記事公開日:2022.03.09
最終更新日:2023.01.20
IoTを活用して不良率を低減した事例をご紹介
1.IoT活用前の課題
兵庫県のT社では慢性的に不良品が発生し生産性の低下が問題となっていました。
この製造ラインでは作業者が長年の勘とコツにより設備設定温度を感覚で調整しており、さらに温度設定は測定温度の数値を見て調整するのではなく製品の出来栄えを見ながら勘とコツで調整を行うような標準化が難しい作業となっていました。
このように作業者任せの条件設定となっているため作業者の違いによる品質の変化、外的要因による製品の不安定さ、が問題となっていました。
2.IoT活用の概要
温度設定条件を作業者の勘とコツに頼っている状態から脱却するためT社ではIoTの導入を決めました。
まずは温度設定が製品に及ぼす影響について調査し、製品表面温度が製品品質の出来栄えに影響しているという仮説をたてました。
その仮説から、T社では設備の設定温度をモニタリングするのではなく、製品表面温度そのものを測定しIoTによりモニタリングする方法を採用しました。
製造ライン内の各所に温度センサーを設置して製品が通過する度に測定し温度データを取得、その取得したデータを保存します。
では、このIoTにより取得した製品表面温度のデータをどのように活用し不良率を低減したのでしょうか?
3.IoT導入後のデータ活用と効果
取得した温度データを見てみると、作業者の勘とコツによる設備の温度設定で製品表面温度がある一定の範囲に収まるように設定されていることが判明しました。
さらに、温度データと製品品質を紐づけて見てみると、この一定の温度範囲を外れた場合に不良品が発生していることも分かりました。
以上のことから、製品表面温度を一定範囲内に保つように設備温度条件を設定することで不良品の発生を抑制できる、という結果が得られます。
製品表面温度を一定に保つための理想の状態は、取得した温度データを設備にフィードバックし自動で設備温度設定を変更することですが、T社の事例では設備及びコストの関係上、自動での温度設定は見送りました。
その代わり、製造ライン各所に製品表面温度の測定結果を表示するモニターを設置して作業者が現在の製品表面温度を監視できるようにしました。
製品表面温度がリアルタイムに監視できることで、以前は勘と経験に頼っていた設備温度設定を、製品表面温度の実測データを基に設定できるようになり、作業者による品質の違いや不良品の発生を抑えることが可能となりました。
4.まとめ
以上のように、IoTと言ってもただデータを取得するだけでは意味がありません。
IoTで取得したデータから何を導き出すか、取得したデータをいかに活用するか、がIoT導入において重要といえるでしょう。
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