記事公開日:2022.03.01
最終更新日:2023.01.20
製造業で生産性を最大化させるための統合型基幹システム導入の方法
過去、当コラムでは統合型基幹システム(以下、ERP)について、ERP導入に失敗してしまう事例と、ERP導入を通して生産性を向上させるためのポイントを紹介してきました。
ERPに限った話ではなく、レガシーシステムといわれる作られてから長い年月が経ったシステムに対する問題意識は高まるばかりです。
そちらに言及していることで有名なDXレポート内の“2025年の崖問題”について、改めて簡単におさらいをしておきたいと思います。
1.2025年までに表面化する問題(2025年の崖問題)
【2025年までに表面化する問題(2025年の崖問題)】
- 先端技術を持った人材不足
- 古いプログラミング技術を持った人材の減少
- 上記に伴う、既存システムの保守運用コスト増大
- データは増えるが活用できなくなり、競争力低下
- セキュリティ面のリスクの増大
優秀な人材不足と、古いがゆえに限られた人間にしかメンテナンスできないシステムは非常にコストがかかります。セキュリティ面も脆弱であることから、リスクは時間がたつごとに徐々に大きくなっていきます。
データはたまっていくものの活用できず、周りの変革にも後れをとり、古いシステムを使っている事のデメリットは時間の経過とともに大きくなっていきます。
同レポートの中でレガシーシステムが“ない”と答えたのは機械器具製造業で10.9%、素材製造業では14.3%にすぎません。
約85%~90%の企業は古いシステムを所持していることとなりますから他人事ではありません。
コロナ禍を契機にDX推進、つまりITを利用しての生産性向上に注目が多く集まったこともあり、この問題への対応が急務となっているわけです。
2.統合型基幹システム導入によるメリット
さて、DX推進という言葉を出しましたが、2025年の崖問題解決に関しても、DX推進に関しても共通するキーワードは“生産性の向上”です。
やみくもにシステムやITツールを導入し、とりあえず全てデジタル処理すればDXかと言われればそういうことではありません。
結果として経営を助けることに繋がらなければ意味がありません。
製造業における生産性向上の方法といわれると、どのようなものが思い浮かぶでしょうか。
おそらく、産業ロボットの導入を伴う工場の自動化・省人化や、AIを活用しての工数削減、生産計画の自動化や職人的な技術の広い継承など、おそらく様々な方法が思い浮かぶのではないでしょうか。
それでは、統合型基幹システムの導入や刷新というのは、どのような課題を解決して生産性向上につながるのかをお話ししたいと思います。
大きなポイントとして、統合型基幹システムというのは経営活動に欠かせない販売系システム、購買系システム、生産系システム、会計系システムの数々を統合したものだということです。
それぞれのシステムを一つにまとめることで生まれるメリットは大きく3つです。
- 複数のシステムを利用する際に生まれる同じデータの入力などの無駄な業務を排除できる
- データを一括管理することができるため、セキュリティの一括管理が可能
- リアルタイムなデータ蓄積により的確な経営分析・判断が可能
特筆すべきは3番のリアルタイムでのデータ活用を容易にした点です。
多くの企業で経営判断に必要な分析資料は多くの場合Excelで、とても時間をかけて作られています。
データを一つにまとめていないと、
“Aというシステムからデータを出し、Bというシステムのデータとくっつけて、更にCのシステムからもデータを引用して…”
など、なかなかタイムリーに確認するには難しく、時間も労力もかかります。
近年になってBIツールと呼ばれるデータ収集・グラフ化をボタン一つで可能にするツールと併用すると、それこそボタン一つでリアルタイムに欲しい情報を手に入れることができるようになります。
毎月〆作業から2-3営業日かかっていた業績資料が即日見ることができれば…、月中であっても途中経過を見ることができれば…そんな願いを叶えることに繋がることとなります。
(もちろん、あくまでデータが一か所にまとまるだけですので、それを活用する方法は別途設定する必要があります)
このように、大切な情報を一元管理することは、効率的な活用につなげるための第一歩です。
効率的な運用方法が明確になれば、現場の業務フローもそれに合わせて最適化することが可能となるということも挙げられるかと思います。
3.統合型基幹システム導入の注意点は?
最後に、導入における注意点をお話ししたいと思います。
これは、どのシステム導入においても言えることですが、どんなに高額で多機能なシステムであろうと活用できないことには意味がない、ということです。
ここでの活用というのは、従業員がシステムを利用することではありません。
利用されている上で、現場を巻き込んで効率的な業務フローが構築できていて、改善を積み重ねられる環境になっているかどうか、ということです。
導入前にはシステムの持つ機能ばかりが着目されがちですが、現場での具体的な活用と改善手法についてはしっかりと想定する必要があります。
例えばですが、
原価計算するためにはどのような情報を打ち込む必要があるのか…
経営陣が欲しいデータはどのような数値の入力を必要とするのか…
データを活用するためにはそもそもどのようなマスター情報を登録する必要があるのか…
その情報を集めるために現場ではどんなルールが必要なのか…
などなど。
実は多くの企業でこういった部分が見落とされ、ただデータがひとつのところにまとまっているだけ、になってしまっている実態があるのです。
統合型基幹システムというのは非常に便利なシステムです。ただし、様々な業務に関係しているということもあり、導入前にしっかりとした要件定義と導入後の活用方法を検討する必要があります。
こういった課題を克服し、実際に基幹システムを導入した事例を紹介したレポートを皆様に公開しております。
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