組立工程の自動化 ②組立工程の自動化事例

1.はじめに
前回は
- 自動化は難しい。
- まずは作業の効率化と生産性の見直しをしましょう!
というお話をさせていただきました。
今回は組立工程の自動化例をお話しさせていただきます。
とても高いのは当たり前で、それは“組立工程を現状作業そのまま自動化する”事を前提と考えているからです。もちろんそうでもしないと利益が出ないのは仕方がない事です。いかにして組立工程の自動化に投資を考えるべきか?今回はそのポイントを解説します。
2回にわたって書いていきますが、今回は「自動化を検討する前に、作業の効率化と生産性を見直しませんか?」ということで、組立工程の改善例をご紹介します。
2.投資対効果の調査
建築系内装部品の組み立ての事例です。
この会社様では高粘度の接着剤を使用してものを固定する組立を実施されていました。
石膏や木材ボード、金属系の金具に対応できる高粘度接着剤を使用しています。
まずは自動化のコストメリットが出るか、という検討から始まりました。
コストメリット試算のポイントは
- 月ごとの生産を明らかにする
- 合計、比率を出して生産数の上位品種を特定する
上記から上位品種を整理し下記を明らかにする。
- 生産時間を確認し個数と掛け合わせる
- 時間換算し、その製品にかかる人件費を明らかにする
かかっているコストを明らかにすることで、“対応すべき品種は何か?”“いくらまでなら投資できるか?”が判断できます。
また、同時並行で行うべきは作業分析です。動画を撮影して、人手なら何分かかっているかを明らかにします。これが目指すべきシステムのタクトタイムになります。そして、作業を分析することでロボット化をしたときに人手とロボット化したときの差異が明らかになってきます。以下がその例です。
-
接着剤を塗布
⇒ロボット化すると人手と比較したときに安定した量が塗布できる -
ケガキ、位置調整がなくなる
⇒ロボット化することで同じ位置に安定して設置することができる
高価な投資をする必要があるので、徹底した比較、調査が必要です。面倒な作業ですが実施すべきです。
3.技術的な課題
続いてこのCASEにおける技術的課題に関してです。問題は接着剤でした。
かなりの高粘度の接着剤で、それを押し出せるディスペンサーの選定に苦労しました。ディスペンサーメーカーはいろいろあります。各会社の営業に要件などを伝えると実験してもらえます。
今回はいろいろなメーカーに声をかけ、実験をした結果兵神装備製のディスペンサーを採用しました。理由は下記となります。
- 高粘度の接着剤を塗布できた
- モーター式なのでかなりのスピードで塗布が可能
⇒タクトタイムを短縮できる - 液だれをしない
- 高価ではあるがすべての要件を満たす製品である
続いてハンドに関してです。今回の場合、石膏ボードのように大きくて重いもの、ブラケットのような立体的な金属部品など様々なものをハンドリングしないといけませんでした。
なのでハンドは下記のような構想となりました。
- 平面があるものを吸着するハンド、
- 金属部品をチャックするハンド
オートツールチェンジャーは付けず、2つの機能を有するハンドを製作することで複数の部品をハンドリングできるようになりました。ほかにも立体形状のワークはたくさんありましたが、最初に投資対効果や自動化すべき製品をあらかじめ検討していたので、立体的なワークを自動化対象にせずとも、投資対効果が出ることが判明していたので、上記構想のハンドで対応しました。
また、大規模な供給装置を今回は取り入れておりません。人は供給を行うことを前提としています。人手の作業は以下となります。
- 各部品を治具にセットする
- 設置対象のプレートを供給する
- 出来上がった製品を次工程輸送用の搬送台に置く
10個ほどセットするようにしています。1つの製品ができるタクトタイムは1分半ほどなので、15分ほどは自動で動きます。その15分の間、他の作業を実施できるようになりました。
このように、組立ロボットの構想にいろいろと検討が必要です。そして技術課題を解決するためにはいろいろと調査が必要です。時間とコストをかけてでも自動化できる、自動化すべき工程はいろいろとあります。ぜひお読みいただいた皆様も今一度自動化に関して検討してみていただければと思います。
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