記事公開日:2022.05.30
最終更新日:2023.11.01
マニュアル化は誰のために?わかりやすく伝える重要性!
1.はじめに
日々コンサルティングをさせていただく中で様々なテーマがあります。
マニュアル化もその一つです。
中小企業、中堅企業様においてよくあるマニュアル化の要望としては、
- 作業の標準がない
- 新しいシステムを入れるけどそのマニュアルを作りたい
- 新入社員教育のため
という理由でマニュアル化の補助を手助けすることが多いです。
他にも色々な理由があります。そしてインターネットで調べると色々なマニュアルの作り方や目的が書かれているサイトに行きつきます。
今回のコラムではマニュアル作りの方法を解説します。
2.業務マニュアルの作り方
①業務フローマニュアル的なものは作らない
インターネットで調べると「業務フローマニュアル」なるものが出てきました。業務フロー図のように、□⇒♦そしてその横に言葉を書くみたいなものです。業務フローは確かに大切です。一つの作業をマニュアル化するときに、まずは動作分析を行い、何をやったらその次に何をやるか?など事細かに言語していきます。これはマニュアルを作る作業には重要ですが、マニュアルにそのまま書くことは適切ではないと考えます。理由は直感的ではないからです。
文字が多かったりすると読むのも面倒くさくなり誰もみません。実際の作業のイメージもわきにくいです。
なので、直感的にわかりやすく、イメージもわきやすいものを作るべきです。
②ウィザード形式マニュアル
私がマニュアルに使うものはフロー図などではなく写真です。自称ウィザード形式マニュアルかと思います。おそらく正しい言い方は存在するかもしれないですが。
各工程の写真を撮っていき、そのタイトルと、どうやるのか?なんか複雑な作業ならやる理由は?を書くだけです。ちなみに、言葉などの文字は最小限にします。
作成フローは下記です。対象は何かの手作業だと思ってください。
- ①動作分析をする
- ⇒動画を撮って確認する
- ②作業者と確認する
- ⇒何を心掛けているか聞きます
- ③改めて写真を撮る
- ⇒動画のキャプチャでもよいかと思います
- ④写真を順番に張り付ける
- ⇒使うのはパワーポイントかワードです。写真は圧縮しましょう。メールに載せるレベルの画質サイズでよいです
- ⑤写真に作業のタイトルと解説をつける
- ⇒解説は最小限の文章で!
大きな作業は以上です。写真でイメージを沸くようにする、言葉を多用せず目で分かりやすく学ぶ、ということが大事です。
追加作業として、下記をやります。
- ⑥作業の標準の時間を入れる
- ⇒作業標準時間の設定を行うことで、人によるばらつきをなくします
- ⑦作業の目安をビフォーアフターで示す
- ⇒例えば、清掃や仕上げ作業は理想的な写真も添付します。ここを目指して作業する!をイメージさせます
- ⑧難しい作業、カギとなる作業は理由を説明する
- ⇒例えば、工程内検査等だと何でこんなやり方をするの?となって自己流のやり方をしてしまうことになります。そうならないためにも、ところどころ「作業をする理由」を入れることで、「そういうことだったんだ!」と納得してもらい作業することが大事です。
3.マニュアル作りのポイント
マニュアル作りにおける重要なポイントは、キーワードを直感的にわかりやすくするということです。
作業標準、新人教育なら「誰でもできる!」ということが大きな目的です。写真なら目で見てイメージを頭につけやすいです。新規設備のマニュアルでも、初めて触ることになるので最初の心理的な壁は非常に大きいです。なので、写真で順を追って説明することで「私でもできる」というイメージを持ってもらいます。わかりやすいほど「できる!」というイメージにつながりやすいかなと思います。
4.マニュアルを作ることによる二次的な効果
最後に、「最近あった気づき」をお話します。
マニュアル化をさせていただいたのですが、目的は退職者ができたときのための対処や作業標準の作成、新入社員教育でした。
そのような中、いきなり出た効果は「不良の削減」でした。完成したマニュアルを現在も作業している作業者に回覧したところ、
- 作業の品質が統一された
- どこまでやるべきか?というイメージが一致した
ことにより、各員の意識が高まった結果でした。いうなれば作業標準の作成ですが、まさかいきなり効果が出るとも思っていませんでした。
また、外国人労働者への教育にも大きく効果を発揮しました。もちろんマニュアルは日本語で、外国人は日本語の読み書きもできません。その中で、写真があるだけで後は身振り手振りで何とかなったようです。
二つとも、当初は想定していなかった効果ですが、非常に良い結果が生まれたと思います。マニュアル作成の重要性を気づかされた瞬間でした。
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目次
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