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AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは?

2024.07.04

いつもご愛読いただきありがとうございます。 製造業における、製品の品質管理は企業の信頼性を担保する重要な要素ですが、従来の手作業による検査は効率面や品質の均一性において課題が残されているケースが多くあります。 本記事では、AIを活用した外観検査の自動化について、その効果を最大限に引き出す方法をご紹介いたします。 AI外観検査の基本的な概要から導入メリット、よくある誤解、導入プロセスやよくあるFAQまで詳しく解説いたします。 本記事をお読みいただくことで、AI外観検査の基礎から導入方法までを包括的に理解することができます。外観検査の効率化を検討中の企業様は、ぜひ最後までご一読ください。 1.AI外観検査とは? 外観検査は、製品が仕様通りの外観を保っているかを確認する工程です。品質管理において、外観検査は非常に重要です。まずは、AIを活用した外観検査について解説していきます。 1-1.AIとは AI(人工知能)とは、人間の知能を模倣し、データ解析や学習を行うシステムです。AIはディープラーニングなどの技術を活用して、大量のデータを解析し、人間と同等、あるいはそれ以上の精度で判断を行います。AI技術は医療、金融、製造業などさまざまな分野で利用されており、特に画像認識や不良検知の分野で高い精度を誇ります。 AIの歴史は1950年代にさかのぼります。当初は理論的な研究が主でしたが、現在では実用的な応用が進んでいます。2022年11月30日にはChatGPTがリリースされ、AIの実用性は加速的に高まっています。画像認識、音声認識、自然言語処理などの分野で大きな成果を上げており、製造業でもその適用範囲が広がっています。 1-2.AI外観検査とは AI外観検査は、製品の外観をAI技術を用いて自動的に検査する方法です。具体的には、カメラで撮影された画像をAIが解析し、不良箇所や不良を検出します。AIの学習方法にもよりますが、従来の目視検査やルールベースの画像検査と異なり、AI自体に不良データを学習させ、製品の良否判定をおこなわせることもできます。 AI外観検査は、特に大量生産をおこなっている工場で非常に有効です。例えば、自動車部品の製造ラインでは、毎分数百個の部品が生産されますが、このすべてを人間が目視で検査することは現実的ではありません。AI外観検査を導入することで、即時に大量の部品を検査することができ、生産性が大幅に向上します。 1-3.AI外観検査と従来の外観検査⼿法との違い 従来の目視検査は、人間の経験や勘に頼る部分が大きく、検査をおこなう人や、その人の状態などによって検査結果にばらつきが生じやすいという欠点があります。特に検査員が疲労している場合や、スキルにばらつきがある場合、不良品を見逃すリスクが高まります。これに対し、AI外観検査は一定の基準に従って一貫した検査を行うため、信頼性が高いと言えます。 また、従来の画像検査システムでは、あらかじめ決められたルールに基づいて不良を検知します。しかし、作業員の経験に頼るような、難易度の高い外観検査を自動化する場合は、不良のモデル化が困難であるという欠点がありました。AI外観検査は、機械学習アルゴリズムを使用してデータから学習をおこなうため、不良のモデル化が難しい、曖昧な不良パターンの自動化にも対応することができます。 AI外観検査の導入には初期コストがかかりますが、長期的に見れば検査の効率が向上し、不良品の減少によるコスト削減効果が期待できます。AI外観検査を導入することで、品質管理のレベルが向上し、製品の信頼性を高めることができます。 2.AI外観検査の2つのメリット AI外観検査には、以下の2つのメリットがあります。 ・省人化によるコスト削減と生産性向上 ・検査品質の向上と均一化 それぞれ詳しく見ていきましょう。 2-1.AI外観検査のメリット①:省人化によるコスト削減と生産性向上 AI外観検査を導入することで、人手による検査が不要となり、人件費の大幅な削減が可能です。時間や人手のかかっている作業を選定し、自動化することができれば、浮かせた工数分、人件費を削減することができます。また、製造ラインを24時間稼働させることもできるようになるため、さらなる生産性向上が期待できます。 さらに検査を自動化することで、検査員をより付加価値の高い業務に配置することが可能になります。例えば、生産ラインの監視や機械の保守、オペレーションの最適化など、より付加価値の高い業務に集中することができます。これにより、工場全体の生産性向上と効率化を図ることができます。 2-2.AI外観検査のメリット②:検査品質の向上と均一化 AI外観検査は、設定された基準に基づいて検査をおこないます。人間の疲労や主観によるばらつきを防ぎ、精度高く検査をおこなうことができます。 AI外観検査では、微細な不良や目に見えない欠陥を検出することができます。例えば、プリント基板の微細なクラックや汚れ、半導体チップの微細な不良など、人間の目では見逃しがちな不良を検出することができます。 3.AI外観検査の2つのデメリット AI外観検査には既存の検査方法にはないメリットがありますが、いくつかのデメリットや課題も存在します。 ・高コストの初期導入費用 ・データの質と量に依存 それぞれ詳しく見ていきましょう。 3-1.AI外観検査のデメリット①:高コストの初期導入費用 AI外観検査システムの導入に際しては、ハードウェア、ソフトウェア、AIモデルの開発費用などの初期投資が必要になります。特に、高度なAIモデルを構築するためには、大量のデータや専門的な知識が必要であり、その開発のためのリソースが求められます。中小企業にとっては、この初期投資が高額であり、導入をためらう要因になるケースがあります。 3-2.AI外観検査のデメリット②:データの質と量に依存 AI外観検査の精度は、学習に使用するデータの質と量に大きく依存します。適切なデータを収集し、正確にラベル付けすることが求められます。例えば、不良対象が上手く撮像できていない場合や、撮像データが数十データしかない場合、AIモデルの検査精度は低下し、誤検出や見逃しが発生するリスクが高まります。どんなに質の高いAIを活用しても、適切なデータを収集できていなければ、理想的な外観検査の自動化を実現することは難しいです。 4.「AIによる外観検査」でよくある誤解 AI外観検査の導入提案をしていく中で、残念ながらAIに対する誤解が見られることがあります。よくある例として、「AIは完全無欠であり、人間の介入なしで検査を自動化できる」と考えがちですが、これは誤りです。先ほど記載した通り、AIの精度は学習データに依存しているため、データの質や量が検査結果に影響します。また、環境の変化や新たな不良パターンに対応するための継続的な学習が必要です。さらに、重要な判断には人間の確認が求められることもあります。 例えば、ある自動車メーカーにおいて、学習データが偏っていたり、学習事項を適切に更新していなかったことから、AIが誤った不良検出を多発させた事例があります。AI外観検査システムは常に最新のデータに更新しながら、運用していくことが求められます。また、すべての不良をAIで検出できるわけではないため、特に複雑な検査結果には人間による最終確認が必要です。 5.よくある質問 次に、外観検査AIを導入する際によくある質問についてご紹介いたします。 5-1.AI外観検査の導入にはどのくらいのコストがかかりますか? 初期投資としては数百万円から数千万円が一般的です。具体的な費用は、検査対象の規模や求める精度、必要な機能、自動化によって削減できる人件費によっても異なります。費用対効果を考慮し、適切なシステムを選定することが重要です。 5-2.AI外観検査はどのような業界で導入されていますか? AI外観検査は製造業、自動車産業、食品産業、医薬品産業など、多岐にわたる業界で導入されています。特に製造業では、部品の表面検査や組み立て製品の最終検査などで使用され、高精度な検査結果と効率化が期待されています。 6.AIで外観検査をおこなうかどうか?以外の検討事項 6-1.AI以外の検討事項 検査工程を自動化する際は、AIで外観検査をおこなうかどうか?以外にもさまざまな検討事項があります。 例えば、 ・照射光:製品に赤/青/緑/白い光を当てるのか?紫外線を当てるのか? ・装置の位置:どの角度から光を照射するのか?どの位置から製品を撮像するのか? ・画像ソフト:機械学習をさせるのか?ルールベースで画像認識をさせるのか?AIを使う のか? ・カメラのスペック:どの程度の解像度のカメラが必要なのか ・タクトタイム:どのような仕様にすれば理想のタクトタイムが実現できるのか。カメラ の台数を増やすのか?より高速処理できる画像ソフトを使うのか?etc… 示した通り、画像検査を自動化する手法は非常に多岐に渡ります。一つ一つを精査し、自 社に合った適切な手法を検討することが重要です。 6-2.費用対効果の検討 技術的な部分と合わせて検討すべきは、費用対効果の検討です。 自動化といっても、うちは多品種過ぎて費用対効果が出ないのではないか…と考えている企業様もいらっしゃるかと思います。 これらは、自動化品種や検査ラインの組み方、画像処理の方法を工夫することで、多品種でも費用対効果の出る自動化を実現できる可能性があります。 ロボットなどでワーク投入などを自動化させる際は、原則一つのティーチングにおいて一 つの製品のみを自動化させることができます。 一つ一つの品種に対してそれぞれティーチングを行う必要があるので、品種追加をしよう とすると非常に工数がかかってしまいます。 しかし、外観検査においては、厳密には異なる品種でも、同じ製造ラインにて自動化をお こなうことができます。 これは、外観検査の際に製品に対しておこなう動作が“撮像”であることに起因していま す。 製品がカメラの画角に収まっていれば、さまざまな不良データを学習させたり、照射する 光の角度や種類を変えることで、同一ラインにて多品種製品の自動化をおこなうことがで きます。 品種選定、検査ラインの組み方、画像処理方法などをしっかりと精査することで、費用対効果の出る自動化を実現しましょう。 7.まとめ AI外観検査は、外観検査の自動化と品質向上に大きく寄与する技術です。 省人化によるコスト削減、検査品質の向上など、多くのメリットがあります。 一方で、導入前には詳細な検討をおこない、実際に費用対効果が出る形で導入を進めていく必要があります。 船井総研では、AI外観検査の自動化コンサルティングをおこなっております。要件定義から機器選定、補助金活用~導入後の運用支援まで、一貫して導入のお手伝いをさせていただいております。 ご興味のある方は以下の無料経営相談をご活用ください。画像検査専門のコンサルタントが対応させていただきます。 ⇒経営相談はこちら いつもご愛読いただきありがとうございます。 製造業における、製品の品質管理は企業の信頼性を担保する重要な要素ですが、従来の手作業による検査は効率面や品質の均一性において課題が残されているケースが多くあります。 本記事では、AIを活用した外観検査の自動化について、その効果を最大限に引き出す方法をご紹介いたします。 AI外観検査の基本的な概要から導入メリット、よくある誤解、導入プロセスやよくあるFAQまで詳しく解説いたします。 本記事をお読みいただくことで、AI外観検査の基礎から導入方法までを包括的に理解することができます。外観検査の効率化を検討中の企業様は、ぜひ最後までご一読ください。 1.AI外観検査とは? 外観検査は、製品が仕様通りの外観を保っているかを確認する工程です。品質管理において、外観検査は非常に重要です。まずは、AIを活用した外観検査について解説していきます。 1-1.AIとは AI(人工知能)とは、人間の知能を模倣し、データ解析や学習を行うシステムです。AIはディープラーニングなどの技術を活用して、大量のデータを解析し、人間と同等、あるいはそれ以上の精度で判断を行います。AI技術は医療、金融、製造業などさまざまな分野で利用されており、特に画像認識や不良検知の分野で高い精度を誇ります。 AIの歴史は1950年代にさかのぼります。当初は理論的な研究が主でしたが、現在では実用的な応用が進んでいます。2022年11月30日にはChatGPTがリリースされ、AIの実用性は加速的に高まっています。画像認識、音声認識、自然言語処理などの分野で大きな成果を上げており、製造業でもその適用範囲が広がっています。 1-2.AI外観検査とは AI外観検査は、製品の外観をAI技術を用いて自動的に検査する方法です。具体的には、カメラで撮影された画像をAIが解析し、不良箇所や不良を検出します。AIの学習方法にもよりますが、従来の目視検査やルールベースの画像検査と異なり、AI自体に不良データを学習させ、製品の良否判定をおこなわせることもできます。 AI外観検査は、特に大量生産をおこなっている工場で非常に有効です。例えば、自動車部品の製造ラインでは、毎分数百個の部品が生産されますが、このすべてを人間が目視で検査することは現実的ではありません。AI外観検査を導入することで、即時に大量の部品を検査することができ、生産性が大幅に向上します。 1-3.AI外観検査と従来の外観検査⼿法との違い 従来の目視検査は、人間の経験や勘に頼る部分が大きく、検査をおこなう人や、その人の状態などによって検査結果にばらつきが生じやすいという欠点があります。特に検査員が疲労している場合や、スキルにばらつきがある場合、不良品を見逃すリスクが高まります。これに対し、AI外観検査は一定の基準に従って一貫した検査を行うため、信頼性が高いと言えます。 また、従来の画像検査システムでは、あらかじめ決められたルールに基づいて不良を検知します。しかし、作業員の経験に頼るような、難易度の高い外観検査を自動化する場合は、不良のモデル化が困難であるという欠点がありました。AI外観検査は、機械学習アルゴリズムを使用してデータから学習をおこなうため、不良のモデル化が難しい、曖昧な不良パターンの自動化にも対応することができます。 AI外観検査の導入には初期コストがかかりますが、長期的に見れば検査の効率が向上し、不良品の減少によるコスト削減効果が期待できます。AI外観検査を導入することで、品質管理のレベルが向上し、製品の信頼性を高めることができます。 2.AI外観検査の2つのメリット AI外観検査には、以下の2つのメリットがあります。 ・省人化によるコスト削減と生産性向上 ・検査品質の向上と均一化 それぞれ詳しく見ていきましょう。 2-1.AI外観検査のメリット①:省人化によるコスト削減と生産性向上 AI外観検査を導入することで、人手による検査が不要となり、人件費の大幅な削減が可能です。時間や人手のかかっている作業を選定し、自動化することができれば、浮かせた工数分、人件費を削減することができます。また、製造ラインを24時間稼働させることもできるようになるため、さらなる生産性向上が期待できます。 さらに検査を自動化することで、検査員をより付加価値の高い業務に配置することが可能になります。例えば、生産ラインの監視や機械の保守、オペレーションの最適化など、より付加価値の高い業務に集中することができます。これにより、工場全体の生産性向上と効率化を図ることができます。 2-2.AI外観検査のメリット②:検査品質の向上と均一化 AI外観検査は、設定された基準に基づいて検査をおこないます。人間の疲労や主観によるばらつきを防ぎ、精度高く検査をおこなうことができます。 AI外観検査では、微細な不良や目に見えない欠陥を検出することができます。例えば、プリント基板の微細なクラックや汚れ、半導体チップの微細な不良など、人間の目では見逃しがちな不良を検出することができます。 3.AI外観検査の2つのデメリット AI外観検査には既存の検査方法にはないメリットがありますが、いくつかのデメリットや課題も存在します。 ・高コストの初期導入費用 ・データの質と量に依存 それぞれ詳しく見ていきましょう。 3-1.AI外観検査のデメリット①:高コストの初期導入費用 AI外観検査システムの導入に際しては、ハードウェア、ソフトウェア、AIモデルの開発費用などの初期投資が必要になります。特に、高度なAIモデルを構築するためには、大量のデータや専門的な知識が必要であり、その開発のためのリソースが求められます。中小企業にとっては、この初期投資が高額であり、導入をためらう要因になるケースがあります。 3-2.AI外観検査のデメリット②:データの質と量に依存 AI外観検査の精度は、学習に使用するデータの質と量に大きく依存します。適切なデータを収集し、正確にラベル付けすることが求められます。例えば、不良対象が上手く撮像できていない場合や、撮像データが数十データしかない場合、AIモデルの検査精度は低下し、誤検出や見逃しが発生するリスクが高まります。どんなに質の高いAIを活用しても、適切なデータを収集できていなければ、理想的な外観検査の自動化を実現することは難しいです。 4.「AIによる外観検査」でよくある誤解 AI外観検査の導入提案をしていく中で、残念ながらAIに対する誤解が見られることがあります。よくある例として、「AIは完全無欠であり、人間の介入なしで検査を自動化できる」と考えがちですが、これは誤りです。先ほど記載した通り、AIの精度は学習データに依存しているため、データの質や量が検査結果に影響します。また、環境の変化や新たな不良パターンに対応するための継続的な学習が必要です。さらに、重要な判断には人間の確認が求められることもあります。 例えば、ある自動車メーカーにおいて、学習データが偏っていたり、学習事項を適切に更新していなかったことから、AIが誤った不良検出を多発させた事例があります。AI外観検査システムは常に最新のデータに更新しながら、運用していくことが求められます。また、すべての不良をAIで検出できるわけではないため、特に複雑な検査結果には人間による最終確認が必要です。 5.よくある質問 次に、外観検査AIを導入する際によくある質問についてご紹介いたします。 5-1.AI外観検査の導入にはどのくらいのコストがかかりますか? 初期投資としては数百万円から数千万円が一般的です。具体的な費用は、検査対象の規模や求める精度、必要な機能、自動化によって削減できる人件費によっても異なります。費用対効果を考慮し、適切なシステムを選定することが重要です。 5-2.AI外観検査はどのような業界で導入されていますか? AI外観検査は製造業、自動車産業、食品産業、医薬品産業など、多岐にわたる業界で導入されています。特に製造業では、部品の表面検査や組み立て製品の最終検査などで使用され、高精度な検査結果と効率化が期待されています。 6.AIで外観検査をおこなうかどうか?以外の検討事項 6-1.AI以外の検討事項 検査工程を自動化する際は、AIで外観検査をおこなうかどうか?以外にもさまざまな検討事項があります。 例えば、 ・照射光:製品に赤/青/緑/白い光を当てるのか?紫外線を当てるのか? ・装置の位置:どの角度から光を照射するのか?どの位置から製品を撮像するのか? ・画像ソフト:機械学習をさせるのか?ルールベースで画像認識をさせるのか?AIを使う のか? ・カメラのスペック:どの程度の解像度のカメラが必要なのか ・タクトタイム:どのような仕様にすれば理想のタクトタイムが実現できるのか。カメラ の台数を増やすのか?より高速処理できる画像ソフトを使うのか?etc… 示した通り、画像検査を自動化する手法は非常に多岐に渡ります。一つ一つを精査し、自 社に合った適切な手法を検討することが重要です。 6-2.費用対効果の検討 技術的な部分と合わせて検討すべきは、費用対効果の検討です。 自動化といっても、うちは多品種過ぎて費用対効果が出ないのではないか…と考えている企業様もいらっしゃるかと思います。 これらは、自動化品種や検査ラインの組み方、画像処理の方法を工夫することで、多品種でも費用対効果の出る自動化を実現できる可能性があります。 ロボットなどでワーク投入などを自動化させる際は、原則一つのティーチングにおいて一 つの製品のみを自動化させることができます。 一つ一つの品種に対してそれぞれティーチングを行う必要があるので、品種追加をしよう とすると非常に工数がかかってしまいます。 しかし、外観検査においては、厳密には異なる品種でも、同じ製造ラインにて自動化をお こなうことができます。 これは、外観検査の際に製品に対しておこなう動作が“撮像”であることに起因していま す。 製品がカメラの画角に収まっていれば、さまざまな不良データを学習させたり、照射する 光の角度や種類を変えることで、同一ラインにて多品種製品の自動化をおこなうことがで きます。 品種選定、検査ラインの組み方、画像処理方法などをしっかりと精査することで、費用対効果の出る自動化を実現しましょう。 7.まとめ AI外観検査は、外観検査の自動化と品質向上に大きく寄与する技術です。 省人化によるコスト削減、検査品質の向上など、多くのメリットがあります。 一方で、導入前には詳細な検討をおこない、実際に費用対効果が出る形で導入を進めていく必要があります。 船井総研では、AI外観検査の自動化コンサルティングをおこなっております。要件定義から機器選定、補助金活用~導入後の運用支援まで、一貫して導入のお手伝いをさせていただいております。 ご興味のある方は以下の無料経営相談をご活用ください。画像検査専門のコンサルタントが対応させていただきます。 ⇒経営相談はこちら

10分でわかる基幹システムの再構築ステップ

2024.07.04

業務効率化、コスト削減、リアルタイムデータの活用など、多くの企業がヒト・モノ・カネの流れを一元管理して可視化するために基幹システムを導入しています。 しかし、基幹システムの導入は必ずしも成功に繋がるわけではありません。 本来の目的を達成できず、中途半端な状態で運用されている事例も少なくありません。 本コラムでは、既存の基幹システムを刷新せずに再構築する際の成功のための具体的なポイントを探ります。 1.導入失敗の原因 まず、なぜ多くの企業が基幹システムの導入に失敗するのか、その原因を探ることから始めましょう。 主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。 ①経営陣のサポート不足 経営陣がプロジェクトに対して十分な理解とサポートができていない場合、プロジェクトが円滑に進まないことがよく起こります。 経営陣の強い想いと覚悟が従業員にうまく伝わっていなかったり、プロジェクトチームへのサポートが欠如していると、予算の確保や意思決定の遅延などに繋がり、その結果プロジェクト全体が停滞したり迷走してしまいます。 ②本来の目的を見失う プロジェクトが進行するうちに、初期の目的や目標を見失うことがよくあります。 特に、ユーザーの声に対して過度に反応しすぎることで、本来の目的から逸脱した機能追加や変更が行われるケースがあります。 このような迷走を避けるためには、常にプロジェクトの基本方針を確認し、目的を見失わないようにすることが重要です。 ③社内合意形成の不足 基幹システムの導入は会社全体の大きな変革をもたらします。 会社全体の動きを適切に捉えるために業務フローを変えなければならないことも生じます。 そのため、全てのステークホルダー間でしっかりと合意形成を行うことが不可欠です。 しかし、これが不十分な場合、部署ごとに異なる期待を持ち、部分最適がぶつかり合い、結果的にシステムが各部門のニーズを満たさなくなることがしばしばあります。 ④要件定義の不備 要件定義が不十分であると、後々のトラブルの原因となります。 具体的なニーズや要件が明確にならないままプロジェクトが進行すると、完成したシステムが実際の業務に適さないものとなる可能性が高くなります。 このような原因で基幹システムをうまく機能させることができていない企業も多いのではないでしょうか。 次に再構築の計画立案について詳しく解説します。 2.再構築の計画立案 基幹システム再構築にチャレンジする際、過去の経験を反省材料として次のステップに活かすことが重要です。 再構築に向けては、以下のステップをしっかりと計画立案することが求められます。 ①プロジェクトチーム結成 基幹システム再構築の成功には、まず経営陣から現場までのすべてのステークホルダーを巻き込んだ強力なプロジェクトチームの結成が不可欠です。 経営陣の強い想いと覚悟をプロジェクトメンバー内で共有します。 ②目的確認 プロジェクトチームが行う最初のステップは、本来の目的を明確に確認することです。 具体的な目的としては、月次決算の早期化、在庫の適正化、個別原価の把握などが挙げられます。 これらの目的を明確にすることで、プロジェクト全体の透明性と信頼性が大いに向上します。 再構築プロジェクトの目的を明確化し、その目的に対する全体の合意を形成します。 このプロセスは、プロジェクトメンバー全員が共通の目標を持ち、一体感を持って取り組むために欠かせません。 明確に定義された目的は、プロジェクトの進行過程での優先順位付けや意思決定において重要な指針となります。 ③現状分析 本来の目的が達成できていない原因を徹底的に洗い出します。 どこに改良が必要なのか、どの部分が再構築の対象になるのかを明確にします。 特に、システムの問題だけでなく、組織的な役割分担や業務フローの課題にも目を向けることが重要です。 各部門のニーズや課題をヒアリングし、全社的な視点で改善ポイントを洗い出します。 ④ステップアッププラン策定 基幹システム再構築の本来の目的を見据え、個々の目標と優先順位を明確に設定します。 一度にすべてを改善するのは難しいため、優先順位をつけて一つずつステップアップしていくことが重要です。 このアプローチは、各部署間の衝突を回避しつつ、全体としての本来の目的に到達するために効果的です。 ⑤要件定義と業務フロー再構築 比較的新しい既存システムの再構築の場合、システム改修は必要最小限にとどめることが重要です。 多くの場合、問題の根本はシステムではなく、組織の役割分担や業務フロー、マスター設計や設定にあります。 現場の業務が滞りなく進むよう、入力支援ツールや設備IoTの活用、BIツールを使った効率的なレポート出力も検討しましょう。 これにより、具体的な改修要件と業務フローが明確になります。 ⑥設計・開発 この段階では、要件定義に基づき具体的な設計と開発作業を行います。 まず、基幹システムの改修を行い、次に業務支援ツールの開発に取り組みます。 同時に、マスターの再設計と再設定も非常に重要です。 これにより、システム全体がより効率的かつ効果的に機能するようになります。 ⑦テスト・シミュレーション 開発が完了したら、順次テストとシミュレーションを実施してシステムの精度を確認します。 また、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、操作性や機能性を継続的に改善します。 この段階でのポイントは、既に稼働しているシステムを利用した現実的なテスト環境を整え、実際の運用条件に近い設定でシミュレーションを行うことです。 これにより、導入後の問題発生を最小限に抑えることができます。 ⑧稼働・運用定着 最後に、新しいシステムを稼働させ、運用が定着するまでのプロセスを丁寧に管理します。 現行システム再構築の場合、操作に慣れている面もありますが、本来の目的を達成するための新しいマスターと業務フローへのスムーズな移行が不可欠です。 このため、移行スケジュールを詳細に計画し、全社員が新業務に適応できる環境を整備します。 例えば、適切な作業手順書を用意し、全社一丸となったサポート体制を築くことが重要です。 そして、システム稼働後も運用の安定を支えるために継続的なサポート体制を整えます。 定期的なトレーニングやフィードバックの仕組みを導入することで、持続的な改善を実現します。 このように、しっかりと計画立案を行うことで、基幹システム再構築の成功確率を大いに高めることができます。 3.まとめ 基幹システムの再構築は簡単なプロジェクトではありません。 特に多くのステークホルダー間での合意形成が大きな課題となります。 しかし、経営陣の強いサポート、プロジェクトチームによる目的の周知徹底、綿密な計画立案、継続的なテストとフィードバック、そして強固なサポート体制を整えることで、再構築の成功率を大いに高めることができます。 これにより、業務効率の向上、コスト削減、新たなビジネスチャンスの創出といった具体的な利点が期待できます。 是非、積極的にこれらの戦略を実行に移し、企業のさらなる成長と発展を目指していただきたいと思います。 ■関連するセミナーのご案内 製造業の基幹システムリニューアル&再構築戦略! 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売り上げも収益も上げる営業変革のポイントとは

2024.07.01

1.はじめに いつも大変お世話になっております。船井総合研究所の高階と申します。 今回のコラムでは、様々なお客様からご要望があった“業績向上に繋がる“営業改革の取り組みについてご紹介したいと思います。 私は基幹システムを中心にした業務改革の支援を中心に活動しているのですが、実は営業に関する改善支援も多く行っています。 規模は中小、中堅、大手と様々なお客様とお話をしていますが、実は悩みは似通っていることが多いです。 支援先の営業管理者・担当者の皆様の悩みを聞くたびに、私も営業出身だったという事もあり首が取れそうなほど頷いてしまいます。 少し、例を挙げてみようと思います。 皆様の会社ではどうでしょうか。 営業は事務処理に追われている。管理者側はもっと営業活動に時間を使ってほしいと要望を出しているが、現場は無茶な要求だと感じているようで動きが悪い 営業日報や週報を書いてもらっているが、担当者によって記載される内容粒度に差がある。まとめ書き・まとめて提出なども横行しており、意味を為していない 営業所や事業部によって使用している営業管理システムが違うため、統括する部署からすると参照先が複数あるなど管理が煩雑 営業管理システムを入れてはみたが、業績が上がらなかった。現在はちゃんと使われているか不明 案件の進捗は属人的な管理になっている。エクセルで一覧管理するなどしてはいるが、更新が随時行われているわけではないため、詳しくは直接聞くしかない 既存のお客様との関係構築が最重要課題だが、顧客情報や商談履歴、見積もり履歴などは担当者別に管理している状況の為、ブラックボックス化している 営業指標の確認をもっと簡単に行いたい。時間もかかる上に、複雑すぎるように感じる …etc. DXというワードが飛び交っている現在でも、企業規模や悩みの大きさこそ違えど、どの企業も似たような悩みを持っているのだな、というのが私の感想です。 2.「Excel依存」「属人化」のリスク回避に成功した製造業の事例 上記のような課題を少しマクロな目線でまとめてみます。 オープンにするべき情報のブラックボックス化(営業活動の属人化) 既存業務をスクラップ&ビルドできていない(業務負荷・分担) 営業情報や重要指標が簡単に確認できないため、マネジメント不全が起きている(情報共有) 部分的なデジタル化の弊害による二重・三重入力(業務効率) などが挙げられると考えています。 こういった課題は、特に複数事業部や複数営業所(営業部)を持つ企業では深刻になりがちです。 そもそも日本では事業部制を取る企業が多く、縦割りが強い企業が多いです。 部門によって導入しているツールが違う、案件のまとめ方も案件のステージ定義も営業の進め方も標準化されていない、目標指標の立て方も管理方法も報告内容も統一されていない、といったケースは珍しくありません。 同じ会社にもかかわらず中小企業がいくつも集まっているような状況になってしまい、前述の課題を加速させてしまっているわけです。 また、こういった問題を解決すべく、営業管理システム(SFA,CRM,MA)を導入されている会社様も近年は非常に多いのですが、正直中々上手くいっていない、というのが現状です。 営業管理システムの導入というのは、営業活動を1つのデータベースにまとめ、営業活動や顧客情報をオープンに管理しようという事です。これ自体は非常に素晴らしい判断だと言えます。 しかし、実際は中々定着せずに徐々に使われなくなっていき、結局業績向上に繋がっていないケースが非常に多いのです。 先ほど挙げた4つの課題と照らし合わせれば理由は明白なのですが、既存業務の整理が終わっていないことで、新しい業務が受け入れづらい(現場の負担が純粋に増える)こと、そして、そもそもこの独立色の強い縦割りの社内環境を変革できていないことが成功していない要因だと私は考えています。 では、どうすれば業績に繋がる活動になるのでしょうか? 3.どうすれば業績に繋がる活動になるのか SalesForce社のTheModelというのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。定量的に営業活動を管理し、マネジメントするポイントを明確にすることで業績向上、顧客満足度の向上に繋げましょう、という考え方です。 この考え方はシンプルながら、いままで感覚的に行われてきた営業マネジメントに一石を投じる考え方でした。 これを行うには定量的なデータが必要ですから、営業活動を一つのデータベースにまとめよう、という営業管理システムは売れに売れました。 この営業を定量的に管理する手法には私も賛成なのですが、様々な支援をする中でこれだけでは不十分であると感じています。 前述の通り、営業管理システムを単独で通常の業務にプラスオンする形で導入してしまうとほぼ上手くいきません。 導入はともかく、活用するまでに至らず、業績に繋がらないばかりかむしろ生産性を下げてしまいかねないというわけです。 私としては、現状業務の非効率性や、他で導入しているシステムとの連携といった業務効率改善(ツールを使えるような土壌整理)を基本としたうえで、しっかりと“活用”と“改善活動”に焦点を当てたツールの選定と導入をおススメします。 こういった準備を進めるなかで、是非重要視していただきたいのが“生産効率”についてです。 TheModelは売り上げを上げるために必要な要素をちゃんとマネジメントしよう、という考え方ですが、同じ売り上げを上げるのにどれだけの労力を割いているのか、という点に注目していただきたいという事です。 繰り返し作業(定型業務) 二重三重入力 戻り作業と修正業務 無駄な待ち時間 習慣的な業務(昔は重要だったが、今はさほど重要性が高くない) 恐らくこういった事が工数を最適化するにあたっての課題として思い浮かぶのではないでしょうか。 今はRPAやAIといった自動化に繋がる技術や、生成AIのようなツールも多く出てきています。 こういったものも検討しつつ、無駄のない、あるべき業務フローを検討することが営業を効率化させるために絶対的に必要な要素だと私は考えています。 4.どうすれば業績に繋がる活動になるのか さて、今回はどうすれば“業績向上”につながる営業変革ができるのか、という事をお話してきました。 7月の9,10、18日の3日間、今回のコラムのように、営業変革をテーマにセミナーを開催予定です。 もう少し詳細な現在のトレンドの紹介、成功されている企業様の具体的な取り組み事例などをご紹介させていただきます。 今回のセミナーには無料の相談ミーティングも付いてきますので、その場では皆様個別に抱えている課題などに対してもアドバイスが出来るかと思います。 また、最後に少し触れたAI技術の営業活用についても多くご紹介させていただきますので、ご興味のある方は是非ご参加いただければと思います。 ■関連するセミナーのご案内 複数事業部&複数営業所を持つ製造業・商社のためのDX 営業マン20人以上、異なる3事業部以上、営業所3拠点以上を展開する製造業・商社のDXとは? セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115062 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115062 1.はじめに いつも大変お世話になっております。船井総合研究所の高階と申します。 今回のコラムでは、様々なお客様からご要望があった“業績向上に繋がる“営業改革の取り組みについてご紹介したいと思います。 私は基幹システムを中心にした業務改革の支援を中心に活動しているのですが、実は営業に関する改善支援も多く行っています。 規模は中小、中堅、大手と様々なお客様とお話をしていますが、実は悩みは似通っていることが多いです。 支援先の営業管理者・担当者の皆様の悩みを聞くたびに、私も営業出身だったという事もあり首が取れそうなほど頷いてしまいます。 少し、例を挙げてみようと思います。 皆様の会社ではどうでしょうか。 営業は事務処理に追われている。管理者側はもっと営業活動に時間を使ってほしいと要望を出しているが、現場は無茶な要求だと感じているようで動きが悪い 営業日報や週報を書いてもらっているが、担当者によって記載される内容粒度に差がある。まとめ書き・まとめて提出なども横行しており、意味を為していない 営業所や事業部によって使用している営業管理システムが違うため、統括する部署からすると参照先が複数あるなど管理が煩雑 営業管理システムを入れてはみたが、業績が上がらなかった。現在はちゃんと使われているか不明 案件の進捗は属人的な管理になっている。エクセルで一覧管理するなどしてはいるが、更新が随時行われているわけではないため、詳しくは直接聞くしかない 既存のお客様との関係構築が最重要課題だが、顧客情報や商談履歴、見積もり履歴などは担当者別に管理している状況の為、ブラックボックス化している 営業指標の確認をもっと簡単に行いたい。時間もかかる上に、複雑すぎるように感じる …etc. DXというワードが飛び交っている現在でも、企業規模や悩みの大きさこそ違えど、どの企業も似たような悩みを持っているのだな、というのが私の感想です。 2.「Excel依存」「属人化」のリスク回避に成功した製造業の事例 上記のような課題を少しマクロな目線でまとめてみます。 オープンにするべき情報のブラックボックス化(営業活動の属人化) 既存業務をスクラップ&ビルドできていない(業務負荷・分担) 営業情報や重要指標が簡単に確認できないため、マネジメント不全が起きている(情報共有) 部分的なデジタル化の弊害による二重・三重入力(業務効率) などが挙げられると考えています。 こういった課題は、特に複数事業部や複数営業所(営業部)を持つ企業では深刻になりがちです。 そもそも日本では事業部制を取る企業が多く、縦割りが強い企業が多いです。 部門によって導入しているツールが違う、案件のまとめ方も案件のステージ定義も営業の進め方も標準化されていない、目標指標の立て方も管理方法も報告内容も統一されていない、といったケースは珍しくありません。 同じ会社にもかかわらず中小企業がいくつも集まっているような状況になってしまい、前述の課題を加速させてしまっているわけです。 また、こういった問題を解決すべく、営業管理システム(SFA,CRM,MA)を導入されている会社様も近年は非常に多いのですが、正直中々上手くいっていない、というのが現状です。 営業管理システムの導入というのは、営業活動を1つのデータベースにまとめ、営業活動や顧客情報をオープンに管理しようという事です。これ自体は非常に素晴らしい判断だと言えます。 しかし、実際は中々定着せずに徐々に使われなくなっていき、結局業績向上に繋がっていないケースが非常に多いのです。 先ほど挙げた4つの課題と照らし合わせれば理由は明白なのですが、既存業務の整理が終わっていないことで、新しい業務が受け入れづらい(現場の負担が純粋に増える)こと、そして、そもそもこの独立色の強い縦割りの社内環境を変革できていないことが成功していない要因だと私は考えています。 では、どうすれば業績に繋がる活動になるのでしょうか? 3.どうすれば業績に繋がる活動になるのか SalesForce社のTheModelというのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。定量的に営業活動を管理し、マネジメントするポイントを明確にすることで業績向上、顧客満足度の向上に繋げましょう、という考え方です。 この考え方はシンプルながら、いままで感覚的に行われてきた営業マネジメントに一石を投じる考え方でした。 これを行うには定量的なデータが必要ですから、営業活動を一つのデータベースにまとめよう、という営業管理システムは売れに売れました。 この営業を定量的に管理する手法には私も賛成なのですが、様々な支援をする中でこれだけでは不十分であると感じています。 前述の通り、営業管理システムを単独で通常の業務にプラスオンする形で導入してしまうとほぼ上手くいきません。 導入はともかく、活用するまでに至らず、業績に繋がらないばかりかむしろ生産性を下げてしまいかねないというわけです。 私としては、現状業務の非効率性や、他で導入しているシステムとの連携といった業務効率改善(ツールを使えるような土壌整理)を基本としたうえで、しっかりと“活用”と“改善活動”に焦点を当てたツールの選定と導入をおススメします。 こういった準備を進めるなかで、是非重要視していただきたいのが“生産効率”についてです。 TheModelは売り上げを上げるために必要な要素をちゃんとマネジメントしよう、という考え方ですが、同じ売り上げを上げるのにどれだけの労力を割いているのか、という点に注目していただきたいという事です。 繰り返し作業(定型業務) 二重三重入力 戻り作業と修正業務 無駄な待ち時間 習慣的な業務(昔は重要だったが、今はさほど重要性が高くない) 恐らくこういった事が工数を最適化するにあたっての課題として思い浮かぶのではないでしょうか。 今はRPAやAIといった自動化に繋がる技術や、生成AIのようなツールも多く出てきています。 こういったものも検討しつつ、無駄のない、あるべき業務フローを検討することが営業を効率化させるために絶対的に必要な要素だと私は考えています。 4.どうすれば業績に繋がる活動になるのか さて、今回はどうすれば“業績向上”につながる営業変革ができるのか、という事をお話してきました。 7月の9,10、18日の3日間、今回のコラムのように、営業変革をテーマにセミナーを開催予定です。 もう少し詳細な現在のトレンドの紹介、成功されている企業様の具体的な取り組み事例などをご紹介させていただきます。 今回のセミナーには無料の相談ミーティングも付いてきますので、その場では皆様個別に抱えている課題などに対してもアドバイスが出来るかと思います。 また、最後に少し触れたAI技術の営業活用についても多くご紹介させていただきますので、ご興味のある方は是非ご参加いただければと思います。 ■関連するセミナーのご案内 複数事業部&複数営業所を持つ製造業・商社のためのDX 営業マン20人以上、異なる3事業部以上、営業所3拠点以上を展開する製造業・商社のDXとは? 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「Excel依存」「属人化」の放置に潜む3つのリスク

2024.07.01

1.「Excel依存」「属人化」の放置に潜む3つのリスクとは? 今回は製造業の現場で問題となっている 「Excel依存」と「属人化」に関するリスクについてご紹介いたします。 これらの問題を放置すると、 企業全体の効率や信頼性に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 以下に、その具体的なリスクを3つに分けて解説させていただきます。 1. データの一貫性と信頼性の低下 Excelは手軽に使用できる反面、手動によるデータ入力や加工が多くなります。 そのため、入力ミスや計算ミスが発生しやすく、データの一貫性や信頼性が低下するリスクがあります。 特に製造業では、正確なデータが製品品質や生産効率に直結するため、 このようなミスは重大なトラブルを引き起こす可能性があります。 2. 業務の非効率化とブラックボックス化 属人化が進むと、特定の社員だけが業務の詳細を把握している状態が生まれます。 この状況は「業務のブラックボックス化」を招き、 その社員が休暇や退職した場合に、 業務の引き継ぎがスムーズに行えなくなります。 結果として、業務が遅延し、全体の効率が低下するリスクが高まります。 3. システムの老朽化と技術負債の累積 長期間にわたりExcelに依存したシステムを使用していると、 次第にそれが古くなり、システム自体の更新が困難になるケースが増えます。 この「技術負債」が蓄積されると、今後のシステム拡張や改善が難しくなり、 企業自体の成長を妨げる大きな障害となります。 上記のリスクを避けるためには、 はじめに「自社の業務プロセス・業務ルールの見直し」が不可欠です。 その上で、クラウドベースのERPシステムや専用の製造業向けソフトウェアを導入することで、 これらの問題を大幅に軽減できます。 また、社員間での情報共有を積極的に行い、業務の属人化を防ぐことも重要です。 ここで、「Excel依存」と「属人化」の回避に成功した企業様の概要ならびに 取り組みのBefore/Afterについて、簡単にご紹介したいと思います。 2.「Excel依存」「属人化」のリスク回避に成功した製造業の事例 <成功企業様の概要> 本社:岩手県花巻市 主な事業:電動ドライバー用「自動ネジ・ボルト・ナット保持装置」の開発と製品販売 従業員数(直近):10 名台 一元管理システム導入のBefore/After 【Before(システム導入前の状態と主な課題)】 ①既存システムとExcelにおいて二重三重入力が発生している。 ②現場担当者がそれぞれ異なるフォーマットのExcelや紙伝票を使用している。 ③設計データと既存システムがバラバラに管理されている。 ④発注は在庫を見て感覚で発注している。 ⑤製品に紐づく材料費・労務費・経費等の「製品別原価」が十分に管理できていない。 ⑥在庫の把握は毎月の棚卸で把握している。 ⑦月末在庫金額の計算もExcel上で計算しており、Excelのメンテナンスが必要。 ⑧社内資料は複数Excelを合算して作成している。 ⑨システム運用ルールが明確でない。 【After(システム導入後の主な効果)】 ①各種データを一元化&二重三重入力を排除し業務を効率化! ②ERP導入をきっかけに、既存のExcelや既存伝票の見直し・標準化・効率化を推進! ③設計データとERPを(手動)連携することで、BOMと原価が見える化! ④システムにて発注数を計算。自動発注が可能に! ⑤「製品別の個別原価管理」が可能に! ⑥システム内で理論在庫の把握が可能に! ⑦在庫金額もシステムにて自動計算が可能に! ⑧ボタン1つでデータ出力が可能に! ⑨ERP導入をきっかけに運用ルールを定めることで、誰でも同じ作業が出来るように!(標準化/属人化の排除) 上記の取り組み全体を通して、 元々はバラバラのExcelを駆使して販売・購買・在庫・生産・会計等を管理していたが、全社一丸となりシステムによる統合一元管理を実現した ERPシステム(業務の一元管理システム)の導入を通じて「脱・Excel管理」「脱・紙伝票管理」を実現した という成果をあげることができました。 では、なぜこのような成果をあげることができたのでしょうか? ここまでお読みいただいた皆様の中には、 ・さらに詳しく話を聞いてみたい! ・自社で上手くいっていない理由を探りたい! ・当事者の生の声を直接聞きたい! という方もいらっしゃるかと思います。 そのような皆様のお声にお応えするべく、 船井総研では今回新たにセミナーを企画させていただきました。 特別ゲスト講師として、当事者である“経営者様”に直接お話をしていただくセミナーです。 詳細は以下のURLより是非ご覧ください。 ■関連するセミナーのご案内 「”脱”Excel管理」「”脱”紙伝票管理」を実現し生産性アップ!~ セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/116273 【事例講座】ERP導入を通じて「“脱”Excel管理」「“脱”属人化」を実現!機械加工業における生産性アップの最新事例を大公開! ERP導入により、散在していたデータを一元管理! ERP導入により、データの入力を入口から一本化! 手作業で行っていた社内資料がボタン1つで自動化! ERP導入と合わせて運用ルールを明確に! 運用ルールを定めることで、誰でも同じ作業ができるように!(標準化/属人化の排除) 船井総合研究所コンサルタントによる事例解説 株式会社 SAWA 代表取締役 澤村 英朗 氏 株式会社 船井総合研究所 AI・ロボット・ERP支援部 岩松 将史 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/116273 1.「Excel依存」「属人化」の放置に潜む3つのリスクとは? いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。 今回は製造業の現場で問題となっている 「Excel依存」と「属人化」に関するリスクについてご紹介いたします。 これらの問題を放置すると、 企業全体の効率や信頼性に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 以下に、その具体的なリスクを3つに分けて解説させていただきます。 1. データの一貫性と信頼性の低下 Excelは手軽に使用できる反面、手動によるデータ入力や加工が多くなります。 そのため、入力ミスや計算ミスが発生しやすく、データの一貫性や信頼性が低下するリスクがあります。 特に製造業では、正確なデータが製品品質や生産効率に直結するため、 このようなミスは重大なトラブルを引き起こす可能性があります。 2. 業務の非効率化とブラックボックス化 属人化が進むと、特定の社員だけが業務の詳細を把握している状態が生まれます。 この状況は「業務のブラックボックス化」を招き、 その社員が休暇や退職した場合に、 業務の引き継ぎがスムーズに行えなくなります。 結果として、業務が遅延し、全体の効率が低下するリスクが高まります。 3. システムの老朽化と技術負債の累積 長期間にわたりExcelに依存したシステムを使用していると、 次第にそれが古くなり、システム自体の更新が困難になるケースが増えます。 この「技術負債」が蓄積されると、今後のシステム拡張や改善が難しくなり、 企業自体の成長を妨げる大きな障害となります。 上記のリスクを避けるためには、 はじめに「自社の業務プロセス・業務ルールの見直し」が不可欠です。 その上で、クラウドベースのERPシステムや専用の製造業向けソフトウェアを導入することで、 これらの問題を大幅に軽減できます。 また、社員間での情報共有を積極的に行い、業務の属人化を防ぐことも重要です。 ここで、「Excel依存」と「属人化」の回避に成功した企業様の概要ならびに 取り組みのBefore/Afterについて、簡単にご紹介したいと思います。 2.「Excel依存」「属人化」のリスク回避に成功した製造業の事例 <成功企業様の概要> 本社:岩手県花巻市 主な事業:電動ドライバー用「自動ネジ・ボルト・ナット保持装置」の開発と製品販売 従業員数(直近):10 名台 一元管理システム導入のBefore/After 【Before(システム導入前の状態と主な課題)】 ①既存システムとExcelにおいて二重三重入力が発生している。 ②現場担当者がそれぞれ異なるフォーマットのExcelや紙伝票を使用している。 ③設計データと既存システムがバラバラに管理されている。 ④発注は在庫を見て感覚で発注している。 ⑤製品に紐づく材料費・労務費・経費等の「製品別原価」が十分に管理できていない。 ⑥在庫の把握は毎月の棚卸で把握している。 ⑦月末在庫金額の計算もExcel上で計算しており、Excelのメンテナンスが必要。 ⑧社内資料は複数Excelを合算して作成している。 ⑨システム運用ルールが明確でない。 【After(システム導入後の主な効果)】 ①各種データを一元化&二重三重入力を排除し業務を効率化! ②ERP導入をきっかけに、既存のExcelや既存伝票の見直し・標準化・効率化を推進! ③設計データとERPを(手動)連携することで、BOMと原価が見える化! ④システムにて発注数を計算。自動発注が可能に! ⑤「製品別の個別原価管理」が可能に! ⑥システム内で理論在庫の把握が可能に! ⑦在庫金額もシステムにて自動計算が可能に! ⑧ボタン1つでデータ出力が可能に! ⑨ERP導入をきっかけに運用ルールを定めることで、誰でも同じ作業が出来るように!(標準化/属人化の排除) 上記の取り組み全体を通して、 元々はバラバラのExcelを駆使して販売・購買・在庫・生産・会計等を管理していたが、全社一丸となりシステムによる統合一元管理を実現した ERPシステム(業務の一元管理システム)の導入を通じて「脱・Excel管理」「脱・紙伝票管理」を実現した という成果をあげることができました。 では、なぜこのような成果をあげることができたのでしょうか? ここまでお読みいただいた皆様の中には、 ・さらに詳しく話を聞いてみたい! ・自社で上手くいっていない理由を探りたい! ・当事者の生の声を直接聞きたい! という方もいらっしゃるかと思います。 そのような皆様のお声にお応えするべく、 船井総研では今回新たにセミナーを企画させていただきました。 特別ゲスト講師として、当事者である“経営者様”に直接お話をしていただくセミナーです。 詳細は以下のURLより是非ご覧ください。 ■関連するセミナーのご案内 「”脱”Excel管理」「”脱”紙伝票管理」を実現し生産性アップ!~ セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/116273 【事例講座】ERP導入を通じて「“脱”Excel管理」「“脱”属人化」を実現!機械加工業における生産性アップの最新事例を大公開! ERP導入により、散在していたデータを一元管理! ERP導入により、データの入力を入口から一本化! 手作業で行っていた社内資料がボタン1つで自動化! ERP導入と合わせて運用ルールを明確に! 運用ルールを定めることで、誰でも同じ作業ができるように!(標準化/属人化の排除) 船井総合研究所コンサルタントによる事例解説 株式会社 SAWA 代表取締役 澤村 英朗 氏 株式会社 船井総合研究所 AI・ロボット・ERP支援部 岩松 将史 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/116273

「Excelのバケツリレー」あなたの会社でも起こっていませんか?

2024.07.01

1.「Excelのバケツリレー」とは? 突然ですが、「Excelのバケツリレー」という言葉を聞いて、 皆様はどのようなイメージを思い浮かべますか? 「Excelのバケツリレー」という言葉は 正式な単語として世の中に存在しているわけではないですが、 一例として、以下のような事象のことを指します。 【世の中の中堅・中小企業でよく起こっている事象】 毎月実施している「経営会議」や「部門会議」の報告資料を作成する際に、「Excelの継ぎ接ぎ」を繰り返して報告資料を完成させている。 前工程から渡ってきた情報を自部門のExcelに再度手入力したり、コピペしたりしている。 Excel上に情報を入力しようとしたが、不明点が多く、前工程の担当者に都度確認している。 Excelへの入力内容に不備が判明した場合、前工程の担当者へ情報の修正を依頼し、業務のやり直し・二度手間が度々発生している。 自社が「縦割り組織」となっているため、各部門の業務情報をシームレスに繋ぐことができず、やむを得ずにExcelを使って、社内の各部門をまたいで情報の集計を行っている。 いかがでしょうか。 もしかすると、「ウチの会社でもよく起こっているなぁ…」と 思われた方もいらっしゃるかもしれません。 「Excelのバケツリレー」と称した上記の事象ですが、 いずれも生産性の低下に直結する事象のため、 会社全体として解決を図っていく必要があります。 ここで「Excelのバケツリレー」がもたらす弊害について、いくつか挙げてみます。 2.「Excelのバケツリレー」がもたらす弊害とは? 「Excelのバケツリレー」がもたらす弊害として、 以下のようなことが挙げられます。 「業務の二度手間・三度手間」が増える 「定型業務に割く時間」が長くなる 「入力ミスの可能性」が増える 「業務の属人化」をもたらす 「部分最適」が減らない 「不正の温床」ができる 本来、限りある業務時間を 付加価値の高い「非定型業務」に充てることが望ましい中、 「Excelのバケツリレー」が常態化している現場では、 それ自体では付加価値を生まない「定型業務」に 業務時間の大半を割いていることになります。 また、「Excelのバケツリレー」は 「システム」ではなく「人間の能力」に依存しているがゆえに、 当然ながら業務上でのミスの可能性も高まります。 と同時に、不正が入り込む余地も生まれてしまいます。 何よりも、「Excelのバケツリレー」に時間を割いているということは、 その分、該当する業務に人件費がかかっているわけです。 1日だけならまだしも、1週間・1か月・1年…と積み重ねていくと、 実に多くの時間とコストを「Excelのバケツリレー」に費やしていることが想像できます。 「毎日格闘しているそのExcel業務は、本当にお客様への付加価値に直結しているのだろうか…」 「あくまで社内の仕組みや業務プロセスの不具合を人力で繕っているに過ぎないのでは…」 「定型業務はシステムに任せて、従業員には“ヒトにしかできない付加価値の高い業務”を担ってほしい…」 本コラムの内容について1つでも思い当たる節がある場合、 是非一度、自社の業務のあり方やルール等を見直してみることをおすすめいたします。 ■関連するセミナーのご案内 「”脱”Excel管理」「”脱”紙伝票管理」を実現し生産性アップ!~ セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/116273 機械加工業における「脱・エクセル」「脱・紙伝票」の手法がわかる! ~現場にExcelや紙伝票が散在しており、二重三重業務が常態化している・・・そんな現場の実態にお悩みの機械加工業社長のためのセミナーです~" お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/116273 1.「Excelのバケツリレー」とは? 突然ですが、「Excelのバケツリレー」という言葉を聞いて、 皆様はどのようなイメージを思い浮かべますか? 「Excelのバケツリレー」という言葉は 正式な単語として世の中に存在しているわけではないですが、 一例として、以下のような事象のことを指します。 【世の中の中堅・中小企業でよく起こっている事象】 毎月実施している「経営会議」や「部門会議」の報告資料を作成する際に、「Excelの継ぎ接ぎ」を繰り返して報告資料を完成させている。 前工程から渡ってきた情報を自部門のExcelに再度手入力したり、コピペしたりしている。 Excel上に情報を入力しようとしたが、不明点が多く、前工程の担当者に都度確認している。 Excelへの入力内容に不備が判明した場合、前工程の担当者へ情報の修正を依頼し、業務のやり直し・二度手間が度々発生している。 自社が「縦割り組織」となっているため、各部門の業務情報をシームレスに繋ぐことができず、やむを得ずにExcelを使って、社内の各部門をまたいで情報の集計を行っている。 いかがでしょうか。 もしかすると、「ウチの会社でもよく起こっているなぁ…」と 思われた方もいらっしゃるかもしれません。 「Excelのバケツリレー」と称した上記の事象ですが、 いずれも生産性の低下に直結する事象のため、 会社全体として解決を図っていく必要があります。 ここで「Excelのバケツリレー」がもたらす弊害について、いくつか挙げてみます。 2.「Excelのバケツリレー」がもたらす弊害とは? 「Excelのバケツリレー」がもたらす弊害として、 以下のようなことが挙げられます。 「業務の二度手間・三度手間」が増える 「定型業務に割く時間」が長くなる 「入力ミスの可能性」が増える 「業務の属人化」をもたらす 「部分最適」が減らない 「不正の温床」ができる 本来、限りある業務時間を 付加価値の高い「非定型業務」に充てることが望ましい中、 「Excelのバケツリレー」が常態化している現場では、 それ自体では付加価値を生まない「定型業務」に 業務時間の大半を割いていることになります。 また、「Excelのバケツリレー」は 「システム」ではなく「人間の能力」に依存しているがゆえに、 当然ながら業務上でのミスの可能性も高まります。 と同時に、不正が入り込む余地も生まれてしまいます。 何よりも、「Excelのバケツリレー」に時間を割いているということは、 その分、該当する業務に人件費がかかっているわけです。 1日だけならまだしも、1週間・1か月・1年…と積み重ねていくと、 実に多くの時間とコストを「Excelのバケツリレー」に費やしていることが想像できます。 「毎日格闘しているそのExcel業務は、本当にお客様への付加価値に直結しているのだろうか…」 「あくまで社内の仕組みや業務プロセスの不具合を人力で繕っているに過ぎないのでは…」 「定型業務はシステムに任せて、従業員には“ヒトにしかできない付加価値の高い業務”を担ってほしい…」 本コラムの内容について1つでも思い当たる節がある場合、 是非一度、自社の業務のあり方やルール等を見直してみることをおすすめいたします。 ■関連するセミナーのご案内 「”脱”Excel管理」「”脱”紙伝票管理」を実現し生産性アップ!~ セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/116273 機械加工業における「脱・エクセル」「脱・紙伝票」の手法がわかる! ~現場にExcelや紙伝票が散在しており、二重三重業務が常態化している・・・そんな現場の実態にお悩みの機械加工業社長のためのセミナーです~" お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/116273

工場における生産管理システムとは?導入のメリットや注意点について解説!

2024.06.20

1.製造業が抱える課題 製造業においては、効率と品質を追求する中で様々な課題が存在します。その中でも特に以下の点が挙げられます。 需要変動への対応 市場の需要は常に変動しており、それに迅速に対応することが求められますが、非常に困難です。需要予測が難しい場合、過剰な在庫を抱えるリスクや、逆に欠品のリスクが生じてしまいます。 適正在庫の維持 適正在庫の維持は、コスト削減と効率的な生産活動に直結します。過剰在庫は保管コストを増加させ収益性を悪化させますし、欠品は顧客満足度の低下を引き起こし、どちらも経営状況を悪化させてしまう要因となります。 リードタイム短縮 顧客の期待に応えるためには、生産から納品までのリードタイムを短縮することが必要です。実際の工数はどれくらいで、どこにボトルネックがあるのか、それを基にどのような改善活動をしてリードタイムを短縮していくのか。 このような具体的なディスカッションを行うことで、競争力は向上していきます。 作業効率の改善 日本の労働人口はどんどん減少していっています。 この状況を加味すれば、より少ない人数で現状の生産を担保しないといけない時代がやってくることが予想されます。 工場内の作業効率を高め。無駄な動きや待ち時間を最小限に抑えるための改善活動が重要です。 2.生産管理システムとは 上記のような課題を抱える製造業において、生産管理システムというのはこれらの課題を解決するための強力なツールであると言えます。以下にシステム概要と、主な機能を説明しておきます。 2-1.生産管理システムの概要 生産管理システムとは、生産プロセス全体を効率的に管理・コントロールするためのソフトウェアです。 需要予測から生産計画、在庫管理、品質管理まで、多岐にわたる業務を統合的に管理します。 2-2.生産管理システムの主な機能 生産管理システムの機能として、主要な機能は以下のようなものが挙げられます。 需要予測:市場データを基に将来の需要を予測し、生産計画を立てます。 生産計画:効率的な生産スケジュールを作成し、リソースを最適に配分します。 在庫管理:リアルタイムで在庫状況を監視し、適正在庫を維持します。 品質管理:品質基準を設定し、製品がその基準を満たしているかを検査します。 工程管理:各工程の進捗を監視し、問題が発生した場合に迅速に対応します。 2-3.生産管理システムの導入方法 生産管理システムの導入は、以下のステップで進める必要があります。 現状分析:現在の生産プロセスを詳細に分析し、課題を明確にします。 要件定義:システムに求める機能や要件を定義します。 ベンダー選定:要件を満たすシステムを提供するベンダーを選定します。 導入計画:導入スケジュールやトレーニング計画を策定します。 システム導入:実際の導入作業を行い、テストを実施します。 運用開始:操作者・管理者向けのトレーニングを行い、システムの運用を開始します。 3.生産管理システム導入のメリット 生産管理システムを導入することで、多くのメリットが得られます。以下にその具体例をいくつか挙げます。 手作業の削減と間違い防止 手作業によるデータ入力や管理業務を自動化することで、人的ミスを減少させ、業務の正確性が向上します。 適正在庫の維持と過剰在庫抑制 リアルタイムで在庫状況を把握し、適正在庫を維持することで、過剰在庫や欠品のリスクを抑えることができます。 リードタイム短縮と納期遵守向上 生産プロセス全体を効率化することで、リードタイムを短縮し、納期遵守率を向上させます。 生産性と作業効率の大幅改善 各工程の無駄を排除し、作業効率を大幅に改善します。これにより、生産性が向上し、コスト削減が実現します。 ムダな動きや待ち時間の削減 リアルタイム監視とデータ分析により、ムダな動きや待ち時間を最小限に抑えることができます。 4.成功事例 事例1.食品加工 X社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が5%から2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例2.建材製造販売 Y社 Y社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPIや閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例3.機械部品加工 Z社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を30%削減しつつ、欠品率を5%から1%に改善することができました。 5.生産管理システム導入の方法と注意点 生産管理システムを導入する際には、以下の点に注意することが重要です。 現状分析と課題の明確化:導入前に現状を詳細に分析し、解決すべき課題を明確にします。 要件定義の精度:システムに求める要件を正確に定義し、ベンダーとのコミュニケーションを密に行います。 トレーニングの徹底:システム導入後のトレーニングを徹底し、全社員がシステムを活用できるようにします。 継続的な改善:導入後も継続的にデータを分析し、システムの改善点を見つけて対応します。 システムを導入することがゴールではありません。あくまでシステムはツールのひとつですから、いかにどう活用するか、というのこそ重要なポイントと言えます。 6.まとめ 以上のように、生産管理は製造業において非常に重要な業務であり、その効率化や品質向上は企業の競争力を大きく左右します。 生産管理システムを導入することで、多くの課題を解決し、効率的な生産が実現可能です。もちろん、システム導入には慎重な計画と実行が必要ですが、しっかりと導入効果を見据えた上で導入と活用が出来たのであれば、その効果は計り知れません。 今後の製造業の未来を考えれば、生産管理の重要性はますます高まることでしょう。 1.製造業が抱える課題 製造業においては、効率と品質を追求する中で様々な課題が存在します。その中でも特に以下の点が挙げられます。 需要変動への対応 市場の需要は常に変動しており、それに迅速に対応することが求められますが、非常に困難です。需要予測が難しい場合、過剰な在庫を抱えるリスクや、逆に欠品のリスクが生じてしまいます。 適正在庫の維持 適正在庫の維持は、コスト削減と効率的な生産活動に直結します。過剰在庫は保管コストを増加させ収益性を悪化させますし、欠品は顧客満足度の低下を引き起こし、どちらも経営状況を悪化させてしまう要因となります。 リードタイム短縮 顧客の期待に応えるためには、生産から納品までのリードタイムを短縮することが必要です。実際の工数はどれくらいで、どこにボトルネックがあるのか、それを基にどのような改善活動をしてリードタイムを短縮していくのか。 このような具体的なディスカッションを行うことで、競争力は向上していきます。 作業効率の改善 日本の労働人口はどんどん減少していっています。 この状況を加味すれば、より少ない人数で現状の生産を担保しないといけない時代がやってくることが予想されます。 工場内の作業効率を高め。無駄な動きや待ち時間を最小限に抑えるための改善活動が重要です。 2.生産管理システムとは 上記のような課題を抱える製造業において、生産管理システムというのはこれらの課題を解決するための強力なツールであると言えます。以下にシステム概要と、主な機能を説明しておきます。 2-1.生産管理システムの概要 生産管理システムとは、生産プロセス全体を効率的に管理・コントロールするためのソフトウェアです。 需要予測から生産計画、在庫管理、品質管理まで、多岐にわたる業務を統合的に管理します。 2-2.生産管理システムの主な機能 生産管理システムの機能として、主要な機能は以下のようなものが挙げられます。 需要予測:市場データを基に将来の需要を予測し、生産計画を立てます。 生産計画:効率的な生産スケジュールを作成し、リソースを最適に配分します。 在庫管理:リアルタイムで在庫状況を監視し、適正在庫を維持します。 品質管理:品質基準を設定し、製品がその基準を満たしているかを検査します。 工程管理:各工程の進捗を監視し、問題が発生した場合に迅速に対応します。 2-3.生産管理システムの導入方法 生産管理システムの導入は、以下のステップで進める必要があります。 現状分析:現在の生産プロセスを詳細に分析し、課題を明確にします。 要件定義:システムに求める機能や要件を定義します。 ベンダー選定:要件を満たすシステムを提供するベンダーを選定します。 導入計画:導入スケジュールやトレーニング計画を策定します。 システム導入:実際の導入作業を行い、テストを実施します。 運用開始:操作者・管理者向けのトレーニングを行い、システムの運用を開始します。 3.生産管理システム導入のメリット 生産管理システムを導入することで、多くのメリットが得られます。以下にその具体例をいくつか挙げます。 手作業の削減と間違い防止 手作業によるデータ入力や管理業務を自動化することで、人的ミスを減少させ、業務の正確性が向上します。 適正在庫の維持と過剰在庫抑制 リアルタイムで在庫状況を把握し、適正在庫を維持することで、過剰在庫や欠品のリスクを抑えることができます。 リードタイム短縮と納期遵守向上 生産プロセス全体を効率化することで、リードタイムを短縮し、納期遵守率を向上させます。 生産性と作業効率の大幅改善 各工程の無駄を排除し、作業効率を大幅に改善します。これにより、生産性が向上し、コスト削減が実現します。 ムダな動きや待ち時間の削減 リアルタイム監視とデータ分析により、ムダな動きや待ち時間を最小限に抑えることができます。 4.成功事例 事例1.食品加工 X社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が5%から2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例2.建材製造販売 Y社 Y社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPIや閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例3.機械部品加工 Z社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を30%削減しつつ、欠品率を5%から1%に改善することができました。 5.生産管理システム導入の方法と注意点 生産管理システムを導入する際には、以下の点に注意することが重要です。 現状分析と課題の明確化:導入前に現状を詳細に分析し、解決すべき課題を明確にします。 要件定義の精度:システムに求める要件を正確に定義し、ベンダーとのコミュニケーションを密に行います。 トレーニングの徹底:システム導入後のトレーニングを徹底し、全社員がシステムを活用できるようにします。 継続的な改善:導入後も継続的にデータを分析し、システムの改善点を見つけて対応します。 システムを導入することがゴールではありません。あくまでシステムはツールのひとつですから、いかにどう活用するか、というのこそ重要なポイントと言えます。 6.まとめ 以上のように、生産管理は製造業において非常に重要な業務であり、その効率化や品質向上は企業の競争力を大きく左右します。 生産管理システムを導入することで、多くの課題を解決し、効率的な生産が実現可能です。もちろん、システム導入には慎重な計画と実行が必要ですが、しっかりと導入効果を見据えた上で導入と活用が出来たのであれば、その効果は計り知れません。 今後の製造業の未来を考えれば、生産管理の重要性はますます高まることでしょう。

在庫管理の見える化とは?メリットや改善方法、成功事例を解説!

2024.06.20

1.在庫管理の見える化とは? 在庫管理の「見える化」とは、単に在庫を保管しその数量を把握するだけではなく、在庫の流れや動きを可視化し、適正な在庫水準を維持することを指します。 ここでの可視化とは、進捗状況や生産状況をディスプレイで表示し、誰でも簡単に状況を確認できるようにすることです。 これにより、過剰在庫や欠品リスクを最小限に抑え、スムーズな事業運営を実現できます。 例えば、過去の販売データから出荷・出庫量の予測を立て、発注タイミングや発注量を最適化したり、製品ごとの在庫回転率を把握して無駄な備蓄を防止することができます。 単に在庫数字を見るだけでは気づきにくい課題や無駄を、リアルタイムに可視化・分析することで発見し、改善することが可能になるのです。 ⇒関連記事:AIによる在庫管理事例!中小製造業編 導入のメリットや導入方法も解説! 2.在庫管理を見える化する3つのメリット 在庫管理を徹底的に「見える化」し、改善活動を行うことで、以下の3つの大きなメリットが期待できます。 2-1)キャッシュフロー改善 見える化によって、皆さんの目の前のディスプレイには会社の在庫数が現在どのような状況なのかを示す資料が映っています。 正確な情報を掴むことで過剰在庫を抑え、運転資金の圧迫を防ぐことができます。 適切な在庫水準を維持することで、無駄なコストを削減し、健全な資金繰りを実現できるでしょう。 2-2)業務効率化 在庫の流れを正確に把握できるようになり、発注業務の最適化や、倉庫の無駄なスペースの削減などにつながります。 これにより今まで行ってきたアナログな在庫把握手法やルールは最低限で済むため、従業員や在庫管理担当者の作業負荷は大きく軽減され、生産性の向上が見込めます。 また、5s (整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)も促進することができます。 2-3)リスク管理の強化 閾値に対する現状の見える化は、欠品リスクや過剰在庫リスクの低減に役立ちます。 これにより、経営リスクを適切にコントロールできるようになります。 事業の継続性と収益性を高められる大きな強みになると言えます。 3.在庫管理を見える化する手法 在庫管理の見える化を実現するには、以下のような取り組みが有効です。 3-1)ITシステムの活用 当然ですが、在庫管理領域の専門の在庫管理システムは存在します。 そういったシステムの中でも、販売データや在庫データを連携し、統合的に管理する機能を持つシステムがあります。 更に、AIなどの活用で需要予測の精度を高め、最適な発注タイミングや発注量を算出できるようになるでしょう。 3-2)KPI設定と管理 在庫回転率などの具体的なKPIを設定し、定期的にモニタリングすることで、適切な在庫水準の維持と改善につなげることが出来るようになります。 ただし、KPIの達成状況も明確に「見える化」し、そこから更に改善サイクルを回すことが重要です。 3-3)人材育成 更に現場従業員の意識改革と、在庫管理に関するスキルの向上を図ることも、在庫状況の見える化には欠かせないポイントの一つです。 教育や研修を実施し、従業員一人ひとりの「見える化」に対する意欲やマインドを醸成する必要がありますデータは集められても、改善活動につながらないようなケースの多くが、この使いこなせる人材を育成できていないためです。 4.在庫管理システム導入事例3選 では、具体的な取り組みはどのようなものがあるのでしょうか。 今回は最後に在庫管理システムを上手く活用し、「見える化」を実現した先進企業の事例を3つご紹介します。 事例1.食品加工 X社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要です。 X社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで在庫管理システムの導入に踏み切りました。 専用の在庫管理システムを導入し、発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が5%から2%まで改善。 在庫の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例2.建材製造販売 Y社 Y社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 商品在庫の方針として、在庫切れをなるべく避けるような方針が固められており、倉庫に大量の不良在庫や陳腐化在庫が発生しており、その結果、資金繰りが悪化していたという背景がありました。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPIや閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例3.機械部品加工 Z社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、管理は属人的に行われていました。 その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。 そこで、AIを搭載した高度な需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を30%削減しつつ、欠品率を5%から1%に改善することができました。 5.まとめ 事例でもご紹介した通り、在庫管理の「見える化」は、過剰在庫や欠品リスクの削減、キャッシュフロー改善、業務効率化など、多くのメリットをもたらします。 見える化をするだけでなく、様々なITシステムの活用、KPIを用いた定量的な管理、活用活動の原動力たる従業員教育などを組み合わせて推進することで、着実にあるべき姿を実現していくことが出来ます。 先進企業の事例の通り、「見える化」は企業の収益力と経営基盤を大きく強化する重要な取り組みであると言えます。 ぜひ本気で「見える化」に取り組み、経営課題の解決と競争力の向上を目指してみてください。 1.在庫管理の見える化とは? 在庫管理の「見える化」とは、単に在庫を保管しその数量を把握するだけではなく、在庫の流れや動きを可視化し、適正な在庫水準を維持することを指します。 ここでの可視化とは、進捗状況や生産状況をディスプレイで表示し、誰でも簡単に状況を確認できるようにすることです。 これにより、過剰在庫や欠品リスクを最小限に抑え、スムーズな事業運営を実現できます。 例えば、過去の販売データから出荷・出庫量の予測を立て、発注タイミングや発注量を最適化したり、製品ごとの在庫回転率を把握して無駄な備蓄を防止することができます。 単に在庫数字を見るだけでは気づきにくい課題や無駄を、リアルタイムに可視化・分析することで発見し、改善することが可能になるのです。 ⇒関連記事:AIによる在庫管理事例!中小製造業編 導入のメリットや導入方法も解説! 2.在庫管理を見える化する3つのメリット 在庫管理を徹底的に「見える化」し、改善活動を行うことで、以下の3つの大きなメリットが期待できます。 2-1)キャッシュフロー改善 見える化によって、皆さんの目の前のディスプレイには会社の在庫数が現在どのような状況なのかを示す資料が映っています。 正確な情報を掴むことで過剰在庫を抑え、運転資金の圧迫を防ぐことができます。 適切な在庫水準を維持することで、無駄なコストを削減し、健全な資金繰りを実現できるでしょう。 2-2)業務効率化 在庫の流れを正確に把握できるようになり、発注業務の最適化や、倉庫の無駄なスペースの削減などにつながります。 これにより今まで行ってきたアナログな在庫把握手法やルールは最低限で済むため、従業員や在庫管理担当者の作業負荷は大きく軽減され、生産性の向上が見込めます。 また、5s (整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)も促進することができます。 2-3)リスク管理の強化 閾値に対する現状の見える化は、欠品リスクや過剰在庫リスクの低減に役立ちます。 これにより、経営リスクを適切にコントロールできるようになります。 事業の継続性と収益性を高められる大きな強みになると言えます。 3.在庫管理を見える化する手法 在庫管理の見える化を実現するには、以下のような取り組みが有効です。 3-1)ITシステムの活用 当然ですが、在庫管理領域の専門の在庫管理システムは存在します。 そういったシステムの中でも、販売データや在庫データを連携し、統合的に管理する機能を持つシステムがあります。 更に、AIなどの活用で需要予測の精度を高め、最適な発注タイミングや発注量を算出できるようになるでしょう。 3-2)KPI設定と管理 在庫回転率などの具体的なKPIを設定し、定期的にモニタリングすることで、適切な在庫水準の維持と改善につなげることが出来るようになります。 ただし、KPIの達成状況も明確に「見える化」し、そこから更に改善サイクルを回すことが重要です。 3-3)人材育成 更に現場従業員の意識改革と、在庫管理に関するスキルの向上を図ることも、在庫状況の見える化には欠かせないポイントの一つです。 教育や研修を実施し、従業員一人ひとりの「見える化」に対する意欲やマインドを醸成する必要がありますデータは集められても、改善活動につながらないようなケースの多くが、この使いこなせる人材を育成できていないためです。 4.在庫管理システム導入事例3選 では、具体的な取り組みはどのようなものがあるのでしょうか。 今回は最後に在庫管理システムを上手く活用し、「見える化」を実現した先進企業の事例を3つご紹介します。 事例1.食品加工 X社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要です。 X社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで在庫管理システムの導入に踏み切りました。 専用の在庫管理システムを導入し、発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が5%から2%まで改善。 在庫の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例2.建材製造販売 Y社 Y社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 商品在庫の方針として、在庫切れをなるべく避けるような方針が固められており、倉庫に大量の不良在庫や陳腐化在庫が発生しており、その結果、資金繰りが悪化していたという背景がありました。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPIや閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例3.機械部品加工 Z社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、管理は属人的に行われていました。 その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。 そこで、AIを搭載した高度な需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を30%削減しつつ、欠品率を5%から1%に改善することができました。 5.まとめ 事例でもご紹介した通り、在庫管理の「見える化」は、過剰在庫や欠品リスクの削減、キャッシュフロー改善、業務効率化など、多くのメリットをもたらします。 見える化をするだけでなく、様々なITシステムの活用、KPIを用いた定量的な管理、活用活動の原動力たる従業員教育などを組み合わせて推進することで、着実にあるべき姿を実現していくことが出来ます。 先進企業の事例の通り、「見える化」は企業の収益力と経営基盤を大きく強化する重要な取り組みであると言えます。 ぜひ本気で「見える化」に取り組み、経営課題の解決と競争力の向上を目指してみてください。

「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」の違いとは!?基本の流れと重要性、記載内容について解説!

2024.06.14

システム導入を成功に導くために欠かせないのが「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」です。 しかし、多くの中小企業ではこれらの文書が適切に管理されておらず、導入後にトラブルが発生することが少なくありません。 本記事では、これらのドキュメントの役割や違い、記載すべき内容を解説します。 1.システム導入で必要な「要件定義書」「要求仕様書・RFP」 中小企業様に訪問やヒアリングをさせて頂く機会が多くある中で、既存システムの現状把握の際に伺うのは【既存システムにおける「要件定義書」「要求仕様書・RFP」】の話です。 システムをどういうコンセプトで導入したのか、どういう機能が実装されているのかを把握するために伺います。システム導入時には当然のようにあるべきドキュメントですが、残念ながら現実として、この資料がすぐに出てこないケースが多く、「要求仕様書がないパターン」は大変よくありますが(良いことではありませんが)、偶に「要件定義書もないパターン」ということもお聞きします。どうやってシステム導入したのか!?と思いますが、様々なベンダーさんがいる中でこれが実情とも感じます。 皆様もこれまでシステム導入を行ってきたと思います。改めてですが、今、手元に過去システム導入で作成した「要件定義書」「要求仕様書・RFP」はありますか? 両方ない場合は、ほぼ間違いなく納品後にベンダーとトラブルになってきていると察しますが、いかがでしょうか。パッケージのカスタマイズする場合でもシステム導入する際には、このドキュメントがないとほぼ間違いなくベンダーとのトラブルになる。と感じています。 今回はなぜシステム導入で「要件定義書」「要求仕様書・RFP」が必要になるのかを解説してきたいと思います。 2.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」の違いとは?? 要件定義書・・・要件定義とは、開発者がプロダクト開発をするための仕様を定義したものです。要件定義を明文化した「要件定義書」は、ユーザー側の合意・了承を得るためのもので開発者側が作成します。 要求仕様書・RFP・・・要求定義はユーザーがプロダクト開発・システムに求める仕様を定義したものです。要求定義を明文化した「要求仕様書」は、プロダクト開発に対するオーダーを記したものになるため、ユーザー側が作成します。 要求定義は、プロダクト開発の上流工程として最も重要なプロセスです。 「要求定義→要件定義→基本設計→詳細設計→開発→テスト→リリース/運用」となります。 ユーザーが作成する要求仕様書とRFPも実は異なるドキュメントになるので、説明していきます。 RFPとは提案依頼書「RequestforProposal」の頭文字を取って「RFP」と呼ばれることもあります。外部業者へ発注しようとしている企業の担当者が、外部業者から提案をもらうために必要な要件をまとめた書類のことです。 要求仕様書の違いは、提案の求め方です。要求仕様書は、企業が自社で開発するソフトウェアやシステムの要件や仕様を明確にするために使用されます。一方、RFPは、外部業者からの提案を求めるために使用される文書であり、提案内容や提出期限、提案方法、評価方法などを明確に記載する必要があります。きちんとしたRFPは、外部業者側はどのような要件に基づいて提案すれば良いのかが明確になるので、自社の課題に沿った内容の提案を組み立てしやすくなるとともに、正確性の高い見積もりを導き出すことにもつながります。 3.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」がないトラブル事例 このようにシステム導入において、「要件定義書」「要求仕様書・RFP」はとても重要なドキュメントとなります。 「要求仕様書・RFPがない」=開発者に伝えられるべきユーザーの要望が文書化されていない(ユーザー側で纏まっていない)。開発者にも明確に伝わっていない可能性が高い。 「要件定義書」=開発者が開発すべき機能が明確になっていない。ユーザー側もどんなものを開発者が作ろうとしているかをわかっていない。ということです。 要求仕様も要件定義書がない場合、ほぼ間違いなくシステムの納品後に以下のようなトラブルになります。 (口頭で)要望した機能が実装されていない(使い始めて気づいた) 機能は実装されているが気がするが、物凄く使い勝手が悪い。 システムが運用に即していない。 当初イメージしたシステムでない。(もっとスタイリッシュな画面を想像していた等) たとえ納品後に、ユーザー側にこういった不満があっても、要求仕様・要件定義書を作成してなれば、お互いに立ち返る根拠がありません。ドキュメントにしていれば、○○に明記されていると伝えることが出来ますが、ドキュメント化されていなければ「言った言わない」という話に終始して、お互いに歩み寄ることが出来なくなります。 この場合、泥沼化しながらユーザー側があきらめるか、開発側が作り直すか。二者択一になります。恐ましい話ですが、各地で実際によく起きているのが実情です。 システム導入が上手くいかなかった企業は多くあります。振り返ってみて、要求仕様書・要件定義書があったかどうか確認してみてください。もし、トラブルが起こった場合、自社は悪くない。ベンダーに問題があったと思いがちですが、 ユーザー側の要望は齟齬ないように明確に伝えられていたでしょうか? ベンダーが作成した要件定義書はきちんと読み込んでいたでしょうか? システム開発をベンダーに丸投げしていなかったでしょうか? ベンダーに要望を明確に伝えることも、ベンダーが開発しようとしているシステムについてしっかり理解しておくことも、開発中もきちんと要望したシステムが出来ているかを確認することも、全部ユーザー側の仕事となります。それを放棄することを、「ベンダーへの丸投げ」といいます。ベンダーへの丸投げのシステム開発はほぼうまくいきません。 いかがでしょうか。「要件定義書」「要求仕様書・RFP」に重要性について理解頂けたかと思います。システム導入においては、ユーザー側にも要望を明確にする義務があります。まずは何をしたいのか?はきちんと整理することから始めていきましょう。 4.要求仕様書に盛り込むべき内容 要求仕様書には、最低限下記の内容を盛り込みましょう。 事業の目的と背景:なぜこのシステム導入/ロボット導入が必要なのか、導入の目標は何かを示す明確な定義。 期待される成果:システム導入/ロボット導入を通じて達成したい具体的な成果や効果の列挙。 例えば、業務効率の向上、コスト削減、顧客満足度向上、売上増加など、数値化できる目標を設定することが重要です。 KPI (重要業績評価指標)を設定し、導入効果を測定できるようにしておきましょう。 セキュリティ対策に関する要件も忘れずに明記しましょう。 利用者の層や利用シーンを想定し、ユーザビリティを考慮した設計にする必要があります。 運用開始後の保守体制やサポート内容についても明確に定義しておきましょう。 要件定義書では、技術的な側面に焦点を当て、具体的な実現方法や進捗管理のポイントを明示しましょう。 技術的要件:システム導入/ロボット導入に必要な技術やプラットフォーム、開発言語などを具体的に指定。 クラウドサービスを利用する場合は、セキュリティレベルや可用性、拡張性などを考慮する必要があります。 ハードウェア要件を明確に定義し、必要なサーバー、ネットワーク機器などをリストアップしましょう。 機能仕様:システムやロボットが持つべき具体的な機能やモジュールを明確に定義。 ユーザーインターフェース(UI)や ユーザーエクスペリエンス(UX)に関する要件も盛り込み、使いやすさを考慮しましょう。 外部システムとの連携がある場合は、その範囲や方式、インターフェースなどを明確に定義する必要があります。 帳票出力やデータ分析など、必要な機能を網羅的に洗い出し、漏れがないようにしましょう。 検索機能やデータ表示に関する要件を明確にし、使いやすさを追求しましょう。 進捗管理と品質管理:プロジェクト進捗を管理する方法や品質を確保する手段を具体的に記載。 アジャイル開発のような柔軟な開発手法を採用する場合、その旨を明記し、進捗管理や品質管理の方法を具体的に示す必要があります。 プロジェクトのスケジュール、体制、担当、コミュニケーション方法などを明確にしておくことが重要です。 リスク管理計画を策定し、問題点が発生した場合の対応手順を明確化しておきましょう。 テスト段階では、想定される操作を網羅的に実施し、バグを発見し修正することで品質を確保しましょう。 これらの情報は、スムーズなプロジェクト進行に不可欠です。各文書の作成に充分な時間をかけ、関係者間での意見の一致を確認することがプロジェクト成功の鍵です。 5.まとめ システム導入を成功させるためには、「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」が不可欠です。これらの文書は、プロジェクト関係者間で認識を共有し、スムーズな開発と運用を促進するための重要なツールとなります。 要求仕様書では、事業の目的や期待される成果、利用者層などを明確に定義し、要件定義書では、技術的な要件、機能仕様、進捗管理と品質管理の方法などを具体的に記述します。 システム導入の際は、これらの文書を適切に作成し、管理することで、プロジェクトの成功率を高めることができます。 しかし、要件定義書や要求仕様書の作成は専門的な知識を必要とし、多くの時間と労力を費やす作業となります。船井総研では、お客様のシステム導入を成功に導くため、豊富な経験とノウハウを持つコンサルタントが、要求仕様書の作成支援や要件定義事項の精査をサポートいたします。 システム導入を成功に導くために欠かせないのが「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」です。 しかし、多くの中小企業ではこれらの文書が適切に管理されておらず、導入後にトラブルが発生することが少なくありません。 本記事では、これらのドキュメントの役割や違い、記載すべき内容を解説します。 1.システム導入で必要な「要件定義書」「要求仕様書・RFP」 中小企業様に訪問やヒアリングをさせて頂く機会が多くある中で、既存システムの現状把握の際に伺うのは【既存システムにおける「要件定義書」「要求仕様書・RFP」】の話です。 システムをどういうコンセプトで導入したのか、どういう機能が実装されているのかを把握するために伺います。システム導入時には当然のようにあるべきドキュメントですが、残念ながら現実として、この資料がすぐに出てこないケースが多く、「要求仕様書がないパターン」は大変よくありますが(良いことではありませんが)、偶に「要件定義書もないパターン」ということもお聞きします。どうやってシステム導入したのか!?と思いますが、様々なベンダーさんがいる中でこれが実情とも感じます。 皆様もこれまでシステム導入を行ってきたと思います。改めてですが、今、手元に過去システム導入で作成した「要件定義書」「要求仕様書・RFP」はありますか? 両方ない場合は、ほぼ間違いなく納品後にベンダーとトラブルになってきていると察しますが、いかがでしょうか。パッケージのカスタマイズする場合でもシステム導入する際には、このドキュメントがないとほぼ間違いなくベンダーとのトラブルになる。と感じています。 今回はなぜシステム導入で「要件定義書」「要求仕様書・RFP」が必要になるのかを解説してきたいと思います。 2.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」の違いとは?? 要件定義書・・・要件定義とは、開発者がプロダクト開発をするための仕様を定義したものです。要件定義を明文化した「要件定義書」は、ユーザー側の合意・了承を得るためのもので開発者側が作成します。 要求仕様書・RFP・・・要求定義はユーザーがプロダクト開発・システムに求める仕様を定義したものです。要求定義を明文化した「要求仕様書」は、プロダクト開発に対するオーダーを記したものになるため、ユーザー側が作成します。 要求定義は、プロダクト開発の上流工程として最も重要なプロセスです。 「要求定義→要件定義→基本設計→詳細設計→開発→テスト→リリース/運用」となります。 ユーザーが作成する要求仕様書とRFPも実は異なるドキュメントになるので、説明していきます。 RFPとは提案依頼書「RequestforProposal」の頭文字を取って「RFP」と呼ばれることもあります。外部業者へ発注しようとしている企業の担当者が、外部業者から提案をもらうために必要な要件をまとめた書類のことです。 要求仕様書の違いは、提案の求め方です。要求仕様書は、企業が自社で開発するソフトウェアやシステムの要件や仕様を明確にするために使用されます。一方、RFPは、外部業者からの提案を求めるために使用される文書であり、提案内容や提出期限、提案方法、評価方法などを明確に記載する必要があります。きちんとしたRFPは、外部業者側はどのような要件に基づいて提案すれば良いのかが明確になるので、自社の課題に沿った内容の提案を組み立てしやすくなるとともに、正確性の高い見積もりを導き出すことにもつながります。 3.「要件定義書」「要求仕様書・RFP」がないトラブル事例 このようにシステム導入において、「要件定義書」「要求仕様書・RFP」はとても重要なドキュメントとなります。 「要求仕様書・RFPがない」=開発者に伝えられるべきユーザーの要望が文書化されていない(ユーザー側で纏まっていない)。開発者にも明確に伝わっていない可能性が高い。 「要件定義書」=開発者が開発すべき機能が明確になっていない。ユーザー側もどんなものを開発者が作ろうとしているかをわかっていない。ということです。 要求仕様も要件定義書がない場合、ほぼ間違いなくシステムの納品後に以下のようなトラブルになります。 (口頭で)要望した機能が実装されていない(使い始めて気づいた) 機能は実装されているが気がするが、物凄く使い勝手が悪い。 システムが運用に即していない。 当初イメージしたシステムでない。(もっとスタイリッシュな画面を想像していた等) たとえ納品後に、ユーザー側にこういった不満があっても、要求仕様・要件定義書を作成してなれば、お互いに立ち返る根拠がありません。ドキュメントにしていれば、○○に明記されていると伝えることが出来ますが、ドキュメント化されていなければ「言った言わない」という話に終始して、お互いに歩み寄ることが出来なくなります。 この場合、泥沼化しながらユーザー側があきらめるか、開発側が作り直すか。二者択一になります。恐ましい話ですが、各地で実際によく起きているのが実情です。 システム導入が上手くいかなかった企業は多くあります。振り返ってみて、要求仕様書・要件定義書があったかどうか確認してみてください。もし、トラブルが起こった場合、自社は悪くない。ベンダーに問題があったと思いがちですが、 ユーザー側の要望は齟齬ないように明確に伝えられていたでしょうか? ベンダーが作成した要件定義書はきちんと読み込んでいたでしょうか? システム開発をベンダーに丸投げしていなかったでしょうか? ベンダーに要望を明確に伝えることも、ベンダーが開発しようとしているシステムについてしっかり理解しておくことも、開発中もきちんと要望したシステムが出来ているかを確認することも、全部ユーザー側の仕事となります。それを放棄することを、「ベンダーへの丸投げ」といいます。ベンダーへの丸投げのシステム開発はほぼうまくいきません。 いかがでしょうか。「要件定義書」「要求仕様書・RFP」に重要性について理解頂けたかと思います。システム導入においては、ユーザー側にも要望を明確にする義務があります。まずは何をしたいのか?はきちんと整理することから始めていきましょう。 4.要求仕様書に盛り込むべき内容 要求仕様書には、最低限下記の内容を盛り込みましょう。 事業の目的と背景:なぜこのシステム導入/ロボット導入が必要なのか、導入の目標は何かを示す明確な定義。 期待される成果:システム導入/ロボット導入を通じて達成したい具体的な成果や効果の列挙。 例えば、業務効率の向上、コスト削減、顧客満足度向上、売上増加など、数値化できる目標を設定することが重要です。 KPI (重要業績評価指標)を設定し、導入効果を測定できるようにしておきましょう。 セキュリティ対策に関する要件も忘れずに明記しましょう。 利用者の層や利用シーンを想定し、ユーザビリティを考慮した設計にする必要があります。 運用開始後の保守体制やサポート内容についても明確に定義しておきましょう。 要件定義書では、技術的な側面に焦点を当て、具体的な実現方法や進捗管理のポイントを明示しましょう。 技術的要件:システム導入/ロボット導入に必要な技術やプラットフォーム、開発言語などを具体的に指定。 クラウドサービスを利用する場合は、セキュリティレベルや可用性、拡張性などを考慮する必要があります。 ハードウェア要件を明確に定義し、必要なサーバー、ネットワーク機器などをリストアップしましょう。 機能仕様:システムやロボットが持つべき具体的な機能やモジュールを明確に定義。 ユーザーインターフェース(UI)や ユーザーエクスペリエンス(UX)に関する要件も盛り込み、使いやすさを考慮しましょう。 外部システムとの連携がある場合は、その範囲や方式、インターフェースなどを明確に定義する必要があります。 帳票出力やデータ分析など、必要な機能を網羅的に洗い出し、漏れがないようにしましょう。 検索機能やデータ表示に関する要件を明確にし、使いやすさを追求しましょう。 進捗管理と品質管理:プロジェクト進捗を管理する方法や品質を確保する手段を具体的に記載。 アジャイル開発のような柔軟な開発手法を採用する場合、その旨を明記し、進捗管理や品質管理の方法を具体的に示す必要があります。 プロジェクトのスケジュール、体制、担当、コミュニケーション方法などを明確にしておくことが重要です。 リスク管理計画を策定し、問題点が発生した場合の対応手順を明確化しておきましょう。 テスト段階では、想定される操作を網羅的に実施し、バグを発見し修正することで品質を確保しましょう。 これらの情報は、スムーズなプロジェクト進行に不可欠です。各文書の作成に充分な時間をかけ、関係者間での意見の一致を確認することがプロジェクト成功の鍵です。 5.まとめ システム導入を成功させるためには、「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」が不可欠です。これらの文書は、プロジェクト関係者間で認識を共有し、スムーズな開発と運用を促進するための重要なツールとなります。 要求仕様書では、事業の目的や期待される成果、利用者層などを明確に定義し、要件定義書では、技術的な要件、機能仕様、進捗管理と品質管理の方法などを具体的に記述します。 システム導入の際は、これらの文書を適切に作成し、管理することで、プロジェクトの成功率を高めることができます。 しかし、要件定義書や要求仕様書の作成は専門的な知識を必要とし、多くの時間と労力を費やす作業となります。船井総研では、お客様のシステム導入を成功に導くため、豊富な経験とノウハウを持つコンサルタントが、要求仕様書の作成支援や要件定義事項の精査をサポートいたします。

生産管理とは?システム導入のメリットや成功事例を解説!

2024.06.05

製造業が抱える課題 製造業においては、効率と品質を追求する中で様々な課題が存在します。その中でも特に以下の点が挙げられます。 需要変動への対応 市場の需要は常に変動しており、それに迅速に対応することが求められますが、非常に困難です。 需要予測が難しい場合、過剰な在庫を抱えるリスクや、逆に欠品のリスクが生じてしまいます。 適正在庫の維持 適正在庫の維持は、コスト削減と効率的な生産活動に直結します。 過剰在庫は保管コストを増加させ収益性を悪化させますし、欠品は顧客満足度の低下を引き起こし、どちらも経営状況を悪化させてしまう要因となります。 リードタイム短縮 顧客の期待に応えるためには、生産から納品までのリードタイムを短縮することが必要です。 実際の工数はどれくらいで、どこにボトルネックがあるのか、それを基にどのような改善活動をしてリードタイムを短縮していくのか。 このような具体的なディスカッションを行うことで、競争力は向上していきます。 作業効率の改善 日本の労働人口はどんどん減少していっています。 この状況を加味すれば、より少ない人数で現状の生産を担保しないといけない時代がやってくることが予想されます。工場内の作業効率を高め、無駄な動きや待ち時間を最小限に抑えるための改善活動が重要です。 生産管理システムとは 上記のような課題を抱える製造業において、生産管理システムというのはこれらの課題を解決するための強力なツールであると言えます。 以下にシステム概要と、主な機能を説明しておきます。 生産管理システムの概要 生産管理システムとは、生産プロセス全体を効率的に管理・コントロールするためのソフトウェアです。 需要予測から生産計画、在庫管理、品質管理まで、多岐にわたる業務を統合的に管理します。 生産管理システムの主な機能 生産管理システムの機能として、主要な機能は以下のようなものが挙げられます。 需要予測:市場データを基に将来の需要を予測し、生産計画を立てます。 生産計画:効率的な生産スケジュールを作成し、リソースを最適に配分します。 在庫管理:リアルタイムで在庫状況を監視し、適正在庫を維持します。 品質管理:品質基準を設定し、製品がその基準を満たしているかを検査します。 工程管理:各工程の進捗を監視し、問題が発生した場合に迅速に対応します。 生産管理システムの導入方法 生産管理システムの導入は、以下のステップで進める必要があります。 現状分析:現在の生産プロセスを詳細に分析し、課題を明確にします。 要件定義:システムに求める機能や要件を定義します。 ベンダー選定:要件を満たすシステムを提供するベンダーを選定します。 導入計画:導入スケジュールやトレーニング計画を策定します。 システム導入:実際の導入作業を行い、テストを実施します。 運用開始:操作者・管理者向けのトレーニングを行い、システムの運用を開始します。 生産管理システム導入のメリット 生産管理システムを導入することで、多くのメリットが得られます。以下にその具体例をいくつか挙げます。 手作業の削減と間違い防止 手作業によるデータ入力や管理業務を自動化することで、人的ミスを減少させ、業務の正確性が向上します。 適正在庫の維持と過剰在庫抑制 リアルタイムで在庫状況を把握し、適正在庫を維持することで、過剰在庫や欠品のリスクを抑えることができます。 リードタイム短縮と納期遵守向上 生産プロセス全体を効率化することで、リードタイムを短縮し、納期遵守率を向上させます。 生産性と作業効率の大幅改善 各工程の無駄を排除し、作業効率を大幅に改善します。これにより、生産性が向上し、コスト削減が実現します。 ムダな動きや待ち時間の削減 リアルタイム監視とデータ分析により、ムダな動きや待ち時間を最小限に抑えることができます。 成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 生産管理システム導入の成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。 その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。 そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 生産管理システム導入の方法と注意点 生産管理システムを導入する際には、以下の点に注意することが重要です。 現状分析と課題の明確化:導入前に現状を詳細に分析し、解決すべき課題を明確にします。 要件定義の精度:システムに求める要件を正確に定義し、ベンダーとのコミュニケーションを密に行います。 トレーニングの徹底:システム導入後のトレーニングを徹底し、全社員がシステムを活用できるようにします。 継続的な改善:導入後も継続的にデータを分析し、システムの改善点を見つけて対応します。 システムを導入することがゴールではありません。あくまでシステムはツールのひとつですから、いかにどう活用するか、というのこそ重要なポイントと言えます。 まとめ 以上のように、生産管理は製造業において非常に重要な業務であり、その効率化や品質向上は企業の競争力を大きく左右します。 生産管理システムを導入することで、多くの課題を解決し、効率的な生産が実現可能です。 もちろん、システム導入には慎重な計画と実行が必要ですが、しっかりと導入効果を見据えた上で導入と活用が出来たのであれば、その効果は計り知れません。 今後の製造業の未来を考えれば、生産管理の重要性はますます高まることでしょう。 製造業が抱える課題 製造業においては、効率と品質を追求する中で様々な課題が存在します。その中でも特に以下の点が挙げられます。 需要変動への対応 市場の需要は常に変動しており、それに迅速に対応することが求められますが、非常に困難です。 需要予測が難しい場合、過剰な在庫を抱えるリスクや、逆に欠品のリスクが生じてしまいます。 適正在庫の維持 適正在庫の維持は、コスト削減と効率的な生産活動に直結します。 過剰在庫は保管コストを増加させ収益性を悪化させますし、欠品は顧客満足度の低下を引き起こし、どちらも経営状況を悪化させてしまう要因となります。 リードタイム短縮 顧客の期待に応えるためには、生産から納品までのリードタイムを短縮することが必要です。 実際の工数はどれくらいで、どこにボトルネックがあるのか、それを基にどのような改善活動をしてリードタイムを短縮していくのか。 このような具体的なディスカッションを行うことで、競争力は向上していきます。 作業効率の改善 日本の労働人口はどんどん減少していっています。 この状況を加味すれば、より少ない人数で現状の生産を担保しないといけない時代がやってくることが予想されます。工場内の作業効率を高め、無駄な動きや待ち時間を最小限に抑えるための改善活動が重要です。 生産管理システムとは 上記のような課題を抱える製造業において、生産管理システムというのはこれらの課題を解決するための強力なツールであると言えます。 以下にシステム概要と、主な機能を説明しておきます。 生産管理システムの概要 生産管理システムとは、生産プロセス全体を効率的に管理・コントロールするためのソフトウェアです。 需要予測から生産計画、在庫管理、品質管理まで、多岐にわたる業務を統合的に管理します。 生産管理システムの主な機能 生産管理システムの機能として、主要な機能は以下のようなものが挙げられます。 需要予測:市場データを基に将来の需要を予測し、生産計画を立てます。 生産計画:効率的な生産スケジュールを作成し、リソースを最適に配分します。 在庫管理:リアルタイムで在庫状況を監視し、適正在庫を維持します。 品質管理:品質基準を設定し、製品がその基準を満たしているかを検査します。 工程管理:各工程の進捗を監視し、問題が発生した場合に迅速に対応します。 生産管理システムの導入方法 生産管理システムの導入は、以下のステップで進める必要があります。 現状分析:現在の生産プロセスを詳細に分析し、課題を明確にします。 要件定義:システムに求める機能や要件を定義します。 ベンダー選定:要件を満たすシステムを提供するベンダーを選定します。 導入計画:導入スケジュールやトレーニング計画を策定します。 システム導入:実際の導入作業を行い、テストを実施します。 運用開始:操作者・管理者向けのトレーニングを行い、システムの運用を開始します。 生産管理システム導入のメリット 生産管理システムを導入することで、多くのメリットが得られます。以下にその具体例をいくつか挙げます。 手作業の削減と間違い防止 手作業によるデータ入力や管理業務を自動化することで、人的ミスを減少させ、業務の正確性が向上します。 適正在庫の維持と過剰在庫抑制 リアルタイムで在庫状況を把握し、適正在庫を維持することで、過剰在庫や欠品のリスクを抑えることができます。 リードタイム短縮と納期遵守向上 生産プロセス全体を効率化することで、リードタイムを短縮し、納期遵守率を向上させます。 生産性と作業効率の大幅改善 各工程の無駄を排除し、作業効率を大幅に改善します。これにより、生産性が向上し、コスト削減が実現します。 ムダな動きや待ち時間の削減 リアルタイム監視とデータ分析により、ムダな動きや待ち時間を最小限に抑えることができます。 成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 生産管理システム導入の成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。 その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。 そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 生産管理システム導入の方法と注意点 生産管理システムを導入する際には、以下の点に注意することが重要です。 現状分析と課題の明確化:導入前に現状を詳細に分析し、解決すべき課題を明確にします。 要件定義の精度:システムに求める要件を正確に定義し、ベンダーとのコミュニケーションを密に行います。 トレーニングの徹底:システム導入後のトレーニングを徹底し、全社員がシステムを活用できるようにします。 継続的な改善:導入後も継続的にデータを分析し、システムの改善点を見つけて対応します。 システムを導入することがゴールではありません。あくまでシステムはツールのひとつですから、いかにどう活用するか、というのこそ重要なポイントと言えます。 まとめ 以上のように、生産管理は製造業において非常に重要な業務であり、その効率化や品質向上は企業の競争力を大きく左右します。 生産管理システムを導入することで、多くの課題を解決し、効率的な生産が実現可能です。 もちろん、システム導入には慎重な計画と実行が必要ですが、しっかりと導入効果を見据えた上で導入と活用が出来たのであれば、その効果は計り知れません。 今後の製造業の未来を考えれば、生産管理の重要性はますます高まることでしょう。

生産管理とは?製造業における目的や業務内容・よくある課題とは?

2024.06.05

製造業における生産管理は、商品の品質や生産効率を最大化するために不可欠な業務です。 しかし、その具体的な内容や目的、そしてよくある課題について理解している人は意外と少ないかもしれません。 本コラムでは、生産管理の基本から、システム導入のメリット、さらに成功事例までを詳しく解説します。 生産管理とは? 生産管理とは、製造業において生産プロセス全体を計画・実行・監視・調整する業務を指します。 生産管理の目的としては、効率よく高品質な製品をタイムリーに過不足なく生産することです。 生産管理の目的 生産管理の主な目的は以下の通りです: 効率性の向上:無駄を排除し、リソースを最適に活用することで、生産コストを抑えます。 品質の確保:製品の品質を維持・向上させることで、顧客満足度を高めます。 納期の遵守:計画通りに製品を納品し、顧客の信頼を確保します。 生産管理と工程管理の違いとは 生産管理と工程管理は似ているようで異なる概念です。 生産管理では、工程を含めた全体のプロセスを管理するのに対し、工程管理は各工程を細か く監視し、問題が発生した際に迅速に対処することを指します。 生産管理の範囲と主な業務内容 生産管理は前述の通り、多岐にわたる業務を含みます。以下に主な業務内容を紹介します。 需要予測 市場や顧客の動向を分析し、将来的な需要を予測します。 これにより、無駄な在庫を抱えることなく、生産計画を立てることが可能です。 生産計画 需要予測を基に、生産スケジュールや必要なリソース(材料、人員、設備など)を計画します。 これにより、効率的な生産が可能となります。 調達・購買 必要な原材料や部品を適切なタイミングで調達することも、生産管理の重要な業務です。 遅延や不足が発生しないよう、供給チェーンを管理します。 工程管理 各生産工程が計画通りに進んでいるかを監視・管理します。 問題が発生した場合は迅速に対処し、生産ラインの停滞を防ぎます。 品質管理 製品の品質を維持・向上させるための管理業務です。 品質基準を設定し、製品がその基準を満たしているかを検査します。 在庫管理 原材料や製品の在庫を適切に管理し、過剰在庫や欠品を防ぎます。 在庫の最適化は、コスト削減と効率的な生産に直結します。 生産管理においてよくある課題 生産管理は多岐にわたる業務を含むため、以下のような課題が生じることがよくあります。 需要予測の不確実性: 需要予測は多くの場合、職人的な勘や経験がベースとなり行われています。 これが外れた場合、過剰在庫や欠品が発生するリスクがあります。 リソースの最適配分: リソースの配置についても、勘や経験で行われてしまうと人員や設備の過不足が生じてしまい、生産効率が低下することがあります。 品質管理の徹底: 品質基準を満たさない製品が出荷されてしまうと、当然顧客満足度が低下し、売り上げに影響が出てしまいます。 生産管理システム導入によるメリット 3 選 生産管理システムの導入は、これらの課題を解決する手段として非常に有効です。 以下にそのメリットを紹介します。 生産管理システム導入によるメリット①:データに基づいた判断・行動 収集したデータを基に分析を行い、改善点を特定することができます。 これにより、継続的な改善が実現し、生産効率や品質が向上します。 生産管理システム導入によるメリット②:リアルタイムでの稼働監視 リアルタイムで生産状況を監視できるため、問題が発生した際に迅速に対応できます。 これにより、生産ラインの停滞や不良品の生産などを最小限に抑えることが可能となります。 生産管理システム導入によるメリット③:業務効率の最適化 生産管理システムを導入することで、各工程の手で行われていた集計業務などが自動化され、効率が大幅に向上します。 手作業によるミスも減少し、正確なデータを基に最適な生産計画が立てられます。 生産管理システム導入までの流れ 生産管理システムの導入は、以下のステップで進めるとスムーズです。 現状分析:現在の生産プロセスを詳細に分析し、課題を洗い出します。 要件定義:解決すべき課題を基に、システムの要件や Tobe フロー図などを策定します。 ベンダー選定:要件を満たすシステムを提供するベンダーを選定します。 導入計画:導入スケジュールやトレーニング計画を策定します。 システム導入:実際の導入作業を行い、テストを実施します。 運用開始:トレーニングを行い、システムの運用を開始します。 生産管理システム導入の成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。 その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。 そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 まとめ 以上のように、生産管理は製造業において非常に重要な業務です。 この効率化や品質向上という部分は、企業の競争力を大きく左右するポイントです。 生産管理システムを導入することで、重要な多くの課題を解決し、効率的な生産を実現できるようになります。 今後、どんどん労働人口が減少していく日本の製造業において、生産管理の重要性はますます高まることでしょう。 是非、必要に応じてご検討いただければと思います。 製造業における生産管理は、商品の品質や生産効率を最大化するために不可欠な業務です。 しかし、その具体的な内容や目的、そしてよくある課題について理解している人は意外と少ないかもしれません。 本コラムでは、生産管理の基本から、システム導入のメリット、さらに成功事例までを詳しく解説します。 生産管理とは? 生産管理とは、製造業において生産プロセス全体を計画・実行・監視・調整する業務を指します。 生産管理の目的としては、効率よく高品質な製品をタイムリーに過不足なく生産することです。 生産管理の目的 生産管理の主な目的は以下の通りです: 効率性の向上:無駄を排除し、リソースを最適に活用することで、生産コストを抑えます。 品質の確保:製品の品質を維持・向上させることで、顧客満足度を高めます。 納期の遵守:計画通りに製品を納品し、顧客の信頼を確保します。 生産管理と工程管理の違いとは 生産管理と工程管理は似ているようで異なる概念です。 生産管理では、工程を含めた全体のプロセスを管理するのに対し、工程管理は各工程を細か く監視し、問題が発生した際に迅速に対処することを指します。 生産管理の範囲と主な業務内容 生産管理は前述の通り、多岐にわたる業務を含みます。以下に主な業務内容を紹介します。 需要予測 市場や顧客の動向を分析し、将来的な需要を予測します。 これにより、無駄な在庫を抱えることなく、生産計画を立てることが可能です。 生産計画 需要予測を基に、生産スケジュールや必要なリソース(材料、人員、設備など)を計画します。 これにより、効率的な生産が可能となります。 調達・購買 必要な原材料や部品を適切なタイミングで調達することも、生産管理の重要な業務です。 遅延や不足が発生しないよう、供給チェーンを管理します。 工程管理 各生産工程が計画通りに進んでいるかを監視・管理します。 問題が発生した場合は迅速に対処し、生産ラインの停滞を防ぎます。 品質管理 製品の品質を維持・向上させるための管理業務です。 品質基準を設定し、製品がその基準を満たしているかを検査します。 在庫管理 原材料や製品の在庫を適切に管理し、過剰在庫や欠品を防ぎます。 在庫の最適化は、コスト削減と効率的な生産に直結します。 生産管理においてよくある課題 生産管理は多岐にわたる業務を含むため、以下のような課題が生じることがよくあります。 需要予測の不確実性: 需要予測は多くの場合、職人的な勘や経験がベースとなり行われています。 これが外れた場合、過剰在庫や欠品が発生するリスクがあります。 リソースの最適配分: リソースの配置についても、勘や経験で行われてしまうと人員や設備の過不足が生じてしまい、生産効率が低下することがあります。 品質管理の徹底: 品質基準を満たさない製品が出荷されてしまうと、当然顧客満足度が低下し、売り上げに影響が出てしまいます。 生産管理システム導入によるメリット 3 選 生産管理システムの導入は、これらの課題を解決する手段として非常に有効です。 以下にそのメリットを紹介します。 生産管理システム導入によるメリット①:データに基づいた判断・行動 収集したデータを基に分析を行い、改善点を特定することができます。 これにより、継続的な改善が実現し、生産効率や品質が向上します。 生産管理システム導入によるメリット②:リアルタイムでの稼働監視 リアルタイムで生産状況を監視できるため、問題が発生した際に迅速に対応できます。 これにより、生産ラインの停滞や不良品の生産などを最小限に抑えることが可能となります。 生産管理システム導入によるメリット③:業務効率の最適化 生産管理システムを導入することで、各工程の手で行われていた集計業務などが自動化され、効率が大幅に向上します。 手作業によるミスも減少し、正確なデータを基に最適な生産計画が立てられます。 生産管理システム導入までの流れ 生産管理システムの導入は、以下のステップで進めるとスムーズです。 現状分析:現在の生産プロセスを詳細に分析し、課題を洗い出します。 要件定義:解決すべき課題を基に、システムの要件や Tobe フロー図などを策定します。 ベンダー選定:要件を満たすシステムを提供するベンダーを選定します。 導入計画:導入スケジュールやトレーニング計画を策定します。 システム導入:実際の導入作業を行い、テストを実施します。 運用開始:トレーニングを行い、システムの運用を開始します。 生産管理システム導入の成功事例 事例 1.食品加工 X 社 食品製造業においては、消費期限の問題もあり、在庫の効率的なコントロールが必要でした。 X 社では、今まで専任スタッフの経験で在庫管理と発注を行ってきており、専任スタッフの方の定年が数年後というタイミングで生産管理システムの導入に踏み切りました。 発注タイミングと発注量の最適化を行った結果、欠品率が 5%から 2%まで改善。生産と在庫管理の最適化だけでなく、顧客満足度向上を果たし、売上アップにつながりました。 事例 2.建材製造販売 Y 社 Y 社は建材の製造・販売を全国的に行う会社です。 生産管理システムと在庫管理システムを活用する事でデータの一元管理を実現し、KPI や閾値を設定して改善活動を推進しました。 結果、無駄な在庫を大幅に削減でき、大幅にキャッシュフローが改善しました。 事例 3.機械部品加工 Z 社 Z社は自動車のエンジン部品を中心に製造している会社です。 製品ごとの適正在庫水準が不明確で、製造管理は属人的に行われていました。 その結果、過剰在庫と欠品が頻繁に起きてしまい、非常に悩んでいました。 そこで、需要予測システムを活用することに決め、製品別の最適在庫を算出し、計画的な生産を行うような改革を行いました。 結果、総在庫数を 30%削減しつつ、欠品率を 5%から 1%に改善することができました。 まとめ 以上のように、生産管理は製造業において非常に重要な業務です。 この効率化や品質向上という部分は、企業の競争力を大きく左右するポイントです。 生産管理システムを導入することで、重要な多くの課題を解決し、効率的な生産を実現できるようになります。 今後、どんどん労働人口が減少していく日本の製造業において、生産管理の重要性はますます高まることでしょう。 是非、必要に応じてご検討いただければと思います。

工場の自動化 (ファクトリーオートメーション) とは?成功事例5選やメリット、実現までの流れを一挙解説!

2024.06.05

いつもご愛読いただきありがとうございます。 人件費高騰や人手不足、さらには生産性向上の必要性から、製造業における自動化の重要性が年々高まっています。 本記事では、工場の自動化とは何か、自動化を行う意義や具体的な事例、メリット・課題、そして自動化を実現するための適切な進め方を詳しく解説します。 工場の生産現場で働く方、自動化を検討されている経営者の皆様は、ぜひ最後までお読みください。 工場の自動化とは 工場の自動化とは、製造工程の一部または全工程において、人手に頼る作業を機械化・システム化することで、生産性の向上と品質の安定化を実現する取り組みのことを指します。 自動化の対象は、部品の搬送や組立て、溶接、塗装、検査など、あらゆる工程が含まれます。 また、生産の直接工程だけでなく、在庫管理や製造指示の発行などの間接工程についても、自動化をおこなうことが可能です。 なぜ工場の自動化が必要なのか? 工場における自動化のメリットは大きく、そのニーズは年々高まっています。主な理由は以下の通りです。 まず人件費の高騰です。製造業の人件費は上昇を続けており、自動化による省人化が、人件費削減のカギとなります。 例えば 2024 年の春闘における、組合員数 300 名以下の中小企業 (2123 社)の賃上げ率は、4.75%と、過去最高の賃上げ率を記録しています。(2024 年 4 月 18 日時点) 引用:https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/QCKCLLTJ6ZNWZOSLFMNJ5VP7FE-2024-04-18/ また、日系企業の海外拠点においても、平均賃金の上昇傾向が見られます。 図 A は、2020 年 1 月~2022 年 11 月における、在アメリカ日系製造業の平均時給の推移を示しています。 図 B では 2013 年~2023 年における、アジア各国の製造業の基本月給を比較しています。 図 A:2020 年 1 月~2022 年 11 月における、在米日系製造業の平均時給の推移 引用:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2023/ab437b35a1ad87e0.html 図 B:2013 年~2023 年における、アジア各国の製造業の基本月給の比較 引用:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/37977922f57e157a.html これらの内容を鑑みると、海外拠点においても人件費の高騰が見られることがわかります。 次に労働人口の減少と人手不足の課題があります。生産年齢人口の減少が深刻化する中、作業員の確保が困難になっており、足りない人手を自動化で補う必要があります。 日本の人口は、2005 年をピークに減少傾向にあります。総務省が出しているデータによると、2005 年~2050 年の間で、総人口は 3,300 万人減少、若年人口 (15 歳未満の者の人口)は約 900 万人減少、生産年齢人口は約 3,500 万人減少、高齢人口(65 歳以上の者の人口)は約 1,200 万人増加すると見込まれています。 図 日本における総人口の推移と予測 引用:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html 製造業においても、同様に人口減少の影響を受けています。総務省の労働力調査によると、2000 年~2019 年間において、若年層の就業者数割合が減少し、高齢者層の就業者数割合が増加しています。 現状でも人手不足を感じている企業様は多いかと思いますが、これからさらに人手不足が加速していくことが懸念されています。 図 就業者に占める若年者・高齢者の割合の推移 引用:総務省「労働力調査」 このように、工場の自動化は企業の根幹を左右する重要な経営課題となっているため、自動化を計画的に進めていく必要があります。 工場の自動化成功事例 5 選 次に、工場自動化の実際の成功事例をいくつかご紹介します。 工場の自動化成功事例①:A社 自動バリ取りロボット A 社ではロボットを使うことによって、工数がかかっていたバリ取り作業の自動化に成功しました。業種と自動化効果、投資金額は以下のようになっています。 業種 セラミック製品製造 自動化効果 年間工数 1019 時間削減・生産性 167%増 投資金額 1800 万円+6 軸ロボット費用 A 社の成功事例の特徴は、画像認識によりバリ取りパスを自動で生成している点です。自動生成されたパスに沿ってロボットが動作するため、品種ごとにティーチングプログラムを作成する必要がなく、超多品種少量生産に対応することができます。 本来ロボットを稼働させる際は、ティーチングと呼ばれるロボットのプログラムを人が作成する必要があります。そのためロボットでさまざまな製品の加工をおこなおうとすると、その数だけティーチングをおこなう必要があります。 A 社では、画像認識による自動プログラム作成を採用しているため、作業員が治具に製品を置けば、ロボットが自動でバリ取りをおこなってくれます。 工場の自動化成功事例②:S社 協働ロボット S 社では、協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 自動化効果 年間工数 1200 時間削減 投資金額 500 万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:日本&海外の協働ロボットメーカー16社の特徴を紹介! ⇒関連記事:協働ロボットの特徴と導入事例 工場の自動化成功事例③:C 社溶接ロボット・研磨ロボット C社では、高い品質が求められる製品において、溶接工程と研磨工程の自動化に成功しました。 業種 鈑金溶接品製造 自動化効果 溶接・研磨の熟練技術の継承に成功 投資金額 7700 万円 (うち 4000 万円は補助金) C社の成功事例の特徴は、非常に難易度の高い薄板ステンレスの TIG 溶接と鏡面研磨を最新技術を活用して自動化した点です。さらに投資金額 7700 万円のうち 4000 万円は事業再構築補助金を活用することにより投資コストを抑えています。 薄板の TIG 溶接は非常に熟練度が要求される作業であり、早い人でも製品として出荷できるレベルに達するまでには 5 年はかかる職人技術と言われています。また、C社の製品における研磨工程は鏡面仕上げとなっており相当の工数がかかっている状態でした。 これら難易度の高い職人技術を 6 軸力覚、加速度、位置センサー、アクティブ・コンプライアンス制御技術を用いて自動化に成功しました。 工場の自動化成功事例④:S社 AI 外観検査 S社では、樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 自動化効果 検査人員 2 名削減・1400 万円/年のコスト削減 投資金額 2400 万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 ⇒関連記事:AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは? 工場の自動化成功事例⑤:A社 協働ロボット A社では、100 台の協働ロボットを導入し、ワーク投入やエアブロー、検査などの自動化に成功しました。 業種 金属部品加工 自動化効果 人員 60名削減・2.5億/年のコスト削減 投資金額 協働ロボット 100台分 A社の成功事例の特徴は、S社と同様SIerレスで自動化に成功した点です。PLCが扱える人材を採用し、徹底してロボット活用の社内教育を行うことで、コストを抑えた圧倒的な自動化を実現しました。 総額では大きい投資となっていますが、それに見合うだけの費用対効果を実現しています。 さらに事例の詳細について気になる方は、1時間程度の無料相談会を活用ください。 HP 上には記載しきれていない、成功事例の詳細や、自動化に関する情報を余すことなくご提供させていただきます。 工場の自動化を行う3つのメリット 工場の自動化には大きなメリットがあります。主なものとして以下の3点が挙げられます。 工場の自動化を行うメリット①: 飛躍的な生産性の向上 自動化ラインでは 24 時間無休の連続稼働が可能で、機械の動作スピードと精度の高さから人手を遥かに上回る生産性が見込めます。動作速度の遅い協働ロボットを使ったとしても、夜間稼働や休日稼働を行うことで、生産性を向上させることができます。 工場の自動化を行うメリット②: 製品品質の均一化と不良率低減 人手作業では熟練度の差により品質のばらつきが避けられませんが、自動化ラインは完全にプログラムに基づいて動作するため、均一で高い品質を実現できます。また、検査工程の自動化も相まってさらなる不良低減も期待できます。近年では AI の技術が進歩し、従来では自動検査が難しかった製品においても、自動化・不良率の低減を行うことが可能になっています。 工場の自動化を行うメリット③: 安全性と労働環境の改善 危険度や負荷が高い作業を従業員におこなわせてしまっている…そんな企業様は一定数存在しているのではないでしょうか。 自動化をすることができれば、危険な作業や重労働から作業員を解放できるため、安全性が大きく向上します。特に、溶接や有害物質を扱う工程などでの恩恵は計り知れません。作業環境を整えることで、人材採用や人が辞めない環境づくりを行うことができます。 工場の自動化における3つの課題 工場の自動化にはたくさんの良い面がありますが、同時に課題も存在します。自動化における課題は、以下の3つに集約されます。 工場の自動化における課題①:初期投資コストの高さ 先述の事例紹介をご覧になるとおわかりかと思いますが、工場の自動化に必要な設備やシステムの導入には多額の初期投資が必要となります。 ロボットや制御システムの購入費用に加え、既存設備との統合や作業環境の改修費用も発生します。正直なところ、中小企業にとっては負担が大きく、自動化を見送らざるを得ないケースも一定数存在します。ただ、近年では“補助金バブル”と呼ばれるほど、国の補助金制度が充実しています。補助金を活用することで、通常よりも安価に自動化をおこなうことができます。 ⇒2024 年補助金動向予測はこちら 工場の自動化における課題②:熟練した技術者の確保の難しさ 自動化された設備を正しく運用し、メンテナンスできる専門技術者の確保が課題となります。特にロボット制御やシステムインテグレーションに精通した人材は不足しており、また技術者の育成には時間と費用がかかります。 工場の自動化における課題③:柔軟性の欠如 自動化された工程は非常に効率的ですが、製品の仕様変更や異種製品の生産には不向きです。 設備をカスタマイズするための工事が必要になるなど、柔軟性に欠ける傾向にあります。失敗しないためには、上流工程における自社に即した要件定義が非常に重要です。また、協働ロボットであれば、ロボット自体を移動させることが可能なため、比較的柔軟に品種追加や仕様変更に対応することができます。 ⇒協働ロボットの特徴と導入事例 工場の自動化を実現するための流れ 工場の自動化を実現するためには、以下のような流れが一般的です。 図 工場の自動化フロー 特に重要なのは、「7.要求仕様書の作成」です。要求仕様書とは、自動化のために必要な仕様をSIerに要求する仕様書のことを指します。 適切な要求仕様書を作ることができなければ、要件が曖昧になり、トラブルが発生する可能性が高まります。 作成難易度が非常に高い要求仕様書ですが、適切な要求仕様書が作成できなければ、思い描くような自動化をおこなうことはできません。 ⇒関連記事:「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」の違いとは!?基本の流れと重要性、記載内容について解説! 工場の自動化を実現する際の3つのポイント 最後に、工場の自動化を成功させる際におさえておくべき3つのポイントについて紹介します。 工場の自動化を実現する際のポイント①:全社を挙げて自動化に取り組む 工場の自動化は、時間・工数・お金などのさまざまな労力をかけることで達成されます。生産現場だけ、経営層だけでプロジェクトを推進しても、思い描く自動化を実現することは非常に難しいです。“経営層の強力なリーダーシップ”、“現場スタッフの理解と協力”この両輪があって初めて、自動化プロジェクトは成しえます。自動化への意識改革を促し、スムーズな移行を図るためにも全社一丸となった体制作りが重要です。 工場の自動化を実現する際のポイント②:段階的なアプローチ “自動化したい“という思いや構想が先行し、一気に自動化を進めてしまうと、失敗する可能性が高まります。寧ろ急激に自動化を進めてしまうと、現場の作業員が変化を許容することができなくなり、自動化に対して苦手意識をもってしまう懸念があります。 そのため、最初は一部の工程から自動化を始め、その効果を確認しながら、徐々に自動化範囲を広げていくアプローチが望ましいでしょう。トライ&エラーを重ねながら自動化ノウハウを蓄積し、リスクを最小限に抑えることができます。また、現場の作業員の方の成功体験を少しずつ積んでいくことで、社内の自動化推進をさらに進めることができます。 工場の自動化を実現する際のポイント③:外部企業の利用 自社内に自動化に関する知見を持っている社員がいれば、その社員を主導にしてプロジェクトを推進していくのが良いでしょう。しかし、そんな知見を持っている社員が在籍していない企業様もいらっしゃるかと思います。そんな企業様は、外部企業を頼ることを強くおすすめします。 コンサルを利用する 工場の自動化をおこなう際は、コンサルティング会社を利用することを強くおすすめします。 さまざまある課題のうち、どこから自動化をおこなえば良いのか? どんどん新しい技術が出てきているが、どんなサービスが自社に合っているのか? 目の前の仕事もおこないながら、自動化プロジェクトを完遂することができるのか? など、自動化に関するお悩みは多岐に渡ります。 コンサルティング会社を活用することで、自社内のみで取り組むよりも速く、かつ精度高くプロジェクトを成功させることができます。 船井総研では、以下を強みとしながらコンサルティングをおこなっております。 製造業専門×自動化専門のコンサルタントがおこなう要件定義 作成難易度が高い、要求仕様書の作成代行 SIer 選定/設備の価格交渉 設備導入後の運用面もサポート ご相談をご希望の方は以下のフォームよりお問い合わせください。 まとめ 工場の自動化は生産性向上や人手不足対策、品質向上など、さまざまなメリットが期待できる一方で、初期コストの高さや技術者の確保、柔軟性の欠如といった課題もあります。 しかし、適切な手順と対策を講じることで、これらの課題を乗り越え、自動化を着実に実現できるはずです。 経営層の強力なリーダーシップと、全社員の理解と協力の下、段階的な取り組みと人材育成を行うことが成功の鍵となります。 船井総研では、工場における自動化コンサルティングをおこなっております。 ご興味をお持ちの方は 1 時間程度の、無料相談会を活用ください。 自動化専門のコンサルタントが、対応させていただきます。 いつもご愛読いただきありがとうございます。 人件費高騰や人手不足、さらには生産性向上の必要性から、製造業における自動化の重要性が年々高まっています。 本記事では、工場の自動化とは何か、自動化を行う意義や具体的な事例、メリット・課題、そして自動化を実現するための適切な進め方を詳しく解説します。 工場の生産現場で働く方、自動化を検討されている経営者の皆様は、ぜひ最後までお読みください。 工場の自動化とは 工場の自動化とは、製造工程の一部または全工程において、人手に頼る作業を機械化・システム化することで、生産性の向上と品質の安定化を実現する取り組みのことを指します。 自動化の対象は、部品の搬送や組立て、溶接、塗装、検査など、あらゆる工程が含まれます。 また、生産の直接工程だけでなく、在庫管理や製造指示の発行などの間接工程についても、自動化をおこなうことが可能です。 なぜ工場の自動化が必要なのか? 工場における自動化のメリットは大きく、そのニーズは年々高まっています。主な理由は以下の通りです。 まず人件費の高騰です。製造業の人件費は上昇を続けており、自動化による省人化が、人件費削減のカギとなります。 例えば 2024 年の春闘における、組合員数 300 名以下の中小企業 (2123 社)の賃上げ率は、4.75%と、過去最高の賃上げ率を記録しています。(2024 年 4 月 18 日時点) 引用:https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/QCKCLLTJ6ZNWZOSLFMNJ5VP7FE-2024-04-18/ また、日系企業の海外拠点においても、平均賃金の上昇傾向が見られます。 図 A は、2020 年 1 月~2022 年 11 月における、在アメリカ日系製造業の平均時給の推移を示しています。 図 B では 2013 年~2023 年における、アジア各国の製造業の基本月給を比較しています。 図 A:2020 年 1 月~2022 年 11 月における、在米日系製造業の平均時給の推移 引用:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2023/ab437b35a1ad87e0.html 図 B:2013 年~2023 年における、アジア各国の製造業の基本月給の比較 引用:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/37977922f57e157a.html これらの内容を鑑みると、海外拠点においても人件費の高騰が見られることがわかります。 次に労働人口の減少と人手不足の課題があります。生産年齢人口の減少が深刻化する中、作業員の確保が困難になっており、足りない人手を自動化で補う必要があります。 日本の人口は、2005 年をピークに減少傾向にあります。総務省が出しているデータによると、2005 年~2050 年の間で、総人口は 3,300 万人減少、若年人口 (15 歳未満の者の人口)は約 900 万人減少、生産年齢人口は約 3,500 万人減少、高齢人口(65 歳以上の者の人口)は約 1,200 万人増加すると見込まれています。 図 日本における総人口の推移と予測 引用:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html 製造業においても、同様に人口減少の影響を受けています。総務省の労働力調査によると、2000 年~2019 年間において、若年層の就業者数割合が減少し、高齢者層の就業者数割合が増加しています。 現状でも人手不足を感じている企業様は多いかと思いますが、これからさらに人手不足が加速していくことが懸念されています。 図 就業者に占める若年者・高齢者の割合の推移 引用:総務省「労働力調査」 このように、工場の自動化は企業の根幹を左右する重要な経営課題となっているため、自動化を計画的に進めていく必要があります。 工場の自動化成功事例 5 選 次に、工場自動化の実際の成功事例をいくつかご紹介します。 工場の自動化成功事例①:A社 自動バリ取りロボット A 社ではロボットを使うことによって、工数がかかっていたバリ取り作業の自動化に成功しました。業種と自動化効果、投資金額は以下のようになっています。 業種 セラミック製品製造 自動化効果 年間工数 1019 時間削減・生産性 167%増 投資金額 1800 万円+6 軸ロボット費用 A 社の成功事例の特徴は、画像認識によりバリ取りパスを自動で生成している点です。自動生成されたパスに沿ってロボットが動作するため、品種ごとにティーチングプログラムを作成する必要がなく、超多品種少量生産に対応することができます。 本来ロボットを稼働させる際は、ティーチングと呼ばれるロボットのプログラムを人が作成する必要があります。そのためロボットでさまざまな製品の加工をおこなおうとすると、その数だけティーチングをおこなう必要があります。 A 社では、画像認識による自動プログラム作成を採用しているため、作業員が治具に製品を置けば、ロボットが自動でバリ取りをおこなってくれます。 工場の自動化成功事例②:S社 協働ロボット S 社では、協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂切削加工品製造 自動化効果 年間工数 1200 時間削減 投資金額 500 万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:日本&海外の協働ロボットメーカー16社の特徴を紹介! ⇒関連記事:協働ロボットの特徴と導入事例 工場の自動化成功事例③:C 社溶接ロボット・研磨ロボット C社では、高い品質が求められる製品において、溶接工程と研磨工程の自動化に成功しました。 業種 鈑金溶接品製造 自動化効果 溶接・研磨の熟練技術の継承に成功 投資金額 7700 万円 (うち 4000 万円は補助金) C社の成功事例の特徴は、非常に難易度の高い薄板ステンレスの TIG 溶接と鏡面研磨を最新技術を活用して自動化した点です。さらに投資金額 7700 万円のうち 4000 万円は事業再構築補助金を活用することにより投資コストを抑えています。 薄板の TIG 溶接は非常に熟練度が要求される作業であり、早い人でも製品として出荷できるレベルに達するまでには 5 年はかかる職人技術と言われています。また、C社の製品における研磨工程は鏡面仕上げとなっており相当の工数がかかっている状態でした。 これら難易度の高い職人技術を 6 軸力覚、加速度、位置センサー、アクティブ・コンプライアンス制御技術を用いて自動化に成功しました。 工場の自動化成功事例④:S社 AI 外観検査 S社では、樹脂成形製品の目視検査をAI外観検査で自動化に成功しました。 業種 樹脂成型品製造 自動化効果 検査人員 2 名削減・1400 万円/年のコスト削減 投資金額 2400 万円 S社の成功事例の特徴は、製品自体を回転させながら撮像をおこない、AIに不良品判定を行わせている点です。 S社では、通常では検査が難しい透明の円筒形製品検査の自動化に取り組みました。製品自体を回転させ、且つ撮像した製品画像をAIで処理することで、不良品判定の自動化を成功させました。 明確な金額は記載しませんが、S社も補助金を活用することで投資費用を抑えています。 ⇒関連記事:AI外観検査とは?従来の画像検査との違い、導入のメリットや注意点とは? 工場の自動化成功事例⑤:A社 協働ロボット A社では、100 台の協働ロボットを導入し、ワーク投入やエアブロー、検査などの自動化に成功しました。 業種 金属部品加工 自動化効果 人員 60名削減・2.5億/年のコスト削減 投資金額 協働ロボット 100台分 A社の成功事例の特徴は、S社と同様SIerレスで自動化に成功した点です。PLCが扱える人材を採用し、徹底してロボット活用の社内教育を行うことで、コストを抑えた圧倒的な自動化を実現しました。 総額では大きい投資となっていますが、それに見合うだけの費用対効果を実現しています。 さらに事例の詳細について気になる方は、1時間程度の無料相談会を活用ください。 HP 上には記載しきれていない、成功事例の詳細や、自動化に関する情報を余すことなくご提供させていただきます。 工場の自動化を行う3つのメリット 工場の自動化には大きなメリットがあります。主なものとして以下の3点が挙げられます。 工場の自動化を行うメリット①: 飛躍的な生産性の向上 自動化ラインでは 24 時間無休の連続稼働が可能で、機械の動作スピードと精度の高さから人手を遥かに上回る生産性が見込めます。動作速度の遅い協働ロボットを使ったとしても、夜間稼働や休日稼働を行うことで、生産性を向上させることができます。 工場の自動化を行うメリット②: 製品品質の均一化と不良率低減 人手作業では熟練度の差により品質のばらつきが避けられませんが、自動化ラインは完全にプログラムに基づいて動作するため、均一で高い品質を実現できます。また、検査工程の自動化も相まってさらなる不良低減も期待できます。近年では AI の技術が進歩し、従来では自動検査が難しかった製品においても、自動化・不良率の低減を行うことが可能になっています。 工場の自動化を行うメリット③: 安全性と労働環境の改善 危険度や負荷が高い作業を従業員におこなわせてしまっている…そんな企業様は一定数存在しているのではないでしょうか。 自動化をすることができれば、危険な作業や重労働から作業員を解放できるため、安全性が大きく向上します。特に、溶接や有害物質を扱う工程などでの恩恵は計り知れません。作業環境を整えることで、人材採用や人が辞めない環境づくりを行うことができます。 工場の自動化における3つの課題 工場の自動化にはたくさんの良い面がありますが、同時に課題も存在します。自動化における課題は、以下の3つに集約されます。 工場の自動化における課題①:初期投資コストの高さ 先述の事例紹介をご覧になるとおわかりかと思いますが、工場の自動化に必要な設備やシステムの導入には多額の初期投資が必要となります。 ロボットや制御システムの購入費用に加え、既存設備との統合や作業環境の改修費用も発生します。正直なところ、中小企業にとっては負担が大きく、自動化を見送らざるを得ないケースも一定数存在します。ただ、近年では“補助金バブル”と呼ばれるほど、国の補助金制度が充実しています。補助金を活用することで、通常よりも安価に自動化をおこなうことができます。 ⇒2024 年補助金動向予測はこちら 工場の自動化における課題②:熟練した技術者の確保の難しさ 自動化された設備を正しく運用し、メンテナンスできる専門技術者の確保が課題となります。特にロボット制御やシステムインテグレーションに精通した人材は不足しており、また技術者の育成には時間と費用がかかります。 工場の自動化における課題③:柔軟性の欠如 自動化された工程は非常に効率的ですが、製品の仕様変更や異種製品の生産には不向きです。 設備をカスタマイズするための工事が必要になるなど、柔軟性に欠ける傾向にあります。失敗しないためには、上流工程における自社に即した要件定義が非常に重要です。また、協働ロボットであれば、ロボット自体を移動させることが可能なため、比較的柔軟に品種追加や仕様変更に対応することができます。 ⇒協働ロボットの特徴と導入事例 工場の自動化を実現するための流れ 工場の自動化を実現するためには、以下のような流れが一般的です。 図 工場の自動化フロー 特に重要なのは、「7.要求仕様書の作成」です。要求仕様書とは、自動化のために必要な仕様をSIerに要求する仕様書のことを指します。 適切な要求仕様書を作ることができなければ、要件が曖昧になり、トラブルが発生する可能性が高まります。 作成難易度が非常に高い要求仕様書ですが、適切な要求仕様書が作成できなければ、思い描くような自動化をおこなうことはできません。 ⇒関連記事:「要件定義書」と「要求仕様書・RFP」の違いとは!?基本の流れと重要性、記載内容について解説! 工場の自動化を実現する際の3つのポイント 最後に、工場の自動化を成功させる際におさえておくべき3つのポイントについて紹介します。 工場の自動化を実現する際のポイント①:全社を挙げて自動化に取り組む 工場の自動化は、時間・工数・お金などのさまざまな労力をかけることで達成されます。生産現場だけ、経営層だけでプロジェクトを推進しても、思い描く自動化を実現することは非常に難しいです。“経営層の強力なリーダーシップ”、“現場スタッフの理解と協力”この両輪があって初めて、自動化プロジェクトは成しえます。自動化への意識改革を促し、スムーズな移行を図るためにも全社一丸となった体制作りが重要です。 工場の自動化を実現する際のポイント②:段階的なアプローチ “自動化したい“という思いや構想が先行し、一気に自動化を進めてしまうと、失敗する可能性が高まります。寧ろ急激に自動化を進めてしまうと、現場の作業員が変化を許容することができなくなり、自動化に対して苦手意識をもってしまう懸念があります。 そのため、最初は一部の工程から自動化を始め、その効果を確認しながら、徐々に自動化範囲を広げていくアプローチが望ましいでしょう。トライ&エラーを重ねながら自動化ノウハウを蓄積し、リスクを最小限に抑えることができます。また、現場の作業員の方の成功体験を少しずつ積んでいくことで、社内の自動化推進をさらに進めることができます。 工場の自動化を実現する際のポイント③:外部企業の利用 自社内に自動化に関する知見を持っている社員がいれば、その社員を主導にしてプロジェクトを推進していくのが良いでしょう。しかし、そんな知見を持っている社員が在籍していない企業様もいらっしゃるかと思います。そんな企業様は、外部企業を頼ることを強くおすすめします。 コンサルを利用する 工場の自動化をおこなう際は、コンサルティング会社を利用することを強くおすすめします。 さまざまある課題のうち、どこから自動化をおこなえば良いのか? どんどん新しい技術が出てきているが、どんなサービスが自社に合っているのか? 目の前の仕事もおこないながら、自動化プロジェクトを完遂することができるのか? など、自動化に関するお悩みは多岐に渡ります。 コンサルティング会社を活用することで、自社内のみで取り組むよりも速く、かつ精度高くプロジェクトを成功させることができます。 船井総研では、以下を強みとしながらコンサルティングをおこなっております。 製造業専門×自動化専門のコンサルタントがおこなう要件定義 作成難易度が高い、要求仕様書の作成代行 SIer 選定/設備の価格交渉 設備導入後の運用面もサポート ご相談をご希望の方は以下のフォームよりお問い合わせください。 まとめ 工場の自動化は生産性向上や人手不足対策、品質向上など、さまざまなメリットが期待できる一方で、初期コストの高さや技術者の確保、柔軟性の欠如といった課題もあります。 しかし、適切な手順と対策を講じることで、これらの課題を乗り越え、自動化を着実に実現できるはずです。 経営層の強力なリーダーシップと、全社員の理解と協力の下、段階的な取り組みと人材育成を行うことが成功の鍵となります。 船井総研では、工場における自動化コンサルティングをおこなっております。 ご興味をお持ちの方は 1 時間程度の、無料相談会を活用ください。 自動化専門のコンサルタントが、対応させていただきます。

システム選定が上手くいかない根本原因とは?

2024.05.29

1.なぜ、システム選定が上手く進まないのか? 現在、各種メディアで「DX(デジタルトランスフォーメーション)」というキーワードが 当たり前のように使われていることもあってか、 船井総研にも多種多様な業界・業種のお客様から システム投資・システム導入に関するご相談を頂く機会が増えてきています。 そのような中で、最近特に印象的なのが、 「自社でシステム導入を検討しているが、どうも上手くいかない…」 「システムベンダーの選定が非常に難しく、苦労している…」 という趣旨のご相談です。 なぜ、システム選定が上手く進まないのか? それぞれ異なる会社から同様のご相談を頂く中で、 「システム選定が上手くいかない根本原因」として、 大きく2つの共通項が見えてきました。 【システム選定が上手くいかない2つの根本原因】 ①自社における「システム導入の目的・方針」が明確に定まっていない。 ②自社の既存業務やルールの見直し・整理を実施していない。 それぞれ補足していきます。 2.システム選定が上手くいかない2つの根本原因 ①自社における「システム導入の目的・方針」が明確に定まっていない なんとなく「自動化」「効率化」といったキーワードは浮かぶものの、 「誰の」「どのような課題」を優先的に解決するためのシステムなのか?が 社内の方針としてはっきりと決まっていない…というケースは意外と多いです。 一例としては、経営層の中では課題意識が比較的明確であるものの、 現場担当者のレベルでは「何のためにシステムを入れるのか?」を 腹落ちして理解できていないというケースがあります。 また、その逆のパターンもいわば「あるある」な現象で、 現場担当者は非常に強い課題意識があるものの、 その熱量が経営層に伝わっておらず、 経営層の中での理解が追い付いていないというケースもあります。 「いや、ウチの会社ではそんなことはないよ~」 とコメントを頂くこともありますが、 実際にそのお客様の内部に入り込んでいくと、 個別には課題らしきことが挙がる一方で、 会社全体を見渡して考えたときに、 課題の整理や優先順位付けが間に合っていないというパターンはよくあります。 システム導入の目的・方針について、 社内の関係者間で議論する時間が十分に確保できず、 ズルズルと時間だけが過ぎ去ってしまう…。 結果としてシステムの選定が上手に進まない…。 このような事態を避けるためにも、 まずはシステム導入の前段階で、 「3ヶ月」や「6か月」等の期間を決めて 社内で目的・方針を固める時間を 意図的に確保することをおすすめします。 ②自社の既存業務やルールの見直し・整理を実施していない。 仕事柄、システム会社の方とやり取りをする機会が多々ありますが、 システム導入を検討しているお客様の中には、 「現状の業務をすべてそのままシステム化しようとしている」 「“システムさえ入れれば何とかなる!”と思い込んでいる」 というお考えをお持ちの方も一定数いらっしゃるようです。 極論、青天井に費用をかければ 実現できないこともないかもしれませんが、 実際には、 投資できる費用に限りがある システムを入れたとしても、現場担当者が使えるシステムでないと意味がないと考えている という方が大多数ではないでしょうか。 システム化の対象範囲や搭載する機能が増えれば増えるほど、 どうしても導入コストが高額になってしまい、 システム自体も複雑なものになってしまう傾向があります。 そうなると、システム選定自体が頓挫するリスクも高まってしまいます。 システム化に伴うコストを低減し、 現実的にシステム導入を進めていくためには、 これまでの会社の常識や前任者の名残りで、既存業務の標準化が進んでいない業務はないか? 客観的に考えると特に競争優位になっていないのに、「単に複雑なだけ」の業務が残っていないか? よくよく聞いてみると実施目的が曖昧だが、これまでの慣習で残ったままになっている業務はないか? 自社の業績アップ(売上アップ・利益アップ・コスト削減)に貢献しているかどうか不透明な業務はないか? 等の客観的かつ経営的な観点から、 現状を俯瞰し整理していくことが必要です。 「システムへの投資後」ではなく、 「システムに投資する前」の段階で、 既存業務のあり方や目的等を問い直し、 その上で既存業務の簡素化・再定義を進めていくことが、 「システム化に伴うコスト低減」に向けた第一歩となります。 システム導入を契機として、 導入するシステムに合わせて 既存業務のあり方を調整・変更するのが成功パターン ということですね。 是非、皆様の会社でも参考にしていただければ幸いです。 ■関連するセミナーのご案内 建築資材製造業のための脱Excel&脱紙伝票管理!セミナー ~ERP・基幹システム導入を通じて「”脱”Excel管理」「”脱”紙伝票管理」を実現し生産性アップ!~ セミナー詳細・申込はこちらから↓↓↓ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115915 ERP導入を通じて「“脱”Excel管理」「“脱”紙伝票」を実現!建築資材製造業における生産性アップの最新事例を大公開! 散在するExcel・紙伝票管理から脱却し高生産性を実現! 脱属人化を推進!「熟練者頼みの伝票作成業務」の自動化を実現! バラバラなシステムを一元管理することで二重三重業務を排除! 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ERP導入をきっかけに「工程管理・生産管理等のムダ」を大幅に削減! ERP導入をきっかけに「製品個別の原価管理」を実践! 船井総研コンサルタントによる事例解説 お申し込みはこちらから⇒ https://www.funaisoken.co.jp/seminar/115915 【製造業 2024年基幹システム活用時流予測レポート ~今後の見通し・業界動向・トレンド~】 ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 国内製造業における現状とトレンド 現代の日本社会における国内製造業の特徴として、就業者数が下降傾向である一方、コロナに関係無く売上・利益ともに増加傾向を遂げていることとが挙げられます。また、2000年以降の本格的な海外展開により中堅中小企業も海外に進出していることから、今後の国内製造業において「グローバル経営」は必要不可欠となってくるでしょう。 しかし、現在の国内製造業の多くはグローバルビジネス展開に必要な真の経営ができていないことが推測できます。では、グローバルビジネス展開に必要な真の経営とはなんでしょう。企業がグローバル経営を進めるにあたって、国内外双方のデータの把握を徹底することは押さえておくべき要点となってきます。 国内製造業において高齢化・属人化・人手不足がネックとなる中、グローバル経営を進めるにはDX化による属人化・職人化の排除が不可欠です。基幹システム(ERP)の導入が有するメリットは大きく、その代表例として経営・現場データ可視化や海外拠点も含むデータ一元化などが挙げられます。国内製造業におけるDX化は利益向上につながると同時に、海外展開を進めるうえでも重要なカギとなってくるでしょう。 本レポートでは、国内製造業の現状と課題の解説に加え、DX化の現状や業務改善を伴うDX化成功のポイント、基幹システム導入の成功事例など、国内製造業を幅広く網羅しております。旧態依然とした企業経営から製造業における基幹システム(ERP)を構築・導入を試みたい、基幹システム(ERP)の活用成功事例を知りたい経営者様は是非お目通しください。 https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/jy-core-system_S045