記事公開日:2025.05.30
最終更新日:2025.05.30
大量処理の自動化を実現! パッケージ+カスタムのシステム導入成功ポイントとは?

目次
1.事例企業様の概要
【食品加工製造業 W社様】
■所在地:岩手県
■従業員数:約140名
■事業内容:配線器具・配線附属製造業
W社様は、現状システムでの運用について、入力工数が掛かりすぎていて各スタッフの負荷が高いことや、オンプレシステムによるため、作業できるPCが限られているなど、課題を抱えられておりました。そんなW社様が標準仕様+Powerシリーズを駆使したカスタマイズによって「基幹システム」を導入した事例をご紹介いたします。
2.顕在化していた主な課題:手書き帳票/属人化/二重三重入力/収益が見えない
これまでのW社様の業務では、「手書き帳票の多さ」、「システムインストール済みPC利用者への作業依頼」、「各自の独自Excel作業」といった作業効率の悪くなる課題があり、基幹システム導入を決断されます。
そして、基幹システム導入を行う上で、最も重要である、目的/コンセプトを下記のように掲げ、基幹システム導入を進めます。
■目的:「生産性・業務効率を向上させることで「収益性の向上」をさせること」
⇒ 受発注業務、原価・在庫管理、商品トレースなどシステムで一元管理
⇒ 経営判断に必要な数字を「見える化」させる
⇒ 事務経理処理においての二重三重の業務を排除
■コンセプト
・パッケージシステムに業務を合わせる。【1つのツールに統一する】
・経営者を交えたプロジェクトメンバーを中心に全社で推進する。【「全体最適」の意識を持つ】
・新業務開始にあたり時流に則ったルールを明確にしてこれを遵守する。
上記コンセプトを社長に宣言していただくことによって、「標準システム以外使用しない(パッケージに業務を合わせる)」、「追加開発をしない」、「運用を変更しないということはしない」、「同じものを2度入力しない」という、プロジェクトルールの徹底化がなされました。つまり、『パッケージに合わせて、運用・ルールを柔軟に変える』、ということです。
3.Microsoft社の『Dynamics 365 Business Central』により、データの一元管理、脱属人化、効率化を達成!
前述のような課題が顕在化していた中で、W社様では Microsoft 社の『Dynamics 365 Business Central』というパッケージ基幹システムを導入し、「データの一元管理」「脱属人化」「作業効率向上」を実現されました。
1)Dynamics導入後の効果
①日々の生産実績計上をカスタムアップロード機能により、実績計上を自動化
⇒Dynamicsにより、データが一元化され、生産現場と管理部での連携を実現
+出荷処理も一括処理機能を実装
②生産実績のロット管理(複数ロット)を実現
⇒Dynamics標準のロット管理機能+カスタムにより、複雑だった複数ロット管理の自動化を実現
③手作業による各種帳票、分析資料がExcel連携機能により自動化
⇒Dynamicsにより、各種帳票、集計作業が自動化され、作業時間の大幅短縮を実現。
※今後、理論在庫の精度向上により棚卸回数を減らすことも視野に
④会計ソフトへの入力作業完了まで時間がかかっていた
⇒Dynamicsにより会計データの集計出力を行い、会計ソフトへ取り込むことで、作業効率化を実現した
2)大量処理の自動化をミニマムカスタマイズにて実現
今回のDynamics導入の成功ポイントにつきましては、標準機能だけでの実現ではございません。通常のシステムであれば「自動アップロード」、「一括出荷機能」、「複数ロット管理」のカスタマイズはかなり大掛かりな開発となることが予想されます。つまり工数費用面が大きくなるということです。
ただ、本案件においては、Microsoftツールの親和性を最大限に利用し、OneDriveやPower Automate(RPAツール)、Excelシート開発をミックスさせることによって既存機能を活かす開発に舵を切ったことにより、低コスト高品質なカスタマイズ開発が行えました。業務特性上必要不可欠な機能となりまして、この開発により導入成功に繋がったと言えます。
3)成果に繋がったポイント
前述のように今回の基幹システム導入において、成果に繋がった最大のポイントは、業務特性上やむを得ない大量処理を自動化や一括処理にて対応することで、大幅な作業短縮が見込めるという事情をMicrosoftツールの親和性のコラボ開発により実現できたことです。更に基本コンセプトである『業務をパッケージに合わせて、運用・ルールを柔軟に変える』を徹底されたこと、これもシステムを導入するにあたって非常に大事なポイントであり、目的/目標にもあった、属人化・効率化を達成するためにも、とても重要なことです。但し、これは宣言をすればそのように進むということではなく、常に導入のポイントごとにキーマン(本プロジェクトでは社長)の指示が的確になされていたことを意味します。これにより現場メンバーが判断に迷うことなく、正しい導入に進むことができました。
4)さいごに
基幹システムの導入において、なぜ成功しないのか?というお声をよく耳にします。それは、システムをプロダクトとして導入するだけで業務整理を実施しない、多方面にカスタマイズを実施してしまっていて属人化したシステムになってしまっている、入力ルールがバラバラなので活用できるデータになってない、などが挙げられると思います。このような状態になってしまっていると「使えていないシステム」が日々の業務に寄り添ってしまいます。使いにくいシステムという印象を現場が持ってしまうと気持ちが離れていってしまいます。
本事例では、業務の中心となる大量処理をどうするか?をシステム化できたことで、「使えるシステム」になることができました。システムを使うことによって業務が円滑に回っていくという実績が日々積まれていく、これこそシステム導入の成功であるということをお伝えさせていただきました。
大量処理の自動化を実現! パッケージ+カスタムのシステム導入成功ポイントとは?
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/130217
当コラムでご紹介したパッケージ基幹システム
「Microsoft Dynamics 365 Business Central」の導入成功事例の詳細が学べる!
システム実演デモを体験できるセミナーの開催が決定!
【下記1つでも当てはまる方は、是非ご参加ください】
■自社の基幹システムが古くなり、リニューアルに困っている(どこに相談していいかがわからず悩んでいる)企業様
■古い基幹システムの使いにくさを補うために、多数のExcelや紙帳票を現場で使用している(二重三重の業務や度重なる転記・手入力により、業務効率が上がらない)企業様
■直近で基幹システムの刷新を考えているが、新しいシステムの比較・検討のポイントがわからない企業様
■製造業での導入実績が豊富なパッケージ基幹システム(Microsoft Dynamics 365 Business Central)の実演デモに興味がある企業様
■製造業におけるパッケージ基幹システム導入・活用の成功事例を知りたい企業様
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