記事公開日:2024.04.08
最終更新日:2024.04.08
製造業における進捗管理の見える化のメリットとは?
製造業における進捗管理は、工場の生産プロセス全体の進行状況を把握し、計画通りに生産が進んでいるかを確認するための重要なプロセスです。
この記事では、製造業における進捗管理の意義や実践方法について詳しく解説します。
目次
進捗管理見える化の重要性・得られるメリット
製造業において進捗管理の見える化を行うことは、以下のようなメリットを期待できます。
進捗管理のメリット①:トラブル発生時に即時対応できる
生産プロセスの進行状況がリアルタイムで把握できれば、トラブルが発生した際に素早く対応することが可能となります。例として、部品の不足や機械の故障などによる生産の遅延が発生した場合、即時に把握することができるため、生産の停滞を最小限に抑えることができます。
進捗管理のメリット②:予測が立てやすくなるため、納期遅延を削減できる
進捗管理を行うことで、生産の進行状況や作業の遅れ具合が明確になります。そのため、納期に対するリスクを事前に把握し、適切な対策を講じることが可能になります。これにより、納期遅延を予防し、顧客との信頼関係を損なうことなく生産を行うことができます。
進捗管理のメリット③:生産計画データと実績データの差異分析により、現場改善へ活かせる
計画通りに進んでいない箇所や生産プロセスの改善点を特定するために、計画データと実績データの差異を分析することが重要です。この分析により、生産プロセスの効率化や品質向上につながる改善策を見つけ出し、現場の生産性を向上させることができます。
多くの企業における進捗管理の現状
多くの中小製造業では、進捗管理を行うためにまだまだExcelやホワイトボードなどを使って手作業で管理されているところをよく目にします。しかし、このような方法では、管理効率が低く、リアルタイムな情報共有が難しいという課題があります。
進捗管理の実践に向けた課題
製造業におけるリアルタイムな進捗管理をいざ実践しようとしても、以下のような課題が立ちはだかります。
課題①:現場作業者に実績データをリアルタイムでデータ化する仕組みが必要
製造の進捗を把握するためには、現場の製造実績をデータ化する必要があります。しかし、多くの企業ではこの製造実績のデータ化に苦労されています。
多くの手法として、タブレット・ハンディターミナル・センサ等の様々な手法がありますが、各企業の製造状況や現場作業者の負担にならない最適なデータ取得手法を選択・構築することが求められます。
課題②:生産管理だけでなく現場の協力を得る必要があり、全社で取り組みを行わなければならない
進捗管理の実践には、単なる管理部門だけでなく、現場の作業者や管理職など、全社での協力が必要です。そのため、組織全体での意識改革や教育が欠かせません。
課題③:データをリアルタイムで可視化するための仕組みを構築する必要がある
進捗管理の効果を最大限に発揮するためには、生産データをリアルタイムで可視化しなければ進捗管理を行うメリットを十分に発揮することができません。従来のホワイトボードやExcelでは実現できません。
Excel・ホワイトボードを使うことのデメリット
Excelやホワイトボードを用いた進捗管理には、いくつかのデメリットがあります。
デメリット①:リアルタイムに可視化ができず、対策が遅れる
Excelやホワイトボードでは、データの更新や共有が手動で行われるため、リアルタイムな情報共有が難しいです。そのため、問題が発生した際の対応が遅れる可能性があります。
デメリット②:ファイル共有ができないため、情報共有ができない
Excelファイルは単独でしか開けないため、複数の人が同時に編集することができません。そのため、情報の共有や更新が滞る可能性があります。
ホワイトボードは同時に同じボードに記入が可能ですが、ホワイドボードを毎回確認しに現場へ行かなければならないため、情報共有の観点ではあまり効果が発揮できません。
デメリット③:複雑な関数を要することが多く、属人化につながりやすい
Excelを使った進捗管理では、複雑な関数や式を使用することが多くあります。そのため、特定の人が作成したファイルに依存することが増え、業務の属人化が進む可能性があります。
課題に対する解決方法
これらの課題に対処するためには、以下の解決方法が考えられます。
解決方法①:現場作業者の負担にならない実績データ取得方法を選定する
現場作業者が負担に感じずに、生産実績データを取得できる方法を検討することが重要です。例えば、タブレットやハンディターミナルを活用して、現場でのデータ入力を簡略化することが有効です。
製造プロセスの特徴によっては、全自動で取得する方法を選択したほうが良いこともあります。費用との兼ね合いによって、現場にとってデータ化しやすく、管理側にとっても欲しいデータが来るような仕組みを現場作業者を含めて議論する必要があるのです。
解決方法②:紙の日報を廃止し、現場作業者にとってのメリットを理解してもらう
単に実績取得ツールを導入するだけでは、現場の負担が増えてしまい、思うように活用してもらえません。実績データを取得することが、現場作業者にとってどのようなメリットがあるのかをしっかりと理解していただく必要があります。その一例として、紙日報を廃止することを提案することが多いです。
解決方法③:BIツールを用いて、ローコードでリアルタイム可視化を行う
ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを活用することで、リアルタイムで生産データを可視化しやすくなります。また、ローコードプラットフォームを用いることで、専門知識がなくても比較的容易に可視化ダッシュボードを作成できます。
参考:BIツールとは
参考:製造業向けBIツールを活用したデータ集計・分析自動化
参考:BIツールを連携させたデータ活用方法、メリットとコツ
参考:データドリブン経営を実現するBIツールを解説
進捗管理以外で実績データを取得することの会社におけるメリット
進捗管理以外の業務でも、実績データを取得することにより、以下のようなメリットがあります。
メリット①:実工数が取得できれば、実際原価管理ができるようになる
実工数を正確に把握することで製品ごとの実際の原価を明確に把握でき、製品別に本当に儲かっているのか?儲かっていないのか?をデータをもとに把握することができます。これにより、原価の管理や効率的な生産プロセスの見直しや最適化が可能になります。
参考:6つのステップで解説!原価管理の取り組み方とは?
参考:製造業が取り組むべき次世代原価管理とは?
参考:【製造業向け】補助金×原価管理システムの成功事例レポート
メリット②:標準時間と実際時間を照合することで、より正確な見積が立てられるようになる
生産プロセスにおける標準時間と実際時間を比較することで、作業の効率や作業者の能力などを客観的に評価することができます。これにより、将来のプロジェクトの見積もりや計画立案がより正確に行えるようになります。
メリット③:ボトルネック工程をあらかじめ把握することができるようになり、事前に対策することができるようになる
生産プロセス全体のデータを分析することで、ボトルネックとなる工程や作業を事前に特定し、効果的な対策を講じることができます。これにより、生産性や効率性の向上が図れます。
メリット④:製造状況がデータとして挙がってくるため、全社員が共通認識で課題解決を目指せる
実績データを可視化することで、製造状況や課題が全社員で共有されます。これにより、組織全体が一体となって課題解決に取り組むことができます。
今までなんとなく「現場改善をしてください。そのためのKPIを自身で設定してください。」といった要求から、「この部分を改善するための活動をしてください。」といった明確な指示が出せるようになっていきます。
また、改善活動における効果も今まではなんとなくボヤーっと見えていたものが数字としてデータとして見えるようになっていきますので、現場改善担当者としても、やりがいを感じることができるようになり、経営側としても評価しやすくなります。
見える化すべき項目軸
製造業における進捗管理の見える化において重要な項目軸は以下の通りです。
項目①:注文番号軸
製品ごとの注文番号を基に、生産の進行状況や納期の把握を行います。
項目②:工程軸
製造プロセスの工程ごとに、作業の進捗や問題点を把握し、効率的な生産を実現します。
項目③:設備軸
製造設備の稼働状況やメンテナンス履歴などを記録し、設備の管理や保守作業の計画を立てます。
項目④:担当者軸
各作業者や管理者の作業実績や負荷状況を把握し、適切な業務配分や人材育成を行います。
まとめ
製造業における進捗管理は、生産プロセスの効率化や納期遵守など、企業の競争力向上に不可欠な要素です。しかし、多くの企業が現在もExcelやホワイトボードなどの手作業で進捗管理を行っており、その課題や限界が明らかになっています。今後は、現場作業者の負担を最小限に抑えながら、リアルタイムでのデータ可視化や共有を実現するための取り組みが求められます。進捗管理以外の業務でも実績データの取得と見える化を行うことで、企業の意思決定や業務改善に貢献することができます。製造業における進捗管理の見える化は、組織全体の効率化と競争力強化に向けた重要な一歩と言えるでしょう。
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参考:製造業・工場が実践すべきBIツール活用とは?成功事例も紹介
参考:製造業必見!原価管理をエクセルで行う方法とそのメリット・デメリット
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