記事公開日:2024.05.10
最終更新日:2024.05.10

AIによる在庫管理事例!中小製造業編 導入のメリットや導入方法も解説!

1.AIによる在庫管理とは

製造業において在庫管理はどの企業も属人化しやすく、課題の多い業務の一つとなっています。

在庫管理業務の発注担当者は、日々在庫切れが起こらないよう在庫確認と発注作業が必要です。
その一方で、確認作業や発注作業のタイミングは各担当者に一任されているケースが見られます。
更に、社内に統一された明確なルールはなく、発注タイミングは個人の感覚に任せられているという状態が多くあるようです。
在庫管理は、ものづくりの中で重要な業務にもかかわらず、売上予測や発注業務が属人化し、勘や経験を必要とする業務となってしまっているのです。

AIはこのような「過去の経験から予測」するようなベテラン・属人化した作業を標準化し、肩代わりすることに適した技術です。
在庫管理は様々な事柄を考慮して、最適な1手(発注)することが求められます。
担当者が複数いた場合、この最適だと思っていた1手は実は担当者によりバラバラだったりします、AIにより在庫管理業務を標準化することが出来るようになります。

2.AIによる在庫管理のメリット

①在庫がリアルタイムで可視化されること
在庫管理をする上では、在庫数をリアルタイムで把握することは必須となります。
AIカメラやタブレットを用いることで在庫数を容易にシステムで管理することが出来るようになります。

②需要予測により在庫が適正化されること
需要予測機械学習のアルゴリズムによって、過去の売上や季節による変動、顧客属性から、精度の高い需要予測を実現します。
担当者の主観的な判断ではなく、客観的なデータに基づいた分析が可能です。
現在だけでなく、将来的な視点に立って、適正在庫を維持させることができます。

③作業が標準化されること
担当者の経験に基づいた在庫管理は非常に不安定なものです。
経験から導き出される答えが素晴らしい場合もありますが、ひどく間違える場合もあります。
担当者の体調によっても変化するかもしれません。
人の経験に依存した判断は当たりはずれがあるものです。
AIなどのシステム化することで、作業は標準化され、誰がやっても同じ精度で発注することが出来ます。
突発のイレギュラーに対応するのが、難しい場合もありますが、それは人間も同じです。
考慮することを標準化して通常時の判断はシステムでお任せして、属人作業から脱却することが大切です。

④在庫管理(発注者)人材の育成が不要になること
在庫担当者は様々な事柄を考慮する必要(覚える必要)があり、簡単に育成することが出来ません。
年単位の経験を経て、信頼される人材となっていきます。
一人の人材を育成するのに多くの時間が必要です。
その一方で、その作業が属人化してしまったら、その人の欠勤やや退職は大きなインパクトとなります。
そうならないように、ノウハウはシステム化して標準化していおく必要があります。

続いて、AIによる在庫管理の事例をご紹介します。

3.AIによる在庫管理事例

在庫管理が属人化して、発注タイミングがブラックボックス化しているお客様に対して、過去在庫のデータ分析を行い、過去の商品/在庫/実績/仕入先データ+直近の売上/繁忙期/リードタイム等を機械学習により発注の予測モデルを構築しました。
予測モデルを構築するには、「何が発注に寄与するか」を担当者からヒアリングしながらデータ分析を実施しました。
データ分析の結果、売上に傾向が見られた為、売上予測をもとに品目ごとに在庫切れのタイミングを特定することで、現在の在庫数や最適な発注タイミングをシステム上で提示するようにしました。
システムでの自動発注は行わず、最終確認は人間が行い発注をする運用にすることで、ユーザーが安心して使える仕組みとしました。

システム導入の効果は以下となります。

属人化していた発注タイミングを「いつもで」「だれでも」「同じレベル(質)」で判断が出来るようになりました。
感覚的(決まりがあるが決まっているものが感覚的な場合もあり)な発注は在庫の持ち過ぎ、持たな過ぎに直結します。
システム構築により、担当者毎の発注に対する質が標準化(凸凹がなくなり)され、在庫の過剰/不足低減に繋がりました。

4.AI導入の進め方とAI選定時の3つの注意点

4-1.AI導入の進め方

1.目的とニーズの明確化
AIを導入する目的やニーズを明確に定義しましょう。
例えば、業務プロセスの効率化、顧客対応の向上、品質管理の強化など、具体的な目標を設定します。

2.データの収集と前処理
AIはデータに基づいて学習し予測を行いますので、必要なデータを収集し、必要な前処理を行いましょう。
データの品質や量、形式にも注意を払いましょう。

3.AIモデルの選択
導入するAIの種類やモデルを選定します。
自然言語処理によるチャットボット、画像認識による品質管理システムなど、目的やニーズに合ったAIモデルを選びましょう。

4.モデルの学習と評価
選んだAIモデルをデータで学習させ、その性能を評価します。
学習方法やパラメータの調整によってモデルの精度を高めていきます。

5.導入と運用
学習したAIモデルを実際の業務に導入し、運用します。
トライアル期間を設け、結果を評価しながら適切な調整や改善を行いましょう。

これらのステップを踏みながら、AIを導入することで効果的な活用ができるでしょう。

4-2.AI選定時の3つの注意点

①課題の抽出、目的とニーズの明確化を行うこと
AI導入おけるもっとも重要な箇所は、「課題の抽出、目的とニーズの明確化」です。
<どこが課題>で<何を目的に導入するのか>をユーザー側は明確にする必要があります。
<目的>が曖昧だったり、ブレてしまうと、どういうAIを選定するか?の際に、AIを当てはめることが優先され、結果的に導入されたものがさほど意味がない(当初の課題を解決してくれない)ものになってしまいます。
これを回避するには、課題抽出の時点からある程度のAIの知識(何が出来て何が出来ないか)を知っておく必要があります。
課題のすべてをAIが解決してくれるわけではないのです。

「うちの課題をAIで何か解決してくれないか?」という視点で始めると、AIを入れることが目的になるので、ほとんどの場合は、途中で頓挫しますので注意しましょう。

②AIベンダーとの付き合い方
AIベンダーはユーザーから与えられた要望に対して、自社製品を使って必死に知恵を絞り出します。
しかし、根本的に課題抽出から間違っている場合も多くあります。
「そもそもそれはAIで解決すべきではない」という結論です。
課題に対して、解決方法(アプローチ方法)はいくつかあります。
課題抽出の段階で、どの方法なら出来そうか?技術的なハードルを目途つけながらやっていくことが必要です。
全く考えないまま(知識がないまま)実施していくと、いわゆる「ベンダーの言いなり」となり、ベンダーが主導権を握り、自社ではハンドリングが出来なくなっていきます。

③手元に適切なデータを集約すること
AIモデルを作る上で過去データは欠かせないものです。
ただし、過去のデータがあるから問題ないというわけでもありません。
データ量(十分なデータ量があるか)、データ質(欠けたデータないか、信ぴょう性のあるデータか)データ構造(分析しやすいデータ構造になっているか)を事前に確認することが必要です。
使えると思っていたデータは実は、データ分析(モデル構築)の観点で見た場合、一部しか使うことが出来ない、もしくは全く使えない(いわゆるゴミデータ)ということはよくあることです。
これは「現場の言う<データがある>」「データサイエンティストが言う<データがある>」は意味が異なる為です。
データ分析は依頼する前に、きちんとデータ分析の依頼先に確認してもらいましょう。

 

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目次

  • 1、製造業AI業界の現状
  • 2、2023年製造業AI業界はこうなる!
  • 3、2023年実践していただきたいこと
  • 4、どの業務・工程でもAIは活用できる「業務別・工程別のAI活用」
  • 5、国内中小製造業におけるAI導入事例

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