記事公開日:2025.04.03
最終更新日:2025.04.03

経産省の提言から考える製造業マスタデータの重要性

経産省の提言「共通の商品マスタ」から、中小製造業におけるマスタデータの重要性を解説。
サプライチェーン効率化に加え、自社のDX推進に不可欠なマスタデータ整備のポイントと具体的なステップを紹介します。

いつもコラムをご愛読いただきありがとうございます。
船井総合研究所の熊谷です。

皆様の会社では、DXは着実に進んでいますでしょうか?
IoTやAIといった先端技術の導入も重要ですが、その基盤となる「マスタデータ」の整備と活用こそが、DX推進の成否を握ると言っても過言ではありません。

経済産業省が2025年3月14日に発表した「共通の商品マスタでサプライチェーンを効率化します」というプレスリリースは、まさにこのマスタデータの重要性を改めて示唆するものです。
今回は、この経産省の発表内容を踏まえ、製造業が改めて意識すべきマスタデータの重要性について、論じていきます。

経済産業省「共通の商品マスタでサプライチェーンを効率化します(2025/03/14)」
https://www.meti.go.jp/press/2024/03/20250314002/20250314002.html

1. 経産省が提唱する「共通の商品マスタ」とは?

経産省のプレスリリースでは、サプライチェーン全体でのデータ連携の効率化を目指し、「共通の商品マスタ」の構築・普及を推進する方針が示されています。
これは、企業間で異なる形式で管理されている商品情報を標準化し、共通のルールに基づいたデータとして共有することで、受発注業務や在庫管理、物流などを効率化しようという取り組みです。
特に中小製造業においては、大企業との取引において、それぞれの企業が持つ商品マスタの違いに起因する煩雑な業務が発生しているケースが多くあります。
経産省のプレスリリースのように、共通のマスタが普及することで、これらの無駄が削減され、よりスムーズなサプライチェーン連携、情報連携が実現することが出来ます。

2. 中小製造業が改めて意識すべきマスタデータの重要性

経産省の提言は、大企業間の取引効率化に留まらず、中小製造業自身のDX推進においても非常に重要な示唆を与えてくれています。
なぜなら、共通の商品マスタの考え方は、自社内のあらゆる業務効率化の鍵となる「統合されたマスタデータ」の重要性と関連しているからです。

中小製造業におけるマスタデータとは、例えば以下のような情報が挙げられます。

  • 製品マスタ: 製品の型番、名称、仕様、単価、部品構成など
  • 顧客マスタ: 顧客名、所在地、連絡先、取引履歴など
  • 仕入先マスタ: サプライヤー名、所在地、連絡先、取引条件など
  • 部品マスタ: 部品番号、名称、材質、調達単価など
  • 設備マスタ: 設備名、型番、導入日、メンテナンス履歴など

これらのマスタデータが各部門でバラバラに管理されていると、以下のような問題が発生しやすくなります。

  • データの不整合: 同じ情報が部門によって異なって登録され、混乱を招く
  • 業務の重複: 各部門で同じようなデータ入力作業が発生し、無駄が多い
  • 情報共有の遅延: 必要な情報がすぐに共有されず、意思決定が遅れる
  • 分析の困難: 複数のデータソースを統合する必要があり、分析に手間がかかる

しかし、これらのマスタデータを一元的に管理し、全社で共有・活用することで、以下のような効果が期待できます。

  • 業務効率化: データ入力や検索の手間が省け、業務時間を大幅に削減
  • 品質向上: 正確なデータに基づいた業務遂行が可能となり、ミスを削減
  • コスト削減: 在庫管理の最適化や調達コストの削減につながる
  • 意思決定の迅速化: リアルタイムなデータに基づいた分析が可能となり、迅速な経営判断を支援
  • 顧客満足度向上: 正確な情報提供や迅速な対応が可能となり、顧客満足度向上に貢献

マスタデータは、さまざまなシステム連携において共通言語となるものです。
システムによってマスタが異なる・そもそもマスタデータ化されていないといった状態では、DX を実施しようにも必要以上の時間とコストがかかってしまいます。

3. 経産省の記事が示唆する中小製造業へのメッセージ

経産省のプレスリリースは、共通の商品マスタという具体的な取り組みを通じて、サプライチェーン全体でのデータ連携の重要性を強調しています。
これは、中小製造業においても、自社内だけでなく、取引先とのデータ連携を意識したマスタデータ整備が重要であることを示唆しています。
例えば、取引先との間で商品情報や受発注情報をデジタルデータでやり取りすることで、FAXや電話での確認作業を減らし、人的ミスを防止することができます。
また、サプライヤーとの間で部品情報を共有することで、より効率的な調達活動が可能になります。

4. 中小製造業が今すぐ取り組むべきこと

中小製造業がマスタデータの重要性を理解し、DXを推進していくためには、以下のステップで取り組むことが重要です。

  1. 現状の把握: 各部門でどのようなデータが、どのように管理されているかを洗い出す
  2. 課題の明確化: データ管理における課題や、それが業務にどのような影響を与えているかを明確にする
  3. マスタデータの定義: 必要なマスタデータの種類や項目、管理ルールを定義する
  4. システム選定・導入: マスタデータを一元管理するためのシステム(ERP、MDMなど)を選定・導入する
  5. データクレンジング: 既存のデータを整理・統合し、品質を高める
  6. 運用ルールの策定: マスタデータの登録・更新・利用に関するルールを明確にする
  7. 従業員への教育: マスタデータの重要性やシステムの利用方法について教育を行う

これらの取り組みは、決して簡単なものではありません。
しかし、マスタデータの整備は、製造業DXの基盤となる重要な投資であり、将来的な競争力強化に不可欠です。

マスタデータ整理に関する取り組みは、会社の基盤となるデータを整えることになります。
マスタデータの整理具合によって、その後のデータ集計・活用・分析、さらには経営にまで影響する重要な取り組みです。
決して失敗することにならないよう、外部コンサルタントなどを活用しながら他社事例を含めた取り組みをしていくことがポイントとなります。

まとめ

経産省の「共通の商品マスタ」の提言は、中小製造業にとって、サプライチェーン効率化だけでなく、自社のDX推進におけるマスタデータの重要性を改めて認識する良い機会です。
今こそ、自社のマスタデータ戦略を見直し、データドリブンな経営への転換を図るべき時と言えるでしょう。
マスタデータの整備と活用を通じて、より強く、より効率的な企業へと進化していきましょう。

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◾️この記事を書いたコンサルタント

株式会社船井総合研究所
DXコンサルティング部 リーダー

熊谷 俊作

2021年に新卒で船井総合研究所に入社。入社後は自身のデジタルスキルを活かして製造業のDXコンサルティングに従事。中小製造業へのAI活用・データ活用基盤構築・分析支援・データを用いた現場改善支援を実施しており、実績は多数。 プログラミングによるwebアプリ構築やデータ分析も実施し、コンサルティングからエンジニアリングまで一貫した支援をおこなっている。また、 各企業・自治体が主催するDXセミナーへの登壇・毎年の時流予測レポートの作成を実施。