプロジェクトです。全社に宣言をおこなう時期には、強い意志を持って、プロジェクトを進めることを決意することが重要です。
次に、DX計画(ステップアップ・プラン)を策定しました。この計画を策定する際には、経営方針(連携一元化)と業務改革案を深く理解することが求められます。具体的には以下の項目について計画を行いました。
- 在庫の正確な把握と適正な生産調整
- 個別原価の把握と適正な価格改定
- カテゴリ別利益率の把握と適正な販管費配分
次に、部署間を超えて合意形成をおこない、一体感の創出をおこないました。
この合意形成は、非常に重要なステップです。通常、部署最適的になってしまいがちですが、どんぶり勘定から脱却する場合は、部署を超えた連携が不可欠です。
社内の製造、販売、管理部門が一体となって、有効なKPI(業績評価指標)とKSF(成功要因)を模索。その後、各現場に対して説明や調整を行うことで、実現可能な業務フローを構築しました。これにより、製造と販売が別々に管理されていた時代のどんぶり勘定から脱却し、連携一元化による個別原価・在庫管理で利益構造を解明することができるようになりました。
3.成果
では、どんぶり勘定脱却をおこなう前後で何が変わったのでしょうか。
以下に、どんぶり勘定脱却前と後で変化した項目について記載します。
在庫状況や製品の個別原価を取得することができ、在庫数の減少、在庫処分割合の激減に成功しました。また、適正価格における価格改定の実現、適正な販管費配分もおこなうことができ、結果として売上10%増、営業利益率2%増を実現しました。
4.まとめ
本プロジェクトの成功のポイントは、2つあります。1つは、「経営陣の強い想いと覚悟」にあります。どんぶり勘定から脱却するためには、既存の業務方法を大きく変える必要があるため、経営者にとっても、従業員にとっても、非常に負荷がかかります。労力のかかるプロジェクトにはなりますが、その推進力となるのはリーダーである経営陣の想いと覚悟です。
もう1つは、現場の理解や合意を得た、DX計画を策定することができたことです。
経営陣から従業員に対して、業務改革プロジェクト宣言を行い、また従業員が経営方針(連携一元化)と業務改革案の理解を深められる様、議論を行いました。
また実行フェイズでは、コンサルタントが製造と販売の調整役を担い、各部門の合意形成を取りまとめることで、連携一元化を実現し、個別原価と在庫管理を通じて利益構造を解明することに成功しました。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、従業員数200名規模の食品製造業におけるどんぶり勘定脱却事例をご紹介いたします。
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