記事公開日:2023.09.05
最終更新日:2023.09.05
DXシステム導入成功のための要素
いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。
デジタル化が叫ばれてから時間が経過し、多くの企業が「システム導入プロジェクト」を経験されたのではないでしょうか?
システム導入プロジェクトの多くは試行錯誤しながら少しずつ進めているため、当初の想定していたシステムとは異なるものが出来上がったということもよくあると思います。
中には、実運用まで持っていくことが出来ずに苦戦している。。。という企業もいるのではないでしょうか?
今回は、システム導入を成功するために必要な最も重要な要素を1つご紹介させていただきます。
1.システム導入において直面する壁
本項では、システム導入プロジェクトを発足・推進するにあたって発生し得る状況について説明していきます。
①目的・効果の適切な明確化
当たり前ですが、プロジェクトを進めていくにあたって、ゴール設定は必要です。
どのような課題があり(As Is)、システム導入によってどのような将来像になるのか(To Be)を明確にしないと、いつまでも終了しないプロジェクトになってしまいます。
しかし、詳細にゴールを設定してしまい、達成できずに難航してしまうのも良くありません。
具体的には、「○○業務を効率化して生産性〇%向上する」を目的とすると、部分最適としてシステム導入してしまうため、会社全体で見た時に他の業務にしわ寄せが来てしまうといった状況も可能性としてはあり得ます。
ある一部分におけるシステム導入であったとしても、「会社全体として」どのような効果を発揮するべきなのか?を明確に文章化することが必要です。
②業務ヒアリング時の要望の取りまとめ・取捨選択
いざプロジェクトをスタートさせても、次にぶつかる障壁は「要望の取りまとめ・取捨選択」です。
システム導入は膨大な金額がかかるため、数年に1度のプロジェクトとなることが多いと思います。
日頃の業務を実際に行っている現場担当者からすると、今回のプロジェクトで要望を出さないと次改善されるのは数年後となりますので、常日頃考えている要望の他に様々な要望を挙げてきます。中には今回のシステム導入対象範囲を超えて関連業務についても要望を挙げてくることもあります。
「それらをすべて叶えようとすると、とても現在取得している予算内には収まらない、、、、」
「しかし、実際に使う対象である現場担当者の要望を叶えないと使ってもらえないシステムになってしまう、、、、」
そのように悩まれたプロジェクト担当者もいるかと思います。
結果として、折衷案としてどちらも譲歩せざるを得なくなってしまい、何かしこりの残るシステムとなってしまうということがよく見受けられます。
③外部企業との認識のすり合わせ
要望を取りまとめ、システム会社と要件定義を始めても、次に直面する壁は「認識のすり合わせ」です。
当たり前ですが、システム会社は自社のことは分かりません。自社の業界すら知らない場合もあります。
システム会社はシステムのプロであるため、要求に対しての成果物はピカイチですが、その成果物がどのように業務で活用されるのかは範囲外となります。
そのため、自社としての課題・状況を初めて資料を見る方にも分かるように文書化し、どのような効果を得ていきたいのかを共通認識で進めていけるようにする必要があります。
④(全て社内で完結させる場合)技術力の壁、永久的な問い合わせ対応の壁
外部ではなくすべて社内で完結させる場合、もちろんシステム開発者は社内の人間であるため、認識のすり合わせは必要なくなります。
ただ、やはりシステム開発技術力を売りとしてビジネスをしているシステム会社と比較すると、どうしても劣る部分はあるのではないでしょうか?
そうなると、機能を実装するのに必要以上に時間がかかってしまったり、不具合が多発してしまうなどリスクが発生してしまいます。
また、仮にすべて実装が完了したとしても、②で示した通り要望は常に発生しているため、終わらない改修が始まります。
終いには当初求められていたシステムとは全く異なるシステムが完成し、「会社全体として」業務が無意味に属人化してしまうといった可能性があります。
2.導入を成功させるための最も重要な要素とは
では、1項の課題はどのようにして未然に防ぐことが出来るのか?
システム導入を成功させるうえで最も重要な要素とは、
それは、「プロジェクト発足時に全体コンセプトを策定する」ことです。
例えば、
「全社のシステムの機能を洗い出し、取捨選択、すべてのデータベースがシームレスに連携するようにする」
「紙業務を廃止し、タブレットを導入することで情報連携をスムーズに行う。」
「現場の製造進捗を見える化し、顧客への納期回答スピードを向上させる。」
等となります。
ポイントとしては、
・どのような結果を得られるようにするのか?を明確にすること
・このコンセプトの認識をプロジェクトに関わるメンバー全員がズレなく理解していること
となります。
一番初めにコンセプトを策定することで、1項のそれぞれの課題に対しては下記のような効果が得られます。
①目的・効果の適切な明確化
コンセプトが策定されることで、目的が明確になります。
さらに将来像が明確になるため、プロジェクトとしてのゴールが明確になります。
②業務ヒアリング時の要望の取りまとめ・取捨選択
様々な要望を取捨選択する際、コンセプトが明確に定まっていることにより、
「今回のコンセプトとは外れている」という明確な理由をもとに断ることができます。
断られた側も、理由なしに断られたわけではないため、ある程度の理解をしていただけるようになります。
③外部企業との認識のすり合わせ
コンセプトが明確になることにより、システム会社もそのコンセプトを達成するための要求仕様であることを理解することができます。
また、コンセプトがあることにより、システム会社からもそのコンセプトを軸とした質問が出てくるようになるため、会議の効率性も向上します。
③と同様に、提案された機能に対しての社内議論も軸がブレることなく行うことができます。
④(全て社内で完結させる場合)技術力の壁、永久的な問い合わせ対応の壁
コンセプトが明確になることにより、社内開発者が持っている技術の中で実現できる代替案を提案することが出来るようになります。
また、コンセプト明確化により技術力の壁も明確になるため、プロジェクト断念の前に外部へ開発を委託するという判断も適切に行うことが出来るようになります。
永久的な問い合わせもコンセプトとの照らし合わせにより断る、または別プロジェクト発足による対応を行うことができます。
3.まとめ
いかがでしょうか?今回は「全体コンセプト策定」の重要性を記載させていただきました。
システム導入プロジェクトを成功へ導くためにも、是非実践していただければと思います。
また、工場DX.comではプロジェクト策定から要求取りまとめ・取捨選択、システム導入後の実運用まで網羅的にサポートしております。
どのようなプロジェクト推進が良いのか、等お気軽にお問合せいただけますと幸いです。
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