記事公開日:2022.04.18
最終更新日:2024.10.11

工場の多品種少量生産を自動化するための方法

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1.多品種少量生産における自動化の課題

製造業の工場では一部の大手製造業を除き多品種少量生産を実施しています。

多品種少量生産とは同一の工場、もしくは同一の製造設備において製品を多品種かつ少量(少ロット)で生産する生産方式のことを指します。
工場の自動化において、この「多品種少量生産」は特に中小製造業の自動化の大きな壁となります。
自動化を検討する際に対象となる品種が多くなるため構想が複雑となり導入コストが大きくなるためです。

さらに、同一の自動化設備で多品種対応するためにはある程度の段取り替えも必要となります。
多品種対応できる自動化設備を構想したが、段取り替え工数が多くなり結局作業者が設備から離れられず省人効果が得られない、という事象も発生します。

では、このような多品種少量生産の自動化における課題をどのように解決するべきしょうか?

2.工場の多品種少量生産における自動化のポイント

工場の多品種少量生産における自動化の課題を整理します。

対象となる品種が多いため、

  • 自動化構成が複雑になる
  • 複雑な構成となるため導入コストが大きくなる
  • 頻繁な段取り替えが必要になる

大きく上記の3つが挙げられます。
逆に言えば、上記の3つを解決できるような自動化構想をすれば工場の多品種少量生産を自動化することが可能となる、と言えるでしょう。

では、具体的な工場の多品種少量生産を自動化する方法を見ていきましょう。

3.工場の多品種少量生産を自動化する方法

工場の多品種少量生産における自動化を進める上で一番重要となるのは、自動化対象とする品種の選定です。

とある企業の例を見ていきます。

こちらの企業では大小さまざまな製品を製造しており、自動化を進めたい工程における品種数はおよそ100品種ほどありました。
この全ての品種を自動化することは非常に難しい、という印象を受けるかと思います。
自動化、というと対象工程における全ての品種を自動化対象として考えてしまうため非常に複雑でかつ大きいコストのかかる自動化設備となってしまいます。
そこでこちらの企業では対象工程における製品分析を実施して自動化の対象とすべき製品の絞り込みを実施しました。
対象とする製品を決定するための製品分析方法は以下の3つです。

①生産実績から生産数量(工数)の多い品種を上から並べる
②類似形状の製品をピックアップして並べる
③加工方法(加工設備)で分類して並べる

①の場合、生産数量(工数)の多い順に単純に上から並べた場合、ほとんどの場合上位10品種ほどで生産実績の30%~50%を占める場合が多いです。
100品種のうち上位10品種のみを対象とするだけで30%~50%の生産をカバーできることになります。
100品種対応する自動化設備を導入するのと10品種対応する自動化設備を導入するのでは難易度も導入コストも大きな差があるのは分かるかと思います。
このようにまずは生産上位品種から自動化対象とするのはセオリーとなります。

しかし、生産上位品種を対象にすると課題が発生する場合もあります。
例を挙げた企業で言えば生産上位品種の中には人の背丈以上ある大きい製品から、手で持てる程度の製品まで様々なサイズの製品がありました。
このように例えば製品サイズの差があまりにも大きい場合は同一の自動化設備で対応するのは難しい場合があります。
このような場合には「②類似形状の製品をピックアップして並べる」製品選定を行うのが良いでしょう。
類似形状から対象製品を選定していく場合、製品サイズ、製品形状(例:円筒、板状、等)等を考慮して似たような製品をいくつかのカテゴリに分けてみましょう。
そして、その各カテゴリの生産実績から生産数量(工数)を試算します。
そうすることで、どの類似形状カテゴリの製品を対象にすればどれくらいの投資対効果があるかを見極めることが可能となります。

次に「③加工方法(加工設備)で分類して並べる」について解説します。
こちらは特に旋盤加工やマシニングセンター加工などの機械加工工程におけるワーク供給の自動化を行う際に役立ちます。
例えば溶接工程をロボットで自動化するような場合、製品を加工(溶接)するのはロボットとなるため自動化前の設備はあまり重要ではありません。

しかし、機械加工では製品を加工するのはあくまでも加工機です。
ワーク供給のハンドリングを自動化したいがために「加工」をおろそかにするのは本末転倒です。
そういった場合に「③加工方法(加工設備)で分類して並べる」製品分析が必要になります。
多品種少量生産の機械加工では何台かの加工設備を使用しているため、この加工設備ごとの生産実績を集計して加工設備ごとの生産数量(工数)を導き出します。
そうすることで、どの加工機を自動化対象にすればどれくらいの投資対効果があるか試算可能となります。

4.おわりに

これからの人手不足の時代を生き残るために、中小製造業において工場の多品種少量生産における自動化は今すぐに取り組むべき重要な課題といえます。
人手不足、原材料コスト増、客先からのコストダウン要求、等様々な問題を解決するために、今からすぐに自動化を検討する必要があります。

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