AI CONSULTING COLUMN AI・デジタル・IoTコンサルティングコラム

専門コンサルタントが執筆するAI・ロボットコラム
最新のAI・ロボット技術に精通したコンサルタントによる定期コラム

AIのいろは「機械学習とディープラーニング」を学ぼう

2020.11.09

今回のコラムは現在のAIを語る上では欠かせない「機械学習とディープラーニング」について説明していきたいと思います。何となく聞いたことがある2つの言葉ですが、きちんと違いがわかりますか? 以前のAIの歴史を振り返るコラムでは第三次ブームの火付け役という紹介をしました。この2つキーワードがなぜ、AI再ブームの火付け役となったのか、ここでは一歩踏み込んだ話をしていきましょう。 1.AIとは「赤ちゃん」です AIの良いところはあらゆる過去の膨大なデータを学習して、忖度なく最適な解を示してくれるということです。AIはよく「赤ちゃん」に例えられます。赤ちゃんは親から動きや言葉を学ぶことで、やがて自分で判断できるようになります。生まれたばかりの赤ちゃんが一人では何も出来ないように、AIも何も教えなければ何もできません。AIも赤ちゃんも経験を積めば積むほど、最適な(精度の高い)言葉や動きが出来るようになります。どちらも最適な解(言葉や動き)を出す為には、たくさんたくさん学習していく必要があるのです。 2.機械学習とディープラーニング では、AIではどのように学習していくのでしょうか。AIの場合、学習の方法(目の付け所)を教えてあげる必要があります。目の付け所を教える=「特徴量を定義する」という言い方をします。例えば、りんごが赤りんごか青りんごを画像処理にて判断させる際には、まず①赤りんごと青りんごの2種類のいろいろな写真(学習データ)をAIに覚えさせます。赤りんごと言ってもたくさんの種類がありますよね。次に②「色に着目しなさい」と指示します。するとAIは自ら色を見て、初めて見る写真でも学習データと照らし合わせて赤りんごか青りんごかを判断することが出来ます。 では誰が「色に着目しなさい」と指示するのでしょうか。2つの言葉の違いは「目の付け所(特徴量の定義)を誰が指示するか?」ここがポイントになっていきます。 【機械学習とは】 機械学習は「人が特徴を定義する」技術です。人が目の付け所(特徴量を定義)を教えておくことで、既存の大量のデータをAI自ら解析してルールを見つけ出します。データはより多くあればあるほど精度は高くなっていきます。 つまり、トレーニングによって「特定のタスク」を実行できるようになる技術です。上記においては「りんごの色を見て赤りんごか青りんごか判断する特定のタスク」ということになります。 この手法は、自動で返答するチャットボットや、店舗来客予測など、出力の予測や傾向の発見を伴うプロジェクトで力を発揮します。 【ディープラーニングとは】 一方で、ディープラーニングは「人工知能が学習データから特徴を自動で抽出する」技術です。 機械学習が進化したとも言えるディープラーニングは、たくさんのデータを解析する際、どこに注目すればよいかを「自分で判断」し、人からの指示ではなく自動で学習して賢くなっていきます。機械学習では人が特徴量を定義していた為、人が特徴を判断できない場合(間違えて判断している場合)、AIは上手く判断が出来ません。 ディープラーニングは、そのような特徴を定義するのが難しい時に高い効果を発揮します。 特にディープラーニングは特徴を定義するのが難しい「言葉」を得意としており、主な適用領域は「音声認識」「画像認識」「言語処理」の3点と言われています。 GoogleHomeやiPhoneに搭載されているSiriなどでは、人間の音声を聞き取り、さらにテキストAIで意味を理解する音声認識技術が活用されています。また、画像認識領域では、商品検索や商品の検査工程など物体認識率が向上し、商用利用が拡大しています。言語処理領域では、機械翻訳などへの適応が始まっています。 機械学習とディープラーニングの違いは、分析の対象を区別する際に「特徴量という目の付け所を自動的に見つけ出せるか」という点になります。 3.Googleの猫(ディープラーニング始まりの話) 2012年にGoogle社の研究チームは、YouTubeに投稿された動画(静止画)の中から無作為に1000万枚の画像を取り出してAIに学習させ、人が教えることなくAIが自発的に猫を認識することに成功したことを発表しました。 この研究の最大のポイントは「人がAIに猫という【概念】を教えたわけではない」という点です。これは当時としてはかなり衝撃的なニュースとして取り上げられました。AI自身がYouTube上にある画像のパターンを自ら特徴をづけ、「猫」という言葉を紐づけていき、「猫」というものを自ら覚えていったのです。これまで必要とされた学習データを使うことなく。これは、人間がものを覚える過程とよく似ています。「猫」いうものは、誰から教わったという事でもなく、周りの人が「猫」と呼んでいるものを何度も聞いて特徴を見て、人は「猫」を認識するようになります。 AI領域では、人がAIに学習させた場合を「教師あり学習(学習データあり)」、人が何も教えていない学習を「教師なし学習(学習データなし)」と言います。 Googleの発表は、1000万枚の画像を学習・パターン分析しているうちにAIが画像内の特長を認識し、特定のものについて自動的に認知が出来るようになった初めての「教師なし学習」の実例として世界で注目され、ディープラーニングの可能性が証明された新しい時代の幕開けの瞬間となりました。 4.ディープラーニングにより可能になること 例えば、米国のSentient Technologies社では、商品検索にディープラーニングを使用しています。靴や服の好みなど、言葉では言い表すことが難しい「感覚」について、消費者がどの商品を検索しクリックしたかなどの情報を基に、次の商品を提案してくれるシステムです。 また、車の自動運転技術は、ディープラーニングを利用して作られた技術で最も期待されているものの1つと言えます。GPSによる位置情報や車に搭載されたカメラの情報などから、AIが学習し道路状況や渋滞状況を分析します。さらに、それらの情報によりAIが自動的に空間を把握することで、交差点の一時停止や右折・左折などもできるようになります。 ロボット工学の分野もディープラーニングとともに大きく進化しています。前述のように、特定の画像を自動的に認識できるようになった技術は検査工程にも応用されています。 AIによる外観検査について、詳しくはこちらをご参照ください。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/glossary/200925/ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け 「AIを活用した業務効率化」最新事例解説レポート この一冊で「AIを活用した業務効率化」の最新事例がわかる! ①類似案件をAIを使って簡単検索 営業・生産計画立案の業務効率 ②生産計画立案を自動最適化・脱属人化 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/210305/ 今回のコラムは現在のAIを語る上では欠かせない「機械学習とディープラーニング」について説明していきたいと思います。何となく聞いたことがある2つの言葉ですが、きちんと違いがわかりますか? 以前のAIの歴史を振り返るコラムでは第三次ブームの火付け役という紹介をしました。この2つキーワードがなぜ、AI再ブームの火付け役となったのか、ここでは一歩踏み込んだ話をしていきましょう。 1.AIとは「赤ちゃん」です AIの良いところはあらゆる過去の膨大なデータを学習して、忖度なく最適な解を示してくれるということです。AIはよく「赤ちゃん」に例えられます。赤ちゃんは親から動きや言葉を学ぶことで、やがて自分で判断できるようになります。生まれたばかりの赤ちゃんが一人では何も出来ないように、AIも何も教えなければ何もできません。AIも赤ちゃんも経験を積めば積むほど、最適な(精度の高い)言葉や動きが出来るようになります。どちらも最適な解(言葉や動き)を出す為には、たくさんたくさん学習していく必要があるのです。 2.機械学習とディープラーニング では、AIではどのように学習していくのでしょうか。AIの場合、学習の方法(目の付け所)を教えてあげる必要があります。目の付け所を教える=「特徴量を定義する」という言い方をします。例えば、りんごが赤りんごか青りんごを画像処理にて判断させる際には、まず①赤りんごと青りんごの2種類のいろいろな写真(学習データ)をAIに覚えさせます。赤りんごと言ってもたくさんの種類がありますよね。次に②「色に着目しなさい」と指示します。するとAIは自ら色を見て、初めて見る写真でも学習データと照らし合わせて赤りんごか青りんごかを判断することが出来ます。 では誰が「色に着目しなさい」と指示するのでしょうか。2つの言葉の違いは「目の付け所(特徴量の定義)を誰が指示するか?」ここがポイントになっていきます。 【機械学習とは】 機械学習は「人が特徴を定義する」技術です。人が目の付け所(特徴量を定義)を教えておくことで、既存の大量のデータをAI自ら解析してルールを見つけ出します。データはより多くあればあるほど精度は高くなっていきます。 つまり、トレーニングによって「特定のタスク」を実行できるようになる技術です。上記においては「りんごの色を見て赤りんごか青りんごか判断する特定のタスク」ということになります。 この手法は、自動で返答するチャットボットや、店舗来客予測など、出力の予測や傾向の発見を伴うプロジェクトで力を発揮します。 【ディープラーニングとは】 一方で、ディープラーニングは「人工知能が学習データから特徴を自動で抽出する」技術です。 機械学習が進化したとも言えるディープラーニングは、たくさんのデータを解析する際、どこに注目すればよいかを「自分で判断」し、人からの指示ではなく自動で学習して賢くなっていきます。機械学習では人が特徴量を定義していた為、人が特徴を判断できない場合(間違えて判断している場合)、AIは上手く判断が出来ません。 ディープラーニングは、そのような特徴を定義するのが難しい時に高い効果を発揮します。 特にディープラーニングは特徴を定義するのが難しい「言葉」を得意としており、主な適用領域は「音声認識」「画像認識」「言語処理」の3点と言われています。 GoogleHomeやiPhoneに搭載されているSiriなどでは、人間の音声を聞き取り、さらにテキストAIで意味を理解する音声認識技術が活用されています。また、画像認識領域では、商品検索や商品の検査工程など物体認識率が向上し、商用利用が拡大しています。言語処理領域では、機械翻訳などへの適応が始まっています。 機械学習とディープラーニングの違いは、分析の対象を区別する際に「特徴量という目の付け所を自動的に見つけ出せるか」という点になります。 3.Googleの猫(ディープラーニング始まりの話) 2012年にGoogle社の研究チームは、YouTubeに投稿された動画(静止画)の中から無作為に1000万枚の画像を取り出してAIに学習させ、人が教えることなくAIが自発的に猫を認識することに成功したことを発表しました。 この研究の最大のポイントは「人がAIに猫という【概念】を教えたわけではない」という点です。これは当時としてはかなり衝撃的なニュースとして取り上げられました。AI自身がYouTube上にある画像のパターンを自ら特徴をづけ、「猫」という言葉を紐づけていき、「猫」というものを自ら覚えていったのです。これまで必要とされた学習データを使うことなく。これは、人間がものを覚える過程とよく似ています。「猫」いうものは、誰から教わったという事でもなく、周りの人が「猫」と呼んでいるものを何度も聞いて特徴を見て、人は「猫」を認識するようになります。 AI領域では、人がAIに学習させた場合を「教師あり学習(学習データあり)」、人が何も教えていない学習を「教師なし学習(学習データなし)」と言います。 Googleの発表は、1000万枚の画像を学習・パターン分析しているうちにAIが画像内の特長を認識し、特定のものについて自動的に認知が出来るようになった初めての「教師なし学習」の実例として世界で注目され、ディープラーニングの可能性が証明された新しい時代の幕開けの瞬間となりました。 4.ディープラーニングにより可能になること 例えば、米国のSentient Technologies社では、商品検索にディープラーニングを使用しています。靴や服の好みなど、言葉では言い表すことが難しい「感覚」について、消費者がどの商品を検索しクリックしたかなどの情報を基に、次の商品を提案してくれるシステムです。 また、車の自動運転技術は、ディープラーニングを利用して作られた技術で最も期待されているものの1つと言えます。GPSによる位置情報や車に搭載されたカメラの情報などから、AIが学習し道路状況や渋滞状況を分析します。さらに、それらの情報によりAIが自動的に空間を把握することで、交差点の一時停止や右折・左折などもできるようになります。 ロボット工学の分野もディープラーニングとともに大きく進化しています。前述のように、特定の画像を自動的に認識できるようになった技術は検査工程にも応用されています。 AIによる外観検査について、詳しくはこちらをご参照ください。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/glossary/200925/ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け 「AIを活用した業務効率化」最新事例解説レポート この一冊で「AIを活用した業務効率化」の最新事例がわかる! ①類似案件をAIを使って簡単検索 営業・生産計画立案の業務効率 ②生産計画立案を自動最適化・脱属人化 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/210305/

製造業におけるAIの歴史

2020.10.19

製造業の世界において、今後さまざまな形で「AI」の導入・活用シーンが増えていくことが 現在各種メディアによって謳われています。 最近でこそ、「AI」という言葉については、 あらゆるビジネス環境において馴染みが出てきておりますが、 実のところ、AIという概念はこれまでの歴史の過程の中で、 「ブーム」と「下火」になることを繰り返し、現在に至ります。 今回のコラムでは、今後、製造業における「AIの活用」や 「AIとの共存」というテーマを考えていくにあたって、 その基盤となる「AIの歴史」について、簡単にご紹介いたします。 1.第一次AIブーム 第一次AIブームは、1950年代後半~1960年代に起こったと言われています。 この時代におけるAIの具体的な機能としては、 コンピューターによる「推論」や「探索」が実現できるようになったという点が挙げられます。 推論とは ⇒ある事実をもとにして、未知の事柄をおしはかり論じること。 探索とは ⇒蓄積された情報の集合から、特定の情報要求を満たすような情報を探し出すこと。 しかしながら、当時のAIの力の及ぶ範囲としては、 例えばコンピューターによってゲームやパズルを解かせることや、 迷路のゴールを探させる程度のものに留まっていたとされており、 「トイ・プロブレム(おもちゃの問題)」以上の複雑な問題を解くことはできませんでした。 当時の社会における現実的かつ複合的な課題に対しては適応することができず、 AIが社会に果たす役割としては極めて限定的なものになるとのことから、 AIブーム自体は下火となり、その後“冬の時代”が続くことになります。 2.第二次AIブーム 第二次AIブームは、1980年代であると言われています。 この時代に起こった顕著な動きとして、専門家の知識をAIに教え込む 「エキスパートシステム」の開発が目指されたことが挙げられます。 各分野の専門家特有の知識をAIに教え込み、 その道の専門家のごとくAIが振る舞うというプログラムの開発が進みました。 しかしながら、AIへ知識を教え込むにあたって、 膨大な量の情報を人が教え込む必要があったことから、 AIの実社会への適用自体はこの時点でも十分には進みませんでした。 コスト・時間・運用面での課題を十分にクリアできなかったことから、 この時代以降、再びAIは、しばらく“冬の時代”へと突入します。 3.第三次AIブーム 第三次AIブームは、2000年代から現在まで続いていると言われています。 この時代における特筆事項として、 ①「機械学習」が実用化された ②「ディープラーニング」が登場した という大きく2つの技術革新が起こったことが挙げられます。 「機械学習」とは、人工知能のプログラム自身が 自律的に学習する仕組みのことを表します。 ここでいう「学習」の根幹は、 「認識・判断の対象となる物事を分類する」という処理のことですが、 人がAIに対してすべての知識をインプットしなくても、 一定のデータを蓄積すれば、そのデータをもとに機械が学習することによって、 解答の精度を上げるという仕組みがこの時代に発展・浸透してきました。 一方、「ディープラーニング」とは、 「第三次AIブーム到来の火付け役」とも言われており、 位置づけとしては「機械学習の一種」ということになります。 従来型の機械学習は、 人による特徴の定義が多くの場合に必要とされていましたが、 一方で、ディープラーニングの場合は、 人が特徴の定義をしなくても、マシンそのものが自律的に特徴づけを行い、 高い精度のもとに自ら学習を進めていくことができます。 元々、ディープラーニングを活用するためには 膨大な情報を長時間にわたって取り扱う必要があったため、 2000年代初頭の段階ではまだまだ実用的でないという 評価・判断が一定数存在しました。 しかし、2016年以降、ビックデータに関する取り組みの広がりや、 マシンの処理速度の高性能化によって、 ディープラーニングの取り組みが急速に広がっていきました。 大量の学習データを確保できることに加えて、 それらを学習するための時間も大幅に短縮することができるようになったことから、 ディープラーニングの導入・活用の機会が増え、第三次AIブームはさらに過熱しました。 このディープラーニングの登場により、AIは単なる一時的なブームではなく、 社会全体の発展を支えるための重要なツール・基盤としての役割を拡大させていきます。 また、このディープラーニングについては、 ①画像・動画識別力(⇒人でいう“眼”の代わり) ②自然言語・会話制御力(⇒人でいう“耳と口”の代わり) ③物体制御力(⇒人でいう“身体”の代わり) という大きく3つの点でAIの力を高め、 社会の中でのAIの実用範囲を広げたと言われています。 以上、ここまでAIの歴史について簡単にお伝えしてきました。 AIについては今後もさらに技術的な発展が見込める中、 現代の技術として「AIでできること」と「AIでできないこと」を見極めた上で、 ・何のためにAIを活用するのか?(AIの活用目的) ・いかにして自社のビジネスに活用していくか?(AIの活用方法) という2点について、積極的に追求していきたいところです。 (参考文献) 『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』 松尾 豊 (著) 『文系AI人材になる―統計・プログラム知識は不要』 野口 竜司 (著) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け “工場のAI・デジタル化”最新事例解説レポート この1冊で、工場のAI・デジタル化の最新事例がわかる! 【事例①】AI活用を通じて「見積もり業務の標準化・脱属人化」を推進! 【事例②】付加価値を生まない検査工程から人手を開放!AIを活用した外観検査体制の構築! 【事例③】現場に散乱していた生産日報・日常点検表等のペーパーレス化を実現! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/ 製造業の世界において、今後さまざまな形で「AI」の導入・活用シーンが増えていくことが 現在各種メディアによって謳われています。 最近でこそ、「AI」という言葉については、 あらゆるビジネス環境において馴染みが出てきておりますが、 実のところ、AIという概念はこれまでの歴史の過程の中で、 「ブーム」と「下火」になることを繰り返し、現在に至ります。 今回のコラムでは、今後、製造業における「AIの活用」や 「AIとの共存」というテーマを考えていくにあたって、 その基盤となる「AIの歴史」について、簡単にご紹介いたします。 1.第一次AIブーム 第一次AIブームは、1950年代後半~1960年代に起こったと言われています。 この時代におけるAIの具体的な機能としては、 コンピューターによる「推論」や「探索」が実現できるようになったという点が挙げられます。 推論とは ⇒ある事実をもとにして、未知の事柄をおしはかり論じること。 探索とは ⇒蓄積された情報の集合から、特定の情報要求を満たすような情報を探し出すこと。 しかしながら、当時のAIの力の及ぶ範囲としては、 例えばコンピューターによってゲームやパズルを解かせることや、 迷路のゴールを探させる程度のものに留まっていたとされており、 「トイ・プロブレム(おもちゃの問題)」以上の複雑な問題を解くことはできませんでした。 当時の社会における現実的かつ複合的な課題に対しては適応することができず、 AIが社会に果たす役割としては極めて限定的なものになるとのことから、 AIブーム自体は下火となり、その後“冬の時代”が続くことになります。 2.第二次AIブーム 第二次AIブームは、1980年代であると言われています。 この時代に起こった顕著な動きとして、専門家の知識をAIに教え込む 「エキスパートシステム」の開発が目指されたことが挙げられます。 各分野の専門家特有の知識をAIに教え込み、 その道の専門家のごとくAIが振る舞うというプログラムの開発が進みました。 しかしながら、AIへ知識を教え込むにあたって、 膨大な量の情報を人が教え込む必要があったことから、 AIの実社会への適用自体はこの時点でも十分には進みませんでした。 コスト・時間・運用面での課題を十分にクリアできなかったことから、 この時代以降、再びAIは、しばらく“冬の時代”へと突入します。 3.第三次AIブーム 第三次AIブームは、2000年代から現在まで続いていると言われています。 この時代における特筆事項として、 ①「機械学習」が実用化された ②「ディープラーニング」が登場した という大きく2つの技術革新が起こったことが挙げられます。 「機械学習」とは、人工知能のプログラム自身が 自律的に学習する仕組みのことを表します。 ここでいう「学習」の根幹は、 「認識・判断の対象となる物事を分類する」という処理のことですが、 人がAIに対してすべての知識をインプットしなくても、 一定のデータを蓄積すれば、そのデータをもとに機械が学習することによって、 解答の精度を上げるという仕組みがこの時代に発展・浸透してきました。 一方、「ディープラーニング」とは、 「第三次AIブーム到来の火付け役」とも言われており、 位置づけとしては「機械学習の一種」ということになります。 従来型の機械学習は、 人による特徴の定義が多くの場合に必要とされていましたが、 一方で、ディープラーニングの場合は、 人が特徴の定義をしなくても、マシンそのものが自律的に特徴づけを行い、 高い精度のもとに自ら学習を進めていくことができます。 元々、ディープラーニングを活用するためには 膨大な情報を長時間にわたって取り扱う必要があったため、 2000年代初頭の段階ではまだまだ実用的でないという 評価・判断が一定数存在しました。 しかし、2016年以降、ビックデータに関する取り組みの広がりや、 マシンの処理速度の高性能化によって、 ディープラーニングの取り組みが急速に広がっていきました。 大量の学習データを確保できることに加えて、 それらを学習するための時間も大幅に短縮することができるようになったことから、 ディープラーニングの導入・活用の機会が増え、第三次AIブームはさらに過熱しました。 このディープラーニングの登場により、AIは単なる一時的なブームではなく、 社会全体の発展を支えるための重要なツール・基盤としての役割を拡大させていきます。 また、このディープラーニングについては、 ①画像・動画識別力(⇒人でいう“眼”の代わり) ②自然言語・会話制御力(⇒人でいう“耳と口”の代わり) ③物体制御力(⇒人でいう“身体”の代わり) という大きく3つの点でAIの力を高め、 社会の中でのAIの実用範囲を広げたと言われています。 以上、ここまでAIの歴史について簡単にお伝えしてきました。 AIについては今後もさらに技術的な発展が見込める中、 現代の技術として「AIでできること」と「AIでできないこと」を見極めた上で、 ・何のためにAIを活用するのか?(AIの活用目的) ・いかにして自社のビジネスに活用していくか?(AIの活用方法) という2点について、積極的に追求していきたいところです。 (参考文献) 『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』 松尾 豊 (著) 『文系AI人材になる―統計・プログラム知識は不要』 野口 竜司 (著) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け “工場のAI・デジタル化”最新事例解説レポート この1冊で、工場のAI・デジタル化の最新事例がわかる! 【事例①】AI活用を通じて「見積もり業務の標準化・脱属人化」を推進! 【事例②】付加価値を生まない検査工程から人手を開放!AIを活用した外観検査体制の構築! 【事例③】現場に散乱していた生産日報・日常点検表等のペーパーレス化を実現! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/

コロナ禍で求められるAI・デジタル活用による業務改革

2020.10.05

1.今、直面している日本の人材不足 日本の人口は、2009年をピークに毎年減少し続けています。総務省によると、2020年1月1日現在の日本の人口は1億2602万人、そのうち15~64歳の人口は7513万人となり、これは全体の約60%の人が労働人口として該当することを示します。また、国立社会保障・人口問題研究所の生産年齢人口の調査によると、2015年には7,728万人いた労働世代の人口が、2029年には7,000万人、2056年には5,000万人を割り込むと予測されています。 さらに、少子高齢化による労働人口の減少により、有効求人倍率も上昇しています。有効求人倍率とは、就職希望者一人当たりに何件の求人があるかを表した数値のことです。厚生労働省によると、2009年度から2019年までに有効求人倍率は10年連続で上昇しています。2019年度の有効求人倍率1.55倍に比べ、2020年度は新型コロナウイルスによる影響で1.08倍まで低下しましたが、人口が減っている以上、人材不足問題は更に大きくなっていくことが予想されます。 また、中小企業庁が発表する「中小企業白書」によると、1986年時点では、ほぼすべての地域で製造業の従業者が最多でした。しかし、2014年時点では、小売業やサービス業の労働者数が最多となる市町村が増加し、製造業からサービス業へと産業構造が変化していることも大きな問題です。 2.Withコロナで求められる本気の業務改革 業務改革と言えば、2016年8月に閣議決定した「働き方改革」より、プライベートの時間を大切にする価値観が広まり、労働者側の価値観の変化と多様化が進みました。 働き方改革の目的の一つは、今年に開催される予定だった東京オリンピックの初日をテレワーク・デイとして、企業への在宅や本社以外のオフィスでの勤務を呼び掛け、通勤者を減らし、東京オリンピックの期間中に観戦者が朝のラッシュ時に移動できるような環境作りをするというものでした。しかし、コロナをきっかけに多くの企業が半ば強制的に従来の仕事のやり方について見直しを迫られました。他人事であったテレワークやそれに伴う社内ツールのデジタル化について避けられない状況に直面した企業は多いでしょう。その中でたくさんの新しい価値観が生まれたことは間違いなく、この価値観は今後の生活・仕事のスタンダードとなっていくでしょう。 仕事の業務についても新しい価値観が生まれました。それはハンコ文化に代表される「業務の簡素化」です。すべてのことに「目の前の業務が本当に意味・価値はあるのか」と立ち止まって考える習慣が生まれました。意味がなければ廃止する。無駄だと感じてきた人力でアナログな作業はデジタル化に移行して効率化しようといった考え方をする人が多くなりました。 このような考え方をする人が多くなってきた中で、企業としてその波に乗れない企業は大きなリスクは抱えることになるでしょう。それは、デジタル化により業務効率化が図れないリスクではありません。最も重要なリスクは「社員のモチベーションの低下」です。今、デジタル化に対する社員の目は敏感です。自社がデジタル化に対応してくれないと感じれば、会社への信頼は揺らぎ、個々人のやる気は失われていくでしょう。逆に会社としてデジタル化に積極的な姿勢を見せれば、社員は「会社が社員のことを考えてくれている」と感じ、積極的に仕事に取り組むようになります。デジタル化への姿勢とは、効率化の数値に見えないところで社員に影響していくものです。 3.各業界の取り組み では、今各業界ではどのような取り組みがなされているのでしょうか。実例を挙げて見ていきましょう。少ない人材を効率よく回しながら従業員の満足度を上げるための第一歩として、マニュアル化された定型度の高い業務の自動化が挙げられます。そこには、人間の知的なふるまいを人工的に再現することができる「AI」が活用されています。ここでは、デジタル化の中でもAIを活用したシステムを紹介していきます。 例えば銀行では、取引時に印鑑票という顧客の印影や個人情報を記載した書類を利用します。実際、とある銀行では、数億ページの印鑑票を複数の倉庫に保管し、必要に応じて専用端末から参照していたのですが、書類の電子化は進んでおらず事務処理に膨大な時間がかかっていたそうです。その書類を、光学的文字認識(OCR)という書面上の文字を読み取り電子化するAI技術(AIOCR)を用いて電子化したことで、大幅に業務が効率化したことが報告されています。 また、弊社船井総合研究所では、人材の採用にAIを活用しています。AIによって、似た志向を持つ、相性の良いコンサルタントをマッチングさせ、面接官ではなくリクルーターとして内定までを応援しています。面接官がすべての学生からの質問を担当するのではなく、選定されたコンサルタントに選考に関しての質問や悩みを相談できるので、入社してからの意識の乖離を減少させることができるだけでなく、お互いが効率よく時間を使うことができます。 他にも、AIチャットボットによりお問い合わせ業務担当者の人員を削減、営業手段の1つであるTwitterへの投稿代行、製造現場では不良発生傾向を自動分類するなどAIでできることは多岐に渡ります。 4.AIが社会基盤を構築するようになった世界 AIによって雇用が奪われる危険性があるとの指摘があります。しかし、それは悲観的な見方であり、実際は期待される要素の方が多くあります。「人員不足が加速する中、AIで出来ることはAIに置きかえ、浮いた時間・人員を本来行うべき付加価値の高い仕事に充てる」という考えが近い将来には主流になっていきます。残念ながら今は長時間労働が前提とした働き方が多いですが、長時間労働のすべてが付加価値の高い仕事ではないはずです。「人がやるべき仕事」「AIにやらせる仕事」の役割分担がより明確になっていく中で、生産性の低い作業は自然になくなっていくでしょう。勘違いしてはいけないのは、AIは大企業だけが導入しているわけではありません。企業規模に関係なくAIを取り入れている企業は多くおります。テレワークが他人事ではなくなったように、AIも他人事ではありません。人口が減少していく日本社会において、AIは 我々の生活・仕事隅々にまで恩恵を与えることでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け “工場のAI・デジタル化”最新事例解説レポート この1冊で、工場のAI・デジタル化の最新事例がわかる! 【事例①】AI活用を通じて「見積もり業務の標準化・脱属人化」を推進! 【事例②】付加価値を生まない検査工程から人手を開放!AIを活用した外観検査体制の構築! 【事例③】現場に散乱していた生産日報・日常点検表等のペーパーレス化を実現! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/ 1.今、直面している日本の人材不足 日本の人口は、2009年をピークに毎年減少し続けています。総務省によると、2020年1月1日現在の日本の人口は1億2602万人、そのうち15~64歳の人口は7513万人となり、これは全体の約60%の人が労働人口として該当することを示します。また、国立社会保障・人口問題研究所の生産年齢人口の調査によると、2015年には7,728万人いた労働世代の人口が、2029年には7,000万人、2056年には5,000万人を割り込むと予測されています。 さらに、少子高齢化による労働人口の減少により、有効求人倍率も上昇しています。有効求人倍率とは、就職希望者一人当たりに何件の求人があるかを表した数値のことです。厚生労働省によると、2009年度から2019年までに有効求人倍率は10年連続で上昇しています。2019年度の有効求人倍率1.55倍に比べ、2020年度は新型コロナウイルスによる影響で1.08倍まで低下しましたが、人口が減っている以上、人材不足問題は更に大きくなっていくことが予想されます。 また、中小企業庁が発表する「中小企業白書」によると、1986年時点では、ほぼすべての地域で製造業の従業者が最多でした。しかし、2014年時点では、小売業やサービス業の労働者数が最多となる市町村が増加し、製造業からサービス業へと産業構造が変化していることも大きな問題です。 2.Withコロナで求められる本気の業務改革 業務改革と言えば、2016年8月に閣議決定した「働き方改革」より、プライベートの時間を大切にする価値観が広まり、労働者側の価値観の変化と多様化が進みました。 働き方改革の目的の一つは、今年に開催される予定だった東京オリンピックの初日をテレワーク・デイとして、企業への在宅や本社以外のオフィスでの勤務を呼び掛け、通勤者を減らし、東京オリンピックの期間中に観戦者が朝のラッシュ時に移動できるような環境作りをするというものでした。しかし、コロナをきっかけに多くの企業が半ば強制的に従来の仕事のやり方について見直しを迫られました。他人事であったテレワークやそれに伴う社内ツールのデジタル化について避けられない状況に直面した企業は多いでしょう。その中でたくさんの新しい価値観が生まれたことは間違いなく、この価値観は今後の生活・仕事のスタンダードとなっていくでしょう。 仕事の業務についても新しい価値観が生まれました。それはハンコ文化に代表される「業務の簡素化」です。すべてのことに「目の前の業務が本当に意味・価値はあるのか」と立ち止まって考える習慣が生まれました。意味がなければ廃止する。無駄だと感じてきた人力でアナログな作業はデジタル化に移行して効率化しようといった考え方をする人が多くなりました。 このような考え方をする人が多くなってきた中で、企業としてその波に乗れない企業は大きなリスクは抱えることになるでしょう。それは、デジタル化により業務効率化が図れないリスクではありません。最も重要なリスクは「社員のモチベーションの低下」です。今、デジタル化に対する社員の目は敏感です。自社がデジタル化に対応してくれないと感じれば、会社への信頼は揺らぎ、個々人のやる気は失われていくでしょう。逆に会社としてデジタル化に積極的な姿勢を見せれば、社員は「会社が社員のことを考えてくれている」と感じ、積極的に仕事に取り組むようになります。デジタル化への姿勢とは、効率化の数値に見えないところで社員に影響していくものです。 3.各業界の取り組み では、今各業界ではどのような取り組みがなされているのでしょうか。実例を挙げて見ていきましょう。少ない人材を効率よく回しながら従業員の満足度を上げるための第一歩として、マニュアル化された定型度の高い業務の自動化が挙げられます。そこには、人間の知的なふるまいを人工的に再現することができる「AI」が活用されています。ここでは、デジタル化の中でもAIを活用したシステムを紹介していきます。 例えば銀行では、取引時に印鑑票という顧客の印影や個人情報を記載した書類を利用します。実際、とある銀行では、数億ページの印鑑票を複数の倉庫に保管し、必要に応じて専用端末から参照していたのですが、書類の電子化は進んでおらず事務処理に膨大な時間がかかっていたそうです。その書類を、光学的文字認識(OCR)という書面上の文字を読み取り電子化するAI技術(AIOCR)を用いて電子化したことで、大幅に業務が効率化したことが報告されています。 また、弊社船井総合研究所では、人材の採用にAIを活用しています。AIによって、似た志向を持つ、相性の良いコンサルタントをマッチングさせ、面接官ではなくリクルーターとして内定までを応援しています。面接官がすべての学生からの質問を担当するのではなく、選定されたコンサルタントに選考に関しての質問や悩みを相談できるので、入社してからの意識の乖離を減少させることができるだけでなく、お互いが効率よく時間を使うことができます。 他にも、AIチャットボットによりお問い合わせ業務担当者の人員を削減、営業手段の1つであるTwitterへの投稿代行、製造現場では不良発生傾向を自動分類するなどAIでできることは多岐に渡ります。 4.AIが社会基盤を構築するようになった世界 AIによって雇用が奪われる危険性があるとの指摘があります。しかし、それは悲観的な見方であり、実際は期待される要素の方が多くあります。「人員不足が加速する中、AIで出来ることはAIに置きかえ、浮いた時間・人員を本来行うべき付加価値の高い仕事に充てる」という考えが近い将来には主流になっていきます。残念ながら今は長時間労働が前提とした働き方が多いですが、長時間労働のすべてが付加価値の高い仕事ではないはずです。「人がやるべき仕事」「AIにやらせる仕事」の役割分担がより明確になっていく中で、生産性の低い作業は自然になくなっていくでしょう。勘違いしてはいけないのは、AIは大企業だけが導入しているわけではありません。企業規模に関係なくAIを取り入れている企業は多くおります。テレワークが他人事ではなくなったように、AIも他人事ではありません。人口が減少していく日本社会において、AIは 我々の生活・仕事隅々にまで恩恵を与えることでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け “工場のAI・デジタル化”最新事例解説レポート この1冊で、工場のAI・デジタル化の最新事例がわかる! 【事例①】AI活用を通じて「見積もり業務の標準化・脱属人化」を推進! 【事例②】付加価値を生まない検査工程から人手を開放!AIを活用した外観検査体制の構築! 【事例③】現場に散乱していた生産日報・日常点検表等のペーパーレス化を実現! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/

AI搭載ロボットコントローラーによるロボット制御の事例と解説

2020.07.14

近年、AIを搭載したロボットコントローラーの需要が高まっています。 今回はその「AI搭載ロボットコントローラー」について事例を交えて解説します。 1.ロボットティーチングの現状と課題 ロボットを動かすために必要な作業が「ティーチング」です。 ティーチング作業は非常に複雑、かつ専門知識を要する作業であり、専門のロボットプログラマーが行うのが一般的です。 ロボットを動かすにはペンダント(操作パネル)を使います。 このペンダントでティーチングの修正や動作確認を行っていくのですが、一般的に使用されているペンダントの画面はプログラムが羅列された文字だらけの画面であり非常に複雑です。 このプログラム画面からロボットの動きを想像するのは容易ではありません。そのため工場の現場レベルでティーチングを行うことはほぼ不可能なのが現状となっています。 2.AI搭載ロボットコントローラーによる制御とは そのような背景で近年注目されているのが「AI搭載ロボットコントローラー」です。 通常のロボットコントローラーと比較すると、大きく3つのメリットがあります。 ①ティーチング作業が簡単 ②生産性向上 ③操作性、メンテナンス性の向上 まず、一番のメリットはティーチング作業が圧倒的に簡単であることです。ワークのピンキング位置、ワークの置き位置、を指定するだけで後はAIが自動で判断してロボットの軌跡を生成します。 この時、あらかじめ登録した障害物との干渉を回避しつつ最適な動きをAIが自動で生成してくれます。 次に生産性向上です。 従来のティーチング作業では人間のような滑らかな動きをロボットで表現することは困難でした。 しかし、AI搭載ロボットコントローラーでは先にも記載した通り、AIが最適な動きを自動で生成します。 それにより、従来のような何点ものティーチングポイントを経由する動きと比べるとサイクルタイムが大幅に改善されます。 最後に、メンテナンス性・操作性の向上です。 通常のコントローラーではロボットメーカーごとにコントローラーが異なるため違うメーカーのロボットを導入する度に新しい操作方法を覚える必要がありました。 近年開発されているAI搭載ロボットコントローラーの中には、メーカーを選ばずどんなメーカーのロボットも直接制御できる物もあります。 それにより、操作も覚えやすく、メンテナンス方法も統一されるので操作ミスによるトラブルや「チョコ停」時の復旧時間短縮にも繋がり、結果として生産性も向上します。 3.事例と解説 では、具体的にどのような場面において導入されているのでしょうか。 事例を交えて解説していきます。 ・事例①自動車部品バラ積みピッキング コンテナのような深い箱に無作為に投入されているシャフトやギヤのようなワークを3Dビジョンシステムと組み合わせてピッキングし次工程(例えばバリ取り装置など)にワークセットするシステムが実装されています。この場合における圧倒的なメリットはやはり「バラ積みピッキング」が可能となったことです。 本来であればピッキングするワークは治具等を用いて綺麗に整列して並べて置く必要がありました。 3DビジョンとAIを組み合わせることで、箱の中にある様々なワークの姿勢を判断し、最適な掴み位置を自動で判断してピッキングします。 さらに、箱の底付近のワークをピッキングする際にはロボットと箱の干渉が懸念されますが、それも干渉の無い姿勢をAIが判断して最適な姿勢と軌跡で動きます。ピッキング後の動作もまるで人間が物を手で運ぶようにスムーズな動きを実現し、従来のティーチングによる動きと比べるとサイクルタイムが大幅に減少しています。 人間が行う場合と変わらないスピードで(むしろ、より速く)ロボットが無人で作業を続ける、これを2台、3台と展開していくことにより3名で作業していた工程が2名に、2名で作業していた工程が1名に、1名が付きっ切りだった工程が無人に、と工場の省人化が進んでいきます。 事例②物流倉庫における多品種ケースの荷下ろし作業 物流倉庫において、毎日大量に納品される商品をパレットから仕分け用のコンベアに載せ替える作業があり、これまでは全て手作業で行ってきました。しかし、高さのある積み荷や、時には20kg近いケースもあり作業員の負担となっていました。 この場合においてロボット化の問題となるのが、ランダムにケースが積まれている場合です。 従来のロボットコントローラーではランダムに積まれているケースをロボットで取ろうとした場合には、一つ一つ品種登録し、様々なパターンをプログラムし、と膨大な時間と費用がかかってしまいます。 そのように工数をかけてもあらかじめ設定したパターン以外ではロボットは動けません。要するに現実的には実現不可能となります。 そこで採用されたのがAI搭載ロボットコントローラーと3Dビジョンシステムを組み合わせたデパレタイズ(荷下ろし)システムです。事例①と同様に、AIと3Dビジョンを組み合わせることでランダムに積み重ねられたケースの荷下ろしが可能となりました。 このように、作業員に負荷の高い作業をロボットに行わせ、手の空いた作業員にはより付加価値の高い作業にシフトしてもらうというのもロボット化の目指すべきところです。 4.まとめ いかかがでしたでしょうか? ロボット導入による省人化=従業員数を減らす、ではありません。 その空いた工数を、AI・ロボットの管理メンテナンス人員として育てる、新たなAI・ロボットシステムを作っていく未来ある人材(人財)として育てる。さらにそのような分野の採用を強化し会社を育てる。 中小製造業の目指すべきAI、ロボット導入の本質はそこにあるのかもしれません。 「AIとロボット、なんか難しそう、、」 「どうせ大手じゃなきゃ導入できないんでしょ、、」 「うちは中小で資金力が無いから、、」 そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。が、そんなことはありません。 Withコロナ時代における企業の優位性を確保するため、優秀な人材(人財)を確保するため、最先端のAI搭載ロボットコントローラーの導入を検討してみてはいかがでしょうか? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 近年、AIを搭載したロボットコントローラーの需要が高まっています。 今回はその「AI搭載ロボットコントローラー」について事例を交えて解説します。 1.ロボットティーチングの現状と課題 ロボットを動かすために必要な作業が「ティーチング」です。 ティーチング作業は非常に複雑、かつ専門知識を要する作業であり、専門のロボットプログラマーが行うのが一般的です。 ロボットを動かすにはペンダント(操作パネル)を使います。 このペンダントでティーチングの修正や動作確認を行っていくのですが、一般的に使用されているペンダントの画面はプログラムが羅列された文字だらけの画面であり非常に複雑です。 このプログラム画面からロボットの動きを想像するのは容易ではありません。そのため工場の現場レベルでティーチングを行うことはほぼ不可能なのが現状となっています。 2.AI搭載ロボットコントローラーによる制御とは そのような背景で近年注目されているのが「AI搭載ロボットコントローラー」です。 通常のロボットコントローラーと比較すると、大きく3つのメリットがあります。 ①ティーチング作業が簡単 ②生産性向上 ③操作性、メンテナンス性の向上 まず、一番のメリットはティーチング作業が圧倒的に簡単であることです。ワークのピンキング位置、ワークの置き位置、を指定するだけで後はAIが自動で判断してロボットの軌跡を生成します。 この時、あらかじめ登録した障害物との干渉を回避しつつ最適な動きをAIが自動で生成してくれます。 次に生産性向上です。 従来のティーチング作業では人間のような滑らかな動きをロボットで表現することは困難でした。 しかし、AI搭載ロボットコントローラーでは先にも記載した通り、AIが最適な動きを自動で生成します。 それにより、従来のような何点ものティーチングポイントを経由する動きと比べるとサイクルタイムが大幅に改善されます。 最後に、メンテナンス性・操作性の向上です。 通常のコントローラーではロボットメーカーごとにコントローラーが異なるため違うメーカーのロボットを導入する度に新しい操作方法を覚える必要がありました。 近年開発されているAI搭載ロボットコントローラーの中には、メーカーを選ばずどんなメーカーのロボットも直接制御できる物もあります。 それにより、操作も覚えやすく、メンテナンス方法も統一されるので操作ミスによるトラブルや「チョコ停」時の復旧時間短縮にも繋がり、結果として生産性も向上します。 3.事例と解説 では、具体的にどのような場面において導入されているのでしょうか。 事例を交えて解説していきます。 ・事例①自動車部品バラ積みピッキング コンテナのような深い箱に無作為に投入されているシャフトやギヤのようなワークを3Dビジョンシステムと組み合わせてピッキングし次工程(例えばバリ取り装置など)にワークセットするシステムが実装されています。この場合における圧倒的なメリットはやはり「バラ積みピッキング」が可能となったことです。 本来であればピッキングするワークは治具等を用いて綺麗に整列して並べて置く必要がありました。 3DビジョンとAIを組み合わせることで、箱の中にある様々なワークの姿勢を判断し、最適な掴み位置を自動で判断してピッキングします。 さらに、箱の底付近のワークをピッキングする際にはロボットと箱の干渉が懸念されますが、それも干渉の無い姿勢をAIが判断して最適な姿勢と軌跡で動きます。ピッキング後の動作もまるで人間が物を手で運ぶようにスムーズな動きを実現し、従来のティーチングによる動きと比べるとサイクルタイムが大幅に減少しています。 人間が行う場合と変わらないスピードで(むしろ、より速く)ロボットが無人で作業を続ける、これを2台、3台と展開していくことにより3名で作業していた工程が2名に、2名で作業していた工程が1名に、1名が付きっ切りだった工程が無人に、と工場の省人化が進んでいきます。 事例②物流倉庫における多品種ケースの荷下ろし作業 物流倉庫において、毎日大量に納品される商品をパレットから仕分け用のコンベアに載せ替える作業があり、これまでは全て手作業で行ってきました。しかし、高さのある積み荷や、時には20kg近いケースもあり作業員の負担となっていました。 この場合においてロボット化の問題となるのが、ランダムにケースが積まれている場合です。 従来のロボットコントローラーではランダムに積まれているケースをロボットで取ろうとした場合には、一つ一つ品種登録し、様々なパターンをプログラムし、と膨大な時間と費用がかかってしまいます。 そのように工数をかけてもあらかじめ設定したパターン以外ではロボットは動けません。要するに現実的には実現不可能となります。 そこで採用されたのがAI搭載ロボットコントローラーと3Dビジョンシステムを組み合わせたデパレタイズ(荷下ろし)システムです。事例①と同様に、AIと3Dビジョンを組み合わせることでランダムに積み重ねられたケースの荷下ろしが可能となりました。 このように、作業員に負荷の高い作業をロボットに行わせ、手の空いた作業員にはより付加価値の高い作業にシフトしてもらうというのもロボット化の目指すべきところです。 4.まとめ いかかがでしたでしょうか? ロボット導入による省人化=従業員数を減らす、ではありません。 その空いた工数を、AI・ロボットの管理メンテナンス人員として育てる、新たなAI・ロボットシステムを作っていく未来ある人材(人財)として育てる。さらにそのような分野の採用を強化し会社を育てる。 中小製造業の目指すべきAI、ロボット導入の本質はそこにあるのかもしれません。 「AIとロボット、なんか難しそう、、」 「どうせ大手じゃなきゃ導入できないんでしょ、、」 「うちは中小で資金力が無いから、、」 そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。が、そんなことはありません。 Withコロナ時代における企業の優位性を確保するため、優秀な人材(人財)を確保するため、最先端のAI搭載ロボットコントローラーの導入を検討してみてはいかがでしょうか? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

産業用ロボットの4つのティーチング種類と解説

2020.04.24

▼無料ダウンロードはこちらをクリック 産業用ロボット導入だけで終わっていませんか? 近年、工場のロボット化は製造業種を問わず、様々な分野で進んできております。大企業だけでなく中小企業においてもロボット化・自動化が導入されています。しかしながら、ロボット導入したら終わり、自動化が自然に実現でき、生産性を高められる訳ではありません。 周知の事実の通り、ロボットはプログラミングを行うことにより動作を制御しています。 中小企業のように多品種でありながら、ロット数が少量であるということは生産工程が逐次変化するということを表しています。そのため変化が多い中小企業のロボット化では”ティーチング“という作業が重要になっていきます。 一体“ティーチング”とは何なのか? 簡単に一言で表すと、「ロボットに望む動作を教えること」です。 動作を教える方法は様々な種類があります。 ティーチングの種類と概要について簡単に説明していきます。 産業用ロボットのティーチングの種類とその概要 前項で述べたティーチングですが、その方法は様々です。 現在一般的なティーチングの種類としては、以下の4つの種類が挙げられます。 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) 3.ダイレクトティーチング 4.AIによるティーチングレス より大きく分類すると下記になります。 ◆ロボットに直接触れることなくティーチング(間接教示)する 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) ◆ロボットに直接触れながらティーチング(直接教示)する 3.ダイレクトティーチング ◆ティーチング作業をAIにより行う 4.AIによるティーチングレス 本ページでは一般的な教示方法である 間接教示法と直接教示法について述べていきます。 その前にまず、 本項ではそれぞれのティーチング方法を表にまとめてみました。 ティーチングの種類 概要 オフラインティーチング(間接教示法) テキスト型 ロボットの動きの元となる、プログラムをテキストエディット用のソフトウェアで直接記入します。複雑な動きのプログラムには向かないため、簡単な動きをするロボットに用いられます。 シミュレータ型 ロボット言語のアップロードや、ダウンロードなどのデータのやり取りが可能です。ロボット言語を変換することができるため、各社のロボットに対応することが可能です。 エミュレータ型 教示者にとってティーチングが容易であるため、多くの産業用ロボットに採用されています。ロボット言語を用いて動作をプログラムし、直接実行させるティーチング方法となるためプログラム精度が高いという利点があります。 自動ティーチングシステム CADデータから加工プログラムを自動的に作成するシステムです。技術的な難易度の高さから、まだ導入例は多くないと言われています。 オンラインティーチング (ティーチング・プレイバック) 間接教示法 教示者が直接ロボット本体を動かすことにより動きを教示する方法になります。導入が増加している協働ロボットのティーチングではこの方法が多く採用されています。教示者が可動部を動かし、動作を記録させることで、より直観的にティーチングすることを可能にします。 AIによるティーチングレス ティーチング作業は属人的なものでありましたが、近年AIの自己学習機能を活用したティーチングレス化が進んでいます。オフラインティーチングにて行ったプログラミング作業に加え、オンラインティーチングで修正を繰り返すことで高品質の作業をミスなく高速で行うことが可能となります。 自社にはどの教示方法が適しているのか? では、自社がロボットを導入し、自動化を実現するためにはどのような教示法、あるいはティーチングを行えるロボットが適しているのかということで悩まれると思います。 ・間接教示法に適した作業工程 ・直接教示法に適した作業工程 上記に分けて説明していきます。 まず、間接教示法と直接教示法のそれぞれが許容できる 作業工程を包含関係で表してみたいと思います。 上記のように直接教示法にできる作業工程が限られることが分かります。 では、包含関係を考慮したうえで直接教示法にはどのような作業工程が向いているのかを説明していきます。 直接教示法に適した作業工程とは? 直接教示法とは、ロボットを直接動かすことによって動作を教示する方法になります。この教示方法はロボットの動作に対して比較的精密度が求められない作業において用いることが一般的となります。 具体的には、以下のような作業工程において用いられております。 ・ネジ締め作業工程 ・組立て作業工程 ・部品の仕分け工程 ・整列工程 ・箱詰め工程 ・ピッキング工程 ・搬送工程 ・検査工程 ・測定工程 間接教示法に適した作業工程とは? 間接教示法は、精密度が求められる工程においても対応することが可能となります。 これは、人の手によるティーチングではなく機械を用いたプログラミングを行うことにより、精度を高めることが可能となるからです。 これらの教示方法により可能となる作業工程は 以下のような作業があります。 ・溶接 ・バリ取り ・シーリング ・ローラーヘム ・カット ・穴あけ ・溶射 ・塗装 ・洗浄 ・搬送(軽量でないもの) 上記のような作業は勿論のこと、前述した包含関係の図からも、この間接教示法は直接教示法による作業もカバーすることが可能です。 間接教示法の中でもペンダントを使用する為に最も初期投資が掛からない方法です。 高頻度での教示の修正や複雑な軌道のロボットパスを生成する必要が無い場合はこちらがおすすめです。 しかし、一度の教示に掛かる時間は教示と動作確認と修正で数日間かかる場合も多く、教示を行う技術者の力量にも大きく差が出てくるので注意が必要です。 またオフラインティーチング法ではパソコンのソフトウェアを用いる必要があるので、初期投資が掛かります。ソフトウェアの購入費用として初期投資300万円~程掛かる事もめずらしく有りません。 立体的な形状のワークにそって軌道を作る時や、複雑な形状、多台のロボットの複合作業などの難易度の高い教示作業や、高頻度の品種追加、寸法変更などのマイナーチェンジが発生する場合に非常に有効です。また作業者の力量に左右されずにロボットパスを生成できる事も魅力です。 まとめ 本ページでは2つの教示方法と、ティーチングの種類について説明してきました。 間接教示法は直接教示法が可能とする作業工程を包含していることから汎用性が高い教示方法であることがわかります。 これを考えると、「間接教示法だけで良いのでは?」と、思われるかもしれません。 しかし、直接教示法では、ティーチングペンダントを用いることなく教示者が直接ロボットにティーイングすることが可能であるということから間接的な教示法よりもティーチングが簡単です。つまりはティーチングに掛かる作業時間を短縮することができるため、生産性が高くなるというメリットも考えられます。 このように、それぞれの作業工程に適した教示方法があることを理解すると自社におけるロボット選定や導入した後の運用面が明らかになり、ロボット化・自動化のイメージが着きやすくなると思います。 さらに、本サイトではティーチングの種類や教示方法だけでなく、それぞれの業種やその工程に特化したロボットについて様々な事例をもとに解説しております。 他社事例をご覧になって頂けるとより自社に適したロボットがどのようなものか理解を深めることが出来ると思います。 是非、自社のロボットにおける導入検討のために御一読いただければと思います。 ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc] ▼無料ダウンロードはこちらをクリック 産業用ロボット導入だけで終わっていませんか? 近年、工場のロボット化は製造業種を問わず、様々な分野で進んできております。大企業だけでなく中小企業においてもロボット化・自動化が導入されています。しかしながら、ロボット導入したら終わり、自動化が自然に実現でき、生産性を高められる訳ではありません。 周知の事実の通り、ロボットはプログラミングを行うことにより動作を制御しています。 中小企業のように多品種でありながら、ロット数が少量であるということは生産工程が逐次変化するということを表しています。そのため変化が多い中小企業のロボット化では”ティーチング“という作業が重要になっていきます。 一体“ティーチング”とは何なのか? 簡単に一言で表すと、「ロボットに望む動作を教えること」です。 動作を教える方法は様々な種類があります。 ティーチングの種類と概要について簡単に説明していきます。 産業用ロボットのティーチングの種類とその概要 前項で述べたティーチングですが、その方法は様々です。 現在一般的なティーチングの種類としては、以下の4つの種類が挙げられます。 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) 3.ダイレクトティーチング 4.AIによるティーチングレス より大きく分類すると下記になります。 ◆ロボットに直接触れることなくティーチング(間接教示)する 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) ◆ロボットに直接触れながらティーチング(直接教示)する 3.ダイレクトティーチング ◆ティーチング作業をAIにより行う 4.AIによるティーチングレス 本ページでは一般的な教示方法である 間接教示法と直接教示法について述べていきます。 その前にまず、 本項ではそれぞれのティーチング方法を表にまとめてみました。 ティーチングの種類 概要 オフラインティーチング(間接教示法) テキスト型 ロボットの動きの元となる、プログラムをテキストエディット用のソフトウェアで直接記入します。複雑な動きのプログラムには向かないため、簡単な動きをするロボットに用いられます。 シミュレータ型 ロボット言語のアップロードや、ダウンロードなどのデータのやり取りが可能です。ロボット言語を変換することができるため、各社のロボットに対応することが可能です。 エミュレータ型 教示者にとってティーチングが容易であるため、多くの産業用ロボットに採用されています。ロボット言語を用いて動作をプログラムし、直接実行させるティーチング方法となるためプログラム精度が高いという利点があります。 自動ティーチングシステム CADデータから加工プログラムを自動的に作成するシステムです。技術的な難易度の高さから、まだ導入例は多くないと言われています。 オンラインティーチング (ティーチング・プレイバック) 間接教示法 教示者が直接ロボット本体を動かすことにより動きを教示する方法になります。導入が増加している協働ロボットのティーチングではこの方法が多く採用されています。教示者が可動部を動かし、動作を記録させることで、より直観的にティーチングすることを可能にします。 AIによるティーチングレス ティーチング作業は属人的なものでありましたが、近年AIの自己学習機能を活用したティーチングレス化が進んでいます。オフラインティーチングにて行ったプログラミング作業に加え、オンラインティーチングで修正を繰り返すことで高品質の作業をミスなく高速で行うことが可能となります。 自社にはどの教示方法が適しているのか? では、自社がロボットを導入し、自動化を実現するためにはどのような教示法、あるいはティーチングを行えるロボットが適しているのかということで悩まれると思います。 ・間接教示法に適した作業工程 ・直接教示法に適した作業工程 上記に分けて説明していきます。 まず、間接教示法と直接教示法のそれぞれが許容できる 作業工程を包含関係で表してみたいと思います。 上記のように直接教示法にできる作業工程が限られることが分かります。 では、包含関係を考慮したうえで直接教示法にはどのような作業工程が向いているのかを説明していきます。 直接教示法に適した作業工程とは? 直接教示法とは、ロボットを直接動かすことによって動作を教示する方法になります。この教示方法はロボットの動作に対して比較的精密度が求められない作業において用いることが一般的となります。 具体的には、以下のような作業工程において用いられております。 ・ネジ締め作業工程 ・組立て作業工程 ・部品の仕分け工程 ・整列工程 ・箱詰め工程 ・ピッキング工程 ・搬送工程 ・検査工程 ・測定工程 間接教示法に適した作業工程とは? 間接教示法は、精密度が求められる工程においても対応することが可能となります。 これは、人の手によるティーチングではなく機械を用いたプログラミングを行うことにより、精度を高めることが可能となるからです。 これらの教示方法により可能となる作業工程は 以下のような作業があります。 ・溶接 ・バリ取り ・シーリング ・ローラーヘム ・カット ・穴あけ ・溶射 ・塗装 ・洗浄 ・搬送(軽量でないもの) 上記のような作業は勿論のこと、前述した包含関係の図からも、この間接教示法は直接教示法による作業もカバーすることが可能です。 間接教示法の中でもペンダントを使用する為に最も初期投資が掛からない方法です。 高頻度での教示の修正や複雑な軌道のロボットパスを生成する必要が無い場合はこちらがおすすめです。 しかし、一度の教示に掛かる時間は教示と動作確認と修正で数日間かかる場合も多く、教示を行う技術者の力量にも大きく差が出てくるので注意が必要です。 またオフラインティーチング法ではパソコンのソフトウェアを用いる必要があるので、初期投資が掛かります。ソフトウェアの購入費用として初期投資300万円~程掛かる事もめずらしく有りません。 立体的な形状のワークにそって軌道を作る時や、複雑な形状、多台のロボットの複合作業などの難易度の高い教示作業や、高頻度の品種追加、寸法変更などのマイナーチェンジが発生する場合に非常に有効です。また作業者の力量に左右されずにロボットパスを生成できる事も魅力です。 まとめ 本ページでは2つの教示方法と、ティーチングの種類について説明してきました。 間接教示法は直接教示法が可能とする作業工程を包含していることから汎用性が高い教示方法であることがわかります。 これを考えると、「間接教示法だけで良いのでは?」と、思われるかもしれません。 しかし、直接教示法では、ティーチングペンダントを用いることなく教示者が直接ロボットにティーイングすることが可能であるということから間接的な教示法よりもティーチングが簡単です。つまりはティーチングに掛かる作業時間を短縮することができるため、生産性が高くなるというメリットも考えられます。 このように、それぞれの作業工程に適した教示方法があることを理解すると自社におけるロボット選定や導入した後の運用面が明らかになり、ロボット化・自動化のイメージが着きやすくなると思います。 さらに、本サイトではティーチングの種類や教示方法だけでなく、それぞれの業種やその工程に特化したロボットについて様々な事例をもとに解説しております。 他社事例をご覧になって頂けるとより自社に適したロボットがどのようなものか理解を深めることが出来ると思います。 是非、自社のロボットにおける導入検討のために御一読いただければと思います。 ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc]