記事公開日:2024.04.01
最終更新日:2024.04.11

実際に役に立つ!AI活用法3選~製造業/工場編

近年では、様々な分野でAI(人口知能)が活用され大きな効果を出しています。
当然ながら製造業でもAIの活用が注目されています。
製造業におけるAI活用は非常に大きな効果をもたらすことが期待されており、既に日本国内でも、AIを活用することで大きな効果を得られている工場も存在している状態です。

現在では、様々なAIソリューションが散見されるため、


どのような業務においてAIが活用できるのかわからない!
結局自社に最適なAI活用法がわからない!
AIの知識が高度・専門的過ぎてよくわからない!

と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、製造業におけるAI活用を検討されてる方に向けて、「工場におけるAI活用法3選」「自社に最適なAIを選ぶときの基準」「AI導入の具体的なステップ」「AI活用の課題と注意点」等について記載しています。情報収集のお役に立てば幸いです。

1.製造業におけるAI活用のメリット

製造業においては、AIを活用することで以下の3つのメリットが期待されています。

■労働力不足が解消する
少子高齢化による労働力不足や製造業を選択する若者の減少が問題になっており、製造業でも年々人手が足りなくなっています。
しかし、AIを導入すれば業務の自動化や効率化を実現でき、限られた人員でも業務をスムーズにこなせるようになります。

■コスト削減・生産性が向上する
AIを活用すればヒューマンエラーや部品ロスなどを減らせるため、コスト削減や生産性向上も期待できます。
すべてが数値化されるようになり、課題の明確化や数値目標の設定もしやすくなり、現場との合意も形成できます。

■製造の品質や安全性が向上する
AIの有効活用により危険な作業を機械に任せられるため、事故の防止につながります。
ヒューマンエラーによる不良品の発生や異物の混入も避けられます。
定型業務はもちろん属人化した作業を自動化でき、製品品質も安定させられるでしょう。

2.工場におけるAI活用法

■見積業務
【課題感】
複雑形状の試作(一品モノ)の受注が多く、過去の図面情報・製作情報の検索に多くの時間と労力がかかっていました。
見積り作業が属人化して過去の情報も「わかる人はわかる」状態となっており、ベテランでなければ精緻な見積は出来ず、新人などが出来るものではありませんでした。

【AI活用】
見積り業務に必要な過去案件の検索について、AIを活用して「いつでも」「だれでも」「簡単に」過去案件を検索・参照できる仕組みを構築しました。
これは、過去の図面データをAIに学習させることで、類似した図面をAIが検索してきます。
類似図面が見つかれば、その際に紐づけておいた営業情報、加工情報などを一緒に提示するようにしました。

【効果】
過去情報を探す時間は従来の1/4となり、これまでバラバラだった過去情報が一元管理され「それを知っていたら簡単に見積を出せたのに・・」というムダな状況がなくなり業務が効率化されました。
また、この仕組みを生産計画部門で利用しており、生産計画部門も業務の効率化に繋がりました。
このシステムは紐づける情報次第で、様々な部門で活用することが出来ます。

■生産計画業務
【課題感】
生産計画(工程計画)には<設備条件><材料条件><担当者スキル><在庫条件><納期条件><生産状況>等が複雑に絡み合い、多面的な知識と豊富な経験が必要で作業立案はベテラン1名で担当していました。
立案専任ではなく、業務の一環として生産計画を立てている為、業務負荷がとても多いものでした。

【AI活用】
数理最適化を用いて生産計画を最適化するシステムを構築しました。
構築にあたり、担当者の考え方やロジックをドキュメントに落とし込み、システム上で最適化した計画を立案・ガントチャートにて表示しました。
システムの見た目は通常のスケジューラーと似ていますが、裏で計算できるロジックは、通常のスケジューラーでは出来ない条件を計算実施しています。
立案後に担当者が調整可能な機能も実装し、特急品やイレギュラー対応も可能なシステムとしています。

【効果】
属人化していた生産計画について「いつもで」「だれでも」「同じレベル(質)」で生産計画を立案出来るようになりました。
生産計画担当者は属人化しやすく、ノウハウが担当者のみに蓄積される為、後継者の育成に数年~数十年ととても時間のかかるものでした。
システム化により、ある程度だれでも立案出来るようになり、後継者の育成が難しい「計画立案者の後継者問題」から解放されました。

■在庫管理業務
【課題感】
発注担当者は、在庫切れが起こらないよう日々在庫確認と発注作業が必要でした。
その一方で、確認作業や発注作業のタイミングは各担当者に一任されており、社内に統一された明確なルールはなく、発注タイミングは個人の感覚に任せられていました。
売上予測や発注業務が属人化しており勘や経験を必要とする業務となっていました。

【AI活用】
過去の商品/在庫/実績/仕入先データ+直近の売上/繁忙期/リードタイム等を機械学習により発注の予測モデルを構築しました。
予測モデルを構築するには、「何が発注に寄与するか」を担当者からヒアリングしながらデータ分析を行いました。
売上予測をもとに品目ごとに在庫切れのタイミングを特定することで、最適な発注タイミングをシステム上で提示します。
自動発注は行わず、最終確認は人間が行い発注をします。

【効果】
属人化していた発注タイミングを「いつもで」「だれでも」「同じレベル(質)」で判断が出来るようになりました。
感覚的(決まりがあるが決まっているものが感覚的な場合もあり)な発注は在庫の持ち過ぎ、持たな過ぎに直結します。
システム構築により、担当者毎の発注に対する質が標準化(凸凹がなくなり)され、在庫の過剰/不足が低減に繋がりました。

3.自社に最適なAIを選ぶときの基準

1.目的とニーズの明確化
まずは、自社の目的とニーズを明確にすることが重要です。
AIを導入する目的や期待する効果、解決したい課題などを具体的に定義しましょう。

2.機能と性能
AIの機能や性能が自社のニーズと一致しているかを確認しましょう。
具体的な要件や予算に基づいて、必要な機能や性能を評価します。

3.データの要件と適合性
自社のデータに合わせてAIが適切に動作するかを確認しましょう。
データの形式、量、品質などに対応できるかを評価します。

4.解釈可能性と透明性
AIの結果を解釈できるかどうか、判断理由が明示されているかを確認しましょう。
特に、意思決定に影響を与える場合は、解釈可能性が求められます。

5.可用性と拡張性
AIの実装および展開の容易さ、基幹システムの連携の可否、サポートやメンテナンスの提供、将来の拡張性などを評価しましょう。
自社の状況と予算に適合しているかを検討します。

これらの基準を元に、自社に最適なAIを選択することが重要です。

4.AI導入の具体的なステップ

1.目的とニーズの明確化
AIを導入する目的やニーズを明確に定義しましょう。
例えば、業務プロセスの効率化、顧客対応の向上、品質管理の強化など、具体的な目標を設定します。

2.データの収集と前処理
AIはデータに基づいて学習し予測を行いますので、必要なデータを収集し、必要な前処理を行いましょう。
データの品質や量、形式にも注意を払いましょう。

3.AIモデルの選択
導入するAIの種類やモデルを選定します。
自然言語処理によるチャットボット、画像認識による品質管理システムなど、目的やニーズに合ったAIモデルを選びましょう。

4.モデルの学習と評価
選んだAIモデルをデータで学習させ、その性能を評価します。
学習方法やパラメータの調整によってモデルの精度を高めていきます。

5.導入と運用
学習したAIモデルを実際の業務に導入し、運用します。
トライアル期間を設け、結果を評価しながら適切な調整や改善を行いましょう。

これらのステップを踏みながら、AIを導入することで効果的な活用ができるでしょう。

5.AI活用の課題と注意点

AI導入おけるもっと重要な箇所は、1番初めの「課題の抽出、目的とニーズの明確化」です。
<どこが課題>で<何を目的に導入するのか>をユーザー側は明確にする必要があります。
<目的>が曖昧だったり、ブレてしまうと、どういうAIを選定するか?の際に、AIが出来ることが優先され、結果的に導入されたものがさほど意味がない(当初の課題を解決してくれない)ものになってしまいます。
これを回避するには、課題抽出の時点からある程度のAIの知識(何が出来て何が出来ないか)を知っておく必要があります。
課題のすべてをAIが解決してくれるとは限らないのです。
AIベンダーはユーザーから与えられた要望に対して、自社製品を使って必死に知恵を絞り出します。
しかし、根本的に課題抽出から間違っている場合も多くあります。
「そもそもそれはAIで解決すべきではない」という結論です。
課題に対して、解決方法(アプローチ方法)はいくつかあります。
課題抽出の段階で、どの方法なら出来そうか?技術的なハードルを目途つけながらやっていくことが必要です。
全く考えないまま(知識がないまま)実施していくと、いわゆる「ベンダーの言いなり」となり、ベンダーが主導権を握り、自社ではハンドリングが出来なくなっていきます。

6.まとめ

船井総研では、上流の課題抽出からお客様と一緒に考え、取り上げられた課題は「今のAI技術で解決出来そうか」「技術的なハードルはどこか」ゴールを見据えながらアドバイスを行っていきます。
AIプロジェクトだけではなく、様々なシステム開発に携わってきた観点からお客様の課題に対して「課題抽出→企画→要求取りまとめ→ベンダー選定→要件定義→システム開発→検証→ゴール(運用)」までお客様と共に伴走をしていきます。

工場内の課題に対して、「たくさん課題があるが何から手を付けるべきはわからない」「AIを活用したいが、そもそもAIが必要なのか、どこに使えそうかわからない」という方はぜひ、船井総研までご相談下さい。

 
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  • 2024/05/28 (火) 13:00~15:00

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目次

  • 1、製造業AI業界の現状
  • 2、2023年製造業AI業界はこうなる!
  • 3、2023年実践していただきたいこと
  • 4、どの業務・工程でもAIは活用できる「業務別・工程別のAI活用」
  • 5、国内中小製造業におけるAI導入事例

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