記事公開日:2020.02.04
最終更新日:2023.01.20
産業用ロボット導入!自動化によって生産効率を高める5つのポイント
目次
1 はじめに
産業用ロボットで溶接や運搬、組立作業を自動化にしようと考えている企業様は多いかと思います。ただし、生産効率を高めるにはいくつかポイントがあります。従来の手作業による溶接の生産形態を踏襲していたのでは効果があまり見られません。そこで、今回はロボット導入する際に気を付けたいポイントをお伝えしたいと思います!
1.1 ロボット導入を前提にした生産システム全体の改革
まずは、産業用ロボットを導入する事を前提にした生産システム全体の改革が必要です。モノの流れや作業順序など溶接加工の上下流に当たる工程の改革をロボット導入による自動化と並行して行う事で、モノ作り全体の効率が高まり結果、他工程への改革に繋がっていく好循環のスパイラルに繋がっていきます。
溶接・塗装・運搬・組立を自動化する事で省人効果や熟練作業者の代替え等の直接的な効果にとどまらず、工場全体の変革に踏み込む事が大きな間接的効果を生み出すのではないでしょうか。
1.2 作業を分解して分析することでコスト削減
生産現場で感じる多くの課題から、産業用ロボットの導入を検討されていらっしゃる方は多く、既存の生産工程をそのままロボットに置き換えるイメージを持っている方も多いと思います。
しかし、ロボットを導入する過程では、ロボットで加工するモノのハンドリングや作業工程の分解が必要になります。既存の生産体制で何となく一連の工程として作業していても、自動化する際は切り分けて考えます。作業を細分化して可能な限り効率良い動作をロボットシステムで導入するのは、必然的に既存作業を一つ一つ分析しなおして最も効率良い方法を模索するという事なのです。
この既存作業を分解して分析する一連の作業そのものが、工場全体のモノの流れを整流化するために大事です。
作業要素を分解していく過程で、既存の生産方式では明確に定量化されて管理されていなかった寸法や性質、分量を調査する事で隠れていた無駄を発見出来れば、コスト削減につながり自動化に伴った間接的効果が出てきます。
1.3 自動化を前提としたロボットシステムを設計
ロボットによる自動化システムの稼働率や生産能力を最大限に発揮させるためには、同形状や類似形状品をグルーピングし、加工方法や運搬のステーション毎に自動化する事で生まれる効果(人工や生産性)を分析し、ステーション毎に必要な機能を備えた自動化システムを設計します。
上記の作業分解と効果分析があいまいなまま自動化システムを導入すると、逆に効率が悪化してしまいます。しっかりと既存の生産体制の作業を分析し、課題を見極めて自動化する対象行程の絞り込みを行えば、おのずと成果は上がります。一連の作業の改革を実行する事で、他工程の問題が見えるようになり、更に作業やコストの改善が進んで行くのではないでしょうか。
1.4 産業用ロボットのティーチングと操作性
産業用ロボットの操作性は自動化の効率を最大限高めている為に必要な要件です。一度自動化システムの導入が完了してもそれを維持する為や、より活用範囲を広げる為には時折人間の力が必要になってきます。
この時、経験の浅い人でも容易に動作を変更・追加できるソフトウェアを使用しているかというのは、非常に大きな要件です。
多品種・小ロット型の生産や、不定期で発生する加工部品のマイナーチェンジに生産現場が素早く対応出来る事が、長期間で自動化による経済効果を発揮する為に必要となりますので、自動化を検討する際は、ロボット制御のアプリケーションにも注目する必要があります。
基本的にロボットメーカー各社ではそれぞれのロボット対応のPRG編集ソフトウェアを開発しています。
しかし、こちらのソフトウェアは基本的にティーチングペンダントを用いて、ロボットに軌道や動作種別を教示していくものですので、それほど多機能なものではありません。
一度ティーチングしてしまえば数か月から数年変更が必要無いというような生産方式の場合は、上記のソフトウェアでも十分に対応可能と思いますが、高頻度で加工の仕様や形状の変更が起きる工程の自動化の場合は非常に対応が困難となってきます。
(ティーチングペンダントでのティーチングは、現場で実際の加工と突き合わせながら一つ一つ手でロボットを操作してPRGを作成していくので、一般的に非常に多くの工数が掛かります)
1.5 オフラインティーリングソフトウェアの活用
しかし現在、ロボットメーカー各社に対応している汎用の「オフラインティーチングソフトウェア」の開発が非常に進んできています。この「オフラインティーチングソフトウェア」の何が長所かというとPCを用いてシミュレーションを行いながらロボットの動作を決めていく事が出来る点です。
部品組み立て工程や運搬工程であれば、3D-CADを基にPC上で干渉回避を確認しながらロボットハンドの軌道を設定していけます。溶接工程であれば、加工物の3D-CADを基に溶接面の軌道や溶接条件などもほぼ自動でPRGを作成してくれます。
オフラインティーチングソフトウェアのメーカーも各社操作性を高める為に様々な工夫を施しており、まったく知識の無かった人でも数日間のトレーニングを受けて、実際に操作できる用になるレベルまで利便性は向上しています。今後もこの分野は更に進歩し、より簡単により早くにロボットティーチングが出来るようになってくると思われますので要チェックです。
2 まとめ
産業用ロボットを導入し最大限に効果を発揮する為には、
1. 既存作業の要素分解と各工程を自動化したときの経済効果を確認
2. 要素分解した作業毎の整備や定量化できていない要素を分析し、ムダを見つけ改善する
3. 自動化を前提とした最適なシステムの設計を行う。
4. 導入後の仕様方法や生産品種を検討した上でロボットティーチングの方法を決める。
5. 多品種生産やロボットティーチングの工数を削減したい場合は、オフラインティーチングソフトの導入も検討する。
上記により間接的にコスト改善効果や生産システム全体の見直しを図る事が肝要であると述べて来ました。人間の作業をロボットに置き換えるという局所的な見方ではなく、製造現場全体の改革のひとつの手段として産業用ロボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
本記事ではロボットとはどのような種類があるのかを簡単にまとめてきました。他の記事では、中小企業がロボット化を実現している事例なども紹介しておりますから、ロボット化をお考えの方のきっとお役に立つことと思います。是非一度、ご覧になって下さい。
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