記事公開日:2024.03.26
最終更新日:2024.03.26

DX推進担当者向け「DX対応レベルの把握とDX化戦略の策定」

いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。

DXは対応レベルによってデジタイゼーション(情報のデジタル化、部分的な業務デジタル化)、デジタライゼーション(組織全体の業務デジタル化)、そしてデジタルトランスフォーメーション(対外含めたデジタル化による変革)の3段階で構成されています。
デジタイゼーションによって情報のデジタル化や部分的な業務のデジタル化を進め、その後にデジタライゼーションによって業務デジタル化の範囲を組織全体に拡大・業務生産性の向上を図り、最終的にデジタルトランスフォーメーションによって変革を実現していくことが求められています。
これにより、組織やビジネスが徐々に成長し、変化に柔軟に対応できるようになります。
企業がDX化を推進するにあたっては、DX対応レベルを把握したうえでDX化戦略を策定することが肝要です。
以降では、デジタイゼーション、デジタライゼーション、およびデジタルトランスフォーメーションについて詳しく説明します。

1.デジタイゼーションとは

デジタイゼーションとは、アナログ情報や非デジタルの情報をデジタルデータ化することや、部分的に業務をデジタル化することを指します。
具体的には、紙の文書をスキャンして電子化することや文書をExcel等のツールで作成すること、承認プロセスにおける印鑑の廃止、対面での会議をzoom等を用いてWeb会議化することなどがデジタイゼーションにあたります。
デジタイゼーションを行うことで、情報を効率的に管理しやすくなり、検索や利活用が容易になります。
また、デジタルデータとして保存された情報は、コピーの作成や簡単な修正が容易であり、データのバックアップや保管もしやすくなります。
その他にも、業務をデジタル化することで業務効率が向上し、作業時間の短縮が期待されます。
デジタイゼーションは、以降で説明するデジタライゼーションやデジタルトランスフォーメーションを実行するための最初のステップと言えます。

  • 紙書類の電子化(Excel、PDF等)
  • 印鑑の廃止
  • Web会議の導入

2.デジタライゼーションとは

デジタライゼーションとは、組織全体の業務フロー・プロセスのデジタル化や、デジタルツールを活用してさらに業務生産性を高めることを指します。
具体的には、業務改善を実施して業務を効率化・簡素化を実施したうえで、ワークフローシステムなどを導入して一連の業務をデジタル化すること、すでに導入されたシステム間でデータを連携することで同じ情報の二重三重の入力を廃止すること、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を用いた入力業務の自動化などがデジタライゼーションにあたります。
デジタライゼーションによって、業務フロー・プロセスの無駄を無くしてデジタル化によりさらに効率化することや、自動化などによって繰り返しの作業を効率化することなどが可能になります。

  • 業務の効率化・簡素化
  • ワークフローシステム等の導入による業務全体のデジタル化
  • システム間のデータ連携による二重三重の入力作業廃止
  • RPAによる定型業務の自動化

3.デジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を組織やビジネス全体に取り入れ、従来のビジネスプロセスや価値提供方法を変革し、新たな成長や価値創造を実現することを指します。
具体的には、BIツール(ビジネス・インテリジェンス)によるデータ分析、分析したデータを活用した顧客サービスの向上、顧客向けオンラインサービスの拡充など、これまでの社内向けのDXから対外向けのDXを推進することがデジタルトランスフォーメーションにあたります。
デジタルトランスフォーメーションを進めることで、組織やビジネスが市場の変化や競争環境に柔軟に対応し、持続的な成長や競争力を確保することが期待されます。
これには、組織文化の変革やITリテラシーの向上なども含まれており、全体的なビジネスの変革を目指す取り組みとなります。

  • BIツールによる市場動向や顧客ニーズ等に関するデータ分析
  • AIの活用
  • データ活用による顧客サービスの向上
  • 顧客向けオンラインサービスの拡充

4.製造業におけるDXについて

経理、人事、労務などのバックオフィス業務におけるDXはイメージしやすいですが、工場における受注~生産~出荷における業務でも段階的なDX化の推進は可能です。
例えば見積業務のAI化であれば、過去の設計書や見積情報のデータ化やAIシステム導入による類似設計を参照した見積の自動化がデジタイゼーションにあたります。
また、原価管理であれば、原価計算の必要情報である従業員の作業時間(工数)のRFIDやセンサーでの取得、生産ラインの光熱費(電気、水道、ガスなど)の取得、原材料費のデータ化、システム導入による原価管理の実施がデジタイゼーションにあたります。
その後、ERPの導入により受注処理、生産計画、在庫管理、会計処理など業務全般に対してデジタル化を実施することがデジタライゼーションにあたります。
デジタルトランスフォーメーションは対外向けのDXであり、取り扱う製品などによって施策が異なることから本コラムでは割愛しますが、自社業務のDX化がどこまで進んでいるか点検し、今後のDX化計画を検討する際の参考にしていただければ幸いです。

5.まとめ

DX化を段階的に推進するうえでは以下が重要です。

  • 自社がデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションのどこまで進んでいるかを把握する
  • 自社の業務上の課題、緊急度などを整理し、優先してDX化を進めるべき業務のあたりをつける
  • その中でも難易度が低く効果の高いところから、段階的にDX化を進めていく(最初から組織全体のDX化はハードルが高いので、無理せず出来るところから)

DX化は中長期的な対応となるので、これらを意識したDX化戦略を策定して推進することが成功のカギとなります。

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