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製造業DXとは?メリットや成功事例6選、成功のポイントを一挙解説!

2024.07.22

製造業を取り巻く環境は、かつてないスピードで変動しています。インターネットおよびデジタル化の波は、もはや無視できない潮流となり、企業の競争力を左右する重要な要素となっています。そんな中、注目を集めるのが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。 「DXって、結局何をすればいいの?」 「うちの工場でも、本当に効果があるの?」 「コストばかりかかって、何も変わらないんじゃないか?」 そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。もちろん多大な労力が必要ですが、DXは決して遠い世界の出来事ではありません。日々の業務効率化から、可視化による品質向上、さらにはコミュニケーションの変革まで、その効果は多岐にわたります。 この記事では、DXの基礎から、実際の成功事例、そして導入時の課題と解決策まで、あなたの工場がDXを成功させるための羅針盤となる情報を提供します。他社の失敗事例も踏まえ、業務改善につなげられるようなノウハウもご紹介していきます。 1.製造業におけるDX 近年、製造業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。DXとは、具体的にどういったものを指すのでしょうか? 1-1.そもそもDXとは そもそも、DXの定義はなんでしょうか?媒体によってさまざまな表現がなされていますが、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年)には、以下のように示されています。 「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション): 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」 また、経済産業省の資料には、わかりやすく以下のように記載されています。 「そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か: デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。 また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。」 これらをまとめると、DXとは、「ICTの技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」だと言えます。 全社横断的な変革を実現し、且つお客様に価値を提供して初めてDXを“実現できている”ということができます。DXは、デジタル技術を活用して事業モデルや業務プロセス、組織文化、従業員の意識をイノベーションすることが求められます。 よく言われることですが、単にITシステムを導入するだけではDXとはいえません。例えば、RFIDタグを活用して日報の手書き作業をなくしたとしても、DXとはいえません。状況が可視化され、生産性は上がりますが、業務プロセスのなかの部分的な業務効率化にとどまっているためです。この場合はDXではなくデジタイゼーション (アナログ・物理データのデジタルデータ化)といいます。 1-2.DXが必要とされる背景 インターネットおよびデジタル化の発展により、製造業においても経済成長のスピードについていくためにはDXは欠かせないものです。詳しく解説します。 ◆デジタル化されていないと、すべてにおいて時間がかかり競争力が低下する 現代では、デジタル技術やデータを活用し、業務や判断がよりスピーディーに行われるようになってきており、年々そのスピードは上がっています。物事をKKD(勘、経験、度胸)に頼って判断していくことは、(判断は早い場合もありますが、)属人的でもあり、正確性にもかけてしまいます。データや事実に基づいた分析・改善をおこなっていくことで、よりムダのない、より成功確率の高い判断をしていくことが求められています。DXを実現できていない企業では、DXを実現してデータ活用をおこなっている企業と比較して、すべての面において大きな差が生まれ、競争力が低下するというのは明らかです。 ◆新人・若手の確保が難しくなる Paperlogic社の調査によると、2021年2月25日の段階で2021年の新卒社員の43.1%が、企業のDX推進具合を企業選考の基準としていたことが分かりました。DX推進具合を企業選考の基準とした理由としては「DXに限らず、今後必要になってくる事を積極的に取り入れる会社かどうか見極めるポイントになると考えたから」「社会情勢に応じて、柔軟な対応ができる企業に勤めたいと思っていたから」などが挙げられていました。より社会の変化に敏感になっている学生や若手社員にとって、DXへの姿勢は「この先やっていけるか」を判断する大変重要な要素になるということが分かります。 ◆脱炭素の実現やサプライチェーン強靭化に対応していないと競争力が低下する 他社から「製造品あたりのCO2排出量を教えてほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 近年では、自社だけでなく、発注先会社の製造過程におけるCO2排出量なども考慮していく気運が高まっています。その中にあって、上記のような質問に答えるには、営業や、製造工程において使用する電力量、化石燃料使用量、メタン排出量etc..など、さまざまな製造データを収集し、統合する必要があります。 また、サプライチェーンについても同様のことが言えます。各社が持つ在庫情報や消費者ニーズを把握し、全体最適化していく気運が高まっています。同じように、他社から「製造品の発注数・受注数・在庫数データを共有してほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 上記のような質問に答えるには、在庫情報や消費者ニーズの情報をデータに落とし込む必要があります。中長期的なSCM (サプライチェーンマネジメント)の観点からみれば、ERPやCRMを活用していない企業は競争力が低下することが懸念されています。 カーボンニュートラルの実現も、SCMの最適化も、どちらも自社でデータを収集し、データを活用できる社内環境が整備されていなければならず、これは簡単にできることではありませんが、近い将来対応していかなければならないテーマです。 1-3.日本のDXの現状 では、日本の製造業においてDXの推進状況はどのようになっているのでしょうか? 調査では、日本企業のDXの取り組みはゆっくりではあるものの順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。一方で、DXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取り組み項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られず、特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであるとしています。 日本企業のDXの取り組みについては、2021年度から年々増加傾向で、今回調査時点では7割強がDXに取り組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあると説明。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していると分析しています。 (引用:DX動向2024) DXの取り組みにおいて、設定した目的に対する成果が出ているかという質問では、「成果が出ている」と回答した企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加しています。 一方で、2022年度の米国調査では、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答しており、DXの取り組みは米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられるとしています。 2.DX成功事例6選 国内には、アナログ的な手法から脱却してDXに成功した工場は多数存在します。ここでは成功事例を6つ紹介します。 2-1.DX成功事例①:J社 基幹システム刷新 J社では、基幹システム刷新と業務改革によって、DXの推進をおこなっています。 業種 鋳造・機械加工・表面処理業 DX化効果 300万円/年のコスト削減/作業時間の短縮 J社では、生産管理・会計管理・在庫管理・原価管理などのそれぞれの管理項目において、それぞれ別のシステムを用いて管理をおこなっていましたが、基幹システムの刷新に際し、さまざまな管理項目の一元化をおこないました。 その際に、現状業務フローの把握⇒フローの見直しをおこない、パッケージシステムに業務を合わせることで、全社横断的に2重/3重入力の排除、属人化の排除を実現しました。近年では、年間300万円のコスト削減に成功しています。 2-2.DX成功事例②:S社 協働ロボット活用 S 社では、これまで手作業だった作業に協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 デジタライゼーション化効果 年間工数1200時間削減 投資金額 500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。 ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:工場の自動化 (ファクトリーオートメーション) とは?成功事例5選やメリット、実現までの流れを一挙解説! 2-3.DX成功事例③:S社 AI外観検査 S社では、これまで目視で行われていた樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 デジタライゼーション化効果 検査人員2名削減・1400万円/年のコスト削減 投資金額 4300万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 ⇒関連記事:AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは? 2-4.DX成功事例④:A社 自動バリ取りロボット A 社ではロボットを使うことによって、工数がかかっていたバリ取り作業の自動化に成功しました。業種と自動化効果、投資金額は以下のようになっています。 業種 セラミック製品製造 自動化効果 年間工数 1019 時間削減・生産性 167%増 投資金額 1800 万円+6 軸ロボット費用 A 社の成功事例の特徴は、画像認識によりバリ取りパスを自動で生成している点です。自動生成されたパスに沿ってロボットが動作するため、品種ごとにティーチングプログラムを作成する必要がなく、超多品種少量生産に対応することができます。 本来ロボットを稼働させる際は、ティーチングと呼ばれるロボットのプログラムを人が作成する必要があります。そのためロボットでさまざまな製品の加工をおこなおうとすると、その数だけティーチングをおこなう必要があります。 A 社では、画像認識による自動プログラム作成を採用しているため、作業員が治具に製品を置けば、ロボットが自動でバリ取りをおこなってくれます。 ⇒関連記事:自社の業務に合わせた自動化で、少ない人員でも生産増に対応することができました-アスザック株式会社 様 2-5.DX成功事例⑤:C 社溶接ロボット・研磨ロボット C社では、高い品質が求められる製品において、溶接工程と研磨工程の自動化に成功しました。 業種 鈑金溶接品製造 自動化効果 溶接・研磨の熟練技術の継承に成功 投資金額 7700 万円 (うち 4000 万円は補助金) C社の成功事例の特徴は、非常に難易度の高い薄板ステンレスの TIG 溶接と鏡面研磨を最新技術を活用して自動化した点です。さらに投資金額 7700 万円のうち 4000 万円は事業再構築補助金を活用することにより投資コストを抑えています。 薄板の TIG 溶接は非常に熟練度が要求される作業であり、早い人でも製品として出荷できるレベルに達するまでには 5 年はかかる職人技術と言われています。また、C社の製品における研磨工程は鏡面仕上げとなっており相当の工数がかかっている状態でした。 これら難易度の高い職人技術を 6 軸力覚、加速度、位置センサー、アクティブ・コンプライアンス制御技術を用いて自動化に成功しました。 2-6.DX成功事例⑥:A社 協働ロボット A社では、100 台の協働ロボットを導入し、ワーク投入やエアブロー、検査などの自動化に成功しました。 業種 金属部品加工 自動化効果 人員 60名削減・2.5億/年のコスト削減 投資金額 協働ロボット 100台分 A社の成功事例の特徴は、S社と同様SIerレスで自動化に成功した点です。PLCが扱える人材を採用し、徹底してロボット活用の社内教育を行うことで、コストを抑えた圧倒的な自動化を実現しました。 総額では大きい投資となっていますが、それに見合うだけの費用対効果を実現しています。 さらに事例の詳細について気になる方は、1時間程度の無料相談会を活用ください。 HP 上には記載しきれていない、実際にロボットが稼働している様子や、自動化に関する情報を余すことなくご提供させていただきます。 3.DXの3つのメリット 製造業における、DXのメリットは以下の3点です。 3-1.DXのメリット①:生産性の向上 DXにより、工場の自動化や無人化が進むことで、生産性が大幅に向上します。IoTセンサーによるデータ収集や、AIを活用した最適化により、ムダな動作を排除し、無駄なく効率的に製造できるようになります。また、ロボットやコンベアなどの自動化設備の導入により、人的ミスを最小限に抑えることができます。 3-2.DXのメリット②:品質の安定化 DXを推進することで、製品の品質を安定的に保つことができます。例えば、ロボットによる自動組立てなどにより、人的なばらつきを排除でき、均一な製品を作り出せます。また、センサーでデータを常時監視することで、不良品の発生を未然に防ぐことも可能です。このように、DXは製品の品質保証に大きく貢献します。 3-3.DXのメリット③:顧客視点での製品開発 DXを進めることで、顧客の声をリアルタイムで製品開発に反映しやすくなります。例えば、IoTデバイスから集まる顧客の使用実態データや、SNSでの声などを分析することで、顧客のニーズをリアルタイムで製品にフィードバックすることができます。その上で、サンプル製品のシミュレーションや試作を効率的におこなえば、顧客目線での開発が可能となります。 4.製造業におけるDXの5つの課題 製造業における、DXの課題は以下の5点に集約されます。自社でもココが課題になっている、と感じるところはあるのではないでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 4-1.製造業におけるDXの課題①:技術者の不足と社内教育への投資不足 DXにおいては、専門的な技術者やデジタルスキルに精通した人材が不足していることが課題の一つに挙げられます。広範囲にわたる技術的知識がなければ、DXの構想を考えることは難しいでしょう。更に、社内に技術者がいたとしても、他の従業員が最新のテクノロジーやデジタルツールについて一定程度理解していないと、宝の持ち腐れになってしまいます。デジタル技術を活用するための、社内教育への投資をおこなうことも重要です。 4-2.製造業におけるDXの課題②:旧来システムとの統合 製造業は歴史が古く、既存のシステムが複雑に絡み合っている企業が多いのが実情です。そのため、最新のデジタル技術を導入する際に、旧来のシステムとの親和性が課題となります。直近でいえば、2025年の崖問題が目前に迫っています。社内の状況によっては、一気にシステム刷新をする必要もあるかもしれません。 ⇒関連記事:2025年の崖を対策をしなかった場合の5つのリスク 4-3.製造業におけるDXの課題③:データの統合や分析プロセスの確立の難しさ 製造業では、工数データ、生産実績データなどの膨大な量のデータが生まれますが、それらのデータを統合し、分析する手法の確立は非常に困難です。管理する項目(生産管理、原価管理など)ごとにシステムを導入しており、スムーズなデータ統合ができないケースも多く存在します。また、データの品質や信頼性も重要な課題となっています。例えば工数データをRFIDで取得したとしても、データ利活用に必要十分な工数実績が正しく取得できているとは限りません。 4-4.製造業におけるDXの課題④:かさむ投資コスト DX化の必要性は理解しているが、コストがかかりすぎてしまい、投資に踏み切れない、という工場も多いでしょう。例えば、社内システム/ネットワークを統合しようとすれば、多方面に開発費用がかかってしまい、その分コストは上がります。自社の状況に合わせ、何から手をつけていけば最適なのか?をよく検討する必要があります。 しかし、近年は補助金制度が充実しています。諸条件はありますが、補助金を活用することで、通常よりも少ない投資金額で設備を導入することができるでしょう。 ⇒関連記事:ものづくり補助金最新動向 4-5.製造業におけるDXの課題⑤:従来の組織文化やプロセスの変革への抵抗 DXは、業務プロセスを抜本的に改革していく取り組みです。そのため、従業員の協力が得られない限りは効果的に推進することはできません。DXを推進していくためには、それぞれの部署に対して趣旨の共有をおこない、コミュニケーションをとり、合意形成を取っていく必要があります。人間の感情や、部署間の関係性がおおいに関わってくる領域になるため、最も大きな課題の一つということができます。立場が異なるメンバー・グループ同士が同じゴールを目指していけるよう、統括していく必要があります。 いかがでしたでしょうか。上記の課題が自社にあてはまっている…と感じる方は、船井総研の無料経営相談サービスを活用ください。専門のコンサルタントが対応し、豊富な他社事例やDXの方法などを情報共有いたします。 ⇒船井総研の無料経営相談フォームはこちら 5.DXを進めるためのプロセス 製造業がDXを推進する際のプロセスは、おおよそ以下のようになります。 ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 ステップ2: 全体構想と意識改革 ステップ3: 本格推進 (参考:経済産業省 デジタルガバナンスコード実践の手引き) それぞれのステップについて解説していきます。 5-1.ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 会社が目指すべき方向性を明確化します。 経営層の観点から、なぜ改革をおこなっていくのか、また目指すべき目標がなにかを議論していきます。生産性の向上、コスト削減、新しいビジネスモデルの構築などが目標として設定されます。 ビジョン・戦略策定の時点で目的や目標があいまいになってしまうと、全社的な合意形成を取ることが難しくなるため、注意が必要です。 5-2.ステップ2: 全体構想と意識改革 ビジョン達成のためのDXの構想を設計し、また社内の意識改革を促します。 一口にDXといっても、会社の業種や状況によってさまざまな解があります。目指すビジョンと現状の差を把握しながら、全体設計をおこなうことが非常に重要です。また、経営者が自らDX推進の必要性を理解し、従業員に共有することで、社内に変革を受け入れる空気感を醸成します。“経営者が自ら”旗振り役として推進していくことで、プロジェクトを進めやすくなります。 このタイミングでDXを推進するメンバーを選定し、プロジェクトを立ち上げますが、エンジニアやシステム導入の知見があるメンバーがいない場合は、外部から人材を採用したり、コンサルタント・SIer活用の検討もおこなう必要があります。 ⇒関連記事:DXロードマップのポイントと戦略的手法を解説!製造業のDX化を成功に導く方法とは? 5-3.ステップ3:本格推進 プロジェクトメンバー主導で、業務プロセスの現状把握・見直しとシステム構築をおこなっていきます。 既存の業務プロセス、インフラ、データ管理の状態を評価し、目標と現実とのギャップを正確に把握します。現状、現場で起きている不都合は何か?目的達成のために、今足りない部分はどこなのか?細かく精査をしていく必要があります。現状評価が不十分だと、適切なプロジェクト策定は行えません。 現状の業務プロセスが把握できたら、データの収集、管理、分析、活用のための戦略を立て、実行にうつります。多くの施策に同時並行で着手すると、プロジェクトメンバーや従業員への負荷が大きく、スムーズに進めることが難しくなってしまいます。はじめはスモールステップ的に実行していくことが重要です。 DXの成果は定期的に評価し、フィードバックを基に持続的な改善を実施する。生産性やコスト削減のKPIを設定し、定量的な評価を行います。成果の評価が適切でないと、改善の余地が見落とされるため、客観的で透明性のある評価プロセスを確立することが重要です。 6.製造業でDXを実現させるための3つのポイント 6-1.工場の自動化を実現する際のポイント①:経営者が旗振り役となること まず第一に、「経営者が旗振り役となって、DXを進めていくこと」が極めて重要です。経営者自身がDXの重要性を深く理解し、自らが先頭に立って取り組む姿勢を示すことで、組織全体が一丸となって改革に取り組む風土が生まれます。反対に、会社をどうしていきたいのか?理想に近づくためにデジタル技術をどのように活用していくのか?などのコアな部分を従業員やコンサル会社任せにしてしまうと、どこかに齟齬が生まれてしまい、理想的な成果を上げることは難しいでしょう。経営者が率先してビジョンや目標を社員と共有し、具体的なアクションプランを策定することができれば、DXの推進力を格段に上げることができます。 6-2.工場の自動化を実現する際のポイント②:中長期的な取り組みをスモールステップで推進 次に重要なのは、「中長期的な取り組みをスモールステップで推進すること」です。DXは時間も、お金も、労力もかかる取り組みであり、1、2年という短期間で本当の効果が出るものではありません。急激に進めようとすれば、従業員への負荷が高まり、かえって生産性が低下するリスクがあります。 そのため、まずはスモールステップで着実に進めることが重要ですが、小さなステップだけを繰り返していては、最終的なゴールにはたどり着くことができません。したがって、「5年や10年先を見据えた中長期的なビジョンを持ちつつ、現在できることに集中して取り組む」というような中長期的なゴールと短期的なゴールの両方を見据えながら取り組みを進めることが重要です。具体的には、まず既存の生産プロセスの一部をデジタル化し、小さな成功体験を積み重ねると共に、従業員の慣れやスキルを向上させます。これによって、次第により複雑で広範囲なDXの取り組みに挑戦することが可能となります。 6-3.工場の自動化を実現する際のポイント③:人材育成と外部リソースの活用 最後に重要な点は、「人材育成と外部リソースの活用」です。DX推進にはデジタル技術に精通した人材が不可欠であり、これを内部で育てるための育成プログラムの整備が求められます。作業者が導入したツールや技術を構想通りに活用できる様、サポートしていくことが重要です。 さらに、デジタル技術の専門知識やスキルが不足している場合には、外部の専門家やコンサルタントの力を借りることが効果的です。コンサルタントや専門企業の知見を活用することで、効率的かつ迅速にDXを進めることができます。社内人材のみでDXを推進する場合は、既存の業務と平行して進める必要があるため、プロジェクトに十分な時間を割くことができない、というジレンマがあります。プロジェクトを迅速に進めたい方は、外部リソースの活用を強く推奨します。 最後までお読みいただきありがとうございました。 製造業におけるDX推進の成功に向けた具体的なステップと重要なポイントがご理解いただけたでしょうか?自社のDX実現においてお困りの際は、船井総研の無料経営相談をご活用ください。特に、以下のようなお悩みをお持ちの際は、是非弊社の無料経営相談をご活用ください。 ⇒ 株式会社船井総合研究所の無料経営相談はこちらから! 自社でDXを推進しようと、すでにシステムを導入したが、なかなかうまくいかない… 現場の反発が大きく思うようにプロジェクトが進まない… DXを進めていきたいが、何から手を付けたらよいかわからない…アイデアが欲しい… 専門のコンサルタントが豊富な他社事例を共有しながら、貴社に最適なご提案をさせていただきます。 製造業を取り巻く環境は、かつてないスピードで変動しています。インターネットおよびデジタル化の波は、もはや無視できない潮流となり、企業の競争力を左右する重要な要素となっています。そんな中、注目を集めるのが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。 「DXって、結局何をすればいいの?」 「うちの工場でも、本当に効果があるの?」 「コストばかりかかって、何も変わらないんじゃないか?」 そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。もちろん多大な労力が必要ですが、DXは決して遠い世界の出来事ではありません。日々の業務効率化から、可視化による品質向上、さらにはコミュニケーションの変革まで、その効果は多岐にわたります。 この記事では、DXの基礎から、実際の成功事例、そして導入時の課題と解決策まで、あなたの工場がDXを成功させるための羅針盤となる情報を提供します。他社の失敗事例も踏まえ、業務改善につなげられるようなノウハウもご紹介していきます。 1.製造業におけるDX 近年、製造業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。DXとは、具体的にどういったものを指すのでしょうか? 1-1.そもそもDXとは そもそも、DXの定義はなんでしょうか?媒体によってさまざまな表現がなされていますが、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年)には、以下のように示されています。 「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション): 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」 また、経済産業省の資料には、わかりやすく以下のように記載されています。 「そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か: デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。 また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。」 これらをまとめると、DXとは、「ICTの技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」だと言えます。 全社横断的な変革を実現し、且つお客様に価値を提供して初めてDXを“実現できている”ということができます。DXは、デジタル技術を活用して事業モデルや業務プロセス、組織文化、従業員の意識をイノベーションすることが求められます。 よく言われることですが、単にITシステムを導入するだけではDXとはいえません。例えば、RFIDタグを活用して日報の手書き作業をなくしたとしても、DXとはいえません。状況が可視化され、生産性は上がりますが、業務プロセスのなかの部分的な業務効率化にとどまっているためです。この場合はDXではなくデジタイゼーション (アナログ・物理データのデジタルデータ化)といいます。 1-2.DXが必要とされる背景 インターネットおよびデジタル化の発展により、製造業においても経済成長のスピードについていくためにはDXは欠かせないものです。詳しく解説します。 ◆デジタル化されていないと、すべてにおいて時間がかかり競争力が低下する 現代では、デジタル技術やデータを活用し、業務や判断がよりスピーディーに行われるようになってきており、年々そのスピードは上がっています。物事をKKD(勘、経験、度胸)に頼って判断していくことは、(判断は早い場合もありますが、)属人的でもあり、正確性にもかけてしまいます。データや事実に基づいた分析・改善をおこなっていくことで、よりムダのない、より成功確率の高い判断をしていくことが求められています。DXを実現できていない企業では、DXを実現してデータ活用をおこなっている企業と比較して、すべての面において大きな差が生まれ、競争力が低下するというのは明らかです。 ◆新人・若手の確保が難しくなる Paperlogic社の調査によると、2021年2月25日の段階で2021年の新卒社員の43.1%が、企業のDX推進具合を企業選考の基準としていたことが分かりました。DX推進具合を企業選考の基準とした理由としては「DXに限らず、今後必要になってくる事を積極的に取り入れる会社かどうか見極めるポイントになると考えたから」「社会情勢に応じて、柔軟な対応ができる企業に勤めたいと思っていたから」などが挙げられていました。より社会の変化に敏感になっている学生や若手社員にとって、DXへの姿勢は「この先やっていけるか」を判断する大変重要な要素になるということが分かります。 ◆脱炭素の実現やサプライチェーン強靭化に対応していないと競争力が低下する 他社から「製造品あたりのCO2排出量を教えてほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 近年では、自社だけでなく、発注先会社の製造過程におけるCO2排出量なども考慮していく気運が高まっています。その中にあって、上記のような質問に答えるには、営業や、製造工程において使用する電力量、化石燃料使用量、メタン排出量etc..など、さまざまな製造データを収集し、統合する必要があります。 また、サプライチェーンについても同様のことが言えます。各社が持つ在庫情報や消費者ニーズを把握し、全体最適化していく気運が高まっています。同じように、他社から「製造品の発注数・受注数・在庫数データを共有してほしい」と要求された場合、どのように答えますか? 上記のような質問に答えるには、在庫情報や消費者ニーズの情報をデータに落とし込む必要があります。中長期的なSCM (サプライチェーンマネジメント)の観点からみれば、ERPやCRMを活用していない企業は競争力が低下することが懸念されています。 カーボンニュートラルの実現も、SCMの最適化も、どちらも自社でデータを収集し、データを活用できる社内環境が整備されていなければならず、これは簡単にできることではありませんが、近い将来対応していかなければならないテーマです。 1-3.日本のDXの現状 では、日本の製造業においてDXの推進状況はどのようになっているのでしょうか? 調査では、日本企業のDXの取り組みはゆっくりではあるものの順調に増加し、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。一方で、DXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類すると、各段階における具体的な取り組み項目別の成果については、その割合に大きな変化は見られず、特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであるとしています。 日本企業のDXの取り組みについては、2021年度から年々増加傾向で、今回調査時点では7割強がDXに取り組んでおり、2022年度調査の米国に並びつつあると説明。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透していると分析しています。 (引用:DX動向2024) DXの取り組みにおいて、設定した目的に対する成果が出ているかという質問では、「成果が出ている」と回答した企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査は64.3%に増加しており、成果が出ている企業が増加しています。 一方で、2022年度の米国調査では、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答しており、DXの取り組みは米国並みに進みつつある中で、成果創出につながっていない企業もあると考えられるとしています。 2.DX成功事例6選 国内には、アナログ的な手法から脱却してDXに成功した工場は多数存在します。ここでは成功事例を6つ紹介します。 2-1.DX成功事例①:J社 基幹システム刷新 J社では、基幹システム刷新と業務改革によって、DXの推進をおこなっています。 業種 鋳造・機械加工・表面処理業 DX化効果 300万円/年のコスト削減/作業時間の短縮 J社では、生産管理・会計管理・在庫管理・原価管理などのそれぞれの管理項目において、それぞれ別のシステムを用いて管理をおこなっていましたが、基幹システムの刷新に際し、さまざまな管理項目の一元化をおこないました。 その際に、現状業務フローの把握⇒フローの見直しをおこない、パッケージシステムに業務を合わせることで、全社横断的に2重/3重入力の排除、属人化の排除を実現しました。近年では、年間300万円のコスト削減に成功しています。 2-2.DX成功事例②:S社 協働ロボット活用 S 社では、これまで手作業だった作業に協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 デジタライゼーション化効果 年間工数1200時間削減 投資金額 500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。 ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:工場の自動化 (ファクトリーオートメーション) とは?成功事例5選やメリット、実現までの流れを一挙解説! 2-3.DX成功事例③:S社 AI外観検査 S社では、これまで目視で行われていた樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 デジタライゼーション化効果 検査人員2名削減・1400万円/年のコスト削減 投資金額 4300万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 ⇒関連記事:AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは? 2-4.DX成功事例④:A社 自動バリ取りロボット A 社ではロボットを使うことによって、工数がかかっていたバリ取り作業の自動化に成功しました。業種と自動化効果、投資金額は以下のようになっています。 業種 セラミック製品製造 自動化効果 年間工数 1019 時間削減・生産性 167%増 投資金額 1800 万円+6 軸ロボット費用 A 社の成功事例の特徴は、画像認識によりバリ取りパスを自動で生成している点です。自動生成されたパスに沿ってロボットが動作するため、品種ごとにティーチングプログラムを作成する必要がなく、超多品種少量生産に対応することができます。 本来ロボットを稼働させる際は、ティーチングと呼ばれるロボットのプログラムを人が作成する必要があります。そのためロボットでさまざまな製品の加工をおこなおうとすると、その数だけティーチングをおこなう必要があります。 A 社では、画像認識による自動プログラム作成を採用しているため、作業員が治具に製品を置けば、ロボットが自動でバリ取りをおこなってくれます。 ⇒関連記事:自社の業務に合わせた自動化で、少ない人員でも生産増に対応することができました-アスザック株式会社 様 2-5.DX成功事例⑤:C 社溶接ロボット・研磨ロボット C社では、高い品質が求められる製品において、溶接工程と研磨工程の自動化に成功しました。 業種 鈑金溶接品製造 自動化効果 溶接・研磨の熟練技術の継承に成功 投資金額 7700 万円 (うち 4000 万円は補助金) C社の成功事例の特徴は、非常に難易度の高い薄板ステンレスの TIG 溶接と鏡面研磨を最新技術を活用して自動化した点です。さらに投資金額 7700 万円のうち 4000 万円は事業再構築補助金を活用することにより投資コストを抑えています。 薄板の TIG 溶接は非常に熟練度が要求される作業であり、早い人でも製品として出荷できるレベルに達するまでには 5 年はかかる職人技術と言われています。また、C社の製品における研磨工程は鏡面仕上げとなっており相当の工数がかかっている状態でした。 これら難易度の高い職人技術を 6 軸力覚、加速度、位置センサー、アクティブ・コンプライアンス制御技術を用いて自動化に成功しました。 2-6.DX成功事例⑥:A社 協働ロボット A社では、100 台の協働ロボットを導入し、ワーク投入やエアブロー、検査などの自動化に成功しました。 業種 金属部品加工 自動化効果 人員 60名削減・2.5億/年のコスト削減 投資金額 協働ロボット 100台分 A社の成功事例の特徴は、S社と同様SIerレスで自動化に成功した点です。PLCが扱える人材を採用し、徹底してロボット活用の社内教育を行うことで、コストを抑えた圧倒的な自動化を実現しました。 総額では大きい投資となっていますが、それに見合うだけの費用対効果を実現しています。 さらに事例の詳細について気になる方は、1時間程度の無料相談会を活用ください。 HP 上には記載しきれていない、実際にロボットが稼働している様子や、自動化に関する情報を余すことなくご提供させていただきます。 3.DXの3つのメリット 製造業における、DXのメリットは以下の3点です。 3-1.DXのメリット①:生産性の向上 DXにより、工場の自動化や無人化が進むことで、生産性が大幅に向上します。IoTセンサーによるデータ収集や、AIを活用した最適化により、ムダな動作を排除し、無駄なく効率的に製造できるようになります。また、ロボットやコンベアなどの自動化設備の導入により、人的ミスを最小限に抑えることができます。 3-2.DXのメリット②:品質の安定化 DXを推進することで、製品の品質を安定的に保つことができます。例えば、ロボットによる自動組立てなどにより、人的なばらつきを排除でき、均一な製品を作り出せます。また、センサーでデータを常時監視することで、不良品の発生を未然に防ぐことも可能です。このように、DXは製品の品質保証に大きく貢献します。 3-3.DXのメリット③:顧客視点での製品開発 DXを進めることで、顧客の声をリアルタイムで製品開発に反映しやすくなります。例えば、IoTデバイスから集まる顧客の使用実態データや、SNSでの声などを分析することで、顧客のニーズをリアルタイムで製品にフィードバックすることができます。その上で、サンプル製品のシミュレーションや試作を効率的におこなえば、顧客目線での開発が可能となります。 4.製造業におけるDXの5つの課題 製造業における、DXの課題は以下の5点に集約されます。自社でもココが課題になっている、と感じるところはあるのではないでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 4-1.製造業におけるDXの課題①:技術者の不足と社内教育への投資不足 DXにおいては、専門的な技術者やデジタルスキルに精通した人材が不足していることが課題の一つに挙げられます。広範囲にわたる技術的知識がなければ、DXの構想を考えることは難しいでしょう。更に、社内に技術者がいたとしても、他の従業員が最新のテクノロジーやデジタルツールについて一定程度理解していないと、宝の持ち腐れになってしまいます。デジタル技術を活用するための、社内教育への投資をおこなうことも重要です。 4-2.製造業におけるDXの課題②:旧来システムとの統合 製造業は歴史が古く、既存のシステムが複雑に絡み合っている企業が多いのが実情です。そのため、最新のデジタル技術を導入する際に、旧来のシステムとの親和性が課題となります。直近でいえば、2025年の崖問題が目前に迫っています。社内の状況によっては、一気にシステム刷新をする必要もあるかもしれません。 ⇒関連記事:2025年の崖を対策をしなかった場合の5つのリスク 4-3.製造業におけるDXの課題③:データの統合や分析プロセスの確立の難しさ 製造業では、工数データ、生産実績データなどの膨大な量のデータが生まれますが、それらのデータを統合し、分析する手法の確立は非常に困難です。管理する項目(生産管理、原価管理など)ごとにシステムを導入しており、スムーズなデータ統合ができないケースも多く存在します。また、データの品質や信頼性も重要な課題となっています。例えば工数データをRFIDで取得したとしても、データ利活用に必要十分な工数実績が正しく取得できているとは限りません。 4-4.製造業におけるDXの課題④:かさむ投資コスト DX化の必要性は理解しているが、コストがかかりすぎてしまい、投資に踏み切れない、という工場も多いでしょう。例えば、社内システム/ネットワークを統合しようとすれば、多方面に開発費用がかかってしまい、その分コストは上がります。自社の状況に合わせ、何から手をつけていけば最適なのか?をよく検討する必要があります。 しかし、近年は補助金制度が充実しています。諸条件はありますが、補助金を活用することで、通常よりも少ない投資金額で設備を導入することができるでしょう。 ⇒関連記事:ものづくり補助金最新動向 4-5.製造業におけるDXの課題⑤:従来の組織文化やプロセスの変革への抵抗 DXは、業務プロセスを抜本的に改革していく取り組みです。そのため、従業員の協力が得られない限りは効果的に推進することはできません。DXを推進していくためには、それぞれの部署に対して趣旨の共有をおこない、コミュニケーションをとり、合意形成を取っていく必要があります。人間の感情や、部署間の関係性がおおいに関わってくる領域になるため、最も大きな課題の一つということができます。立場が異なるメンバー・グループ同士が同じゴールを目指していけるよう、統括していく必要があります。 いかがでしたでしょうか。上記の課題が自社にあてはまっている…と感じる方は、船井総研の無料経営相談サービスを活用ください。専門のコンサルタントが対応し、豊富な他社事例やDXの方法などを情報共有いたします。 ⇒船井総研の無料経営相談フォームはこちら 5.DXを進めるためのプロセス 製造業がDXを推進する際のプロセスは、おおよそ以下のようになります。 ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 ステップ2: 全体構想と意識改革 ステップ3: 本格推進 (参考:経済産業省 デジタルガバナンスコード実践の手引き) それぞれのステップについて解説していきます。 5-1.ステップ1: 経営ビジョンの明確化と戦略の策定 会社が目指すべき方向性を明確化します。 経営層の観点から、なぜ改革をおこなっていくのか、また目指すべき目標がなにかを議論していきます。生産性の向上、コスト削減、新しいビジネスモデルの構築などが目標として設定されます。 ビジョン・戦略策定の時点で目的や目標があいまいになってしまうと、全社的な合意形成を取ることが難しくなるため、注意が必要です。 5-2.ステップ2: 全体構想と意識改革 ビジョン達成のためのDXの構想を設計し、また社内の意識改革を促します。 一口にDXといっても、会社の業種や状況によってさまざまな解があります。目指すビジョンと現状の差を把握しながら、全体設計をおこなうことが非常に重要です。また、経営者が自らDX推進の必要性を理解し、従業員に共有することで、社内に変革を受け入れる空気感を醸成します。“経営者が自ら”旗振り役として推進していくことで、プロジェクトを進めやすくなります。 このタイミングでDXを推進するメンバーを選定し、プロジェクトを立ち上げますが、エンジニアやシステム導入の知見があるメンバーがいない場合は、外部から人材を採用したり、コンサルタント・SIer活用の検討もおこなう必要があります。 ⇒関連記事:DXロードマップのポイントと戦略的手法を解説!製造業のDX化を成功に導く方法とは? 5-3.ステップ3:本格推進 プロジェクトメンバー主導で、業務プロセスの現状把握・見直しとシステム構築をおこなっていきます。 既存の業務プロセス、インフラ、データ管理の状態を評価し、目標と現実とのギャップを正確に把握します。現状、現場で起きている不都合は何か?目的達成のために、今足りない部分はどこなのか?細かく精査をしていく必要があります。現状評価が不十分だと、適切なプロジェクト策定は行えません。 現状の業務プロセスが把握できたら、データの収集、管理、分析、活用のための戦略を立て、実行にうつります。多くの施策に同時並行で着手すると、プロジェクトメンバーや従業員への負荷が大きく、スムーズに進めることが難しくなってしまいます。はじめはスモールステップ的に実行していくことが重要です。 DXの成果は定期的に評価し、フィードバックを基に持続的な改善を実施する。生産性やコスト削減のKPIを設定し、定量的な評価を行います。成果の評価が適切でないと、改善の余地が見落とされるため、客観的で透明性のある評価プロセスを確立することが重要です。 6.製造業でDXを実現させるための3つのポイント 6-1.工場の自動化を実現する際のポイント①:経営者が旗振り役となること まず第一に、「経営者が旗振り役となって、DXを進めていくこと」が極めて重要です。経営者自身がDXの重要性を深く理解し、自らが先頭に立って取り組む姿勢を示すことで、組織全体が一丸となって改革に取り組む風土が生まれます。反対に、会社をどうしていきたいのか?理想に近づくためにデジタル技術をどのように活用していくのか?などのコアな部分を従業員やコンサル会社任せにしてしまうと、どこかに齟齬が生まれてしまい、理想的な成果を上げることは難しいでしょう。経営者が率先してビジョンや目標を社員と共有し、具体的なアクションプランを策定することができれば、DXの推進力を格段に上げることができます。 6-2.工場の自動化を実現する際のポイント②:中長期的な取り組みをスモールステップで推進 次に重要なのは、「中長期的な取り組みをスモールステップで推進すること」です。DXは時間も、お金も、労力もかかる取り組みであり、1、2年という短期間で本当の効果が出るものではありません。急激に進めようとすれば、従業員への負荷が高まり、かえって生産性が低下するリスクがあります。 そのため、まずはスモールステップで着実に進めることが重要ですが、小さなステップだけを繰り返していては、最終的なゴールにはたどり着くことができません。したがって、「5年や10年先を見据えた中長期的なビジョンを持ちつつ、現在できることに集中して取り組む」というような中長期的なゴールと短期的なゴールの両方を見据えながら取り組みを進めることが重要です。具体的には、まず既存の生産プロセスの一部をデジタル化し、小さな成功体験を積み重ねると共に、従業員の慣れやスキルを向上させます。これによって、次第により複雑で広範囲なDXの取り組みに挑戦することが可能となります。 6-3.工場の自動化を実現する際のポイント③:人材育成と外部リソースの活用 最後に重要な点は、「人材育成と外部リソースの活用」です。DX推進にはデジタル技術に精通した人材が不可欠であり、これを内部で育てるための育成プログラムの整備が求められます。作業者が導入したツールや技術を構想通りに活用できる様、サポートしていくことが重要です。 さらに、デジタル技術の専門知識やスキルが不足している場合には、外部の専門家やコンサルタントの力を借りることが効果的です。コンサルタントや専門企業の知見を活用することで、効率的かつ迅速にDXを進めることができます。社内人材のみでDXを推進する場合は、既存の業務と平行して進める必要があるため、プロジェクトに十分な時間を割くことができない、というジレンマがあります。プロジェクトを迅速に進めたい方は、外部リソースの活用を強く推奨します。 最後までお読みいただきありがとうございました。 製造業におけるDX推進の成功に向けた具体的なステップと重要なポイントがご理解いただけたでしょうか?自社のDX実現においてお困りの際は、船井総研の無料経営相談をご活用ください。特に、以下のようなお悩みをお持ちの際は、是非弊社の無料経営相談をご活用ください。 ⇒ 株式会社船井総合研究所の無料経営相談はこちらから! 自社でDXを推進しようと、すでにシステムを導入したが、なかなかうまくいかない… 現場の反発が大きく思うようにプロジェクトが進まない… DXを進めていきたいが、何から手を付けたらよいかわからない…アイデアが欲しい… 専門のコンサルタントが豊富な他社事例を共有しながら、貴社に最適なご提案をさせていただきます。

「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」の違いとは!?基本の流れと重要性、記載内容について解説!

2024.06.14

システム導入を成功に導くために欠かせないのが「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」です。 しかし、多くの中小企業ではこれらの文書が適切に管理されておらず、残念ながらシステム導入後にトラブルが発生することが少なくありません。 本記事では、これらのドキュメントの役割や違い、記載すべき内容を解説します。 1.システム導入で必要な「要件定義書」「要求仕様書・RFP」 全国各地の中小企業様に訪問やヒアリングをさせていただく機会が多くある中で、既存システムの現状把握の際に伺うのは【既存システムにおける「要件定義書」「要求仕様書・RFP」】に関するお話です。 「システムをどのようなコンセプトで導入したのか」「どのような機能が実装されているのか」把握するために伺います。システム導入時には当然のようにあるべきドキュメントですが、残念ながら現実として、この資料がすぐに出てこないケースが多いです。「要求仕様書が存在しないパターン」は大変よくありますが(良いことではありませんが)、まれに「要件定義書もないパターン」ということもお聞きします。「一体どうやってシステム導入したのか⁉」と思いますが、様々なベンダーさんがいる中でこれが実情とも感じます。 皆様の会社でも、これまでに何らかのシステム導入を行ってきたと思います。改めてですが、今、お手元に過去のシステム導入で作成した「要件定義書」「要求仕様書・RFP」はありますでしょうか? 両方ない場合は、ほぼ間違いなく納品後にベンダーとトラブルになってきた経緯があると察しますが、いかがでしょうか。パッケージシステムを導入する際にも、カスタマイズ込みのシステムを導入する際には、このドキュメントがないとほぼ間違いなくベンダーとのトラブルになる、と感じています。 今回はなぜシステム導入で「要件定義書」「要求仕様書・RFP」が必要になるのかを解説してきたいと思います。 2.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」の違いとは?? 要件定義書・・・要件定義とは、開発者がシステム開発をするための仕様を定義したものです。要件定義を明文化した「要件定義書」は、ユーザー側の合意・了承を得るためのもので開発者側が作成します。 • 要求仕様書・RFP・・・要求定義はユーザーがシステムに求める仕様を定義したものです。要求定義の内容を明文化した「要求仕様書」は、システム開発に対するオーダーを記したものになるため、ユーザー側が作成します。 要求定義は、システム開発の上流工程として最も重要なプロセスです。 主な順番としては、「要求定義→ベンダー決定→要件定義→基本設計→詳細設計→開発→テスト→リリース/運用」となります。 ユーザーが作成する要求仕様書とRFPも実は異なるドキュメントになるので、説明していきます。 RFPとは「Request for Proposal(提案依頼書)」の頭文字3文字を取っており、外部のベンダー(システム開発業者)へシステムを発注しようとしている企業の担当者が、外部のベンダーからシステム開発の提案をもらうために必要な要件をまとめた書類のことです。 RFPと要求仕様書の違いは、提案の求め方です。要求仕様書は、企業が「自社で開発・導入するソフトウェアやシステムの要件や仕様を明確にすること」を目的に使用されます。一方で、RFPは、「外部業者からのシステム開発提案を求めるために使用される文書」であり、提案内容や提出期限、提案方法、評価方法などを明確に記載する必要があります。RFPの内容が明確かつ詳細に記載されていると、外部業者側はどのような要件に基づいて提案すれば良いのかが明確になるため、自社の課題に沿った内容の提案を組み立てやすくなるとともに、正確性の高い見積もりを導き出すことにもつながります。 3.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」がないトラブル事例 このように、システム導入において、「要件定義書」「要求仕様書・RFP」は非常に重要なドキュメントとなります。 「要求仕様書・RFPがない」=開発者に伝えられるべきユーザーの要望が文書化されていない(ユーザー側でまとまっていない)。開発者にも明確に伝わっていない可能性が高い。 「要件定義書」=開発者が開発すべき機能が明確になっていない。ユーザー側もどのようなものを開発者側が作ろうとしているかをわかっていない。ということです。 要求仕様も要件定義書がない場合、ほぼ間違いなくシステムの納品後に以下のようなトラブルが起こります。 (口頭で)要望した機能が実装されていないことに、システムを使い始めて気づいた。 機能は実装されているが気がするが、非常に使い勝手が悪い。 システムが現場の運用に即していない。 当初イメージしたシステムでない。(例:もっとスタイリッシュな画面を想像していた) たとえシステム納品後に、ユーザー側にこのような不満があっても、要求仕様・要件定義書を作成していなければ、お互いに立ち返る根拠がありません。ドキュメントにしていれば「○○に明記されている」と伝えることができますが、ドキュメント化されていなければ「言った言わない」という話に終始して、お互いに歩み寄ることができなくなります。 この場合、泥沼化しながらユーザー側があきらめるか、開発側が作り直すか。二者択一になります。非常に怖い話ですが、実際に各地でよく起きているのが実情です。 システム導入が上手くいかなかった企業は多くあります。振り返ってみて、要求仕様書・要件定義書があったかどうかを確認してみてください。もし、トラブルが起こった場合、自社は悪くない。ベンダーに問題があったと思いがちですが、 ユーザー側の要望は齟齬ないように明確に伝えられていたでしょうか? ベンダーが作成した要件定義書はきちんと読み込んでいたでしょうか? システム開発をベンダーに丸投げしていなかったでしょうか? ベンダーに要望を明確に伝えることも、ベンダーが開発しようとしているシステムについてしっかり理解しておくことも、開発中もきちんと要望したシステムができているかを確認することも、全部ユーザー側の仕事となります。それを放棄することを、「ベンダーへの丸投げ」といいます。ベンダーへの丸投げのシステム開発はほぼうまくいきません。 いかがでしょうか。「要件定義書」「要求仕様書・RFP」に重要性について、少し理解を深めていただくことができたかと思います。システム導入においては、ユーザー側にも要望を明確にする義務があります。「システムを使って自社のどのような課題を解決したいのか?」をまずは整理することから始めていきましょう。 4.要求仕様書に盛り込むべき内容 要求仕様書には、最低限下記の内容を盛り込みましょう。 システム導入の目的・背景:なぜこのシステム導入が必要なのか、システム導入を通じて解決したい課題は何か、導入の目標は何かなどの明確な定義。 期待される成果:システム導入を通じて達成したい具体的な成果や効果の列挙。 例えば、業務効率の向上、コスト削減、顧客満足度向上、売上増加など、数値化できる目標を設定することが重要です。 KPI (重要業績評価指標)を設定し、導入効果を測定できるようにしておきましょう。 セキュリティ対策に関する要件も忘れずに明記しましょう。 利用者の層や利用シーンを想定し、ユーザビリティを考慮した設計にする必要があります。 運用開始後の保守体制やサポート内容についても明確に定義しておきましょう。 要件定義書では、技術的な側面に焦点を当て、具体的な実現方法や進捗管理のポイントを明示しましょう。 技術的要件:システム導入/ロボット導入に必要な技術やプラットフォーム、開発言語などを具体的に指定。 クラウドサービスを利用する場合は、セキュリティレベルや可用性、拡張性などを考慮する必要があります。 ハードウェア要件を明確に定義し、必要なサーバー、ネットワーク機器などをリストアップしましょう。 機能仕様:システムやロボットが持つべき具体的な機能やモジュールを明確に定義。 ユーザーインターフェース(UI)や ユーザーエクスペリエンス(UX)に関する要件も盛り込み、使いやすさを考慮しましょう。 外部システムとの連携がある場合は、その範囲や方式、インターフェースなどを明確に定義する必要があります。 帳票出力やデータ分析など、必要な機能を網羅的に洗い出し、漏れがないようにしましょう。 検索機能やデータ表示に関する要件を明確にし、使いやすさを追求しましょう。 進捗管理と品質管理:プロジェクト進捗を管理する方法や品質を確保する手段を具体的に記載。 アジャイル開発のような柔軟な開発手法を採用する場合、その旨を明記し、進捗管理や品質管理の方法を具体的に示す必要があります。 プロジェクトのスケジュール、体制、担当、コミュニケーション方法などを明確にしておくことが重要です。 リスク管理計画を策定し、問題点が発生した場合の対応手順を明確化しておきましょう。 テスト段階では、想定される操作を網羅的に実施し、バグを発見し修正することで品質を確保しましょう。 これらの情報は、スムーズなプロジェクト進行に不可欠です。各文書の作成に充分な時間をかけ、関係者間での意見の一致を確認することがプロジェクト成功の鍵です。 5.まとめ システム導入を成功させるためには、「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」が不可欠です。これらの文書は、プロジェクト関係者間で認識を共有し、スムーズな開発と運用を促進するための重要なツールとなります。 要求仕様書では、システム導入の目的や期待される成果、利用者層などを明確に定義し、要件定義書では、技術的な要件、機能仕様、進捗管理と品質管理の方法などを具体的に記述します。 システム導入の際は、これらの文書を適切に作成し、管理することで、プロジェクトの成功率を高めることができます。 しかし、要件定義書や要求仕様書の作成は専門的な知識を必要とし、多くの時間と労力を費やす作業となります。船井総研では、お客様のシステム導入を成功に導くため、豊富な経験とノウハウを持つコンサルタントが、要求仕様書の作成や要件定義事項の精査をサポートいたします。 システム導入を成功に導くために欠かせないのが「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」です。 しかし、多くの中小企業ではこれらの文書が適切に管理されておらず、残念ながらシステム導入後にトラブルが発生することが少なくありません。 本記事では、これらのドキュメントの役割や違い、記載すべき内容を解説します。 1.システム導入で必要な「要件定義書」「要求仕様書・RFP」 全国各地の中小企業様に訪問やヒアリングをさせていただく機会が多くある中で、既存システムの現状把握の際に伺うのは【既存システムにおける「要件定義書」「要求仕様書・RFP」】に関するお話です。 「システムをどのようなコンセプトで導入したのか」「どのような機能が実装されているのか」把握するために伺います。システム導入時には当然のようにあるべきドキュメントですが、残念ながら現実として、この資料がすぐに出てこないケースが多いです。「要求仕様書が存在しないパターン」は大変よくありますが(良いことではありませんが)、まれに「要件定義書もないパターン」ということもお聞きします。「一体どうやってシステム導入したのか⁉」と思いますが、様々なベンダーさんがいる中でこれが実情とも感じます。 皆様の会社でも、これまでに何らかのシステム導入を行ってきたと思います。改めてですが、今、お手元に過去のシステム導入で作成した「要件定義書」「要求仕様書・RFP」はありますでしょうか? 両方ない場合は、ほぼ間違いなく納品後にベンダーとトラブルになってきた経緯があると察しますが、いかがでしょうか。パッケージシステムを導入する際にも、カスタマイズ込みのシステムを導入する際には、このドキュメントがないとほぼ間違いなくベンダーとのトラブルになる、と感じています。 今回はなぜシステム導入で「要件定義書」「要求仕様書・RFP」が必要になるのかを解説してきたいと思います。 2.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」の違いとは?? 要件定義書・・・要件定義とは、開発者がシステム開発をするための仕様を定義したものです。要件定義を明文化した「要件定義書」は、ユーザー側の合意・了承を得るためのもので開発者側が作成します。 • 要求仕様書・RFP・・・要求定義はユーザーがシステムに求める仕様を定義したものです。要求定義の内容を明文化した「要求仕様書」は、システム開発に対するオーダーを記したものになるため、ユーザー側が作成します。 要求定義は、システム開発の上流工程として最も重要なプロセスです。 主な順番としては、「要求定義→ベンダー決定→要件定義→基本設計→詳細設計→開発→テスト→リリース/運用」となります。 ユーザーが作成する要求仕様書とRFPも実は異なるドキュメントになるので、説明していきます。 RFPとは「Request for Proposal(提案依頼書)」の頭文字3文字を取っており、外部のベンダー(システム開発業者)へシステムを発注しようとしている企業の担当者が、外部のベンダーからシステム開発の提案をもらうために必要な要件をまとめた書類のことです。 RFPと要求仕様書の違いは、提案の求め方です。要求仕様書は、企業が「自社で開発・導入するソフトウェアやシステムの要件や仕様を明確にすること」を目的に使用されます。一方で、RFPは、「外部業者からのシステム開発提案を求めるために使用される文書」であり、提案内容や提出期限、提案方法、評価方法などを明確に記載する必要があります。RFPの内容が明確かつ詳細に記載されていると、外部業者側はどのような要件に基づいて提案すれば良いのかが明確になるため、自社の課題に沿った内容の提案を組み立てやすくなるとともに、正確性の高い見積もりを導き出すことにもつながります。 3.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」がないトラブル事例 このように、システム導入において、「要件定義書」「要求仕様書・RFP」は非常に重要なドキュメントとなります。 「要求仕様書・RFPがない」=開発者に伝えられるべきユーザーの要望が文書化されていない(ユーザー側でまとまっていない)。開発者にも明確に伝わっていない可能性が高い。 「要件定義書」=開発者が開発すべき機能が明確になっていない。ユーザー側もどのようなものを開発者側が作ろうとしているかをわかっていない。ということです。 要求仕様も要件定義書がない場合、ほぼ間違いなくシステムの納品後に以下のようなトラブルが起こります。 (口頭で)要望した機能が実装されていないことに、システムを使い始めて気づいた。 機能は実装されているが気がするが、非常に使い勝手が悪い。 システムが現場の運用に即していない。 当初イメージしたシステムでない。(例:もっとスタイリッシュな画面を想像していた) たとえシステム納品後に、ユーザー側にこのような不満があっても、要求仕様・要件定義書を作成していなければ、お互いに立ち返る根拠がありません。ドキュメントにしていれば「○○に明記されている」と伝えることができますが、ドキュメント化されていなければ「言った言わない」という話に終始して、お互いに歩み寄ることができなくなります。 この場合、泥沼化しながらユーザー側があきらめるか、開発側が作り直すか。二者択一になります。非常に怖い話ですが、実際に各地でよく起きているのが実情です。 システム導入が上手くいかなかった企業は多くあります。振り返ってみて、要求仕様書・要件定義書があったかどうかを確認してみてください。もし、トラブルが起こった場合、自社は悪くない。ベンダーに問題があったと思いがちですが、 ユーザー側の要望は齟齬ないように明確に伝えられていたでしょうか? ベンダーが作成した要件定義書はきちんと読み込んでいたでしょうか? システム開発をベンダーに丸投げしていなかったでしょうか? ベンダーに要望を明確に伝えることも、ベンダーが開発しようとしているシステムについてしっかり理解しておくことも、開発中もきちんと要望したシステムができているかを確認することも、全部ユーザー側の仕事となります。それを放棄することを、「ベンダーへの丸投げ」といいます。ベンダーへの丸投げのシステム開発はほぼうまくいきません。 いかがでしょうか。「要件定義書」「要求仕様書・RFP」に重要性について、少し理解を深めていただくことができたかと思います。システム導入においては、ユーザー側にも要望を明確にする義務があります。「システムを使って自社のどのような課題を解決したいのか?」をまずは整理することから始めていきましょう。 4.要求仕様書に盛り込むべき内容 要求仕様書には、最低限下記の内容を盛り込みましょう。 システム導入の目的・背景:なぜこのシステム導入が必要なのか、システム導入を通じて解決したい課題は何か、導入の目標は何かなどの明確な定義。 期待される成果:システム導入を通じて達成したい具体的な成果や効果の列挙。 例えば、業務効率の向上、コスト削減、顧客満足度向上、売上増加など、数値化できる目標を設定することが重要です。 KPI (重要業績評価指標)を設定し、導入効果を測定できるようにしておきましょう。 セキュリティ対策に関する要件も忘れずに明記しましょう。 利用者の層や利用シーンを想定し、ユーザビリティを考慮した設計にする必要があります。 運用開始後の保守体制やサポート内容についても明確に定義しておきましょう。 要件定義書では、技術的な側面に焦点を当て、具体的な実現方法や進捗管理のポイントを明示しましょう。 技術的要件:システム導入/ロボット導入に必要な技術やプラットフォーム、開発言語などを具体的に指定。 クラウドサービスを利用する場合は、セキュリティレベルや可用性、拡張性などを考慮する必要があります。 ハードウェア要件を明確に定義し、必要なサーバー、ネットワーク機器などをリストアップしましょう。 機能仕様:システムやロボットが持つべき具体的な機能やモジュールを明確に定義。 ユーザーインターフェース(UI)や ユーザーエクスペリエンス(UX)に関する要件も盛り込み、使いやすさを考慮しましょう。 外部システムとの連携がある場合は、その範囲や方式、インターフェースなどを明確に定義する必要があります。 帳票出力やデータ分析など、必要な機能を網羅的に洗い出し、漏れがないようにしましょう。 検索機能やデータ表示に関する要件を明確にし、使いやすさを追求しましょう。 進捗管理と品質管理:プロジェクト進捗を管理する方法や品質を確保する手段を具体的に記載。 アジャイル開発のような柔軟な開発手法を採用する場合、その旨を明記し、進捗管理や品質管理の方法を具体的に示す必要があります。 プロジェクトのスケジュール、体制、担当、コミュニケーション方法などを明確にしておくことが重要です。 リスク管理計画を策定し、問題点が発生した場合の対応手順を明確化しておきましょう。 テスト段階では、想定される操作を網羅的に実施し、バグを発見し修正することで品質を確保しましょう。 これらの情報は、スムーズなプロジェクト進行に不可欠です。各文書の作成に充分な時間をかけ、関係者間での意見の一致を確認することがプロジェクト成功の鍵です。 5.まとめ システム導入を成功させるためには、「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」が不可欠です。これらの文書は、プロジェクト関係者間で認識を共有し、スムーズな開発と運用を促進するための重要なツールとなります。 要求仕様書では、システム導入の目的や期待される成果、利用者層などを明確に定義し、要件定義書では、技術的な要件、機能仕様、進捗管理と品質管理の方法などを具体的に記述します。 システム導入の際は、これらの文書を適切に作成し、管理することで、プロジェクトの成功率を高めることができます。 しかし、要件定義書や要求仕様書の作成は専門的な知識を必要とし、多くの時間と労力を費やす作業となります。船井総研では、お客様のシステム導入を成功に導くため、豊富な経験とノウハウを持つコンサルタントが、要求仕様書の作成や要件定義事項の精査をサポートいたします。

生産管理とは?システム導入のメリットや成功事例を解説!

2024.06.05

製造業が抱える課題 製造業においては、効率と品質を追求する中で様々な課題が存在します。その中でも特に以下の点が挙げられます。 需要変動への対応 市場の需要は常に変動しており、それに迅速に対応することが求められますが、非常に困難です。 需要予測が難しい場合、過剰な在庫を抱えるリスクや、逆に欠品のリスクが生じてしまいます。 適正在庫の維持 適正在庫の維持は、コスト削減と効率的な生産活動に直結します。 過剰在庫は保管コストを増加させ収益性を悪化させますし、欠品は顧客満足度の低下を引き起こし、どちらも経営状況を悪化させてしまう要因となります。 リードタイム短縮 顧客の期待に応えるためには、生産から納品までのリードタイムを短縮することが必要です。 実際の工数はどれくらいで、どこにボトルネックがあるのか、それを基にどのような改善活動をしてリードタイムを短縮していくのか。 このような具体的なディスカッションを行うことで、競争力は向上していきます。 作業効率の改善 日本の労働人口はどんどん減少していっています。 この状況を加味すれば、より少ない人数で現状の生産を担保しないといけない時代がやってくることが予想されます。工場内の作業効率を高め、無駄な動きや待ち時間を最小限に抑えるための改善活動が重要です。 生産管理システムとは 上記のような課題を抱える製造業において、生産管理システムというのはこれらの課題を解決するための強力なツールであると言えます。 以下にシステム概要と、主な機能を説明しておきます。 生産管理システムの概要 生産管理システムとは、生産プロセス全体を効率的に管理・コントロールするためのソフトウェアです。 需要予測から生産計画、在庫管理、品質管理まで、多岐にわたる業務を統合的に管理します。 生産管理システムの主な機能 生産管理システムの機能として、主要な機能は以下のようなものが挙げられます。 需要予測:市場データを基に将来の需要を予測し、生産計画を立てます。 生産計画:効率的な生産スケジュールを作成し、リソースを最適に配分します。 在庫管理:リアルタイムで在庫状況を監視し、適正在庫を維持します。 品質管理:品質基準を設定し、製品がその基準を満たしているかを検査します。 工程管理:各工程の進捗を監視し、問題が発生した場合に迅速に対応します。 生産管理システムの導入方法 生産管理システムの導入は、以下のステップで進める必要があります。 現状分析:現在の生産プロセスを詳細に分析し、課題を明確にします。 要件定義:システムに求める機能や要件を定義します。 ベンダー選定:要件を満たすシステムを提供するベンダーを選定します。 導入計画:導入スケジュールやトレーニング計画を策定します。 システム導入:実際の導入作業を行い、テストを実施します。 運用開始:操作者・管理者向けのトレーニングを行い、システムの運用を開始します。 生産管理システム導入のメリット 生産管理システムを導入することで、多くのメリットが得られます。以下にその具体例をいくつか挙げます。 手作業の削減と間違い防止 手作業によるデータ入力や管理業務を自動化することで、人的ミスを減少させ、業務の正確性が向上します。 適正在庫の維持と過剰在庫抑制 リアルタイムで在庫状況を把握し、適正在庫を維持することで、過剰在庫や欠品のリスクを抑えることができます。 リードタイム短縮と納期遵守向上 生産プロセス全体を効率化することで、リードタイムを短縮し、納期遵守率を向上させます。 生産性と作業効率の大幅改善 各工程の無駄を排除し、作業効率を大幅に改善します。これにより、生産性が向上し、コスト削減が実現します。 ムダな動きや待ち時間の削減 リアルタイム監視とデータ分析により、ムダな動きや待ち時間を最小限に抑えることができます。 成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 生産管理システム導入の成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。 その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。 そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 生産管理システム導入の方法と注意点 生産管理システムを導入する際には、以下の点に注意することが重要です。 現状分析と課題の明確化:導入前に現状を詳細に分析し、解決すべき課題を明確にします。 要件定義の精度:システムに求める要件を正確に定義し、ベンダーとのコミュニケーションを密に行います。 トレーニングの徹底:システム導入後のトレーニングを徹底し、全社員がシステムを活用できるようにします。 継続的な改善:導入後も継続的にデータを分析し、システムの改善点を見つけて対応します。 システムを導入することがゴールではありません。あくまでシステムはツールのひとつですから、いかにどう活用するか、というのこそ重要なポイントと言えます。 まとめ 以上のように、生産管理は製造業において非常に重要な業務であり、その効率化や品質向上は企業の競争力を大きく左右します。 生産管理システムを導入することで、多くの課題を解決し、効率的な生産が実現可能です。 もちろん、システム導入には慎重な計画と実行が必要ですが、しっかりと導入効果を見据えた上で導入と活用が出来たのであれば、その効果は計り知れません。 今後の製造業の未来を考えれば、生産管理の重要性はますます高まることでしょう。 製造業が抱える課題 製造業においては、効率と品質を追求する中で様々な課題が存在します。その中でも特に以下の点が挙げられます。 需要変動への対応 市場の需要は常に変動しており、それに迅速に対応することが求められますが、非常に困難です。 需要予測が難しい場合、過剰な在庫を抱えるリスクや、逆に欠品のリスクが生じてしまいます。 適正在庫の維持 適正在庫の維持は、コスト削減と効率的な生産活動に直結します。 過剰在庫は保管コストを増加させ収益性を悪化させますし、欠品は顧客満足度の低下を引き起こし、どちらも経営状況を悪化させてしまう要因となります。 リードタイム短縮 顧客の期待に応えるためには、生産から納品までのリードタイムを短縮することが必要です。 実際の工数はどれくらいで、どこにボトルネックがあるのか、それを基にどのような改善活動をしてリードタイムを短縮していくのか。 このような具体的なディスカッションを行うことで、競争力は向上していきます。 作業効率の改善 日本の労働人口はどんどん減少していっています。 この状況を加味すれば、より少ない人数で現状の生産を担保しないといけない時代がやってくることが予想されます。工場内の作業効率を高め、無駄な動きや待ち時間を最小限に抑えるための改善活動が重要です。 生産管理システムとは 上記のような課題を抱える製造業において、生産管理システムというのはこれらの課題を解決するための強力なツールであると言えます。 以下にシステム概要と、主な機能を説明しておきます。 生産管理システムの概要 生産管理システムとは、生産プロセス全体を効率的に管理・コントロールするためのソフトウェアです。 需要予測から生産計画、在庫管理、品質管理まで、多岐にわたる業務を統合的に管理します。 生産管理システムの主な機能 生産管理システムの機能として、主要な機能は以下のようなものが挙げられます。 需要予測:市場データを基に将来の需要を予測し、生産計画を立てます。 生産計画:効率的な生産スケジュールを作成し、リソースを最適に配分します。 在庫管理:リアルタイムで在庫状況を監視し、適正在庫を維持します。 品質管理:品質基準を設定し、製品がその基準を満たしているかを検査します。 工程管理:各工程の進捗を監視し、問題が発生した場合に迅速に対応します。 生産管理システムの導入方法 生産管理システムの導入は、以下のステップで進める必要があります。 現状分析:現在の生産プロセスを詳細に分析し、課題を明確にします。 要件定義:システムに求める機能や要件を定義します。 ベンダー選定:要件を満たすシステムを提供するベンダーを選定します。 導入計画:導入スケジュールやトレーニング計画を策定します。 システム導入:実際の導入作業を行い、テストを実施します。 運用開始:操作者・管理者向けのトレーニングを行い、システムの運用を開始します。 生産管理システム導入のメリット 生産管理システムを導入することで、多くのメリットが得られます。以下にその具体例をいくつか挙げます。 手作業の削減と間違い防止 手作業によるデータ入力や管理業務を自動化することで、人的ミスを減少させ、業務の正確性が向上します。 適正在庫の維持と過剰在庫抑制 リアルタイムで在庫状況を把握し、適正在庫を維持することで、過剰在庫や欠品のリスクを抑えることができます。 リードタイム短縮と納期遵守向上 生産プロセス全体を効率化することで、リードタイムを短縮し、納期遵守率を向上させます。 生産性と作業効率の大幅改善 各工程の無駄を排除し、作業効率を大幅に改善します。これにより、生産性が向上し、コスト削減が実現します。 ムダな動きや待ち時間の削減 リアルタイム監視とデータ分析により、ムダな動きや待ち時間を最小限に抑えることができます。 成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 生産管理システム導入の成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。 その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。 そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 生産管理システム導入の方法と注意点 生産管理システムを導入する際には、以下の点に注意することが重要です。 現状分析と課題の明確化:導入前に現状を詳細に分析し、解決すべき課題を明確にします。 要件定義の精度:システムに求める要件を正確に定義し、ベンダーとのコミュニケーションを密に行います。 トレーニングの徹底:システム導入後のトレーニングを徹底し、全社員がシステムを活用できるようにします。 継続的な改善:導入後も継続的にデータを分析し、システムの改善点を見つけて対応します。 システムを導入することがゴールではありません。あくまでシステムはツールのひとつですから、いかにどう活用するか、というのこそ重要なポイントと言えます。 まとめ 以上のように、生産管理は製造業において非常に重要な業務であり、その効率化や品質向上は企業の競争力を大きく左右します。 生産管理システムを導入することで、多くの課題を解決し、効率的な生産が実現可能です。 もちろん、システム導入には慎重な計画と実行が必要ですが、しっかりと導入効果を見据えた上で導入と活用が出来たのであれば、その効果は計り知れません。 今後の製造業の未来を考えれば、生産管理の重要性はますます高まることでしょう。

生産管理とは?製造業における目的や業務内容・よくある課題とは?

2024.06.05

製造業における生産管理は、商品の品質や生産効率を最大化するために不可欠な業務です。 しかし、その具体的な内容や目的、そしてよくある課題について理解している人は意外と少ないかもしれません。 本コラムでは、生産管理の基本から、システム導入のメリット、さらに成功事例までを詳しく解説します。 生産管理とは? 生産管理とは、製造業において生産プロセス全体を計画・実行・監視・調整する業務を指します。 生産管理の目的としては、効率よく高品質な製品をタイムリーに過不足なく生産することです。 生産管理の目的 生産管理の主な目的は以下の通りです: 効率性の向上:無駄を排除し、リソースを最適に活用することで、生産コストを抑えます。 品質の確保:製品の品質を維持・向上させることで、顧客満足度を高めます。 納期の遵守:計画通りに製品を納品し、顧客の信頼を確保します。 生産管理と工程管理の違いとは 生産管理と工程管理は似ているようで異なる概念です。 生産管理では、工程を含めた全体のプロセスを管理するのに対し、工程管理は各工程を細か く監視し、問題が発生した際に迅速に対処することを指します。 生産管理の範囲と主な業務内容 生産管理は前述の通り、多岐にわたる業務を含みます。以下に主な業務内容を紹介します。 需要予測 市場や顧客の動向を分析し、将来的な需要を予測します。 これにより、無駄な在庫を抱えることなく、生産計画を立てることが可能です。 生産計画 需要予測を基に、生産スケジュールや必要なリソース(材料、人員、設備など)を計画します。 これにより、効率的な生産が可能となります。 調達・購買 必要な原材料や部品を適切なタイミングで調達することも、生産管理の重要な業務です。 遅延や不足が発生しないよう、供給チェーンを管理します。 工程管理 各生産工程が計画通りに進んでいるかを監視・管理します。 問題が発生した場合は迅速に対処し、生産ラインの停滞を防ぎます。 品質管理 製品の品質を維持・向上させるための管理業務です。 品質基準を設定し、製品がその基準を満たしているかを検査します。 在庫管理 原材料や製品の在庫を適切に管理し、過剰在庫や欠品を防ぎます。 在庫の最適化は、コスト削減と効率的な生産に直結します。 生産管理においてよくある課題 生産管理は多岐にわたる業務を含むため、以下のような課題が生じることがよくあります。 需要予測の不確実性: 需要予測は多くの場合、職人的な勘や経験がベースとなり行われています。 これが外れた場合、過剰在庫や欠品が発生するリスクがあります。 リソースの最適配分: リソースの配置についても、勘や経験で行われてしまうと人員や設備の過不足が生じてしまい、生産効率が低下することがあります。 品質管理の徹底: 品質基準を満たさない製品が出荷されてしまうと、当然顧客満足度が低下し、売り上げに影響が出てしまいます。 生産管理システム導入によるメリット 3 選 生産管理システムの導入は、これらの課題を解決する手段として非常に有効です。 以下にそのメリットを紹介します。 生産管理システム導入によるメリット①:データに基づいた判断・行動 収集したデータを基に分析を行い、改善点を特定することができます。 これにより、継続的な改善が実現し、生産効率や品質が向上します。 生産管理システム導入によるメリット②:リアルタイムでの稼働監視 リアルタイムで生産状況を監視できるため、問題が発生した際に迅速に対応できます。 これにより、生産ラインの停滞や不良品の生産などを最小限に抑えることが可能となります。 生産管理システム導入によるメリット③:業務効率の最適化 生産管理システムを導入することで、各工程の手で行われていた集計業務などが自動化され、効率が大幅に向上します。 手作業によるミスも減少し、正確なデータを基に最適な生産計画が立てられます。 生産管理システム導入までの流れ 生産管理システムの導入は、以下のステップで進めるとスムーズです。 現状分析:現在の生産プロセスを詳細に分析し、課題を洗い出します。 要件定義:解決すべき課題を基に、システムの要件や Tobe フロー図などを策定します。 ベンダー選定:要件を満たすシステムを提供するベンダーを選定します。 導入計画:導入スケジュールやトレーニング計画を策定します。 システム導入:実際の導入作業を行い、テストを実施します。 運用開始:トレーニングを行い、システムの運用を開始します。 生産管理システム導入の成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。 その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。 そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 まとめ 以上のように、生産管理は製造業において非常に重要な業務です。 この効率化や品質向上という部分は、企業の競争力を大きく左右するポイントです。 生産管理システムを導入することで、重要な多くの課題を解決し、効率的な生産を実現できるようになります。 今後、どんどん労働人口が減少していく日本の製造業において、生産管理の重要性はますます高まることでしょう。 是非、必要に応じてご検討いただければと思います。 製造業における生産管理は、商品の品質や生産効率を最大化するために不可欠な業務です。 しかし、その具体的な内容や目的、そしてよくある課題について理解している人は意外と少ないかもしれません。 本コラムでは、生産管理の基本から、システム導入のメリット、さらに成功事例までを詳しく解説します。 生産管理とは? 生産管理とは、製造業において生産プロセス全体を計画・実行・監視・調整する業務を指します。 生産管理の目的としては、効率よく高品質な製品をタイムリーに過不足なく生産することです。 生産管理の目的 生産管理の主な目的は以下の通りです: 効率性の向上:無駄を排除し、リソースを最適に活用することで、生産コストを抑えます。 品質の確保:製品の品質を維持・向上させることで、顧客満足度を高めます。 納期の遵守:計画通りに製品を納品し、顧客の信頼を確保します。 生産管理と工程管理の違いとは 生産管理と工程管理は似ているようで異なる概念です。 生産管理では、工程を含めた全体のプロセスを管理するのに対し、工程管理は各工程を細か く監視し、問題が発生した際に迅速に対処することを指します。 生産管理の範囲と主な業務内容 生産管理は前述の通り、多岐にわたる業務を含みます。以下に主な業務内容を紹介します。 需要予測 市場や顧客の動向を分析し、将来的な需要を予測します。 これにより、無駄な在庫を抱えることなく、生産計画を立てることが可能です。 生産計画 需要予測を基に、生産スケジュールや必要なリソース(材料、人員、設備など)を計画します。 これにより、効率的な生産が可能となります。 調達・購買 必要な原材料や部品を適切なタイミングで調達することも、生産管理の重要な業務です。 遅延や不足が発生しないよう、供給チェーンを管理します。 工程管理 各生産工程が計画通りに進んでいるかを監視・管理します。 問題が発生した場合は迅速に対処し、生産ラインの停滞を防ぎます。 品質管理 製品の品質を維持・向上させるための管理業務です。 品質基準を設定し、製品がその基準を満たしているかを検査します。 在庫管理 原材料や製品の在庫を適切に管理し、過剰在庫や欠品を防ぎます。 在庫の最適化は、コスト削減と効率的な生産に直結します。 生産管理においてよくある課題 生産管理は多岐にわたる業務を含むため、以下のような課題が生じることがよくあります。 需要予測の不確実性: 需要予測は多くの場合、職人的な勘や経験がベースとなり行われています。 これが外れた場合、過剰在庫や欠品が発生するリスクがあります。 リソースの最適配分: リソースの配置についても、勘や経験で行われてしまうと人員や設備の過不足が生じてしまい、生産効率が低下することがあります。 品質管理の徹底: 品質基準を満たさない製品が出荷されてしまうと、当然顧客満足度が低下し、売り上げに影響が出てしまいます。 生産管理システム導入によるメリット 3 選 生産管理システムの導入は、これらの課題を解決する手段として非常に有効です。 以下にそのメリットを紹介します。 生産管理システム導入によるメリット①:データに基づいた判断・行動 収集したデータを基に分析を行い、改善点を特定することができます。 これにより、継続的な改善が実現し、生産効率や品質が向上します。 生産管理システム導入によるメリット②:リアルタイムでの稼働監視 リアルタイムで生産状況を監視できるため、問題が発生した際に迅速に対応できます。 これにより、生産ラインの停滞や不良品の生産などを最小限に抑えることが可能となります。 生産管理システム導入によるメリット③:業務効率の最適化 生産管理システムを導入することで、各工程の手で行われていた集計業務などが自動化され、効率が大幅に向上します。 手作業によるミスも減少し、正確なデータを基に最適な生産計画が立てられます。 生産管理システム導入までの流れ 生産管理システムの導入は、以下のステップで進めるとスムーズです。 現状分析:現在の生産プロセスを詳細に分析し、課題を洗い出します。 要件定義:解決すべき課題を基に、システムの要件や Tobe フロー図などを策定します。 ベンダー選定:要件を満たすシステムを提供するベンダーを選定します。 導入計画:導入スケジュールやトレーニング計画を策定します。 システム導入:実際の導入作業を行い、テストを実施します。 運用開始:トレーニングを行い、システムの運用を開始します。 生産管理システム導入の成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。 その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。 そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 まとめ 以上のように、生産管理は製造業において非常に重要な業務です。 この効率化や品質向上という部分は、企業の競争力を大きく左右するポイントです。 生産管理システムを導入することで、重要な多くの課題を解決し、効率的な生産を実現できるようになります。 今後、どんどん労働人口が減少していく日本の製造業において、生産管理の重要性はますます高まることでしょう。 是非、必要に応じてご検討いただければと思います。

理想的な新工場のビジョンと実現方法:持続的生産技術を導入するためのガイド

2024.05.22

新工場を設立する際、私たちが抱くビジョンはただの夢物語ではありません 新しい工場を設立することは、多くの製造業の経営者にとって大きな挑戦であり、同時に絶好の機会でもあります 新工場の成功は、将来を見据えた持続的生産技術を導入し、効率と生産性を最大限に引き出すことにあります この記事では、新工場のビジョンの立て方から具体的な課題の整理方法、工程設計のポイント、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)技術の活用法まで詳しく解説します これを読むことで、製造業の経営者やその関係者が新工場設立のプロセスを理解し、成功への道筋を描けるようになるでしょう 1.新工場のビジョンの立て方のポイント 新工場のビジョンを立てる際には、目的と目標の明確化、市場動向と技術トレンドの分析、そしてステークホルダーの意見収集を行い、関係者全員でビジョンを共有し作り上げていくことが重要です 以下にポイントを整理します 1)目的と目標の明確化 新工場の設立にあたって、具体的な目標を設定することが重要です 例えば、生産性の向上、コスト削減、品質の向上など、どのような成果を達成したいのかを明確にします 目標はより具体的に、出来る限り定量的に評価できるもの(数値目標など)を設定します これにより、工場の設計や導入技術の選定の基準が明確になり、一貫性のある計画が立てられます 2)市場動向と技術トレンドの分析 業界の最新トレンドや技術革新を把握し、競争力を持つために必要な技術を特定します 例えば、自動化技術やIoT、AIの導入など、いわゆるDX化が急速に進んでいる現在、これらの技術をどのように活用するかが、工場の競争力を左右します 3)ステークホルダーの意見収集 工場の設立に関わるすべてのステークホルダー、すなわち従業員、取引先、顧客などから意見を収集し、それをビジョンに反映させます これにより、関係者全員が納得し、協力して新工場立上プロジェクトを進められるようになります 2.現状分析と課題整理・分析方法 新工場の設立に際して、現状把握と課題を整理・分析することはプロジェクトの成功に欠かせません。 現状を論理的に分析し、客観的に評価した上で新工場のビジョンを達成するためのロードマップを作成します。 分析や課題整理には様々な手法が存在し、状況に応じて使い分けし総合的に判断しますが、ここでは比較的良く使われる手法を幾つかご紹介します。 1)SWOT分析 SWOT分析は、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を洗い出す手法です。 新工場設立において、例えば以下のような内容で分析します。 強み(Strengths) 新工場が持つ強みを特定します。 例えば、新しい自動化設備の導入により生産効率が向上することや、最新の環境基準を満たすことでエコフレンドリーな工場となる点が挙げられます。 弱み(Weaknesses) 新工場における課題や弱点を洗い出します。 例えば、新技術の導入に対する従業員のスキル不足や、高額な初期投資が必要である点が考えられます。 機会(Opportunities) 新工場がもたらす機会を見つけます。 例えば、市場での需要増加に迅速に対応できることや、最新技術を活用して新製品開発が可能となる点が含まれます。 脅威(Threats) 新工場設立におけるリスクを評価します。 例えば、競合他社の動向や市場の不確実性、規制の変化などが挙げられます。 SWOT分析により、新工場の内外環境を総合的に評価し、戦略的な意思決定をサポートします。 2)5F分析(ファイブフォース分析) マイケル・ポーターが提唱したファイブフォース分析(5F分析)は、競争環境を評価するためのフレームワークで、5つの力(フォース)を考慮します。 新工場設立において、以下のように適用します。 競争企業の脅威 同じ市場内の既存企業との競争状況を評価します。 例えば、同業他社がどのような技術を導入しているか、価格競争力がどの程度あるかを分析します。 新規参入の脅威 新規参入者が市場に参入する可能性とその影響を評価します。 例えば、参入障壁が低い市場では、新たな競合が容易に現れる可能性があります。 代替品の脅威 他の製品やサービスが代替として選ばれる可能性を評価します。 例えば、製品の代替品が市場に存在する場合、それらが新工場の売上に与える影響を考慮します。 買い手の交渉力 顧客が価格や品質に対してどれだけの交渉力を持っているかを評価します。 例えば、大口顧客が多い場合、価格交渉力が高くなる可能性があります。 供給者の交渉力 原材料や部品の供給者が価格や供給条件に対してどれだけの交渉力を持っているかを評価します。 例えば、特定の部品の供給者が限られている場合、供給者の交渉力が強くなる可能性があります。 これらの5つの力を総合的に評価することで、新工場が直面する競争環境を明確にし、適切な戦略を策定することができます。 3)DCF法(Discounted Cash Flow) 新工場設立には多額の投資が必要です。 投資判断を行うための有効な手法として、DCF法(割引キャッシュフロー法)を紹介します。 これは未来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する方法です。 新工場設立の投資判断では以下のステップで分析します。 キャッシュフローの予測 新工場から得られる予想キャッシュフローを年間ごとに見積もります。 例えば、年間売上高、運転費用、減価償却費、税引き後の純利益などを計算します。 割引率の設定 キャッシュフローを現在価値に割り引くための割引率を設定します。 これは、企業の資本コスト(WACC)を基に決定します。 現在価値の計算 各年のキャッシュフローを割引率で割り引いて現在価値を計算し、全ての現在価値を合計します。 投資の評価 現在価値の合計が初期投資額を上回る場合、投資は経済的に妥当と判断されます。 例えば、新工場が5年間で総額10億円のキャッシュフローを生むと予測し、割引率を5%と設定した場合、5年間のキャッシュフロー(毎年2億円、5年総額で10億円と仮定)の現在価値の合計を計算すると約8.6627億円となります。 つまり初期投資額がこの価格を下回れば、投資は経済的に成功すると判断できます。 4)Eisenhowerマトリックス(優先順位付け手法) プロジェクト中に発生する様々な課題を解決しなければなりませんが、課題の重要度と緊急度を評価し、優先順位をつけることで効率的に対応するために優先順位をつける必要があります。 ここでは、Eisenhowerマトリックスを用いた優先順位付けの手法を紹介します。 Eisenhowerマトリックスは、課題を重要性と緊急性の2つの軸で分類し、効果的に優先順位を付ける手法です。 各課題に対して重要度と緊急性にスコア付け(5段階評価など)を行い2次元プロットを行います。 これにより、各課題がプロットされたエリア(第1~第4象限)によって各々取るべきアクションが分類できます。 「第1象限」重要かつ緊急(Do First) すぐに対応が必要な課題です。 例えば、工期に直接影響を与える資材の供給遅れなど。 「第2象限」重要だが緊急でない(Schedule) 計画的に取り組むべき課題です。 例えば、新技術の習得や設備のメンテナンススケジュールなど。 「第3象限」緊急だが重要でない(Delegate) 他の人に任せられる課題です。 例えば、日常的な書類作業や簡単な報告業務など。 「第4象限」重要でも緊急でもない(Eliminate) 後回しにできる課題です。 例えば、工場の美化活動など。 プロット図を作成することで課題とその重要性が可視化できるため効率的に課題解決を行うことが出来ます。 3.工場全体の能力を考慮した工程設計方法 効率的な工場レイアウトと物流動線の設計は、各プロセスの処理能力、生産方式、トラブル時の対応を考慮して行う必要があります。 つまり、処理能力のバランス調整を行い、ボトルネックが生じないように工程を設計し、レイアウトと物流動線に落とし込みます。 この設計に活用できる手法の一つがVSM(Value Stream Mapping)です。 VSMは、工場における生産の全プロセス、つまり工場に材料が到着して、保管、加工、検査、梱包、在庫、出荷及び各工程間の運搬までの全体を視覚的に示した図です。 これを用いることで、各工程の処理能力のバランス、工程間の搬送能力、仕掛及び製品の在庫管理などの計画と検証を効率的に行うことができます。 また、工程トラブルなどでボトルネックが生じた場合に影響を受けるプロセスも容易に把握でき、工場の運用が開始された後も適切にアップデートを行うことで常に活用できる手法です。 4.検討すべきDX技術と期待される効果 新工場に導入するDX技術は、自動化、人工知能(AI)、IoT、システム化など様々です。 どんな技術を、どこにどう組み合わせて導入するのかは最初に決めたプロジェクトのビジョンに照らして戦略を立てる必要があります。 ここでは、それぞれの技術の具体例と期待される効果を纏めます。 自動化 生産ラインの自動化により、効率を向上させ、人件費を削減します。 例えば、最新の自動搬送装置(AGV)は、原材料や部品を必要な場所に正確に運びます。 これにより、作業員が材料の運搬に費やす時間(無付加価値作業)を削減し、より付加価値の高い業務に集中できます。 また、ロボットの導入により、精密な組み立て作業が可能となり、不良品の発生を抑えることができます。 特に、精密機器の製造においては、人間の手では難しい微細な作業を高精度に行えるため、品質の向上と生産効率の改善が期待できます。 人工知能(AI) AIを活用したデータ分析や予測モデルにより、品質管理や需要予測を行います。 例えば、AIを用いた画像認識システムは、従来の画像処理では困難だった検査も実用レベルになって来ており、検査基準の数値化、検査ばらつきの低減、目視検査員の削減などに貢献します。 また、AIによる需要予測モデルを導入し過去の販売データや市場のトレンドを解析することで、製品の需要変動を予測し、在庫と生産計画の最適化が可能となります。 これは、過剰在庫のリスクを減らし、キャッシュフローの改善に寄与します。 IoT(Internet of Things) IoT技術を活用し、工場内の機器やセンサーをネットワークでつなぎ、リアルタイムでデータを収集・分析します。 例えば、設備の稼働状況や温度、湿度などの環境データをリアルタイムで監視し、異常が検知された場合には即座にアラートを発するシステムを構築します。 またIoTの導入により設備の予防保全が可能となり、突発的な故障を未然に防ぎます。 また、エネルギー消費データのモニタリングにより、省エネルギー対策を強化し、運営コストの削減を図ります。 システム化 生産実行システム(MES)や統合基幹業務システム(ERP)を導入し、情報の一元管理を実現します。 例えば、生産実行システム(MES)を導入することで、製造プロセスの全体をリアルタイムで把握し、生産計画の最適化を図ります。 これにより、生産リードタイムの短縮や、顧客の急な注文変更にも柔軟に対応可能となります。 また、ERPシステムとの連携により、財務、在庫、購買などの情報を統合管理し、業務の効率化と透明性の向上を実現します。 これにより、全社的な情報共有が促進され、迅速な意思決定が可能となります。 5.まとめ 新工場の設立は大きな挑戦ですが、適切なビジョンと計画を持ち、最新のDX技術を活用することで、理想的な工場を実現することができます。 様々な手法を用いて課題を整理・評価し、優先順位をつけて対応することで効率的かつ効果的なプロジェクトマネジメントが可能です。 新工場の成功は、技術と人間の知恵の結晶です。 挑戦を恐れず、一歩一歩着実に前進していきましょう。 製造業の皆様がこのコラムを通じて新たな気づきを得て、理想的な工場設立の一助となることを願っています。   ■関連するセミナーのご案内 補助金活用して自動化・省人化・DX化工場の新設・増設セミナー セミナー詳細・申込はこちらから https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115304 このような方にオススメ 最大50億円の補助金を活用して工場新設・増設・移転を行いたい製造業様 工場新設・増設・移転を計画しておりDX・自動化・省人化・システム化・IoT化を推進したい製造業様 工場新設・増設・移転における事業計画・建築計画・設備計画を成功させたい製造業様 DX・自動化・省人化・システム化・IoT化された最新のスマートファクトリーを知りたい製造業様 はじめての工場新設・増設・移転で何から始めたら良いかわからない製造業様 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115304 製造業のための 海外工場「再構築DX戦略」 解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ グローバル市場において、日本メーカーが生産する「日本企業製の製品」の評価は非常に高いことはご存じのとおりです。 業務用、民生品といった最終製品のみならず、部品や生産設備でも非常に高い評価を得ており、大きな存在感を維持しています。 つまりキラーコンテンツ=“強い製品”は持っているのです。 そこでDX推進が課題解決の大きな選択肢になります。 単なる省人化・省力化に留まらず、AIなど新たな価値を創出する可能性がある技術もあります。 DX推進によって製造の課題を克服し、今ある基盤を活用して強い製品を効率的に生産し、大きな市場で勝ち抜く。 このDXロードマップを構築することが必要で、最も重要な経営戦略となります。 https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory__02738_S045 新工場を設立する際、私たちが抱くビジョンはただの夢物語ではありません 新しい工場を設立することは、多くの製造業の経営者にとって大きな挑戦であり、同時に絶好の機会でもあります 新工場の成功は、将来を見据えた持続的生産技術を導入し、効率と生産性を最大限に引き出すことにあります この記事では、新工場のビジョンの立て方から具体的な課題の整理方法、工程設計のポイント、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)技術の活用法まで詳しく解説します これを読むことで、製造業の経営者やその関係者が新工場設立のプロセスを理解し、成功への道筋を描けるようになるでしょう 1.新工場のビジョンの立て方のポイント 新工場のビジョンを立てる際には、目的と目標の明確化、市場動向と技術トレンドの分析、そしてステークホルダーの意見収集を行い、関係者全員でビジョンを共有し作り上げていくことが重要です 以下にポイントを整理します 1)目的と目標の明確化 新工場の設立にあたって、具体的な目標を設定することが重要です 例えば、生産性の向上、コスト削減、品質の向上など、どのような成果を達成したいのかを明確にします 目標はより具体的に、出来る限り定量的に評価できるもの(数値目標など)を設定します これにより、工場の設計や導入技術の選定の基準が明確になり、一貫性のある計画が立てられます 2)市場動向と技術トレンドの分析 業界の最新トレンドや技術革新を把握し、競争力を持つために必要な技術を特定します 例えば、自動化技術やIoT、AIの導入など、いわゆるDX化が急速に進んでいる現在、これらの技術をどのように活用するかが、工場の競争力を左右します 3)ステークホルダーの意見収集 工場の設立に関わるすべてのステークホルダー、すなわち従業員、取引先、顧客などから意見を収集し、それをビジョンに反映させます これにより、関係者全員が納得し、協力して新工場立上プロジェクトを進められるようになります 2.現状分析と課題整理・分析方法 新工場の設立に際して、現状把握と課題を整理・分析することはプロジェクトの成功に欠かせません。 現状を論理的に分析し、客観的に評価した上で新工場のビジョンを達成するためのロードマップを作成します。 分析や課題整理には様々な手法が存在し、状況に応じて使い分けし総合的に判断しますが、ここでは比較的良く使われる手法を幾つかご紹介します。 1)SWOT分析 SWOT分析は、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を洗い出す手法です。 新工場設立において、例えば以下のような内容で分析します。 強み(Strengths) 新工場が持つ強みを特定します。 例えば、新しい自動化設備の導入により生産効率が向上することや、最新の環境基準を満たすことでエコフレンドリーな工場となる点が挙げられます。 弱み(Weaknesses) 新工場における課題や弱点を洗い出します。 例えば、新技術の導入に対する従業員のスキル不足や、高額な初期投資が必要である点が考えられます。 機会(Opportunities) 新工場がもたらす機会を見つけます。 例えば、市場での需要増加に迅速に対応できることや、最新技術を活用して新製品開発が可能となる点が含まれます。 脅威(Threats) 新工場設立におけるリスクを評価します。 例えば、競合他社の動向や市場の不確実性、規制の変化などが挙げられます。 SWOT分析により、新工場の内外環境を総合的に評価し、戦略的な意思決定をサポートします。 2)5F分析(ファイブフォース分析) マイケル・ポーターが提唱したファイブフォース分析(5F分析)は、競争環境を評価するためのフレームワークで、5つの力(フォース)を考慮します。 新工場設立において、以下のように適用します。 競争企業の脅威 同じ市場内の既存企業との競争状況を評価します。 例えば、同業他社がどのような技術を導入しているか、価格競争力がどの程度あるかを分析します。 新規参入の脅威 新規参入者が市場に参入する可能性とその影響を評価します。 例えば、参入障壁が低い市場では、新たな競合が容易に現れる可能性があります。 代替品の脅威 他の製品やサービスが代替として選ばれる可能性を評価します。 例えば、製品の代替品が市場に存在する場合、それらが新工場の売上に与える影響を考慮します。 買い手の交渉力 顧客が価格や品質に対してどれだけの交渉力を持っているかを評価します。 例えば、大口顧客が多い場合、価格交渉力が高くなる可能性があります。 供給者の交渉力 原材料や部品の供給者が価格や供給条件に対してどれだけの交渉力を持っているかを評価します。 例えば、特定の部品の供給者が限られている場合、供給者の交渉力が強くなる可能性があります。 これらの5つの力を総合的に評価することで、新工場が直面する競争環境を明確にし、適切な戦略を策定することができます。 3)DCF法(Discounted Cash Flow) 新工場設立には多額の投資が必要です。 投資判断を行うための有効な手法として、DCF法(割引キャッシュフロー法)を紹介します。 これは未来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する方法です。 新工場設立の投資判断では以下のステップで分析します。 キャッシュフローの予測 新工場から得られる予想キャッシュフローを年間ごとに見積もります。 例えば、年間売上高、運転費用、減価償却費、税引き後の純利益などを計算します。 割引率の設定 キャッシュフローを現在価値に割り引くための割引率を設定します。 これは、企業の資本コスト(WACC)を基に決定します。 現在価値の計算 各年のキャッシュフローを割引率で割り引いて現在価値を計算し、全ての現在価値を合計します。 投資の評価 現在価値の合計が初期投資額を上回る場合、投資は経済的に妥当と判断されます。 例えば、新工場が5年間で総額10億円のキャッシュフローを生むと予測し、割引率を5%と設定した場合、5年間のキャッシュフロー(毎年2億円、5年総額で10億円と仮定)の現在価値の合計を計算すると約8.6627億円となります。 つまり初期投資額がこの価格を下回れば、投資は経済的に成功すると判断できます。 4)Eisenhowerマトリックス(優先順位付け手法) プロジェクト中に発生する様々な課題を解決しなければなりませんが、課題の重要度と緊急度を評価し、優先順位をつけることで効率的に対応するために優先順位をつける必要があります。 ここでは、Eisenhowerマトリックスを用いた優先順位付けの手法を紹介します。 Eisenhowerマトリックスは、課題を重要性と緊急性の2つの軸で分類し、効果的に優先順位を付ける手法です。 各課題に対して重要度と緊急性にスコア付け(5段階評価など)を行い2次元プロットを行います。 これにより、各課題がプロットされたエリア(第1~第4象限)によって各々取るべきアクションが分類できます。 「第1象限」重要かつ緊急(Do First) すぐに対応が必要な課題です。 例えば、工期に直接影響を与える資材の供給遅れなど。 「第2象限」重要だが緊急でない(Schedule) 計画的に取り組むべき課題です。 例えば、新技術の習得や設備のメンテナンススケジュールなど。 「第3象限」緊急だが重要でない(Delegate) 他の人に任せられる課題です。 例えば、日常的な書類作業や簡単な報告業務など。 「第4象限」重要でも緊急でもない(Eliminate) 後回しにできる課題です。 例えば、工場の美化活動など。 プロット図を作成することで課題とその重要性が可視化できるため効率的に課題解決を行うことが出来ます。 3.工場全体の能力を考慮した工程設計方法 効率的な工場レイアウトと物流動線の設計は、各プロセスの処理能力、生産方式、トラブル時の対応を考慮して行う必要があります。 つまり、処理能力のバランス調整を行い、ボトルネックが生じないように工程を設計し、レイアウトと物流動線に落とし込みます。 この設計に活用できる手法の一つがVSM(Value Stream Mapping)です。 VSMは、工場における生産の全プロセス、つまり工場に材料が到着して、保管、加工、検査、梱包、在庫、出荷及び各工程間の運搬までの全体を視覚的に示した図です。 これを用いることで、各工程の処理能力のバランス、工程間の搬送能力、仕掛及び製品の在庫管理などの計画と検証を効率的に行うことができます。 また、工程トラブルなどでボトルネックが生じた場合に影響を受けるプロセスも容易に把握でき、工場の運用が開始された後も適切にアップデートを行うことで常に活用できる手法です。 4.検討すべきDX技術と期待される効果 新工場に導入するDX技術は、自動化、人工知能(AI)、IoT、システム化など様々です。 どんな技術を、どこにどう組み合わせて導入するのかは最初に決めたプロジェクトのビジョンに照らして戦略を立てる必要があります。 ここでは、それぞれの技術の具体例と期待される効果を纏めます。 自動化 生産ラインの自動化により、効率を向上させ、人件費を削減します。 例えば、最新の自動搬送装置(AGV)は、原材料や部品を必要な場所に正確に運びます。 これにより、作業員が材料の運搬に費やす時間(無付加価値作業)を削減し、より付加価値の高い業務に集中できます。 また、ロボットの導入により、精密な組み立て作業が可能となり、不良品の発生を抑えることができます。 特に、精密機器の製造においては、人間の手では難しい微細な作業を高精度に行えるため、品質の向上と生産効率の改善が期待できます。 人工知能(AI) AIを活用したデータ分析や予測モデルにより、品質管理や需要予測を行います。 例えば、AIを用いた画像認識システムは、従来の画像処理では困難だった検査も実用レベルになって来ており、検査基準の数値化、検査ばらつきの低減、目視検査員の削減などに貢献します。 また、AIによる需要予測モデルを導入し過去の販売データや市場のトレンドを解析することで、製品の需要変動を予測し、在庫と生産計画の最適化が可能となります。 これは、過剰在庫のリスクを減らし、キャッシュフローの改善に寄与します。 IoT(Internet of Things) IoT技術を活用し、工場内の機器やセンサーをネットワークでつなぎ、リアルタイムでデータを収集・分析します。 例えば、設備の稼働状況や温度、湿度などの環境データをリアルタイムで監視し、異常が検知された場合には即座にアラートを発するシステムを構築します。 またIoTの導入により設備の予防保全が可能となり、突発的な故障を未然に防ぎます。 また、エネルギー消費データのモニタリングにより、省エネルギー対策を強化し、運営コストの削減を図ります。 システム化 生産実行システム(MES)や統合基幹業務システム(ERP)を導入し、情報の一元管理を実現します。 例えば、生産実行システム(MES)を導入することで、製造プロセスの全体をリアルタイムで把握し、生産計画の最適化を図ります。 これにより、生産リードタイムの短縮や、顧客の急な注文変更にも柔軟に対応可能となります。 また、ERPシステムとの連携により、財務、在庫、購買などの情報を統合管理し、業務の効率化と透明性の向上を実現します。 これにより、全社的な情報共有が促進され、迅速な意思決定が可能となります。 5.まとめ 新工場の設立は大きな挑戦ですが、適切なビジョンと計画を持ち、最新のDX技術を活用することで、理想的な工場を実現することができます。 様々な手法を用いて課題を整理・評価し、優先順位をつけて対応することで効率的かつ効果的なプロジェクトマネジメントが可能です。 新工場の成功は、技術と人間の知恵の結晶です。 挑戦を恐れず、一歩一歩着実に前進していきましょう。 製造業の皆様がこのコラムを通じて新たな気づきを得て、理想的な工場設立の一助となることを願っています。   ■関連するセミナーのご案内 補助金活用して自動化・省人化・DX化工場の新設・増設セミナー セミナー詳細・申込はこちらから https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115304 このような方にオススメ 最大50億円の補助金を活用して工場新設・増設・移転を行いたい製造業様 工場新設・増設・移転を計画しておりDX・自動化・省人化・システム化・IoT化を推進したい製造業様 工場新設・増設・移転における事業計画・建築計画・設備計画を成功させたい製造業様 DX・自動化・省人化・システム化・IoT化された最新のスマートファクトリーを知りたい製造業様 はじめての工場新設・増設・移転で何から始めたら良いかわからない製造業様 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115304 製造業のための 海外工場「再構築DX戦略」 解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ グローバル市場において、日本メーカーが生産する「日本企業製の製品」の評価は非常に高いことはご存じのとおりです。 業務用、民生品といった最終製品のみならず、部品や生産設備でも非常に高い評価を得ており、大きな存在感を維持しています。 つまりキラーコンテンツ=“強い製品”は持っているのです。 そこでDX推進が課題解決の大きな選択肢になります。 単なる省人化・省力化に留まらず、AIなど新たな価値を創出する可能性がある技術もあります。 DX推進によって製造の課題を克服し、今ある基盤を活用して強い製品を効率的に生産し、大きな市場で勝ち抜く。 このDXロードマップを構築することが必要で、最も重要な経営戦略となります。 https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory__02738_S045

見積作業を効率化する手法を解説

2024.04.18

近年、多くの企業で見積作業が営業部門の負担になっているという課題に直面しています。 これにはさまざまな原因がありますが、その一方で、効果的な対策も存在します。 ここでは、見積作業の負担とその解決策についてお話ししていきましょう。 1.見積作業が営業の負担となる主な原因は? ①手作業による見積作成の手間 多くの営業担当者が手作業で見積書を作成しているため、その過程で多くの時間と労力が費やされています。顧客要件に合わせた詳細な見積書を作成するためにはこれらの手間が避けられません。 ②原価算出の複雑さ 製品やサービスの複雑性や多様性が増す中、原価の算出がより複雑化しています。複数の部門との連携が必要であり、それに伴う手続きや情報収集に時間がかかることが課題となっています。 ③時間と顧客対応のバランス 営業担当者は新規顧客の獲得や既存顧客との関係強化など、数々の業務を行っています。見積作業のために必要な時間が、これらの販売活動に割かれることで、業績や顧客サービスに影響を及ぼすことが懸念されます。 2.見積作業の負荷軽減対策とは? ①標準化 見積書のフォーマットやプロセス、そして専門的なスキルやツールを標準化することで、負担を軽減できます。これにより営業担当者がより迅速かつ正確に見積作業を遂行できるようになります。 ②ITツールやデータ連携の最適化 ITツールやシステムを活用し、そこから得られるデータ連携を最適化することで、原価算出や情報収集の手間が軽減できます。これにより見積作業の効率化が見込まれます。 ③自動見積作成システムの導入 さらに上記2つをあわせ持つ自動見積作成システムを導入することもお勧めします。自動見積作成システムを活用することで、繁雑な原価計算や見積作業を効率的に行うことができるという時間的な効果もありますが、正確性の向上や質の安定性にも繋がります。これにより、営業担当者はより多くの時間を顧客フォーカスの業務に割くことが可能になるでしょう。 このように、見積作業の営業負担への対策は、組織全体の業務効率や効果的な営業活動に寄与し、顧客対応の向上や市場競争力の強化につながると考えられます。しっかりとした取り組みを行うことで、業務効率の向上や営業担当者の負担軽減につながるでしょう。 3.まとめ いかがでしょう? 皆さんの会社では見積作業の負担軽減に関する対策はできていますでしょうか? 自動見積作成システムはすでに様々なベンダーよりリリースされていますが、何を読み取るのか、何のための見積りなのか、方法や目的などによって最適な見積システムは変わってきます。導入するための方法をより具体的に詳細をお知りになりたい場合はお気軽に弊社にご相談ください。 このコラムが皆様の会社での見積り作成負荷の軽減にお役に立てれば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。   ■関連するセミナーのご案内 金属加工業のための見積DXで受注率UP! セミナー詳細・申込はこちらから https://www.funaisoken.co.jp/seminar/113117 ■開催日程 全てオンライン開催となります 以下の日程よりご都合の良い日程をお選び下さい ※内容は全て一緒です 2024/05/22 (水) 13:00~15:00 2024/05/24 (金) 13:00~15:00 2024/05/28 (火) 13:00~15:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/113117   ■関連するセミナーのご案内 補助金活用!板金・プレス・溶接加工のたの見積DXで受注率UP DX補助金を活用して、見積り”脱属人化”&”アナログ手法からの脱却”! セミナー詳細・申込はこちらから https://www.funaisoken.co.jp/seminar/113715 このような方にオススメ 従業員200名以下で多品種少量生産の板金・プレス・溶接加工様 見積りが特定の熟練者に依存していて技術継承できていない板金・プレス・溶接加工様 見積り作成が職人化・属人化・アナログ化・感覚化している板金・プレス・溶接加工様 見積りを標準化してDX化していきたいと考えている板金・プレス・溶接加工様 補助金が活用できるならば見積りを見直したいと思っている板金・プレス・溶接加工様 ■開催日程 全てオンライン開催となります 以下の日程よりご都合の良い日程をお選び下さい ※内容は全て一緒です 2024/06/05 (水) 13:00~15:00 2024/06/12 (水) 13:00~15:00 2024/06/14 (金) 13:00~15:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/113715 近年、多くの企業で見積作業が営業部門の負担になっているという課題に直面しています。 これにはさまざまな原因がありますが、その一方で、効果的な対策も存在します。 ここでは、見積作業の負担とその解決策についてお話ししていきましょう。 1.見積作業が営業の負担となる主な原因は? ①手作業による見積作成の手間 多くの営業担当者が手作業で見積書を作成しているため、その過程で多くの時間と労力が費やされています。顧客要件に合わせた詳細な見積書を作成するためにはこれらの手間が避けられません。 ②原価算出の複雑さ 製品やサービスの複雑性や多様性が増す中、原価の算出がより複雑化しています。複数の部門との連携が必要であり、それに伴う手続きや情報収集に時間がかかることが課題となっています。 ③時間と顧客対応のバランス 営業担当者は新規顧客の獲得や既存顧客との関係強化など、数々の業務を行っています。見積作業のために必要な時間が、これらの販売活動に割かれることで、業績や顧客サービスに影響を及ぼすことが懸念されます。 2.見積作業の負荷軽減対策とは? ①標準化 見積書のフォーマットやプロセス、そして専門的なスキルやツールを標準化することで、負担を軽減できます。これにより営業担当者がより迅速かつ正確に見積作業を遂行できるようになります。 ②ITツールやデータ連携の最適化 ITツールやシステムを活用し、そこから得られるデータ連携を最適化することで、原価算出や情報収集の手間が軽減できます。これにより見積作業の効率化が見込まれます。 ③自動見積作成システムの導入 さらに上記2つをあわせ持つ自動見積作成システムを導入することもお勧めします。自動見積作成システムを活用することで、繁雑な原価計算や見積作業を効率的に行うことができるという時間的な効果もありますが、正確性の向上や質の安定性にも繋がります。これにより、営業担当者はより多くの時間を顧客フォーカスの業務に割くことが可能になるでしょう。 このように、見積作業の営業負担への対策は、組織全体の業務効率や効果的な営業活動に寄与し、顧客対応の向上や市場競争力の強化につながると考えられます。しっかりとした取り組みを行うことで、業務効率の向上や営業担当者の負担軽減につながるでしょう。 3.まとめ いかがでしょう? 皆さんの会社では見積作業の負担軽減に関する対策はできていますでしょうか? 自動見積作成システムはすでに様々なベンダーよりリリースされていますが、何を読み取るのか、何のための見積りなのか、方法や目的などによって最適な見積システムは変わってきます。導入するための方法をより具体的に詳細をお知りになりたい場合はお気軽に弊社にご相談ください。 このコラムが皆様の会社での見積り作成負荷の軽減にお役に立てれば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。   ■関連するセミナーのご案内 金属加工業のための見積DXで受注率UP! セミナー詳細・申込はこちらから https://www.funaisoken.co.jp/seminar/113117 ■開催日程 全てオンライン開催となります 以下の日程よりご都合の良い日程をお選び下さい ※内容は全て一緒です 2024/05/22 (水) 13:00~15:00 2024/05/24 (金) 13:00~15:00 2024/05/28 (火) 13:00~15:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/113117   ■関連するセミナーのご案内 補助金活用!板金・プレス・溶接加工のたの見積DXで受注率UP DX補助金を活用して、見積り”脱属人化”&”アナログ手法からの脱却”! セミナー詳細・申込はこちらから https://www.funaisoken.co.jp/seminar/113715 このような方にオススメ 従業員200名以下で多品種少量生産の板金・プレス・溶接加工様 見積りが特定の熟練者に依存していて技術継承できていない板金・プレス・溶接加工様 見積り作成が職人化・属人化・アナログ化・感覚化している板金・プレス・溶接加工様 見積りを標準化してDX化していきたいと考えている板金・プレス・溶接加工様 補助金が活用できるならば見積りを見直したいと思っている板金・プレス・溶接加工様 ■開催日程 全てオンライン開催となります 以下の日程よりご都合の良い日程をお選び下さい ※内容は全て一緒です 2024/06/05 (水) 13:00~15:00 2024/06/12 (水) 13:00~15:00 2024/06/14 (金) 13:00~15:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/113715

DX推進担当者向け「DX対応レベルの把握とDX化戦略の策定」

2024.03.26

DXは対応レベルによってデジタイゼーション(情報のデジタル化、部分的な業務デジタル化)、デジタライゼーション(組織全体の業務デジタル化)、そしてデジタルトランスフォーメーション(対外含めたデジタル化による変革)の3段階で構成されています。 デジタイゼーションによって情報のデジタル化や部分的な業務のデジタル化を進め、その後にデジタライゼーションによって業務デジタル化の範囲を組織全体に拡大・業務生産性の向上を図り、最終的にデジタルトランスフォーメーションによって変革を実現していくことが求められています。 これにより、組織やビジネスが徐々に成長し、変化に柔軟に対応できるようになります。 企業がDX化を推進するにあたっては、DX対応レベルを把握したうえでDX化戦略を策定することが肝要です。 以降では、デジタイゼーション、デジタライゼーション、およびデジタルトランスフォーメーションについて詳しく説明します。 1.デジタイゼーションとは デジタイゼーションとは、アナログ情報や非デジタルの情報をデジタルデータ化することや、部分的に業務をデジタル化することを指します。 具体的には、紙の文書をスキャンして電子化することや文書をExcel等のツールで作成すること、承認プロセスにおける印鑑の廃止、対面での会議をzoom等を用いてWeb会議化することなどがデジタイゼーションにあたります。 デジタイゼーションを行うことで、情報を効率的に管理しやすくなり、検索や利活用が容易になります。 また、デジタルデータとして保存された情報は、コピーの作成や簡単な修正が容易であり、データのバックアップや保管もしやすくなります。 その他にも、業務をデジタル化することで業務効率が向上し、作業時間の短縮が期待されます。 デジタイゼーションは、以降で説明するデジタライゼーションやデジタルトランスフォーメーションを実行するための最初のステップと言えます。 紙書類の電子化(Excel、PDF等) 印鑑の廃止 Web会議の導入 2.デジタライゼーションとは デジタライゼーションとは、組織全体の業務フロー・プロセスのデジタル化や、デジタルツールを活用してさらに業務生産性を高めることを指します。 具体的には、業務改善を実施して業務を効率化・簡素化を実施したうえで、ワークフローシステムなどを導入して一連の業務をデジタル化すること、すでに導入されたシステム間でデータを連携することで同じ情報の二重三重の入力を廃止すること、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を用いた入力業務の自動化などがデジタライゼーションにあたります。 デジタライゼーションによって、業務フロー・プロセスの無駄を無くしてデジタル化によりさらに効率化することや、自動化などによって繰り返しの作業を効率化することなどが可能になります。 業務の効率化・簡素化 ワークフローシステム等の導入による業務全体のデジタル化 システム間のデータ連携による二重三重の入力作業廃止 RPAによる定型業務の自動化 3.デジタルトランスフォーメーションとは デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を組織やビジネス全体に取り入れ、従来のビジネスプロセスや価値提供方法を変革し、新たな成長や価値創造を実現することを指します。 具体的には、BIツール(ビジネス・インテリジェンス)によるデータ分析、分析したデータを活用した顧客サービスの向上、顧客向けオンラインサービスの拡充など、これまでの社内向けのDXから対外向けのDXを推進することがデジタルトランスフォーメーションにあたります。 デジタルトランスフォーメーションを進めることで、組織やビジネスが市場の変化や競争環境に柔軟に対応し、持続的な成長や競争力を確保することが期待されます。 これには、組織文化の変革やITリテラシーの向上なども含まれており、全体的なビジネスの変革を目指す取り組みとなります。 BIツールによる市場動向や顧客ニーズ等に関するデータ分析 AIの活用 データ活用による顧客サービスの向上 顧客向けオンラインサービスの拡充 4.製造業におけるDXについて 経理、人事、労務などのバックオフィス業務におけるDXはイメージしやすいですが、工場における受注~生産~出荷における業務でも段階的なDX化の推進は可能です。 例えば見積業務のAI化であれば、過去の設計書や見積情報のデータ化やAIシステム導入による類似設計を参照した見積の自動化がデジタイゼーションにあたります。 また、原価管理であれば、原価計算の必要情報である従業員の作業時間(工数)のRFIDやセンサーでの取得、生産ラインの光熱費(電気、水道、ガスなど)の取得、原材料費のデータ化、システム導入による原価管理の実施がデジタイゼーションにあたります。 その後、ERPの導入により受注処理、生産計画、在庫管理、会計処理など業務全般に対してデジタル化を実施することがデジタライゼーションにあたります。 デジタルトランスフォーメーションは対外向けのDXであり、取り扱う製品などによって施策が異なることから本コラムでは割愛しますが、自社業務のDX化がどこまで進んでいるか点検し、今後のDX化計画を検討する際の参考にしていただければ幸いです。 5.まとめ DX化を段階的に推進するうえでは以下が重要です。 自社がデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションのどこまで進んでいるかを把握する 自社の業務上の課題、緊急度などを整理し、優先してDX化を進めるべき業務のあたりをつける その中でも難易度が低く効果の高いところから、段階的にDX化を進めていく(最初から組織全体のDX化はハードルが高いので、無理せず出来るところから) DX化は中長期的な対応となるので、これらを意識したDX化戦略を策定して推進することが成功のカギとなります。 いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。 DXは対応レベルによってデジタイゼーション(情報のデジタル化、部分的な業務デジタル化)、デジタライゼーション(組織全体の業務デジタル化)、そしてデジタルトランスフォーメーション(対外含めたデジタル化による変革)の3段階で構成されています。 デジタイゼーションによって情報のデジタル化や部分的な業務のデジタル化を進め、その後にデジタライゼーションによって業務デジタル化の範囲を組織全体に拡大・業務生産性の向上を図り、最終的にデジタルトランスフォーメーションによって変革を実現していくことが求められています。 これにより、組織やビジネスが徐々に成長し、変化に柔軟に対応できるようになります。 企業がDX化を推進するにあたっては、DX対応レベルを把握したうえでDX化戦略を策定することが肝要です。 以降では、デジタイゼーション、デジタライゼーション、およびデジタルトランスフォーメーションについて詳しく説明します。 1.デジタイゼーションとは デジタイゼーションとは、アナログ情報や非デジタルの情報をデジタルデータ化することや、部分的に業務をデジタル化することを指します。 具体的には、紙の文書をスキャンして電子化することや文書をExcel等のツールで作成すること、承認プロセスにおける印鑑の廃止、対面での会議をzoom等を用いてWeb会議化することなどがデジタイゼーションにあたります。 デジタイゼーションを行うことで、情報を効率的に管理しやすくなり、検索や利活用が容易になります。 また、デジタルデータとして保存された情報は、コピーの作成や簡単な修正が容易であり、データのバックアップや保管もしやすくなります。 その他にも、業務をデジタル化することで業務効率が向上し、作業時間の短縮が期待されます。 デジタイゼーションは、以降で説明するデジタライゼーションやデジタルトランスフォーメーションを実行するための最初のステップと言えます。 紙書類の電子化(Excel、PDF等) 印鑑の廃止 Web会議の導入 2.デジタライゼーションとは デジタライゼーションとは、組織全体の業務フロー・プロセスのデジタル化や、デジタルツールを活用してさらに業務生産性を高めることを指します。 具体的には、業務改善を実施して業務を効率化・簡素化を実施したうえで、ワークフローシステムなどを導入して一連の業務をデジタル化すること、すでに導入されたシステム間でデータを連携することで同じ情報の二重三重の入力を廃止すること、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を用いた入力業務の自動化などがデジタライゼーションにあたります。 デジタライゼーションによって、業務フロー・プロセスの無駄を無くしてデジタル化によりさらに効率化することや、自動化などによって繰り返しの作業を効率化することなどが可能になります。 業務の効率化・簡素化 ワークフローシステム等の導入による業務全体のデジタル化 システム間のデータ連携による二重三重の入力作業廃止 RPAによる定型業務の自動化 3.デジタルトランスフォーメーションとは デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を組織やビジネス全体に取り入れ、従来のビジネスプロセスや価値提供方法を変革し、新たな成長や価値創造を実現することを指します。 具体的には、BIツール(ビジネス・インテリジェンス)によるデータ分析、分析したデータを活用した顧客サービスの向上、顧客向けオンラインサービスの拡充など、これまでの社内向けのDXから対外向けのDXを推進することがデジタルトランスフォーメーションにあたります。 デジタルトランスフォーメーションを進めることで、組織やビジネスが市場の変化や競争環境に柔軟に対応し、持続的な成長や競争力を確保することが期待されます。 これには、組織文化の変革やITリテラシーの向上なども含まれており、全体的なビジネスの変革を目指す取り組みとなります。 BIツールによる市場動向や顧客ニーズ等に関するデータ分析 AIの活用 データ活用による顧客サービスの向上 顧客向けオンラインサービスの拡充 4.製造業におけるDXについて 経理、人事、労務などのバックオフィス業務におけるDXはイメージしやすいですが、工場における受注~生産~出荷における業務でも段階的なDX化の推進は可能です。 例えば見積業務のAI化であれば、過去の設計書や見積情報のデータ化やAIシステム導入による類似設計を参照した見積の自動化がデジタイゼーションにあたります。 また、原価管理であれば、原価計算の必要情報である従業員の作業時間(工数)のRFIDやセンサーでの取得、生産ラインの光熱費(電気、水道、ガスなど)の取得、原材料費のデータ化、システム導入による原価管理の実施がデジタイゼーションにあたります。 その後、ERPの導入により受注処理、生産計画、在庫管理、会計処理など業務全般に対してデジタル化を実施することがデジタライゼーションにあたります。 デジタルトランスフォーメーションは対外向けのDXであり、取り扱う製品などによって施策が異なることから本コラムでは割愛しますが、自社業務のDX化がどこまで進んでいるか点検し、今後のDX化計画を検討する際の参考にしていただければ幸いです。 5.まとめ DX化を段階的に推進するうえでは以下が重要です。 自社がデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションのどこまで進んでいるかを把握する 自社の業務上の課題、緊急度などを整理し、優先してDX化を進めるべき業務のあたりをつける その中でも難易度が低く効果の高いところから、段階的にDX化を進めていく(最初から組織全体のDX化はハードルが高いので、無理せず出来るところから) DX化は中長期的な対応となるので、これらを意識したDX化戦略を策定して推進することが成功のカギとなります。

必見!工場新設・増設前に検討すべきこと3選!

2024.03.18

工場の新設や増設は、一生に1度あるかないかの重要な投資です。 導入効果を最大化するためには、工場を建てる前にいくつか検討すべきことがあります。 今回は、工場の新設/増設前に検討すべき ・工場新設/増設プロジェクトのゴール設定 ・工場レイアウトと動線の最適化 ・基幹システムの導入 ・補助金の獲得 について紹介します。 (筆者は特に、補助金の獲得については検討必須だと考えています。ぜひ最後までご覧ください。) 本記事を見て、新設/増設の投資効果を最大化させたいと感じた方は、無料相談をご活用ください。 ご要望に合わせて製造業におけるレイアウトの作成/基幹システム導入/補助金獲得専門のコンサルタントが対応させていただきます。 1.工場新設・増設前に検討すべきこと 1-1.工場新設/増設プロジェクトのゴール設定 工場や施設の新設/増設の効果を最大化し、投資を成功させるためには、そのゴールを決めることが非常に重要です。 工場を新しく建設すること、増やすことそれ自体は工場新設/増設プロジェクトのゴールにはなりえません。(新しく建てること、増やすことは手段です!) 「工場を建てることで、売り上げ1.5倍を達成する」と言うような、新設/増設によって達成したいことがゴールになりえます。 設定すべきゴールは、企業の状態や意向によって異なります。例えば、下記のような例が挙げられます。 「作業環境の改善、離職率の低下。重量物を扱っており、作業員の負担が大きいため、作業員が楽に作業できる環境を作る」 「今後の需要を見越して、A製品を1日5000個作れるような生産能力を確保する」 プロジェクトの初期段階で上記の様な適切なゴール設定について議論・策定ができれば、後工程で比較的容易に意思決定をすることができます。 例えば、工場を新しく建てる際に頻発するケースの一つに、「理想が膨らみ見積もりが予算をはるかに超えてしまう」というケースがあります。当然、投資先の取捨選択をする必要があるのですが、事前にプロジェクトのゴールを策定しておけば、その投資がゴール達成に寄与するのか?という尺度において比較的容易に議論・決定をすることができます。 (反対に、プロジェクトメンバー全員が納得するゴール設定を行っていないと、立場によって判断基準が異なってしまい、議論を収集することが困難になってしまいます。(経営層は 経営層の判断基準、現場作業者は現場作業者の判断基準・情報システムは情報システムの判断基準で発言してしまうので、部分最適的な議論になってしまいます。) 自社の現場の状況や、目指したい理想から鑑みて、適切なゴールを策定しましょう。 1-2.工場レイアウトと導線の最適化 既存の工場において、工場レイアウト/導線の最適化はできていますか? 既存の工場に対して上記の最適化施策を行うには、少々ハードルが高いです。 なぜなら、機械を動かすために一時的に生産を止める必要があったり、また機械の配置を移動させるためにお金がよりかかってしまうからです。 その点、新しく建てる工場に関しては、まっさらな状態からレイアウトを考えるため、比較的容易に最適化施策を行うことができます。よって、工場レイアウト/導線の最適化は、工場を建てる前に検討することをおすすめします。 工場レイアウト/導線の最適化を行うために注意すべき要点は、4つあります。 ①スペースが最適化されているか 工場内のスペースを最大限に活用するために、設備配置を最適化します。 ②物流が最適化されているか 生産プロセスや材料の流れを最適化し、物流効率を向上させます。材料や製品の入出庫の効率化、および生産設備と物流設備の連携などを鑑み、最適化を行います。 ③安全性の確保 労働者の安全を確保するために、工場の設計に安全対策を組み込みます。適切な作業スペースの確保、機器の安全性評価、防火設備の配置などが挙げられます。 ④環境への配慮 環境への配慮も行った工場の設計を行えるとなお良いでしょう。例えば、省エネ設備や再生可能エネルギーの導入、廃棄物管理システムの改善などが挙げられます。今後長い目で事業運営を考えていく際に、避けては通れない観点です。 近年では、デジタルツインと呼ばれる技術によって、デジタル上で作業者や製品の動線、機械の配置などのシミュレーションが可能となっています。 よって、以前と比較してより容易に動線シミュレーションを行うことが可能となっています。 1-3.基幹システムの導入 現在の工場において、基幹システムは十分に活用できていますでしょうか? 上記の、工場レイアウト、導線の最適化と同様、新工場においては、まっさらな状態から基幹システムを導入することができるので、新設のタイミングで検討すべき事項です。 基幹システム導入は、下記のようなフローをたどっていくのが一般的です。 ただし、基幹システム導入は、非常に難易度が高いことで知られています。 ほとんどのシステムは部署の垣根を越えて使われるものになるため全体最適的システム構築を行わなわなければならず、また参画するメンバーも経営層から現場作業者まで多岐にわたるためです。 実際に、よく弊社に相談いただくお悩みとして、下記の様なものが挙げられます。 「基幹システムを導入したが、うまく活用できていない」 「パッケージシステムに莫大な投資をしてカスタマイズを行ったが、全く使っていない機能がある」 「基幹システムを導入したが、いまだにエクセルも併用している箇所がある」 基幹システム導入は、工場新設/増設と同様に、一生に数回あるかどうかの大規模投資になります。導入を成功させるためには、基幹システム導入経験のある情報システム専門の人材を雇ったり、第三者の視点からプロジェクトに関わることができるコンサルタントを活用することが重要です。 1-4.補助金の獲得 最後に検討すべき事項は補助金の獲得です。 はじめにでもお伝えしましたが、工場の新設/増設において補助金獲得の検討は必須であると考えています。 言わずもがなではありますが、補助金を活用することで、費用のハードルを下げ、より大胆に投資することが可能になるからです。 2024年3月現在、工場を新設/増設したい方が検討すべき補助金は、 経済産業省が出している「大規模成長投資補助金」です。 主な要件は以下の様になっています。 従業員2,000名以下の企業であること 最低投資額10億以上50億円未満 ※投資総額が5億円などはそもそも応募できない 投資額の1/3補助 一人当たり賃金の伸びが3年間、地域の平均賃金伸びを上回ること ホームページに記載のスケジュールでは、2024年4月30日が公募締め切りとなっていますが、同補助金は今後3年間のうちに再度公募が開始されると予想されています。 HP:https://seichotoushi-hojo.jp/ よって、来年以降に投資を計画している企業は、今からでも準備を始めることを強くおすすめします。 2.まとめ 今回は、工場新設・増設前に検討すべきこと3選を紹介致しました。工場の新設・増設は、事業を飛躍させるための、人生で1回あるかないかの大きなプロジェクトになります。だからこそ失敗は許されません。 そんな工場の新設・増設を検討している方に向けて、船井総研ではオンライン無料相談会を行っております。 船井総研のつよみ ・幅広いテーマに知見を持つ一流のコンサルタントが対応致します。上記の全体構想設計、基幹システム導入、補助金獲得に加えて、検査・搬送の自動化、ロボット導入、AI・IoT導入など。 ・特定の製品を売る会社ではありません。よって、本当に貴社に最適な解決策を提案・実行致します。 ご興味のある方は、ぜひご活用ください! ■専門コンサルタントによる無料オンライン相談 https://lp.funaisoken.co.jp/mt/form01/inquiry-S045.html 無料オンライン相談とは、弊社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、 ぜひご活用いただければ幸いでございます。 ■関連するセミナーのご案内 【2025年最新】工場新設・設備投資!製造業の補助金セミナー セミナー詳細・申込はこちらから https://www.funaisoken.co.jp/seminar/124103 いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。 工場の新設や増設は、一生に1度あるかないかの重要な投資です。 導入効果を最大化するためには、工場を建てる前にいくつか検討すべきことがあります。 今回は、工場の新設/増設前に検討すべき ・工場新設/増設プロジェクトのゴール設定 ・工場レイアウトと動線の最適化 ・基幹システムの導入 ・補助金の獲得 について紹介します。 (筆者は特に、補助金の獲得については検討必須だと考えています。ぜひ最後までご覧ください。) 本記事を見て、新設/増設の投資効果を最大化させたいと感じた方は、無料相談をご活用ください。 ご要望に合わせて製造業におけるレイアウトの作成/基幹システム導入/補助金獲得専門のコンサルタントが対応させていただきます。 1.工場新設・増設前に検討すべきこと 1-1.工場新設/増設プロジェクトのゴール設定 工場や施設の新設/増設の効果を最大化し、投資を成功させるためには、そのゴールを決めることが非常に重要です。 工場を新しく建設すること、増やすことそれ自体は工場新設/増設プロジェクトのゴールにはなりえません。(新しく建てること、増やすことは手段です!) 「工場を建てることで、売り上げ1.5倍を達成する」と言うような、新設/増設によって達成したいことがゴールになりえます。 設定すべきゴールは、企業の状態や意向によって異なります。例えば、下記のような例が挙げられます。 「作業環境の改善、離職率の低下。重量物を扱っており、作業員の負担が大きいため、作業員が楽に作業できる環境を作る」 「今後の需要を見越して、A製品を1日5000個作れるような生産能力を確保する」 プロジェクトの初期段階で上記の様な適切なゴール設定について議論・策定ができれば、後工程で比較的容易に意思決定をすることができます。 例えば、工場を新しく建てる際に頻発するケースの一つに、「理想が膨らみ見積もりが予算をはるかに超えてしまう」というケースがあります。当然、投資先の取捨選択をする必要があるのですが、事前にプロジェクトのゴールを策定しておけば、その投資がゴール達成に寄与するのか?という尺度において比較的容易に議論・決定をすることができます。 (反対に、プロジェクトメンバー全員が納得するゴール設定を行っていないと、立場によって判断基準が異なってしまい、議論を収集することが困難になってしまいます。(経営層は 経営層の判断基準、現場作業者は現場作業者の判断基準・情報システムは情報システムの判断基準で発言してしまうので、部分最適的な議論になってしまいます。) 自社の現場の状況や、目指したい理想から鑑みて、適切なゴールを策定しましょう。 1-2.工場レイアウトと導線の最適化 既存の工場において、工場レイアウト/導線の最適化はできていますか? 既存の工場に対して上記の最適化施策を行うには、少々ハードルが高いです。 なぜなら、機械を動かすために一時的に生産を止める必要があったり、また機械の配置を移動させるためにお金がよりかかってしまうからです。 その点、新しく建てる工場に関しては、まっさらな状態からレイアウトを考えるため、比較的容易に最適化施策を行うことができます。よって、工場レイアウト/導線の最適化は、工場を建てる前に検討することをおすすめします。 工場レイアウト/導線の最適化を行うために注意すべき要点は、4つあります。 ①スペースが最適化されているか 工場内のスペースを最大限に活用するために、設備配置を最適化します。 ②物流が最適化されているか 生産プロセスや材料の流れを最適化し、物流効率を向上させます。材料や製品の入出庫の効率化、および生産設備と物流設備の連携などを鑑み、最適化を行います。 ③安全性の確保 労働者の安全を確保するために、工場の設計に安全対策を組み込みます。適切な作業スペースの確保、機器の安全性評価、防火設備の配置などが挙げられます。 ④環境への配慮 環境への配慮も行った工場の設計を行えるとなお良いでしょう。例えば、省エネ設備や再生可能エネルギーの導入、廃棄物管理システムの改善などが挙げられます。今後長い目で事業運営を考えていく際に、避けては通れない観点です。 近年では、デジタルツインと呼ばれる技術によって、デジタル上で作業者や製品の動線、機械の配置などのシミュレーションが可能となっています。 よって、以前と比較してより容易に動線シミュレーションを行うことが可能となっています。 1-3.基幹システムの導入 現在の工場において、基幹システムは十分に活用できていますでしょうか? 上記の、工場レイアウト、導線の最適化と同様、新工場においては、まっさらな状態から基幹システムを導入することができるので、新設のタイミングで検討すべき事項です。 基幹システム導入は、下記のようなフローをたどっていくのが一般的です。 ただし、基幹システム導入は、非常に難易度が高いことで知られています。 ほとんどのシステムは部署の垣根を越えて使われるものになるため全体最適的システム構築を行わなわなければならず、また参画するメンバーも経営層から現場作業者まで多岐にわたるためです。 実際に、よく弊社に相談いただくお悩みとして、下記の様なものが挙げられます。 「基幹システムを導入したが、うまく活用できていない」 「パッケージシステムに莫大な投資をしてカスタマイズを行ったが、全く使っていない機能がある」 「基幹システムを導入したが、いまだにエクセルも併用している箇所がある」 基幹システム導入は、工場新設/増設と同様に、一生に数回あるかどうかの大規模投資になります。導入を成功させるためには、基幹システム導入経験のある情報システム専門の人材を雇ったり、第三者の視点からプロジェクトに関わることができるコンサルタントを活用することが重要です。 1-4.補助金の獲得 最後に検討すべき事項は補助金の獲得です。 はじめにでもお伝えしましたが、工場の新設/増設において補助金獲得の検討は必須であると考えています。 言わずもがなではありますが、補助金を活用することで、費用のハードルを下げ、より大胆に投資することが可能になるからです。 2024年3月現在、工場を新設/増設したい方が検討すべき補助金は、 経済産業省が出している「大規模成長投資補助金」です。 主な要件は以下の様になっています。 従業員2,000名以下の企業であること 最低投資額10億以上50億円未満 ※投資総額が5億円などはそもそも応募できない 投資額の1/3補助 一人当たり賃金の伸びが3年間、地域の平均賃金伸びを上回ること ホームページに記載のスケジュールでは、2024年4月30日が公募締め切りとなっていますが、同補助金は今後3年間のうちに再度公募が開始されると予想されています。 HP:https://seichotoushi-hojo.jp/ よって、来年以降に投資を計画している企業は、今からでも準備を始めることを強くおすすめします。 2.まとめ 今回は、工場新設・増設前に検討すべきこと3選を紹介致しました。工場の新設・増設は、事業を飛躍させるための、人生で1回あるかないかの大きなプロジェクトになります。だからこそ失敗は許されません。 そんな工場の新設・増設を検討している方に向けて、船井総研ではオンライン無料相談会を行っております。 船井総研のつよみ ・幅広いテーマに知見を持つ一流のコンサルタントが対応致します。上記の全体構想設計、基幹システム導入、補助金獲得に加えて、検査・搬送の自動化、ロボット導入、AI・IoT導入など。 ・特定の製品を売る会社ではありません。よって、本当に貴社に最適な解決策を提案・実行致します。 ご興味のある方は、ぜひご活用ください! ■専門コンサルタントによる無料オンライン相談 https://lp.funaisoken.co.jp/mt/form01/inquiry-S045.html 無料オンライン相談とは、弊社の専門コンサルタントがオンラインで貴社のDX活用(ロボット・AI・ERP活用)について無料でご相談を お受けすることです。 無料オンライン相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。 通常、コンサルティングには費用がかかりますが、無料オンライン相談ではその前に無料で体験していただくことができますので、 ぜひご活用いただければ幸いでございます。 ■関連するセミナーのご案内 【2025年最新】工場新設・設備投資!製造業の補助金セミナー セミナー詳細・申込はこちらから https://www.funaisoken.co.jp/seminar/124103

海外工場DX: 成功への戦略。海外工場DXの必要性を解説。海外工場活性化のDX技術とは?

2024.03.05

海外工場の運営戦略に課題を抱えていませんか? 多くの製造業が海外進出した時期と比較して、現在は製造業を取り巻く環境が大きく変化し、また円安や人件費の高騰など新たな課題も出てきました。 しかし、海外生産から撤退して日本での生産に戻すことが最適な選択肢なのでしょうか?人件費の高騰と言っても、実際には日本はアジア諸国に比べると格段に高い水準にありますし、加えて労働人口の減少が深刻化し必要な人員を確保しづらい現実があります。 一方で、海外生産を維持する場合も持続性のある経営の為には、より競争力のある製品を、より効率的に生産する必要があります。 従来からの製造から脱却した新たな戦略が必要です。 そこで、今こそDX技術の導入が求められています。 従来のアナログな方法では実現できなかった製造を実現するために、新たな戦略が必要とされているのです。 1.製造業DXとは 製造業が取り組むべきDXとはどんなものでしょうか。 経済産業省ではDXの定義として 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 としています。※1 これを製造業に当てはめて読み解くと、製造工程や品質管理の自動化、ビッグデータの活用、AI活用などを行って、製造プロセスを変革し、商品の競争力を高めるということになります。 DX化のアプローチは企業により様々ですが、例えば「ものづくり」の視点でシンプルに考えれば、自動化技術を導入し、関連する製造・品質のデータを蓄積し、AIを活用してビッグデータの解析を行い、その結果を製造にフィードバックする循環プロセスを構築することで、生産効率の向上や高品質を実現し、価格、品質の競争力を高められます。 何を自動化するのか、どんなデータを収集するのか、得られたビッグデータを解析して何を導き出すのか。 これがDX戦略です。 DX技術を活用することで、より高度で効率的な生産プロセスの実現や品質管理の向上、競争力の強化を目指すことができます。 しかし、DX技術は道具でしかなく、どう活用するかの戦略立案が非常に重要になります。 2.海外工場が抱える課題とDX推進の重要性 前項でDX技術を活用することで競争力の強化を目指せることはお伝えしましたが、海外工場を運営する上で特に重要な課題とその解決策となるDX技術はどんなものがあるのでしょうか。 当社の調査では海外進出した製造業が抱える課題として多くの企業が下記の3点を上位に挙げています。 【海外進出した製造業が抱える3大課題】 日本のものづくりの維持・継承 日本品質の維持・管理 現地人材の確保・育成 日本製品と言えば高品質、高性能と言われ今でもその地位は守られています。 しかし、もちろんすべての部品・製品がMade In Japanで賄われている訳ではなく、多くの海外生産品が使用され、それでも”日本品質”を守っています。 これは長年積み上げてきた製造のノウハウ(いわゆる職人技も含む)や品質管理手法が支えていますが、これらの多くが俗人的になってしまっているのが現実です。 日本国内でも技術者の高齢化や人手不足による後進育成の難しさが取りざたされていますが、特に海外工場においては、高い離職率という背景もあり、国内工場以上に今まで育て培ってきたノウハウをどう維持し、継承し、さらに発展させていくかが課題です。 そんな中で「日本のものづくりの維持・継承」は海外における日本のものづくりの技術継承に対する課題です。 DX技術を活用することで、この課題を解決することが出来ます。 技術継承のために、従来の職人技術やノウハウをデジタル化し、次世代の技術者へのスキル継承を支援することが可能でしょう。 例えば、ビデオやデジタルマニュアルを活用した技術トレーニングプログラムの構築、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用した職人技術の教育などが挙げられます。 或いはさらに踏み込んで、作業中の動作を分析し、自動化可能な細分化工程に分解して自動化工程として再構築し、維持することも選択肢となります。 新たな工程の構築には様々な新しいノウハウが必要ですが、このノウハウこそが差別化を図る重要な武器になります。 製造自動化には技術継承以外にもメリットが考えられます。 ロボットや自動機の導入により、品質ばらつきや人的ミスの削減、生産の安定化、生産性向上が期待されます。 更に、自動化に併せて製造データ、品質検査データなどを自動取得できる機能を組み込んでおくことで次に述べるビッグデータ活用の導入が容易になります。 「日本品質の維持・管理」の為には様々なデータの取得とその解析が鍵になってきます。 製造工程で日本品質維持のために取得する一般的なデータとしては、各製造設備で取得するデータ(設備の設定パラメータ、工程内検査データなど)、投入部品・材料の製造データ(部品検査データ、ロット情報など)、製造環境データ(気温、湿度など)などが挙げられます。 更に職人技と言われる工程では音、振動、画像データ等が必要になる場合もあります。 重要な点はどんなデータが必要かを見極め、正しく取得することですが、データの取得には様々な最新のセンサー技術、IoT技術が活用できます。 これらの多くの複雑に関連しあったデータから最適な製造条件を導き出し、各々の変化をモニターして管理することで日本品質の維持が行えます。 もちろん、従来から様々なデータは取得されてきましたが、データ量が膨大になるため多くの場合一部の活用に限られていたり、あるいは活用されずに蓄積されるだけでした。 AI技術を利用すればこの膨大なデータ、いわゆるビッグデータを有効活用して分析し、製造にフィードバックすることが可能になります。 例えば製造プロセスの各種製造パラメータの最適化などに活用出来ますし、機械学習モデルを構築し、過去のデータから異常値を検知し、トラブルが発生する前に予防措置を講じることが可能となります。 IoT、ビッグデータ解析、AI技術など、DX技術を活用することで従来よりも詳細なデータを活用したり、従来は困難だった解析が可能になります。 ビッグデータの解析結果をどう判断して品質を維持するのか、この判断基準、管理手法をシステム上に構築することが「日本品質の維持・管理」のポイントになります。 「現地人材の確保・育成」は海外の高い離職率、文化や基礎教育の違いなどを反映しての結果でしょう。 国によって理由は様々ですが、転職によるキャリアアップが根付いている国も多く高い離職率は不可避な状況です。 企業としてはもちろん離職率を下げる施策も重要ですが、離職や急な欠勤が発生した場合でも即座に対応できるような仕組みが必要になります。 例えば生産能力の維持には勤務シフト自動生成技術が活用できます。 勤務シフトの作成は各作業員の出勤状況、スキル、機器の稼働状況、生産計画、工程能力など様々な条件が複雑に関連しているため、突然の欠勤や離職に柔軟に対応することが困難ですがAIを用いたシステムを活用することで自動化が可能です。 また生産計画システムや生産管理システム、人事システムと連携することで個々のスキルアッププログラムを最適化して自動作成し、計画的に多能工化を行い人員の変動リスクに備えることも可能です。 3.まとめ 海外工場を将来にわたって持続的に運営していくためには、従来の製造から脱却した新たな戦略が求められています。 各企業が抱える海外工場の課題をDX技術を用いて解決することで、日本企業の強みである「日本のものづくり」を継承し、「日本品質」の維持を実現し、競争力のある製造を持続していくことが可能です。 ビッグデータ解析やAIを活用することで従来とは違った新たな視点で製造戦略を立てることも出来るでしょう。 ただ、闇雲にDX化をしても求める効果は得られません。 DX技術は道具であり、重要なのは効果的なDX戦略の立案です。 目的の設定、技術的・時間的な導入ロードマップの策定を行って適切な段階を踏み、効果を確認しながら次のステップに進む。 この戦略こそが各企業の唯一無二の財産となり、競争力の源なのです。 DX技術の導入への積極的な取り組みが、製造業の海外生産を持続的に継続する未来を切り拓く一助となるでしょう。 ※1 出典:経済産業省/デジタルガバナンス・コード2.0   【製造業 2024年基幹システム活用時流予測レポート】 ▼無料ダウンロードお申し込みはこちら▼   【中小製造業 2024年ロボット活用時流予測レポート】 ▼無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/jy-robot_S045 [sc name="cobot"][/sc] いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。 海外工場の運営戦略に課題を抱えていませんか? 多くの製造業が海外進出した時期と比較して、現在は製造業を取り巻く環境が大きく変化し、また円安や人件費の高騰など新たな課題も出てきました。 しかし、海外生産から撤退して日本での生産に戻すことが最適な選択肢なのでしょうか?人件費の高騰と言っても、実際には日本はアジア諸国に比べると格段に高い水準にありますし、加えて労働人口の減少が深刻化し必要な人員を確保しづらい現実があります。 一方で、海外生産を維持する場合も持続性のある経営の為には、より競争力のある製品を、より効率的に生産する必要があります。 従来からの製造から脱却した新たな戦略が必要です。 そこで、今こそDX技術の導入が求められています。 従来のアナログな方法では実現できなかった製造を実現するために、新たな戦略が必要とされているのです。 1.製造業DXとは 製造業が取り組むべきDXとはどんなものでしょうか。 経済産業省ではDXの定義として 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 としています。※1 これを製造業に当てはめて読み解くと、製造工程や品質管理の自動化、ビッグデータの活用、AI活用などを行って、製造プロセスを変革し、商品の競争力を高めるということになります。 DX化のアプローチは企業により様々ですが、例えば「ものづくり」の視点でシンプルに考えれば、自動化技術を導入し、関連する製造・品質のデータを蓄積し、AIを活用してビッグデータの解析を行い、その結果を製造にフィードバックする循環プロセスを構築することで、生産効率の向上や高品質を実現し、価格、品質の競争力を高められます。 何を自動化するのか、どんなデータを収集するのか、得られたビッグデータを解析して何を導き出すのか。 これがDX戦略です。 DX技術を活用することで、より高度で効率的な生産プロセスの実現や品質管理の向上、競争力の強化を目指すことができます。 しかし、DX技術は道具でしかなく、どう活用するかの戦略立案が非常に重要になります。 2.海外工場が抱える課題とDX推進の重要性 前項でDX技術を活用することで競争力の強化を目指せることはお伝えしましたが、海外工場を運営する上で特に重要な課題とその解決策となるDX技術はどんなものがあるのでしょうか。 当社の調査では海外進出した製造業が抱える課題として多くの企業が下記の3点を上位に挙げています。 【海外進出した製造業が抱える3大課題】 日本のものづくりの維持・継承 日本品質の維持・管理 現地人材の確保・育成 日本製品と言えば高品質、高性能と言われ今でもその地位は守られています。 しかし、もちろんすべての部品・製品がMade In Japanで賄われている訳ではなく、多くの海外生産品が使用され、それでも”日本品質”を守っています。 これは長年積み上げてきた製造のノウハウ(いわゆる職人技も含む)や品質管理手法が支えていますが、これらの多くが俗人的になってしまっているのが現実です。 日本国内でも技術者の高齢化や人手不足による後進育成の難しさが取りざたされていますが、特に海外工場においては、高い離職率という背景もあり、国内工場以上に今まで育て培ってきたノウハウをどう維持し、継承し、さらに発展させていくかが課題です。 そんな中で「日本のものづくりの維持・継承」は海外における日本のものづくりの技術継承に対する課題です。 DX技術を活用することで、この課題を解決することが出来ます。 技術継承のために、従来の職人技術やノウハウをデジタル化し、次世代の技術者へのスキル継承を支援することが可能でしょう。 例えば、ビデオやデジタルマニュアルを活用した技術トレーニングプログラムの構築、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用した職人技術の教育などが挙げられます。 或いはさらに踏み込んで、作業中の動作を分析し、自動化可能な細分化工程に分解して自動化工程として再構築し、維持することも選択肢となります。 新たな工程の構築には様々な新しいノウハウが必要ですが、このノウハウこそが差別化を図る重要な武器になります。 製造自動化には技術継承以外にもメリットが考えられます。 ロボットや自動機の導入により、品質ばらつきや人的ミスの削減、生産の安定化、生産性向上が期待されます。 更に、自動化に併せて製造データ、品質検査データなどを自動取得できる機能を組み込んでおくことで次に述べるビッグデータ活用の導入が容易になります。 「日本品質の維持・管理」の為には様々なデータの取得とその解析が鍵になってきます。 製造工程で日本品質維持のために取得する一般的なデータとしては、各製造設備で取得するデータ(設備の設定パラメータ、工程内検査データなど)、投入部品・材料の製造データ(部品検査データ、ロット情報など)、製造環境データ(気温、湿度など)などが挙げられます。 更に職人技と言われる工程では音、振動、画像データ等が必要になる場合もあります。 重要な点はどんなデータが必要かを見極め、正しく取得することですが、データの取得には様々な最新のセンサー技術、IoT技術が活用できます。 これらの多くの複雑に関連しあったデータから最適な製造条件を導き出し、各々の変化をモニターして管理することで日本品質の維持が行えます。 もちろん、従来から様々なデータは取得されてきましたが、データ量が膨大になるため多くの場合一部の活用に限られていたり、あるいは活用されずに蓄積されるだけでした。 AI技術を利用すればこの膨大なデータ、いわゆるビッグデータを有効活用して分析し、製造にフィードバックすることが可能になります。 例えば製造プロセスの各種製造パラメータの最適化などに活用出来ますし、機械学習モデルを構築し、過去のデータから異常値を検知し、トラブルが発生する前に予防措置を講じることが可能となります。 IoT、ビッグデータ解析、AI技術など、DX技術を活用することで従来よりも詳細なデータを活用したり、従来は困難だった解析が可能になります。 ビッグデータの解析結果をどう判断して品質を維持するのか、この判断基準、管理手法をシステム上に構築することが「日本品質の維持・管理」のポイントになります。 「現地人材の確保・育成」は海外の高い離職率、文化や基礎教育の違いなどを反映しての結果でしょう。 国によって理由は様々ですが、転職によるキャリアアップが根付いている国も多く高い離職率は不可避な状況です。 企業としてはもちろん離職率を下げる施策も重要ですが、離職や急な欠勤が発生した場合でも即座に対応できるような仕組みが必要になります。 例えば生産能力の維持には勤務シフト自動生成技術が活用できます。 勤務シフトの作成は各作業員の出勤状況、スキル、機器の稼働状況、生産計画、工程能力など様々な条件が複雑に関連しているため、突然の欠勤や離職に柔軟に対応することが困難ですがAIを用いたシステムを活用することで自動化が可能です。 また生産計画システムや生産管理システム、人事システムと連携することで個々のスキルアッププログラムを最適化して自動作成し、計画的に多能工化を行い人員の変動リスクに備えることも可能です。 3.まとめ 海外工場を将来にわたって持続的に運営していくためには、従来の製造から脱却した新たな戦略が求められています。 各企業が抱える海外工場の課題をDX技術を用いて解決することで、日本企業の強みである「日本のものづくり」を継承し、「日本品質」の維持を実現し、競争力のある製造を持続していくことが可能です。 ビッグデータ解析やAIを活用することで従来とは違った新たな視点で製造戦略を立てることも出来るでしょう。 ただ、闇雲にDX化をしても求める効果は得られません。 DX技術は道具であり、重要なのは効果的なDX戦略の立案です。 目的の設定、技術的・時間的な導入ロードマップの策定を行って適切な段階を踏み、効果を確認しながら次のステップに進む。 この戦略こそが各企業の唯一無二の財産となり、競争力の源なのです。 DX技術の導入への積極的な取り組みが、製造業の海外生産を持続的に継続する未来を切り拓く一助となるでしょう。 ※1 出典:経済産業省/デジタルガバナンス・コード2.0   【製造業 2024年基幹システム活用時流予測レポート】 ▼無料ダウンロードお申し込みはこちら▼   【中小製造業 2024年ロボット活用時流予測レポート】 ▼無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/jy-robot_S045 [sc name="cobot"][/sc]

正確な工数取得による見積もりの精度向上で利益最大化!

2024.02.28

近年は材料費の高騰により、頭を悩ませている企業も多いことでしょう。そのような状況の中でどれくらいの利益が出ているのか、把握できておりますでしょうか。 1.正確な工数と見積もりの関係性 まず、利益を上げるためには材料費の変動・実際労務費(工数)・固定費(機械の消耗費等)に即した適切な見積書が必要です。 つまり、正確な見積もりを行うことは、企業の成長において不可欠ということです。 しかし、実際に見積書に正確な労務費・固定費を組み込めている企業は多くありません。 それは実際の工数を正確に把握することが非常に難しいからです。 ただし、実際の工数を把握することで効率的な生産計画を立て、生産性を向上させることができます。 以下では、実際の工数を取得することのメリット、重要性について探っていきます。 また、本コラムの最後に工数取得の一例も記載いたします。 2.工数取得の重要性 "まず第一に、実際の工数を把握することによって、生産ラインや作業プロセスにおける問題点を特定することができます。 例えば、特定の工程で時間がかかりすぎている場合や、作業効率が低い場合には、その原因を突き止めて改善策を講じることができます。 これにより、無駄な時間やリソースの浪費を防ぎ、生産性を向上させることが可能となります。 さらに、実際の工数を把握することによって、将来の生産計画や見積もりの作成に役立ちます。 過去のデータを元に、将来のプロジェクトやオーダーに必要なリソースや時間を正確に見積もることができます。 これにより、予算や生産計画の適切な管理が可能となり、顧客との信頼関係を築くことができ、利益率の向上も見込めます。 また、実際の工数を把握することは、従業員のモチベーション向上にもつながります。 従業員が自分の作業に費やす時間や労力が正確に評価されることで、彼らの成果に対する認識や報酬が適切に与えられるようになります。 これにより、従業員の満足度が向上し、生産性や品質の向上に繋がります。 では、実際工数を取得するためにはどのような方法があるのでしょうか。 3.工数取得の事例 ①タブレットを利用した工数取得 この事例では、各作業場に指示書や現品票を読み取り、作業時間を計るためのタブレットを設置します。 このタブレットはのデータは直接基幹システムに送信されるため、紙への手書き作業や二重の転記などが排除されます。 また、作業者の操作も指示書を読み込み、作業スタート・ストップボタンを押すだけのため、作業効率に影響を及ぼすことはありません。 タブレットを使用する例では、以下で紹介するRFIDを使用するよりも安価で導入が可能です。 ただし、作業者が入力を忘れた場合など、データの正確性は劣ります。 ②RFID(センサ)を利用した工数取得 この事例では、各作業場・作業者・製品・指示書などあらゆる組み合わせのヒト・ものにセンサを設置します。 それによって作業員が所定の作業場のエリアに入った時点で作業開始、エリアを出ると作業終了と自動でデータがシステムに送信されます。 RFIDを使うことでタブレットと違い、作業者自身の操作も必要なく、入力忘れもないため簡単かつ正確なデータが取得できます。 ただし、比較的高価なため、導入する際には補助金の活用も視野に入れるとよいでしょう。 4.さいごに 総括すると、工場の生産工程における実際の工数を取得することは、企業にとって重要な戦略的手段であり、正確な見積もりや効率的な生産計画を立てる上で欠かせない要素です。 実際の工数を把握することで、問題点の特定や改善、生産計画の立案、従業員のモチベーション向上など、さまざまな利点がもたらされます。 そのため、企業は実際の工数の取得に十分なリソースを割くことが重要です。   正確なデータ分析につながる個別原価取得解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 基幹システムをフル活用し、個別原価も正確に算出できている企業はまだ多くありません。 ただし、原価計算は利益に直結します。 従業員100名以下でもできる個別原価取得方法をご紹介いたします。 https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02507_S045   正確なデータ分析につながる個別原価取得解説レポート ▼セミナー詳細・申込はこちらから▼ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/105866 このような方にオススメ 従業員200名以下の自動車部品製造業の事業主様 紙日報による手書き・集計作業が常態化してしまっており、データ集計が細かく実施できていない事業主様 標準原価で収益を把握しているが、それが実態と合っているか不明であると感じている事業主様 現状のシステムをフル活用できず、製造進捗をリアルタイムに把握できていない事業主様 製品別の「実際工数」による直接労務費を算出し、正確な個別原価を把握したいと思っている事業主様 以前原価管理を取り組んだが、なかなかうまくいかずに苦戦している事業主の皆様 DX経営の第一歩である「BI」について、自社でも取り入れたいと感じている事業主の皆様 今までの勘・経験から脱却した、今取り組めるDXを知りたい事業主の皆様 ■開催日程 全てオンライン開催となります 以下の日程よりご都合の良い日程をお選び下さい ※内容は全て一緒です 2024/05/20 (月) 13:00~15:00 2024/05/27 (月) 13:00~15:00 2024/05/30 (木) 13:00~15:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/112274 いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。 近年は材料費の高騰により、頭を悩ませている企業も多いことでしょう。そのような状況の中でどれくらいの利益が出ているのか、把握できておりますでしょうか。 1.正確な工数と見積もりの関係性 まず、利益を上げるためには材料費の変動・実際労務費(工数)・固定費(機械の消耗費等)に即した適切な見積書が必要です。 つまり、正確な見積もりを行うことは、企業の成長において不可欠ということです。 しかし、実際に見積書に正確な労務費・固定費を組み込めている企業は多くありません。 それは実際の工数を正確に把握することが非常に難しいからです。 ただし、実際の工数を把握することで効率的な生産計画を立て、生産性を向上させることができます。 以下では、実際の工数を取得することのメリット、重要性について探っていきます。 また、本コラムの最後に工数取得の一例も記載いたします。 2.工数取得の重要性 "まず第一に、実際の工数を把握することによって、生産ラインや作業プロセスにおける問題点を特定することができます。 例えば、特定の工程で時間がかかりすぎている場合や、作業効率が低い場合には、その原因を突き止めて改善策を講じることができます。 これにより、無駄な時間やリソースの浪費を防ぎ、生産性を向上させることが可能となります。 さらに、実際の工数を把握することによって、将来の生産計画や見積もりの作成に役立ちます。 過去のデータを元に、将来のプロジェクトやオーダーに必要なリソースや時間を正確に見積もることができます。 これにより、予算や生産計画の適切な管理が可能となり、顧客との信頼関係を築くことができ、利益率の向上も見込めます。 また、実際の工数を把握することは、従業員のモチベーション向上にもつながります。 従業員が自分の作業に費やす時間や労力が正確に評価されることで、彼らの成果に対する認識や報酬が適切に与えられるようになります。 これにより、従業員の満足度が向上し、生産性や品質の向上に繋がります。 では、実際工数を取得するためにはどのような方法があるのでしょうか。 3.工数取得の事例 ①タブレットを利用した工数取得 この事例では、各作業場に指示書や現品票を読み取り、作業時間を計るためのタブレットを設置します。 このタブレットはのデータは直接基幹システムに送信されるため、紙への手書き作業や二重の転記などが排除されます。 また、作業者の操作も指示書を読み込み、作業スタート・ストップボタンを押すだけのため、作業効率に影響を及ぼすことはありません。 タブレットを使用する例では、以下で紹介するRFIDを使用するよりも安価で導入が可能です。 ただし、作業者が入力を忘れた場合など、データの正確性は劣ります。 ②RFID(センサ)を利用した工数取得 この事例では、各作業場・作業者・製品・指示書などあらゆる組み合わせのヒト・ものにセンサを設置します。 それによって作業員が所定の作業場のエリアに入った時点で作業開始、エリアを出ると作業終了と自動でデータがシステムに送信されます。 RFIDを使うことでタブレットと違い、作業者自身の操作も必要なく、入力忘れもないため簡単かつ正確なデータが取得できます。 ただし、比較的高価なため、導入する際には補助金の活用も視野に入れるとよいでしょう。 4.さいごに 総括すると、工場の生産工程における実際の工数を取得することは、企業にとって重要な戦略的手段であり、正確な見積もりや効率的な生産計画を立てる上で欠かせない要素です。 実際の工数を把握することで、問題点の特定や改善、生産計画の立案、従業員のモチベーション向上など、さまざまな利点がもたらされます。 そのため、企業は実際の工数の取得に十分なリソースを割くことが重要です。   正確なデータ分析につながる個別原価取得解説レポート ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 基幹システムをフル活用し、個別原価も正確に算出できている企業はまだ多くありません。 ただし、原価計算は利益に直結します。 従業員100名以下でもできる個別原価取得方法をご紹介いたします。 https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02507_S045   正確なデータ分析につながる個別原価取得解説レポート ▼セミナー詳細・申込はこちらから▼ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/105866 このような方にオススメ 従業員200名以下の自動車部品製造業の事業主様 紙日報による手書き・集計作業が常態化してしまっており、データ集計が細かく実施できていない事業主様 標準原価で収益を把握しているが、それが実態と合っているか不明であると感じている事業主様 現状のシステムをフル活用できず、製造進捗をリアルタイムに把握できていない事業主様 製品別の「実際工数」による直接労務費を算出し、正確な個別原価を把握したいと思っている事業主様 以前原価管理を取り組んだが、なかなかうまくいかずに苦戦している事業主の皆様 DX経営の第一歩である「BI」について、自社でも取り入れたいと感じている事業主の皆様 今までの勘・経験から脱却した、今取り組めるDXを知りたい事業主の皆様 ■開催日程 全てオンライン開催となります 以下の日程よりご都合の良い日程をお選び下さい ※内容は全て一緒です 2024/05/20 (月) 13:00~15:00 2024/05/27 (月) 13:00~15:00 2024/05/30 (木) 13:00~15:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/112274

製造業・工場が実践すべきBIツール活用とは?成功事例も紹介

2024.02.16

▼『【製造業向け】補助金×原価管理システムの成功事例レポート』無料ダウンロードはこちら 今すぐビジネスレポートをダウンロードする無料! 仕入価格の高騰・販売価格への転嫁困難などの板挟み状況において、製造業は社内における製造コスト削減(≒生産効率化)が求められます。これらの外部要因に対して、素早い判断で適切な対処ができるようにするためにはBIツールを活用したデータ集計・データ分析の自動化が肝となります。 本記事では、製造業が生産効率を向上させるための効果的なBIツール活用方法やメリットを解説するほか、実際の成功事例についてもご紹介します。 1.BIツールとは BIツールとは、企業が蓄積している様々なデータを自動で集計・可視化することで、データに基づいた意思決定や課題解決を利用者が行いやすくするための支援ツールです。 製造業では、生産管理システムや販売管理システムに蓄積されているデータをBIツールで集計・可視化をすることによって、 現場の生産進捗のより詳細な把握 製品別の実際原価把握 製品別の受注の繁閑分析 等ができるようになります。 BIツールの詳細については、下記記事を参照ください。 用語集|BIツールとは 2.多くの製造業が抱える課題 多くの製造業では、まだまだベテランの勘・経験に依存した現場改善が実施されています。勘・経験に依存した改善は以下のような課題が発生します。 主観性と一貫性の欠如 勘や経験に頼る場合、個々の作業員や管理者の主観的な判断に大きく依存します。そのため、同じ問題に対して異なる解釈や対処法が生まれ、一貫性が欠如することがあります。また、経験に基づいた改善が行われる場合、その改善策の根拠や効果の確認が困難であり、持続可能な改善が難しい場合があります。 限界の到達 人間の勘や経験には限界があります。特に複雑な生産プロセスや大量のデータを扱う場合、勘や経験だけでは十分な洞察を得ることが難しい場合があります。その結果、潜在的な問題や機会が見逃される可能性があります。 情報の不足 経験に依存したアプローチでは、一部の情報しか考慮されない場合があります。特に製造業や工場のような複雑な環境では、さまざまなデータや指標が重要ですが、これらが見落とされることがあります。その結果、意思決定において必要な情報が欠落し、効果的な改善策が見いだせない場合があります。 製造業として、持続的に成長するためにはデータ活用によるデータに基づいた現場改善が必要になります。 データ活用には分析が必要ですが、BIツールを活用することによってこの分析業務にかかる工数を大幅さに削減し、適切な分析結果を得ることができるようになります。 3.BIツール活用のメリット BIツールを製造業や工場で活用することで、上項の課題に対する以下のメリットが挙げられます。 リアルタイムの洞察 既存のシステムのデータベースと直接接続をすることにより、BIツールはリアルタイムでデータを分析することができるようになります。システムに機能が無いために今までは見えてこなかった様々な指標を、BIツールを活用することによってリアルタイムに把握でき、迅速な意思決定が可能となります。 予測分析 BIツールは過去のデータからトレンドを抽出し、将来の需要や生産に関する予測を行うことができます。これにより、より効果的な生産計画や在庫管理・原価管理が実現できるようになります。 データの可視化 複雑なデータを視覚的に表現することで、パターンや傾向を素早く把握することができます。現在のシステムでは見えないグラフを見えるように機能追加を依頼すると、追加で外部へのコストが発生してしまいますが、BIツールを活用することにより、自社で見たいグラフを自社特有の表現で可視化することが可能となります。これにより、自社の課題に対しての適切な対処をBIツールを活用することにより実施することができます。 属人化の解消 近年のBIツールはノーコードソフトウェアが増えており、プログラミング経験のない人でもBIダッシュボードを作成することが可能です。そのため、自社内で作成しても属人化するリスクが高くなく、継続的に社内で見たい情報を可視化する体制を構築することができます。 4.BIツールを活用した成功事例 【実際の事例(製造業A社)】 プロジェクトの背景 A社では、生産管理業務を行うにあたってデータ集計業務に課題を感じていました。 主な課題 属人化 1人のスタッフがExcelマクロを使用してデータの集計と分析を行っています。このため、業務はその個人のスキルや経験に依存し、組織全体での作業効率に影響を及ぼしていました。 リアルタイム性の欠如 データの反映や共有には時間がかかります。生産管理システムからのデータ出力や、Excelマクロによるデータ管理によって、情報の更新が遅れ、データ分析のリアルタイム性に課題がありました。 データ管理の非効率性 生産管理システムからのデータ出力と、Excelマクロでのデータ管理という二重の手間が発生しています。これにより、データの整合性が損なわれ、作業効率が低下しています。 これらの課題に対処するため、Power BIの導入を行いました。このプロジェクトでは、生産管理システムからのデータをリアルタイムで活用し、以下の目標を達成することを目指しました。 原価管理BIの作成 製品別の原価管理や利益の把握など、より詳細な分析を可能にする原価管理BIの構築。 原価管理業務の効率化 データ集計業務の自動化や、リアルタイムでのデータ反映により、原価管理業務の効率化を実現する。 用語集|BIツールとは 効果 既存のシステムとPower BIを直接接続し、今まで見えていなかった実際工数による直接原価をリアルタイムに把握することができるようになりました。 これにより、日々の会議においてのデータ集計作業を効率化し、原価削減に向けた議論へと工数を充てることができるようになりました。 また実際原価が集計されるため、見積価格との照合を行い、価格改定等の戦略を練るための材料になった点も大きなメリットであると考えられます。 船井総研では、BIツールを使ってデータ活用するための社内体制の構築だけでなく、活用後の業績アップまでをサポートさせていただきました。 今回の事例のように、データ活用がなかなか進まない、そもそもどのようにBIツールを活用するのか等に関して、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。   ▼『【製造業向け】補助金×原価管理システムの成功事例レポート』無料ダウンロードはこちら 今すぐビジネスレポートをダウンロードする無料! ▼『【製造業向け】補助金×原価管理システムの成功事例レポート』無料ダウンロードはこちら 今すぐビジネスレポートをダウンロードする無料! 仕入価格の高騰・販売価格への転嫁困難などの板挟み状況において、製造業は社内における製造コスト削減(≒生産効率化)が求められます。これらの外部要因に対して、素早い判断で適切な対処ができるようにするためにはBIツールを活用したデータ集計・データ分析の自動化が肝となります。 本記事では、製造業が生産効率を向上させるための効果的なBIツール活用方法やメリットを解説するほか、実際の成功事例についてもご紹介します。 1.BIツールとは BIツールとは、企業が蓄積している様々なデータを自動で集計・可視化することで、データに基づいた意思決定や課題解決を利用者が行いやすくするための支援ツールです。 製造業では、生産管理システムや販売管理システムに蓄積されているデータをBIツールで集計・可視化をすることによって、 現場の生産進捗のより詳細な把握 製品別の実際原価把握 製品別の受注の繁閑分析 等ができるようになります。 BIツールの詳細については、下記記事を参照ください。 用語集|BIツールとは 2.多くの製造業が抱える課題 多くの製造業では、まだまだベテランの勘・経験に依存した現場改善が実施されています。勘・経験に依存した改善は以下のような課題が発生します。 主観性と一貫性の欠如 勘や経験に頼る場合、個々の作業員や管理者の主観的な判断に大きく依存します。そのため、同じ問題に対して異なる解釈や対処法が生まれ、一貫性が欠如することがあります。また、経験に基づいた改善が行われる場合、その改善策の根拠や効果の確認が困難であり、持続可能な改善が難しい場合があります。 限界の到達 人間の勘や経験には限界があります。特に複雑な生産プロセスや大量のデータを扱う場合、勘や経験だけでは十分な洞察を得ることが難しい場合があります。その結果、潜在的な問題や機会が見逃される可能性があります。 情報の不足 経験に依存したアプローチでは、一部の情報しか考慮されない場合があります。特に製造業や工場のような複雑な環境では、さまざまなデータや指標が重要ですが、これらが見落とされることがあります。その結果、意思決定において必要な情報が欠落し、効果的な改善策が見いだせない場合があります。 製造業として、持続的に成長するためにはデータ活用によるデータに基づいた現場改善が必要になります。 データ活用には分析が必要ですが、BIツールを活用することによってこの分析業務にかかる工数を大幅さに削減し、適切な分析結果を得ることができるようになります。 3.BIツール活用のメリット BIツールを製造業や工場で活用することで、上項の課題に対する以下のメリットが挙げられます。 リアルタイムの洞察 既存のシステムのデータベースと直接接続をすることにより、BIツールはリアルタイムでデータを分析することができるようになります。システムに機能が無いために今までは見えてこなかった様々な指標を、BIツールを活用することによってリアルタイムに把握でき、迅速な意思決定が可能となります。 予測分析 BIツールは過去のデータからトレンドを抽出し、将来の需要や生産に関する予測を行うことができます。これにより、より効果的な生産計画や在庫管理・原価管理が実現できるようになります。 データの可視化 複雑なデータを視覚的に表現することで、パターンや傾向を素早く把握することができます。現在のシステムでは見えないグラフを見えるように機能追加を依頼すると、追加で外部へのコストが発生してしまいますが、BIツールを活用することにより、自社で見たいグラフを自社特有の表現で可視化することが可能となります。これにより、自社の課題に対しての適切な対処をBIツールを活用することにより実施することができます。 属人化の解消 近年のBIツールはノーコードソフトウェアが増えており、プログラミング経験のない人でもBIダッシュボードを作成することが可能です。そのため、自社内で作成しても属人化するリスクが高くなく、継続的に社内で見たい情報を可視化する体制を構築することができます。 4.BIツールを活用した成功事例 【実際の事例(製造業A社)】 プロジェクトの背景 A社では、生産管理業務を行うにあたってデータ集計業務に課題を感じていました。 主な課題 属人化 1人のスタッフがExcelマクロを使用してデータの集計と分析を行っています。このため、業務はその個人のスキルや経験に依存し、組織全体での作業効率に影響を及ぼしていました。 リアルタイム性の欠如 データの反映や共有には時間がかかります。生産管理システムからのデータ出力や、Excelマクロによるデータ管理によって、情報の更新が遅れ、データ分析のリアルタイム性に課題がありました。 データ管理の非効率性 生産管理システムからのデータ出力と、Excelマクロでのデータ管理という二重の手間が発生しています。これにより、データの整合性が損なわれ、作業効率が低下しています。 これらの課題に対処するため、Power BIの導入を行いました。このプロジェクトでは、生産管理システムからのデータをリアルタイムで活用し、以下の目標を達成することを目指しました。 原価管理BIの作成 製品別の原価管理や利益の把握など、より詳細な分析を可能にする原価管理BIの構築。 原価管理業務の効率化 データ集計業務の自動化や、リアルタイムでのデータ反映により、原価管理業務の効率化を実現する。 用語集|BIツールとは 効果 既存のシステムとPower BIを直接接続し、今まで見えていなかった実際工数による直接原価をリアルタイムに把握することができるようになりました。 これにより、日々の会議においてのデータ集計作業を効率化し、原価削減に向けた議論へと工数を充てることができるようになりました。 また実際原価が集計されるため、見積価格との照合を行い、価格改定等の戦略を練るための材料になった点も大きなメリットであると考えられます。 船井総研では、BIツールを使ってデータ活用するための社内体制の構築だけでなく、活用後の業績アップまでをサポートさせていただきました。 今回の事例のように、データ活用がなかなか進まない、そもそもどのようにBIツールを活用するのか等に関して、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。   ▼『【製造業向け】補助金×原価管理システムの成功事例レポート』無料ダウンロードはこちら 今すぐビジネスレポートをダウンロードする無料!

「リーンマネジメント実践!5つの効果的手法」

2024.02.08

1.リーンマネジメントとは リーンマネジメントとは、プロセス管理の徹底により、製造・サービス工程において一貫してムリ・ムダなく最適な活動を行い、最小限の経営資源で最大限の「顧客価値」を提供することを目的とする経営のことです。 この方法論を実践することにより、製造業は資源の最適化と生産プロセスの改善を図り、競争力を高めることができます。 2.リーンマネジメントの手法と実践 リーンマネジメントを実践するためには、以下に示すいくつかの方法を取り入れることが重要です。 今回は5つのポイントをご紹介します。 ①価値ストリームマッピング(Value Stream Mapping) 価値ストリームマッピングは、生産プロセス全体を可視化するためのツールです。 製造(工程)フロー、情報フロー、材料フローなどを明確に示し、無駄や待ち時間の発生箇所を特定することが できます。 これにより、改善のポテンシャルがある領域を特定し、生産プロセスの効率化に取り組むことができます。 ②ジャストインタイム(Just-in-Time) ジャストインタイムは、生産活動を需要に合わせて行う原則です。 生産量を最小限に抑え、在庫を最適化することにより、ムダを排除します。 生産スケジュールを細かく調整し、生産ラインのリードタイムを短縮することで、効率的な生産を実現できます。 ③カイゼン(Continuous Improvement) カイゼンは、継続的な改善を行う文化を築くことを意味します。 従業員の参加を奨励し、日常の業務の中で問題を特定し改善提案を行うことを促します。 小さな改善を継続的に行うことで、作業プロセスや品質を向上させます。 ④5S整理法 5S整理法は、整理、整頓、清掃、清潔、躾 の5つの手法に基づいています。 作業場の整理整頓、材料やツールの配置の最適化、最適化による従業員のモラル向上など、生産性を高めるため の基盤を整えます。 ⑤標準化とトレーニング 作業手順や品質基準の標準化は、生産性と品質の向上に欠かせません。 明確な作業手順と標準化された品質基準に基づいて作業を行うことで、品質問題や生産遅延を最小限に抑えることができます。また、トレーニングと教育プログラムを通じて従業員を育成し、スキルの向上を図ります。 3.リーンマネジメントはなせ重要か 特にIT、建設、教育といった業界は、リーン手法を取り入れて、多くのメリットを享受しています。リーンプロジェクト管理によって、プロセスを合理化することにより、製品価値を高められるためです。 リーンマネジメントのその他のメリットには次のようなものがあります。 ①より多くのイノベーションをもたらす プロジェクトを改善する創造性が発揮されます。 ②無駄を減らす 物理的な無駄や、工程間の待機時間を減らし、作り過ぎや加工のし過ぎを抑制します。 ③顧客サービスの質を高める 顧客が必要としているものを過不足なく提供できます。 ④リードタイムの短縮 レスポンスタイムが短縮し、遅れが減ります。 ⑤高品質な製品 品質チェックを追加することで、製品の不良が最小限になります。 ⑥在庫管理の改善 在庫のモニタリングによって無駄を防ぎます。 社内外に関わらず、リーンな発想に切り替えることで仕事のプロセスがシンプルになり、より効率的なプロジェクト加速していきます。 4.まとめ リーンマネジメントの実践は、効率性を向上させ生産性を向上させるだけでなく、顧客満足度の向上と競争力の強化にも繋がります。それに加え、リーンマネジメントは従業員の意識を高め、組織全体の改善文化を醸成するものです。 持続的な改善活動を通じて、生産性を向上させるには必要な手法になります。 是非、リーンマネジメントの手法を実践し、生産性を向上させ企業の成長を実現させて行きましょう。   【製造業 2024年基幹システム活用時流予測レポート ~今後の見通し・業界動向・トレンド~】 ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 国内製造業における基幹システム導入及びDX化におけるポイントと進め方及び事例についてわかりやすく書かれているレポートになります。 https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/jy-core-system_S045   ■関連するセミナーのご案内 飲食料品卸売業の為のDX経営~営業力・販売力強化編~ 営業・販売業務のDX化で自動化・省力化&営業力・販売力UP! セミナー詳細・申込はこちらから https://www.funaisoken.co.jp/seminar/111210 ■開催日程 全てオンライン開催となります 以下の日程よりご都合の良い日程をお選び下さい ※内容は全て一緒です 2024/04/15 (月) 13:00~15:00 2024/04/22 (月) 13:00~15:00 2024/04/25 (木) 13:00~15:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/111210 1.リーンマネジメントとは リーンマネジメントとは、プロセス管理の徹底により、製造・サービス工程において一貫してムリ・ムダなく最適な活動を行い、最小限の経営資源で最大限の「顧客価値」を提供することを目的とする経営のことです。 この方法論を実践することにより、製造業は資源の最適化と生産プロセスの改善を図り、競争力を高めることができます。 2.リーンマネジメントの手法と実践 リーンマネジメントを実践するためには、以下に示すいくつかの方法を取り入れることが重要です。 今回は5つのポイントをご紹介します。 ①価値ストリームマッピング(Value Stream Mapping) 価値ストリームマッピングは、生産プロセス全体を可視化するためのツールです。 製造(工程)フロー、情報フロー、材料フローなどを明確に示し、無駄や待ち時間の発生箇所を特定することが できます。 これにより、改善のポテンシャルがある領域を特定し、生産プロセスの効率化に取り組むことができます。 ②ジャストインタイム(Just-in-Time) ジャストインタイムは、生産活動を需要に合わせて行う原則です。 生産量を最小限に抑え、在庫を最適化することにより、ムダを排除します。 生産スケジュールを細かく調整し、生産ラインのリードタイムを短縮することで、効率的な生産を実現できます。 ③カイゼン(Continuous Improvement) カイゼンは、継続的な改善を行う文化を築くことを意味します。 従業員の参加を奨励し、日常の業務の中で問題を特定し改善提案を行うことを促します。 小さな改善を継続的に行うことで、作業プロセスや品質を向上させます。 ④5S整理法 5S整理法は、整理、整頓、清掃、清潔、躾 の5つの手法に基づいています。 作業場の整理整頓、材料やツールの配置の最適化、最適化による従業員のモラル向上など、生産性を高めるため の基盤を整えます。 ⑤標準化とトレーニング 作業手順や品質基準の標準化は、生産性と品質の向上に欠かせません。 明確な作業手順と標準化された品質基準に基づいて作業を行うことで、品質問題や生産遅延を最小限に抑えることができます。また、トレーニングと教育プログラムを通じて従業員を育成し、スキルの向上を図ります。 3.リーンマネジメントはなせ重要か 特にIT、建設、教育といった業界は、リーン手法を取り入れて、多くのメリットを享受しています。リーンプロジェクト管理によって、プロセスを合理化することにより、製品価値を高められるためです。 リーンマネジメントのその他のメリットには次のようなものがあります。 ①より多くのイノベーションをもたらす プロジェクトを改善する創造性が発揮されます。 ②無駄を減らす 物理的な無駄や、工程間の待機時間を減らし、作り過ぎや加工のし過ぎを抑制します。 ③顧客サービスの質を高める 顧客が必要としているものを過不足なく提供できます。 ④リードタイムの短縮 レスポンスタイムが短縮し、遅れが減ります。 ⑤高品質な製品 品質チェックを追加することで、製品の不良が最小限になります。 ⑥在庫管理の改善 在庫のモニタリングによって無駄を防ぎます。 社内外に関わらず、リーンな発想に切り替えることで仕事のプロセスがシンプルになり、より効率的なプロジェクト加速していきます。 4.まとめ リーンマネジメントの実践は、効率性を向上させ生産性を向上させるだけでなく、顧客満足度の向上と競争力の強化にも繋がります。それに加え、リーンマネジメントは従業員の意識を高め、組織全体の改善文化を醸成するものです。 持続的な改善活動を通じて、生産性を向上させるには必要な手法になります。 是非、リーンマネジメントの手法を実践し、生産性を向上させ企業の成長を実現させて行きましょう。   【製造業 2024年基幹システム活用時流予測レポート ~今後の見通し・業界動向・トレンド~】 ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 国内製造業における基幹システム導入及びDX化におけるポイントと進め方及び事例についてわかりやすく書かれているレポートになります。 https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/jy-core-system_S045   ■関連するセミナーのご案内 飲食料品卸売業の為のDX経営~営業力・販売力強化編~ 営業・販売業務のDX化で自動化・省力化&営業力・販売力UP! セミナー詳細・申込はこちらから https://www.funaisoken.co.jp/seminar/111210 ■開催日程 全てオンライン開催となります 以下の日程よりご都合の良い日程をお選び下さい ※内容は全て一緒です 2024/04/15 (月) 13:00~15:00 2024/04/22 (月) 13:00~15:00 2024/04/25 (木) 13:00~15:00 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/111210