記事公開日:2023.03.17
最終更新日:2023.03.17

製造業DXの本質

いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。

1.製造業におけるDX

コロナ禍以降、DXがブームとなって久しいですが、まずはもう一度DXという言葉について、おさらいです。
DXとは「ITの活用を通じて、ビジネスモデルや組織を変革すること」を意味します。
その目的は「企業の競争優位性を確立すること」です。

これでは漠然としているので、もう少しかみ砕くと「ITテクノロジー(データ)を活用して、社内外に新しい価値やサービスを提供すること」になります。
この過程において企業風土・文化も大きく変革していくことになっていきます。

日本の製造業においては、ITテクノロジーを積極的に活用して生産活動を行っている企業はまだまだ多くはありません。
従来から製造業において改善活動は積極的に行われてきました。
ロボット化、自動化、デジタル化様々な課題に対して、施策を行ってきたかと思います。
しかし、その施策は全体的な効率をもたらしているでしょうか。
改善活動は部分的な改善(局所最適)になってしまい、全体の効率は変わっていないという場合も多くあります。

製造業において、DXの意味するものとは、生産全体を通してデータを収集して、全体を見通した中においての課題を明らかにして「どの箇所に対策する(自動化ロボット化)のが最もインパクトがあるかを判断する」ことです。

目指すべきは、網羅的にデータを集めて、必要な判断を、データを根拠に行うことができる環境の構築です。

2.ブラックボックスになっている作業の「見せる化」

どの業界にも作業が属人化している「ブラックボックス」は存在しています。
製造業でも、よく耳にすることです。
①現場作業者の行動 ②モノの流れ ③意思決定など見えないものはたくさんあり、何が見えてないかさえ、実は経営者は知らないのです。
この状態では、部分的にデジタルツールを導入したり、ロボット化したとしても本質の課題は解決されません。
重要なことは、生産に関わるすべての「人、モノ、情報」をデータにして可視化(見せる化)することです。
ブラックボックスを見えるようにするのです。
営業や製造部門において上記の「動き」を可視化することで、以下に活用することが出来ます。

①SFA(営業支援ツール)やMA(マーケティングオートメーション)に代表される製品・サービスの向上
②製造プロセス改善・教育や投資判断

3.評価や判断はデータから導け!

①は経営層や企画・営業部門の視点です。
具体例としては「新製品や新サービス価値の開発」「顧客対応やマーケティングの活用」が挙げられます。
この領域についてはSFAやMAを導入している/検討している企業も多いかと思います。

②は生産現場の視点です。
具体例としては生産状況のデータ活用による「生産工程の最適化」「生産計画の最適化」などが挙げられます。

生産状況のデータを取得している企業は多いかと思いますが、では、そのデータを「生産効率を向上させる」という目的で活用している企業はどれほどあるでしょうか。

ほとんどの企業では、行き着くところ「蓄積しているだけ」、もしくは「生産実績を入れているだけ」という状況ではないでしょうか。
それでは意味が全くありません。データは活用してナンボなのです。

生産現場においては「人・モノ・設備の状況取得」が可能になれば、例えば1)正確な製造原価の把握、2)ボトルネックの抽出(人がネックか設備がネックか等)3)投資判断などデータからいくらでも炙り出すことが出来ます。
言わば、製造戦略における生産側の土台となります。

ブラックボックスになりがちな生産現場において、「あらゆる物事を(見せる化)してデータを根拠に判断」していくということが、これからの製造業DXでは目指すべき姿と考えます。

 
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