ERP CONSULTING COLUMN ERP・基幹システムコンサルティングコラム

専門コンサルタントが執筆するAI・ロボットコラム
最新のAI・ロボット技術に精通したコンサルタントによる定期コラム

クラウドを活用するメリット:前編

2021.01.15

昨今の「DX」推進に関連し、注目される技術として「クラウド」技術があります。日常生活の中でも、スマートフォンで撮影した写真や動画の保存先として、聞いたことがあると思います。今回は、製造業において「クラウド」を活用することのメリットを解説します。 1.「クラウド」とは? 多くの人にとって、クラウドの最もイメージしやすいものは、「インターネット上のデータ保存スペース」ではないかと思います。確かにこの機能は、クラウドが提供するサービスの一つです。 本コラムで取り上げる「クラウド」の定義は、「クラウド・コンピューティング(cloud computing)」で、その意味は、「インターネット上のネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービスなどを共有化して、サービス提供事業者が、利用者に容易に利用可能とするモデル」(※1)です。このようなモデルを使用して提供されるサービスやシステムは、「クラウドサービス」「クラウドシステム」「SaaS」、単に「クラウド」とも呼ばれます。 対義語として、「オンプレミス(on-premises)」があります。こちらは、「自社の中に、コンピュータ、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーションなどのハードウェア、ソフトウェアを保有して、自社で管理・運用するモデル」を意味しています。 (※1:総務省国民のための情報セキュリティサイトhttps://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/glossary/02.html#ku02)つまり「クラウド」は、自社でサーバ等の設備を準備する必要無く、PCのウェブブラウザを使って、インターネット上のサービス提供事業者の所有するサーバでアプリケーションを動かす技術といえます。 2.クラウドを活用するメリットとは? 前提として「クラウド」技術はIT分野に属します。製造業のIT分野は、管理システム(基幹システム、生産管理システムなど)運用、データ(図面、実績など)保存、アプリケーション運用、情報処理などが該当します。 クラウドを活用することで、上記の項目にどのようなメリットをもたらすのでしょうか? 従来、企業がコンピュータを使用した環境を構築する場合、「オンプレミス」が当たり前でした。それが、ハードウェアの発達(ストレージの大容量化、サーバの処理能力向上、通信速度環境の高速・安定化など)により、クラウド技術が発達し、環境構築にクラウドを活用することが可能となりました。そのため「クラウドを活用する」ことで、オンプレミスで環境構築(=自社ですべてを手配)する必要性が無くなり、導入ハードルの高さを下げることが可能になりました。 具体例は、Microsoft社のofficeです。従来(オンプレミス)はパッケージで販売され、新バージョンが発売されると、使用人数分のパッケージを購入し、その数だけ、1台1台バージョンアップ作業を行っていました。現在(クラウド)では、office365を選択すれば、月または年単位で定額料金を支払うことで常に最新版officeを使用可能です。また、ウェ ブサイトから契約・解約手続きができるので、常に使用する分だけ契約をし、ムダを無くすことが可能です。 3.クラウドを活用することで得られる具体的なメリット では、クラウドを活用することで得られるメリットで、特に着目すべきところは、どこでしょうか? その1つ目は、やはり「コスト」です。 製造業で、製品に付加価値を与えているのは、製造工程です。一方、システム環境に投資することは、業務効率化などの生産性改善には寄与するものの、付加価値を向上させるものではありません。そのため、従来のオンプレミスのシステム環境構築は、その投資額に対して得られるメリットが小さいために、投資自体が積極的に行われてきませんでした。特に中小企業では、システム投資に行うくらいであれば、同じ金額の生産設備を購入したほうが、売り上げた増えるといった状況でした。 一方、「クラウド」を活用すれば、システム環境構築費用の大部分を占める、「設備費用」「開発・カスタマイズ費用」「保守運用費用」をサービス提供事業者側で負担し、そのサービスの利用者が少しずつ負担する形式を取ることになります。そのため、利用者側が負担するコストを抑制することが出来、システム投資が大変行いやすくなります。 4.おわりに 今回は、「クラウドを活用するメリット前編」として、クラウド技術を導入することで得られるメリットのうち、コスト面について解説しました。来月は、「クラウドを活用するメリット後編」として、製造業でクラウドを活用することで得られるコスト面以外のメリットについて解説していきます。中小企業の製造業に特化した船井総合研究所AI・ロボット支援室では、ロボットやAIの導入に役立つダウンロードコンテンツやセミナーをご用意しております。この機会にぜひご参加ください。 ■ダウンロード事例集のご案内 ■セミナー開催のお知らせ 機械加工業の為の初めてのAI&ロボット活用!社長セミナー(オンライン)マシニングセンタ・NC旋盤・複合加工機等を保有していて多品種少量生産の熟練技術・職人技術・人手の掛かる業務にAI&ロボットを活用して自動化&産性UP! 2/16(火)、18(木)、24(水) 13:00~15:00 昨今の「DX」推進に関連し、注目される技術として「クラウド」技術があります。日常生活の中でも、スマートフォンで撮影した写真や動画の保存先として、聞いたことがあると思います。今回は、製造業において「クラウド」を活用することのメリットを解説します。 1.「クラウド」とは? 多くの人にとって、クラウドの最もイメージしやすいものは、「インターネット上のデータ保存スペース」ではないかと思います。確かにこの機能は、クラウドが提供するサービスの一つです。 本コラムで取り上げる「クラウド」の定義は、「クラウド・コンピューティング(cloud computing)」で、その意味は、「インターネット上のネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービスなどを共有化して、サービス提供事業者が、利用者に容易に利用可能とするモデル」(※1)です。このようなモデルを使用して提供されるサービスやシステムは、「クラウドサービス」「クラウドシステム」「SaaS」、単に「クラウド」とも呼ばれます。 対義語として、「オンプレミス(on-premises)」があります。こちらは、「自社の中に、コンピュータ、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーションなどのハードウェア、ソフトウェアを保有して、自社で管理・運用するモデル」を意味しています。 (※1:総務省国民のための情報セキュリティサイトhttps://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/glossary/02.html#ku02)つまり「クラウド」は、自社でサーバ等の設備を準備する必要無く、PCのウェブブラウザを使って、インターネット上のサービス提供事業者の所有するサーバでアプリケーションを動かす技術といえます。 2.クラウドを活用するメリットとは? 前提として「クラウド」技術はIT分野に属します。製造業のIT分野は、管理システム(基幹システム、生産管理システムなど)運用、データ(図面、実績など)保存、アプリケーション運用、情報処理などが該当します。 クラウドを活用することで、上記の項目にどのようなメリットをもたらすのでしょうか? 従来、企業がコンピュータを使用した環境を構築する場合、「オンプレミス」が当たり前でした。それが、ハードウェアの発達(ストレージの大容量化、サーバの処理能力向上、通信速度環境の高速・安定化など)により、クラウド技術が発達し、環境構築にクラウドを活用することが可能となりました。そのため「クラウドを活用する」ことで、オンプレミスで環境構築(=自社ですべてを手配)する必要性が無くなり、導入ハードルの高さを下げることが可能になりました。 具体例は、Microsoft社のofficeです。従来(オンプレミス)はパッケージで販売され、新バージョンが発売されると、使用人数分のパッケージを購入し、その数だけ、1台1台バージョンアップ作業を行っていました。現在(クラウド)では、office365を選択すれば、月または年単位で定額料金を支払うことで常に最新版officeを使用可能です。また、ウェ ブサイトから契約・解約手続きができるので、常に使用する分だけ契約をし、ムダを無くすことが可能です。 3.クラウドを活用することで得られる具体的なメリット では、クラウドを活用することで得られるメリットで、特に着目すべきところは、どこでしょうか? その1つ目は、やはり「コスト」です。 製造業で、製品に付加価値を与えているのは、製造工程です。一方、システム環境に投資することは、業務効率化などの生産性改善には寄与するものの、付加価値を向上させるものではありません。そのため、従来のオンプレミスのシステム環境構築は、その投資額に対して得られるメリットが小さいために、投資自体が積極的に行われてきませんでした。特に中小企業では、システム投資に行うくらいであれば、同じ金額の生産設備を購入したほうが、売り上げた増えるといった状況でした。 一方、「クラウド」を活用すれば、システム環境構築費用の大部分を占める、「設備費用」「開発・カスタマイズ費用」「保守運用費用」をサービス提供事業者側で負担し、そのサービスの利用者が少しずつ負担する形式を取ることになります。そのため、利用者側が負担するコストを抑制することが出来、システム投資が大変行いやすくなります。 4.おわりに 今回は、「クラウドを活用するメリット前編」として、クラウド技術を導入することで得られるメリットのうち、コスト面について解説しました。来月は、「クラウドを活用するメリット後編」として、製造業でクラウドを活用することで得られるコスト面以外のメリットについて解説していきます。中小企業の製造業に特化した船井総合研究所AI・ロボット支援室では、ロボットやAIの導入に役立つダウンロードコンテンツやセミナーをご用意しております。この機会にぜひご参加ください。 ■ダウンロード事例集のご案内 ■セミナー開催のお知らせ 機械加工業の為の初めてのAI&ロボット活用!社長セミナー(オンライン)マシニングセンタ・NC旋盤・複合加工機等を保有していて多品種少量生産の熟練技術・職人技術・人手の掛かる業務にAI&ロボットを活用して自動化&産性UP! 2/16(火)、18(木)、24(水) 13:00~15:00

製造業におけるDXの進め方

2020.12.07

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。 DX化することで得られるメリットはたくさんあります。詳しくはこちらのコラムで紹介しておりますのでぜひご覧ください。 「AIとデジタル化の波は避けられない」 さて、「DX化」という言葉をよく耳にするようになった一方で、「製造DXのメリット・導入ポイント」「なぜ日本はDX化が進まないのか」「DX化が失敗する理由」というようなタイトルの記事をよく目にするようにもなりました。 経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」 によると、生産プロセスに関する設備の稼働状況などのデータ収集を行っている企業の割合は、2019年度は51.0%となっており、2018 年度調査時より7%減少しております。 DX化を目指す一方で、現状は苦戦している企業が多いことがわかります。さらにこれからは、既存システムは変化していく状況に合わせて更新する必要があります。そのたびに要件は複雑になるため、既存システムの保守費は高額になると言われています。 DX化を進めていくことは必須と叫ばれているにも関わらず、進まないのはなぜでしょうか? その理由の一つに、日本人特有のマインドが関係していることが考えられます。日本人は1950~60年代の高度経済成長の成功体験が非常に大きく、その時代から何十年もかけて培われた世界的にも最高峰の現場による改善活動のおかげで、逆にDX化に踏み込めない思考になっています。この思考がDXというある意味システムに縛られる状況について、抵抗が生まれているのではないでしょうか。長年にわたり現場改善で運用していきたものをシステムに置きかえるのは容易ではありません。海外においては、日本と比較した場合、現場の声はさほど強くありません。その為、システムで現場を縛ることができ、DX化は進みやすい傾向があります。一方で日本では改善活動を行ってきた現場の力が強く、ITシステムが現場運用に合わせないといけないという状況が多く発生しています。その為、要件が複雑になり(もしくはシステム化できない)なかなか前に進んでいきません。 「現状はシステムに頼らなくても問題がない」と考えている現場の方は多いのではないのでしょうか。現場の力>ITシステムの構図が日本でDXが進まない根本要因と考えています。 とはいえ、やはりDX化を進めなければいけないのは明白です。 我々は、情報をもとに経営の意思決定をしなければなりません。現代においては営業部や製造部など多方面から様々な種類の情報収集するスピードが求められます、また、集められる情報は質・精度が高い必要があります。「高い質・精度の情報をリアルタイムで収集し、正確な情報を基に分析を行い経営判断する」これが今の時代に求められていることです。不確かな情報を手作業で取りまとめて資料作成に時間を費やす時代ではないということです。 それではどのように進めたらよいか? 中小企業の製造業に特化した船井総合研究所AI・ロボット支援室では、ロボットやAIの導入に役立つやセミナーをご用意しております。 この機会にぜひご参加ください。 ■ダウンロード事例集のご案内 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/ ■セミナー開催のお知らせ このセミナーは終了しました。最新のセミナーはこちらから。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/event/ 機械加工業の為の初めてのAI&ロボット活用!社長セミナー(オンライン) マシニングセンタ・NC旋盤・複合加工機等を保有していて多品種少量生産の熟練技術・職人技術・人手の掛かる業務にAI&ロボットを活用して自動化&生産性UP! 2/16(火)、18(木)、24(水) 13:00~15:00 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。 DX化することで得られるメリットはたくさんあります。詳しくはこちらのコラムで紹介しておりますのでぜひご覧ください。 「AIとデジタル化の波は避けられない」 さて、「DX化」という言葉をよく耳にするようになった一方で、「製造DXのメリット・導入ポイント」「なぜ日本はDX化が進まないのか」「DX化が失敗する理由」というようなタイトルの記事をよく目にするようにもなりました。 経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」 によると、生産プロセスに関する設備の稼働状況などのデータ収集を行っている企業の割合は、2019年度は51.0%となっており、2018 年度調査時より7%減少しております。 DX化を目指す一方で、現状は苦戦している企業が多いことがわかります。さらにこれからは、既存システムは変化していく状況に合わせて更新する必要があります。そのたびに要件は複雑になるため、既存システムの保守費は高額になると言われています。 DX化を進めていくことは必須と叫ばれているにも関わらず、進まないのはなぜでしょうか? その理由の一つに、日本人特有のマインドが関係していることが考えられます。日本人は1950~60年代の高度経済成長の成功体験が非常に大きく、その時代から何十年もかけて培われた世界的にも最高峰の現場による改善活動のおかげで、逆にDX化に踏み込めない思考になっています。この思考がDXというある意味システムに縛られる状況について、抵抗が生まれているのではないでしょうか。長年にわたり現場改善で運用していきたものをシステムに置きかえるのは容易ではありません。海外においては、日本と比較した場合、現場の声はさほど強くありません。その為、システムで現場を縛ることができ、DX化は進みやすい傾向があります。一方で日本では改善活動を行ってきた現場の力が強く、ITシステムが現場運用に合わせないといけないという状況が多く発生しています。その為、要件が複雑になり(もしくはシステム化できない)なかなか前に進んでいきません。 「現状はシステムに頼らなくても問題がない」と考えている現場の方は多いのではないのでしょうか。現場の力>ITシステムの構図が日本でDXが進まない根本要因と考えています。 とはいえ、やはりDX化を進めなければいけないのは明白です。 我々は、情報をもとに経営の意思決定をしなければなりません。現代においては営業部や製造部など多方面から様々な種類の情報収集するスピードが求められます、また、集められる情報は質・精度が高い必要があります。「高い質・精度の情報をリアルタイムで収集し、正確な情報を基に分析を行い経営判断する」これが今の時代に求められていることです。不確かな情報を手作業で取りまとめて資料作成に時間を費やす時代ではないということです。 それではどのように進めたらよいか? 中小企業の製造業に特化した船井総合研究所AI・ロボット支援室では、ロボットやAIの導入に役立つやセミナーをご用意しております。 この機会にぜひご参加ください。 ■ダウンロード事例集のご案内 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/ ■セミナー開催のお知らせ このセミナーは終了しました。最新のセミナーはこちらから。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/event/ 機械加工業の為の初めてのAI&ロボット活用!社長セミナー(オンライン) マシニングセンタ・NC旋盤・複合加工機等を保有していて多品種少量生産の熟練技術・職人技術・人手の掛かる業務にAI&ロボットを活用して自動化&生産性UP! 2/16(火)、18(木)、24(水) 13:00~15:00