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プラスチック射出成形の原価管理とコスト削減法:製造業の生産管理システム活用ガイド【基礎から実践まで】

2024.11.21

プラスチック射出成形は、製造業において広く使用されている生産技術であり、精密な製品を大量に生産することが可能です。しかし、その一方で、コスト管理の難しさが業界の課題として挙げられます。原材料費、加工費、設備費など、多くのコスト要因が絡み合い、適切な管理を怠ると、企業の利益を圧迫することになります。この記事では、プラスチック射出成形における原価管理の基本から、具体的なコスト削減方法、生産管理システムの活用方法、さらに実践的な事例を通じて、競争力を維持するための最適な原価管理手法を紹介します。 1.はじめに:射出成形における原価管理の重要性とその背景 射出成形は、プラスチックや金属の加工において非常に重要な技術です。この技術を使用することで、複雑な形状や高精度な製品を短期間で生産することが可能になります。しかし、生産効率を最大化するためには、細かなコスト管理が必要不可欠です。 原材料費、加工費、設備維持費などが製造コストに影響を与えるため、それらのコストを的確に把握・管理を行い、データをもとにした原価改善を実施することが競争力維持に繋がります。 射出成形のプロセスは、多くの工程が絡むため、各工程で発生するコストを細かく分けて管理する必要があります。 例えば、原材料の仕入れから製品の完成までにかかる時間や人件費、そして生産設備の稼働率や保守管理費用が、全体的なコストにどのように影響するのかを理解することが重要です。 射出成形では、製品単価が低くなることが多いため、大量生産における効率化が求められます。そのため、製造原価を把握するためには、原価計算の手法を十分に理解し、適切な管理体制を築くことが必要です。 しかし近年の製品の多様化に伴って各社が製造する製品の品目数は多くなり、それぞれロット数も少なくなってきているのが現状です。 こういった多品種少量生産が求められる現在では、特に製品の製造に必要な準備時間(段取時間)をいかに効率的に最適化することができるかが原価低減における重要な視点となっていきます。 2.原価管理の目的:競争力向上と利益確保 射出成形は、プラスチックや金属の加工において非常に重要な技術です。この技術を使用することで、複雑な形状や高精度な製品を短期間で生産することが可能になります。しかし、生産効率を最大化するためには、細かなコスト管理が必要不可欠です。原材料費、加工費、設備維持費などが製造コストに影響を与えるため、それらのコストを的確に把握・管理を行い、データをもとにした原価改善を実施することが競争力維持に繋がります。 射出成形のプロセスは、多くの工程が絡むため、各工程で発生するコストを細かく分けて管理する必要があります。 例えば、原材料の仕入れから製品の完成までにかかる時間や人件費、そして生産設備の稼働率や保守管理費用が、全体的なコストにどのように影響するのかを理解することが重要です。 射出成形では、製品単価が低くなることが多いため、大量生産における効率化が求められます。そのため、製造原価を把握するためには、原価計算の手法を十分に理解し、適切な管理体制を築くことが必要です。 しかし近年の製品の多様化に伴って各社が製造する製品の品目数は多くなり、それぞれロット数も少なくなってきているのが現状です。 こういった多品種少量生産が求められる現在では、特に製品の製造に必要な準備時間(段取時間)をいかに効率的に最適化することができるかが原価低減における重要な視点となっていきます。 ①実際工数のデータ化・一元化(データ取得) こちらの画像をご覧ください。 こちらは弊社主催セミナーの資料の一部です。 画像に示されているように、多くの製造業では特に実際にかかった「労務費(工賃×工数)」と「光熱費」を正確に製品別工程別に取得することができていません。 実際にかかった労務費と光熱費が把握できないため、製造原価を把握することが出来ず、売価に対する利益を把握することが出来なくなってしまうのです。 実際原価を把握するためには、特に実際にかかった製造工数を現場でリアルタイムに取得していく必要があります。 光熱費においても、カーボンニュートラル等の観点から正確なデータ取得は必要ですが、光熱費を削減していく場合には新電力活用や設備投資等の投資による施策が挙げられることが多いため、現場改善・原価低減の観点で見る場合は、労務費をもとに按分するという進め方で取り急ぎは問題ないと考えられます。 皆さんの現場ではいかがでしょうか? 製造工数は正確に取れていますでしょうか? また、そのデータを原価管理・現場改善へと活用することができていますか? 管理会計分野でも様々な分析・管理手法がありますが、それらもすべて「正確なデータが取得できていること」が前提です。 会社として、競争力を向上させるためには、特に正確な工数データを取得することが重要なのです。 ②実際原価の可視化(集計) 製品別・工程別の実際にかかった原価を可視化することにより、どの製品・工程で無駄が発生しているかを特定できます。これにより、コスト削減の余地が明確になり、改善策を講じることができます。 多くの企業では、まだまだ標準原価計算によって原価管理されているのが実態です。 標準原価計算による製品別の原価を把握してしまうと、実際にかかった原価が見えなくなるため、生産計画・見積作成に影響を及ぼしてしまいます。 結果として、適切な経営判断を行うことが出来なくなってしまうのです。 データが集計されて可視化されてくれば、おのずと改善箇所が見えるようになっていきます。 製品別であれば、利益率のGood・Bad分析・製品分類別の利益率の推移・客先毎の利益率等が分析できるようになります。 工程別であれば、各ライン・設備における稼働時間の分析・製品別における製造ラインの特性等が統計的に分析できるようになります。 ③利益の最大化(改善) 実際原価を可視化することによって得られる効果は、改善箇所が見えるようになることだけではなく、 改善後の結果が経営効果として数値化できるようになる ことが挙げられます。 実際原価の可視化は実態を表すものであるため、改善の実施により過去と比較してどれだけ改善できたのかを数値で示すことができるようになるのです。 これにより、現場の方の改善活動に対するモチベーション向上につながることができ、会社として改善活動を活発化することができるようになります。 さらに、経営者・管理者としても、結果が数値で現れるようになるため根拠をもとに適切な評価ができるようになります。 現場の方からすると、やはり経営者・管理者からの適切な評価や適切な鼓舞はうれしいものであり、より改善活動を実施しようという考えを持ってくれるようになります。 そうすると、現場の方が率先して「データを見て気づきを得て」「改善ポイントを把握して」「自らが改善活動を実施する」ことができるようになるのです。 これにより、現場主導の経営改善・原価改善体制が出来上がります。 当たり前ですが、現場改善の気づきを得やすいのは現場の方々です。 日々作業をしているため、自部門の製造特性を熟知しているからです。 これを、「なんとなくやっている」「仕事だからやっている」といった意識で製造をする場合と、「この部分に改善ポイントがありそうだな」と考えながら製造をする場合では雲泥の差があることは明らかです。 こういった「原価意識を持った製造」意識を持たせるためにも、上記のような正確なデータ取得・可視化が重要となります。 生産性を向上させ、製造コストを抑えることができれば、同じ製品をより多くの利益を得ることができるようになります。利益率を改善するためには、原価計算と適切な価格設定が必要なのです。 現場主導の経営改善・原価改善体制を構築するためには、正確なデータ取得・可視化が重要なのです。 ④競争力の向上(経営効果へと結びつける) 原価管理をすることは、社内の原価低減の為だけでなく、価格交渉や新規の見積による利益確保の材料ともなります。 価格交渉 自社の製品別工程別の原価を正しく把握することができれば、「どの製品が儲かっているか・儲かっていないか」「この製品のどの工程が儲かっているか・儲かっていないか」が詳細に分かるようになります。 さらに、近年の賃上げの状況を鑑みて、この工賃であればどの程度の利益を得ることができるのかが分かるようになります。 これにより、価格交渉しなければならない製品をピックアップすることができるようになります。 多くの企業では、材料費高騰に伴って、材料費の高騰分の価格交渉をすることはできていますが、賃上げに伴う価格交渉ができていないことが課題として挙げられます。 もちろん、客先との関係性などによりどうしても引き受けざるを得ない仕事もあるため、一筋縄で価格交渉をすることは難しいとは思いますが、データによる根拠が無い状態で行う価格交渉より、根拠のある価格交渉を行う方がより建設的な議論ができるようになることは間違いありません。 見積 新製品等の新規案件に対する見積作成の際には、過去の類似の案件・製品の見積情報を参考に作成することが少なからずあると思います。 原価管理が正しくできていなければ、その見積情報が実際に正しい見積であったのかどうかを判断できないため、仮に間違っていた場合は再び間違った見積を作成してしまうのです。 こういった際に、製品別工程別の原価を正しく把握することができていれば、過去の見積情報だけでなくその見積に対する実際原価を参考に作成することにより、新しい見積作成時には適切な価格で見積作成をすることができるようになるのです。 当たり前ですが、競争が激しい市場においてコスト管理を徹底することが、他社との差別化を図るための重要な要素となります。 ⑤市場の変化に対応した柔軟な戦略(盤石な体制のもと、新たな経営判断へ) 原価管理を適切に行うことにより、急な市場の変化にも柔軟に対応で切るようになります。 近年の原材料費高騰や賃上げに伴う労務費の増加に対して迅速に対応するためには、リアルタイムでコスト情報を把握する必要があるのです。 また、データを蓄積しておくことにより、今後の予測を立てることも可能となります。 賃上げに伴い、最低賃金が上昇した場合、現在の加工時間では製品別でどれほど儲けを出すことができるのかが分かるようになります。 これは材料費も同様です。 シミュレーションを実施することにより、事前に対処をすることができるようになるのです。 3.直接費と間接費の分類と影響:材料費・加工費の詳細解説 原価管理の中で最も重要なのは、直接費(材料費や加工費)と間接費(管理費や設備費)を明確に区別し、それぞれに対する管理を行うことです。 直接費(材料費・加工費) 射出成形の原価において、直接費は非常に重要です。材料費は、使用するプラスチックの種類や量に依存し、製品の品質やコストに直結します。加工費は、成形機の稼働時間や人件費、エネルギーコストなどが含まれます。これらを適切に管理するためには、リアルタイムでコストを把握できるシステムが必要です。 特に多品種少量生産を実施している企業では、製造時間を段取時間と加工時間に区分けして管理することが重要です。 IoT等を活用して設備の稼働率を取得している企業もありますが、多品種少量生産では稼働率だけを現場の指標とするのは難しいため、段取時間の適正化を重要視する必要があるのです。 間接費(設備費・管理費) 設備費や管理費は、直接製品に関連しない費用ですが、企業の収益に大きな影響を与える要素です。例えば、成形機の維持管理費用や、工場の光熱費、スタッフの給与などがこれに該当します。これらの費用も管理し、効率化を図ることが利益向上に繋がります。 間接費においては、原価に占める割合が比較的少ないことが多いため、実際原価管理をしていくための優先順位は低くてもよいと考えられます。 しかし、間接費のうち特に光熱費においては、近年のカーボンニュートラルのトレンドを考慮して将来的には管理していく必要があります。 4.生産管理システムと原価管理の連携:費用効率の最適化 生産管理システムを導入することにより、原価管理と生産効率を最適化できます。ここでは、現代の生産管理システムを利用してどのようにコスト管理を行い、効率を向上させるかについて説明します。 ①ERPシステム・生産管理システムの活用 ERP(統合基幹業務システム)を導入することで、財務、在庫管理、生産計画などの情報を一元化できます。これにより、製造工程における各コストをリアルタイムで監視し、必要な改善策を迅速に講じることが可能です。 ERP・生産管理システムに関しては、多くの企業で導入済であることが多いと考えています。 しかし、 実績入力が開始時間・終了時間で正確に入力ができていない。 工数をもとに実際原価計算ができるような機能になっていない。 といったシステム機能面での課題によって、実際原価管理を実現できていない企業も多いのではないでしょうか? こういった課題に関しては、次項で説明するように実際工数取得に特化した別のツールとの連携を視野に入れながら検討するのが良いと考えられます。 ②MES(製造実行システム)による生産管理の向上 MESを使用することで、製造工程の詳細なデータを収集し、コストを最適化することができます。生産ラインの稼働状況や材料の使用状況を可視化し、無駄を削減するためのデータを提供します。 いわゆるMESシステムを導入しようとすると、設備との連携等を考慮しなければならず、大がかりな投資になってしまいがちですが、自社にとって必要なMES機能は何か?を整理することによって、投資を必要最低限にまで最適化することができるようになります。 多くの企業にとって必要なMES機能は、あくまで製造実績データを取得する部分であることが多いのではないかと考えられます。 ③データに基づく意思決定 正確なデータが取得できれば、集計された結果が正確なものになります。 そのため、現場で実践するコスト削減のアクションをリアルタイムで実行することができます。データドリブンで意思決定を行うことで、正確な予測と計画を立てることが可能となり、コストの無駄を減らすことができます。 さらに、コスト削減のアクションを実行した結果がリアルタイムに現れるようになるため、コスト削減実行者・管理者・経営者としても経営効果を共通認識化することができるようになるのです。 5.工数管理・不良品削減を通じた現場改善 射出成形における現場改善は、工数管理と不良品削減に大きく依存します。生産性を高め、品質を保ちながらコストを削減する方法を見ていきましょう。 ①工数管理 製品別工程別で実際にかかった工数と標準工数の差を一目でわかるように集計することで、今回の製造時間が適切であるかどうかを判断することができるようになります。 またある企業では、日ごとの担当者別の標準工数との差を集計することにより、各担当者がその日どれだけ効率的に製造をすることができたかを現場にフィードバックする仕組みを構築し、現場に標準工数の意識を持たせる働きかけをしています。 現場で標準工数の意識を持つことにより、都度の製造において適切な工数で製造ができるようになり、結果として原価低減につながるのです。 ②不良品削減 現場の評価軸として、工数管理だけでは品質がおろそかになってしまいがちです。 そのため、現場では「工数×品質」で評価軸を設けることが重要です。 前述した企業では、工数の他に不良品・手直し品の集計を実施することによって各現場で対策を議論するための場を設けています。 「なんとなくこの工程で不良が出やすい」「この製品は製造が難しい」といったベテランの主観による議論をするのでは無く、数値をもとに傾向をつかんで議論をすることにより、より建設的な議論ができるようになるのです。 品質管理を徹底し、不良品を減らすことで再加工や廃棄処分費用を削減できます。継続的な品質改善活動が、全体のコスト削減に繋がります。 6.分析ツールの活用とその効果:データに基づく意思決定 コスト管理におけるデータ分析は、現代の製造業において不可欠です。分析ツールを駆使して、データに基づく意思決定を行う方法について説明します。 ①データ分析ツール データ分析ツールを使用することで、製造工程のパフォーマンスをリアルタイムで監視し、問題点を特定できます。これにより、改善のための迅速なアクションを取ることができます。 多くの企業では、まだまだExcelによるデータ集計を実施されていることが多いのではないでしょうか? 画像にもある通り、現場改善のPDCAを回すにあたって多くの企業では、「現場のデータ化」「可視化・分析」に工数をかけすぎてしまっていると考えられます。 そのため、改善施策検討の議論に十分な工数を割くことが出来ず、結果として現場改善が進まないという状況が発生しているのではないでしょうか? データの可視化・分析には、Excel等による集計ではなく、BIツールを使った自動集計を実施することが重要であると考えられます。 BIツールについては、こちらの記事をご確認ください。 製造業・工場が実践すべきBIツール活用とは?成功事例も紹介 ②ROI(投資対効果)の分析 BIツールの活用によってリアルタイムにデータ集計ができるようになると、投資した・または投資する予定の設備やシステムがどれほどのコスト削減効果をもたらしているのかを分析することも可能です。ROI分析により、投資判断を適切に行うことができます。 「データに基づく意思決定」の項でも述べましたが、データ集計によって改善箇所が見えるようになると、その改善効果金額をシミュレーションできるようになります。 そうすることで、必要な投資金額が見えるようになり、できるだけ失敗する確率を下げた投資ができるようになるのです。 7.現場改善の成功事例 ここでは、実際の現場改善事例を取り上げ、どのようにコスト削減を実現したのかを見ていきます。また、改善活動での失敗例とその教訓も紹介します。 ①成功事例 ペーパレス化により、10人分の工数を削減した事例 【社長特別インタビュー】製造業向け現場主導“完全ペーパレス化”で10人分の工数削減! 実際製造実績を取得し、実際原価管理を実現させた事例 【製造業向け】原価管理システムと補助金成功事例レポート BI活用によるリアルタイムデータ集計成功事例 【製造業向け】BI活用によるデータ集計自動化事例 8.まとめ プラスチック射出成形における原価管理は、製造業の競争力を維持し、利益を最大化するために非常に重要です。最新の技術やシステムを活用することで、より精度の高い原価計算と効率的な生産管理が可能になります。企業の規模やニーズに合ったシステムを導入し、日々の生産活動においてコスト削減に向けた取り組みを継続的に実施することが、長期的な成功に繋がります。 今回のコラムの内容は、セミナーの内容のほんの一部の抜粋となります。 より詳細な内容については、下記セミナーでお話ししておりますので是非ご参加ください。   ▼セミナー詳細・申込はこちらから▼ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/105866 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120968   ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_01906_S045 プラスチック射出成形は、製造業において広く使用されている生産技術であり、精密な製品を大量に生産することが可能です。しかし、その一方で、コスト管理の難しさが業界の課題として挙げられます。原材料費、加工費、設備費など、多くのコスト要因が絡み合い、適切な管理を怠ると、企業の利益を圧迫することになります。この記事では、プラスチック射出成形における原価管理の基本から、具体的なコスト削減方法、生産管理システムの活用方法、さらに実践的な事例を通じて、競争力を維持するための最適な原価管理手法を紹介します。 1.はじめに:射出成形における原価管理の重要性とその背景 射出成形は、プラスチックや金属の加工において非常に重要な技術です。この技術を使用することで、複雑な形状や高精度な製品を短期間で生産することが可能になります。しかし、生産効率を最大化するためには、細かなコスト管理が必要不可欠です。 原材料費、加工費、設備維持費などが製造コストに影響を与えるため、それらのコストを的確に把握・管理を行い、データをもとにした原価改善を実施することが競争力維持に繋がります。 射出成形のプロセスは、多くの工程が絡むため、各工程で発生するコストを細かく分けて管理する必要があります。 例えば、原材料の仕入れから製品の完成までにかかる時間や人件費、そして生産設備の稼働率や保守管理費用が、全体的なコストにどのように影響するのかを理解することが重要です。 射出成形では、製品単価が低くなることが多いため、大量生産における効率化が求められます。そのため、製造原価を把握するためには、原価計算の手法を十分に理解し、適切な管理体制を築くことが必要です。 しかし近年の製品の多様化に伴って各社が製造する製品の品目数は多くなり、それぞれロット数も少なくなってきているのが現状です。 こういった多品種少量生産が求められる現在では、特に製品の製造に必要な準備時間(段取時間)をいかに効率的に最適化することができるかが原価低減における重要な視点となっていきます。 2.原価管理の目的:競争力向上と利益確保 射出成形は、プラスチックや金属の加工において非常に重要な技術です。この技術を使用することで、複雑な形状や高精度な製品を短期間で生産することが可能になります。しかし、生産効率を最大化するためには、細かなコスト管理が必要不可欠です。原材料費、加工費、設備維持費などが製造コストに影響を与えるため、それらのコストを的確に把握・管理を行い、データをもとにした原価改善を実施することが競争力維持に繋がります。 射出成形のプロセスは、多くの工程が絡むため、各工程で発生するコストを細かく分けて管理する必要があります。 例えば、原材料の仕入れから製品の完成までにかかる時間や人件費、そして生産設備の稼働率や保守管理費用が、全体的なコストにどのように影響するのかを理解することが重要です。 射出成形では、製品単価が低くなることが多いため、大量生産における効率化が求められます。そのため、製造原価を把握するためには、原価計算の手法を十分に理解し、適切な管理体制を築くことが必要です。 しかし近年の製品の多様化に伴って各社が製造する製品の品目数は多くなり、それぞれロット数も少なくなってきているのが現状です。 こういった多品種少量生産が求められる現在では、特に製品の製造に必要な準備時間(段取時間)をいかに効率的に最適化することができるかが原価低減における重要な視点となっていきます。 ①実際工数のデータ化・一元化(データ取得) こちらの画像をご覧ください。 こちらは弊社主催セミナーの資料の一部です。 画像に示されているように、多くの製造業では特に実際にかかった「労務費(工賃×工数)」と「光熱費」を正確に製品別工程別に取得することができていません。 実際にかかった労務費と光熱費が把握できないため、製造原価を把握することが出来ず、売価に対する利益を把握することが出来なくなってしまうのです。 実際原価を把握するためには、特に実際にかかった製造工数を現場でリアルタイムに取得していく必要があります。 光熱費においても、カーボンニュートラル等の観点から正確なデータ取得は必要ですが、光熱費を削減していく場合には新電力活用や設備投資等の投資による施策が挙げられることが多いため、現場改善・原価低減の観点で見る場合は、労務費をもとに按分するという進め方で取り急ぎは問題ないと考えられます。 皆さんの現場ではいかがでしょうか? 製造工数は正確に取れていますでしょうか? また、そのデータを原価管理・現場改善へと活用することができていますか? 管理会計分野でも様々な分析・管理手法がありますが、それらもすべて「正確なデータが取得できていること」が前提です。 会社として、競争力を向上させるためには、特に正確な工数データを取得することが重要なのです。 ②実際原価の可視化(集計) 製品別・工程別の実際にかかった原価を可視化することにより、どの製品・工程で無駄が発生しているかを特定できます。これにより、コスト削減の余地が明確になり、改善策を講じることができます。 多くの企業では、まだまだ標準原価計算によって原価管理されているのが実態です。 標準原価計算による製品別の原価を把握してしまうと、実際にかかった原価が見えなくなるため、生産計画・見積作成に影響を及ぼしてしまいます。 結果として、適切な経営判断を行うことが出来なくなってしまうのです。 データが集計されて可視化されてくれば、おのずと改善箇所が見えるようになっていきます。 製品別であれば、利益率のGood・Bad分析・製品分類別の利益率の推移・客先毎の利益率等が分析できるようになります。 工程別であれば、各ライン・設備における稼働時間の分析・製品別における製造ラインの特性等が統計的に分析できるようになります。 ③利益の最大化(改善) 実際原価を可視化することによって得られる効果は、改善箇所が見えるようになることだけではなく、 改善後の結果が経営効果として数値化できるようになる ことが挙げられます。 実際原価の可視化は実態を表すものであるため、改善の実施により過去と比較してどれだけ改善できたのかを数値で示すことができるようになるのです。 これにより、現場の方の改善活動に対するモチベーション向上につながることができ、会社として改善活動を活発化することができるようになります。 さらに、経営者・管理者としても、結果が数値で現れるようになるため根拠をもとに適切な評価ができるようになります。 現場の方からすると、やはり経営者・管理者からの適切な評価や適切な鼓舞はうれしいものであり、より改善活動を実施しようという考えを持ってくれるようになります。 そうすると、現場の方が率先して「データを見て気づきを得て」「改善ポイントを把握して」「自らが改善活動を実施する」ことができるようになるのです。 これにより、現場主導の経営改善・原価改善体制が出来上がります。 当たり前ですが、現場改善の気づきを得やすいのは現場の方々です。 日々作業をしているため、自部門の製造特性を熟知しているからです。 これを、「なんとなくやっている」「仕事だからやっている」といった意識で製造をする場合と、「この部分に改善ポイントがありそうだな」と考えながら製造をする場合では雲泥の差があることは明らかです。 こういった「原価意識を持った製造」意識を持たせるためにも、上記のような正確なデータ取得・可視化が重要となります。 生産性を向上させ、製造コストを抑えることができれば、同じ製品をより多くの利益を得ることができるようになります。利益率を改善するためには、原価計算と適切な価格設定が必要なのです。 現場主導の経営改善・原価改善体制を構築するためには、正確なデータ取得・可視化が重要なのです。 ④競争力の向上(経営効果へと結びつける) 原価管理をすることは、社内の原価低減の為だけでなく、価格交渉や新規の見積による利益確保の材料ともなります。 価格交渉 自社の製品別工程別の原価を正しく把握することができれば、「どの製品が儲かっているか・儲かっていないか」「この製品のどの工程が儲かっているか・儲かっていないか」が詳細に分かるようになります。 さらに、近年の賃上げの状況を鑑みて、この工賃であればどの程度の利益を得ることができるのかが分かるようになります。 これにより、価格交渉しなければならない製品をピックアップすることができるようになります。 多くの企業では、材料費高騰に伴って、材料費の高騰分の価格交渉をすることはできていますが、賃上げに伴う価格交渉ができていないことが課題として挙げられます。 もちろん、客先との関係性などによりどうしても引き受けざるを得ない仕事もあるため、一筋縄で価格交渉をすることは難しいとは思いますが、データによる根拠が無い状態で行う価格交渉より、根拠のある価格交渉を行う方がより建設的な議論ができるようになることは間違いありません。 見積 新製品等の新規案件に対する見積作成の際には、過去の類似の案件・製品の見積情報を参考に作成することが少なからずあると思います。 原価管理が正しくできていなければ、その見積情報が実際に正しい見積であったのかどうかを判断できないため、仮に間違っていた場合は再び間違った見積を作成してしまうのです。 こういった際に、製品別工程別の原価を正しく把握することができていれば、過去の見積情報だけでなくその見積に対する実際原価を参考に作成することにより、新しい見積作成時には適切な価格で見積作成をすることができるようになるのです。 当たり前ですが、競争が激しい市場においてコスト管理を徹底することが、他社との差別化を図るための重要な要素となります。 ⑤市場の変化に対応した柔軟な戦略(盤石な体制のもと、新たな経営判断へ) 原価管理を適切に行うことにより、急な市場の変化にも柔軟に対応で切るようになります。 近年の原材料費高騰や賃上げに伴う労務費の増加に対して迅速に対応するためには、リアルタイムでコスト情報を把握する必要があるのです。 また、データを蓄積しておくことにより、今後の予測を立てることも可能となります。 賃上げに伴い、最低賃金が上昇した場合、現在の加工時間では製品別でどれほど儲けを出すことができるのかが分かるようになります。 これは材料費も同様です。 シミュレーションを実施することにより、事前に対処をすることができるようになるのです。 3.直接費と間接費の分類と影響:材料費・加工費の詳細解説 原価管理の中で最も重要なのは、直接費(材料費や加工費)と間接費(管理費や設備費)を明確に区別し、それぞれに対する管理を行うことです。 直接費(材料費・加工費) 射出成形の原価において、直接費は非常に重要です。材料費は、使用するプラスチックの種類や量に依存し、製品の品質やコストに直結します。加工費は、成形機の稼働時間や人件費、エネルギーコストなどが含まれます。これらを適切に管理するためには、リアルタイムでコストを把握できるシステムが必要です。 特に多品種少量生産を実施している企業では、製造時間を段取時間と加工時間に区分けして管理することが重要です。 IoT等を活用して設備の稼働率を取得している企業もありますが、多品種少量生産では稼働率だけを現場の指標とするのは難しいため、段取時間の適正化を重要視する必要があるのです。 間接費(設備費・管理費) 設備費や管理費は、直接製品に関連しない費用ですが、企業の収益に大きな影響を与える要素です。例えば、成形機の維持管理費用や、工場の光熱費、スタッフの給与などがこれに該当します。これらの費用も管理し、効率化を図ることが利益向上に繋がります。 間接費においては、原価に占める割合が比較的少ないことが多いため、実際原価管理をしていくための優先順位は低くてもよいと考えられます。 しかし、間接費のうち特に光熱費においては、近年のカーボンニュートラルのトレンドを考慮して将来的には管理していく必要があります。 4.生産管理システムと原価管理の連携:費用効率の最適化 生産管理システムを導入することにより、原価管理と生産効率を最適化できます。ここでは、現代の生産管理システムを利用してどのようにコスト管理を行い、効率を向上させるかについて説明します。 ①ERPシステム・生産管理システムの活用 ERP(統合基幹業務システム)を導入することで、財務、在庫管理、生産計画などの情報を一元化できます。これにより、製造工程における各コストをリアルタイムで監視し、必要な改善策を迅速に講じることが可能です。 ERP・生産管理システムに関しては、多くの企業で導入済であることが多いと考えています。 しかし、 実績入力が開始時間・終了時間で正確に入力ができていない。 工数をもとに実際原価計算ができるような機能になっていない。 といったシステム機能面での課題によって、実際原価管理を実現できていない企業も多いのではないでしょうか? こういった課題に関しては、次項で説明するように実際工数取得に特化した別のツールとの連携を視野に入れながら検討するのが良いと考えられます。 ②MES(製造実行システム)による生産管理の向上 MESを使用することで、製造工程の詳細なデータを収集し、コストを最適化することができます。生産ラインの稼働状況や材料の使用状況を可視化し、無駄を削減するためのデータを提供します。 いわゆるMESシステムを導入しようとすると、設備との連携等を考慮しなければならず、大がかりな投資になってしまいがちですが、自社にとって必要なMES機能は何か?を整理することによって、投資を必要最低限にまで最適化することができるようになります。 多くの企業にとって必要なMES機能は、あくまで製造実績データを取得する部分であることが多いのではないかと考えられます。 ③データに基づく意思決定 正確なデータが取得できれば、集計された結果が正確なものになります。 そのため、現場で実践するコスト削減のアクションをリアルタイムで実行することができます。データドリブンで意思決定を行うことで、正確な予測と計画を立てることが可能となり、コストの無駄を減らすことができます。 さらに、コスト削減のアクションを実行した結果がリアルタイムに現れるようになるため、コスト削減実行者・管理者・経営者としても経営効果を共通認識化することができるようになるのです。 5.工数管理・不良品削減を通じた現場改善 射出成形における現場改善は、工数管理と不良品削減に大きく依存します。生産性を高め、品質を保ちながらコストを削減する方法を見ていきましょう。 ①工数管理 製品別工程別で実際にかかった工数と標準工数の差を一目でわかるように集計することで、今回の製造時間が適切であるかどうかを判断することができるようになります。 またある企業では、日ごとの担当者別の標準工数との差を集計することにより、各担当者がその日どれだけ効率的に製造をすることができたかを現場にフィードバックする仕組みを構築し、現場に標準工数の意識を持たせる働きかけをしています。 現場で標準工数の意識を持つことにより、都度の製造において適切な工数で製造ができるようになり、結果として原価低減につながるのです。 ②不良品削減 現場の評価軸として、工数管理だけでは品質がおろそかになってしまいがちです。 そのため、現場では「工数×品質」で評価軸を設けることが重要です。 前述した企業では、工数の他に不良品・手直し品の集計を実施することによって各現場で対策を議論するための場を設けています。 「なんとなくこの工程で不良が出やすい」「この製品は製造が難しい」といったベテランの主観による議論をするのでは無く、数値をもとに傾向をつかんで議論をすることにより、より建設的な議論ができるようになるのです。 品質管理を徹底し、不良品を減らすことで再加工や廃棄処分費用を削減できます。継続的な品質改善活動が、全体のコスト削減に繋がります。 6.分析ツールの活用とその効果:データに基づく意思決定 コスト管理におけるデータ分析は、現代の製造業において不可欠です。分析ツールを駆使して、データに基づく意思決定を行う方法について説明します。 ①データ分析ツール データ分析ツールを使用することで、製造工程のパフォーマンスをリアルタイムで監視し、問題点を特定できます。これにより、改善のための迅速なアクションを取ることができます。 多くの企業では、まだまだExcelによるデータ集計を実施されていることが多いのではないでしょうか? 画像にもある通り、現場改善のPDCAを回すにあたって多くの企業では、「現場のデータ化」「可視化・分析」に工数をかけすぎてしまっていると考えられます。 そのため、改善施策検討の議論に十分な工数を割くことが出来ず、結果として現場改善が進まないという状況が発生しているのではないでしょうか? データの可視化・分析には、Excel等による集計ではなく、BIツールを使った自動集計を実施することが重要であると考えられます。 BIツールについては、こちらの記事をご確認ください。 製造業・工場が実践すべきBIツール活用とは?成功事例も紹介 ②ROI(投資対効果)の分析 BIツールの活用によってリアルタイムにデータ集計ができるようになると、投資した・または投資する予定の設備やシステムがどれほどのコスト削減効果をもたらしているのかを分析することも可能です。ROI分析により、投資判断を適切に行うことができます。 「データに基づく意思決定」の項でも述べましたが、データ集計によって改善箇所が見えるようになると、その改善効果金額をシミュレーションできるようになります。 そうすることで、必要な投資金額が見えるようになり、できるだけ失敗する確率を下げた投資ができるようになるのです。 7.現場改善の成功事例 ここでは、実際の現場改善事例を取り上げ、どのようにコスト削減を実現したのかを見ていきます。また、改善活動での失敗例とその教訓も紹介します。 ①成功事例 ペーパレス化により、10人分の工数を削減した事例 【社長特別インタビュー】製造業向け現場主導“完全ペーパレス化”で10人分の工数削減! 実際製造実績を取得し、実際原価管理を実現させた事例 【製造業向け】原価管理システムと補助金成功事例レポート BI活用によるリアルタイムデータ集計成功事例 【製造業向け】BI活用によるデータ集計自動化事例 8.まとめ プラスチック射出成形における原価管理は、製造業の競争力を維持し、利益を最大化するために非常に重要です。最新の技術やシステムを活用することで、より精度の高い原価計算と効率的な生産管理が可能になります。企業の規模やニーズに合ったシステムを導入し、日々の生産活動においてコスト削減に向けた取り組みを継続的に実施することが、長期的な成功に繋がります。 今回のコラムの内容は、セミナーの内容のほんの一部の抜粋となります。 より詳細な内容については、下記セミナーでお話ししておりますので是非ご参加ください。   ▼セミナー詳細・申込はこちらから▼ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/105866 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120968   ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_01906_S045

第1回:「本当に」正しい原価管理できていますか?

2024.11.18

経営に直結する原価管理ですが、皆様の会社では本当に正しい原価管理ができていますでしょうか? 正しい原価管理ができるようになると、 正しい経営判断ができるようになり、 利益アップへ結び付けることができるようになります。 今回は、原価管理を利益アップへ結び付けるまでの流れを実例を用いてご紹介いたします。 このコラムは原価管理を行うことによる利益アップまでの詳細を2週間に1回のペースで第6回に分けて配信しています。 第1回:「本当に」正しい原価管理できていますか? 第2回:原価管理に必要なデータ「実行系データ」について 第3回:多品種少量生産だからこそ原価分析①~工程別の原価差異の把握~ 第4回:多品種少量生産だからこそ原価分析②~分類別原価比較~ 第5回:原価管理の次フェーズ~利益アップの単純な法則~ 第6回:AIの活用~適応型経営から予測型経営へ~ 1.多品種少量生産“だからこそ”行うべき利益UPの論理的アプローチ方法 そもそも、原価管理は何のために実施するのでしょうか? 船井総研としては、「製品個別の原価を把握し、利益に基づいた経営判断を行うため」であると考えています。 当たり前の話だと感じられるかもしれません。 では、「利益に基づいた経営判断」とはどのようなことを指すのでしょうか? そのヒントを得るためにP/L(損益計算書)から見ていきましょう。 こちらがよく見る損益計算書の図です。 すべての企業は売上・費用・利益で表されます。 利益を上げるためには、基本的に2つのアプローチがあります。 売上UP 費用DOWN また、それぞれの施策は例として下記のように挙げられます。 売上UP 受注UP ・マーケティング・営業・etc・・・ 単価UP ・付加価値向上・価格折衝・etc・・・ 費用DOWN 直接業務効率化 ・工程自動化・ロボット導入・段取・工程改善・etc・・・ 間接業務効率化 ・システム導入・業務改善・etc・・・ デジタルツールや技術の発展により、利益UPの為の手段はより多くの選択肢が生まれています。 多くの選択肢が生まれているからこそ、自社にとって「本当に」効果の出る手段を論理的に選択する必要があるのです。 では、この売上UPと費用DOWNに関して、自分の会社ではどちらを優先的に実施しなければならないのか? 大きく「現場の負荷」と「期待受注量」の側面から判断することができます。 現場の負荷が低く、期待受注量も低い場合、「売上UP」の優先度が高くなります。 対して、現場の負荷が高く、期待受注量も高い場合、「費用DOWN」の優先度が高くなります。 今回は、費用DOWNを目指していくにあたっての取組についてご紹介いたします。 費用DOWNをしていくためには、まずは現状の費用を詳細に把握する必要があります。 全体費用と材料費・直接労務費・間接費などの大まかな内訳は把握することができますが、 特に多品種少量生産では、決算時の内訳を見ただけでコスト削減の具体的なアクションを打つことはできません。 さらに、人的リソースや投資金額が限られていることが多い中堅・中小企業にとって、1つの投資が会社の行方を左右しかねません。 そういった状況下で適切な投資をするためには、「製品別の原価」を把握し、製品別での収益性改善の分析が重要となるのです。 そうすることにより、投資金額を抑えつつ、着実な効果を得ることができます。 しかし、製品別で原価を把握しても、それが見積時の予定原価では意味がありません。 様々な外部要因が絡まり、日々状況が刻々と変化する多品種少量生産体制では、想定していた見積時の原価と比較して、実際にかかった原価が大幅に超えてしまうということも十分起こり得ます。 そのため、製品別で本当に利益が出ているのか?出ていないのか?が不明であり、決算時に「なぜか想定より利益が出ていないな・・・」と感じてしまうのです。 2.正確な原価管理・利益管理を行うためのデータの重要性 製造業において、原価率が最も高い部分は「直接労務費」と「材料費」であることが多いかと思います。 その中でも見積原価との乖離が発生する原価は「直接労務費」です。 多くの製造業において、実際にかかった直接労務費を正確に把握できている企業は多くありません。 それは、直接労務費が 直接労務費 = 実際にかかった製造工数 × 工賃 で算出されるものであり、 実際にかかった製造工数(製造実績データ)を正確に取得することに大きな障壁があるためです。 皆さんの企業でもいかがでしょうか? 紙日報で管理していて、管理工数がかかるためデータを活用できていない・・・ ハンディ等で完了データは取得しているが、実際にかかった工数までは取得できていない・・・ そもそもデータ化していない・・・ 日々が忙しくてそんなことやってられない・・・ しかし、本当に利益を出していく経営を実践していくためには、「正確な労務費(工数)把握」が重要となります。 逆に言えば、 正確な製造工数がデータ化できれば、製品別の正確な原価・利益把握が出来るようになるのです! 製品別の原価を正確に計算するには、到底手計算やExcel計算では対応しきれません。 そのためのDXです。 デジタルツールや技術の発展により、複雑な計算作業や情報の流動性は以前と比較して各段に早く正確になってきています。 データさえあれば、即座に見たい情報がいつでもどこでも見ることができるようになります。 しかし、そのデータが無い企業が多いのです。 3.まとめ ここまでで、まずは実際にかかる製造工数をデータ化することの重要性についてはご理解いただけたかと思います。 では、実際にどのようにデータ化するのか? もちろん、現場作業者の負担になるようなデータ取得方法では生産性が落ちるため、本末転倒です。 次回のコラムでは、具体的に実際にかかった製造工数を正確に取得した事例についてお話しさせていただきます。 また、取得したデータがどのように原価管理・利益管理できるようになるのかについて、実際の画面をもとに説明させていただきます。 ※今回の内容は、原価管理セミナーでお話ししている内容の抜粋です。より詳細に聞きたい・具体的に聞きたいと感じていただけた方は是非セミナーへのご参加をお願いいたします。 セミナーページ:https://smart-factory.funaisoken.co.jp/event/ ■関連するセミナーのご案内 板金・プレス加工業のための自社データAI活用セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/122446 ■【社長特別インタビュー】製造業向け現場主導“完全ペーパレス化”で10人分の工数削減! ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_03271_S045 次のコラムはこちら 第2回:原価管理に必要なデータ「実行系データ」について 経営に直結する原価管理ですが、皆様の会社では本当に正しい原価管理ができていますでしょうか? 正しい原価管理ができるようになると、 正しい経営判断ができるようになり、 利益アップへ結び付けることができるようになります。 今回は、原価管理を利益アップへ結び付けるまでの流れを実例を用いてご紹介いたします。 このコラムは原価管理を行うことによる利益アップまでの詳細を2週間に1回のペースで第6回に分けて配信しています。 第1回:「本当に」正しい原価管理できていますか? 第2回:原価管理に必要なデータ「実行系データ」について 第3回:多品種少量生産だからこそ原価分析①~工程別の原価差異の把握~ 第4回:多品種少量生産だからこそ原価分析②~分類別原価比較~ 第5回:原価管理の次フェーズ~利益アップの単純な法則~ 第6回:AIの活用~適応型経営から予測型経営へ~ 1.多品種少量生産“だからこそ”行うべき利益UPの論理的アプローチ方法 そもそも、原価管理は何のために実施するのでしょうか? 船井総研としては、「製品個別の原価を把握し、利益に基づいた経営判断を行うため」であると考えています。 当たり前の話だと感じられるかもしれません。 では、「利益に基づいた経営判断」とはどのようなことを指すのでしょうか? そのヒントを得るためにP/L(損益計算書)から見ていきましょう。 こちらがよく見る損益計算書の図です。 すべての企業は売上・費用・利益で表されます。 利益を上げるためには、基本的に2つのアプローチがあります。 売上UP 費用DOWN また、それぞれの施策は例として下記のように挙げられます。 売上UP 受注UP ・マーケティング・営業・etc・・・ 単価UP ・付加価値向上・価格折衝・etc・・・ 費用DOWN 直接業務効率化 ・工程自動化・ロボット導入・段取・工程改善・etc・・・ 間接業務効率化 ・システム導入・業務改善・etc・・・ デジタルツールや技術の発展により、利益UPの為の手段はより多くの選択肢が生まれています。 多くの選択肢が生まれているからこそ、自社にとって「本当に」効果の出る手段を論理的に選択する必要があるのです。 では、この売上UPと費用DOWNに関して、自分の会社ではどちらを優先的に実施しなければならないのか? 大きく「現場の負荷」と「期待受注量」の側面から判断することができます。 現場の負荷が低く、期待受注量も低い場合、「売上UP」の優先度が高くなります。 対して、現場の負荷が高く、期待受注量も高い場合、「費用DOWN」の優先度が高くなります。 今回は、費用DOWNを目指していくにあたっての取組についてご紹介いたします。 費用DOWNをしていくためには、まずは現状の費用を詳細に把握する必要があります。 全体費用と材料費・直接労務費・間接費などの大まかな内訳は把握することができますが、 特に多品種少量生産では、決算時の内訳を見ただけでコスト削減の具体的なアクションを打つことはできません。 さらに、人的リソースや投資金額が限られていることが多い中堅・中小企業にとって、1つの投資が会社の行方を左右しかねません。 そういった状況下で適切な投資をするためには、「製品別の原価」を把握し、製品別での収益性改善の分析が重要となるのです。 そうすることにより、投資金額を抑えつつ、着実な効果を得ることができます。 しかし、製品別で原価を把握しても、それが見積時の予定原価では意味がありません。 様々な外部要因が絡まり、日々状況が刻々と変化する多品種少量生産体制では、想定していた見積時の原価と比較して、実際にかかった原価が大幅に超えてしまうということも十分起こり得ます。 そのため、製品別で本当に利益が出ているのか?出ていないのか?が不明であり、決算時に「なぜか想定より利益が出ていないな・・・」と感じてしまうのです。 2.正確な原価管理・利益管理を行うためのデータの重要性 製造業において、原価率が最も高い部分は「直接労務費」と「材料費」であることが多いかと思います。 その中でも見積原価との乖離が発生する原価は「直接労務費」です。 多くの製造業において、実際にかかった直接労務費を正確に把握できている企業は多くありません。 それは、直接労務費が 直接労務費 = 実際にかかった製造工数 × 工賃 で算出されるものであり、 実際にかかった製造工数(製造実績データ)を正確に取得することに大きな障壁があるためです。 皆さんの企業でもいかがでしょうか? 紙日報で管理していて、管理工数がかかるためデータを活用できていない・・・ ハンディ等で完了データは取得しているが、実際にかかった工数までは取得できていない・・・ そもそもデータ化していない・・・ 日々が忙しくてそんなことやってられない・・・ しかし、本当に利益を出していく経営を実践していくためには、「正確な労務費(工数)把握」が重要となります。 逆に言えば、 正確な製造工数がデータ化できれば、製品別の正確な原価・利益把握が出来るようになるのです! 製品別の原価を正確に計算するには、到底手計算やExcel計算では対応しきれません。 そのためのDXです。 デジタルツールや技術の発展により、複雑な計算作業や情報の流動性は以前と比較して各段に早く正確になってきています。 データさえあれば、即座に見たい情報がいつでもどこでも見ることができるようになります。 しかし、そのデータが無い企業が多いのです。 3.まとめ ここまでで、まずは実際にかかる製造工数をデータ化することの重要性についてはご理解いただけたかと思います。 では、実際にどのようにデータ化するのか? もちろん、現場作業者の負担になるようなデータ取得方法では生産性が落ちるため、本末転倒です。 次回のコラムでは、具体的に実際にかかった製造工数を正確に取得した事例についてお話しさせていただきます。 また、取得したデータがどのように原価管理・利益管理できるようになるのかについて、実際の画面をもとに説明させていただきます。 ※今回の内容は、原価管理セミナーでお話ししている内容の抜粋です。より詳細に聞きたい・具体的に聞きたいと感じていただけた方は是非セミナーへのご参加をお願いいたします。 セミナーページ:https://smart-factory.funaisoken.co.jp/event/ ■関連するセミナーのご案内 板金・プレス加工業のための自社データAI活用セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/122446 ■【社長特別インタビュー】製造業向け現場主導“完全ペーパレス化”で10人分の工数削減! ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_03271_S045 次のコラムはこちら 第2回:原価管理に必要なデータ「実行系データ」について

AI&IoTで製造品質を向上した事例とは!専務インタビュー

2024.11.14

1.樹脂成形業における“品質課題” 株式会社船井総合研究所の松川です。 みなさまは、 「品質が安定しない」 「不良率が高い」 「コストが増加している」… そんな悩みをお持ちではありませんか? 実は、これらの課題はすべて“品質課題”として捉えることができます。 成形材料の管理、金型管理、生産管理・工程管理、製品品質、品質保証… これらの課題をそれぞれ解決していくことで、 結果的に 品質向上 そして利益率UPにつながるのです。 今回のメルマガでは、AI・IoTを使って、樹脂成形の品質向上に成功したカワイ精工様へのインタビューをご紹介いたします。 ぜひ最後までご覧ください! 2.専務インタビュー_IoT/AIを活用した保全の効率化&品質向上した事例! 松川:今日は、カワイ精工の川合専務に、DX推進の取り組みについてお伺いします。近年、IoTを活用した金型保全に力を入れていると伺いましたが、その内容について詳しく教えていただけますか? 川合専務:ありがとうございます。以前は、金型の状態を把握するのに、担当者が目視で確認したり、紙の記録に頼ったりしていました。そのため、どうしてもタイムラグが発生し、不具合が発生してから対応する、という後手に回ることが多かったんです。 そこで、金型の状態をリアルタイムで監視できるシステムを導入しようと考えたのがきっかけです。成形機にセンサーを取り付け、ショット数やサイクルタイム、金型の温度などのデータを収集し、クラウド上で一元管理できるシステムを導入しました。 松川:なるほど。導入によって、どのような効果がありましたか? 川合専務:まず、金型の状態をリアルタイムで把握できるようになったことで、異常が発生した場合に、すぐに対応できるようになりました。例えば、金型温度が設定値を超えた場合、アラートが通知されるので、すぐに冷却などの対応ができます。 また、蓄積されたデータから、金型の劣化状況を予測できるようになり、計画的なメンテナンスが可能になりました。 以前は、金型の故障による突発的な生産停止が発生することがありましたが、今ではそのようなリスクを大幅に減らすことができています。 さらに、データ分析によって、金型の寿命を延ばすための最適な成形条件を見つけるなど、品質向上にも役立っています。 松川:金型保全の効率化だけでなく、品質向上にもつながっているんですね。 3.まとめ 本コラムでは、樹脂・ゴム成形業界の皆さまが抱える、品質、不良率、コストに関する課題を解決する糸口として、品質管理の重要性とIoT活用の可能性についてお伝えしました。 多くの企業が、成形材料の管理、金型管理、生産管理・工程管理、製品品質、品質保証など、様々な課題に直面しています。 これらの課題を放置すると、品質の低下、不良率の増加、コストの増加、顧客からの信頼失墜などを招く可能性があります。 しかし、諦める必要はありません! これらの課題は、適切な品質管理とIoT技術の活用によって解決できるのです。 IoTを導入することで、金型の状態をリアルタイムで監視し、異常発生時に迅速に対応することができます。 また、蓄積されたデータから金型の劣化状況を予測し、計画的なメンテナンスを行うことで、突発的な生産停止のリスクを減らすことができます。 さらに、データ分析によって金型の寿命を延ばすための最適な成形条件を見つけるなど、品質向上にも役立ちます。 カワイ精工様の事例では、IoT導入によって金型保全の効率化だけでなく、品質向上、ひいては利益率UPにも成功しています。 品質向上は、企業の成長に欠かせない要素です。ぜひ、この機会に製造現場の課題解決に取り組み、さらなる成長を目指しませんか? ご興味のある方は、12月開催の「多品種小ロット樹脂・ゴム成形業の品質UP・不良率改善セミナー」にご参加ください。 みなさまのご参加をお待ちしております。 ■関連するセミナーのご案内 樹脂・ゴム成形業の品質UP・不良率改善セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120854 1.樹脂成形業における“品質課題” 株式会社船井総合研究所の松川です。 みなさまは、 「品質が安定しない」 「不良率が高い」 「コストが増加している」… そんな悩みをお持ちではありませんか? 実は、これらの課題はすべて“品質課題”として捉えることができます。 成形材料の管理、金型管理、生産管理・工程管理、製品品質、品質保証… これらの課題をそれぞれ解決していくことで、 結果的に 品質向上 そして利益率UPにつながるのです。 今回のメルマガでは、AI・IoTを使って、樹脂成形の品質向上に成功したカワイ精工様へのインタビューをご紹介いたします。 ぜひ最後までご覧ください! 2.専務インタビュー_IoT/AIを活用した保全の効率化&品質向上した事例! 松川:今日は、カワイ精工の川合専務に、DX推進の取り組みについてお伺いします。近年、IoTを活用した金型保全に力を入れていると伺いましたが、その内容について詳しく教えていただけますか? 川合専務:ありがとうございます。以前は、金型の状態を把握するのに、担当者が目視で確認したり、紙の記録に頼ったりしていました。そのため、どうしてもタイムラグが発生し、不具合が発生してから対応する、という後手に回ることが多かったんです。 そこで、金型の状態をリアルタイムで監視できるシステムを導入しようと考えたのがきっかけです。成形機にセンサーを取り付け、ショット数やサイクルタイム、金型の温度などのデータを収集し、クラウド上で一元管理できるシステムを導入しました。 松川:なるほど。導入によって、どのような効果がありましたか? 川合専務:まず、金型の状態をリアルタイムで把握できるようになったことで、異常が発生した場合に、すぐに対応できるようになりました。例えば、金型温度が設定値を超えた場合、アラートが通知されるので、すぐに冷却などの対応ができます。 また、蓄積されたデータから、金型の劣化状況を予測できるようになり、計画的なメンテナンスが可能になりました。 以前は、金型の故障による突発的な生産停止が発生することがありましたが、今ではそのようなリスクを大幅に減らすことができています。 さらに、データ分析によって、金型の寿命を延ばすための最適な成形条件を見つけるなど、品質向上にも役立っています。 松川:金型保全の効率化だけでなく、品質向上にもつながっているんですね。 3.まとめ 本コラムでは、樹脂・ゴム成形業界の皆さまが抱える、品質、不良率、コストに関する課題を解決する糸口として、品質管理の重要性とIoT活用の可能性についてお伝えしました。 多くの企業が、成形材料の管理、金型管理、生産管理・工程管理、製品品質、品質保証など、様々な課題に直面しています。 これらの課題を放置すると、品質の低下、不良率の増加、コストの増加、顧客からの信頼失墜などを招く可能性があります。 しかし、諦める必要はありません! これらの課題は、適切な品質管理とIoT技術の活用によって解決できるのです。 IoTを導入することで、金型の状態をリアルタイムで監視し、異常発生時に迅速に対応することができます。 また、蓄積されたデータから金型の劣化状況を予測し、計画的なメンテナンスを行うことで、突発的な生産停止のリスクを減らすことができます。 さらに、データ分析によって金型の寿命を延ばすための最適な成形条件を見つけるなど、品質向上にも役立ちます。 カワイ精工様の事例では、IoT導入によって金型保全の効率化だけでなく、品質向上、ひいては利益率UPにも成功しています。 品質向上は、企業の成長に欠かせない要素です。ぜひ、この機会に製造現場の課題解決に取り組み、さらなる成長を目指しませんか? ご興味のある方は、12月開催の「多品種小ロット樹脂・ゴム成形業の品質UP・不良率改善セミナー」にご参加ください。 みなさまのご参加をお待ちしております。 ■関連するセミナーのご案内 樹脂・ゴム成形業の品質UP・不良率改善セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120854

社長インタビュー_費用対効果1400万円/年!樹脂成形品の外観検査をAIで自動化した事例!

2024.11.13

いつもお世話になっております。株式会社船井総合研究所の川端です。 今回は、製造現場における人材不足や品質管理にお悩みの方必見! AI外観検査システムの導入に成功した株式会社ササノ合成 代表取締役 笹野英一氏にインタビューを行いました。 導入のきっかけから、費用対効果、導入後の良かった点・悪かった点まで、笹野社長の生の声をお届けします。 貴社の情報収集の一助になれば幸いです。 1.導入の経緯 川端:本日は、AI外観検査導入の成功事例として、笹野社長にお話を伺います。まず、導入のきっかけを教えていただけますか? 笹野社長:そうですね、以前から外観検査の自動化は検討していました。というのも、検査員の不足や高齢化、検査基準を統一するのが難しいといった課題があったからです。それに、検査員によって検査の出来高にばらつきがあって、残業や休日出勤で対応しなければならないこともあって困っていました。そこで、自動化について色々調べていたんですが、10年ほど前に検査の自動化を検討した時は、画像検査の後に結局人の検査が必要になってしまい、なかなか良い方法が見つかりませんでした。 川端:従来の画像検査では完全な自動化は難しかったということでしょうか? 笹野社長:ええ、当時はそうでしたね。ところが、2019年に船井総研様のAIを用いた外観検査のセミナーを聴講して、AIなら自動化できる可能性を感じたんです。もちろん、不安もありましたけどね。透明な製品や乳白色、シルバー、白色の製品などの不良品が画像として見ることができるのか、検査作業時の人の作業が取り込めるのか、製品の合否の判定はどうやって行うのかなど、色々考えました。 川端:AIによる画像検査は未知数な部分が多かったと思いますが、導入に踏み切ったのはなぜですか? 笹野社長:まずは個別に面談をしていただき、概要説明や調査を依頼しました。そして、実際に自動化できるのか、確証をつかみたかったので、コンサルを依頼し、PoC(概念実証)を実施しました。2回のPoCにより、グッと検査自動化の実現性を高めることができました。当時最新の検査システムの導入実現性を検証できたこと、そして、AI化による検査工程の自動化の内容でものづくり補助金の申請・採択されたことも大きかったです。 2.費用対効果 川端:導入費用と費用対効果について教えてください。 笹野社長:導入前は、目視検査員2名で年間約1,000万円の人件費がかかっていました。導入費用は、搬送部が約3,400万円、検査部が1,000万円で、補助金が1,000万円でした。費用対効果としては、約3.5年で投資金額を回収できる見込みです。 川端:なるほど。投資回収のめども立って、導入に踏み切れたわけですね。 笹野社長:はい、そうです。人件費の削減以外にも効果はありました。 3.導入後の良かった点、悪かった点 川端:実際に検査機を導入してみて、良かった点はありますか? 笹野社長:そうですね、まず挙げられるのは、やはり目視検査を自動化できたことですね。以前は検査員不足に悩まされていましたが、その問題を解消できたことは非常に大きいです。 川端:人材不足の解消は大きなメリットですね。 笹野社長:はい。それに加えて、検査基準が一定になったことも大きなメリットです。人の目による検査では、どうしても担当者によって判断にばらつきが出てしまうことがありましたが、AIなら常に同じ基準で検査を行うことができます。おかげで、品質の安定化につながっています。 川端:品質の安定化は、お客様からの信頼にもつながりますね。 笹野社長:おっしゃる通りです。さらに、外観過剰品質の見直しもできました。以前は、人の目で見て判断していたため、必要以上に厳しく検査を行っていた部分がありました。AI外観検査システムの導入により、客観的なデータに基づいた検査が可能となり、過剰品質を見直すことで、コスト削減にも貢献しました。 川端:なるほど。コスト削減にもつながったんですね。 笹野社長:はい。あと、これは副次的な効果かもしれませんが、元々は目視検査を担当していた従業員を、他の業務に配置転換することができたことも良かった点ですね。AI外観検査システムの導入によって、人材をより有効に活用できるようになりました。 川端:人材の有効活用は、企業にとって非常に重要ですね。 笹野社長:ええ、まさにその通りです。 川端:反対に、導入して困った点はありますか? 笹野社長:そうですね…、検査機のトラブルが起こったとき、復旧までに時間がかかる場合があるのが課題ですね。特に、人の調整が難しく、生産計画に影響が出ることがありました。 川端:トラブル発生時の対応は、今後の改善点ですね。 笹野社長:はい。また、光源のずれなどが発生した場合、元の状態に戻すのが難しいこともありました。調整に時間がかかり、作業効率が低下する原因となることもありましたね。 川端:なるほど。光源調整の難しさも課題として挙げられるんですね。 笹野社長:ええ。それと、導入後に課題だと感じたことは..... 続きは下部に記載のセミナーにてご紹介いたします! 4.まとめ 今回は、株式会社ササノ合成 代表取締役 笹野氏にAI外観検査システム導入の背景や効果、そして導入後の良かった点、悪かった点についてお伺いしました。 AI外観検査システム導入を検討されている方は、ぜひ今回のインタビューを参考にしてください。 2025年2月に開催されるAI外観検査セミナーでは、笹野社長が実際に経験したAI外観検査導入の成功事例をさらに詳しくご紹介いたします。 AI外観検査導入を検討されている方、製造現場の効率化・省人化にご興味のある方は、ぜひご参加ください! ■関連するセミナーのご案内 樹脂成型・ゴム製品製造業向け AI外観検査 社長セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/121701_MV いつもお世話になっております。株式会社船井総合研究所の川端です。 今回は、製造現場における人材不足や品質管理にお悩みの方必見! AI外観検査システムの導入に成功した株式会社ササノ合成 代表取締役 笹野英一氏にインタビューを行いました。 導入のきっかけから、費用対効果、導入後の良かった点・悪かった点まで、笹野社長の生の声をお届けします。 貴社の情報収集の一助になれば幸いです。 1.導入の経緯 川端:本日は、AI外観検査導入の成功事例として、笹野社長にお話を伺います。まず、導入のきっかけを教えていただけますか? 笹野社長:そうですね、以前から外観検査の自動化は検討していました。というのも、検査員の不足や高齢化、検査基準を統一するのが難しいといった課題があったからです。それに、検査員によって検査の出来高にばらつきがあって、残業や休日出勤で対応しなければならないこともあって困っていました。そこで、自動化について色々調べていたんですが、10年ほど前に検査の自動化を検討した時は、画像検査の後に結局人の検査が必要になってしまい、なかなか良い方法が見つかりませんでした。 川端:従来の画像検査では完全な自動化は難しかったということでしょうか? 笹野社長:ええ、当時はそうでしたね。ところが、2019年に船井総研様のAIを用いた外観検査のセミナーを聴講して、AIなら自動化できる可能性を感じたんです。もちろん、不安もありましたけどね。透明な製品や乳白色、シルバー、白色の製品などの不良品が画像として見ることができるのか、検査作業時の人の作業が取り込めるのか、製品の合否の判定はどうやって行うのかなど、色々考えました。 川端:AIによる画像検査は未知数な部分が多かったと思いますが、導入に踏み切ったのはなぜですか? 笹野社長:まずは個別に面談をしていただき、概要説明や調査を依頼しました。そして、実際に自動化できるのか、確証をつかみたかったので、コンサルを依頼し、PoC(概念実証)を実施しました。2回のPoCにより、グッと検査自動化の実現性を高めることができました。当時最新の検査システムの導入実現性を検証できたこと、そして、AI化による検査工程の自動化の内容でものづくり補助金の申請・採択されたことも大きかったです。 2.費用対効果 川端:導入費用と費用対効果について教えてください。 笹野社長:導入前は、目視検査員2名で年間約1,000万円の人件費がかかっていました。導入費用は、搬送部が約3,400万円、検査部が1,000万円で、補助金が1,000万円でした。費用対効果としては、約3.5年で投資金額を回収できる見込みです。 川端:なるほど。投資回収のめども立って、導入に踏み切れたわけですね。 笹野社長:はい、そうです。人件費の削減以外にも効果はありました。 3.導入後の良かった点、悪かった点 川端:実際に検査機を導入してみて、良かった点はありますか? 笹野社長:そうですね、まず挙げられるのは、やはり目視検査を自動化できたことですね。以前は検査員不足に悩まされていましたが、その問題を解消できたことは非常に大きいです。 川端:人材不足の解消は大きなメリットですね。 笹野社長:はい。それに加えて、検査基準が一定になったことも大きなメリットです。人の目による検査では、どうしても担当者によって判断にばらつきが出てしまうことがありましたが、AIなら常に同じ基準で検査を行うことができます。おかげで、品質の安定化につながっています。 川端:品質の安定化は、お客様からの信頼にもつながりますね。 笹野社長:おっしゃる通りです。さらに、外観過剰品質の見直しもできました。以前は、人の目で見て判断していたため、必要以上に厳しく検査を行っていた部分がありました。AI外観検査システムの導入により、客観的なデータに基づいた検査が可能となり、過剰品質を見直すことで、コスト削減にも貢献しました。 川端:なるほど。コスト削減にもつながったんですね。 笹野社長:はい。あと、これは副次的な効果かもしれませんが、元々は目視検査を担当していた従業員を、他の業務に配置転換することができたことも良かった点ですね。AI外観検査システムの導入によって、人材をより有効に活用できるようになりました。 川端:人材の有効活用は、企業にとって非常に重要ですね。 笹野社長:ええ、まさにその通りです。 川端:反対に、導入して困った点はありますか? 笹野社長:そうですね…、検査機のトラブルが起こったとき、復旧までに時間がかかる場合があるのが課題ですね。特に、人の調整が難しく、生産計画に影響が出ることがありました。 川端:トラブル発生時の対応は、今後の改善点ですね。 笹野社長:はい。また、光源のずれなどが発生した場合、元の状態に戻すのが難しいこともありました。調整に時間がかかり、作業効率が低下する原因となることもありましたね。 川端:なるほど。光源調整の難しさも課題として挙げられるんですね。 笹野社長:ええ。それと、導入後に課題だと感じたことは..... 続きは下部に記載のセミナーにてご紹介いたします! 4.まとめ 今回は、株式会社ササノ合成 代表取締役 笹野氏にAI外観検査システム導入の背景や効果、そして導入後の良かった点、悪かった点についてお伺いしました。 AI外観検査システム導入を検討されている方は、ぜひ今回のインタビューを参考にしてください。 2025年2月に開催されるAI外観検査セミナーでは、笹野社長が実際に経験したAI外観検査導入の成功事例をさらに詳しくご紹介いたします。 AI外観検査導入を検討されている方、製造現場の効率化・省人化にご興味のある方は、ぜひご参加ください! ■関連するセミナーのご案内 樹脂成型・ゴム製品製造業向け AI外観検査 社長セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/121701_MV

品質向上と不良率改善で、樹脂・ゴム成形業の利益を最大化する方法

2024.11.11

~樹脂・ゴム成形業の経営者必見! 品質向上と不良率改善で利益を伸ばす~ 「多品種小ロット生産に対応する中で、品質が安定しない…」 「不良率が高く、コスト増に悩んでいる…」 「熟練工の技術に頼っていて、人材育成が追い付かない…」 樹脂・ゴム成形業の経営者であれば、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか? 顧客ニーズの多様化、競争激化、人材不足など、製造業を取り巻く環境は厳しさを増しています。 そのような状況下で生き残り、更なる成長を遂げるためには、品質向上と不良率改善による収益力強化が不可欠です。 1.品質問題が引き起こす負の連鎖 品質問題を放置すると、以下のような悪影響が生じ、企業の存続を脅かす可能性も孕んでいます。 顧客からの信頼を失う:不良品によるクレームは、企業の評判を落とすだけでなく、顧客離れを引き起こす可能性があります。 コスト増加:不良品の発生は、材料費、人件費、廃棄費用などの増加に繋がり、利益を圧迫します。 納期遅延:品質問題による手戻りは、納期遅延に繋がり、顧客との信頼関係を損なう可能性があります。 従業員のモチベーション低下:品質問題の発生は、従業員のモチベーション低下や離職に繋がる可能性があります。 2.今こそ見直すべき、製造現場の課題 樹脂・ゴム成形業において、品質問題や不良率の高さに繋がる要因は様々です。 材料管理の不徹底:適切な保管方法や先入れ先出しができていない、材料の廃棄が多いなど、材料管理の不徹底は品質のバラつきや不良品の発生に繋がります。 金型管理の不備:金型の保管状態が悪く、メンテナンス不足や仕様書の未整備は、成形品の品質に悪影響を及ぼします。 生産管理・工程管理の不足:最適な生産計画や段取り替え計画が立てられていない、標準作業が徹底されていないなど、生産管理・工程管理の不足は、生産効率の低下や品質の不安定さに繋がります。 人材不足・技術継承の遅れ:熟練工の経験や勘に頼った製造現場では、人材不足や技術継承の遅れが、品質のバラつきや不良品の発生に繋がります。 品質保証体制の不備:不良原因の分析が不十分、検査基準が曖昧など、品質保証体制の不備は、不良品の流出や顧客からのクレームに繋がります。 これらの課題を解決し、品質向上と不良率改善を実現するためには、以下の取り組みが有効です。 3.データ活用で、品質向上と不良率改善を実現 これらの課題を解決し、品質向上と不良率改善を実現するためには、以下の取り組みが有効です。 材料管理の徹底:在庫管理システムの導入や、材料の保管方法・使用期限の明確化などにより、材料管理を徹底します。 金型管理のシステム化:金型管理システムを導入し、金型の保管状態、メンテナンス履歴、仕様書などを一元管理します。 生産管理・工程管理の見える化:生産管理システムを導入し、生産計画の精度向上、工程の進捗管理、標準作業の徹底などを図ります。 IoT・AIの活用:IoTセンサーやAIを活用し、熟練工の技術をデータ化することで、品質の安定化、不良率の低減、人材育成の効率化を実現します。 品質保証体制の構築:品質管理システムを導入し、不良原因の分析、検査データの収集・分析、品質改善活動などを推進します。 4.専門家の知見を活かして、さらなる飛躍を これらの取り組みを効果的に進めるためには、専門家の知見を活かすことが重要です。 多品種小ロット樹脂・ゴム成形業の品質向上・不良率改善セミナーでは、製造現場の課題解決、IoT・AIの活用、品質保証体制の構築など、具体的な方法を学ぶことができます。 本セミナーで得られる知識やノウハウは、企業の競争力強化に大きく貢献するでしょう。 「品質向上・不良率改善で、会社をもっと強くしたい!」 そう考えている経営者の方は、ぜひセミナーにご参加ください。 ■関連するセミナーのご案内 樹脂・ゴム成形業の品質UP・不良率改善セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120854 ~樹脂・ゴム成形業の経営者必見! 品質向上と不良率改善で利益を伸ばす~ 「多品種小ロット生産に対応する中で、品質が安定しない…」 「不良率が高く、コスト増に悩んでいる…」 「熟練工の技術に頼っていて、人材育成が追い付かない…」 樹脂・ゴム成形業の経営者であれば、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか? 顧客ニーズの多様化、競争激化、人材不足など、製造業を取り巻く環境は厳しさを増しています。 そのような状況下で生き残り、更なる成長を遂げるためには、品質向上と不良率改善による収益力強化が不可欠です。 1.品質問題が引き起こす負の連鎖 品質問題を放置すると、以下のような悪影響が生じ、企業の存続を脅かす可能性も孕んでいます。 顧客からの信頼を失う:不良品によるクレームは、企業の評判を落とすだけでなく、顧客離れを引き起こす可能性があります。 コスト増加:不良品の発生は、材料費、人件費、廃棄費用などの増加に繋がり、利益を圧迫します。 納期遅延:品質問題による手戻りは、納期遅延に繋がり、顧客との信頼関係を損なう可能性があります。 従業員のモチベーション低下:品質問題の発生は、従業員のモチベーション低下や離職に繋がる可能性があります。 2.今こそ見直すべき、製造現場の課題 樹脂・ゴム成形業において、品質問題や不良率の高さに繋がる要因は様々です。 材料管理の不徹底:適切な保管方法や先入れ先出しができていない、材料の廃棄が多いなど、材料管理の不徹底は品質のバラつきや不良品の発生に繋がります。 金型管理の不備:金型の保管状態が悪く、メンテナンス不足や仕様書の未整備は、成形品の品質に悪影響を及ぼします。 生産管理・工程管理の不足:最適な生産計画や段取り替え計画が立てられていない、標準作業が徹底されていないなど、生産管理・工程管理の不足は、生産効率の低下や品質の不安定さに繋がります。 人材不足・技術継承の遅れ:熟練工の経験や勘に頼った製造現場では、人材不足や技術継承の遅れが、品質のバラつきや不良品の発生に繋がります。 品質保証体制の不備:不良原因の分析が不十分、検査基準が曖昧など、品質保証体制の不備は、不良品の流出や顧客からのクレームに繋がります。 これらの課題を解決し、品質向上と不良率改善を実現するためには、以下の取り組みが有効です。 3.データ活用で、品質向上と不良率改善を実現 これらの課題を解決し、品質向上と不良率改善を実現するためには、以下の取り組みが有効です。 材料管理の徹底:在庫管理システムの導入や、材料の保管方法・使用期限の明確化などにより、材料管理を徹底します。 金型管理のシステム化:金型管理システムを導入し、金型の保管状態、メンテナンス履歴、仕様書などを一元管理します。 生産管理・工程管理の見える化:生産管理システムを導入し、生産計画の精度向上、工程の進捗管理、標準作業の徹底などを図ります。 IoT・AIの活用:IoTセンサーやAIを活用し、熟練工の技術をデータ化することで、品質の安定化、不良率の低減、人材育成の効率化を実現します。 品質保証体制の構築:品質管理システムを導入し、不良原因の分析、検査データの収集・分析、品質改善活動などを推進します。 4.専門家の知見を活かして、さらなる飛躍を これらの取り組みを効果的に進めるためには、専門家の知見を活かすことが重要です。 多品種小ロット樹脂・ゴム成形業の品質向上・不良率改善セミナーでは、製造現場の課題解決、IoT・AIの活用、品質保証体制の構築など、具体的な方法を学ぶことができます。 本セミナーで得られる知識やノウハウは、企業の競争力強化に大きく貢献するでしょう。 「品質向上・不良率改善で、会社をもっと強くしたい!」 そう考えている経営者の方は、ぜひセミナーにご参加ください。 ■関連するセミナーのご案内 樹脂・ゴム成形業の品質UP・不良率改善セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120854

2025年の製造業トレンド予測!JIMTOFで見えた自動化・DXの未来とは?

2024.11.07

皆様、こんにちは! 先日開催されたJIMTOF 2024、ご覧になりましたか? 私は会場をくまなく見て回りましたが、2022年と比べて来場者数が多く、特に海外、特にアジアからの来場者が目立ったように感じました。活気のある展示会でしたね! 今回は、JIMTOF 2024の展示内容から、2025年の製造業におけるDX、ロボット活用、自動化の時流を予測し、皆様にお伝えしたいと思います。 ■3Dプリンターの進化が目覚ましい! まず、南棟では3Dプリンターの展示が目立ちました。金属3Dプリンターで造形された自動車のエンジンブロックやホイールなど、 impressive な展示が目白押しでした。キーエンスも高精細な商品開発のための3Dプリンターを展示しており、3Dプリンターの進化を肌で感じることができました。金属3Dプリンターが一般的になれば、従来の機械加工による金属製品の製造も大きく変わる可能性を秘めていると言えるでしょう。 ■ファナックは協働ロボットを前面に! ファナックのブースでは、やはり協働ロボットが前面に押し出されていましたね。世界一の可搬重量を誇る50キロの協働ロボットや、ミツトヨの計測装置とCRXを組み合わせたロボットセルなど、見どころ満載でした。内蔵センサーによる力制御で高精度の組み立て工程を実現するデモや、世界初の防爆協働ロボットは、多くの来場者の注目を集めていたのではないでしょうか? AIを活用したバラ積みピッキングも進化しており、ワークの姿勢を変えることで、従来取り残していた壁際のワークもピッキングできるようになっていました。 ■三菱電機は機械加工ラインのDXソリューションを提案 三菱電機のブースでは、ロボットの展示はなく、機械加工ラインのDXソリューションが前面に打ち出されていました。緻密な積層造形を実現する金属3Dプリンターは、三菱電機独自の技術力の高さを示すものでした。 ■自動化・省人化の流れは止まらない! チタ製作所のブースでは、協働ロボットを活用した全自動の測定器が展示されていました。加工ラインにおいて必要不可欠な測定を自動化することで、省人化、24時間稼働、品質の向上、不良品の流出削減など、様々な効果が期待できます。 西棟では、工作機械に必要不可欠な切削工具のメーカーが多く出展していました。自動化の面で注目したのは、SMWオートブロック社のオートジョーチェンジ機能を搭載したチャックです。旋盤のチャックにおける爪を自動で交換できるため、多品種少量生産の機械加工においても、段取り替えの自動化が可能になります。 ■AIやロボットを活用した革新的な技術が登場! 東棟では、NAGASEのAI研削盤が目を引きました。スピンドルから得られるデータを活用し、誰もが同じ基準で加工できるシステムは、熟練工の技術を可視化し、若手にも共有することを可能にします。 アルムコードのNCプログラムを自動生成するAIも注目を集めていました。3DCADデータを読み込むことで、AIが職人たちの熟練のNCプログラミング作業を自動化するアプリケーションは、まさに革新的な技術と言えるでしょう。 株式会社オプトンのロボットを活用したパイプベンダーも印象的でした。ワーク投入から曲げ、加工、排出、検査までを自動化するだけでなく、測定データと3D CADデータの比較による加工差分抽出、自動補正機能など、パイプの曲げ加工における自動化を大きく前進させる技術です。 ■段取り替えの自動化が進む! シュンクジャパンは、「ワークピースオートメーション」と題して、段取り不要のバイス自動化システムを展示していました。多品種少量生産の機械加工において、段取り替えの工数削減は重要な課題です。多くのメーカーが段取り替えの自動化に力を入れていることから、今後の自動化において、段取り替えの自動化がますます重要になってくるでしょう。 ■計測の自動化も進化! ミツトヨは、計測省力化パッケージとして、3次元測定器とロボットワークストッカーをパッケージ化し、ジグレスの計測、自動化を実現していました。ロボットがワークをつかんだまま測定することで、無駄な段取り替えが不要になります。 ■町工場のための簡単生産管理システム エムネットくらうどは、町工場向けの簡単生産管理システムです。複雑な管理が不要な町工場でも、導入しやすいクラウド型のシステムで、注残と工程進捗の可視化を実現します。 ■自動化はツールであり、目的ではない JIMTOF 2024では、各メーカーから自動化に関わる展示が多く見られました。しかし、忘れてはならないのは、自動化はあくまでもツールであり、目的ではないということです。自動化を推進するためには、まず自社の課題を把握し、自動化すべき製品・工程を抽出することが重要です。 投資対効果をしっかりと見極め、本当に効果のある自動化を進めていきましょう。 もし、工場の自動化、ロボット活用、生産性向上、DX化についてお悩みであれば、ぜひ一度お問い合わせください。御社の課題に合わせて、最適な自動化をご提案させていただきます。 専門コンサルタントによる無料オンライン相談 無料オンライン相談とは、弊社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、ぜひご活用いただければ幸いでございます。 皆様、こんにちは! 先日開催されたJIMTOF 2024、ご覧になりましたか? 私は会場をくまなく見て回りましたが、2022年と比べて来場者数が多く、特に海外、特にアジアからの来場者が目立ったように感じました。活気のある展示会でしたね! 今回は、JIMTOF 2024の展示内容から、2025年の製造業におけるDX、ロボット活用、自動化の時流を予測し、皆様にお伝えしたいと思います。 ■3Dプリンターの進化が目覚ましい! まず、南棟では3Dプリンターの展示が目立ちました。金属3Dプリンターで造形された自動車のエンジンブロックやホイールなど、 impressive な展示が目白押しでした。キーエンスも高精細な商品開発のための3Dプリンターを展示しており、3Dプリンターの進化を肌で感じることができました。金属3Dプリンターが一般的になれば、従来の機械加工による金属製品の製造も大きく変わる可能性を秘めていると言えるでしょう。 ■ファナックは協働ロボットを前面に! ファナックのブースでは、やはり協働ロボットが前面に押し出されていましたね。世界一の可搬重量を誇る50キロの協働ロボットや、ミツトヨの計測装置とCRXを組み合わせたロボットセルなど、見どころ満載でした。内蔵センサーによる力制御で高精度の組み立て工程を実現するデモや、世界初の防爆協働ロボットは、多くの来場者の注目を集めていたのではないでしょうか? AIを活用したバラ積みピッキングも進化しており、ワークの姿勢を変えることで、従来取り残していた壁際のワークもピッキングできるようになっていました。 ■三菱電機は機械加工ラインのDXソリューションを提案 三菱電機のブースでは、ロボットの展示はなく、機械加工ラインのDXソリューションが前面に打ち出されていました。緻密な積層造形を実現する金属3Dプリンターは、三菱電機独自の技術力の高さを示すものでした。 ■自動化・省人化の流れは止まらない! チタ製作所のブースでは、協働ロボットを活用した全自動の測定器が展示されていました。加工ラインにおいて必要不可欠な測定を自動化することで、省人化、24時間稼働、品質の向上、不良品の流出削減など、様々な効果が期待できます。 西棟では、工作機械に必要不可欠な切削工具のメーカーが多く出展していました。自動化の面で注目したのは、SMWオートブロック社のオートジョーチェンジ機能を搭載したチャックです。旋盤のチャックにおける爪を自動で交換できるため、多品種少量生産の機械加工においても、段取り替えの自動化が可能になります。 ■AIやロボットを活用した革新的な技術が登場! 東棟では、NAGASEのAI研削盤が目を引きました。スピンドルから得られるデータを活用し、誰もが同じ基準で加工できるシステムは、熟練工の技術を可視化し、若手にも共有することを可能にします。 アルムコードのNCプログラムを自動生成するAIも注目を集めていました。3DCADデータを読み込むことで、AIが職人たちの熟練のNCプログラミング作業を自動化するアプリケーションは、まさに革新的な技術と言えるでしょう。 株式会社オプトンのロボットを活用したパイプベンダーも印象的でした。ワーク投入から曲げ、加工、排出、検査までを自動化するだけでなく、測定データと3D CADデータの比較による加工差分抽出、自動補正機能など、パイプの曲げ加工における自動化を大きく前進させる技術です。 ■段取り替えの自動化が進む! シュンクジャパンは、「ワークピースオートメーション」と題して、段取り不要のバイス自動化システムを展示していました。多品種少量生産の機械加工において、段取り替えの工数削減は重要な課題です。多くのメーカーが段取り替えの自動化に力を入れていることから、今後の自動化において、段取り替えの自動化がますます重要になってくるでしょう。 ■計測の自動化も進化! ミツトヨは、計測省力化パッケージとして、3次元測定器とロボットワークストッカーをパッケージ化し、ジグレスの計測、自動化を実現していました。ロボットがワークをつかんだまま測定することで、無駄な段取り替えが不要になります。 ■町工場のための簡単生産管理システム エムネットくらうどは、町工場向けの簡単生産管理システムです。複雑な管理が不要な町工場でも、導入しやすいクラウド型のシステムで、注残と工程進捗の可視化を実現します。 ■自動化はツールであり、目的ではない JIMTOF 2024では、各メーカーから自動化に関わる展示が多く見られました。しかし、忘れてはならないのは、自動化はあくまでもツールであり、目的ではないということです。自動化を推進するためには、まず自社の課題を把握し、自動化すべき製品・工程を抽出することが重要です。 投資対効果をしっかりと見極め、本当に効果のある自動化を進めていきましょう。 もし、工場の自動化、ロボット活用、生産性向上、DX化についてお悩みであれば、ぜひ一度お問い合わせください。御社の課題に合わせて、最適な自動化をご提案させていただきます。 専門コンサルタントによる無料オンライン相談 無料オンライン相談とは、弊社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、ぜひご活用いただければ幸いでございます。

今アツい、工場新設

2024.11.07

今回は、東京都大田区の好立地に工場を新設した、木田工業株式会社・木田翔太室長へのインタビューを紹介いたします! どのようにして新たな工場の設立を決断し、具体的なコンセプトを立てたのか、また工場新設に失敗しないためのポイントについて伺いました。 1.今、工場新設がアツい 先日、中堅・中小成長投資補助金の2次公募にて計85社の案件が採択されました。 採択された案件のうち、約30件が工場新設・増設に関連した案件でした。 引用:https://seichotoushi-hojo.jp/information/index.html?date=info-20241029 その計画の中身を見ると、 日本初!自動塗装・自動搬送を導入したスマート建機工場新設による生産性向上と賃上げの実現 GX・イノベーション工場~環境配慮と生産性向上による社員満足・地域共生・社会貢献~ 木材業界に風穴を開ける!省リフト製造ラインによる新・短尺多品種工場への大規模投資 のようになっており、今までにないような、次世代の工場を新設する案件が多いようです。 採択された案件のうち35%が工場新設関連となっており、工場を新設し企業規模を拡大する潮流があると言えます。 なお、中堅・中小大規模成長投資補助金は2025年も公募されることが予想されています。工場新設プロジェクトは平均で3年以上の時間がかかるものとなっていますので、事業拡大への強い想いがある方は、来年の公募に向けて準備を進めましょう。 2.工場新設時にまずおこなうべき“ゴール設定” では、工場新設をおこなう際に、検討すべきことはなんでしょうか? 工場の新設/増設の効果を最大化し、投資を成功させるためには、まずそのゴールとコンセプトを決めることが非常に重要です。 工場を新しく建てること、増やすことそれ自体は工場新設/増設プロジェクトのゴールにはなりえません。 「工場を建てることで、売り上げ1.5倍を達成する」と言うような、新設/増設によって達成したいことがゴールになりえます。 設定すべきゴールは、企業の状態や意向によって異なります。例えば、以下のような例が挙げられます。 「作業環境の改善、離職率の低下。重量物を扱っており、作業員の負担が大きいため、作業員が楽に作業できる環境を作る」 「今後の需要を見越して、A製品を1日5000個作れるような生産能力を確保する」 プロジェクトの初期段階で上記の様な適切なゴール設定について議論・策定ができれば、後工程で比較的容易に意思決定をすることができます。 例えば、工場を新しく建てる際に頻発するケースの一つに、「理想が膨らみ見積もりが予算をはるかに超えてしまう」というケースがあります。 当然、投資先の取捨選択をする必要があるのですが、事前にプロジェクトのゴールを策定しておけば、その投資がゴール達成に寄与するのか?という尺度において比較的容易に議論・決定をすることができます。 (反対に、プロジェクトメンバー全員が納得するゴール設定を行っていないと、立場によって判断基準が異なってしまい、議論を収集することが困難になってしまいます。経営層は経営層の判断基準、現場作業者は現場作業者の判断基準・情報システムは情報システムの判断基準で発言してしまうので、部分最適的な議論になってしまいます。) 自社の現場の状況や、目指したい理想から鑑みて、適切なゴールを策定しましょう。 3.工場新設に成功した木田工業株式会社 11月に開催するセミナーに登壇予定の木田工業株式会社は、“売上125%増”をゴールに見据え、東京都大田区に工場を新設しました。新設成功の鍵は、以下の2つのポイントにあります。 ①明確なコンセプトに基づいた空間設計 限られた土地を最大限に活用するために、「工場の垂直方向への拡張」という斬新な発想を採用。地上6階建ての工場を建設し、屋上へのホイスト設置、外部階段の活用など、空間を立体的に利用することで、限られた面積を有効活用しました。 ②責任体制を明確化し、迅速な意思決定を実現 工場新設プロジェクトを成功させるために、「現場をよく理解している専任責任者」を配置。 責任と権限を明確化することで、迅速な意思決定を可能にし、プロジェクトをスムーズに進めました。 セミナーでは、実際に工場新設に携わった木田工業株式会社 室長 木田翔大氏にご登壇いただき、工場新設成功のポイントについてお話いただきます。 4.まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は、工場新設の潮流と、新設を成功させるためのポイント、そして木田工業株式会社の成功事例を紹介しました。 工場新設は、企業の成長を加速させるための重要な戦略です。しかし、成功させるためには、事前の綿密な計画と準備が不可欠です。 11月に開催されるセミナーでは、木田工業株式会社 室長 木田翔大氏を講師にお迎えし、工場新設の成功事例や、工場新設の進め方を詳しく解説いたします。工場新設をご検討中の企業様は、ぜひこの機会にご参加ください。 ■関連するセミナーのご案内 工場新設・増設で売り上げUP!自動化・DX化で利益率向上! セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119823 今回は、東京都大田区の好立地に工場を新設した、木田工業株式会社・木田翔太室長へのインタビューを紹介いたします! どのようにして新たな工場の設立を決断し、具体的なコンセプトを立てたのか、また工場新設に失敗しないためのポイントについて伺いました。 1.今、工場新設がアツい 先日、中堅・中小成長投資補助金の2次公募にて計85社の案件が採択されました。 採択された案件のうち、約30件が工場新設・増設に関連した案件でした。 引用:https://seichotoushi-hojo.jp/information/index.html?date=info-20241029 その計画の中身を見ると、 日本初!自動塗装・自動搬送を導入したスマート建機工場新設による生産性向上と賃上げの実現 GX・イノベーション工場~環境配慮と生産性向上による社員満足・地域共生・社会貢献~ 木材業界に風穴を開ける!省リフト製造ラインによる新・短尺多品種工場への大規模投資 のようになっており、今までにないような、次世代の工場を新設する案件が多いようです。 採択された案件のうち35%が工場新設関連となっており、工場を新設し企業規模を拡大する潮流があると言えます。 なお、中堅・中小大規模成長投資補助金は2025年も公募されることが予想されています。工場新設プロジェクトは平均で3年以上の時間がかかるものとなっていますので、事業拡大への強い想いがある方は、来年の公募に向けて準備を進めましょう。 2.工場新設時にまずおこなうべき“ゴール設定” では、工場新設をおこなう際に、検討すべきことはなんでしょうか? 工場の新設/増設の効果を最大化し、投資を成功させるためには、まずそのゴールとコンセプトを決めることが非常に重要です。 工場を新しく建てること、増やすことそれ自体は工場新設/増設プロジェクトのゴールにはなりえません。 「工場を建てることで、売り上げ1.5倍を達成する」と言うような、新設/増設によって達成したいことがゴールになりえます。 設定すべきゴールは、企業の状態や意向によって異なります。例えば、以下のような例が挙げられます。 「作業環境の改善、離職率の低下。重量物を扱っており、作業員の負担が大きいため、作業員が楽に作業できる環境を作る」 「今後の需要を見越して、A製品を1日5000個作れるような生産能力を確保する」 プロジェクトの初期段階で上記の様な適切なゴール設定について議論・策定ができれば、後工程で比較的容易に意思決定をすることができます。 例えば、工場を新しく建てる際に頻発するケースの一つに、「理想が膨らみ見積もりが予算をはるかに超えてしまう」というケースがあります。 当然、投資先の取捨選択をする必要があるのですが、事前にプロジェクトのゴールを策定しておけば、その投資がゴール達成に寄与するのか?という尺度において比較的容易に議論・決定をすることができます。 (反対に、プロジェクトメンバー全員が納得するゴール設定を行っていないと、立場によって判断基準が異なってしまい、議論を収集することが困難になってしまいます。経営層は経営層の判断基準、現場作業者は現場作業者の判断基準・情報システムは情報システムの判断基準で発言してしまうので、部分最適的な議論になってしまいます。) 自社の現場の状況や、目指したい理想から鑑みて、適切なゴールを策定しましょう。 3.工場新設に成功した木田工業株式会社 11月に開催するセミナーに登壇予定の木田工業株式会社は、“売上125%増”をゴールに見据え、東京都大田区に工場を新設しました。新設成功の鍵は、以下の2つのポイントにあります。 ①明確なコンセプトに基づいた空間設計 限られた土地を最大限に活用するために、「工場の垂直方向への拡張」という斬新な発想を採用。地上6階建ての工場を建設し、屋上へのホイスト設置、外部階段の活用など、空間を立体的に利用することで、限られた面積を有効活用しました。 ②責任体制を明確化し、迅速な意思決定を実現 工場新設プロジェクトを成功させるために、「現場をよく理解している専任責任者」を配置。 責任と権限を明確化することで、迅速な意思決定を可能にし、プロジェクトをスムーズに進めました。 セミナーでは、実際に工場新設に携わった木田工業株式会社 室長 木田翔大氏にご登壇いただき、工場新設成功のポイントについてお話いただきます。 4.まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は、工場新設の潮流と、新設を成功させるためのポイント、そして木田工業株式会社の成功事例を紹介しました。 工場新設は、企業の成長を加速させるための重要な戦略です。しかし、成功させるためには、事前の綿密な計画と準備が不可欠です。 11月に開催されるセミナーでは、木田工業株式会社 室長 木田翔大氏を講師にお迎えし、工場新設の成功事例や、工場新設の進め方を詳しく解説いたします。工場新設をご検討中の企業様は、ぜひこの機会にご参加ください。 ■関連するセミナーのご案内 工場新設・増設で売り上げUP!自動化・DX化で利益率向上! セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119823

中堅・中小製造業におけるカーボンニュートラルの取り組みと課題
~サプライチェーン全体でのGHG排出量削減に向けた、中堅・中小製造業が果たすべき役割とDXの融合戦略とは~

2024.10.24

大手メーカーがサプライチェーン全体でのGHG排出量削減を進める中、中堅・中小製造業にもカーボンニュートラルへの取り組みが求められています。 本コラムでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、製造工程データを基にした脱炭素化の実現方法について解説します。 製造業におけるカーボンニュートラル施策は、非常に重要です。 日本において部門別CO2排出量の3割以上は産業部門となっており(※1)、産業部門から排出されるCO2の9割以上を製造業が占めています(※2)。 製造業はCO2の排出量が多い業種だからこそ、カーボンニュートラルの取り組みが大切なポイントです。 ※1:全国地球温暖化防止活動推進センター|日本の部門別二酸化炭素排出量(2021年度) ※2:環境省|産業部門における エネルギー起源CO2 1.製造業におけるカーボンニュートラルとは カーボンニュートラルとは、GHG(温室効果ガス、特に二酸化炭素: CO2)の排出量と吸収量が実質的にゼロになる状態を指します。 つまり、企業や個人、地域が活動によって排出するCO2を、再生可能エネルギーの利用や森林の保護、カーボンオフセット(排出権の購入など)によって相殺し、地球全体でバランスを取ることです。 ここでは、製造業におけるカーボンニュートラルの特徴について説明します。 今までの製造業の脱炭素化は 再生可能エネルギーの利用 設備の効率化 など、自社で消費するエネルギー削減によるGHG(温室効果ガス)排出量削減がメインでした。 しかし、これからは原料調達から製造・物流・販売・廃棄まで製品すべてのプロセスで発生するGHG(温室効果ガス)排出量削減を考える必要があります。 これからの製造業の脱炭素化の方向性として、“製品のライフサイクル全体を通した省エネ・脱炭素化を目指す、ライフサイクルアセスメント”が求められます。 ライフサイクルは製品の全ライフサイクルにわたる環境影響を評価するため、サプライチェーン全体の排出量もこの中に含まれます。これにより、どの段階で最も多くの排出が発生しているのかを特定し、改善策を立てる基礎データが得られます。 このため、まずはサプライチェーン排出量を考える必要があります。 サプライチェーン排出量 = Scope1排出量 + Scope2排出量 + Scope3排出量 と定義されます。 ※画像引用元:環境省|排出量算定について Scope1 : 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス) Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出 Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出) 2.中堅・中小製造業でカーボンニュートラルが求められる背景 大手完成品メーカーはScope3のGHG(温室効果ガス)排出量削減を取り組み始めており、今後は製品LCA(ライフサイクルアセスメント)管理へ移行していきます。 GHG(温室効果ガス)排出量の算定範囲を自社からサプライチェーン全体へ、製品サイクル全体へ拡大していくことになります。 このサプライチェーンを担う、大手完成品メーカーに部品を供給している中堅・中小製造業企業も、これまで積極的に取り組んでいなかった脱炭素化に対応する必要が生じてきます。 これは非上場企業であっても最低限、Scope1/Scope2に該当する自社のCO2排出量の測定、公開、削減の取り組みが求められることになり、最終的には協力会社の排出量の把握も含め、自社のサプライチェーン全体であるScope3への対応が目標となります。 自社のCO2排出量削減を行うためには、まずは自社の排出量(Scope1,2)の把握が必要です。 Scope1は直接排出で、自社の燃料の使⽤、⼯業プロセスでのCO2排出量 Scope2は関節排出で、他社で⽣産されたエネルギーの使⽤(主に電⼒)に伴うCO2排出です。 ここで、”なぜサプライチェーン排出量“を算出するのか?を考えてみたいと思います。 目的は主に3つが考えられます。 ①自社のホットスポットがどのカテゴリか?を知ることが出来る ホットスポットを明確にすることにより、優先的に削減に取り組まなければならないカテゴリがわかり、効率的にGHG排出量削減に取り組むことが可能になります。 ②自社の排出量の削減には限界がある 大幅なGHG排出量削減のためには自社のみではなく、サプライチェーン全体、社会全体でGHG排出量削減を目指すことが必要です。 ③サプライチェーン排出量の開示を求める動きの拡大 社会の流れとして、ESG投資の呼び込みなど、資金調達の上でも対応が必要“となってきています。 会社の評価基準として、脱炭素化の取り組みが重視される様になってきています。 今後、大手完成品メーカーのサプライチェーン排出量算定の動きがますます加速するなか、 製造業全体としての取り組みは避けられない状況となっています 3.中堅・中小製造業におけるカーボンニュートラル実現への課題 中堅・中小製造業がカーボンニュートラルに取り組む際の課題を考えます。 主な課題として下記5項目をあげます。 ①コスト負担の高さ 再生可能エネルギーの導入、省エネ設備の設置、排出削減技術の導入など、カーボンニュートラルへの取り組みには初期投資が必要です。特に中堅・中小企業は大手企業に比べて資金力が限られており、これが大きな障壁となります。 ②技術・ノウハウの不足 カーボンニュートラルを達成するためには、エネルギー効率化技術や再生可能エネルギーの活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が必要ですが、中堅・中小企業にはそのような専門知識や人材が不足していることが多いです。 ③エネルギー供給の安定性&エネルギーコスト 再生可能エネルギーへの依存度を高めると、天候や季節によるエネルギー供給の不安定さが課題となります。特に電力を多く消費する製造業では、生産ラインの安定性に影響を与える可能性があります。 また、中堅・中小企業では、再生可能エネルギーの調達先や選択肢が限られることがあります。特に地域によっては、再生可能エネルギーの供給業者が少なく、競争が不十分なため価格が高くなることがあります ④サプライチェーン全体での連携不足 カーボンニュートラルを達成するためには、サプライチェーン全体での排出削減が必要です。しかし、特に中小企業の場合、各社の取り組みに大きな差があるためサプライチェーン全体での連携が難しいことがあります。 その為、各企業が独自に取り組んでも、サプライチェーン全体としての効果が限定されてしまいます。 ⑤データの収集と活用の難しさ カーボンニュートラルに向けて排出量を正確に把握し、効率的な削減策を講じるためには、製造プロセスで発生するデータの収集・管理が不可欠です。 しかし、中小企業ではDXが進んでおらず、データの取得・活用が進んでいないことが多いです。 4.カーボンニュートラル実現のための最初のステップ 先程述べたように、サプライチェーンを構成する製造業企業の多くは、”コスト、設備、人員など限られた条件の中で、脱炭素化に取り組んでいく必要“があります。 これは非常にハードルが高いものになります。 そこで、脱炭素化だけ、としての取り組みではなく 製造の見える化 製品原価管理(製造工数管理) など、本来の製造業務としてのDXの取り組みと合わせて、そこで得られたデータを活用することで、脱炭素化にも取り組んでいくのが良いのではないでしょうか? このデータを脱炭素化に活用することで、“データを活用したGHG(温室効果ガス)排出量の把握、見える化”させ、取引先への公正な情報開示を行います。 これにより 製造課題の見える化 製造工程生産性向上 収益の適正化(正確な原価把握、在庫の把握) など本業の業務改善に加え GHG(温室効果ガス)排出量把握&削減 これによる企業価値向上の実現も目指すことが出来る様になります。 5.中堅・中小製造業における、カーボンニュートラル取り組み事例3選 中堅・中小企業が行なっているカーボンニュートラルの取り組み事例を紹介します。 環境省、経済産業省、農林水産省が運用している グリーン・バリューチェーンプラットフォーム 業種別取組事例一覧 のサイトで紹介されている企業から中堅・中小企業の取り組みをご紹介します。 5-1.榊原⼯業株式会社 ・企業情報 業種︓製造業(鋳型中⼦製造) 事業概要︓鋳型中⼦(⾃動⾞部品、建設機械部品、農機具部品)の製造 事業規模︓売上 20億円(2020年5⽉期) 拠点数︓5(愛知県⻄尾市3、豊⽥市1、富⼭県⾼岡市1) 従業員数︓140名(パート・アルバイト・実習⽣含む) ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み 2030年に2018年⽐で50.4%削減 取り組み︓マテリアルフローコスト会計⼿法を活⽤し、会社全体のエネルギー量の⾒える化を実施し取り組む(仕組みで成り⽴つ活動︓1回/⽉低減会議を実施し対応) ②再エネ100%の⽬標について 2025年までに太陽光発電などの環境配慮エネルギーの導⼊を検討していく(1回/⽉の定期取締役会での協議事項とする) ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み (カテゴリ5)︓2030年に2019年⽐で60%削減 取り組み︓マテリアルフローコスト会計⼿法を活⽤し、会社全体の産業廃棄物量の⾒える化を実施し取り組む ※ゴミステーションの設置等をおこないゴミ分別の細分化と計測を実施し取組を強化 サプライヤーとの連携を取り産業廃棄物低減活動実施を計画 (SANDEELプロジェクト︓廃棄砂活⽤によるさつまいも育成事業の展開) 5-2.株式会社和泉 ・企業情報 業種︓製造業 事業概要︓ポリエチレン製気泡緩衝材「エアセルマット」製造加⼯販売。その他梱包製品販売、研磨⽤製品販売。 ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み 2030年までに2019年⽐でCO2排出量46.2%削減 ガソリン⾞からHV⾞やEV⾞への切り替え・照明のLED化 ②再エネ100%の⽬標について 2050年までに再エネ100%達成 ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み サプライヤーとの連携により、軽量化添加剤やバイオマスプラスチック製品の販売・拡⼤に取り組み、⽯油由来ポリエチレンの使⽤⽐率の削減を進める。 5-3.株式会社篠原化学 ・企業情報 業種︓製造業 事業概要︓寝具の企画、製造、卸し、輸⼊、販売 事業規模︓資本⾦2000万円、従業員11名 ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み> 2030年に2018年⽐で 50.4%削減 本社、ショールーム、倉庫の電⼒の再エネ化を推進 ②再エネ100%の⽬標について 2030年までに再エネ100%達成 ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み Scope3カテゴリ12: 2030年に2018年⽐で50%削減 サプライヤーとの連携により、CO2排出の少ない素材への移⾏ 容器包装の軽量化 リサイクルの推進等に取り組む 6.まとめ 中堅・中小製造業での脱炭素化目標達成に向けた取り組みを整理します。 DX化によって製造工程から取得したデータを活用して”製造オペレーションの最適化“を実現させ、 これによりGHG排出量の削減、日常業務改善による削減、設備改善による削減、使用エネルギーの見直しを目指します。 この、DX化によって得られる製造工程データを活用した “製造オペレーションの最適化” → これによる生産性向上 → 生産性向上による“GHG(温室効果ガス)排出量削減”と言う脱炭素化の取り組みのPDCAサイクルをうまく回していくシステムを構築することで、本来の製造業務の効率化と合わせて、GHG(温室効果ガス)排出量削減と言う脱炭素化の取り組みも進めていくことが出来る体制を整えることが可能となります。 大手メーカーがサプライチェーン全体でのGHG排出量削減を進める中、中堅・中小製造業にもカーボンニュートラルへの取り組みが求められています。 本コラムでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、製造工程データを基にした脱炭素化の実現方法について解説します。 製造業におけるカーボンニュートラル施策は、非常に重要です。 日本において部門別CO2排出量の3割以上は産業部門となっており(※1)、産業部門から排出されるCO2の9割以上を製造業が占めています(※2)。 製造業はCO2の排出量が多い業種だからこそ、カーボンニュートラルの取り組みが大切なポイントです。 ※1:全国地球温暖化防止活動推進センター|日本の部門別二酸化炭素排出量(2021年度) ※2:環境省|産業部門における エネルギー起源CO2 1.製造業におけるカーボンニュートラルとは カーボンニュートラルとは、GHG(温室効果ガス、特に二酸化炭素: CO2)の排出量と吸収量が実質的にゼロになる状態を指します。 つまり、企業や個人、地域が活動によって排出するCO2を、再生可能エネルギーの利用や森林の保護、カーボンオフセット(排出権の購入など)によって相殺し、地球全体でバランスを取ることです。 ここでは、製造業におけるカーボンニュートラルの特徴について説明します。 今までの製造業の脱炭素化は 再生可能エネルギーの利用 設備の効率化 など、自社で消費するエネルギー削減によるGHG(温室効果ガス)排出量削減がメインでした。 しかし、これからは原料調達から製造・物流・販売・廃棄まで製品すべてのプロセスで発生するGHG(温室効果ガス)排出量削減を考える必要があります。 これからの製造業の脱炭素化の方向性として、“製品のライフサイクル全体を通した省エネ・脱炭素化を目指す、ライフサイクルアセスメント”が求められます。 ライフサイクルは製品の全ライフサイクルにわたる環境影響を評価するため、サプライチェーン全体の排出量もこの中に含まれます。これにより、どの段階で最も多くの排出が発生しているのかを特定し、改善策を立てる基礎データが得られます。 このため、まずはサプライチェーン排出量を考える必要があります。 サプライチェーン排出量 = Scope1排出量 + Scope2排出量 + Scope3排出量 と定義されます。 ※画像引用元:環境省|排出量算定について Scope1 : 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス) Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出 Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出) 2.中堅・中小製造業でカーボンニュートラルが求められる背景 大手完成品メーカーはScope3のGHG(温室効果ガス)排出量削減を取り組み始めており、今後は製品LCA(ライフサイクルアセスメント)管理へ移行していきます。 GHG(温室効果ガス)排出量の算定範囲を自社からサプライチェーン全体へ、製品サイクル全体へ拡大していくことになります。 このサプライチェーンを担う、大手完成品メーカーに部品を供給している中堅・中小製造業企業も、これまで積極的に取り組んでいなかった脱炭素化に対応する必要が生じてきます。 これは非上場企業であっても最低限、Scope1/Scope2に該当する自社のCO2排出量の測定、公開、削減の取り組みが求められることになり、最終的には協力会社の排出量の把握も含め、自社のサプライチェーン全体であるScope3への対応が目標となります。 自社のCO2排出量削減を行うためには、まずは自社の排出量(Scope1,2)の把握が必要です。 Scope1は直接排出で、自社の燃料の使⽤、⼯業プロセスでのCO2排出量 Scope2は関節排出で、他社で⽣産されたエネルギーの使⽤(主に電⼒)に伴うCO2排出です。 ここで、”なぜサプライチェーン排出量“を算出するのか?を考えてみたいと思います。 目的は主に3つが考えられます。 ①自社のホットスポットがどのカテゴリか?を知ることが出来る ホットスポットを明確にすることにより、優先的に削減に取り組まなければならないカテゴリがわかり、効率的にGHG排出量削減に取り組むことが可能になります。 ②自社の排出量の削減には限界がある 大幅なGHG排出量削減のためには自社のみではなく、サプライチェーン全体、社会全体でGHG排出量削減を目指すことが必要です。 ③サプライチェーン排出量の開示を求める動きの拡大 社会の流れとして、ESG投資の呼び込みなど、資金調達の上でも対応が必要“となってきています。 会社の評価基準として、脱炭素化の取り組みが重視される様になってきています。 今後、大手完成品メーカーのサプライチェーン排出量算定の動きがますます加速するなか、 製造業全体としての取り組みは避けられない状況となっています 3.中堅・中小製造業におけるカーボンニュートラル実現への課題 中堅・中小製造業がカーボンニュートラルに取り組む際の課題を考えます。 主な課題として下記5項目をあげます。 ①コスト負担の高さ 再生可能エネルギーの導入、省エネ設備の設置、排出削減技術の導入など、カーボンニュートラルへの取り組みには初期投資が必要です。特に中堅・中小企業は大手企業に比べて資金力が限られており、これが大きな障壁となります。 ②技術・ノウハウの不足 カーボンニュートラルを達成するためには、エネルギー効率化技術や再生可能エネルギーの活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が必要ですが、中堅・中小企業にはそのような専門知識や人材が不足していることが多いです。 ③エネルギー供給の安定性&エネルギーコスト 再生可能エネルギーへの依存度を高めると、天候や季節によるエネルギー供給の不安定さが課題となります。特に電力を多く消費する製造業では、生産ラインの安定性に影響を与える可能性があります。 また、中堅・中小企業では、再生可能エネルギーの調達先や選択肢が限られることがあります。特に地域によっては、再生可能エネルギーの供給業者が少なく、競争が不十分なため価格が高くなることがあります ④サプライチェーン全体での連携不足 カーボンニュートラルを達成するためには、サプライチェーン全体での排出削減が必要です。しかし、特に中小企業の場合、各社の取り組みに大きな差があるためサプライチェーン全体での連携が難しいことがあります。 その為、各企業が独自に取り組んでも、サプライチェーン全体としての効果が限定されてしまいます。 ⑤データの収集と活用の難しさ カーボンニュートラルに向けて排出量を正確に把握し、効率的な削減策を講じるためには、製造プロセスで発生するデータの収集・管理が不可欠です。 しかし、中小企業ではDXが進んでおらず、データの取得・活用が進んでいないことが多いです。 4.カーボンニュートラル実現のための最初のステップ 先程述べたように、サプライチェーンを構成する製造業企業の多くは、”コスト、設備、人員など限られた条件の中で、脱炭素化に取り組んでいく必要“があります。 これは非常にハードルが高いものになります。 そこで、脱炭素化だけ、としての取り組みではなく 製造の見える化 製品原価管理(製造工数管理) など、本来の製造業務としてのDXの取り組みと合わせて、そこで得られたデータを活用することで、脱炭素化にも取り組んでいくのが良いのではないでしょうか? このデータを脱炭素化に活用することで、“データを活用したGHG(温室効果ガス)排出量の把握、見える化”させ、取引先への公正な情報開示を行います。 これにより 製造課題の見える化 製造工程生産性向上 収益の適正化(正確な原価把握、在庫の把握) など本業の業務改善に加え GHG(温室効果ガス)排出量把握&削減 これによる企業価値向上の実現も目指すことが出来る様になります。 5.中堅・中小製造業における、カーボンニュートラル取り組み事例3選 中堅・中小企業が行なっているカーボンニュートラルの取り組み事例を紹介します。 環境省、経済産業省、農林水産省が運用している グリーン・バリューチェーンプラットフォーム 業種別取組事例一覧 のサイトで紹介されている企業から中堅・中小企業の取り組みをご紹介します。 5-1.榊原⼯業株式会社 ・企業情報 業種︓製造業(鋳型中⼦製造) 事業概要︓鋳型中⼦(⾃動⾞部品、建設機械部品、農機具部品)の製造 事業規模︓売上 20億円(2020年5⽉期) 拠点数︓5(愛知県⻄尾市3、豊⽥市1、富⼭県⾼岡市1) 従業員数︓140名(パート・アルバイト・実習⽣含む) ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み 2030年に2018年⽐で50.4%削減 取り組み︓マテリアルフローコスト会計⼿法を活⽤し、会社全体のエネルギー量の⾒える化を実施し取り組む(仕組みで成り⽴つ活動︓1回/⽉低減会議を実施し対応) ②再エネ100%の⽬標について 2025年までに太陽光発電などの環境配慮エネルギーの導⼊を検討していく(1回/⽉の定期取締役会での協議事項とする) ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み (カテゴリ5)︓2030年に2019年⽐で60%削減 取り組み︓マテリアルフローコスト会計⼿法を活⽤し、会社全体の産業廃棄物量の⾒える化を実施し取り組む ※ゴミステーションの設置等をおこないゴミ分別の細分化と計測を実施し取組を強化 サプライヤーとの連携を取り産業廃棄物低減活動実施を計画 (SANDEELプロジェクト︓廃棄砂活⽤によるさつまいも育成事業の展開) 5-2.株式会社和泉 ・企業情報 業種︓製造業 事業概要︓ポリエチレン製気泡緩衝材「エアセルマット」製造加⼯販売。その他梱包製品販売、研磨⽤製品販売。 ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み 2030年までに2019年⽐でCO2排出量46.2%削減 ガソリン⾞からHV⾞やEV⾞への切り替え・照明のLED化 ②再エネ100%の⽬標について 2050年までに再エネ100%達成 ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み サプライヤーとの連携により、軽量化添加剤やバイオマスプラスチック製品の販売・拡⼤に取り組み、⽯油由来ポリエチレンの使⽤⽐率の削減を進める。 5-3.株式会社篠原化学 ・企業情報 業種︓製造業 事業概要︓寝具の企画、製造、卸し、輸⼊、販売 事業規模︓資本⾦2000万円、従業員11名 ・削減⽬標 ①Scope1・2の削減⽬標と削減に向けた取り組み> 2030年に2018年⽐で 50.4%削減 本社、ショールーム、倉庫の電⼒の再エネ化を推進 ②再エネ100%の⽬標について 2030年までに再エネ100%達成 ③Scope3の削減⽬標と削減に向けた取り組み Scope3カテゴリ12: 2030年に2018年⽐で50%削減 サプライヤーとの連携により、CO2排出の少ない素材への移⾏ 容器包装の軽量化 リサイクルの推進等に取り組む 6.まとめ 中堅・中小製造業での脱炭素化目標達成に向けた取り組みを整理します。 DX化によって製造工程から取得したデータを活用して”製造オペレーションの最適化“を実現させ、 これによりGHG排出量の削減、日常業務改善による削減、設備改善による削減、使用エネルギーの見直しを目指します。 この、DX化によって得られる製造工程データを活用した “製造オペレーションの最適化” → これによる生産性向上 → 生産性向上による“GHG(温室効果ガス)排出量削減”と言う脱炭素化の取り組みのPDCAサイクルをうまく回していくシステムを構築することで、本来の製造業務の効率化と合わせて、GHG(温室効果ガス)排出量削減と言う脱炭素化の取り組みも進めていくことが出来る体制を整えることが可能となります。

脱炭素経営EXPO・三井物産様の「LCA Plus」ブースにてプチセミナーに登壇いたしました。

2024.10.24

1.製造業におけるカーボンニュートラルの必須課題とは? ●製造業が脱炭素に取り組む理由と重要性 製造業は、世界中で多くのエネルギーを消費し、大量の炭素排出を行う主要産業のひとつです。カーボンニュートラルへの移行は、気候変動を抑えるために不可欠であり、特に製造業はその影響力が大きいことから、早急な対応が求められています。炭素排出削減は、企業が持続可能な未来を目指す上で避けて通れない道であり、環境保護だけでなく、競争力を維持・向上させるためにも必須の取り組みです。 実際にはIoTやロボット、AI、ビックデータを活用しながら取組みを行っていきます。 DXの取組みにより、ニーズの多様化・人材不足・原料高などなど悩み事が多い製造業において以下のことが期待されます。 ●2024年以降、企業経営に求められる新たなステップ 2024年以降、各国政府や国際機関が設定するカーボンニュートラル目標に向けた規制が厳格化されることが予想されます。これに伴い、製造業は自社の炭素排出量を積極的に削減し、再生可能エネルギーの導入や製造プロセスの見直しに取り組むことが重要です。企業経営においても、エネルギー効率を向上させる技術投資が経営戦略の一環として不可欠になりつつあり、持続可能な経営を実現するための新たなステップが求められます。 2.製造業の脱炭素化に向けた取り組みのメリットと課題 ●炭素排出量削減のメリットとは? 炭素排出量の削減には多くのメリットがあります。第一に、環境への貢献が評価され、企業の社会的責任(CSR)やブランドイメージの向上につながります。さらに、省エネルギー対策を講じることで、エネルギーコストの削減が可能です。加えて、政府や自治体からの補助金や税制優遇措置も受けやすくなり、長期的な経済的利益を得ることができます。 ●中小企業が直面する課題と対策 一方で、特に中小企業においては、脱炭素化の取り組みに多くの課題が存在します。技術や設備への初期投資コストが大きな負担となり、対応が遅れるケースも少なくありません。これに対して、政府や業界団体が提供する支援策を活用することで、資金調達や技術導入のハードルを下げることができます。中小企業は、大企業との連携やサプライチェーン全体の見直しを通じて、より効率的に脱炭素化を進めることが可能です。 3.カーボンニュートラル実現に向けた技術の焦点 ●AIやIoTを活用した工場での取り組み 多くの製造業がカーボンニュートラルに取り組む際、高いハードルとなるのが下記4つの課題です。 コスト負担の高さ 技術・ノウハウの不足 データの収集と活用の難しさ サプライチェーン全体での連携不足 製造業企業の多くは、”コスト、設備、人員など限られた条件の中で、脱炭素化に取り組んでいく必要“があります。 そこで、脱炭素化だけ、としての取り組みではなく 製造の見える化 製品原価管理(製造工数管理)など、本来の製造業務としてのDXの取り組みと合わせて、 そこで得られたデータを活用することで、脱炭素化にも取り組んでいくのが良いと思われます。 さらに、データ解析にAIを活用することでより早くより最適な生産性向上と脱炭素化を実現出来る様になります。 ●スコープ1・2・3とは?企業が取り組むべき視点を解説 脱炭素化に向けた企業の取り組みは、スコープ1・2・3という概念で分類されます。スコープ1は企業の直接的な炭素排出、スコープ2はエネルギーの間接的な使用による排出、スコープ3はサプライチェーン全体での排出を指します。 大手完成品メーカーはScope3のGHG(温室効果ガス)排出量削減を取り組み始めており、今後は製品LCA(ライフサイクルアセスメント)管理へ移行していきます。 GHG(温室効果ガス)排出量の算定範囲を自社からサプライチェーン全体へ、製品サイクル全体へ拡大していくことになります。 このサプライチェーンを担う、大手完成品メーカーに部品を供給している製造業企業も、これまで積極的に取り組んでいなかった脱炭素化に対応する必要が生じてきます。 これは非上場企業であっても最低限、Scope1/Scope2に該当する自社のCO2排出量の測定・公開・削減の取り組みが、最終的には協力会社の排出量の把握も含め、自社のサプライチェーン全体であるScope3への取り組みが必須となってきます。 4.製造業が脱炭素化を加速させるためのステップ解説 ●簡単に始められる3ステップで実現する炭素削減 脱炭素化への取り組みは、段階的に進めることが可能です。まず、1ステップ目としてエネルギーの使用量を可視化し、無駄な消費を抑えることが重要です。2ステップ目として、再生可能エネルギーへの切り替えを進め、3ステップ目で長期的な製造プロセスの見直しを図ることで、継続的な炭素削減が実現できます。 ●クリーンエネルギー使用や製造プロセスの見直し クリーンエネルギーの導入は、脱炭素化における大きな鍵となります。太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの活用により、エネルギーの供給元からの炭素排出を削減することができます。さらに、製造プロセスの効率化や設備の更新によって、エネルギー消費そのものを削減することも大切です。 5.サプライチェーンと製品の脱炭素化 ●製品を運ぶ、送る際の脱炭素化が重要な理由 製品の運搬や配送も、カーボンニュートラルの観点では重要な要素です。輸送過程での燃料使用量が増加することで、炭素排出量が増加します。したがって、エコロジーな輸送手段を採用することや、物流の効率化を進めることが求められます。また、サプライチェーン全体での炭素排出量削減を図るためには、製造過程だけでなく、輸送過程までの見直しが必要です。 ●大企業から中小企業まで、サプライチェーン全体の見直し カーボンニュートラルを実現するためには、大企業から中小企業まで、サプライチェーン全体での協力が不可欠です。各企業が独立して脱炭素化に取り組むだけでなく、全体として協調しながら持続可能なプロセスを構築することが、効果的な炭素排出削減に繋がります。 6.カーボンニュートラルの実現に向けた未来の展望 ●2024年以降、製造業が目指すべき持続可能な経営 2024年以降、製造業が目指すべきは、持続可能な経営モデルの確立です。脱炭素化の取り組みは、企業の成長を支えるだけでなく、地球規模での環境保護にも貢献します。再生可能エネルギーの導入、技術革新、プロセスの効率化を通じて、製造業はより持続可能な方向へと進化するでしょう。 ●変わる製品づくりとその影響 製品づくりのプロセスも大きく変わりつつあります。エネルギー効率や資源の利用効率を高めた新しい製品設計が求められており、これにより消費者の需要も変化しています。持続可能な製品を提供することで、企業は市場での競争力を維持・向上させ、同時に環境負荷を軽減することが可能です。 AI・IoTを活用したGXの取組についてご興味のある方は「無料個別質疑応答会」へお申し込みください。 URL:https://lp.funaisoken.co.jp/mt/form01/inquiry-S045.html LCA Plusは三井物産が提供する製品単位のCO2排出量(カーボンフットプリント)算定ツールx算定業務支援コンサルティングサービスです。 ご興味ある方はこちら URL:https://lp.lcaplus-pf.com/ ■関連するセミナーのご案内 樹脂・ゴム成形加工業のための「自社データ学習AI」経営活用 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120968 1.製造業におけるカーボンニュートラルの必須課題とは? ●製造業が脱炭素に取り組む理由と重要性 製造業は、世界中で多くのエネルギーを消費し、大量の炭素排出を行う主要産業のひとつです。カーボンニュートラルへの移行は、気候変動を抑えるために不可欠であり、特に製造業はその影響力が大きいことから、早急な対応が求められています。炭素排出削減は、企業が持続可能な未来を目指す上で避けて通れない道であり、環境保護だけでなく、競争力を維持・向上させるためにも必須の取り組みです。 実際にはIoTやロボット、AI、ビックデータを活用しながら取組みを行っていきます。 DXの取組みにより、ニーズの多様化・人材不足・原料高などなど悩み事が多い製造業において以下のことが期待されます。 ●2024年以降、企業経営に求められる新たなステップ 2024年以降、各国政府や国際機関が設定するカーボンニュートラル目標に向けた規制が厳格化されることが予想されます。これに伴い、製造業は自社の炭素排出量を積極的に削減し、再生可能エネルギーの導入や製造プロセスの見直しに取り組むことが重要です。企業経営においても、エネルギー効率を向上させる技術投資が経営戦略の一環として不可欠になりつつあり、持続可能な経営を実現するための新たなステップが求められます。 2.製造業の脱炭素化に向けた取り組みのメリットと課題 ●炭素排出量削減のメリットとは? 炭素排出量の削減には多くのメリットがあります。第一に、環境への貢献が評価され、企業の社会的責任(CSR)やブランドイメージの向上につながります。さらに、省エネルギー対策を講じることで、エネルギーコストの削減が可能です。加えて、政府や自治体からの補助金や税制優遇措置も受けやすくなり、長期的な経済的利益を得ることができます。 ●中小企業が直面する課題と対策 一方で、特に中小企業においては、脱炭素化の取り組みに多くの課題が存在します。技術や設備への初期投資コストが大きな負担となり、対応が遅れるケースも少なくありません。これに対して、政府や業界団体が提供する支援策を活用することで、資金調達や技術導入のハードルを下げることができます。中小企業は、大企業との連携やサプライチェーン全体の見直しを通じて、より効率的に脱炭素化を進めることが可能です。 3.カーボンニュートラル実現に向けた技術の焦点 ●AIやIoTを活用した工場での取り組み 多くの製造業がカーボンニュートラルに取り組む際、高いハードルとなるのが下記4つの課題です。 コスト負担の高さ 技術・ノウハウの不足 データの収集と活用の難しさ サプライチェーン全体での連携不足 製造業企業の多くは、”コスト、設備、人員など限られた条件の中で、脱炭素化に取り組んでいく必要“があります。 そこで、脱炭素化だけ、としての取り組みではなく 製造の見える化 製品原価管理(製造工数管理)など、本来の製造業務としてのDXの取り組みと合わせて、 そこで得られたデータを活用することで、脱炭素化にも取り組んでいくのが良いと思われます。 さらに、データ解析にAIを活用することでより早くより最適な生産性向上と脱炭素化を実現出来る様になります。 ●スコープ1・2・3とは?企業が取り組むべき視点を解説 脱炭素化に向けた企業の取り組みは、スコープ1・2・3という概念で分類されます。スコープ1は企業の直接的な炭素排出、スコープ2はエネルギーの間接的な使用による排出、スコープ3はサプライチェーン全体での排出を指します。 大手完成品メーカーはScope3のGHG(温室効果ガス)排出量削減を取り組み始めており、今後は製品LCA(ライフサイクルアセスメント)管理へ移行していきます。 GHG(温室効果ガス)排出量の算定範囲を自社からサプライチェーン全体へ、製品サイクル全体へ拡大していくことになります。 このサプライチェーンを担う、大手完成品メーカーに部品を供給している製造業企業も、これまで積極的に取り組んでいなかった脱炭素化に対応する必要が生じてきます。 これは非上場企業であっても最低限、Scope1/Scope2に該当する自社のCO2排出量の測定・公開・削減の取り組みが、最終的には協力会社の排出量の把握も含め、自社のサプライチェーン全体であるScope3への取り組みが必須となってきます。 4.製造業が脱炭素化を加速させるためのステップ解説 ●簡単に始められる3ステップで実現する炭素削減 脱炭素化への取り組みは、段階的に進めることが可能です。まず、1ステップ目としてエネルギーの使用量を可視化し、無駄な消費を抑えることが重要です。2ステップ目として、再生可能エネルギーへの切り替えを進め、3ステップ目で長期的な製造プロセスの見直しを図ることで、継続的な炭素削減が実現できます。 ●クリーンエネルギー使用や製造プロセスの見直し クリーンエネルギーの導入は、脱炭素化における大きな鍵となります。太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの活用により、エネルギーの供給元からの炭素排出を削減することができます。さらに、製造プロセスの効率化や設備の更新によって、エネルギー消費そのものを削減することも大切です。 5.サプライチェーンと製品の脱炭素化 ●製品を運ぶ、送る際の脱炭素化が重要な理由 製品の運搬や配送も、カーボンニュートラルの観点では重要な要素です。輸送過程での燃料使用量が増加することで、炭素排出量が増加します。したがって、エコロジーな輸送手段を採用することや、物流の効率化を進めることが求められます。また、サプライチェーン全体での炭素排出量削減を図るためには、製造過程だけでなく、輸送過程までの見直しが必要です。 ●大企業から中小企業まで、サプライチェーン全体の見直し カーボンニュートラルを実現するためには、大企業から中小企業まで、サプライチェーン全体での協力が不可欠です。各企業が独立して脱炭素化に取り組むだけでなく、全体として協調しながら持続可能なプロセスを構築することが、効果的な炭素排出削減に繋がります。 6.カーボンニュートラルの実現に向けた未来の展望 ●2024年以降、製造業が目指すべき持続可能な経営 2024年以降、製造業が目指すべきは、持続可能な経営モデルの確立です。脱炭素化の取り組みは、企業の成長を支えるだけでなく、地球規模での環境保護にも貢献します。再生可能エネルギーの導入、技術革新、プロセスの効率化を通じて、製造業はより持続可能な方向へと進化するでしょう。 ●変わる製品づくりとその影響 製品づくりのプロセスも大きく変わりつつあります。エネルギー効率や資源の利用効率を高めた新しい製品設計が求められており、これにより消費者の需要も変化しています。持続可能な製品を提供することで、企業は市場での競争力を維持・向上させ、同時に環境負荷を軽減することが可能です。 AI・IoTを活用したGXの取組についてご興味のある方は「無料個別質疑応答会」へお申し込みください。 URL:https://lp.funaisoken.co.jp/mt/form01/inquiry-S045.html LCA Plusは三井物産が提供する製品単位のCO2排出量(カーボンフットプリント)算定ツールx算定業務支援コンサルティングサービスです。 ご興味ある方はこちら URL:https://lp.lcaplus-pf.com/ ■関連するセミナーのご案内 樹脂・ゴム成形加工業のための「自社データ学習AI」経営活用 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120968

製造業DXが進まない理由とは?DX成功のためのポイントをわかりやすく解説!

2024.10.23

1.製造業DXとは 製造業におけるDXとは、ものづくりの現場で、これまで培ってきたノウハウについてデジタル技術を活用して業務プロセスや生産方法などを根本的に変革し、生産性や競争力を向上させる取組みのことです。 実際にはIoTやロボット、AI、ビックデータを活用しながら取組みを行っていきます。 DXの取組みにより、ニーズの多様化・人材不足・原料高などなど悩み事が多い製造業において以下のことが期待されます。 生産性の向上とコスト低減 競争力の強化 新規ビジネスの機会創出 人材確保、社員のモチベーション向上 これらのように製造業DXを推進することは、生産性が向上し企業発展につながるだけでなく、人材不足や教育など様々な問題に対処できるようなります。 2.製造業においてDXが進まない理由 「日本はDXが遅れている」と言われがちですが、実際はどうなのでしょうか。 以下は、独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024」のデータで、DXの取り組み状況について調査した結果となります。 国内においてDXの取り組み自体は年々きちんと拡大しており、取り組みは進んでいることがわかります。 また、以下「設定した目的に達成しているか」という調査に対しては60%以上が「成果が出ている」と回答しており米国ほどでもないものの、成果が出ている企業が増えていることが伺えます。 以下は、「DXの具体的な取組項目における取組割合と成果割合の関係」を示したものです。 「アナログ、物理データのデジタル化」や「業務効率化による生産性向上」について取組がし易く、成果も出やすい傾向が見られる一方で、DX本来のビジネスモデルや企業文化の改革までなかなか進んでいる企業が少ないことがわかります。 以下は、データの利活用(蓄積したデータを使った新しいアクション)についての調査で、2022年と2023年でデータの利活用状況に変わりなく、国内DXの進捗としては、データを溜める環境が整備されているものの、そのデータを活用するのはこれからという状況になっていると考えられます。 その中でも、やはり「DXの進め方がわからない」「DXをうまく進められない」というお話をお聞きすることが多くあります。 では、そのような企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。 理由は主に以下が考えられるます。 理由①:目的・ゴール設定が不明確 漠然と「DXした方が良い」ということで、盲目的に局所的にとりあえず着手してしまっている企業が多いように感じます。 DXを進めるにあたっては、初期段階における目的・ゴール設定は非常に重要なものとなります。 DXと言うものは、取り組んでみると実際にはスタイリッシュなものではなく、非常に泥臭いものだということに気づくかと思います。 仕組みやシステムが運用にのるまでのプロジェクト自体は全くスタイリッシュではありません。 プロジェクトの中で様々な意見の違いやまとめることが難しい状況に直面します。 目的・ゴール設定が曖昧なままでは、長い道のりの中で思うように進めることが出来なくなってしまい、困難に陥ってしまうのです。 理由②:推進出来る人材がいない 特に中小企業では、ITに明るい人材が少なく、DXが進められないという状況がよくあります。 IT人材=社内システム構築・運用する人材は世の中にたくさん存在しますが、はっきり言ってしまうと、DX人材というのは世の中になかなか存在しません。 DXを進められる人材というのはどんな人材でしょうか。 「IT技術に明るく」「自社の業務に詳しく」「デジタルを活用して、自社の業務をどう変革できるか?を考えられる」このような人材でしょうか。 このような高度なスキルを持った人材というのは、大企業にもなかなかいません。身近にはほぼいないのです。 したがって、DXを推進できる人材がいないと嘆くのはあまり意味がないことで、「そのようなスキルを持った人材はいない」ということを前提に考えていくしかないのです。 うまくいっている企業でもDX人材がいたからうまく行ったというわけではないのです。 理由③:費用対効果が見えない DXを進めていくにはシステムの投資が必要です。 自社に予算がなく実行できないという企業を少なくありません。 また、費用は初期費用だけでなく、ランニングコストも必要となります。 見積りだけを見て高い安いと判断しているケースをよく目にしますが、本来、費用対効果を検討しなければ、その金額が高いか安いかはわからないはずです。 それをしていない企業は、費用対効果の検討以前に、はやり目的、ターゲットが明確でない場合が多い気がします。 「費用対効果が見えない」という企業ほど、そもそもやりたいことが明確になっていないのです。 理由④:既存の業務が変わっていない DXを進めている企業でも、思うような成果が出ていない企業は少なくありません。 それは、大抵の場合、既存の業務の見直し、棚卸が出来ていないケースが多くあるように感じます。 DXとは、既存の業務を見直し、業務を棚卸し、デジタルを活用しながら、抜本的に業務の仕方を変えることです。 デジタルを活用しても、業務の方法が変わらないのであれば、期待する効果が得られない可能性が高いです。 3.製造業においてDXを進めるためのポイント ポイント①目的・ゴール設定を明確にする プロジェクトがうまくいなかないときに、立ち返るのところが「そもそもデジタルを活用して何がしたいのか?私たちの仕事の何が良くなるのか?」です。 初期段階から良くなる姿を明確にし、全員で共有をし、ベクトルを合わせてプロジェクトを始めていくことが重要です。 また、目的・ゴール設定を明確にすることで、対象の業務範囲もはっきりするため、費用対効果も算出しやすくなります。 ポイント②DXを推進出来る人材の確保や教育(環境整備)をする ピンポイントで自社にあったDXを推進出来る人材はなかなかいませんので、アプローチ方法は以下の2つしかありません。 DX推進もしくはIT導入の経験のある人材を雇う 講座やセミナーなどを活用して社内の人材を教育する。もしくは外部のコンサルタントなどの協力を得ながら教育を行う。 いずれにしても、全社員でも一部の社員でも社内のDX教育を通して社員を成長させていくことは大事で、広く教育しながら、可能性の芽を探しながら、推進するキーマンを軸にDXの波を波及させていくことが重要です。 逆にIT技術に詳しい社員がいるからと言って、理解者や協力者がいない状態で推進していくことは、頓挫しやすく非常に難しいことです。 ポイント③まずはじめは既存業務を見直す DXを進めようと思うと、「今の業務でどこがDX化出来るか」ということを考えてしまいます。 しかし、その考えが近い未来にうまく推進できなくなる第一歩となっているのです。 まず始めに考えるべきことは、既存業務の「何が・どこが問題か」をきちんと把握する(=現状把握)必要があります。 大抵の場合は、そもそも今の業務のやり方に何かしら問題があるのです。 属人的な作業(特定の人にしかわからない・出来ない)になっていないか、誰もがわかる効率的な業務フローになっているかを徹底的に洗い出す必要があります。 よく手始めに始められる工場内のペーパーレス化も、まずその帳票が本当に必要かを考えなければならないのです。 既存の非効率な業務フロー、運用を土台にして、DX(効率化)を積み上げても、全体が効率的にはならないということです。 4.まとめ DXを進めるには、長期的な目線と根気が必要です。 一方で、属人的な業務の限界や人材不足の差し迫った問題に対しての改善策は、積極的なIT技術の活用のほかにありません。 「データは21世紀の石油」と言われています。 今後の不透明な時代を企業が生き抜くにはデータ活用がマストだという意味です。 冒頭で触れた通り、製造業DXとはものづくりのノウハウをデジタル技術を活用して、業務を根本的に変革することです。 DXを推進するということは①データをアナログ(紙Excel)からデジタル化→②データを蓄積→③データ利活用→④業務・企業文化を変革するといったストーリーを将来的に経験するということです。 それにもはやりステップがあり、まず大事なことは「社内情報をデジタル情報に変えていく」ということです。 紙やExcelのままでは、データ活用・DXをしていくことは決してできません。 まずは小さなことろ(スモールスタート)で良いので、データを集めて、データ活用の意義に触れていくということが重要であると考えます。 貴社のDX推進にあたり困りごとがございましたら、お気軽にご相談下さい。 DX推進に限らず、 【製造業での悩み・困っていること・相談したい】について、何でもご相談下さい。 1.製造業DXとは 製造業におけるDXとは、ものづくりの現場で、これまで培ってきたノウハウについてデジタル技術を活用して業務プロセスや生産方法などを根本的に変革し、生産性や競争力を向上させる取組みのことです。 実際にはIoTやロボット、AI、ビックデータを活用しながら取組みを行っていきます。 DXの取組みにより、ニーズの多様化・人材不足・原料高などなど悩み事が多い製造業において以下のことが期待されます。 生産性の向上とコスト低減 競争力の強化 新規ビジネスの機会創出 人材確保、社員のモチベーション向上 これらのように製造業DXを推進することは、生産性が向上し企業発展につながるだけでなく、人材不足や教育など様々な問題に対処できるようなります。 2.製造業においてDXが進まない理由 「日本はDXが遅れている」と言われがちですが、実際はどうなのでしょうか。 以下は、独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024」のデータで、DXの取り組み状況について調査した結果となります。 国内においてDXの取り組み自体は年々きちんと拡大しており、取り組みは進んでいることがわかります。 また、以下「設定した目的に達成しているか」という調査に対しては60%以上が「成果が出ている」と回答しており米国ほどでもないものの、成果が出ている企業が増えていることが伺えます。 以下は、「DXの具体的な取組項目における取組割合と成果割合の関係」を示したものです。 「アナログ、物理データのデジタル化」や「業務効率化による生産性向上」について取組がし易く、成果も出やすい傾向が見られる一方で、DX本来のビジネスモデルや企業文化の改革までなかなか進んでいる企業が少ないことがわかります。 以下は、データの利活用(蓄積したデータを使った新しいアクション)についての調査で、2022年と2023年でデータの利活用状況に変わりなく、国内DXの進捗としては、データを溜める環境が整備されているものの、そのデータを活用するのはこれからという状況になっていると考えられます。 その中でも、やはり「DXの進め方がわからない」「DXをうまく進められない」というお話をお聞きすることが多くあります。 では、そのような企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。 理由は主に以下が考えられるます。 理由①:目的・ゴール設定が不明確 漠然と「DXした方が良い」ということで、盲目的に局所的にとりあえず着手してしまっている企業が多いように感じます。 DXを進めるにあたっては、初期段階における目的・ゴール設定は非常に重要なものとなります。 DXと言うものは、取り組んでみると実際にはスタイリッシュなものではなく、非常に泥臭いものだということに気づくかと思います。 仕組みやシステムが運用にのるまでのプロジェクト自体は全くスタイリッシュではありません。 プロジェクトの中で様々な意見の違いやまとめることが難しい状況に直面します。 目的・ゴール設定が曖昧なままでは、長い道のりの中で思うように進めることが出来なくなってしまい、困難に陥ってしまうのです。 理由②:推進出来る人材がいない 特に中小企業では、ITに明るい人材が少なく、DXが進められないという状況がよくあります。 IT人材=社内システム構築・運用する人材は世の中にたくさん存在しますが、はっきり言ってしまうと、DX人材というのは世の中になかなか存在しません。 DXを進められる人材というのはどんな人材でしょうか。 「IT技術に明るく」「自社の業務に詳しく」「デジタルを活用して、自社の業務をどう変革できるか?を考えられる」このような人材でしょうか。 このような高度なスキルを持った人材というのは、大企業にもなかなかいません。身近にはほぼいないのです。 したがって、DXを推進できる人材がいないと嘆くのはあまり意味がないことで、「そのようなスキルを持った人材はいない」ということを前提に考えていくしかないのです。 うまくいっている企業でもDX人材がいたからうまく行ったというわけではないのです。 理由③:費用対効果が見えない DXを進めていくにはシステムの投資が必要です。 自社に予算がなく実行できないという企業を少なくありません。 また、費用は初期費用だけでなく、ランニングコストも必要となります。 見積りだけを見て高い安いと判断しているケースをよく目にしますが、本来、費用対効果を検討しなければ、その金額が高いか安いかはわからないはずです。 それをしていない企業は、費用対効果の検討以前に、はやり目的、ターゲットが明確でない場合が多い気がします。 「費用対効果が見えない」という企業ほど、そもそもやりたいことが明確になっていないのです。 理由④:既存の業務が変わっていない DXを進めている企業でも、思うような成果が出ていない企業は少なくありません。 それは、大抵の場合、既存の業務の見直し、棚卸が出来ていないケースが多くあるように感じます。 DXとは、既存の業務を見直し、業務を棚卸し、デジタルを活用しながら、抜本的に業務の仕方を変えることです。 デジタルを活用しても、業務の方法が変わらないのであれば、期待する効果が得られない可能性が高いです。 3.製造業においてDXを進めるためのポイント ポイント①目的・ゴール設定を明確にする プロジェクトがうまくいなかないときに、立ち返るのところが「そもそもデジタルを活用して何がしたいのか?私たちの仕事の何が良くなるのか?」です。 初期段階から良くなる姿を明確にし、全員で共有をし、ベクトルを合わせてプロジェクトを始めていくことが重要です。 また、目的・ゴール設定を明確にすることで、対象の業務範囲もはっきりするため、費用対効果も算出しやすくなります。 ポイント②DXを推進出来る人材の確保や教育(環境整備)をする ピンポイントで自社にあったDXを推進出来る人材はなかなかいませんので、アプローチ方法は以下の2つしかありません。 DX推進もしくはIT導入の経験のある人材を雇う 講座やセミナーなどを活用して社内の人材を教育する。もしくは外部のコンサルタントなどの協力を得ながら教育を行う。 いずれにしても、全社員でも一部の社員でも社内のDX教育を通して社員を成長させていくことは大事で、広く教育しながら、可能性の芽を探しながら、推進するキーマンを軸にDXの波を波及させていくことが重要です。 逆にIT技術に詳しい社員がいるからと言って、理解者や協力者がいない状態で推進していくことは、頓挫しやすく非常に難しいことです。 ポイント③まずはじめは既存業務を見直す DXを進めようと思うと、「今の業務でどこがDX化出来るか」ということを考えてしまいます。 しかし、その考えが近い未来にうまく推進できなくなる第一歩となっているのです。 まず始めに考えるべきことは、既存業務の「何が・どこが問題か」をきちんと把握する(=現状把握)必要があります。 大抵の場合は、そもそも今の業務のやり方に何かしら問題があるのです。 属人的な作業(特定の人にしかわからない・出来ない)になっていないか、誰もがわかる効率的な業務フローになっているかを徹底的に洗い出す必要があります。 よく手始めに始められる工場内のペーパーレス化も、まずその帳票が本当に必要かを考えなければならないのです。 既存の非効率な業務フロー、運用を土台にして、DX(効率化)を積み上げても、全体が効率的にはならないということです。 4.まとめ DXを進めるには、長期的な目線と根気が必要です。 一方で、属人的な業務の限界や人材不足の差し迫った問題に対しての改善策は、積極的なIT技術の活用のほかにありません。 「データは21世紀の石油」と言われています。 今後の不透明な時代を企業が生き抜くにはデータ活用がマストだという意味です。 冒頭で触れた通り、製造業DXとはものづくりのノウハウをデジタル技術を活用して、業務を根本的に変革することです。 DXを推進するということは①データをアナログ(紙Excel)からデジタル化→②データを蓄積→③データ利活用→④業務・企業文化を変革するといったストーリーを将来的に経験するということです。 それにもはやりステップがあり、まず大事なことは「社内情報をデジタル情報に変えていく」ということです。 紙やExcelのままでは、データ活用・DXをしていくことは決してできません。 まずは小さなことろ(スモールスタート)で良いので、データを集めて、データ活用の意義に触れていくということが重要であると考えます。 貴社のDX推進にあたり困りごとがございましたら、お気軽にご相談下さい。 DX推進に限らず、 【製造業での悩み・困っていること・相談したい】について、何でもご相談下さい。

工場新設に失敗しないための、2つのポイントとは?工場新設成功企業へインタビュー!

2024.10.21

今回は、東京都大田区の好立地に工場を新設した、木田工業株式会社・木田翔太室長へのインタビューを紹介いたします! どのようにして新たな工場の設立を決断し、具体的なコンセプトを立てたのか、また工場新設に失敗しないためのポイントについて伺いました。 1. 木田工業株式会社の紹介と工場増設の経緯 船井総研 塩田:今回は、東京都大田区の好立地に新設した工場のコンセプトと、売上25%増を目指す取り組みについて、木田工業株式会社 室長、木田翔大氏にお話を伺います。どうぞよろしくお願いいたします! 木田工業 木田氏:よろしくお願いいたします。 船井総研 塩田:まずは、木田工業株式会社のご紹介をお願いできますでしょうか。 木田工業 木田氏:はい。木田工業株式会社は、東京都大田区に位置する、樹脂の切削加工を行っている会社です。現在、95名の従業員が在籍しており、またエンジニアリングプラスチックやフッ素樹脂製品の精密加工において業界でもトップクラスの設備を持っています。私たちは、機械部品からモデル試作品の製作まで、多品種少量生産を行い、約1500種の製品を自社内で一貫生産しています。 船井総研 塩田:ありがとうございます!それでは、新工場の増設に至った経緯について教えていただけますか? 木田工業 木田氏:承知しました。新工場を建設する決断に至ったのは、コロナの影響で主要顧客の売上が急増したことが大きな要因です。主要顧客の売上増加に伴い外注量が増加し、既存工場だけでは内製が難しくなりました。そのため、もともと駐車場として活用していた土地に新しい工場を建設することを決めました。この決断は、今後のビジネスチャンスを逃さないための大規模な投資と位置付けて、スタートさせました。 船井総研 塩田:事前に土地を取得していたことが、スムーズに工場建設に踏み切る助けになったのですね。 木田工業 木田氏:はい。主要顧客の売上が増加したタイミングで新工場の建設を始められたことは非常にラッキーでした。 2. 新工場のコンセプト 船井総研 塩田:続いて、新工場の具体的なコンセプトについてお伺いできますか? 木田工業 木田氏:新工場のコンセプトは、限られた土地を最大限に活用し、どのように機械を配置するかという点に大きく重点を置きました。正直に申し上げますと、土地はあまり広くなかったため、投資回収を行うためには、売上の基盤となる機械を導入する必要がありました。そこで、建築会社と密に協議を重ね、最終的に地上6階建ての工場を建設することにしました。 船井総研 塩田:地上6階建ての工場とは非常にユニークですね! 木田工業 木田氏:そうですね。高さのある建物を作ることで、屋上にホイスト(クレーン)を設置し、上層階にも機械を配置できるようにしました。また、内部に階段を設置せず、外部階段と大型エレベーターを利用することで、限られた土地の有効活用を図っています。このような工夫により、工場の効率的な運営が実現できたと考えています。 また、 “工場の運用管理のしやすさ”も新工場の重要なコンセプトの一つです。私たちは人材と設備の両方が重要だと考えており、その両方が掛け算のように作用して売上や利益を生むと考えています。郊外に大規模な工場を建設する選択肢もありましたが、近場に新工場を建てることで、会社としての一体感やコミュニケーションの機会を増やすことができると考えました。 船井総研 塩田:コミュニケーションの機会を増やすことが、企業文化にも良い影響を与えるでしょうね。 木田工業 木田氏:そうですね。弊社の従業員は、大田区近辺から通っている方も多いため、地元の方々に支えられているという意識を強く持っています。社員が働きやすく、ここで働きたいと思える環境を提供することは非常に重要だと考えています。 3. 工場増設に失敗しないための2つのポイント 船井総研 塩田:工場増設に失敗しないためのポイントは何でしょうか? 木田工業 木田氏:新工場の増設にあたって、抑えておくべきポイントは2つあります。1つ目は資金調達です。大きな投資が必要になるため、多くの企業が銀行とのコミュニケーションを取ることになると思います。 銀行と聞くと、着実に仕事を進めてくれるイメージがあります。しかし、銀行の方々も人間ですから、忙しさや案件の難しさから途中で進捗が滞ることもあります。そのため、こちらから進捗を確認し、決済の状況を逐一把握することが重要です。 船井総研 塩田:確かに、資金調達は重要な要素ですね。 木田工業 木田氏:もう一つは、現場から専任のプロジェクト責任者をたてることです。なぜなら… 4.まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は、工場新設に成功した木田工業株式会社へのインタビューを紹介させていただきました。 以下に記載のセミナーでは、上記の内容に加え、木田工業株式会社でおこなったプロジェクト管理手法や、売上アップを加速させるDX取り組み事例についても紹介させていただきます。 参加をご希望の方は、以下のバナーをご確認ください。 最後までお読みいただき、ありがとうございました! ■関連するセミナーのご案内 工場新設・増設で売り上げUP!自動化・DX化で利益率向上! セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119823 今回は、東京都大田区の好立地に工場を新設した、木田工業株式会社・木田翔太室長へのインタビューを紹介いたします! どのようにして新たな工場の設立を決断し、具体的なコンセプトを立てたのか、また工場新設に失敗しないためのポイントについて伺いました。 1. 木田工業株式会社の紹介と工場増設の経緯 船井総研 塩田:今回は、東京都大田区の好立地に新設した工場のコンセプトと、売上25%増を目指す取り組みについて、木田工業株式会社 室長、木田翔大氏にお話を伺います。どうぞよろしくお願いいたします! 木田工業 木田氏:よろしくお願いいたします。 船井総研 塩田:まずは、木田工業株式会社のご紹介をお願いできますでしょうか。 木田工業 木田氏:はい。木田工業株式会社は、東京都大田区に位置する、樹脂の切削加工を行っている会社です。現在、95名の従業員が在籍しており、またエンジニアリングプラスチックやフッ素樹脂製品の精密加工において業界でもトップクラスの設備を持っています。私たちは、機械部品からモデル試作品の製作まで、多品種少量生産を行い、約1500種の製品を自社内で一貫生産しています。 船井総研 塩田:ありがとうございます!それでは、新工場の増設に至った経緯について教えていただけますか? 木田工業 木田氏:承知しました。新工場を建設する決断に至ったのは、コロナの影響で主要顧客の売上が急増したことが大きな要因です。主要顧客の売上増加に伴い外注量が増加し、既存工場だけでは内製が難しくなりました。そのため、もともと駐車場として活用していた土地に新しい工場を建設することを決めました。この決断は、今後のビジネスチャンスを逃さないための大規模な投資と位置付けて、スタートさせました。 船井総研 塩田:事前に土地を取得していたことが、スムーズに工場建設に踏み切る助けになったのですね。 木田工業 木田氏:はい。主要顧客の売上が増加したタイミングで新工場の建設を始められたことは非常にラッキーでした。 2. 新工場のコンセプト 船井総研 塩田:続いて、新工場の具体的なコンセプトについてお伺いできますか? 木田工業 木田氏:新工場のコンセプトは、限られた土地を最大限に活用し、どのように機械を配置するかという点に大きく重点を置きました。正直に申し上げますと、土地はあまり広くなかったため、投資回収を行うためには、売上の基盤となる機械を導入する必要がありました。そこで、建築会社と密に協議を重ね、最終的に地上6階建ての工場を建設することにしました。 船井総研 塩田:地上6階建ての工場とは非常にユニークですね! 木田工業 木田氏:そうですね。高さのある建物を作ることで、屋上にホイスト(クレーン)を設置し、上層階にも機械を配置できるようにしました。また、内部に階段を設置せず、外部階段と大型エレベーターを利用することで、限られた土地の有効活用を図っています。このような工夫により、工場の効率的な運営が実現できたと考えています。 また、 “工場の運用管理のしやすさ”も新工場の重要なコンセプトの一つです。私たちは人材と設備の両方が重要だと考えており、その両方が掛け算のように作用して売上や利益を生むと考えています。郊外に大規模な工場を建設する選択肢もありましたが、近場に新工場を建てることで、会社としての一体感やコミュニケーションの機会を増やすことができると考えました。 船井総研 塩田:コミュニケーションの機会を増やすことが、企業文化にも良い影響を与えるでしょうね。 木田工業 木田氏:そうですね。弊社の従業員は、大田区近辺から通っている方も多いため、地元の方々に支えられているという意識を強く持っています。社員が働きやすく、ここで働きたいと思える環境を提供することは非常に重要だと考えています。 3. 工場増設に失敗しないための2つのポイント 船井総研 塩田:工場増設に失敗しないためのポイントは何でしょうか? 木田工業 木田氏:新工場の増設にあたって、抑えておくべきポイントは2つあります。1つ目は資金調達です。大きな投資が必要になるため、多くの企業が銀行とのコミュニケーションを取ることになると思います。 銀行と聞くと、着実に仕事を進めてくれるイメージがあります。しかし、銀行の方々も人間ですから、忙しさや案件の難しさから途中で進捗が滞ることもあります。そのため、こちらから進捗を確認し、決済の状況を逐一把握することが重要です。 船井総研 塩田:確かに、資金調達は重要な要素ですね。 木田工業 木田氏:もう一つは、現場から専任のプロジェクト責任者をたてることです。なぜなら… 4.まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は、工場新設に成功した木田工業株式会社へのインタビューを紹介させていただきました。 以下に記載のセミナーでは、上記の内容に加え、木田工業株式会社でおこなったプロジェクト管理手法や、売上アップを加速させるDX取り組み事例についても紹介させていただきます。 参加をご希望の方は、以下のバナーをご確認ください。 最後までお読みいただき、ありがとうございました! ■関連するセミナーのご案内 工場新設・増設で売り上げUP!自動化・DX化で利益率向上! セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119823

製造業の未来を切り拓く!働き方改革の推進と直面する課題

2024.10.18

1.はじめに ●製造業における働き方改革の重要性 製造業は、急速な技術革新や市場の変化に対応する必要があります。働き方改革は、企業が持続的に成長し、競争力を維持するための重要な戦略となっています。特に労働力の確保と生産性の向上は、業界全体の競争力に大きく影響を与えます。 2.製造業の現状と課題 ●労働環境の変化とその影響 近年、製造業では労働環境の変化が顕著になっています。労働時間の短縮や多様な働き方の導入が進む中、企業は人材の確保や定着に苦労しています。特に中小企業は、優秀な人材を引き留めるための施策が求められています。 ●企業が直面する主な課題 人材不足: 熟練した技術者やエンジニアの確保が困難で、企業の生産性に直接影響します。 生産性の低下: 社員の労働環境が改善されない場合、モチベーションが低下し、生産性にも影響を及ぼします。 デジタル化の遅れ: DXの推進が進まない企業は、効率化や競争力の面でリスクが高まります。 3.働き方改革の推進 ●改革に必要なアプローチ 効果的な働き方改革を実現するためには、以下のアプローチが重要です。 業務の見直し: タスクの優先順位を見直し、無駄を省いた効率的なプロセスを構築します。 技術の活用: AIやIoTを導入し、業務の自動化や効率化を図ることで、労働時間の短縮と生産性の向上が可能です。 従業員の意識改革とその重要性:従業員が改革に前向きになるためには、企業のビジョンや目標を共有し、働きやすい環境を提供することが重要です。オープンなコミュニケーションを促進し、意見を尊重する姿勢が求められます。 4.労働環境の改善策 ●効率的な業務プロセスの構築 業務プロセスを見直し、効率化を図るためには、業務フローの可視化が鍵です。業務の進捗状況を管理し、ボトルネックを特定することで、迅速な対応が可能になります。また、業務の標準化を進めることで、新人教育もスムーズになります。 ●テクノロジーの活用とDXの推進 製造業におけるデジタル化は避けられない潮流です。AIやビッグデータを活用することで、予測分析を行い、生産計画の最適化や品質管理の向上が期待されます。特に、IoT機器の導入によるリアルタイムのデータ収集と分析が、生産効率の向上に寄与します。 5.新たな労働のカタチ ●リモートワークとハイブリッド勤務 リモートワークの導入は、製造業においても広がりを見せています。特に事務系の業務では、柔軟な働き方が可能となり、社員の満足度が向上しています。ハイブリッド勤務を採用することで、オフィスでの業務と自宅での業務を組み合わせ、効率的な業務遂行が実現可能です。 ●フレキシブルな働き方の導入 フレキシブルな働き方を導入することで、社員は自身のライフスタイルに応じた働き方を選択できるようになります。これにより、業務の効率化が進み、社員のワークライフバランスの向上が期待されます。例えば、コアタイムを設定し、それ以外の時間は自由に勤務できる制度を導入することが効果的です。 6.まとめ ●今後の製造業と働き方改革の展望 製造業における働き方改革は、企業の持続的成長を支える重要な要素です。今後、企業は労働環境の改善に向けた取り組みを加速させる必要があります。テクノロジーの活用や業務プロセスの見直しを進めることで、製造業の未来を切り拓くことができるでしょう。企業が変革の波に乗り、より良い労働環境を創出することが、持続可能な発展への道筋を示します。 今回の「AI活用のための「工場改革徹底解説」セミナー」では、現場主導の業務改善を行い付加価値額20%工場した事例を交えて徹底解説いたします。 ご興味のある方はぜひご参加ください。 ■関連するセミナーのご案内 木材・紙製品製造業向け実際原価管理セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120453 1.はじめに ●製造業における働き方改革の重要性 製造業は、急速な技術革新や市場の変化に対応する必要があります。働き方改革は、企業が持続的に成長し、競争力を維持するための重要な戦略となっています。特に労働力の確保と生産性の向上は、業界全体の競争力に大きく影響を与えます。 2.製造業の現状と課題 ●労働環境の変化とその影響 近年、製造業では労働環境の変化が顕著になっています。労働時間の短縮や多様な働き方の導入が進む中、企業は人材の確保や定着に苦労しています。特に中小企業は、優秀な人材を引き留めるための施策が求められています。 ●企業が直面する主な課題 人材不足: 熟練した技術者やエンジニアの確保が困難で、企業の生産性に直接影響します。 生産性の低下: 社員の労働環境が改善されない場合、モチベーションが低下し、生産性にも影響を及ぼします。 デジタル化の遅れ: DXの推進が進まない企業は、効率化や競争力の面でリスクが高まります。 3.働き方改革の推進 ●改革に必要なアプローチ 効果的な働き方改革を実現するためには、以下のアプローチが重要です。 業務の見直し: タスクの優先順位を見直し、無駄を省いた効率的なプロセスを構築します。 技術の活用: AIやIoTを導入し、業務の自動化や効率化を図ることで、労働時間の短縮と生産性の向上が可能です。 従業員の意識改革とその重要性:従業員が改革に前向きになるためには、企業のビジョンや目標を共有し、働きやすい環境を提供することが重要です。オープンなコミュニケーションを促進し、意見を尊重する姿勢が求められます。 4.労働環境の改善策 ●効率的な業務プロセスの構築 業務プロセスを見直し、効率化を図るためには、業務フローの可視化が鍵です。業務の進捗状況を管理し、ボトルネックを特定することで、迅速な対応が可能になります。また、業務の標準化を進めることで、新人教育もスムーズになります。 ●テクノロジーの活用とDXの推進 製造業におけるデジタル化は避けられない潮流です。AIやビッグデータを活用することで、予測分析を行い、生産計画の最適化や品質管理の向上が期待されます。特に、IoT機器の導入によるリアルタイムのデータ収集と分析が、生産効率の向上に寄与します。 5.新たな労働のカタチ ●リモートワークとハイブリッド勤務 リモートワークの導入は、製造業においても広がりを見せています。特に事務系の業務では、柔軟な働き方が可能となり、社員の満足度が向上しています。ハイブリッド勤務を採用することで、オフィスでの業務と自宅での業務を組み合わせ、効率的な業務遂行が実現可能です。 ●フレキシブルな働き方の導入 フレキシブルな働き方を導入することで、社員は自身のライフスタイルに応じた働き方を選択できるようになります。これにより、業務の効率化が進み、社員のワークライフバランスの向上が期待されます。例えば、コアタイムを設定し、それ以外の時間は自由に勤務できる制度を導入することが効果的です。 6.まとめ ●今後の製造業と働き方改革の展望 製造業における働き方改革は、企業の持続的成長を支える重要な要素です。今後、企業は労働環境の改善に向けた取り組みを加速させる必要があります。テクノロジーの活用や業務プロセスの見直しを進めることで、製造業の未来を切り拓くことができるでしょう。企業が変革の波に乗り、より良い労働環境を創出することが、持続可能な発展への道筋を示します。 今回の「AI活用のための「工場改革徹底解説」セミナー」では、現場主導の業務改善を行い付加価値額20%工場した事例を交えて徹底解説いたします。 ご興味のある方はぜひご参加ください。 ■関連するセミナーのご案内 木材・紙製品製造業向け実際原価管理セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/120453