記事公開日:2023.03.17
最終更新日:2023.03.17
製造業DXの第一歩~RPAソフトの活用~
いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。
DXを社内に取り入れることは、教育面においてもシステム導入面においても投資対効果が見合うまでのリードタイムが1年~数年単位と長いため、様々なサイトに掲載されている記事のようにうまく行くことは稀であるというのが現状です。
しかし、そんな中でも近年は社内でDXを内製化できるようなソフトが価格を下げて市場に出てくるようになりました。それが「RPAソフト」です。
今回は、RPAソフトの実際の活用場面を例として挙げ、
① RPA構築の障壁の低さ
② RPA構築時に注意すべき事項
を説明していきます。
1.製造業におけるRPAソフト活用取組事例
A社では、システム(以下、別システム)を新たに導入したものの、基幹システムとのデータ連携において、すべて手作業で行っておりました。
基幹システム側をカスタマイズして、データ出力機能を追加する方法も検討したのですが、カスタマイズ費用と業務内容を比較すると費用対効果が見合わなく、仕方なく手作業で対応している状況でした。
実際に行っている作業は、大きく以下の5ステップです。
- i. 基幹システムへログイン
- ii. 必要な条件を選択してデータファイル出力
- iii. 別システムへログイン
- iv. データファイル入力
- v. データ更新
これを午前と午後で1日2回行っておりました。
本来ならば別システムのデータ更新は1時間に1回ほどのペースで更新したいが、手作業であるため実現することができず、別システムの機能も十分に活用できていない状況であったのですが、そこでRPAを活用することを提案し、実現に向けての取り組みを行うことになりました。
上記に記載したフローチャート整理と、ある程度の筋道さえできてしまえば、プログラミングの知識が全くない方でも、PC操作に抵抗のない方であれば、構築が出来るようになります。今回のプロジェクトの進め方では、業務ヒアリングからフローチャート整理、RPA構築のアドバイスのみで構築ができるようになりました。
この事例による効果は、RPA構築による対象業務効率化だけではなく、RPAを構築することができるという成功体験が副次的な効果となります。
アフターフォローとして、同じような業務の棚卸を行い、RPAによる構築ができないかを検討するところまで行います。
これにより、システム開発等は出来ないものの、RPAによる業務効率化が出来るDX人材の育成が完了する、という取り組みを現在行っております。
2.なぜRPA活用は障壁が低いのか
RPA活用の障壁の低さの理由は大きく2つあります。
1つ目は、前項で記載した事例ように、RPAはプログラミングのような大規模な専門知識を必要とせず、日本語や英語で記載されているパーツを組み立てるだけで構築できてしまうものであるためです。
さらに、最近のソフトでは、単純業務などの自動化に関しては、画面録画機能を使って自動で構築してしまうようなものもあるのです。
PC操作に抵抗のない方であれば、最短1日でRPAの構築が出来るようになることもあります。
2つ目は、単純業務自動化に特化している為です。
プログラミングは、規模の大きさに比例して、プログラミングによる業務効率化の価値が向上していきますが、規模の小さいシステム(単純業務や単純な計算作業等)においては開発対効果を発揮しにくい側面があります。
そのプログラミングの弱点のような部分を補足できるのがRPAとなるのです。
システム会社に依頼するほどでもないが、1日の業務の中で時間の占める割合が多い業務の自動化はRPAの活用を一度検討してみてください。
3.RPA構築時に注意すべき事項
今まで、RPAが如何に容易に構築することができるのかを説明してきましたが、1点注意すべき事項があります。
それは、管理者のいないRPAが業務に組み込まれないようにすることです。
管理者のいないRPAが業務に組み込まれてしまうと、作成者が不明となってしまうため、仮にRPAのカスタマイズや入れ替え等が必要になったときに対応できる人がいなくなってしまいます。
そのためRPA導入時には、作成者を明確にし、様々なRPAが構築されても一元で管理できるような体制を維持していくことが重要となります。
4.RPA構築時に注意すべき事項
中小企業では多くの場合システム課が無いため、社内DXという取り組みが出来ずにいることが多いですが、今回のRPAを使うことで、簡易社内DXが出来るようになります。
これをDXの第一歩として、様々な業務に対して効率化の糸口を見つけられるようになると、社内でDXの提案が出るような体制になると考えています。
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