記事公開日:2025.10.03
最終更新日:2025.10.03
ERPシステム導入で失敗しないための3ステップとは?

多くの企業にとって、ERP(Enterprise Resource Planning)システムの導入は、業務効率化や経営判断の迅速化を図るための重要な経営戦略です。
しかし、その導入は失敗に終わるケースも少なくありません。なぜ、失敗してしまうのでしょうか。それは、単に「最新のシステムを導入すればよい」という誤解や、計画性の欠如が主な原因です。本コラムでは、ERPシステム導入を成功に導くための3つのステップを解説します。
ステップ1:目的を明確にする
「なぜERPを導入するのか」という問いに対し、明確な答えを持つことが成功の第一歩です。多くの失敗事例では、「他社が導入しているから」「業務効率化のため」といった漠然とした理由しかありません。これでは、導入するシステムが自社の課題解決に本当に役立つのか、誰も判断できません。
まずは、現状の業務フローを詳細に分析し、どこに非効率な点があるのか、どんな課題を抱えているのかを具体的に洗い出しましょう。 たとえば、「部門間のデータ連携が遅く、情報共有に時間がかかる」「在庫管理が属人化しており、正確な在庫数が把握できない」といった具体的な課題を特定します。
この課題を解決するために、ERP導入によって何を達成したいのか、具体的な目標を設定します。 「部門間の情報共有にかかる時間を30%削減する」「在庫管理の精度を95%に向上させる」といった、数値で測れる目標が理想的です。この目的と目標が明確になることで、導入するシステムの選定基準が定まり、プロジェクトメンバー全員が同じ方向を向いて進むことができます。
ステップ2:現状業務と導入システムをすり合わせる
ERPシステムは、多岐にわたる業務プロセスを統合管理できる一方、その機能はパッケージ化されていることがほとんどです。自社の業務プロセスに合わせたカスタマイズも可能ですが、過度なカスタマイズは費用が増大するだけでなく、システムのアップデートが困難になるなどのデメリットを生み出します。
導入失敗の多くは、自社の業務をシステムに合わせることを拒み、システムを自社の現状に合わせようとしすぎることで起こります。成功の鍵は、「システムに業務を合わせる」という発想の転換です。
まずは、導入を検討しているERPシステムが持つ標準的な業務フローを理解しましょう。次に、自社の業務フローをこの標準的なフローにどこまで合わせられるかを検討します。この際、「この業務は本当に必要なのか?」「標準的なフローに合わせることで、かえって効率が上がるのではないか?」という視点で、業務プロセスそのものを見直すことが重要です。これを「業務改革(BPR:Business Process Re-engineering)」と呼びます。
この業務改革を怠ると、導入後も古い業務プロセスが温存され、システムを十分に活用できず、結果として期待した効果が得られないことになります。
ステップ3:社内の巻き込みとプロジェクト体制の構築
ERPシステムの導入は、単なるITシステムの導入ではなく、全社的な経営改革・業務改革プロジェクトです。一部の部門や担当者だけで進めても、利用部門からの協力が得られず、最終的にシステムが定着しないという事態に陥ります。
プロジェクトを成功させるためには、経営層が強いリーダーシップを発揮し、全社的なプロジェクトとして位置づけることが不可欠です。 経営層が「なぜこのシステムが必要なのか」を社員に語りかけ、プロジェクトの重要性を浸透させることが、社員のモチベーション向上につながります。
また、各部門からプロジェクトメンバーを選出し、主体的にプロジェクトに関わってもらうことも重要です。現場の声を吸い上げ、課題や要望をプロジェクトに反映させることで、現場にとって使いやすいシステムになります。さらに、導入後もスムーズに運用できるよう、「誰が、いつまでに、何をするのか」を明確にした体制を構築しましょう。 ヘルプデスクの設置や、運用マニュアルの整備も、システム定着には欠かせません。
これらのステップを踏むことで、ERPシステム導入は単なるツール導入にとどまらず、企業文化や業務プロセスそのものを変革する機会となります。成功への道筋をしっかりと描き、一歩ずつ着実にプロジェクトを進めていきましょう。
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