DX CONSULTING COLUMN 工場DXコンサルティングコラム

専門コンサルタントが執筆するAI・ロボットコラム
最新のAI・ロボット技術に精通したコンサルタントによる定期コラム

脱Excelはなぜ必要か?代替方法や成功事例についてわかりやすく解説!

2024.09.10

1. 脱Excelとは? 長らく多くの企業はExcelを用いてデータをまとめてきました。DXが叫ばれる昨今ではこのExcelが大量に散らばっている現状を正そうという活動が活発になってきています。 そういった活動の中で叫ばれる「脱Excel」とは、これまで多くの企業が業務管理やデータ分析に使ってきたExcelから、より効率的で安全性の高いツールやシステムに移行することを指しています。特に、大量のデータ処理や複雑な計算を必要とする業務においては、Excelの限界が顕著になります。 2. 企業のExcel活用状況 多くの企業がExcelを主な業務ツールとして使用しており、その多様な用途は計り知れません。以下のグラフは、企業がExcelをどの業務にどの程度活用しているかを示しています。 参考)キーマンズネット【Excelの利用状況(2022年)】 このグラフからもわかるように、Excelはデータ入力から分析、報告書作成まで幅広く利用されています。しかし、それぞれの業務で抱える問題点も多く存在しています。 3. 脱Excelのメリット 3-1. 脱Excelのメリット①:効率化と自動化 Excelは手作業で入力されることが多く、人為的なミスが発生しやすいです。また、Excelの各テーブルに記載されている情報は基本的にファイルごとに分断されているため、手作業での転記作業などが多くの会社で起こっている現状があります。 マクロを組むことなどで効率化を進めることは可能ですが、その技術を持つ人間が退職してしまった結果“野良システム”化してしまっている会社は後を断ちません。 専用ツールやシステムに移行することで、データ入力や分析が自動化され、業務効率が向上します。 3-2. 脱Excelのメリット②:データの一貫性と整合性 複数のExcelファイルを使うと、データの重複や不一致が発生しやすくなります。一つの入力に対して複数のExcelを抜け漏れなく更新する必要が生じます。こういった二重三重入力を排し、一元化されたデータベース利用に移行することで、データの一貫性と整合性を保つことができます。 3-3. 脱Excelのメリット③:セキュリティの向上 Excelファイルはパスワード保護が簡単に破られることがあります。その点、専用システムやクラウドサービスはより高度なセキュリティ対策を講じているため、セキュリティを担保したうえで業務を進めることが可能となります。 4. Excelを活用した方が良い業務、脱Excelした方が良い業務 4-1. Excelを活用した方が良い業務 とはいえ、Excelがダメなツールと言うわけではありません。Excelというのはあくまでツールです。得意不得意があり、その特徴に合わせて利用をする必要があります。 例えば、 小規模なデータ分析 簡単な報告書作成 一時的なデータ管理 こういった業務を行うのであればExcelでも十分な内容と言えます。 4-2. 脱Excelした方が良い業務 一方で、Excelに適していない業務というは主に以下のようなものを指します。 大規模なデータ処理 複雑な計算や分析 データの一元管理や共有が必要な業務 以上のように大量なデータを用いた分析や、複数のテーブル間をつなぐような複雑な連携、共有が必要となる業務に関してはExcelは適していないため、それに見合うツールの選定を行う必要があります。 5. Excelからの代替方法 前述の通り、Excelはそれぞれがひとつのデータベースのようなものであり、複数のExcelからデータを拾い集めたり、莫大な数のデータをまとめて分析するといったことには不向きなソフトと言えます。 ポイントとなるのはデータの保存されたテーブルがそれぞれ分断されていて、それぞれの項目が連動していないという点です。連動させるためには複数のファイルをまたいだ数式を設定する必要があり、こういった数式が多くなればなるほど動作は重くなります。 そこで、1つのデータベースに情報をまとめてしまおうという考えが浮かんできます。 5-1. ノーコード・ローコードツールを用いたデータベース化 代替方法のひとつ目としては、KINTONEなどのノーコード・ローコードツール(プログラミングの必要なく業務アプリの作成が可能なツール)を用いて1つのデータベースを作ってしまうという事です。従来Excelファイルをまたいでのデータ連携が必要だったものを、一つのアプリで全て保持させるという方法です。これによって、比較的容易にデータの一元管理が可能となります。 5-2. 業務特化型のシステムを用いたデータ一元管理 基幹システムのようにモノとお金についてのデータを全て1つのシステムで管理してしまおうという業務システムを利用することで、Exccelを用いて別々に管理台帳を作る必要はなくなります。 全てのデータは1つのシステムに入っており、それぞれが連動した状態になりますので、従来行うべきExcelの調整業務などは必要なくなります。 5-3. BIのような作表自動化、可視化簡易化ツール 上記のようなシステムを用いた場合、Excelの連動性を欠く、大量のデータを扱うのは苦手といった欠点は解決できますが、分析の簡易化という点がまだ解決できていません。 こういった課題を解決するために有用なのがBIというツールです。BIは特定のデータをどのような形で可視化したいかを自分で設定することで、以降の作表は自動化する事が出来るようになります。 例えば月間の業績資料を作成するとなると、今までは複数のExcelから必要なデータを集めて別のExcelに集約し、グラフ作成をして分析資料を作成していました。 これは毎月同じような作業を必要とし、Excel職人と言われるような従業員が対処してきた作業の一つです。 こういった業務がBIツールを用いることによって自動化し、より早くデータを可視化出来、状況に応じた判断を行うことが出来るようになります。 6. 脱Excel成功事例2選 6-1. 成功事例①:X社 「データ管理を一元化し作業時間を40%削減」 X社では、Excel中心の業務を推進してきました。 受注情報、請求情報、出荷情報、在庫情報全てが別々のExcelを用いて管理されており、1つのデータが入力されると複数のExcelを更新しなくてはならないような、二重三重入力が多く起こっていました。 全社を調査した結果、こういったExcel更新業務は非常に多くの時間がかかっていることが判明したため、基幹システムを導入し脱Excelを目指しました。 バックヤード業務での二重三重入力の削減に加え、在庫管理の際の業務や日報業務も効率化する事で、導入後1年で年間600時間かかっていた各種業務が360時間でできるようになり、工数を40%削減することが出来ました。 6-2. 成功事例②:Y社 「業績資料作成時間が15日から3日に」 Y社では、基幹システムこそ導入していましたが、様々なExcelで管理されている指標を経理部が集計し、その月の月間業績資料を作成することに非常に時間がかかっていました。 月末に締め処理を行ってから、当月の業績資料ができあがるのが15営業日くらいということで、ほぼ1月遅れくらいでないと業績を振り返ることが出来ていないという状況でした。 これは基幹システムで保持されたデータを経理システムに合う形にデータをExcel上で修正し、修正が終わったら手作業で集計するという非常に時間のかかる進め方をしていたためです。 このやり方はヒューマンエラーも非常に起こりやすく、一度出た業績資料も経理の資料と合致しないため作り直すなど、非常に煩雑な業務となっていました。 そこで、基幹システムの見直しと共にBIの導入を行う事としました。 いままでは様々なExcelから必要データを加工したうえで業績資料が作成されていましたが、BIによる作表の自動化を行ったことで速報ベースの業績資料は締め日翌日には確認できるようになり、正確な業績資料は締め日から3営業日で確認できるようになりました。 7. まとめ Excelは非常に便利なツールではありますが、活用の規模が大きくなればなるほどデメリットが大きくなる特徴のあるツールです。二重三重入力や類似した帳票の更新、データをまとめて手作業で加工しての分析資料作りなど煩雑な業務が多くの企業で生じてしまっています。 恐ろしいのはこういった課題と言うのは現場で“こういうものだ”と認識されてしまうと中々表面化しないという点です。 脱Excelは、業務効率の向上やデータの一貫性、セキュリティの強化など多くのメリットをもたらします。 今回ご紹介した具体的な代替方法や成功事例などを参考に、自社に適したプランをご検討いただけますと幸いです。 1. 脱Excelとは? 長らく多くの企業はExcelを用いてデータをまとめてきました。DXが叫ばれる昨今ではこのExcelが大量に散らばっている現状を正そうという活動が活発になってきています。 そういった活動の中で叫ばれる「脱Excel」とは、これまで多くの企業が業務管理やデータ分析に使ってきたExcelから、より効率的で安全性の高いツールやシステムに移行することを指しています。特に、大量のデータ処理や複雑な計算を必要とする業務においては、Excelの限界が顕著になります。 2. 企業のExcel活用状況 多くの企業がExcelを主な業務ツールとして使用しており、その多様な用途は計り知れません。以下のグラフは、企業がExcelをどの業務にどの程度活用しているかを示しています。 参考)キーマンズネット【Excelの利用状況(2022年)】 このグラフからもわかるように、Excelはデータ入力から分析、報告書作成まで幅広く利用されています。しかし、それぞれの業務で抱える問題点も多く存在しています。 3. 脱Excelのメリット 3-1. 脱Excelのメリット①:効率化と自動化 Excelは手作業で入力されることが多く、人為的なミスが発生しやすいです。また、Excelの各テーブルに記載されている情報は基本的にファイルごとに分断されているため、手作業での転記作業などが多くの会社で起こっている現状があります。 マクロを組むことなどで効率化を進めることは可能ですが、その技術を持つ人間が退職してしまった結果“野良システム”化してしまっている会社は後を断ちません。 専用ツールやシステムに移行することで、データ入力や分析が自動化され、業務効率が向上します。 3-2. 脱Excelのメリット②:データの一貫性と整合性 複数のExcelファイルを使うと、データの重複や不一致が発生しやすくなります。一つの入力に対して複数のExcelを抜け漏れなく更新する必要が生じます。こういった二重三重入力を排し、一元化されたデータベース利用に移行することで、データの一貫性と整合性を保つことができます。 3-3. 脱Excelのメリット③:セキュリティの向上 Excelファイルはパスワード保護が簡単に破られることがあります。その点、専用システムやクラウドサービスはより高度なセキュリティ対策を講じているため、セキュリティを担保したうえで業務を進めることが可能となります。 4. Excelを活用した方が良い業務、脱Excelした方が良い業務 4-1. Excelを活用した方が良い業務 とはいえ、Excelがダメなツールと言うわけではありません。Excelというのはあくまでツールです。得意不得意があり、その特徴に合わせて利用をする必要があります。 例えば、 小規模なデータ分析 簡単な報告書作成 一時的なデータ管理 こういった業務を行うのであればExcelでも十分な内容と言えます。 4-2. 脱Excelした方が良い業務 一方で、Excelに適していない業務というは主に以下のようなものを指します。 大規模なデータ処理 複雑な計算や分析 データの一元管理や共有が必要な業務 以上のように大量なデータを用いた分析や、複数のテーブル間をつなぐような複雑な連携、共有が必要となる業務に関してはExcelは適していないため、それに見合うツールの選定を行う必要があります。 5. Excelからの代替方法 前述の通り、Excelはそれぞれがひとつのデータベースのようなものであり、複数のExcelからデータを拾い集めたり、莫大な数のデータをまとめて分析するといったことには不向きなソフトと言えます。 ポイントとなるのはデータの保存されたテーブルがそれぞれ分断されていて、それぞれの項目が連動していないという点です。連動させるためには複数のファイルをまたいだ数式を設定する必要があり、こういった数式が多くなればなるほど動作は重くなります。 そこで、1つのデータベースに情報をまとめてしまおうという考えが浮かんできます。 5-1. ノーコード・ローコードツールを用いたデータベース化 代替方法のひとつ目としては、KINTONEなどのノーコード・ローコードツール(プログラミングの必要なく業務アプリの作成が可能なツール)を用いて1つのデータベースを作ってしまうという事です。従来Excelファイルをまたいでのデータ連携が必要だったものを、一つのアプリで全て保持させるという方法です。これによって、比較的容易にデータの一元管理が可能となります。 5-2. 業務特化型のシステムを用いたデータ一元管理 基幹システムのようにモノとお金についてのデータを全て1つのシステムで管理してしまおうという業務システムを利用することで、Exccelを用いて別々に管理台帳を作る必要はなくなります。 全てのデータは1つのシステムに入っており、それぞれが連動した状態になりますので、従来行うべきExcelの調整業務などは必要なくなります。 5-3. BIのような作表自動化、可視化簡易化ツール 上記のようなシステムを用いた場合、Excelの連動性を欠く、大量のデータを扱うのは苦手といった欠点は解決できますが、分析の簡易化という点がまだ解決できていません。 こういった課題を解決するために有用なのがBIというツールです。BIは特定のデータをどのような形で可視化したいかを自分で設定することで、以降の作表は自動化する事が出来るようになります。 例えば月間の業績資料を作成するとなると、今までは複数のExcelから必要なデータを集めて別のExcelに集約し、グラフ作成をして分析資料を作成していました。 これは毎月同じような作業を必要とし、Excel職人と言われるような従業員が対処してきた作業の一つです。 こういった業務がBIツールを用いることによって自動化し、より早くデータを可視化出来、状況に応じた判断を行うことが出来るようになります。 6. 脱Excel成功事例2選 6-1. 成功事例①:X社 「データ管理を一元化し作業時間を40%削減」 X社では、Excel中心の業務を推進してきました。 受注情報、請求情報、出荷情報、在庫情報全てが別々のExcelを用いて管理されており、1つのデータが入力されると複数のExcelを更新しなくてはならないような、二重三重入力が多く起こっていました。 全社を調査した結果、こういったExcel更新業務は非常に多くの時間がかかっていることが判明したため、基幹システムを導入し脱Excelを目指しました。 バックヤード業務での二重三重入力の削減に加え、在庫管理の際の業務や日報業務も効率化する事で、導入後1年で年間600時間かかっていた各種業務が360時間でできるようになり、工数を40%削減することが出来ました。 6-2. 成功事例②:Y社 「業績資料作成時間が15日から3日に」 Y社では、基幹システムこそ導入していましたが、様々なExcelで管理されている指標を経理部が集計し、その月の月間業績資料を作成することに非常に時間がかかっていました。 月末に締め処理を行ってから、当月の業績資料ができあがるのが15営業日くらいということで、ほぼ1月遅れくらいでないと業績を振り返ることが出来ていないという状況でした。 これは基幹システムで保持されたデータを経理システムに合う形にデータをExcel上で修正し、修正が終わったら手作業で集計するという非常に時間のかかる進め方をしていたためです。 このやり方はヒューマンエラーも非常に起こりやすく、一度出た業績資料も経理の資料と合致しないため作り直すなど、非常に煩雑な業務となっていました。 そこで、基幹システムの見直しと共にBIの導入を行う事としました。 いままでは様々なExcelから必要データを加工したうえで業績資料が作成されていましたが、BIによる作表の自動化を行ったことで速報ベースの業績資料は締め日翌日には確認できるようになり、正確な業績資料は締め日から3営業日で確認できるようになりました。 7. まとめ Excelは非常に便利なツールではありますが、活用の規模が大きくなればなるほどデメリットが大きくなる特徴のあるツールです。二重三重入力や類似した帳票の更新、データをまとめて手作業で加工しての分析資料作りなど煩雑な業務が多くの企業で生じてしまっています。 恐ろしいのはこういった課題と言うのは現場で“こういうものだ”と認識されてしまうと中々表面化しないという点です。 脱Excelは、業務効率の向上やデータの一貫性、セキュリティの強化など多くのメリットをもたらします。 今回ご紹介した具体的な代替方法や成功事例などを参考に、自社に適したプランをご検討いただけますと幸いです。

AI類似図面検索システムとは?メリットとシステム選定基準について解説!

2024.09.10

1.AI 類似図面検索システムとは? 近年、製造業においてAI活用したサービスの一つとして「AI類似図面検索システム」が広まっています。多品種少量生産では「過去の類似品」を探して、参考にしながら見積りを検討するといったことが日常的に起こっています。 しかしながら、この「過去案件の検索業務」を効率よく出来るようになっている会社は少ないように感じます。個人PCでのExcel、サーバーによるファイル管理もしくは紙でのファイル管理・・・・ 過去案件は会社全体の知識にも関わらず、社員の誰もが簡単に閲覧できるようにはなっていないようです。 Excelや紙のままでは、作成した担当者はわかっても、他の担当者からではわかりません。 情報を知っている人を探して歩き回るということはどこでもよく耳にする話です。 情報が共有されているようで実は共有できていないです。 この課題について解決する方法は、ものづくり(案件)に関する全て情報をデータベース化することで、「いつでも」「誰でも」「簡単に」情報が閲覧できる仕組みが構築することです。 さらに、そのデータベースからAIを活用して過去の類似した図面から様々な情報を検索できるのが「AI類似図面検索システム」です。これらのサービスは見積り業務におけるサービスとして提供されていることが多くありますが、実は調達、設計、製造、品質保証など、どの部門においても「過去の図面・情報を探す」ということが起こっており、さまざまな部門にて活躍できるサービスとなっています。 2.AI類似図面検索システムのメリット5選 1.過去情報共有による業務効率アップ 「データがあるけど、取り出せない」という状況は多くあります。この状況は「データはあるけど、何が・どこにあるのか?は知っている人しか知らない」ということです。そもそも検索できるようになっていないかもしれませんし、検索できるようになっていても、検索キーワードが分からないから検索できない。ということもあるかもしれません。 AI類似図面検索システムにより「いつもで」「誰でも」「簡単に」過去情報を取得することが出来、「その情報を知っていたら、すぐに対応できたのに・・・・」という(ストレスになる)情報共有の不備から発生する無駄な時間が削減され、業務効率アップにつながります。 2.AI検索による検索の簡易化 文言だけの検索は、その案件の内容が分かっていないと検索することも出来ません。検索スキル自体、実は属人化しているのです。 AIによる類似図面検索は、経験・知識に関係なく、図面をアップロードするだけなので、「誰でも」「簡単に」過去の情報を取得することが出来ます。また、図面だけではなく、図面&顧客等様々な項目でAND検索することが出来ます。 3.見積り回答リードタイム短縮による受注率アップ 業種にもよりますが、一般的には、見積り回答期間と受注率には相関関係があります。当然、見積り回答が早いほど、受注率が高くなる傾向があります。見積り回答が遅い場合、顧客の検討テーブルから落ちる可能性は高くなります。 情報共有&検索の簡易化により、簡単に過去案件を参照して、早期に見積もり回答することで、受注率アップが期待出来ます。 4.人材教育の早期育成アップ 情報が共有されることにより、人材育成もしやすくなります。情報がバラバラのままでは、新人若手はなかなか覚えるのが大変で、「バラバラの情報を探すスキル」や「知っている人を知るスキル」を身に着けるという無駄な時間が発生します。先輩社員も教えるのが大変です。お互いに大変な思いをしているのです。情報を一元管理することで、新人若手でも業務がわかりやすくなり、早期育成にもつながります。また、早期育成は先輩社員の負担も減らすことにもなります。 5.営業は新規開拓に注力できる 見積り業務が効率化されることで、営業部門は本来すべき「新規開拓」に注力することが出来るようになります。新規開拓に注力できる=利益アップに直結します。 3.AI類似図面検索の仕組み AI類似図面検索はAIを活用して類似図面を検索する仕組みです。したがって、事前準備として、社内過去の図面データ(PDF)と、製品の見積り、営業情報・生産情報などをあらかじめ紐づけておく必要あります。これにより、AIにより見つかった類似図面と一緒に付属データを呼び出すことが出来ます。 例えば、営業マンがこれから見積りしたいXの図面について、過去の類似がないか検索する場合は、システムから、顧客から提供された図面データを読み込みます。すると、データベースから類似図面をAIが検索していきます。 類似図面が見つかれば、図面と一緒に紐づいた見積・営業情報を表示させます。 これにより、過去の類似図面と見積・営業情報などを簡単に検索できるシステムとなります。 4.図面の対象と検索方法 「AI類似図面検索システム」の対象図面はPDF,3Dなどを対象にしたサービスが多くあります。ただ、1つのサービスでPDF,3D図面両方に対応しているサービスはありません。どちらかに特化したサービスになっているものがほとんどです。 以下、検索画面の一例ですが、メイン画面で、対象図面のアップロードと検索条件の入力、検索結果が表示されます。検索条件は各サービス特徴があり、項目や検索性で検討が必要になります。どのサービスも使い方が難しいものはなく、誰でも利用しやすいUIとなっています。 5.システム選定基準 AI類似図面検索システムにおいては、近年パッケージ品のラインナップも増えてきており、各社機能も充実してきています。これらは主にPDFや3D図面から類似図面を検索するものが主流となっています。各ベンダーにてデモも相談できますので、自社の状況について相談するのも良いでしょう。また、パッケージ品の場合は、機能拡張に制限がございます。パッケージ製品で対応が難しいや自社オリジナルで開発したい場合は、スクラッチで開発することも可能です。 6.まとめ 類似図面検索システムについては、パッケージ製品、オリジナル開発様々なアプローチ方法があります。どのアプローチが貴社に合いそうなのかなど、不明点がございましたらお気軽にご相談下さい。類似図面検索システム限らず、 【製造業での悩み・困っていること・相談したい】について、何でも船井総研にご相談下さい。 1.AI 類似図面検索システムとは? 近年、製造業においてAI活用したサービスの一つとして「AI類似図面検索システム」が広まっています。多品種少量生産では「過去の類似品」を探して、参考にしながら見積りを検討するといったことが日常的に起こっています。 しかしながら、この「過去案件の検索業務」を効率よく出来るようになっている会社は少ないように感じます。個人PCでのExcel、サーバーによるファイル管理もしくは紙でのファイル管理・・・・ 過去案件は会社全体の知識にも関わらず、社員の誰もが簡単に閲覧できるようにはなっていないようです。 Excelや紙のままでは、作成した担当者はわかっても、他の担当者からではわかりません。 情報を知っている人を探して歩き回るということはどこでもよく耳にする話です。 情報が共有されているようで実は共有できていないです。 この課題について解決する方法は、ものづくり(案件)に関する全て情報をデータベース化することで、「いつでも」「誰でも」「簡単に」情報が閲覧できる仕組みが構築することです。 さらに、そのデータベースからAIを活用して過去の類似した図面から様々な情報を検索できるのが「AI類似図面検索システム」です。これらのサービスは見積り業務におけるサービスとして提供されていることが多くありますが、実は調達、設計、製造、品質保証など、どの部門においても「過去の図面・情報を探す」ということが起こっており、さまざまな部門にて活躍できるサービスとなっています。 2.AI類似図面検索システムのメリット5選 1.過去情報共有による業務効率アップ 「データがあるけど、取り出せない」という状況は多くあります。この状況は「データはあるけど、何が・どこにあるのか?は知っている人しか知らない」ということです。そもそも検索できるようになっていないかもしれませんし、検索できるようになっていても、検索キーワードが分からないから検索できない。ということもあるかもしれません。 AI類似図面検索システムにより「いつもで」「誰でも」「簡単に」過去情報を取得することが出来、「その情報を知っていたら、すぐに対応できたのに・・・・」という(ストレスになる)情報共有の不備から発生する無駄な時間が削減され、業務効率アップにつながります。 2.AI検索による検索の簡易化 文言だけの検索は、その案件の内容が分かっていないと検索することも出来ません。検索スキル自体、実は属人化しているのです。 AIによる類似図面検索は、経験・知識に関係なく、図面をアップロードするだけなので、「誰でも」「簡単に」過去の情報を取得することが出来ます。また、図面だけではなく、図面&顧客等様々な項目でAND検索することが出来ます。 3.見積り回答リードタイム短縮による受注率アップ 業種にもよりますが、一般的には、見積り回答期間と受注率には相関関係があります。当然、見積り回答が早いほど、受注率が高くなる傾向があります。見積り回答が遅い場合、顧客の検討テーブルから落ちる可能性は高くなります。 情報共有&検索の簡易化により、簡単に過去案件を参照して、早期に見積もり回答することで、受注率アップが期待出来ます。 4.人材教育の早期育成アップ 情報が共有されることにより、人材育成もしやすくなります。情報がバラバラのままでは、新人若手はなかなか覚えるのが大変で、「バラバラの情報を探すスキル」や「知っている人を知るスキル」を身に着けるという無駄な時間が発生します。先輩社員も教えるのが大変です。お互いに大変な思いをしているのです。情報を一元管理することで、新人若手でも業務がわかりやすくなり、早期育成にもつながります。また、早期育成は先輩社員の負担も減らすことにもなります。 5.営業は新規開拓に注力できる 見積り業務が効率化されることで、営業部門は本来すべき「新規開拓」に注力することが出来るようになります。新規開拓に注力できる=利益アップに直結します。 3.AI類似図面検索の仕組み AI類似図面検索はAIを活用して類似図面を検索する仕組みです。したがって、事前準備として、社内過去の図面データ(PDF)と、製品の見積り、営業情報・生産情報などをあらかじめ紐づけておく必要あります。これにより、AIにより見つかった類似図面と一緒に付属データを呼び出すことが出来ます。 例えば、営業マンがこれから見積りしたいXの図面について、過去の類似がないか検索する場合は、システムから、顧客から提供された図面データを読み込みます。すると、データベースから類似図面をAIが検索していきます。 類似図面が見つかれば、図面と一緒に紐づいた見積・営業情報を表示させます。 これにより、過去の類似図面と見積・営業情報などを簡単に検索できるシステムとなります。 4.図面の対象と検索方法 「AI類似図面検索システム」の対象図面はPDF,3Dなどを対象にしたサービスが多くあります。ただ、1つのサービスでPDF,3D図面両方に対応しているサービスはありません。どちらかに特化したサービスになっているものがほとんどです。 以下、検索画面の一例ですが、メイン画面で、対象図面のアップロードと検索条件の入力、検索結果が表示されます。検索条件は各サービス特徴があり、項目や検索性で検討が必要になります。どのサービスも使い方が難しいものはなく、誰でも利用しやすいUIとなっています。 5.システム選定基準 AI類似図面検索システムにおいては、近年パッケージ品のラインナップも増えてきており、各社機能も充実してきています。これらは主にPDFや3D図面から類似図面を検索するものが主流となっています。各ベンダーにてデモも相談できますので、自社の状況について相談するのも良いでしょう。また、パッケージ品の場合は、機能拡張に制限がございます。パッケージ製品で対応が難しいや自社オリジナルで開発したい場合は、スクラッチで開発することも可能です。 6.まとめ 類似図面検索システムについては、パッケージ製品、オリジナル開発様々なアプローチ方法があります。どのアプローチが貴社に合いそうなのかなど、不明点がございましたらお気軽にご相談下さい。類似図面検索システム限らず、 【製造業での悩み・困っていること・相談したい】について、何でも船井総研にご相談下さい。

第97回経営戦略セミナー 経営研究会全国大会2024 スマートファクトリー経営部会分科会を開催いたしました。

2024.09.05

2024年8月21日に船井総合研究所 五反田オフィスでスマートファクトリー経営部会分科会(以下例会)を開催いたしました。 当例会では、現場に着目したデータ活用戦略講座や最新技術を取り上げました。 1.スマートファクトリー経営部会について AIコンサルティング部が主催するスマートファクトリー経営部会は、多品種少量生産型の製造業を営む企業様を対象とした、「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する経営研究会です。 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が今後もより進んでいく中、多品種少量生産型の製造業が工場の人手不足を解消し、生産性向上を実現するためのAI化・ロボット化等について、実際の導入・活用事例をもとに研究していきます。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボットシステム、その他省力化装置等の研究に加えて、それらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究までを網羅する研究会です。 また、当研究会の会員様には、 現場業務”アナログ改善現場無料診断 工数データ“IoT取得”現場無料診断 “生産管理”システム刷新システム無料診断 “見積自動化”AI活用現場無料診断 “外観検査”AI活用現場お試しサービス など、数多くの特典がございます。 ご興味のある方はぜひ下記リンクよりご覧ください。 URL: https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/ 2.8月例会の概要 当例会は 第一講座:多品種少量生産従業員47名の現場に寄り添ったDX~現場主導の業務改革で付加価値額20%向上した事例~ 第二講座:工場DXを実現する3Dプリンティング/AM技術およびスマートファクトリーについて まとめ講座 の3部構成で開催いたしました。 第一講座では株式会社有本電器製作所の有本社長、管理担当砂山様にご登壇いただき、中小製造業がDX化を推進する際の現場の巻き込み方・付加価値額20%工場の極意についてご講話いただきました。 第二講座ではElectro Optical Systems Japan 株式会社のRegional Manager橋爪様にご登壇いただき、3Dプリンターを活用した次世代スマートファクトリーについてご講話いただきました。 第一講座は規模感が会員企業と近しいこともあり、身近な課題感を斬新な解決方法でアプローチしていたことや、DX化の取り組みに対する心構えのご講話をいただき大変満足度の高い講座となりました。 第二講座では3Dプリンターによる製造とまさに最新技術であり、中小企業にとっては「脅威」ともいえる内容でした。 ただし、3Dプリンターの強み・弱みを知ることで棲み分けがはっきりとしたことでこちらも満足度の高い講座となりました。 ※本研究会にご入会いただくと過去講座がすべて閲覧いただけます。 3.シェアタイムについて 例会では第二講座とまとめ講座の間に「シェアタイム」の時間を設けております。 シェアタイムはテーマに沿って会員様同士で情報交換会を行う場です。 ここでは普段気になってもあまり聞けない「他社のDX取り組みや成功談や失敗談・社長が考えていること」のリアルを知ることができます。 今回はシェアタイムの時間を拡大したことで満足度も大きく向上いたしました。 2024年8月21日に船井総合研究所 五反田オフィスでスマートファクトリー経営部会分科会(以下例会)を開催いたしました。 当例会では、現場に着目したデータ活用戦略講座や最新技術を取り上げました。 1.スマートファクトリー経営部会について AIコンサルティング部が主催するスマートファクトリー経営部会は、多品種少量生産型の製造業を営む企業様を対象とした、「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する経営研究会です。 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が今後もより進んでいく中、多品種少量生産型の製造業が工場の人手不足を解消し、生産性向上を実現するためのAI化・ロボット化等について、実際の導入・活用事例をもとに研究していきます。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボットシステム、その他省力化装置等の研究に加えて、それらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究までを網羅する研究会です。 また、当研究会の会員様には、 現場業務”アナログ改善現場無料診断 工数データ“IoT取得”現場無料診断 “生産管理”システム刷新システム無料診断 “見積自動化”AI活用現場無料診断 “外観検査”AI活用現場お試しサービス など、数多くの特典がございます。 ご興味のある方はぜひ下記リンクよりご覧ください。 URL: https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/ 2.8月例会の概要 当例会は 第一講座:多品種少量生産従業員47名の現場に寄り添ったDX~現場主導の業務改革で付加価値額20%向上した事例~ 第二講座:工場DXを実現する3Dプリンティング/AM技術およびスマートファクトリーについて まとめ講座 の3部構成で開催いたしました。 第一講座では株式会社有本電器製作所の有本社長、管理担当砂山様にご登壇いただき、中小製造業がDX化を推進する際の現場の巻き込み方・付加価値額20%工場の極意についてご講話いただきました。 第二講座ではElectro Optical Systems Japan 株式会社のRegional Manager橋爪様にご登壇いただき、3Dプリンターを活用した次世代スマートファクトリーについてご講話いただきました。 第一講座は規模感が会員企業と近しいこともあり、身近な課題感を斬新な解決方法でアプローチしていたことや、DX化の取り組みに対する心構えのご講話をいただき大変満足度の高い講座となりました。 第二講座では3Dプリンターによる製造とまさに最新技術であり、中小企業にとっては「脅威」ともいえる内容でした。 ただし、3Dプリンターの強み・弱みを知ることで棲み分けがはっきりとしたことでこちらも満足度の高い講座となりました。 ※本研究会にご入会いただくと過去講座がすべて閲覧いただけます。 3.シェアタイムについて 例会では第二講座とまとめ講座の間に「シェアタイム」の時間を設けております。 シェアタイムはテーマに沿って会員様同士で情報交換会を行う場です。 ここでは普段気になってもあまり聞けない「他社のDX取り組みや成功談や失敗談・社長が考えていること」のリアルを知ることができます。 今回はシェアタイムの時間を拡大したことで満足度も大きく向上いたしました。

中堅・中小製造業のためのデータ活用経営

2024.09.03

製造を行っている企業は生産管理システムを導入し、受注・部品発注・作業指示書発行・出荷など 製造業務の管理を行っていると思います。 生産管理システムには製造を行う企業の様々なデータが蓄積されています。 しかし、そのデータを日々の製造業務以外に有効活用出来ている企業は少ないと思います。 今回は、その生産管理システムが持っている、蓄積されているデータが有効活用されない要因を 課題として6つあげ、それぞれの課題の背景、解決策を説明いたします。 DX推進の手始めとして生産管理システムのデータを有効活用する環境を整えてみては如何でしょう? 1.課題の背景と解決策 課題1:データ入力の精度不足 [背景] 生産管理システムに正確なデータを入力することが不可欠ですが、現場では手作業によるデータ入力や、入力の省略が発生することがあります。また、入力者の理解不足や、システムの使い勝手が悪い場合、データの誤りが多発します。これにより、システムが提供する情報の信頼性が低下し、経営判断に悪影響を与えることになります。 [解決策] ①トレーニング: 入力担当者に対する定期的なトレーニングを実施し、正しい入力方法を周知徹底します。 ②UI/UXの改善: システムのユーザーインターフェースを改善し、入力ミスが発生しにくいデザインを採用します。 ③自動化: 入力作業をできるだけ自動化することで、人為的なミスを減少させます。 例えば、バーコードやRFIDタグを利用した自動データ収集システム、加工機器からの自動データ取得システムの導入が考えられます。 課題2:標準工数の精度が低い [背景] 標準工数の精度が低いと、見積もりが不正確になり、顧客との信頼関係が損なわれる可能性があります。 また、実際のコストとのギャップが生じるため、利益率の低下や不適切なリソース配分が発生します。 最悪、認識ない状態で赤字受注しているケースも発生してしまいます。 [解決策] ①実績データの活用: 実際の作業時間を正確に計測し、それに基づいて標準工数を見直すことが必要です。これにより、実際の工程に即した標準工数を確立し、見積もり精度を向上させます。 ②リアルタイムモニタリングの導入: IoTデバイスやセンサーを活用して、各工程の作業時間をリアルタイムでモニタリングし、データを自動的に収集します。これにより、データの精度とタイムリーな分析が可能になります。 ③定期的な見直しと改善: 標準工数は一度決めたら終わりではなく、定期的に見直し、改善を図ることが重要です。市場の変化や技術革新に対応できるよう、柔軟に対応する仕組みを整えます。 課題3:経営層の理解と関与不足 [背景] 経営者が生産管理システムの導入やデータ活用の重要性を十分に理解していないと、改善活動が進みにくくなります。これが、システムの導入効果を十分に引き出せない原因にもなります。 また、経営者が全社員に対し取り組みの目的や目指す効果をきちんと説明し理解してもらうことも非常に重要です。 [解決策] ①経営層への啓発活動: セミナーやワークショップを通じて、生産管理システムの効果的な活用が経営に与える影響を経営層に理解してもらう取り組みを行います。 ②データドリブン経営の推進: データを活用した意思決定の重要性を強調し、経営層が積極的にデータを活用できる環境を整えることが必要です。 簡単でわかりやすいダッシュボードの提供や定期的なデータ報告が重要となります。 ③成功事例の共有: 同業他社や業界内での成功事例を共有し、自社での活用イメージを具体的に持ってもらうことで、経営層の関心と協力を得やすくします。 課題4:データのサイロ化 [背景] 生産管理システム内のデータが他のシステムと連携していない場合、情報がサイロ化され、全体像を把握することが難しくなります。これにより、経営判断やプロセス改善が遅れることがあります。 [解決策] ①システム間の連携: ERPや会計システム、品質管理システムなどと生産管理システムを統合し、データの一元管理を実現します。 ②データ統合プラットフォームの導入: データ統合を支援するプラットフォームを導入し、異なるシステム間でデータを自動的に連携させます。 課題5:リアルタイムデータの欠如 [背景] リアルタイムでデータが収集されない場合、経営者や管理者は状況の変化に迅速に対応できません。 これにより、問題が発生してから解決に至るまでに時間がかかり、生産効率低下を招いてしまいます。 [解決策] ①IoT技術の導入: センサーやIoTデバイスを導入し、リアルタイムでのデータ収集を実現します。これにより、迅速な意思決定が可能になります。 ②リアルタイム監視システム: リアルタイムで生産状況を監視できるシステムを導入し、問題発生時に即座に対応できる体制を整えます。 課題6:データ分析能力の欠如 [背景] 蓄積されたデータが活用されない原因の一つは、データ分析能力が不足していることです。データの読み取りや分析ができないと、データに基づく改善策を講じることができません。 [解決策] ①データ分析の教育: 社内でデータ分析に関する教育を実施し、担当者のスキルを向上させます。 ②BIツールの導入: Business Intelligence (BI) ツールを導入し、誰でも簡単にデータ分析が行える環境を整えます。 これにより、経営層も含めた広範な人々がデータを活用できるようになります。 製造現場でのデータ活用にも利用できる様になります。 2.まとめ 中堅・中小製造業の企業におけるDX推進の手始めとして生産管理システムのデータを有効活用する環境を整えるための課題と解決策を解説しました。 これら生産管理システムのデータ活用に関する課題とその解決策を、それぞれの企業で具体的にどのように実現していくのか?については船井総研が主催するセミナーにてより詳細にお話しさせていただいておりますのでご参加をお願いいたします。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量板金・プレス・溶接製造業のためのデータ活用経営 ~なぜ、生産管理システムが上手く機能しないのだろうか?~ 特別ゲスト講座: 既存の生産管理システムを活用して作業内容・工程進捗・工数・製品原価を見える化 生産管理システムのデータをリアルタイムで可視化したことによる現場社員の変化 経営者としてのデータ可視化の重要性 多品種少量生産の製造業”だからこそ”取り組むべきデータ可視化とは スエナミ工業 株式会社 代表取締役 末次 明 氏 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119384 製造を行っている企業は生産管理システムを導入し、受注・部品発注・作業指示書発行・出荷など 製造業務の管理を行っていると思います。 生産管理システムには製造を行う企業の様々なデータが蓄積されています。 しかし、そのデータを日々の製造業務以外に有効活用出来ている企業は少ないと思います。 今回は、その生産管理システムが持っている、蓄積されているデータが有効活用されない要因を 課題として6つあげ、それぞれの課題の背景、解決策を説明いたします。 DX推進の手始めとして生産管理システムのデータを有効活用する環境を整えてみては如何でしょう? 1.課題の背景と解決策 課題1:データ入力の精度不足 [背景] 生産管理システムに正確なデータを入力することが不可欠ですが、現場では手作業によるデータ入力や、入力の省略が発生することがあります。また、入力者の理解不足や、システムの使い勝手が悪い場合、データの誤りが多発します。これにより、システムが提供する情報の信頼性が低下し、経営判断に悪影響を与えることになります。 [解決策] ①トレーニング: 入力担当者に対する定期的なトレーニングを実施し、正しい入力方法を周知徹底します。 ②UI/UXの改善: システムのユーザーインターフェースを改善し、入力ミスが発生しにくいデザインを採用します。 ③自動化: 入力作業をできるだけ自動化することで、人為的なミスを減少させます。 例えば、バーコードやRFIDタグを利用した自動データ収集システム、加工機器からの自動データ取得システムの導入が考えられます。 課題2:標準工数の精度が低い [背景] 標準工数の精度が低いと、見積もりが不正確になり、顧客との信頼関係が損なわれる可能性があります。 また、実際のコストとのギャップが生じるため、利益率の低下や不適切なリソース配分が発生します。 最悪、認識ない状態で赤字受注しているケースも発生してしまいます。 [解決策] ①実績データの活用: 実際の作業時間を正確に計測し、それに基づいて標準工数を見直すことが必要です。これにより、実際の工程に即した標準工数を確立し、見積もり精度を向上させます。 ②リアルタイムモニタリングの導入: IoTデバイスやセンサーを活用して、各工程の作業時間をリアルタイムでモニタリングし、データを自動的に収集します。これにより、データの精度とタイムリーな分析が可能になります。 ③定期的な見直しと改善: 標準工数は一度決めたら終わりではなく、定期的に見直し、改善を図ることが重要です。市場の変化や技術革新に対応できるよう、柔軟に対応する仕組みを整えます。 課題3:経営層の理解と関与不足 [背景] 経営者が生産管理システムの導入やデータ活用の重要性を十分に理解していないと、改善活動が進みにくくなります。これが、システムの導入効果を十分に引き出せない原因にもなります。 また、経営者が全社員に対し取り組みの目的や目指す効果をきちんと説明し理解してもらうことも非常に重要です。 [解決策] ①経営層への啓発活動: セミナーやワークショップを通じて、生産管理システムの効果的な活用が経営に与える影響を経営層に理解してもらう取り組みを行います。 ②データドリブン経営の推進: データを活用した意思決定の重要性を強調し、経営層が積極的にデータを活用できる環境を整えることが必要です。 簡単でわかりやすいダッシュボードの提供や定期的なデータ報告が重要となります。 ③成功事例の共有: 同業他社や業界内での成功事例を共有し、自社での活用イメージを具体的に持ってもらうことで、経営層の関心と協力を得やすくします。 課題4:データのサイロ化 [背景] 生産管理システム内のデータが他のシステムと連携していない場合、情報がサイロ化され、全体像を把握することが難しくなります。これにより、経営判断やプロセス改善が遅れることがあります。 [解決策] ①システム間の連携: ERPや会計システム、品質管理システムなどと生産管理システムを統合し、データの一元管理を実現します。 ②データ統合プラットフォームの導入: データ統合を支援するプラットフォームを導入し、異なるシステム間でデータを自動的に連携させます。 課題5:リアルタイムデータの欠如 [背景] リアルタイムでデータが収集されない場合、経営者や管理者は状況の変化に迅速に対応できません。 これにより、問題が発生してから解決に至るまでに時間がかかり、生産効率低下を招いてしまいます。 [解決策] ①IoT技術の導入: センサーやIoTデバイスを導入し、リアルタイムでのデータ収集を実現します。これにより、迅速な意思決定が可能になります。 ②リアルタイム監視システム: リアルタイムで生産状況を監視できるシステムを導入し、問題発生時に即座に対応できる体制を整えます。 課題6:データ分析能力の欠如 [背景] 蓄積されたデータが活用されない原因の一つは、データ分析能力が不足していることです。データの読み取りや分析ができないと、データに基づく改善策を講じることができません。 [解決策] ①データ分析の教育: 社内でデータ分析に関する教育を実施し、担当者のスキルを向上させます。 ②BIツールの導入: Business Intelligence (BI) ツールを導入し、誰でも簡単にデータ分析が行える環境を整えます。 これにより、経営層も含めた広範な人々がデータを活用できるようになります。 製造現場でのデータ活用にも利用できる様になります。 2.まとめ 中堅・中小製造業の企業におけるDX推進の手始めとして生産管理システムのデータを有効活用する環境を整えるための課題と解決策を解説しました。 これら生産管理システムのデータ活用に関する課題とその解決策を、それぞれの企業で具体的にどのように実現していくのか?については船井総研が主催するセミナーにてより詳細にお話しさせていただいておりますのでご参加をお願いいたします。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量板金・プレス・溶接製造業のためのデータ活用経営 ~なぜ、生産管理システムが上手く機能しないのだろうか?~ 特別ゲスト講座: 既存の生産管理システムを活用して作業内容・工程進捗・工数・製品原価を見える化 生産管理システムのデータをリアルタイムで可視化したことによる現場社員の変化 経営者としてのデータ可視化の重要性 多品種少量生産の製造業”だからこそ”取り組むべきデータ可視化とは スエナミ工業 株式会社 代表取締役 末次 明 氏 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/119384

第97回経営戦略セミナー 経営研究会全国大会2024にて、製造業・商社向けのブースを出展いたしました

2024.08.26

1.経営戦略セミナー 経営研究会全国大会とは 経営戦略セミナーは、創業者である舩井幸雄がスタートし、今回97回目を迎える、船井総合研究所を代表する伝統的なイベントです。 100を超える経営研究会、5,000人を超える会員企業の経営者が、一堂に会する「研究会全国大会」として開催しています。中堅・中小企業、特に地域で活躍する経営者に主眼を置いて、「時流」と「未来予測」から、向こう3~5年を見越して、中長期の課題解決やテーマをお伝えし、高いモチベーションを抱いていただきます。 2.工場DXコンサルティングの事業内容について 工場DXコンサルティングでは、主に製造業・商社向けのDX化に取り組んでいます。 現場密着したコンサルティングを強みとして、 ロボット導入 AI活用による工程最適化 IoT機器を活用した実際原価管理 基幹システムの刷新・再構築 など幅広い範囲を専門コンサルタントが担当しており、常時300社を超える企業様とご契約させていただいております。 工場DXコンサルティングメニュー 3.当日のブースの様子 当日は製造業・商社の方はもちろん、多業種の会員様も大勢ご来場いただきました。 展示会では、本サイトにも掲載されている工場DXレポートを配布しました。 工場DXレポート 4.スマートファクトリー経営部会について AIコンサルティング部が主催するスマートファクトリー経営部会は、多品種少量生産型の製造業を営む企業様を対象とした、「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する経営研究会です。 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が今後もより進んでいく中、多品種少量生産型の製造業が工場の人手不足を解消し、生産性向上を実現するためのAI化・ロボット化等について、実際の導入・活用事例をもとに研究していきます。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボットシステム、その他省力化装置等の研究に加えて、それらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究までを網羅する研究会です。 また、当研究会の会員様には、 現場業務”アナログ改善現場無料診断 工数データ“IoT取得”現場無料診断 “生産管理”システム刷新システム無料診断 “見積自動化”AI活用現場無料診断 “外観検査”AI活用現場お試しサービス など、数多くの特典がございます。 ご興味のある方はぜひ下記リンクよりご覧ください。 https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/ 1.経営戦略セミナー 経営研究会全国大会とは 経営戦略セミナーは、創業者である舩井幸雄がスタートし、今回97回目を迎える、船井総合研究所を代表する伝統的なイベントです。 100を超える経営研究会、5,000人を超える会員企業の経営者が、一堂に会する「研究会全国大会」として開催しています。中堅・中小企業、特に地域で活躍する経営者に主眼を置いて、「時流」と「未来予測」から、向こう3~5年を見越して、中長期の課題解決やテーマをお伝えし、高いモチベーションを抱いていただきます。 2.工場DXコンサルティングの事業内容について 工場DXコンサルティングでは、主に製造業・商社向けのDX化に取り組んでいます。 現場密着したコンサルティングを強みとして、 ロボット導入 AI活用による工程最適化 IoT機器を活用した実際原価管理 基幹システムの刷新・再構築 など幅広い範囲を専門コンサルタントが担当しており、常時300社を超える企業様とご契約させていただいております。 工場DXコンサルティングメニュー 3.当日のブースの様子 当日は製造業・商社の方はもちろん、多業種の会員様も大勢ご来場いただきました。 展示会では、本サイトにも掲載されている工場DXレポートを配布しました。 工場DXレポート 4.スマートファクトリー経営部会について AIコンサルティング部が主催するスマートファクトリー経営部会は、多品種少量生産型の製造業を営む企業様を対象とした、「製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する経営研究会です。 国内製造業における人手不足、特に熟練者不足が今後もより進んでいく中、多品種少量生産型の製造業が工場の人手不足を解消し、生産性向上を実現するためのAI化・ロボット化等について、実際の導入・活用事例をもとに研究していきます。 AIを活用した自動化装置や産業用ロボットシステム、その他省力化装置等の研究に加えて、それらを活用した工程改善や人員配置改善、効率化等の人的仕組みの研究までを網羅する研究会です。 また、当研究会の会員様には、 現場業務”アナログ改善現場無料診断 工数データ“IoT取得”現場無料診断 “生産管理”システム刷新システム無料診断 “見積自動化”AI活用現場無料診断 “外観検査”AI活用現場お試しサービス など、数多くの特典がございます。 ご興味のある方はぜひ下記リンクよりご覧ください。 https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/smart-factory/047708/

溶接業必見!100万円で導入できる溶接ロボットのご紹介

2024.08.22

人手不足が叫ばれている昨今においては、溶接業界においても“自動化”は重要なテーマです。溶接ロボット導入のメリットとしては、作業効率の向上や品質の安定化、作業者負担の減少など挙げられ、有用な自動化手段の一つとなっています。 しかし、従来のロボット溶接はコスト効果が合わず、中堅・中小企業の方にとっては手を出しづらいという課題がありました。 本コラムで紹介するFAIR INNOVATION社製ロボットは、「100万円で導入できる協働ロボット」として注目を浴びています。他媒体にもほとんど出ていない情報となりますので、貴社の情報収集の一助になれば幸いでございます。 1. 100万円で導入できる協働ロボット「FAIR INNOVATION社製“FRシリーズ”」のご紹介 中国の協働ロボットメーカー・FAIR INNOVATION社が開発した“FRシリーズ”は、なんと100万円で導入可能な協働ロボットです。(他社の協働ロボットでは、通常200万円~600万円程度費用がかかります。) その価格・スペックは非常に市場に支持されており、中国国内ではすでに数千台ものロボットを売り上げています。 実際にロボットが稼働している動画がこちらです。 [video width="967" height="544" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/111.mp4"][/video] [video width="540" height="960" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/112.mp4"][/video] 動画を見てお気づきの方もいらっしゃるかと存じますが、本ロボットは比較的難易度の低い溶接において、自動化効果を発揮します。 例えば、鉄鋼・鉄骨業界では、鉄骨同士を溶接する作業などを自動化することができます。単純な直線の溶接部分をロボットに担ってもらい、難易度の高い部分を作業者が補うことで、効率的に作業をおこなうことができます。 また、板金業界においては、部品の仮付け作業や、数の多いナットの溶接作業などでもロボットを活用することが可能です。 以下の表に「FR-5」(FAIR Innovation製可搬重量5kgのロボット)と、他社ロボットの主なスペックをまとめました。価格は低いですが、従来の協働ロボットと比較してもスペック自体に差は見られません。 なぜこんなにも価格が安いのでしょうか? 販売代理店を務める株式会社ロボティクスソリューションズ 劉 代表取締役社長によると、主要部品 (減速機、モータ、ドライバー基板など)を全て自社で内製化している点が大きいとのことでした。 2. まとめ 今回は、100万円で導入できる協働ロボット「FAIR INNOVATION」をご紹介しました。今まで自動化を断念せざるを得なかった方にとっても、再検討の余地があるロボットではないでしょうか? 詳細な情報については、船井総研が9月に開催する「多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー」の第1講座にてお話しする予定です。ぜひご参加いただき、情報収集の一助としていただけますと幸いです。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117066 人手不足が叫ばれている昨今においては、溶接業界においても“自動化”は重要なテーマです。溶接ロボット導入のメリットとしては、作業効率の向上や品質の安定化、作業者負担の減少など挙げられ、有用な自動化手段の一つとなっています。 しかし、従来のロボット溶接はコスト効果が合わず、中堅・中小企業の方にとっては手を出しづらいという課題がありました。 本コラムで紹介するFAIR INNOVATION社製ロボットは、「100万円で導入できる協働ロボット」として注目を浴びています。他媒体にもほとんど出ていない情報となりますので、貴社の情報収集の一助になれば幸いでございます。 1. 100万円で導入できる協働ロボット「FAIR INNOVATION社製“FRシリーズ”」のご紹介 中国の協働ロボットメーカー・FAIR INNOVATION社が開発した“FRシリーズ”は、なんと100万円で導入可能な協働ロボットです。(他社の協働ロボットでは、通常200万円~600万円程度費用がかかります。) その価格・スペックは非常に市場に支持されており、中国国内ではすでに数千台ものロボットを売り上げています。 実際にロボットが稼働している動画がこちらです。 [video width="967" height="544" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/111.mp4"][/video] [video width="540" height="960" mp4="https://smart-factory.funaisoken.co.jp/wp-content/uploads/112.mp4"][/video] 動画を見てお気づきの方もいらっしゃるかと存じますが、本ロボットは比較的難易度の低い溶接において、自動化効果を発揮します。 例えば、鉄鋼・鉄骨業界では、鉄骨同士を溶接する作業などを自動化することができます。単純な直線の溶接部分をロボットに担ってもらい、難易度の高い部分を作業者が補うことで、効率的に作業をおこなうことができます。 また、板金業界においては、部品の仮付け作業や、数の多いナットの溶接作業などでもロボットを活用することが可能です。 以下の表に「FR-5」(FAIR Innovation製可搬重量5kgのロボット)と、他社ロボットの主なスペックをまとめました。価格は低いですが、従来の協働ロボットと比較してもスペック自体に差は見られません。 なぜこんなにも価格が安いのでしょうか? 販売代理店を務める株式会社ロボティクスソリューションズ 劉 代表取締役社長によると、主要部品 (減速機、モータ、ドライバー基板など)を全て自社で内製化している点が大きいとのことでした。 2. まとめ 今回は、100万円で導入できる協働ロボット「FAIR INNOVATION」をご紹介しました。今まで自動化を断念せざるを得なかった方にとっても、再検討の余地があるロボットではないでしょうか? 詳細な情報については、船井総研が9月に開催する「多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー」の第1講座にてお話しする予定です。ぜひご参加いただき、情報収集の一助としていただけますと幸いです。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産 溶接加工業社長セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117066

「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2024、コネクシオ株式会社ブースに「IoTを活用した原価管理の最新事例」を掲載いただきました

2024.08.09

材料費や外注費は管理できていても、製造工数がきちんと把握できている企業は多くありません。 本コラムでは作業者が手を加えることなく工数を自動集計するシステムを紹介いたします。 1.正確な製造工数と見積の関係性 まず、利益を上げるためには材料費の変動・製造工数・固定費(機械の消耗費等)に即した適切な見積書が必要です。 つまり、正確な見積もりを行うことは、企業の成長において不可欠ということです。 しかし、実際に見積金額に正確な製造工数・固定費を組み込めている企業は多くなく、見積はベテラン社員の経験と勘に頼っている企業が多くあります。 それは実際の製造工数を正確に把握することが非常に難しいからです。 逆を言えば、実際の工数を把握することで効率的な生産計画を立て、利益が出る見積を作成し、大幅に生産性を向上させることができます。 以下では、RFIDセンサを活用した製造工数取得事例を紹介いたします。 2.RFID活用事例企業の概要 当事例企業では、作業日報に作業者が実績を手書きし、別の担当者がシステムに転記、また別の担当者が作成したExcelのマクロを利用して可視化・分析を行っていました。 一見すると非常に効率が悪い作業のように見えますが、このような運用をしている企業は多くあります。 そこでRFIDを活用した結果、作業者が行う手間はほとんどなくなり、データは自動でシステムに飛ばされるため転記作業もなし。 さらに可視化・分析ツールは基幹システムと連携しているためマクロを組む必要もなくなり、いつでも見たい分析データがリアルタイムで見られるようになりました。 3.RFIDシステムの詳細 事例企業では各工程の作業場にRFIDアンテナを設置し、センサが感知する作業スペースを区画し、作業者の帽子と作業指示書にRFIDタグを取り付けました。 これにより、作業者と指示書が作業スペースにある時間は「作業中」、作業者のみの場合は「段取り」など定義づけができるようになります(定義は企業の運用によってさまざまなカスタマイズが可能)。 そしてセンサが感知したデータは自動的にシステムに送信されます。 このシステムはコネクシオ様にご協力いただき実現しました。 結果、紙日報やタブレットよりも正確な製造工数データが手間なく収集できるようになりました。 4.可視化・分析の詳細 上記のシステムによって正確な製造工数データが基幹システムに収集できました。 しかし、この貴重なデータは活用しないと全く意味がありません。 そこで、BIツールを活用して可視化・分析を行いました。 このBIツールも基幹システムと連携しているため、基幹システムに入っているデータはすべて活用できます。 そのため、設備の工賃や材料費・外注費・取得した工数データすべてを掛け合わせ、個別製品別・客先別・工程別といった様々な視点から原価算出が可能になりました。 また、BIツールの強みとして自動更新機能・クラウドへのアップロード機能があります。 自動更新機能は、設定した時間に自動的に基幹システムから最新のデータに更新する機能です。 この機能により、いつでも最新のデータがすぐに見られるようになります。 クラウドへのアップロード機能とは、ツールで作成した分析グラフをクラウドにアップできる機能です。 この機能では、作成した最新のデータ・グラフを外出先でも確認ができます。 例えば、営業の方が先方のオフィスでもデータが確認できるため、見積提示時に利益率の向上が期待できます。 5.まとめ 以上、RFIDを活用した原価管理の最新事例を紹介いたしました。 労働者人口の減少・DX化が叫ばれている中、減らせる工数は減らす、よい事例であると考えています。 本コラムがお読みいただいている企業の皆様のさらなるご発展の一助になりますと幸いです。   正確なデータ分析につながる個別原価取得解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 基幹システムをフル活用し、個別原価も正確に算出できている企業はまだ多くありません。 ただし、原価計算は利益に直結します。 従業員100名以下でもできる個別原価取得方法をご紹介いたします。 https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02507_S045 材料費や外注費は管理できていても、製造工数がきちんと把握できている企業は多くありません。 本コラムでは作業者が手を加えることなく工数を自動集計するシステムを紹介いたします。 1.正確な製造工数と見積の関係性 まず、利益を上げるためには材料費の変動・製造工数・固定費(機械の消耗費等)に即した適切な見積書が必要です。 つまり、正確な見積もりを行うことは、企業の成長において不可欠ということです。 しかし、実際に見積金額に正確な製造工数・固定費を組み込めている企業は多くなく、見積はベテラン社員の経験と勘に頼っている企業が多くあります。 それは実際の製造工数を正確に把握することが非常に難しいからです。 逆を言えば、実際の工数を把握することで効率的な生産計画を立て、利益が出る見積を作成し、大幅に生産性を向上させることができます。 以下では、RFIDセンサを活用した製造工数取得事例を紹介いたします。 2.RFID活用事例企業の概要 当事例企業では、作業日報に作業者が実績を手書きし、別の担当者がシステムに転記、また別の担当者が作成したExcelのマクロを利用して可視化・分析を行っていました。 一見すると非常に効率が悪い作業のように見えますが、このような運用をしている企業は多くあります。 そこでRFIDを活用した結果、作業者が行う手間はほとんどなくなり、データは自動でシステムに飛ばされるため転記作業もなし。 さらに可視化・分析ツールは基幹システムと連携しているためマクロを組む必要もなくなり、いつでも見たい分析データがリアルタイムで見られるようになりました。 3.RFIDシステムの詳細 事例企業では各工程の作業場にRFIDアンテナを設置し、センサが感知する作業スペースを区画し、作業者の帽子と作業指示書にRFIDタグを取り付けました。 これにより、作業者と指示書が作業スペースにある時間は「作業中」、作業者のみの場合は「段取り」など定義づけができるようになります(定義は企業の運用によってさまざまなカスタマイズが可能)。 そしてセンサが感知したデータは自動的にシステムに送信されます。 このシステムはコネクシオ様にご協力いただき実現しました。 結果、紙日報やタブレットよりも正確な製造工数データが手間なく収集できるようになりました。 4.可視化・分析の詳細 上記のシステムによって正確な製造工数データが基幹システムに収集できました。 しかし、この貴重なデータは活用しないと全く意味がありません。 そこで、BIツールを活用して可視化・分析を行いました。 このBIツールも基幹システムと連携しているため、基幹システムに入っているデータはすべて活用できます。 そのため、設備の工賃や材料費・外注費・取得した工数データすべてを掛け合わせ、個別製品別・客先別・工程別といった様々な視点から原価算出が可能になりました。 また、BIツールの強みとして自動更新機能・クラウドへのアップロード機能があります。 自動更新機能は、設定した時間に自動的に基幹システムから最新のデータに更新する機能です。 この機能により、いつでも最新のデータがすぐに見られるようになります。 クラウドへのアップロード機能とは、ツールで作成した分析グラフをクラウドにアップできる機能です。 この機能では、作成した最新のデータ・グラフを外出先でも確認ができます。 例えば、営業の方が先方のオフィスでもデータが確認できるため、見積提示時に利益率の向上が期待できます。 5.まとめ 以上、RFIDを活用した原価管理の最新事例を紹介いたしました。 労働者人口の減少・DX化が叫ばれている中、減らせる工数は減らす、よい事例であると考えています。 本コラムがお読みいただいている企業の皆様のさらなるご発展の一助になりますと幸いです。   正確なデータ分析につながる個別原価取得解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 基幹システムをフル活用し、個別原価も正確に算出できている企業はまだ多くありません。 ただし、原価計算は利益に直結します。 従業員100名以下でもできる個別原価取得方法をご紹介いたします。 https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02507_S045

2024 年の印刷業界展望:地方印刷会社が生き残るための戦略と成功事例 【最新トレンドと課題を徹底解説】

2024.08.02

デジタル化が進み、印刷業界はかつてない変革の時期を迎えています。 中小印刷会社が直面する縮小市場や競争の激化、そして技術革新の波にどう立ち向かうべきか? 本記事では、印刷業界の最新トレンドを詳しく解説し、中小企業が成功を収めた事例を紹介。 未来に向けた具体的な戦略と実践的なアプローチを提案し、業界の変動に適応するためのヒントをお届けします。 この記事を読むことで、印刷業界の現状と未来、成功事例と失敗事例、効果的なマーケティング手法、デジタル化の影響、そして具体的な生き残り戦略について理解できます。 特に中小規模の印刷会社経営者・自社の DX に悩んでいる企業に向けた記事です。 1. 印刷業界の現状と全体像 ① 印刷業界の歴史的変遷と現状 印刷業界は長い歴史を持ち、技術の進歩とともに大きな変化を遂げてきました。活版印刷の時代からオフセット印刷、デジタル印刷へと進化し、印刷物の質と効率が大きく向上しました。しかし、デジタル化の進展に伴い、紙媒体の需要は減少しています。特に新聞や雑誌の発行部数は、インターネットの普及により大幅に減少しました。地方の印刷会社にとって、縮小する市場は深刻な問題です。これまでのビジネスモデルでは生き残りが難しく、新しい戦略を模索する必要があります。 ② デジタルトランスフォーメーションの影響と業界の変革 デジタルトランスフォーメーション(DX)は、印刷業界にも多大な影響を与えています。DX により、印刷会社は仕入~印刷~梱包~出荷におけるすべての基幹業務を正確に、かつ迅速に実施することができました。その結果として、利益の出ている企業は多品種小ロット対応・短納期対応のようなアナログ時代には考えられないスピードで顧客満足度を獲得しています。 DX は印刷業界に以下のような変革をもたらしました。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 また、近年では生成 AI の登場によって、上記変革はより加速しています。 ある印刷会社では、生成 AI を活用してデジタルマーケティング・印刷デザイン提案などを実施することにより、今までデザイナーに依頼していた業務を内製化させることができるようになり、さらにコストを大幅に削減。すぐにデザインを作成してお見せすることができるため、顧客満足度も向上させています。 ③ 中小印刷会社の直面する主な課題 中小規模の印刷会社は、大手企業と比べて規模が小さく、リソースも限られています。そのため、以下のような課題に直面していることが多いのではないでしょうか。 市場の縮小:紙媒体の需要減少により、売上が減少。 技術革新への対応:最新のデジタル技術を導入するための投資が必要。 人材不足:特に若手のデジタル技術者が不足。 2. 印刷会社の生き残り戦略 ① 生存戦略としての経営方針の再構築と事業戦略 印刷会社が生き残るためには、特に以下のポイントが重要です。 商品の多様化&短納期対応:豊富な品揃えによる囲い込みにより、顧客満足度向上・新規獲得を行う。 顧客ニーズの把握:市場の変化を敏感に察知し、顧客のニーズに応える製品やサービスを提供する。 原価管理:原価の見直しと効率化を図り、収益性を向上させる。 ② 実際にかかる製品個別原価管理の重要性 製品個別の実際原価を把握することにより、案件別・製品別・工程別で利益を把握することができるようになります。なんとなく今までの経験や勘から、頭の中で利益を把握しているのでは、一向に属人化は解消されません。まずは、個別にかかる実際の原価をデータ・数値で可視化することにより、会社全体で改善箇所を共通認識化することが重要です。 ③ 成功事例と失敗事例から学ぶ戦略的アプローチ いわゆる「どんぶり勘定」による見積価格決定や、従来からの見積金額のまま引き受けてしまうことにより、なかなか利益が出てこないといった状態を引き起こしてしまいます。 これらを避けるためには、製品ごとにかかる実際の原価を把握し、新規の案件においても過去の類似案件から原価を算出できるような仕組みが必要です。 また、利益が出ていない案件に関しては、実際にかかる原価を価格改定の材料として活用することも手段の一つです。 3. 印刷業界の未来展望 ① 今後の市場展望とビジネスチャンスの予測 印刷業界の市場は縮小傾向にあるものの、新たなビジネスチャンスも存在します。以下の点が今後の市場展望として注目されています。 デジタル印刷の普及:小ロット印刷やオンデマンド印刷が増加。 パーソナライズ印刷:顧客のニーズに合わせたカスタマイズ印刷の需要が拡大。 サステナビリティ:環境に優しい印刷技術や再生可能な素材の使用が重要視される。 ② デジタルと印刷の融合による新たなビジネスモデル デジタル技術と印刷技術の融合は、新たなビジネスモデルを生み出しています。例えば、デジタル広告と印刷物を連動させるクロスメディアマーケティングが注目されています。これにより、顧客のエンゲージメントを高め、より効果的なプロモーションが可能になります。 具体的には、web サイトや SNS での広告と連動したチラシやパンフレットを配布することで、顧客の購買意欲を刺激します。また、 QR コードを活用して、印刷物からデジタルコンテンツへの誘導も効果的です。 ③ 地域密着型ビジネスの強みと可能性 地域密着型ビジネスは、地方の印刷会社にとって大きな強みとなります。以下の点が強みと考えられます。 地域のニーズに迅速に対応:地元の顧客との密接な関係を活かし、迅速にニーズに応える。 地元企業との強固なネットワーク:地域内の企業や団体との協力関係を築き、安定した顧客基盤を確保。 地域イベントとの連携:地元のイベントやキャンペーンに積極的に参加し、ブランド認知度を向上。 地元の商店街と連携してイベントのプロモーションを行い、地域全体の活性化に貢献するといった取り組みは、地元企業との信頼関係を強化し、長期的なビジネスチャンスを生み出すことができます。 4. デジタル化の影響と取り組み ① デジタル化による業界の変革とその影響 デジタル化は印刷業界に多大な影響を与えています。特に以下の点で変革が見られます。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 例えば、ある印刷会社は、デジタル印刷機を導入し、小ロットの印刷注文に対応することで、顧客のニーズに柔軟に対応しています。 ② デジタルトランスフォーメーションの最新トレンド デジタルマーケティングと広告手法は、日々進化しています。印刷会社がこれらを活用することで、顧客獲得に繋げることができます。以下は、最新のトレンドです。 原価管理 DX:その日の製造情報を即座に集計し、収益の結果をリアルタイムで把握できる仕組み。 ローコード BI:製造進捗や仕入管理・在庫管理における属人性を解消した、データ分析自動化ツール。 自社データを基盤とした AI 活用:自社データを学習させた AI システムを活用し、自社特有の予測を行う。 DX によって、情報の流動性・正確性・即時性を向上させることはもちろん、それに適応するための社内改革が重要です。 ③ デジタルトランスフォーメーションの成功事例 デジタルトランスフォーメーションに成功した印刷会社の事例を紹介します。ある印刷会社では、クラウドベースの印刷発注システム を導入し、顧客がオンラインで簡単に印刷物を発注できるようにしました。このシステムにより、受注から納品までのプロセスが大幅 に効率化され、顧客満足度が向上しました。 5. 印刷業界の将来に向けた具体的戦略 ① 経営資源の最適化と正確な原価管理・利益管理 印刷会社が競争力を維持するためには、経営資源の最適化と原価管理・利益管理が不可欠です。以下の方法が有効です。 効率化の推進:生産プロセスの見直しと効率化。 コスト管理:原価を徹底的に管理し、利益を最大化。 資源の有効活用:人材や設備を最大限に活用。 例えば、生産ラインの自動化を進めることで、コストを削減し、利益率を向上させることができます。 ② 長期的な戦略と戦術的アプローチ 長期的な視点での戦略と、具体的な戦術的アプローチが必要です。以下の点を考慮します。 市場分析:市場の動向を常に把握し、戦略を柔軟に変更。 顧客ニーズの理解:顧客のニーズを的確に捉え、それに応じたサービスを提供。 継続的な改善:常に改善を行い、競争力を維持。 例として、定期的に顧客アンケートを実施し、フィードバックを基にサービスを改善することで、顧客満足度向上に向けた分析をすることが可能となります。 ③ 印刷業界における未来展望と業界全体の方向性 印刷業界の未来展望は、デジタル技術の進化とともに大きく変わるでしょう。以下の点が重要です。 デジタル技術の活用:デジタル印刷技術やデジタルマーケティングの活用。 サステナビリティ:環境に優しい技術や素材の導入。 顧客中心のサービス:顧客のニーズに応じたカスタマイズサービスの提供。 例として、デジタル技術を活用した新たな印刷サービスを開発し、顧客に提供することで、競争力強化を図ることが可能となります。 6. まとめ このように、印刷業界の現状と未来展望、具体的な生き残り戦略について詳細に解説しました。特に中小規模の印刷会社が直面する課題に対して様々な手法を記載しましたが、重要なことは製品個別の実際にかかる原価を把握し、予定原価との差異を分析できる体制を作ることが今後の生き残りに向けてキーポイントとなると考えられます。 では、具体的にどのように個別原価管理を行うのか?どのように予定原価との差異を分析できるのか?については、船井総研が主催する原価管理セミナーにてより詳細にお話しさせていただいておりますのでご参加をお願いいたします。 ■関連するセミナーのご案内 印刷業の為のAI・BI・IoTを活用したDX経営 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117687 ■組立工程のロボット活用成功事例解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02979_S045 デジタル化が進み、印刷業界はかつてない変革の時期を迎えています。 中小印刷会社が直面する縮小市場や競争の激化、そして技術革新の波にどう立ち向かうべきか? 本記事では、印刷業界の最新トレンドを詳しく解説し、中小企業が成功を収めた事例を紹介。 未来に向けた具体的な戦略と実践的なアプローチを提案し、業界の変動に適応するためのヒントをお届けします。 この記事を読むことで、印刷業界の現状と未来、成功事例と失敗事例、効果的なマーケティング手法、デジタル化の影響、そして具体的な生き残り戦略について理解できます。 特に中小規模の印刷会社経営者・自社の DX に悩んでいる企業に向けた記事です。 1. 印刷業界の現状と全体像 ① 印刷業界の歴史的変遷と現状 印刷業界は長い歴史を持ち、技術の進歩とともに大きな変化を遂げてきました。活版印刷の時代からオフセット印刷、デジタル印刷へと進化し、印刷物の質と効率が大きく向上しました。しかし、デジタル化の進展に伴い、紙媒体の需要は減少しています。特に新聞や雑誌の発行部数は、インターネットの普及により大幅に減少しました。地方の印刷会社にとって、縮小する市場は深刻な問題です。これまでのビジネスモデルでは生き残りが難しく、新しい戦略を模索する必要があります。 ② デジタルトランスフォーメーションの影響と業界の変革 デジタルトランスフォーメーション(DX)は、印刷業界にも多大な影響を与えています。DX により、印刷会社は仕入~印刷~梱包~出荷におけるすべての基幹業務を正確に、かつ迅速に実施することができました。その結果として、利益の出ている企業は多品種小ロット対応・短納期対応のようなアナログ時代には考えられないスピードで顧客満足度を獲得しています。 DX は印刷業界に以下のような変革をもたらしました。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 また、近年では生成 AI の登場によって、上記変革はより加速しています。 ある印刷会社では、生成 AI を活用してデジタルマーケティング・印刷デザイン提案などを実施することにより、今までデザイナーに依頼していた業務を内製化させることができるようになり、さらにコストを大幅に削減。すぐにデザインを作成してお見せすることができるため、顧客満足度も向上させています。 ③ 中小印刷会社の直面する主な課題 中小規模の印刷会社は、大手企業と比べて規模が小さく、リソースも限られています。そのため、以下のような課題に直面していることが多いのではないでしょうか。 市場の縮小:紙媒体の需要減少により、売上が減少。 技術革新への対応:最新のデジタル技術を導入するための投資が必要。 人材不足:特に若手のデジタル技術者が不足。 2. 印刷会社の生き残り戦略 ① 生存戦略としての経営方針の再構築と事業戦略 印刷会社が生き残るためには、特に以下のポイントが重要です。 商品の多様化&短納期対応:豊富な品揃えによる囲い込みにより、顧客満足度向上・新規獲得を行う。 顧客ニーズの把握:市場の変化を敏感に察知し、顧客のニーズに応える製品やサービスを提供する。 原価管理:原価の見直しと効率化を図り、収益性を向上させる。 ② 実際にかかる製品個別原価管理の重要性 製品個別の実際原価を把握することにより、案件別・製品別・工程別で利益を把握することができるようになります。なんとなく今までの経験や勘から、頭の中で利益を把握しているのでは、一向に属人化は解消されません。まずは、個別にかかる実際の原価をデータ・数値で可視化することにより、会社全体で改善箇所を共通認識化することが重要です。 ③ 成功事例と失敗事例から学ぶ戦略的アプローチ いわゆる「どんぶり勘定」による見積価格決定や、従来からの見積金額のまま引き受けてしまうことにより、なかなか利益が出てこないといった状態を引き起こしてしまいます。 これらを避けるためには、製品ごとにかかる実際の原価を把握し、新規の案件においても過去の類似案件から原価を算出できるような仕組みが必要です。 また、利益が出ていない案件に関しては、実際にかかる原価を価格改定の材料として活用することも手段の一つです。 3. 印刷業界の未来展望 ① 今後の市場展望とビジネスチャンスの予測 印刷業界の市場は縮小傾向にあるものの、新たなビジネスチャンスも存在します。以下の点が今後の市場展望として注目されています。 デジタル印刷の普及:小ロット印刷やオンデマンド印刷が増加。 パーソナライズ印刷:顧客のニーズに合わせたカスタマイズ印刷の需要が拡大。 サステナビリティ:環境に優しい印刷技術や再生可能な素材の使用が重要視される。 ② デジタルと印刷の融合による新たなビジネスモデル デジタル技術と印刷技術の融合は、新たなビジネスモデルを生み出しています。例えば、デジタル広告と印刷物を連動させるクロスメディアマーケティングが注目されています。これにより、顧客のエンゲージメントを高め、より効果的なプロモーションが可能になります。 具体的には、web サイトや SNS での広告と連動したチラシやパンフレットを配布することで、顧客の購買意欲を刺激します。また、 QR コードを活用して、印刷物からデジタルコンテンツへの誘導も効果的です。 ③ 地域密着型ビジネスの強みと可能性 地域密着型ビジネスは、地方の印刷会社にとって大きな強みとなります。以下の点が強みと考えられます。 地域のニーズに迅速に対応:地元の顧客との密接な関係を活かし、迅速にニーズに応える。 地元企業との強固なネットワーク:地域内の企業や団体との協力関係を築き、安定した顧客基盤を確保。 地域イベントとの連携:地元のイベントやキャンペーンに積極的に参加し、ブランド認知度を向上。 地元の商店街と連携してイベントのプロモーションを行い、地域全体の活性化に貢献するといった取り組みは、地元企業との信頼関係を強化し、長期的なビジネスチャンスを生み出すことができます。 4. デジタル化の影響と取り組み ① デジタル化による業界の変革とその影響 デジタル化は印刷業界に多大な影響を与えています。特に以下の点で変革が見られます。 生産性の向上:デジタル印刷技術の導入により、生産効率が大幅に向上。 コスト削減:デジタル技術を活用することで、制作コストが削減。 迅速な対応:短納期での対応が可能になり、顧客満足度が向上。 例えば、ある印刷会社は、デジタル印刷機を導入し、小ロットの印刷注文に対応することで、顧客のニーズに柔軟に対応しています。 ② デジタルトランスフォーメーションの最新トレンド デジタルマーケティングと広告手法は、日々進化しています。印刷会社がこれらを活用することで、顧客獲得に繋げることができます。以下は、最新のトレンドです。 原価管理 DX:その日の製造情報を即座に集計し、収益の結果をリアルタイムで把握できる仕組み。 ローコード BI:製造進捗や仕入管理・在庫管理における属人性を解消した、データ分析自動化ツール。 自社データを基盤とした AI 活用:自社データを学習させた AI システムを活用し、自社特有の予測を行う。 DX によって、情報の流動性・正確性・即時性を向上させることはもちろん、それに適応するための社内改革が重要です。 ③ デジタルトランスフォーメーションの成功事例 デジタルトランスフォーメーションに成功した印刷会社の事例を紹介します。ある印刷会社では、クラウドベースの印刷発注システム を導入し、顧客がオンラインで簡単に印刷物を発注できるようにしました。このシステムにより、受注から納品までのプロセスが大幅 に効率化され、顧客満足度が向上しました。 5. 印刷業界の将来に向けた具体的戦略 ① 経営資源の最適化と正確な原価管理・利益管理 印刷会社が競争力を維持するためには、経営資源の最適化と原価管理・利益管理が不可欠です。以下の方法が有効です。 効率化の推進:生産プロセスの見直しと効率化。 コスト管理:原価を徹底的に管理し、利益を最大化。 資源の有効活用:人材や設備を最大限に活用。 例えば、生産ラインの自動化を進めることで、コストを削減し、利益率を向上させることができます。 ② 長期的な戦略と戦術的アプローチ 長期的な視点での戦略と、具体的な戦術的アプローチが必要です。以下の点を考慮します。 市場分析:市場の動向を常に把握し、戦略を柔軟に変更。 顧客ニーズの理解:顧客のニーズを的確に捉え、それに応じたサービスを提供。 継続的な改善:常に改善を行い、競争力を維持。 例として、定期的に顧客アンケートを実施し、フィードバックを基にサービスを改善することで、顧客満足度向上に向けた分析をすることが可能となります。 ③ 印刷業界における未来展望と業界全体の方向性 印刷業界の未来展望は、デジタル技術の進化とともに大きく変わるでしょう。以下の点が重要です。 デジタル技術の活用:デジタル印刷技術やデジタルマーケティングの活用。 サステナビリティ:環境に優しい技術や素材の導入。 顧客中心のサービス:顧客のニーズに応じたカスタマイズサービスの提供。 例として、デジタル技術を活用した新たな印刷サービスを開発し、顧客に提供することで、競争力強化を図ることが可能となります。 6. まとめ このように、印刷業界の現状と未来展望、具体的な生き残り戦略について詳細に解説しました。特に中小規模の印刷会社が直面する課題に対して様々な手法を記載しましたが、重要なことは製品個別の実際にかかる原価を把握し、予定原価との差異を分析できる体制を作ることが今後の生き残りに向けてキーポイントとなると考えられます。 では、具体的にどのように個別原価管理を行うのか?どのように予定原価との差異を分析できるのか?については、船井総研が主催する原価管理セミナーにてより詳細にお話しさせていただいておりますのでご参加をお願いいたします。 ■関連するセミナーのご案内 印刷業の為のAI・BI・IoTを活用したDX経営 セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117687 ■組立工程のロボット活用成功事例解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02979_S045

組み立てロボットとは?メリットや3つの成功事例を解説!

2024.07.26

製造業においては、労働生産性の向上やコスト削減、品質の一貫性確保といった課題に直面している企業様も多いのではないでしょうか。 本記事では、組み立てロボットの基本概念、導入のメリット、そして成功事例について解説します。貴社の情報収取の一助になれば幸いでございます。 1.組み立てロボットとは 組み立て工程におけるロボットは、製造分野で使用される自動化機械の一種です。 このロボットは、精密な作業を迅速かつ正確に行う能力があり、製造業における作業効率と生産性の向上に大きく貢献しています。主に自動車、電子機器、家電製品の製造など、複雑な組み立て作業が求められる産業で活用されており、人間の作業員が行うには時間がかかる作業や危険を伴う作業を代行することで、安全性の向上とコスト削減を実現しています。 2.組み立てロボット導入のメリットとは 組み立てロボットの導入による主なメリットは、以下の3つに集約されます。 2-1.組み立てロボット導入のメリット①:ヒューマンエラーの防止 組み立てロボットは教示された命令に従って作業をおこないます。 これにより、人間の操作による間違いや誤動作の発生頻度を極めて少なくすることができます。 人間がおこなう作業は、疲労や注意散漫、経験の不足によるミスが発生しやすいですが、ロボットはこれらの要因に影響されることなく、一定品質の作業を実行することができます。 よって、ロボット導入をおこなうことで製造過程でのヒューマンエラーを大幅に削減することが可能となり、さらには製品の不良率減少、包括的な品質保証、顧客満足度の向上を見込むことができます。 2-2.組み立てロボット導入のメリット②:生産性の向上 自動化効果の出る構想設計をおこなうことを前提にすれば、組み立てロボットは効率的且つ正確に作業をおこなう能力を持っています。 これにより、製造ラインのスループットが大幅に向上し、より多くの製品を短時間で生産することが可能になります。 また、ロボットは人間と異なり、疲労や休憩の必要がないため、24時間体制での連続運転を実現することも可能です。 需要の高い業種や大量生産が求められる業種において、企業の収益性を大きく向上させる要因となります。 2-3.組み立てロボット導入のメリット③:人的コストの削減 ロボット導入をおこなうことで、人件費の大幅な削減を見込むことができます。 さらに、ロボットによる自動化が進むと、人間はより専門的で創造的な業務に集中することができます。 特に単調で繰り返しの多い作業や物理的に負担の大きい作業をロボットが担うことができれば、労働力を効率的に配分し、企業全体の生産性の向上を図ることができます。 また、労働災害のリスクが減少することで、関連する保険料や健康管理コストの削減にも繋がります。 これらのメリットにより、組み立てロボットは製造業のコスト効率の向上、生産性の向上、そして製品品質の一貫性と信頼性の強化に大きく寄与します。 これにより、企業は競争力を維持し、市場での優位性を確保するための重要な手段を得ることができます。 3.組み立てロボット導入成功事例3選 続いて、組み立てロボットの導入に成功した3社の事例についてご紹介します。 3-1.組み立てロボット導入成功事例①:グローリー株式会社 グローリー株式会社では、レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入し、自動化に成功しました。 従来は人手による柔軟な作業方式で生産をおこなっていましたが、労働力不足・競争力の確保を背景として、ロボット導入に踏み切りました。 結果として5名の省人化に成功し、労働生産性を2倍に引き上げました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入) 3-2.組み立てロボット導入成功事例②:コーセーエンジニアリング株式会社 コーセーエンジニアリング株式会社では、ワイヤーハーネスの製造工程において自動化に成功しました。 具体的には、電線へのリング取付―マークチューブ取付―被覆を剥ぐ―端子取付―圧着までを全て人手作業からロボットによる作業に置き換えました。 結果的に、3名の省人化に成功しています。 さらに、属人性を排除することが可能となったため、品質不良の削減もおこおなうことができました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ ワイヤーハーネスの製造工程にロボット導入) 3-3.組み立てロボット導入成功事例③:株式会社山本電機製作所 山本電機製作所株式会社では、MEMSセンサ基盤のアッセンブリ工程において、ロボット導入に成功しました。具体的には、人手でおこなっていたワークの供給・排出作業や、接着材塗布のスイッチ操作を自動化しました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ MEMSセンサ基板のアッセンブリ工程のロボット化による量産化実現) 4.まとめ いかがでしたでしょうか?ここまで組み立てロボットの概要とメリット、そして成功事例を紹介いたしました。組み立てロボットをうまく活用することができれば、その導入は労働生産性の向上、品質の安定化、そして人的コストの削減といった複数の面で顕著な効果をもたらします。 組み立てロボットの導入は、単に作業を自動化すること以上の価値を持っています。 それは、企業が市場での競争力を維持し、経済的な持続可能性を実現するための戦略的な選択と言えるでしょう。 さらに組み立てロボットについて情報収集をご希望の方は以下のセミナーページ、レポートページをご参照ください。 最後までお読みいただきありがとうございました。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産製造業のための組立・組付け工程の自動化セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117937 ■組立工程のロボット活用成功事例解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory__00794 目次 1、多品種な複数部品の組み合わせによるパネル生産の自動化! 2、形状も材質も違う複数材料を一つのロボットでハンドリング! 3、部品形状に合わせた接着材を塗工し自動で貼り付け! レポートの内容 従来では特定の人員が手作業で行っていたパネルの組立作業の自動化に成功。 多品種かつ部品点数多い・更に接着材の塗布と正確な位置への部品貼り付け等、様々な難題をクリアして構築したシステム。 本レポートではこれらの一部をご紹介致します。 製造業においては、労働生産性の向上やコスト削減、品質の一貫性確保といった課題に直面している企業様も多いのではないでしょうか。 本記事では、組み立てロボットの基本概念、導入のメリット、そして成功事例について解説します。貴社の情報収取の一助になれば幸いでございます。 1.組み立てロボットとは 組み立て工程におけるロボットは、製造分野で使用される自動化機械の一種です。 このロボットは、精密な作業を迅速かつ正確に行う能力があり、製造業における作業効率と生産性の向上に大きく貢献しています。主に自動車、電子機器、家電製品の製造など、複雑な組み立て作業が求められる産業で活用されており、人間の作業員が行うには時間がかかる作業や危険を伴う作業を代行することで、安全性の向上とコスト削減を実現しています。 2.組み立てロボット導入のメリットとは 組み立てロボットの導入による主なメリットは、以下の3つに集約されます。 2-1.組み立てロボット導入のメリット①:ヒューマンエラーの防止 組み立てロボットは教示された命令に従って作業をおこないます。 これにより、人間の操作による間違いや誤動作の発生頻度を極めて少なくすることができます。 人間がおこなう作業は、疲労や注意散漫、経験の不足によるミスが発生しやすいですが、ロボットはこれらの要因に影響されることなく、一定品質の作業を実行することができます。 よって、ロボット導入をおこなうことで製造過程でのヒューマンエラーを大幅に削減することが可能となり、さらには製品の不良率減少、包括的な品質保証、顧客満足度の向上を見込むことができます。 2-2.組み立てロボット導入のメリット②:生産性の向上 自動化効果の出る構想設計をおこなうことを前提にすれば、組み立てロボットは効率的且つ正確に作業をおこなう能力を持っています。 これにより、製造ラインのスループットが大幅に向上し、より多くの製品を短時間で生産することが可能になります。 また、ロボットは人間と異なり、疲労や休憩の必要がないため、24時間体制での連続運転を実現することも可能です。 需要の高い業種や大量生産が求められる業種において、企業の収益性を大きく向上させる要因となります。 2-3.組み立てロボット導入のメリット③:人的コストの削減 ロボット導入をおこなうことで、人件費の大幅な削減を見込むことができます。 さらに、ロボットによる自動化が進むと、人間はより専門的で創造的な業務に集中することができます。 特に単調で繰り返しの多い作業や物理的に負担の大きい作業をロボットが担うことができれば、労働力を効率的に配分し、企業全体の生産性の向上を図ることができます。 また、労働災害のリスクが減少することで、関連する保険料や健康管理コストの削減にも繋がります。 これらのメリットにより、組み立てロボットは製造業のコスト効率の向上、生産性の向上、そして製品品質の一貫性と信頼性の強化に大きく寄与します。 これにより、企業は競争力を維持し、市場での優位性を確保するための重要な手段を得ることができます。 3.組み立てロボット導入成功事例3選 続いて、組み立てロボットの導入に成功した3社の事例についてご紹介します。 3-1.組み立てロボット導入成功事例①:グローリー株式会社 グローリー株式会社では、レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入し、自動化に成功しました。 従来は人手による柔軟な作業方式で生産をおこなっていましたが、労働力不足・競争力の確保を背景として、ロボット導入に踏み切りました。 結果として5名の省人化に成功し、労働生産性を2倍に引き上げました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ レジ釣銭機用部品の組立・検査工程にロボット導入) 3-2.組み立てロボット導入成功事例②:コーセーエンジニアリング株式会社 コーセーエンジニアリング株式会社では、ワイヤーハーネスの製造工程において自動化に成功しました。 具体的には、電線へのリング取付―マークチューブ取付―被覆を剥ぐ―端子取付―圧着までを全て人手作業からロボットによる作業に置き換えました。 結果的に、3名の省人化に成功しています。 さらに、属人性を排除することが可能となったため、品質不良の削減もおこおなうことができました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ ワイヤーハーネスの製造工程にロボット導入) 3-3.組み立てロボット導入成功事例③:株式会社山本電機製作所 山本電機製作所株式会社では、MEMSセンサ基盤のアッセンブリ工程において、ロボット導入に成功しました。具体的には、人手でおこなっていたワークの供給・排出作業や、接着材塗布のスイッチ操作を自動化しました。 自動化効果は以下のようになっています。 (引用 ロボット活用ナビ MEMSセンサ基板のアッセンブリ工程のロボット化による量産化実現) 4.まとめ いかがでしたでしょうか?ここまで組み立てロボットの概要とメリット、そして成功事例を紹介いたしました。組み立てロボットをうまく活用することができれば、その導入は労働生産性の向上、品質の安定化、そして人的コストの削減といった複数の面で顕著な効果をもたらします。 組み立てロボットの導入は、単に作業を自動化すること以上の価値を持っています。 それは、企業が市場での競争力を維持し、経済的な持続可能性を実現するための戦略的な選択と言えるでしょう。 さらに組み立てロボットについて情報収集をご希望の方は以下のセミナーページ、レポートページをご参照ください。 最後までお読みいただきありがとうございました。 ■関連するセミナーのご案内 多品種少量生産製造業のための組立・組付け工程の自動化セミナー セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/117937 ■組立工程のロボット活用成功事例解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory__00794 目次 1、多品種な複数部品の組み合わせによるパネル生産の自動化! 2、形状も材質も違う複数材料を一つのロボットでハンドリング! 3、部品形状に合わせた接着材を塗工し自動で貼り付け! レポートの内容 従来では特定の人員が手作業で行っていたパネルの組立作業の自動化に成功。 多品種かつ部品点数多い・更に接着材の塗布と正確な位置への部品貼り付け等、様々な難題をクリアして構築したシステム。 本レポートではこれらの一部をご紹介致します。

Excelを使った生産計画表の作成手順を紹介!Excelを使う際のメリット・デメリットも解説!

2024.07.22

1.生産計画とは 製造業における生産計画は、効率的な在庫管理とコスト削減を目指す上で重要な要素です。多くの会社が日程計画を立てる際に、Excelの活用が一般的ですが、その理由はシンプルで使いやすい点にあります。Excelはタスクを管理し、進捗状況を把握するための便利なソフトであり、ガントチャートなどの形式で進捗を表示することができます。 このシステムは、1日あたりの生産数量や工数を管理し、適切な資材の配置や原価の分析を行うことで、製造工程を最適化します。さらに、特定のタスクに応じたマクロを活用することで、業務の負担を軽減し、効率的な業務運営が可能になります。次に、Excelを使った生産計画表の作成手順を詳しく解説し、実績に基づいた分析を通じて、より高度な計画を立てる方法を探っていきます。 ⇒関連記事:AIを活用した生産計画自動作成システムとは? 2.製造業における生産計画表の作り方とは ステップ1:需要予測と目標設定 市場調査や過去のデータを基に、製品の今後の需要を予測します。 また、具体的な生産目標(製造量、納期、品質など)を設定します。 ステップ2:資源と生産能力の確認 原材料、設備、人員などのリソースを確認します。 また、生産ラインの能力や使用可能な作業時間を見積もります。 ステップ3:生産スケジュールの作成 需要予測と生産能力を基に、生産スケジュールを作成します。 各製品の製造開始日、終了日、各工程での作業時間を決定します。 ステップ4:進捗管理と調整 計画を実行し、進捗を管理します。 予期せぬ問題や変更が発生した場合は、計画を見直し、調整を行います。 3.生産計画表をエクセルで作成するメリット 生産計画表をエクセルで作成するメリット①:低コスト エクセルは多くの企業で既に導入されているため、追加の費用をかけずに利用できます。 生産計画表をエクセルで作成するメリット②:習得が容易 エクセルは多くの人にとって馴染みのあるソフトウェアで、基本的な使い方は容易に習得できます。 専門的なトレーニングが必要ないため、迅速に運用を開始できます。 生産計画表をエクセルで作成するメリット③:高い柔軟性 エクセルは柔軟性が高く、独自のニーズに合わせて自由にフォーマットや関数を設定できます。 細かいカスタマイズや独自のルール設定もエクセルなら容易です。 4.生産計画表をエクセルで作成するデメリット 生産計画表をエクセルで作成するデメリット①:入力ミスや計算ミスのリスク エクセルでは手動でデータを入力するため、入力ミスや計算ミスが発生しやすいです。 特に複雑な計算や多くのデータを扱う場合、これらのミスが大きな問題を引き起こす可能性があります。 生産計画表をエクセルで作成するデメリット②:処理能力の制約 大量のデータを処理する際、エクセルは動作が重たくなったり、不安定になることがあります。 大規模なデータや高頻度の更新が必要な場合、エクセルの効率が著しく低下します。 生産計画表をエクセルで作成するデメリット③:共同作業の難しさ エクセルファイルを複数のユーザーで同時に編集するのは困難です。 バージョン管理が複雑になり、異なるバージョンのファイルが複数存在することでデータの整合性を保つのが困難になります。 5.生産計画の管理に使えるAIとは 生産計画にAIを用いることで、複雑な条件下においても、最適な計画を立案することができます。 最適な計画を立案するアプローチ手法は様々あり、例えば遺伝的アルゴリズムを用いることで「納期」「段取り回数」「設備稼働率」など優先事項を変更しながら立案することができます。 これまでExcelやスケジューラ作成ではベテラン担当者が、条件や優先事項を加味して生産計画を作成していました。 この様々なことを加味することで専門性が高く難解で、計画立案は属人化しやすい作業になっていました。 AIを活用することでそのノウハウを誰でも活用しながら安定して品質で計画を立案することができ、人為的なミスの防止、業務効率向上、そして人材育成の悩みから解放してくれるしょう。 6.まとめ 生産計画の業務は難しく、また俗に「KKD」と言われる、経験・勘・度胸が必要な業務だと言われており多くの企業で属人化しています。 そこでこういった悩みを軽減するためのシステムがAIを活用した生産スケジューラです。 導入には様々なハードルがありますが、そのハードルを乗り越えるポイントを事前に理解していれば決して高いハードルではありません。 ハードルの乗り越え方や上記内容の詳細について、より具体的に詳細をお知りになりたい場合はお気軽に弊社にご相談ください。 最後までお読みいただきありがとうございました。 1.生産計画とは 製造業における生産計画は、効率的な在庫管理とコスト削減を目指す上で重要な要素です。多くの会社が日程計画を立てる際に、Excelの活用が一般的ですが、その理由はシンプルで使いやすい点にあります。Excelはタスクを管理し、進捗状況を把握するための便利なソフトであり、ガントチャートなどの形式で進捗を表示することができます。 このシステムは、1日あたりの生産数量や工数を管理し、適切な資材の配置や原価の分析を行うことで、製造工程を最適化します。さらに、特定のタスクに応じたマクロを活用することで、業務の負担を軽減し、効率的な業務運営が可能になります。次に、Excelを使った生産計画表の作成手順を詳しく解説し、実績に基づいた分析を通じて、より高度な計画を立てる方法を探っていきます。 ⇒関連記事:AIを活用した生産計画自動作成システムとは? 2.製造業における生産計画表の作り方とは ステップ1:需要予測と目標設定 市場調査や過去のデータを基に、製品の今後の需要を予測します。 また、具体的な生産目標(製造量、納期、品質など)を設定します。 ステップ2:資源と生産能力の確認 原材料、設備、人員などのリソースを確認します。 また、生産ラインの能力や使用可能な作業時間を見積もります。 ステップ3:生産スケジュールの作成 需要予測と生産能力を基に、生産スケジュールを作成します。 各製品の製造開始日、終了日、各工程での作業時間を決定します。 ステップ4:進捗管理と調整 計画を実行し、進捗を管理します。 予期せぬ問題や変更が発生した場合は、計画を見直し、調整を行います。 3.生産計画表をエクセルで作成するメリット 生産計画表をエクセルで作成するメリット①:低コスト エクセルは多くの企業で既に導入されているため、追加の費用をかけずに利用できます。 生産計画表をエクセルで作成するメリット②:習得が容易 エクセルは多くの人にとって馴染みのあるソフトウェアで、基本的な使い方は容易に習得できます。 専門的なトレーニングが必要ないため、迅速に運用を開始できます。 生産計画表をエクセルで作成するメリット③:高い柔軟性 エクセルは柔軟性が高く、独自のニーズに合わせて自由にフォーマットや関数を設定できます。 細かいカスタマイズや独自のルール設定もエクセルなら容易です。 4.生産計画表をエクセルで作成するデメリット 生産計画表をエクセルで作成するデメリット①:入力ミスや計算ミスのリスク エクセルでは手動でデータを入力するため、入力ミスや計算ミスが発生しやすいです。 特に複雑な計算や多くのデータを扱う場合、これらのミスが大きな問題を引き起こす可能性があります。 生産計画表をエクセルで作成するデメリット②:処理能力の制約 大量のデータを処理する際、エクセルは動作が重たくなったり、不安定になることがあります。 大規模なデータや高頻度の更新が必要な場合、エクセルの効率が著しく低下します。 生産計画表をエクセルで作成するデメリット③:共同作業の難しさ エクセルファイルを複数のユーザーで同時に編集するのは困難です。 バージョン管理が複雑になり、異なるバージョンのファイルが複数存在することでデータの整合性を保つのが困難になります。 5.生産計画の管理に使えるAIとは 生産計画にAIを用いることで、複雑な条件下においても、最適な計画を立案することができます。 最適な計画を立案するアプローチ手法は様々あり、例えば遺伝的アルゴリズムを用いることで「納期」「段取り回数」「設備稼働率」など優先事項を変更しながら立案することができます。 これまでExcelやスケジューラ作成ではベテラン担当者が、条件や優先事項を加味して生産計画を作成していました。 この様々なことを加味することで専門性が高く難解で、計画立案は属人化しやすい作業になっていました。 AIを活用することでそのノウハウを誰でも活用しながら安定して品質で計画を立案することができ、人為的なミスの防止、業務効率向上、そして人材育成の悩みから解放してくれるしょう。 6.まとめ 生産計画の業務は難しく、また俗に「KKD」と言われる、経験・勘・度胸が必要な業務だと言われており多くの企業で属人化しています。 そこでこういった悩みを軽減するためのシステムがAIを活用した生産スケジューラです。 導入には様々なハードルがありますが、そのハードルを乗り越えるポイントを事前に理解していれば決して高いハードルではありません。 ハードルの乗り越え方や上記内容の詳細について、より具体的に詳細をお知りになりたい場合はお気軽に弊社にご相談ください。 最後までお読みいただきありがとうございました。

ERP導入の目的やメリットは?デメリットや導入事例、導入の流れについても解説!

2024.07.22

「基幹システム刷新!」、「ERP導入!」というキーワードは聞きなれた言葉ではありますが、実際にERPとは?基幹システムとの違いは?などの疑問にお答えしたく、そこで今回はERPと基幹システムの違いについてわかりやすく解説いたします。 1.ERPとは? ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の資源を一元管理し、業務プロセスを最適化するための基幹業務の統合システムを指します。ERPは、財務、人事、製造、販売、在庫管理など、企業のさまざまな部門のデータを統合し、リアルタイムで情報を共有することができるシステムです。 これにより、経営判断の迅速化や業務効率の向上が期待されます。 2.ERPの導入目的 ERPの導入目的は、企業の業務プロセスを統合し、効率化することにあります。歴史を紐解くと、基幹業務に応じてシステムが別々に入れられてきたという経緯があります。これでは、各業務でデータベースは区切られてしまい、様々なデータを連動させるにも時間がかかってしまう上に、都度別のシステムにアクセスや同じデータの転記などといった無駄な業務も生じてしまいます。こういった問題を解決するためにERPは導入されるケースが多いです。 具体的には、データの一元管理による情報の可視化、業務の標準化、保守コストの低減、迅速な意思決定の支援などの効果を狙っての導入が挙げられます。 3.ERP導入の3つのメリット 1.情報の一元管理 特に、ERPの大きなメリットは、企業内の情報を一元管理しているということにあります。 これは、企業内のあらゆる情報を瞬時に一箇所に集められることを意味し、したがって経営分析や経営戦略の構築、経営の見える化という点でも大きなパワーを秘めているといえるのです。 2.業務効率化 また、システム同士のスムーズな連携によって業務効率が向上することもERPのメリットの一つです。 ERPでは、会計や販売、生産といった業務をまとめて管理できます。 ERPを導入すれば、それぞれの情報を個別に管理する煩雑さから解放され、効率よく業務を進められるようになるでしょう。 3.データドリブンな意思決定 次に、経営上の意思決定を迅速に行えることもERPの強みです。 情報の一元管理によって、経営層は企業内の状況を素早く正確に把握できるようになります。 その結果、経営層は会社にとって最適な意思決定を迅速に下すことが可能となるのです。 ERPには、成功企業のベストプラクティスを有効活用できるというメリットもあります。 ベストプラクティスとは、各業種において蓄積されたビジネスプロセスのノウハウのことです。 ERPパッケージが所有しているベストプラクティスを自社においても活用できるため、事業の効率的な成長が図れるでしょう。 4.ERP導入の3つのデメリット 1.選定の難しさ ERPのデメリットは、種類が多岐にわたるため、自社に合ったシステムを選ぶのが難しいことです。 目についたシステムを気軽に導入するのではなく、事前に検討を重ねることが重要です。 2.活用のハードルの高さ また、ERPを導入する前には社内教育をしっかりと行う必要があります。 ERPは業務効率を改善してくれるツールですが、社員が正しく使いこなさなければ意味がありません。 ERPを導入する前に、ERPが何の役に立つのか、どのように使うのかといったことを教育する必要がありますが、多機能なため教育に時間がかかるケースが多く、導入前にしっかりとてを打たないとメリットを出すまでに非常に時間がかかってしまいます。 3.導入コスト そして、導入にある程度のコストがかかることもERPのデメリットの一つです。 最近でこそ様々なパッケージ製品が出てきていますが、現在の業務に合わせてERPを導入するとなると、かなりの数のアドオン・カスタマイズが発生することになり、導入コストが高額になってしまう事が想定されます。 5.ERP導入事例3選 事例1.食品加工 X社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、属人的な判断をシステマチックな判断に変えることで業務を標準化すべく、ERPの導入に踏み切りました。発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が5%から2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例2.建材製造販売 Y社 Y社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 基本的に基幹システムは導入されておらず、エクセルで受注や製造の管理を行ってきました。 支店拡大に伴い、ERPを導入することに決めました。いままで出来ていなかったデータの一元管理を実現し、KPIや閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な業務を大幅に削減できました。 事例3.機械部品加工 Z社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、ERPを導入することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を30%削減しつつ、欠品率を5%から1%に改善することができました。 6.ERP導入の流れ ERPを実際に導入する前に、ERP導入の基本的な流れを押さえておきましょう。 ERPを導入する流れは、少しざっくりとした説明になりますが、以下の通りだと認識いただいて問題ありません。 1)現状分析・課題抽出 現行の業務プロセスを分析し、課題を洗い出します。 2)要求明確化 ERPシステムに求める要件を明確にします。 3)ベンダー選定 要件に合ったERPベンダー、ツールを選定します 4)要件定義 Fit&Gapを行い、本格的に必要な機能とアドオン・カスタマイズ内容を固め、正確な見積もりを算出してもらいます 5)システム設計・開発 業務プロセスに合わせたシステム設計・開発を行います。 6.)各種テスト システムの動作確認を行い、不具合を修正します。 7.)教育・訓練 従業員に対するシステムの操作・管理の教育訓練を行います。 8.)運用開始 システムの運用を開始します。 7.ERP導入に失敗しないためにおこなうべき4つのこと ERP導入はツールやベンダーを選択することも大切ですが、特に大切なポイントというのはその前段階にあります。 ここでは前段階の重要なポイントを4つご紹介します。 1つ目のプロセスは、ERPを導入する目的を明確にすることです。 ERPを導入することでどのような課題を解決したいのか、最初に明らかにしておきましょう。 それによって必要な機能が把握でき、導入するERPパッケージが選びやすくなります。 また、社員にERPの導入目的を説明するうえでも役に立ちます。 2つ目のプロセスは、プロジェクトの責任者を選定し、各部署の担当者を巻き込むことです。 ERPに関するプロジェクトは社内の業務全般に関わるため、広い範囲をカバーできるように必ず2人以上の推進者を選ぶようにしてください。 推進者に適している人材としては、部署間をまたいで発言できる経営層に近い役職者が挙げられます。 推進者の次に、各部署でプロジェクトの責任を負う担当者を選び、打ち合わせを進めていきます。 3つ目のプロセスは、ERP導入に関わる業務プロセスなどについて棚卸ししておくことです。 今後ERPで管理することになる業務について、今はどのようなツールで管理しているのかを確かめておきましょう。 業務プロセスは各企業に固有のものなので、基本的には自社で棚卸しを進める必要があります。 4つ目のプロセスは、ERPでカバーできる範囲に合わせて新しい業務フローを構築することです。 棚卸しした業務内容を基に、ERPでどの範囲までをカバーするのかということを決めていきましょう。 これを準備しないと、現状の業務を焼き直すようなシステム実装となってしまうため、改善効果が薄くなってしまうため注意が必要です。 8.ERP導入に関するよくある質問 最後に、ERP導入に関するよくある質問にお答えしたいと思います。 ○ERPの導入費用はいくらですか? ERPの導入費用は、企業の規模や導入するシステムの範囲によって大きく異なります。一般的には数千万円程度が必要とされますが、クラウド型のERPシステムを利用することで、初期費用を抑えることも可能です。 ○ERP導入にはどのくらいの期間がかかりますか? 導入するERPの種類にもよって期間は大きく変わります。開発を伴わないのであれば、通常6ヶ月から1年程度、開発を伴うのであれば(事業部数にもよりますが)1年以上の期間がかかります。 企業の規模や業務プロセスの複雑さによっては、さらに長期間を要する場合も大いにありえます。 ○中小企業におけるERP導入状況は? 中小企業においても、業務効率化やコスト削減を目的にERPシステムの導入が進んでいます。特にクラウド型のERPシステムは、初期費用が低く、スケーラビリティが高いため、中小企業にとって導入しやすい選択肢となっています。 以上です。 このコラムが皆様のERP検討に少しでも役立てば幸いです。 また、弊社では様々なノウハウをもとにERPの導入・活用のご支援を行っております。ご興味のある方はぜひご相談いただければと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。 「基幹システム刷新!」、「ERP導入!」というキーワードは聞きなれた言葉ではありますが、実際にERPとは?基幹システムとの違いは?などの疑問にお答えしたく、そこで今回はERPと基幹システムの違いについてわかりやすく解説いたします。 1.ERPとは? ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の資源を一元管理し、業務プロセスを最適化するための基幹業務の統合システムを指します。ERPは、財務、人事、製造、販売、在庫管理など、企業のさまざまな部門のデータを統合し、リアルタイムで情報を共有することができるシステムです。 これにより、経営判断の迅速化や業務効率の向上が期待されます。 2.ERPの導入目的 ERPの導入目的は、企業の業務プロセスを統合し、効率化することにあります。歴史を紐解くと、基幹業務に応じてシステムが別々に入れられてきたという経緯があります。これでは、各業務でデータベースは区切られてしまい、様々なデータを連動させるにも時間がかかってしまう上に、都度別のシステムにアクセスや同じデータの転記などといった無駄な業務も生じてしまいます。こういった問題を解決するためにERPは導入されるケースが多いです。 具体的には、データの一元管理による情報の可視化、業務の標準化、保守コストの低減、迅速な意思決定の支援などの効果を狙っての導入が挙げられます。 3.ERP導入の3つのメリット 1.情報の一元管理 特に、ERPの大きなメリットは、企業内の情報を一元管理しているということにあります。 これは、企業内のあらゆる情報を瞬時に一箇所に集められることを意味し、したがって経営分析や経営戦略の構築、経営の見える化という点でも大きなパワーを秘めているといえるのです。 2.業務効率化 また、システム同士のスムーズな連携によって業務効率が向上することもERPのメリットの一つです。 ERPでは、会計や販売、生産といった業務をまとめて管理できます。 ERPを導入すれば、それぞれの情報を個別に管理する煩雑さから解放され、効率よく業務を進められるようになるでしょう。 3.データドリブンな意思決定 次に、経営上の意思決定を迅速に行えることもERPの強みです。 情報の一元管理によって、経営層は企業内の状況を素早く正確に把握できるようになります。 その結果、経営層は会社にとって最適な意思決定を迅速に下すことが可能となるのです。 ERPには、成功企業のベストプラクティスを有効活用できるというメリットもあります。 ベストプラクティスとは、各業種において蓄積されたビジネスプロセスのノウハウのことです。 ERPパッケージが所有しているベストプラクティスを自社においても活用できるため、事業の効率的な成長が図れるでしょう。 4.ERP導入の3つのデメリット 1.選定の難しさ ERPのデメリットは、種類が多岐にわたるため、自社に合ったシステムを選ぶのが難しいことです。 目についたシステムを気軽に導入するのではなく、事前に検討を重ねることが重要です。 2.活用のハードルの高さ また、ERPを導入する前には社内教育をしっかりと行う必要があります。 ERPは業務効率を改善してくれるツールですが、社員が正しく使いこなさなければ意味がありません。 ERPを導入する前に、ERPが何の役に立つのか、どのように使うのかといったことを教育する必要がありますが、多機能なため教育に時間がかかるケースが多く、導入前にしっかりとてを打たないとメリットを出すまでに非常に時間がかかってしまいます。 3.導入コスト そして、導入にある程度のコストがかかることもERPのデメリットの一つです。 最近でこそ様々なパッケージ製品が出てきていますが、現在の業務に合わせてERPを導入するとなると、かなりの数のアドオン・カスタマイズが発生することになり、導入コストが高額になってしまう事が想定されます。 5.ERP導入事例3選 事例1.食品加工 X社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、属人的な判断をシステマチックな判断に変えることで業務を標準化すべく、ERPの導入に踏み切りました。発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が5%から2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例2.建材製造販売 Y社 Y社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 基本的に基幹システムは導入されておらず、エクセルで受注や製造の管理を行ってきました。 支店拡大に伴い、ERPを導入することに決めました。いままで出来ていなかったデータの一元管理を実現し、KPIや閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な業務を大幅に削減できました。 事例3.機械部品加工 Z社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、ERPを導入することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を30%削減しつつ、欠品率を5%から1%に改善することができました。 6.ERP導入の流れ ERPを実際に導入する前に、ERP導入の基本的な流れを押さえておきましょう。 ERPを導入する流れは、少しざっくりとした説明になりますが、以下の通りだと認識いただいて問題ありません。 1)現状分析・課題抽出 現行の業務プロセスを分析し、課題を洗い出します。 2)要求明確化 ERPシステムに求める要件を明確にします。 3)ベンダー選定 要件に合ったERPベンダー、ツールを選定します 4)要件定義 Fit&Gapを行い、本格的に必要な機能とアドオン・カスタマイズ内容を固め、正確な見積もりを算出してもらいます 5)システム設計・開発 業務プロセスに合わせたシステム設計・開発を行います。 6.)各種テスト システムの動作確認を行い、不具合を修正します。 7.)教育・訓練 従業員に対するシステムの操作・管理の教育訓練を行います。 8.)運用開始 システムの運用を開始します。 7.ERP導入に失敗しないためにおこなうべき4つのこと ERP導入はツールやベンダーを選択することも大切ですが、特に大切なポイントというのはその前段階にあります。 ここでは前段階の重要なポイントを4つご紹介します。 1つ目のプロセスは、ERPを導入する目的を明確にすることです。 ERPを導入することでどのような課題を解決したいのか、最初に明らかにしておきましょう。 それによって必要な機能が把握でき、導入するERPパッケージが選びやすくなります。 また、社員にERPの導入目的を説明するうえでも役に立ちます。 2つ目のプロセスは、プロジェクトの責任者を選定し、各部署の担当者を巻き込むことです。 ERPに関するプロジェクトは社内の業務全般に関わるため、広い範囲をカバーできるように必ず2人以上の推進者を選ぶようにしてください。 推進者に適している人材としては、部署間をまたいで発言できる経営層に近い役職者が挙げられます。 推進者の次に、各部署でプロジェクトの責任を負う担当者を選び、打ち合わせを進めていきます。 3つ目のプロセスは、ERP導入に関わる業務プロセスなどについて棚卸ししておくことです。 今後ERPで管理することになる業務について、今はどのようなツールで管理しているのかを確かめておきましょう。 業務プロセスは各企業に固有のものなので、基本的には自社で棚卸しを進める必要があります。 4つ目のプロセスは、ERPでカバーできる範囲に合わせて新しい業務フローを構築することです。 棚卸しした業務内容を基に、ERPでどの範囲までをカバーするのかということを決めていきましょう。 これを準備しないと、現状の業務を焼き直すようなシステム実装となってしまうため、改善効果が薄くなってしまうため注意が必要です。 8.ERP導入に関するよくある質問 最後に、ERP導入に関するよくある質問にお答えしたいと思います。 ○ERPの導入費用はいくらですか? ERPの導入費用は、企業の規模や導入するシステムの範囲によって大きく異なります。一般的には数千万円程度が必要とされますが、クラウド型のERPシステムを利用することで、初期費用を抑えることも可能です。 ○ERP導入にはどのくらいの期間がかかりますか? 導入するERPの種類にもよって期間は大きく変わります。開発を伴わないのであれば、通常6ヶ月から1年程度、開発を伴うのであれば(事業部数にもよりますが)1年以上の期間がかかります。 企業の規模や業務プロセスの複雑さによっては、さらに長期間を要する場合も大いにありえます。 ○中小企業におけるERP導入状況は? 中小企業においても、業務効率化やコスト削減を目的にERPシステムの導入が進んでいます。特にクラウド型のERPシステムは、初期費用が低く、スケーラビリティが高いため、中小企業にとって導入しやすい選択肢となっています。 以上です。 このコラムが皆様のERP検討に少しでも役立てば幸いです。 また、弊社では様々なノウハウをもとにERPの導入・活用のご支援を行っております。ご興味のある方はぜひご相談いただければと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。

製造業DXとは?DXのメリットや、成功事例をわかりやすく解説!

2024.07.22

いつもご愛読いただきありがとうございます。 この記事では、DXの定義から、製造業におけるDXの成功事例・メリットについて、またDX実現への課題や実現プロセスについて詳しく解説します。製造業におけるDXの糸口を模索中の皆さまはぜひ最後までお読みください。 1.製造業におけるDX 近年、製造業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。DXとは、具体的にどういったものを指すのでしょうか? 1-1.そもそもDXとは そもそも、DXの定義はなんでしょうか?媒体によってさまざまな表現がなされていますが、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年)には、以下のように示されています。 「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション): 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」 また、経済産業省の資料には、わかりやすく以下のように記載されています。 「そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か: デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。 また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。」 これらをまとめると、DXとは、「ICTの技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」だと言えます。 全社横断的な変革を実現し、且つお客様に価値を提供して初めてDXを“実現できている”ということができます。DXは、デジタル技術を活用して事業モデルや業務プロセス、組織文化、従業員の意識をイノベーションすることが求められます。 よく言われることですが、単にITシステムを導入するだけではDXとはいえません。例えば、RFIDタグを活用して日報の手書き作業をなくしたとしても、DXとはいえません。生産性は上がりますが、業務プロセスのなかの部分的な改善にとどまっているためです。この場合はDXではなくデジタイゼーション (アナログ・物理データのデジタルデータ化)といいます。 では、製造業におけるDXとはどういった状況でしょうか。 1-2.DXが必要とされる背景 インターネットやデジタル化の発展により、製造業においても経済成長のスピードについていくためにはDXは欠かせないものです。詳しく解説します。 ◆デジタル化されていないと、すべてにおいて時間がかかり競争力が低下する 現代では、デジタル技術やデータを活用し、業務や判断がよりスピーディーに行われるようになってきており、年々そのスピードは上がっています。物事をKKD(勘、経験、度胸)に頼って判断していくことは、(判断は早い場合もありますが、)属人的でもあり、正確性にもかけてしまいます。データや事実に基づいた分析・改善をおこなっていくことで、よりムダのない、より成功確率の高い判断をしていくことが求められています。DXを実現できていない企業では、DXを実現してデータ活用をおこなっている企業と比較して、すべての面において大きな差が生まれ、競争力が低下するというのは明らかです。 ◆新人・若手の確保が難しくなる Paperlogic社の調査によると、2021年2月25日の段階で2021年の新卒社員の43.1%が、企業のDX推進具合を企業選考の基準としていたことが分かりました。DX推進具合を企業選考の基準とした理由としては「DXに限らず、今後必要になってくる事を積極的に取り入れる会社かどうか見極めるポイントになると考えたから」「社会情勢に応じて、柔軟な対応ができる企業に勤めたいと思っていたから」などが挙げられていました。より社会の変化に敏感になっている学生や若手社員にとって、DXへの姿勢は「この先やっていけるか」を判断する大変重要な要素になるということが分かります。 ◆脱炭素の実現やサプライチェーン強靭化に対応していないと競争力が低下する 近年では、カーボンニュートラルの実現や、サプライチェーン全体における最適化の動きが強まっています。 2016年に「パリ協定」が発効されました。これは、気候変動問題を世界共通の課題として、それぞれの国々で温室効果ガスの削減に取り組むという合意事項のことです。 それにともない、日本でも、2020年10月に政府が「カーボンニュートラル」を掲げて、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという宣言をしています。 日本の温室効果ガスの排出量の78%は、企業や公共事業が発生源となっています。そのため、脱炭素化を実現するためには企業の協力が必要です。これまでは大企業が中心でしたが、現在は中小企業においても、脱炭素化をめざす取り組みが求められるようになっています。 中でも製造業においては、業務の関係上、温室効果ガスの排出量が他の業種よりも多く、とくに脱炭素化への取り組みが求められている状況です。 皆様の中でも、脱炭素の取り組みについて取引先から聞かれることはありませんか? 例えば、他社から「製造品あたりのCO2排出量を教えてほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 近年では、自社だけでなく、発注先会社の製造過程におけるCO2排出量なども考慮していく気運が高まっています。その中にあって、上記のような質問に答えるには、営業や、製造工程において使用する電力量、化石燃料使用量、メタン排出量etc..など、さまざまな製造データを収集し、統合する必要があります。 また、サプライチェーンについても同様のことが言えます。各社が持つ在庫情報や消費者ニーズを把握し、全体最適化していく気運が高まっています。同じように、他社から「製造品の発注数・受注数・在庫数データを共有してほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 上記のような質問に答えるには、在庫情報や消費者ニーズの情報をデータに落とし込む必要があります。中長期的なSCM (サプライチェーンマネジメント)の観点からみれば、ERPやCRMを活用していない企業は競争力が低下することが懸念されています。 カーボンニュートラルの実現も、SCMの最適化も、どちらも自社でデータを収集し、データを活用できる社内環境が整備されていなければならず、これは簡単にできることではありませんが、近い将来対応して行かなければならないテーマです。 1-3.日本のDXの現状 では、日本の製造業においてDXの推進状況はどのようになっているのでしょうか? 調査では、日本企業のDXの取り組みはゆっくりではあるものの順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。一方で、DXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取り組み項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られず、特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであるとしています。 日本企業のDXの取り組みについては、2021年度から年々増加傾向で、今回調査時点では7割強がDXに取り組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあると説明。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していると分析しています。 (引用:DX動向2024) DXの取り組みにおいて、設定した目的に対する成果が出ているかという質問では、「成果が出ている」と回答した企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加しています。 一方で、2022年度の米国調査では、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答しており、DXの取り組みは米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられるとしています。 2.デジタルシフト成功事例3選 国内にはDXまでいかなくても、アナログ的な手法から脱却してデジタルシフトに成功している工場はたくさんあります。ここでは成功事例を3つ紹介します。 2-1.デジタルシフト成功事例①:J社 J社では、基幹システム刷新と業務改革によって、DXの推進をおこなっています。 業種 鋳造・機械加工・表面処理業 DX化効果 300万円/年のコスト削減/作業時間の短縮 J社では、生産管理・会計管理・在庫管理・原価管理などのそれぞれの管理項目において、それぞれ別のシステムを用いて管理をおこなっていましたが、基幹システムの刷新に際し、さまざまな管理項目の一元化をおこないました。 その際に、現状業務フローの把握⇒フローの見直しをおこない、パッケージシステムに業務を合わせることで、全社横断的に2重/3重入力の排除、属人化の排除を実現しました。近年では、年間300万円のコスト削減に成功しています。 2-2.デジタルシフト成功事例②:S社 S 社では、これまで手作業だった作業に協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 デジタライゼーション化効果 年間工数1200時間削減 投資金額 500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。 ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:工場の自動化 (ファクトリーオートメーション) とは?成功事例5選やメリット、実現までの流れを一挙解説! 2-3.デジタルシフト成功事例②:S社 S社では、これまで目視で行われていた樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 デジタライゼーション化効果 検査人員2名削減・1400万円/年のコスト削減 投資金額 4300万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 ⇒関連記事:AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは? 3.DXの3つのメリット 製造業における、DXのメリットは以下の3点です。 3-1.DXのメリット①:生産性の向上 DXにより、工場の自動化や無人化が進むことで、生産性が大幅に向上します。IoTセンサーによるデータ収集や、AIを活用した最適化により、ムダな動作を排除し、無駄なく効率的に製造できるようになります。また、ロボットやコンベアなどの自動化設備の導入により、人的ミスを最小限に抑えることができます。 3-2.DXのメリット②:品質の安定化 DXを推進することで、製品の品質を安定的に保つことができます。例えば、ロボットによる自動組立てなどにより、人的なばらつきを排除でき、均一な製品を作り出せます。また、センサーでデータを常時監視することで、不良品の発生を未然に防ぐことも可能です。このように、DXは製品の品質保証に大きく貢献します。 3-3.DXのメリット③:顧客視点での製品開発 DXを進めることで、顧客の声をリアルタイムで製品開発に反映しやすくなります。例えば、IoTデバイスから集まる顧客の使用実態データや、SNSでの声などを分析することで、顧客のニーズをリアルタイムで製品にフィードバックすることができます。その上で、サンプル製品のシミュレーションや試作を効率的におこなえば、顧客目線での開発が可能となります。 4.製造業におけるDXの5つの課題 製造業における、DXの課題は以下の5点に集約されます。自社でもココが課題になっている、と感じるところはあるのではないでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 4-1.製造業におけるDXの課題①:技術者の不足と社内教育への投資不足 DXにおいては、専門的な技術者やデジタルスキルに精通した人材が不足していることが課題の一つに挙げられます。広範囲にわたる技術的知識がなければ、DXの構想を考えることは難しいでしょう。更に、社内に技術者がいたとしても、他の従業員が最新のテクノロジーやデジタルツールについて一定程度理解していないと、宝の持ち腐れになってしまいます。デジタル技術を活用するための、社内教育への投資をおこなうことも重要です。 4-2.製造業におけるDXの課題②:旧来システムとの統合 製造業は歴史が古く、既存のシステムが複雑に絡み合っている企業が多いのが実情です。そのため、最新のデジタル技術を導入する際に、旧来のシステムとの親和性が課題となります。直近でいえば、2025年の崖問題が目前に迫っています。社内の状況によっては、一気にシステム刷新をする必要もあるかもしれません。 ⇒関連記事:2025年の崖を対策をしなかった場合の5つのリスク 4-3.製造業におけるDXの課題③:データの統合や分析プロセスの確立の難しさ 製造業では、工数データ、生産実績データなどの膨大な量のデータが生まれますが、それらのデータを統合し、分析する手法の確立は非常に困難です。管理する項目(生産管理、原価管理など)ごとにシステムを導入しており、スムーズなデータ統合ができないケースも多く存在します。また、データの品質や信頼性も重要な課題となっています。例えば工数データをRFIDで取得したとしても、データ利活用に必要十分な工数実績が正しく取得できているとは限りません。 4-4.製造業におけるDXの課題④:かさむ投資コスト DX化の必要性は理解しているが、コストがかかりすぎてしまい、投資に踏み切れない、という工場も多いでしょう。例えば、社内システムを統合しようとすれば、多方面に開発費用がかかってしまい、その分コストは上がります。自社の状況に合わせ、何から手をつけていけば最適なのか?をよく検討する必要があります。 しかし、近年は補助金制度が充実しています。諸条件はありますが、補助金を活用することで、通常よりも少ない投資金額で設備を導入することができるでしょう。 ⇒関連記事:ものづくり補助金最新動向 4-5.製造業におけるDXの課題⑤:従来の組織文化やプロセスの変革への抵抗 DXは、業務プロセスを抜本的に改革していく取り組みです。そのため、従業員の協力が得られない限りは効果的に推進することはできません。DXを推進していくためには、それぞれの部署に対して趣旨の共有をおこない、合意形成を取っていく必要があります。人間の感情や、部署間の関係性がおおいに関わってくる領域になるため、最も大きな課題の一つということができます。 いかがでしたでしょうか。上記の課題が自社にあてはまっている…と感じる方は、船井総研の無料経営相談サービスを活用ください。専門のコンサルタントが対応し、豊富な他社事例やDXの方法などを情報共有いたします。 ⇒船井総研の無料経営相談フォームはこちら 5.DXを進めるためのプロセス 製造業がDXを推進する際のプロセスは、おおよそ以下のようになります。 ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 ステップ2: 全体構想と意識改革 ステップ3: 本格推進 (参考:経済産業省 デジタルガバナンスコード実践の手引き) それぞれのステップについて解説していきます。 5-1.ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 会社が目指すべき方向性を明確化します。 経営層の観点から、なぜ改革をおこなっていくのか、また目指すべき目標がなにかを議論していきます。生産性の向上、コスト削減、新しいビジネスモデルの構築などが目標として設定されます。 ビジョン・戦略策定の時点で目的や目標があいまいになってしまうと、全社的な合意形成を取ることが難しくなるため、注意が必要です。 5-2.ステップ2: 全体構想と意識改革 ビジョン達成のためのDXの構想を設計し、また社内の意識改革を促します。 一口にDXといっても、会社の業種や状況によってさまざまな解があります。目指すビジョンと現状の差を把握しながら、全体設計をおこなうことが非常に重要です。また、経営者が自らDX推進の必要性を理解し、従業員に共有することで、社内に変革を受け入れる空気感を醸成します。“経営者が自ら”旗振り役として推進していくことで、プロジェクトを進めやすくなります。 このタイミングでDXを推進するメンバーを選定し、プロジェクトを立ち上げますが、エンジニアやシステム導入の知見があるメンバーがいない場合は、外部から人材を採用したり、コンサルタント・SIer活用の検討もおこなう必要があります。 ⇒関連記事:DXロードマップのポイントと戦略的手法を解説!製造業のDX化を成功に導く方法とは? 5-3.ステップ3:本格推進 プロジェクトメンバー主導で、業務プロセスの現状把握・見直しとシステム構築をおこなっていきます。 既存の業務プロセス、インフラ、データ管理の状態を評価し、目標と現実とのギャップを正確に把握します。現状、現場で起きている不都合は何か?目的達成のために、今足りない部分はどこなのか?細かく精査をしていく必要があります。現状評価が不十分だと、適切なプロジェクト策定は行えません。 現状の業務プロセスが把握できたら、データの収集、管理、分析、活用のための戦略を立て、実行にうつります。多くの施策に同時並行で着手すると、プロジェクトメンバーや従業員への負荷が大きく、スムーズに進めることが難しくなってしまいます。はじめはスモールステップ的に実行していくことが重要です。 DXの成果は定期的に評価し、フィードバックを基に持続的な改善を実施する。生産性やコスト削減のKPIを設定し、定量的な評価を行います。成果の評価が適切でないと、改善の余地が見落とされるため、客観的で透明性のある評価プロセスを確立することが重要です。 6.製造業でDXを実現させるための3つのポイント 6-1.工場の自動化を実現する際のポイント①:経営者が旗振り役となること まず第一に、「経営者が旗振り役となって、DXを進めていくこと」が極めて重要です。経営者自身がDXの重要性を深く理解し、自らが先頭に立って取り組む姿勢を示すことで、組織全体が一丸となって改革に取り組む風土が生まれます。反対に、会社をどうしていきたいのか?理想に近づくためにデジタル技術をどのように活用していくのか?などのコアな部分を従業員やコンサル会社任せにしてしまうと、どこかに齟齬が生まれてしまい、理想的な成果を上げることは難しいでしょう。経営者が率先してビジョンや目標を社員と共有し、具体的なアクションプランを策定することができれば、DXの推進力を格段に上げることができます。 6-2.工場の自動化を実現する際のポイント②:中長期的な取り組みをスモールステップで推進 次に重要なのは、「中長期的な取り組みをスモールステップで推進すること」です。DXは時間も、お金も、労力もかかる取り組みであり、1、2年という短期間で本当の効果が出るものではありません。急激に進めようとすれば、従業員への負荷が高まり、かえって生産性が低下するリスクがあります。 そのため、まずはスモールステップで着実に進めることが重要ですが、小さなステップだけを繰り返していては、最終的なゴールにはたどり着くことができません。したがって、「5年や10年先を見据えた中長期的なビジョンを持ちつつ、現在できることに集中して取り組む」というような中長期的なゴールと短期的なゴールの両方を見据えながら取り組みを進めることが重要です。具体的には、まず既存の生産プロセスの一部をデジタル化し、小さな成功体験を積み重ねると共に、従業員の慣れやスキルを向上させます。これによって、次第により複雑で広範囲なDXの取り組みに挑戦することが可能となります。 6-3.工場の自動化を実現する際のポイント③:人材育成と外部リソースの活用 最後に重要な点は、「人材育成と外部リソースの活用」です。DX推進にはデジタル技術に精通した人材が不可欠であり、これを内部で育てるための育成プログラムの整備が求められます。作業者が導入したツールや技術を構想通りに活用できる様、サポートしていくことが重要です。 さらに、デジタル技術の専門知識やスキルが不足している場合には、外部の専門家やコンサルタントの力を借りることが効果的です。コンサルタントや専門企業の知見を活用することで、効率的かつ迅速にDXを進めることができます。社内人材のみでDXを推進する場合は、既存の業務と平行して進める必要があるため、プロジェクトに十分な時間を割くことができない、というジレンマがあります。プロジェクトを迅速に進めたい方は、外部リソースの活用を強く推奨します。 最後までお読みいただきありがとうございました。 製造業におけるDX推進の成功に向けた具体的なステップと重要なポイントがご理解いただけたでしょうか?自社のDX実現においてお困りの際は、船井総研の無料経営相談をご活用ください。特に、以下のようなお悩みをお持ちの際は、是非弊社の無料経営相談をご活用ください。 ⇒ 船井総研の無料経営相談はこちらから! 自社でDXを推進しようと、すでにシステムを導入したが、なかなかうまくいかない… 現場の反発が大きく思うようにプロジェクトが進まない… DXを進めていきたいが、何から手を付けたらよいかわからない…アイデアが欲しい… 専門のコンサルタントが豊富な他社事例を共有しながら、貴社に最適なご提案をさせていただきます。 いつもご愛読いただきありがとうございます。 この記事では、DXの定義から、製造業におけるDXの成功事例・メリットについて、またDX実現への課題や実現プロセスについて詳しく解説します。製造業におけるDXの糸口を模索中の皆さまはぜひ最後までお読みください。 1.製造業におけるDX 近年、製造業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。DXとは、具体的にどういったものを指すのでしょうか? 1-1.そもそもDXとは そもそも、DXの定義はなんでしょうか?媒体によってさまざまな表現がなされていますが、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年)には、以下のように示されています。 「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション): 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」 また、経済産業省の資料には、わかりやすく以下のように記載されています。 「そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か: デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。 また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。」 これらをまとめると、DXとは、「ICTの技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」だと言えます。 全社横断的な変革を実現し、且つお客様に価値を提供して初めてDXを“実現できている”ということができます。DXは、デジタル技術を活用して事業モデルや業務プロセス、組織文化、従業員の意識をイノベーションすることが求められます。 よく言われることですが、単にITシステムを導入するだけではDXとはいえません。例えば、RFIDタグを活用して日報の手書き作業をなくしたとしても、DXとはいえません。生産性は上がりますが、業務プロセスのなかの部分的な改善にとどまっているためです。この場合はDXではなくデジタイゼーション (アナログ・物理データのデジタルデータ化)といいます。 では、製造業におけるDXとはどういった状況でしょうか。 1-2.DXが必要とされる背景 インターネットやデジタル化の発展により、製造業においても経済成長のスピードについていくためにはDXは欠かせないものです。詳しく解説します。 ◆デジタル化されていないと、すべてにおいて時間がかかり競争力が低下する 現代では、デジタル技術やデータを活用し、業務や判断がよりスピーディーに行われるようになってきており、年々そのスピードは上がっています。物事をKKD(勘、経験、度胸)に頼って判断していくことは、(判断は早い場合もありますが、)属人的でもあり、正確性にもかけてしまいます。データや事実に基づいた分析・改善をおこなっていくことで、よりムダのない、より成功確率の高い判断をしていくことが求められています。DXを実現できていない企業では、DXを実現してデータ活用をおこなっている企業と比較して、すべての面において大きな差が生まれ、競争力が低下するというのは明らかです。 ◆新人・若手の確保が難しくなる Paperlogic社の調査によると、2021年2月25日の段階で2021年の新卒社員の43.1%が、企業のDX推進具合を企業選考の基準としていたことが分かりました。DX推進具合を企業選考の基準とした理由としては「DXに限らず、今後必要になってくる事を積極的に取り入れる会社かどうか見極めるポイントになると考えたから」「社会情勢に応じて、柔軟な対応ができる企業に勤めたいと思っていたから」などが挙げられていました。より社会の変化に敏感になっている学生や若手社員にとって、DXへの姿勢は「この先やっていけるか」を判断する大変重要な要素になるということが分かります。 ◆脱炭素の実現やサプライチェーン強靭化に対応していないと競争力が低下する 近年では、カーボンニュートラルの実現や、サプライチェーン全体における最適化の動きが強まっています。 2016年に「パリ協定」が発効されました。これは、気候変動問題を世界共通の課題として、それぞれの国々で温室効果ガスの削減に取り組むという合意事項のことです。 それにともない、日本でも、2020年10月に政府が「カーボンニュートラル」を掲げて、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという宣言をしています。 日本の温室効果ガスの排出量の78%は、企業や公共事業が発生源となっています。そのため、脱炭素化を実現するためには企業の協力が必要です。これまでは大企業が中心でしたが、現在は中小企業においても、脱炭素化をめざす取り組みが求められるようになっています。 中でも製造業においては、業務の関係上、温室効果ガスの排出量が他の業種よりも多く、とくに脱炭素化への取り組みが求められている状況です。 皆様の中でも、脱炭素の取り組みについて取引先から聞かれることはありませんか? 例えば、他社から「製造品あたりのCO2排出量を教えてほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 近年では、自社だけでなく、発注先会社の製造過程におけるCO2排出量なども考慮していく気運が高まっています。その中にあって、上記のような質問に答えるには、営業や、製造工程において使用する電力量、化石燃料使用量、メタン排出量etc..など、さまざまな製造データを収集し、統合する必要があります。 また、サプライチェーンについても同様のことが言えます。各社が持つ在庫情報や消費者ニーズを把握し、全体最適化していく気運が高まっています。同じように、他社から「製造品の発注数・受注数・在庫数データを共有してほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 上記のような質問に答えるには、在庫情報や消費者ニーズの情報をデータに落とし込む必要があります。中長期的なSCM (サプライチェーンマネジメント)の観点からみれば、ERPやCRMを活用していない企業は競争力が低下することが懸念されています。 カーボンニュートラルの実現も、SCMの最適化も、どちらも自社でデータを収集し、データを活用できる社内環境が整備されていなければならず、これは簡単にできることではありませんが、近い将来対応して行かなければならないテーマです。 1-3.日本のDXの現状 では、日本の製造業においてDXの推進状況はどのようになっているのでしょうか? 調査では、日本企業のDXの取り組みはゆっくりではあるものの順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。一方で、DXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取り組み項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られず、特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであるとしています。 日本企業のDXの取り組みについては、2021年度から年々増加傾向で、今回調査時点では7割強がDXに取り組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあると説明。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していると分析しています。 (引用:DX動向2024) DXの取り組みにおいて、設定した目的に対する成果が出ているかという質問では、「成果が出ている」と回答した企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加しています。 一方で、2022年度の米国調査では、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答しており、DXの取り組みは米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられるとしています。 2.デジタルシフト成功事例3選 国内にはDXまでいかなくても、アナログ的な手法から脱却してデジタルシフトに成功している工場はたくさんあります。ここでは成功事例を3つ紹介します。 2-1.デジタルシフト成功事例①:J社 J社では、基幹システム刷新と業務改革によって、DXの推進をおこなっています。 業種 鋳造・機械加工・表面処理業 DX化効果 300万円/年のコスト削減/作業時間の短縮 J社では、生産管理・会計管理・在庫管理・原価管理などのそれぞれの管理項目において、それぞれ別のシステムを用いて管理をおこなっていましたが、基幹システムの刷新に際し、さまざまな管理項目の一元化をおこないました。 その際に、現状業務フローの把握⇒フローの見直しをおこない、パッケージシステムに業務を合わせることで、全社横断的に2重/3重入力の排除、属人化の排除を実現しました。近年では、年間300万円のコスト削減に成功しています。 2-2.デジタルシフト成功事例②:S社 S 社では、これまで手作業だった作業に協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 デジタライゼーション化効果 年間工数1200時間削減 投資金額 500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。 ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:工場の自動化 (ファクトリーオートメーション) とは?成功事例5選やメリット、実現までの流れを一挙解説! 2-3.デジタルシフト成功事例②:S社 S社では、これまで目視で行われていた樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 デジタライゼーション化効果 検査人員2名削減・1400万円/年のコスト削減 投資金額 4300万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 ⇒関連記事:AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは? 3.DXの3つのメリット 製造業における、DXのメリットは以下の3点です。 3-1.DXのメリット①:生産性の向上 DXにより、工場の自動化や無人化が進むことで、生産性が大幅に向上します。IoTセンサーによるデータ収集や、AIを活用した最適化により、ムダな動作を排除し、無駄なく効率的に製造できるようになります。また、ロボットやコンベアなどの自動化設備の導入により、人的ミスを最小限に抑えることができます。 3-2.DXのメリット②:品質の安定化 DXを推進することで、製品の品質を安定的に保つことができます。例えば、ロボットによる自動組立てなどにより、人的なばらつきを排除でき、均一な製品を作り出せます。また、センサーでデータを常時監視することで、不良品の発生を未然に防ぐことも可能です。このように、DXは製品の品質保証に大きく貢献します。 3-3.DXのメリット③:顧客視点での製品開発 DXを進めることで、顧客の声をリアルタイムで製品開発に反映しやすくなります。例えば、IoTデバイスから集まる顧客の使用実態データや、SNSでの声などを分析することで、顧客のニーズをリアルタイムで製品にフィードバックすることができます。その上で、サンプル製品のシミュレーションや試作を効率的におこなえば、顧客目線での開発が可能となります。 4.製造業におけるDXの5つの課題 製造業における、DXの課題は以下の5点に集約されます。自社でもココが課題になっている、と感じるところはあるのではないでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 4-1.製造業におけるDXの課題①:技術者の不足と社内教育への投資不足 DXにおいては、専門的な技術者やデジタルスキルに精通した人材が不足していることが課題の一つに挙げられます。広範囲にわたる技術的知識がなければ、DXの構想を考えることは難しいでしょう。更に、社内に技術者がいたとしても、他の従業員が最新のテクノロジーやデジタルツールについて一定程度理解していないと、宝の持ち腐れになってしまいます。デジタル技術を活用するための、社内教育への投資をおこなうことも重要です。 4-2.製造業におけるDXの課題②:旧来システムとの統合 製造業は歴史が古く、既存のシステムが複雑に絡み合っている企業が多いのが実情です。そのため、最新のデジタル技術を導入する際に、旧来のシステムとの親和性が課題となります。直近でいえば、2025年の崖問題が目前に迫っています。社内の状況によっては、一気にシステム刷新をする必要もあるかもしれません。 ⇒関連記事:2025年の崖を対策をしなかった場合の5つのリスク 4-3.製造業におけるDXの課題③:データの統合や分析プロセスの確立の難しさ 製造業では、工数データ、生産実績データなどの膨大な量のデータが生まれますが、それらのデータを統合し、分析する手法の確立は非常に困難です。管理する項目(生産管理、原価管理など)ごとにシステムを導入しており、スムーズなデータ統合ができないケースも多く存在します。また、データの品質や信頼性も重要な課題となっています。例えば工数データをRFIDで取得したとしても、データ利活用に必要十分な工数実績が正しく取得できているとは限りません。 4-4.製造業におけるDXの課題④:かさむ投資コスト DX化の必要性は理解しているが、コストがかかりすぎてしまい、投資に踏み切れない、という工場も多いでしょう。例えば、社内システムを統合しようとすれば、多方面に開発費用がかかってしまい、その分コストは上がります。自社の状況に合わせ、何から手をつけていけば最適なのか?をよく検討する必要があります。 しかし、近年は補助金制度が充実しています。諸条件はありますが、補助金を活用することで、通常よりも少ない投資金額で設備を導入することができるでしょう。 ⇒関連記事:ものづくり補助金最新動向 4-5.製造業におけるDXの課題⑤:従来の組織文化やプロセスの変革への抵抗 DXは、業務プロセスを抜本的に改革していく取り組みです。そのため、従業員の協力が得られない限りは効果的に推進することはできません。DXを推進していくためには、それぞれの部署に対して趣旨の共有をおこない、合意形成を取っていく必要があります。人間の感情や、部署間の関係性がおおいに関わってくる領域になるため、最も大きな課題の一つということができます。 いかがでしたでしょうか。上記の課題が自社にあてはまっている…と感じる方は、船井総研の無料経営相談サービスを活用ください。専門のコンサルタントが対応し、豊富な他社事例やDXの方法などを情報共有いたします。 ⇒船井総研の無料経営相談フォームはこちら 5.DXを進めるためのプロセス 製造業がDXを推進する際のプロセスは、おおよそ以下のようになります。 ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 ステップ2: 全体構想と意識改革 ステップ3: 本格推進 (参考:経済産業省 デジタルガバナンスコード実践の手引き) それぞれのステップについて解説していきます。 5-1.ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 会社が目指すべき方向性を明確化します。 経営層の観点から、なぜ改革をおこなっていくのか、また目指すべき目標がなにかを議論していきます。生産性の向上、コスト削減、新しいビジネスモデルの構築などが目標として設定されます。 ビジョン・戦略策定の時点で目的や目標があいまいになってしまうと、全社的な合意形成を取ることが難しくなるため、注意が必要です。 5-2.ステップ2: 全体構想と意識改革 ビジョン達成のためのDXの構想を設計し、また社内の意識改革を促します。 一口にDXといっても、会社の業種や状況によってさまざまな解があります。目指すビジョンと現状の差を把握しながら、全体設計をおこなうことが非常に重要です。また、経営者が自らDX推進の必要性を理解し、従業員に共有することで、社内に変革を受け入れる空気感を醸成します。“経営者が自ら”旗振り役として推進していくことで、プロジェクトを進めやすくなります。 このタイミングでDXを推進するメンバーを選定し、プロジェクトを立ち上げますが、エンジニアやシステム導入の知見があるメンバーがいない場合は、外部から人材を採用したり、コンサルタント・SIer活用の検討もおこなう必要があります。 ⇒関連記事:DXロードマップのポイントと戦略的手法を解説!製造業のDX化を成功に導く方法とは? 5-3.ステップ3:本格推進 プロジェクトメンバー主導で、業務プロセスの現状把握・見直しとシステム構築をおこなっていきます。 既存の業務プロセス、インフラ、データ管理の状態を評価し、目標と現実とのギャップを正確に把握します。現状、現場で起きている不都合は何か?目的達成のために、今足りない部分はどこなのか?細かく精査をしていく必要があります。現状評価が不十分だと、適切なプロジェクト策定は行えません。 現状の業務プロセスが把握できたら、データの収集、管理、分析、活用のための戦略を立て、実行にうつります。多くの施策に同時並行で着手すると、プロジェクトメンバーや従業員への負荷が大きく、スムーズに進めることが難しくなってしまいます。はじめはスモールステップ的に実行していくことが重要です。 DXの成果は定期的に評価し、フィードバックを基に持続的な改善を実施する。生産性やコスト削減のKPIを設定し、定量的な評価を行います。成果の評価が適切でないと、改善の余地が見落とされるため、客観的で透明性のある評価プロセスを確立することが重要です。 6.製造業でDXを実現させるための3つのポイント 6-1.工場の自動化を実現する際のポイント①:経営者が旗振り役となること まず第一に、「経営者が旗振り役となって、DXを進めていくこと」が極めて重要です。経営者自身がDXの重要性を深く理解し、自らが先頭に立って取り組む姿勢を示すことで、組織全体が一丸となって改革に取り組む風土が生まれます。反対に、会社をどうしていきたいのか?理想に近づくためにデジタル技術をどのように活用していくのか?などのコアな部分を従業員やコンサル会社任せにしてしまうと、どこかに齟齬が生まれてしまい、理想的な成果を上げることは難しいでしょう。経営者が率先してビジョンや目標を社員と共有し、具体的なアクションプランを策定することができれば、DXの推進力を格段に上げることができます。 6-2.工場の自動化を実現する際のポイント②:中長期的な取り組みをスモールステップで推進 次に重要なのは、「中長期的な取り組みをスモールステップで推進すること」です。DXは時間も、お金も、労力もかかる取り組みであり、1、2年という短期間で本当の効果が出るものではありません。急激に進めようとすれば、従業員への負荷が高まり、かえって生産性が低下するリスクがあります。 そのため、まずはスモールステップで着実に進めることが重要ですが、小さなステップだけを繰り返していては、最終的なゴールにはたどり着くことができません。したがって、「5年や10年先を見据えた中長期的なビジョンを持ちつつ、現在できることに集中して取り組む」というような中長期的なゴールと短期的なゴールの両方を見据えながら取り組みを進めることが重要です。具体的には、まず既存の生産プロセスの一部をデジタル化し、小さな成功体験を積み重ねると共に、従業員の慣れやスキルを向上させます。これによって、次第により複雑で広範囲なDXの取り組みに挑戦することが可能となります。 6-3.工場の自動化を実現する際のポイント③:人材育成と外部リソースの活用 最後に重要な点は、「人材育成と外部リソースの活用」です。DX推進にはデジタル技術に精通した人材が不可欠であり、これを内部で育てるための育成プログラムの整備が求められます。作業者が導入したツールや技術を構想通りに活用できる様、サポートしていくことが重要です。 さらに、デジタル技術の専門知識やスキルが不足している場合には、外部の専門家やコンサルタントの力を借りることが効果的です。コンサルタントや専門企業の知見を活用することで、効率的かつ迅速にDXを進めることができます。社内人材のみでDXを推進する場合は、既存の業務と平行して進める必要があるため、プロジェクトに十分な時間を割くことができない、というジレンマがあります。プロジェクトを迅速に進めたい方は、外部リソースの活用を強く推奨します。 最後までお読みいただきありがとうございました。 製造業におけるDX推進の成功に向けた具体的なステップと重要なポイントがご理解いただけたでしょうか?自社のDX実現においてお困りの際は、船井総研の無料経営相談をご活用ください。特に、以下のようなお悩みをお持ちの際は、是非弊社の無料経営相談をご活用ください。 ⇒ 船井総研の無料経営相談はこちらから! 自社でDXを推進しようと、すでにシステムを導入したが、なかなかうまくいかない… 現場の反発が大きく思うようにプロジェクトが進まない… DXを進めていきたいが、何から手を付けたらよいかわからない…アイデアが欲しい… 専門のコンサルタントが豊富な他社事例を共有しながら、貴社に最適なご提案をさせていただきます。