製造業のDX・IoT活用のコツ ~製造工程のIoT化手順(クラウド・プラットフォーム)~
2023.09.20
DX・IoT活用について、まずはどこからどの様にDX・IoTを導入していくべきか、わかりやすく説明させていただきます。
1.はじめに
前回までのコラムでも、具体的にDXやIoT、AIを活用した業務の革新や改善を実施したいと考えたとき、まず『製造現場』へ導入すべきと提案して来ました。
なぜなら、『製造現場』の革新や改善が会社の売上や利益の向上に最も直結する業務だからです。
製造業は『モノを作る企業』です。
IoTを活用して製造現場を管理するには、まずは製造現場をIoT化する必要があります。
IoTを構成する主な要素は3つです。
デバイス:各種データを取得
ネットワーク:インターネットや社内システムへ接続
プラットフォーム・アプリケーション:データを蓄積・分析
そこで3回目の今回は、“プラットフォーム・アプリケーション:データを蓄積・分析”に関して具体的な手順を説明させていただきます。
※過去記事は本文からご覧ください
2.IoTプラットフォーム(クラウドシステム)基本機能
IoTシステムのプラットフォームの基本機能について説明します。
IoTシステムのプラットフォームは、データの収集、処理、管理、分析、可視化、制御などを行うための重要なコンポーネントです。
①クラウドプラットフォーム
IoTデバイスからのデータを受信し、処理するためのクラウドプラットフォームが必要です。
一般的なクラウドプロバイダー(例:Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platform)は、このためのインフラストラクチャとサービスを提供します。クラウドプラットフォームは、データのスケーリング、可用性、セキュリティを確保する役割を果たします。
②データ収集
IoTデバイスからのデータを収集するために、クラウドプラットフォームはデータ収集ポイントやデータ収集エージェントを提供します。
これらはデータを受け取り、クラウド内のデータベースやデータストレージに保存します。
③データストレージ
収集されたデータは、クラウド内のデータベースやデータストレージに保存されます。
これにより、データの永続性とアクセスが確保され、後での分析や履歴データの取得が可能となります。
④データ処理と分析
クラウド側システムは、収集されたデータを処理し、必要な分析を実行するための計算リソースを提供します。データの前処理、リアルタイム分析、バッチ処理、機械学習モデルの適用などが含まれます。
⑤データ可視化
IoTデータをリアルタイムまたは過去のデータとして可視化するためのダッシュボードやレポートを提供するデータ可視化ツールが重要です。
これにより、ユーザーはデータを理解し、意思決定を行うための情報を得ることができます。
⑥アプリケーション
IoTシステムには、データを活用するための専用のアプリケーションが含まれることがあります。
これらのアプリケーションは、IoTデバイスの遠隔制御、通知、ダッシュボード、予測分析など、特定のビジネス目標をサポートします。
⑦セキュリティとアクセス制御
クラウド側システムはセキュリティ対策を重視し、データの暗号化、認証、アクセス制御、脆弱性管理などを提供します。
IoTデバイスからのデータは安全に受信、保存、処理されます。
⑧APIと統合
クラウドプラットフォームは、外部システムやサードパーティサービスとの連携を容易にするAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を提供します。
これにより、データの共有や他のシステムとの統合が可能となります。
IoTシステムプラットフォームは、特定のプロジェクトや要件に合わせて構成および拡張されます。
これらの要素は、IoTデバイスからのデータを有効に活用し、ビジネス価値を最大化するためのサービスを提供します。
3.IoTプラットフォーム(クラウド)システム基本構成
IoTデバイスからのデータをクラウドに送信し、基本的なデータ処理を行う為の必要最低限のIoTプラットフォーム(クラウド)システム構成をMicrosoft社提供しているAzureのPaaSを利用した例で説明します。
①Azure IoT Hub
Azure IoT Hubは、IoTデバイスとの通信を管理するための中心的なサービスです。
IoTデバイスを登録し、データの送受信を可能にします。
②Azure Stream Analytics
Azure Stream Analyticsは、リアルタイムデータ処理と分析を行うためのサービスです。
データストリームを収集し、基本的な変換や集約を行います。
③Azure Blob Storage
Azure Blob Storageは、データの永続的なストレージを提供します。
Stream Analyticsからのデータを保存し、後で分析や履歴データの取得に使用します。
④Azure SQL Database
Azure SQL Databaseは、リレーショナルデータベースを提供し、デバイスからのデータを格納します。
このデータベースは、デバイスからのデータを永続的に保存し、必要な場合にクエリや分析を行うために使用されます。
ただし、これはIoTプラットフォームの必要最低限の構成です。
データの可視化、高度な分析、セキュリティ等プロジェクトの要件に応じて他のAzureのPaaSやカスタムコンポーネントを追加していく事になります。
必要に応じて追加すれば良いので予算、スケジュールに応じてスモールスタートが可能です。
Amazon社が提供するAWSでも同様のPaaSが提供されています。
4.クラウドへの接続数
IoT GWがSQL Databaseに直接する場合、契約プランによりますが、許容される同時接続数は
6~150程度です。
導入後のIoTシステムの拡張性を考えた場合、この数は十分な値ではありません。
IoT GWは工場や工程に設置された機器やセンサーデータを集約している為、実際にSQL Databaseにデータが格納される機器やセンサーはそれ以上の数になります。
それでも同時接続数が制約されるため、IoT GWの設置台数が増えた場合、データ送信間隔を長くする、送信するデータ量を制限するなどして、同時接続数が上記範囲内に収まる様に運用しなければなりません。
その場合、データのリアルタイム性や粒度の低下、あるいは伝送するデータの種類が削減され、結果として必要な情報の取得が出来なくなってしまいます、
これを防ぐ為に、IoT GWは直接ではなく、IoT Hub(PaaS)を経由してデータベースに接続する様にします。
Azureの場合、IoT Hubは、ユニットという単位で接続数をカウントします。
ユニット当たりの接続数 : 500台
1インスタンス辺りのユニット数 : 200
1IoT Hubあたり200ユニット x 500で最大10万台のデバイスが接続できます。
5.まとめ
今回のコラムでは、“中堅・中小製造業のDX・IoT活用のコツ~製造工程のIoT化手順(クラウド・プラットフォーム)~”につきまして簡単ではありますが説明させていただきました。
次回からは、製造業の各業種(板金加工、金属加工、樹脂成型等)ことにIoT化で取得したデータの具体的な活用に関して説明して行きます。
今回の紹介した内容をご検討頂き、自社での製造工程のIoT化導入検討や、過去に断念されたIoT化を再度進めていただければ幸いです。また、上記内容について、より具体的に詳細をお知りになりたい場合や導入支援が必要といった場合は、お気軽に弊社にご相談いただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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https://www.funaisoken.co.jp/seminar/105866 いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。
DX・IoT活用について、まずはどこからどの様にDX・IoTを導入していくべきか、わかりやすく説明させていただきます。
1.はじめに
前回までのコラムでも、具体的にDXやIoT、AIを活用した業務の革新や改善を実施したいと考えたとき、まず『製造現場』へ導入すべきと提案して来ました。
なぜなら、『製造現場』の革新や改善が会社の売上や利益の向上に最も直結する業務だからです。
製造業は『モノを作る企業』です。
IoTを活用して製造現場を管理するには、まずは製造現場をIoT化する必要があります。
IoTを構成する主な要素は3つです。
デバイス:各種データを取得
ネットワーク:インターネットや社内システムへ接続
プラットフォーム・アプリケーション:データを蓄積・分析
そこで3回目の今回は、“プラットフォーム・アプリケーション:データを蓄積・分析”に関して具体的な手順を説明させていただきます。
※過去記事は本文からご覧ください
2.IoTプラットフォーム(クラウドシステム)基本機能
IoTシステムのプラットフォームの基本機能について説明します。
IoTシステムのプラットフォームは、データの収集、処理、管理、分析、可視化、制御などを行うための重要なコンポーネントです。
①クラウドプラットフォーム
IoTデバイスからのデータを受信し、処理するためのクラウドプラットフォームが必要です。
一般的なクラウドプロバイダー(例:Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platform)は、このためのインフラストラクチャとサービスを提供します。クラウドプラットフォームは、データのスケーリング、可用性、セキュリティを確保する役割を果たします。
②データ収集
IoTデバイスからのデータを収集するために、クラウドプラットフォームはデータ収集ポイントやデータ収集エージェントを提供します。
これらはデータを受け取り、クラウド内のデータベースやデータストレージに保存します。
③データストレージ
収集されたデータは、クラウド内のデータベースやデータストレージに保存されます。
これにより、データの永続性とアクセスが確保され、後での分析や履歴データの取得が可能となります。
④データ処理と分析
クラウド側システムは、収集されたデータを処理し、必要な分析を実行するための計算リソースを提供します。データの前処理、リアルタイム分析、バッチ処理、機械学習モデルの適用などが含まれます。
⑤データ可視化
IoTデータをリアルタイムまたは過去のデータとして可視化するためのダッシュボードやレポートを提供するデータ可視化ツールが重要です。
これにより、ユーザーはデータを理解し、意思決定を行うための情報を得ることができます。
⑥アプリケーション
IoTシステムには、データを活用するための専用のアプリケーションが含まれることがあります。
これらのアプリケーションは、IoTデバイスの遠隔制御、通知、ダッシュボード、予測分析など、特定のビジネス目標をサポートします。
⑦セキュリティとアクセス制御
クラウド側システムはセキュリティ対策を重視し、データの暗号化、認証、アクセス制御、脆弱性管理などを提供します。
IoTデバイスからのデータは安全に受信、保存、処理されます。
⑧APIと統合
クラウドプラットフォームは、外部システムやサードパーティサービスとの連携を容易にするAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を提供します。
これにより、データの共有や他のシステムとの統合が可能となります。
IoTシステムプラットフォームは、特定のプロジェクトや要件に合わせて構成および拡張されます。
これらの要素は、IoTデバイスからのデータを有効に活用し、ビジネス価値を最大化するためのサービスを提供します。
3.IoTプラットフォーム(クラウド)システム基本構成
IoTデバイスからのデータをクラウドに送信し、基本的なデータ処理を行う為の必要最低限のIoTプラットフォーム(クラウド)システム構成をMicrosoft社提供しているAzureのPaaSを利用した例で説明します。
①Azure IoT Hub
Azure IoT Hubは、IoTデバイスとの通信を管理するための中心的なサービスです。
IoTデバイスを登録し、データの送受信を可能にします。
②Azure Stream Analytics
Azure Stream Analyticsは、リアルタイムデータ処理と分析を行うためのサービスです。
データストリームを収集し、基本的な変換や集約を行います。
③Azure Blob Storage
Azure Blob Storageは、データの永続的なストレージを提供します。
Stream Analyticsからのデータを保存し、後で分析や履歴データの取得に使用します。
④Azure SQL Database
Azure SQL Databaseは、リレーショナルデータベースを提供し、デバイスからのデータを格納します。
このデータベースは、デバイスからのデータを永続的に保存し、必要な場合にクエリや分析を行うために使用されます。
ただし、これはIoTプラットフォームの必要最低限の構成です。
データの可視化、高度な分析、セキュリティ等プロジェクトの要件に応じて他のAzureのPaaSやカスタムコンポーネントを追加していく事になります。
必要に応じて追加すれば良いので予算、スケジュールに応じてスモールスタートが可能です。
Amazon社が提供するAWSでも同様のPaaSが提供されています。
4.クラウドへの接続数
IoT GWがSQL Databaseに直接する場合、契約プランによりますが、許容される同時接続数は
6~150程度です。
導入後のIoTシステムの拡張性を考えた場合、この数は十分な値ではありません。
IoT GWは工場や工程に設置された機器やセンサーデータを集約している為、実際にSQL Databaseにデータが格納される機器やセンサーはそれ以上の数になります。
それでも同時接続数が制約されるため、IoT GWの設置台数が増えた場合、データ送信間隔を長くする、送信するデータ量を制限するなどして、同時接続数が上記範囲内に収まる様に運用しなければなりません。
その場合、データのリアルタイム性や粒度の低下、あるいは伝送するデータの種類が削減され、結果として必要な情報の取得が出来なくなってしまいます、
これを防ぐ為に、IoT GWは直接ではなく、IoT Hub(PaaS)を経由してデータベースに接続する様にします。
Azureの場合、IoT Hubは、ユニットという単位で接続数をカウントします。
ユニット当たりの接続数 : 500台
1インスタンス辺りのユニット数 : 200
1IoT Hubあたり200ユニット x 500で最大10万台のデバイスが接続できます。
5.まとめ
今回のコラムでは、“中堅・中小製造業のDX・IoT活用のコツ~製造工程のIoT化手順(クラウド・プラットフォーム)~”につきまして簡単ではありますが説明させていただきました。
次回からは、製造業の各業種(板金加工、金属加工、樹脂成型等)ことにIoT化で取得したデータの具体的な活用に関して説明して行きます。
今回の紹介した内容をご検討頂き、自社での製造工程のIoT化導入検討や、過去に断念されたIoT化を再度進めていただければ幸いです。また、上記内容について、より具体的に詳細をお知りになりたい場合や導入支援が必要といった場合は、お気軽に弊社にご相談いただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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