記事公開日:2025.09.18
最終更新日:2025.09.18
品質か、コストか、納期か…その全部を追いかけるのを、やめました。 メインビジュアル

「品質管理からは『もっと丁寧に作れ』と言われる」
「製造からは『そんなことしたら納期に間に合わない』と怒鳴られる」
「営業からは『お客様はコストダウンを望んでいる』と突き上げられる」
板挟みになった現場リーダーが、頭を抱えていました。 QCD(品質・コスト・納期)の追求。それは製造業の永遠のテーマですが、いつしか私たちは、その全てを同時に、完璧に追い求めるあまり、身動きが取れなくなっていました。
各部署がそれぞれの正義を主張し、責任を押し付け合う。そんな状況を変えるために、社長が下した決断は、あまりにもシンプルでした。
「今月は、これ以外見なくていい」という宣言
月初の全体会議。重い空気の中、社長はプロジェクターにたった一つの言葉を映し出しました。
『今月の最重要目標:不良率を0.1%削減する』
そして、こう宣言したのです。
「今月は、コストも納期も、一旦この目標の次に置いてほしい。営業も、製造も、品質管理も、全員がこの『不良率0.1%削減』という一点のためだけに動いてくれ。君たちの評価は、この数字への貢献度で決める」
社内に衝撃が走りました。しかし同時に、迷いが消えた瞬間でもありました。私たちのミッションが、たった一つに絞られたのです。
「共通言語」が、部署の壁を溶かした
その日から、会社の景色が変わりました。
朝礼の議題は「不良率」の話だけ。
営業は、顧客に「今月は品質向上月間なので」と納期調整の協力を仰ぎ、製造現場の改善提案をヒアリングして回るようになりました。
製造と品質管理は、敵対するのをやめ、「どうすれば不良を出さずに効率を上げられるか」を一緒に考えるパートナーになりました。
これまで隠されがちだった小さなミスも、「不良率を下げるヒントだ!」と積極的に共有される文化が生まれたのです。
なぜ「一つに絞る」と、全てがうまく回り出すのか
月末、その企業では目標だった「不良率0.1%削減」を達成しました。 しかし、驚いたのはその先です。不良が減ったことで手戻りや再生産がなくなり、結果的にコストが下がり、実質的な納期遵守率も向上していたのです。
この経験から得られた教訓は明確です。
複雑な目標は、責任の押し付け合いを生む。しかし「ミッションは一つ」と明確化されると、部署を越えた当事者意識と協力体制が生まれる。
一つの課題に集中して取り組むことで、結果的に他の課題まで解決に向かう。これが「一点突破、全面展開」の本質です。
あなたの会社は、複雑すぎる目標に振り回されていませんか? もしかしたら、捨てるべきは、古い機械ではなく、多すぎる目標かもしれません。
では、あなたの会社が突破すべき「一点」はどこですか?
「一点突破、全面展開」。この記事が示す教訓は、多くの経営者様の心に響いたのではないでしょうか。
しかし、ここで一つ、最も重要な問いが生まれます。
この記事の社長は、なぜ数ある課題の中から『不良率の削減』を、今取り組むべき「一点」だと判断できたのでしょうか?
その答えは、会社の状況を客観的な『データ』で正確に把握していたからに他なりません。
勘や経験、あるいは声の大きい部署の意見に流されるのではなく、データに基づいて「今、最もインパクトの大きい課題は何か」を特定し、それを全社員が納得する「共通言語」として示す。
あなたの会社にとっての「今、集中すべき、たった一つの目標」をデータから見つけ出し、全社一丸となって達成へと導く。その具体的な手法を、こちらのセミナーで学んでみませんか?
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このセミナーでは、日報や製造実績のデータから、不良率、稼働率、案件ごとの利益率といった経営の重要指標を可視化する方法を解説します。
データという客観的な「共通言語」があれば、部署間の不要な対立は消え、この記事の企業のように、全員が同じ目標に向かって進む組織へと変わることができます。
「一点突破」という強力な経営手法に、「データ」という揺るぎない根拠を。
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