ROBOT CONSULTING COLUMN 自動化・ロボットコンサルティングコラム

専門コンサルタントが執筆するAI・ロボットコラム
最新のAI・ロボット技術に精通したコンサルタントによる定期コラム

多品種少量生産ロボット導入における人材育成とは?

2020.11.13

中小製造業における多品種少量生産対応のためロボット導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。 近年、人手不足への対応や生産性向上に向けて産業用ロボットの導入が増加しています。 それに伴い産業用ロボットの取り扱いにおける事故(労働災害)件数の増加も懸念されています。 産業用ロボットに関連する事故は重大災害になる可能性が大きく、正しい知識を持った作業者が取り扱う必要があります。 今回は初めてのロボット導入における人材育成について解説していきます。 1.初めてのロボット導入、必要な資格はあるの? 中小製造業において見落としがちな項目として真っ先に挙げられるのが人材育成、特に安全に対する教育についてです。 先にも述べた通り、産業用ロボットに関連する事故は重大災害になる可能性が大きく、ロボットを取り扱う作業者には十分な教育を行う必要があります。 労働安全衛生法では以下のように規定されています。 労働安全衛生法第59条第3項 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-1/hor1-1-1-6-0.htm 以上のように、事業者は産業用ロボットの教示等や検査等の作業に労働者を就かせるときは、その全員に労働安全衛生法第59条第3項に基づき、特別教育を行うことが義務付けられています。 では、具体的にどのような教育を受ける必要があるのでしょうか? 2.産業用ロボットの取り扱いに必要な資格は? では、労働安全衛生法において産業用ロボットにおける教育がどのように規定されているのか見ていきましょう。 安全衛生特別教育規定 (産業用ロボツトの教示等の業務に係る特別教育) 第十八条 安衛則第三十六条第三十一号に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。 2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。(表) 3 第一項の実技教育は、次の各号に掲げる科目について、当該各号に掲げる時間以上行うものとする。 一 産業用ロボツトの操作の方法 一時間 二 産業用ロボツトの教示等の作業の方法 二時間 科 目 範 囲 時 間 産業用ロボツトに関する知識 産業用ロボツトの種類、各部の機能及び取扱いの方法 二時間 産業用ロボツトの教示等の作業に関する知識 教示等の作業の方法 教示等の作業の危険性 関連する機械等との連動の方法 四時間 関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 一時間 (産業用ロボツトの検査等の業務に係る特別教育) 第十九条 安衛則第三十六条第三十二号に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。 2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。(表) 3 第一号の実技教育は、次の各号に掲げる科目について、当該各号に掲げる時間以上行うものとする。 一 産業用ロボツトの操作の方法 一時間 二 産業用ロボツトの検査等の作業の方法 三時間 科 目 範 囲 時 間 産業用ロボツトに関する知識 産業用ロボツトの種類、制御方式、駆動方式、各部の構造及び機能並びに取扱いの方法 制御部品の種類及び特性 四時間 産業用ロボツトの教示等の作業に関する知識 検査等の作業の方法 検査等の作業の危険性 関連する機械等との連動の方法 四時間 関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 一時間 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-16/hor1-16-1-1-0.htm 以上のように、産業用ロボットの特別教育は規定された時間の教育を受けることが義務付けられています。 3.産業用ロボット特別教育ってどこで受ければいいの? 特別教育は全国各地で行われています。 具体的には、 ・ロボットテクニカルセンター https://www.robotec-center.com/robot_school/course_education/ ・安川電機 http://yaskawa-meg.co.jp/tokyo/tokyo-kyouji/ ・カワサキロボットサービス https://www.khi.co.jp/corp/krs/service/introduction/school.html 他にも様々な場所、メーカーで特別教育を受講することが可能です。 導入するロボットメーカーが決まっているのであれば、メーカーの特別教育を受けるのもいいかもしれません。 4.特別教育を受ければロボットは扱えるの? 特別教育を受講すれば、ロボットを扱うのに最低限の教育を受けたと言えるでしょう。 しかし、特別教育を受けたからと言ってその日からロボットを扱えるようになるとは限りません。 ティーチング作業においては専門のティーチング技術者がいるように、非常に難易度の高い作業であり特別教育を受けただけでは実際に現場で使えるレベルには達しないのはお分かり頂けるかと思います。 「ロボット」と一言に言っても、導入するロボットシステムにはそれぞれ特徴があり、中にはカメラ等を用いたビジョンシステムのような付帯機能を持ったシステムを導入する場合もあるでしょう。 そのような場合、カメラやビジョンシステムの知識も最低限必要になってきます。 ロボットを取り扱う人材育成において、そのシステムを専任で任せられる(任せてあげる)人員配置を会社側が考慮する必要があると考えます。 人材不足、特に若手の人材不足に悩む中小製造業においては、最新のロボットシステムを若手に任せることによる新たな技術者の育成が必要ではないでしょうか。 5.おわりに 今回はロボット導入における人材育成について解説しました。 船井総研ではロボットやAIの導入に役立つダウンロードコンテンツやセミナーをご用意しております。 ■セミナー開催のお知らせ 板金・プレス・溶接加工業のAI&ロボット導入!社長セミナー 11/18(水) 10:00~12:00/13:00~15:00 ↓↓↓セミナー詳細は下記からご覧ください このセミナーは終了しました。最新のセミナーはこちらから。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/event/ ■ダウンロード事例集のご案内 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 板金・溶接加工業様向け 多品種少量溶接ロボット導入事例解説レポート この1冊で多品種少量溶接ロボット導入の具体的事例がわかる! ①多品種少量溶接ロボット導入の進め方 ②多品種少量溶接ロボットにおける具体的事例 ③補助金を活用した溶接ロボット導入成功事例 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://lp.funaisoken.co.jp/mt/smart-factory/dltext05-dl.html 中小製造業における多品種少量生産対応のためロボット導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。 近年、人手不足への対応や生産性向上に向けて産業用ロボットの導入が増加しています。 それに伴い産業用ロボットの取り扱いにおける事故(労働災害)件数の増加も懸念されています。 産業用ロボットに関連する事故は重大災害になる可能性が大きく、正しい知識を持った作業者が取り扱う必要があります。 今回は初めてのロボット導入における人材育成について解説していきます。 1.初めてのロボット導入、必要な資格はあるの? 中小製造業において見落としがちな項目として真っ先に挙げられるのが人材育成、特に安全に対する教育についてです。 先にも述べた通り、産業用ロボットに関連する事故は重大災害になる可能性が大きく、ロボットを取り扱う作業者には十分な教育を行う必要があります。 労働安全衛生法では以下のように規定されています。 労働安全衛生法第59条第3項 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-1/hor1-1-1-6-0.htm 以上のように、事業者は産業用ロボットの教示等や検査等の作業に労働者を就かせるときは、その全員に労働安全衛生法第59条第3項に基づき、特別教育を行うことが義務付けられています。 では、具体的にどのような教育を受ける必要があるのでしょうか? 2.産業用ロボットの取り扱いに必要な資格は? では、労働安全衛生法において産業用ロボットにおける教育がどのように規定されているのか見ていきましょう。 安全衛生特別教育規定 (産業用ロボツトの教示等の業務に係る特別教育) 第十八条 安衛則第三十六条第三十一号に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。 2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。(表) 3 第一項の実技教育は、次の各号に掲げる科目について、当該各号に掲げる時間以上行うものとする。 一 産業用ロボツトの操作の方法 一時間 二 産業用ロボツトの教示等の作業の方法 二時間 科 目 範 囲 時 間 産業用ロボツトに関する知識 産業用ロボツトの種類、各部の機能及び取扱いの方法 二時間 産業用ロボツトの教示等の作業に関する知識 教示等の作業の方法 教示等の作業の危険性 関連する機械等との連動の方法 四時間 関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 一時間 (産業用ロボツトの検査等の業務に係る特別教育) 第十九条 安衛則第三十六条第三十二号に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。 2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。(表) 3 第一号の実技教育は、次の各号に掲げる科目について、当該各号に掲げる時間以上行うものとする。 一 産業用ロボツトの操作の方法 一時間 二 産業用ロボツトの検査等の作業の方法 三時間 科 目 範 囲 時 間 産業用ロボツトに関する知識 産業用ロボツトの種類、制御方式、駆動方式、各部の構造及び機能並びに取扱いの方法 制御部品の種類及び特性 四時間 産業用ロボツトの教示等の作業に関する知識 検査等の作業の方法 検査等の作業の危険性 関連する機械等との連動の方法 四時間 関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 一時間 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-16/hor1-16-1-1-0.htm 以上のように、産業用ロボットの特別教育は規定された時間の教育を受けることが義務付けられています。 3.産業用ロボット特別教育ってどこで受ければいいの? 特別教育は全国各地で行われています。 具体的には、 ・ロボットテクニカルセンター https://www.robotec-center.com/robot_school/course_education/ ・安川電機 http://yaskawa-meg.co.jp/tokyo/tokyo-kyouji/ ・カワサキロボットサービス https://www.khi.co.jp/corp/krs/service/introduction/school.html 他にも様々な場所、メーカーで特別教育を受講することが可能です。 導入するロボットメーカーが決まっているのであれば、メーカーの特別教育を受けるのもいいかもしれません。 4.特別教育を受ければロボットは扱えるの? 特別教育を受講すれば、ロボットを扱うのに最低限の教育を受けたと言えるでしょう。 しかし、特別教育を受けたからと言ってその日からロボットを扱えるようになるとは限りません。 ティーチング作業においては専門のティーチング技術者がいるように、非常に難易度の高い作業であり特別教育を受けただけでは実際に現場で使えるレベルには達しないのはお分かり頂けるかと思います。 「ロボット」と一言に言っても、導入するロボットシステムにはそれぞれ特徴があり、中にはカメラ等を用いたビジョンシステムのような付帯機能を持ったシステムを導入する場合もあるでしょう。 そのような場合、カメラやビジョンシステムの知識も最低限必要になってきます。 ロボットを取り扱う人材育成において、そのシステムを専任で任せられる(任せてあげる)人員配置を会社側が考慮する必要があると考えます。 人材不足、特に若手の人材不足に悩む中小製造業においては、最新のロボットシステムを若手に任せることによる新たな技術者の育成が必要ではないでしょうか。 5.おわりに 今回はロボット導入における人材育成について解説しました。 船井総研ではロボットやAIの導入に役立つダウンロードコンテンツやセミナーをご用意しております。 ■セミナー開催のお知らせ 板金・プレス・溶接加工業のAI&ロボット導入!社長セミナー 11/18(水) 10:00~12:00/13:00~15:00 ↓↓↓セミナー詳細は下記からご覧ください このセミナーは終了しました。最新のセミナーはこちらから。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/event/ ■ダウンロード事例集のご案内 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 板金・溶接加工業様向け 多品種少量溶接ロボット導入事例解説レポート この1冊で多品種少量溶接ロボット導入の具体的事例がわかる! ①多品種少量溶接ロボット導入の進め方 ②多品種少量溶接ロボットにおける具体的事例 ③補助金を活用した溶接ロボット導入成功事例 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://lp.funaisoken.co.jp/mt/smart-factory/dltext05-dl.html

最新事例のご紹介(3Dスキャナを用いたティーチングレスなTIG溶接の自動化)

2020.11.02

昨日、筆者は静岡県のとある企業様に視察に行ってきました。 その企業様では、制御BOXや配電盤等に使用される箱型の製品を製作されており、TIG溶接による成形工程にロボットを導入し自動化されていました。 そして多品種対応や製品の個体差による加工不良をとある方法で解決されていました。 本記事ではこちらの企業様が導入された自動化システムのポイントについて述べていきたいと思います。 1.システム構成 まずはロボットシステムの構成ですが、ハンドリング用ロボット1台+溶接用ロボット1台の合計ロボット2台の構成です。 ここまではよくあるロボットの事例ですが、こちらの企業様はリンクウィズ社製のL-ROBOTというレーザースキャナを用いたロボットの自動補正システムを導入されています。 ハンドリングロボットがコンベアから製品をピッキングし、溶接部の端面や角を決める為の治具に製品をセットします。その後溶接ロボットのハンドに取り付けられたレーザースキャナーにて溶接部の形状をサーチし得られたデータから専用のコンピューターが3Dモデルを作成します。そして3Dモデルから溶接する場所が自動的に算出されロボットに溶接位置の指令を出すというモノです。 2.何故、ロボットの補正システムを導入したのか? フィラー無しのTIG溶接では、金属の接合面の合わせ面が非常に大事でシビアですが、前工程の曲げ加工や仮止めの工程で微妙に接合面の位置には歪みや反りも出てきます。 ロボットは基本的には同じ軌道の動作を繰り返すものですが、このロボットの軌道ではワークの歪みや反りに追従できず溶接不良を起こしてしまいます。 こちらの企業様ではもともと溶接用の自動機(溶接トーチが自動で垂直に動くもの)を使い溶接加工をされていましたが、接合部の合わせ面にトーチが通る様に人がワークを微調整しながら加工を行っていた為に、単純な動きの繰り返しでは上手く溶接が出来ない事を理解されていました。その為に自動で補正するシステムが絶対に必要と考えて導入に至った様です。 3.どのような補正システムなのか? L-ROBOTの処理フローは簡易に書くと下記の様になります。 レーザースキャナ(キーエンス製レーザー式変位センサーを使用)をロボットハンドに持たせて加工物を一度スキャンします。 スキャンの結果、それぞれに座標を持った点が点群データがコンピュータに取り込まれます。 コンピュータ上でそれぞれの点群データが3Dモデルを形づくりワークを形状や位置を認識します。 その後その点群データから加工する場所を自動で判別します。 加工させる場所の位置データをロボットに送り、ロボットはそれに従ってトーチを指定の位置に動かして溶接を開始する。 つまり、加工の度にワークの形状や加工面を調べてからそれぞれの個体差に合わせてロボットが動きますので、ロボットティーチングの修正が必要無いという事です。 ある程度の範囲の中で同形状のモノであればティーチングをしなくても同じ様に加工を行ってくれるという代物です。 溶接に限らずロボットで加工を行う際にワークの歪みや反りによる個体差が起因してロボットの加工が上手くいかない、その都度ロボットティーチングの修正を繰り返しているという企業様も多く、結果ロボットを使わなくなってしまう場合も少なからずあるようですが、このような補正システムがロボットに組み込まれていれば、多くの課題が解決されますね。 人間が作業を行う場合は必ず一度考えますよね。ワークの形状であったり加工方法であったりその場に適した加工を行うわけですが、ロボットにはこのようにものを考える頭脳がありません。この頭脳の代わりをしてくれるのが、リンクウィズ製のL-ROBOTだと思います。 4.多品種対応 こちらの企業様では多品種対応を進めており、現在約300種類の製品をロボットで生産出来る様にしておられました。 もちろん導入された時点では代表的な数品種のみ生産可能の状態で、その後自力で品種を追加していった結果です。 300種類の品種はほぼ同一形状ながらも大きさは数百ミリ以上違うモノですが、この300種類の製品を生産する為のプログラムは大体15種類程度だという事です。 普通ならそれぞれの品種専用のPRGを製作する必要がありますが、PRGを共通化しているという所もこのシステムならではだと思います。 そしてこのシステムの管理や品種追加を担当されている方が非常に若手の方でした。 これまでロボットは触った事が無く知識もなかったというこの担当者の方は、導入から半年たった今では、ロボットもL-ROBOTも使いこなしながら品種追加を今も継続していらっしゃいます。 このような若手社員が社内で育つ事で、ロボット活用のノウハウが蓄積し今後の展開にも波及していくでしょうし、会社全体にも良い影響が得られるとこの企業の社長様もおっしゃっていました。 このようにロボット化を進める事で様々な課題に挑戦し、若手の人材が新しい技術を習得する事で会社全体が変革していくという事が最大の成果なのかも知れません。 如何でしたでしょうか。 今回はレーザースキャナーを用いた最新のロボット補正システムを活用して自社のものづくりを自動化した企業様の事例をご紹介しました。 日本の中小製造業のほとんどの多品種少量生産を行う必要があり、自動化したいがロボットは多品種向きでは無いと考えていらっしゃる企業様も多いと思います。 しかし、今回ご紹介させて頂いた企業様の様に自社の製品の特長や癖を見抜き、それを自動化する為に必要な技術を選定し実際にテストを重ねながら導入し導入後も社内の若手社員を活用し多品種化を拡大させている企業様も実際にいます。 このような改善への前向きのスタンスとやりきる強い意志を持つ事が企業のデジタル化への第一歩ではないでしょうか。 昨今どんどん新しい技術が開発されてきています。 過去に自動化に挑戦したが、良い結果が得られず自社のモノ作りを自動化する事を諦めていた企業様にも、現在は違うアプローチでの自動化が可能な場合も十分にあると思います。 日本の労働人口減少が顕著になる中で、ものづくりのデジタルシフトは必ずと言っていいほど必須となってきます。 今回紹介したような様々な技術を活用してものづくりのデジタルシフトを進めていきましょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 板金・溶接加工業様向け 多品種少量溶接ロボット導入事例解説レポート この1冊で多品種少量溶接ロボット導入の具体的事例がわかる! ①多品種少量溶接ロボット導入の進め方 ②多品種少量溶接ロボットにおける具体的事例 ③補助金を活用した溶接ロボット導入成功事例 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://lp.funaisoken.co.jp/mt/smart-factory/dltext05-dl.html 昨日、筆者は静岡県のとある企業様に視察に行ってきました。 その企業様では、制御BOXや配電盤等に使用される箱型の製品を製作されており、TIG溶接による成形工程にロボットを導入し自動化されていました。 そして多品種対応や製品の個体差による加工不良をとある方法で解決されていました。 本記事ではこちらの企業様が導入された自動化システムのポイントについて述べていきたいと思います。 1.システム構成 まずはロボットシステムの構成ですが、ハンドリング用ロボット1台+溶接用ロボット1台の合計ロボット2台の構成です。 ここまではよくあるロボットの事例ですが、こちらの企業様はリンクウィズ社製のL-ROBOTというレーザースキャナを用いたロボットの自動補正システムを導入されています。 ハンドリングロボットがコンベアから製品をピッキングし、溶接部の端面や角を決める為の治具に製品をセットします。その後溶接ロボットのハンドに取り付けられたレーザースキャナーにて溶接部の形状をサーチし得られたデータから専用のコンピューターが3Dモデルを作成します。そして3Dモデルから溶接する場所が自動的に算出されロボットに溶接位置の指令を出すというモノです。 2.何故、ロボットの補正システムを導入したのか? フィラー無しのTIG溶接では、金属の接合面の合わせ面が非常に大事でシビアですが、前工程の曲げ加工や仮止めの工程で微妙に接合面の位置には歪みや反りも出てきます。 ロボットは基本的には同じ軌道の動作を繰り返すものですが、このロボットの軌道ではワークの歪みや反りに追従できず溶接不良を起こしてしまいます。 こちらの企業様ではもともと溶接用の自動機(溶接トーチが自動で垂直に動くもの)を使い溶接加工をされていましたが、接合部の合わせ面にトーチが通る様に人がワークを微調整しながら加工を行っていた為に、単純な動きの繰り返しでは上手く溶接が出来ない事を理解されていました。その為に自動で補正するシステムが絶対に必要と考えて導入に至った様です。 3.どのような補正システムなのか? L-ROBOTの処理フローは簡易に書くと下記の様になります。 レーザースキャナ(キーエンス製レーザー式変位センサーを使用)をロボットハンドに持たせて加工物を一度スキャンします。 スキャンの結果、それぞれに座標を持った点が点群データがコンピュータに取り込まれます。 コンピュータ上でそれぞれの点群データが3Dモデルを形づくりワークを形状や位置を認識します。 その後その点群データから加工する場所を自動で判別します。 加工させる場所の位置データをロボットに送り、ロボットはそれに従ってトーチを指定の位置に動かして溶接を開始する。 つまり、加工の度にワークの形状や加工面を調べてからそれぞれの個体差に合わせてロボットが動きますので、ロボットティーチングの修正が必要無いという事です。 ある程度の範囲の中で同形状のモノであればティーチングをしなくても同じ様に加工を行ってくれるという代物です。 溶接に限らずロボットで加工を行う際にワークの歪みや反りによる個体差が起因してロボットの加工が上手くいかない、その都度ロボットティーチングの修正を繰り返しているという企業様も多く、結果ロボットを使わなくなってしまう場合も少なからずあるようですが、このような補正システムがロボットに組み込まれていれば、多くの課題が解決されますね。 人間が作業を行う場合は必ず一度考えますよね。ワークの形状であったり加工方法であったりその場に適した加工を行うわけですが、ロボットにはこのようにものを考える頭脳がありません。この頭脳の代わりをしてくれるのが、リンクウィズ製のL-ROBOTだと思います。 4.多品種対応 こちらの企業様では多品種対応を進めており、現在約300種類の製品をロボットで生産出来る様にしておられました。 もちろん導入された時点では代表的な数品種のみ生産可能の状態で、その後自力で品種を追加していった結果です。 300種類の品種はほぼ同一形状ながらも大きさは数百ミリ以上違うモノですが、この300種類の製品を生産する為のプログラムは大体15種類程度だという事です。 普通ならそれぞれの品種専用のPRGを製作する必要がありますが、PRGを共通化しているという所もこのシステムならではだと思います。 そしてこのシステムの管理や品種追加を担当されている方が非常に若手の方でした。 これまでロボットは触った事が無く知識もなかったというこの担当者の方は、導入から半年たった今では、ロボットもL-ROBOTも使いこなしながら品種追加を今も継続していらっしゃいます。 このような若手社員が社内で育つ事で、ロボット活用のノウハウが蓄積し今後の展開にも波及していくでしょうし、会社全体にも良い影響が得られるとこの企業の社長様もおっしゃっていました。 このようにロボット化を進める事で様々な課題に挑戦し、若手の人材が新しい技術を習得する事で会社全体が変革していくという事が最大の成果なのかも知れません。 如何でしたでしょうか。 今回はレーザースキャナーを用いた最新のロボット補正システムを活用して自社のものづくりを自動化した企業様の事例をご紹介しました。 日本の中小製造業のほとんどの多品種少量生産を行う必要があり、自動化したいがロボットは多品種向きでは無いと考えていらっしゃる企業様も多いと思います。 しかし、今回ご紹介させて頂いた企業様の様に自社の製品の特長や癖を見抜き、それを自動化する為に必要な技術を選定し実際にテストを重ねながら導入し導入後も社内の若手社員を活用し多品種化を拡大させている企業様も実際にいます。 このような改善への前向きのスタンスとやりきる強い意志を持つ事が企業のデジタル化への第一歩ではないでしょうか。 昨今どんどん新しい技術が開発されてきています。 過去に自動化に挑戦したが、良い結果が得られず自社のモノ作りを自動化する事を諦めていた企業様にも、現在は違うアプローチでの自動化が可能な場合も十分にあると思います。 日本の労働人口減少が顕著になる中で、ものづくりのデジタルシフトは必ずと言っていいほど必須となってきます。 今回紹介したような様々な技術を活用してものづくりのデジタルシフトを進めていきましょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 板金・溶接加工業様向け 多品種少量溶接ロボット導入事例解説レポート この1冊で多品種少量溶接ロボット導入の具体的事例がわかる! ①多品種少量溶接ロボット導入の進め方 ②多品種少量溶接ロボットにおける具体的事例 ③補助金を活用した溶接ロボット導入成功事例 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://lp.funaisoken.co.jp/mt/smart-factory/dltext05-dl.html

産業用ロボットとは?工場への導入からコストまで成功させる方法徹底解説

2020.10.09

▼無料ダウンロードはこちらをクリック 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットは、工業や製造業などの産業分野で使用される目的を持ったロボットのことを指します。 産業用ロボットは、日本においても自動化された自動車工場や食品製造ラインで幅広く普及しており、さまざまな作業を担当することができます。 例えば、自由度の高いアームを使って、組立、溶接、積載や移動、塗装、検査、搬送、パッケージングなどの作業を効率的に行うことができます。過去に人手で行っていた作業を代替し、高い生産性と品質を維持しながら製品をつくっています。 これらのロボットは、多くの場合、プログラミングなどの技術を利用して制御されます。他にもセンサー技術などを活用することで、環境の変化に応じて柔軟に作業変更することができます。 2.産業用ロボットにはどんな種類がある? 産業用ロボットにはどのような種類のロボットがあるのか解説します。 代表的なものとしては「垂直多関節ロボット」「スカラロボット」「パラレルリンクロボット」「直交ロボット」の4分類に分けられます。 産業用ロボット、と言って真っ先にイメージされるのは「垂直多関節ロボット」だと思います。それぞれのロボットに特徴/得意/不得意があるため、用途に応じて使い分ける必要があります。 「ロボットを何かに使いたいから導入したい」ではロボットの種類を決めることも困難です。 「この目的のためロボットを導入したい」と自社の課題を明確にすることで、よりニーズに合ったロボットシステムの導入が可能となります。 3.産業用ロボットを導入するにはまず何をすればいいの? 先ほども書いた通り、まずは自社の課題を明確にすることが導入の第一歩となります。 すぐに課題が思い浮かばなくても心配はいりません!! 産業用ロボットを工場へ導入した事例を見ていると、「これは自分の工場でも使えそうだ」と気づくことがあると思います。水平多関節ロボットの実際の使用例や、空間を最大限に活用したロボット活用方法を見ることで、導入イメージが湧いてくるはずです。 昨今ではオンライン展示会のようなイベントも多く開催されているので、そのような場で最新の技術や導入事例に触れてヒントを得るのもいいかもしれません。 当サイトでも以下のようなロボット事例紹介コラムや事例集のダウンロードサービスなどがあります。是非参考にしてみて下さい。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/robot-jirei/ 少し情報収集をするとなんとなくイメージが湧いてきたでしょうか?イメージが湧いたら、ここから実際に産業用ロボット導入を進めていきます。 実際にロボット導入をする業者がSIer(システムインテグレーター)です。 SIerとは、構想から設計、見積もり、各種装置の手配、組付け、設置工事、試運転、操作説明等の教育、稼働立ち合いまでを請け負う機械設備屋さんです。 産業用ロボットを導入する際には必ずSIerへの依頼が必要となります。(自社で上記全てを実施できる体制があるのであれば不要ですが、、、) なので、信頼できる腕のいいSIerを選定することも産業用ロボットを導入する上で重要な項目の一つになります。 4.産業用ロボットの価格ってどれくらい? 様々な種類の産業用ロボットがありますが小型で安価な物であれば100万円程度から購入することができます。構造や機器によりますが、一般的に使われるサイズで300万~500万前後となります。 「え、ロボットって意外と安い」、「それなら1台買おう!」 そう思った方、残念ですが産業用ロボット単体ではロボットは駆動しません。 実際にロボットシステムを導入する場合、場合によりますが以下のような付帯設備が必要となります。 安全柵 制御盤 ロボット架台 ロボットハンド 各種センサー類 ワークストッカー 搬送装置 etc、、、 これらの付帯設備を設計製作するのがSIerです。 設計費等をシステムインテグレーション費用といいます。 5.実際に産業用ロボットを導入すると総額は? 上記の通り、産業用ロボット単体ではロボットシステムは成り立ちません。 様々な付帯設備により工場のニーズに合ったロボットシステムを構築していくことが必要になります。 では、実際にロボットシステムを導入しようとした場合、総額はどれくらいになるのでしょうか? 事例を交えながら見ていきましょう。 ①垂直多関節ロボットを用いた塗装ロボットシステム 防爆ロボット ¥5,000,000 付帯設備 ¥5,000,000 ロボット架台 ¥1,000,000 制御装置 ¥4,000,000 設置工事費 ¥7,000,000(試運転調整費含む) 設計費 ¥1,500,000 合計 ¥23,500,000 ②画像認識システムを用いた重量ワークのハンドリングロボットシステム 多関節ロボット ¥3,000,000 付帯設備 ¥5,000,000 制御装置 ¥7,000,000 画像認識システム ¥10,000,000 設置工事費 ¥10,000,000(試運転調整費含む) 設計費 ¥5,000,000 合計 ¥40,000,000 それぞれの現場のニーズにより総額は大きく違ってきます。 ロボットシステムを導入することでどれくらいの投資対効果を得られるのか、事前に把握しておくことが非常に重要です。 概ね、投資金額の回収は2年~5年程度で考えると良いでしょう。 例えば、①の事例のように¥23,000,000の導入コストが掛かる場合について。 人件費1人年間500万円とした場合、ロボットシステムを導入したことで2人の作業者が削減できると仮定すると、¥23,000,000÷¥10,000,000=2.3年となります。 このように投資対効果を計算することで投資判断が可能となります。 6.おわりに いかがでしたでしょうか。新規の産業用ロボット導入の際にお役立ていただけますと幸いです。 更に産業用ロボット導入やコストについてお知りになりたい方向けに、無料のレポートをご用意しております。 以下バナーより、「ロボット導入を成功させる方法と活用事例紹介レポート」を無料でダウンロードいただけます。 まずはこちらのレポートより産業用ロボットについての情報をキャッチアップいただければと思います。   【製造業】経営者向け!!工場の協働ロボット活用成功事例集 ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 中小製造業のロボット活用は協働ロボットが主流になる! 中小製造業が実践すべき協働ロボット活用のポイントと具体的な方法を解説! さらに、実際の中小製造業における協働ロボット活用成功事例をこの1冊にまとめました! https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_01539   [sc name="automation-robot"][/sc] ▼無料ダウンロードはこちらをクリック 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットは、工業や製造業などの産業分野で使用される目的を持ったロボットのことを指します。 産業用ロボットは、日本においても自動化された自動車工場や食品製造ラインで幅広く普及しており、さまざまな作業を担当することができます。 例えば、自由度の高いアームを使って、組立、溶接、積載や移動、塗装、検査、搬送、パッケージングなどの作業を効率的に行うことができます。過去に人手で行っていた作業を代替し、高い生産性と品質を維持しながら製品をつくっています。 これらのロボットは、多くの場合、プログラミングなどの技術を利用して制御されます。他にもセンサー技術などを活用することで、環境の変化に応じて柔軟に作業変更することができます。 2.産業用ロボットにはどんな種類がある? 産業用ロボットにはどのような種類のロボットがあるのか解説します。 代表的なものとしては「垂直多関節ロボット」「スカラロボット」「パラレルリンクロボット」「直交ロボット」の4分類に分けられます。 産業用ロボット、と言って真っ先にイメージされるのは「垂直多関節ロボット」だと思います。それぞれのロボットに特徴/得意/不得意があるため、用途に応じて使い分ける必要があります。 「ロボットを何かに使いたいから導入したい」ではロボットの種類を決めることも困難です。 「この目的のためロボットを導入したい」と自社の課題を明確にすることで、よりニーズに合ったロボットシステムの導入が可能となります。 3.産業用ロボットを導入するにはまず何をすればいいの? 先ほども書いた通り、まずは自社の課題を明確にすることが導入の第一歩となります。 すぐに課題が思い浮かばなくても心配はいりません!! 産業用ロボットを工場へ導入した事例を見ていると、「これは自分の工場でも使えそうだ」と気づくことがあると思います。水平多関節ロボットの実際の使用例や、空間を最大限に活用したロボット活用方法を見ることで、導入イメージが湧いてくるはずです。 昨今ではオンライン展示会のようなイベントも多く開催されているので、そのような場で最新の技術や導入事例に触れてヒントを得るのもいいかもしれません。 当サイトでも以下のようなロボット事例紹介コラムや事例集のダウンロードサービスなどがあります。是非参考にしてみて下さい。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/robot-jirei/ 少し情報収集をするとなんとなくイメージが湧いてきたでしょうか?イメージが湧いたら、ここから実際に産業用ロボット導入を進めていきます。 実際にロボット導入をする業者がSIer(システムインテグレーター)です。 SIerとは、構想から設計、見積もり、各種装置の手配、組付け、設置工事、試運転、操作説明等の教育、稼働立ち合いまでを請け負う機械設備屋さんです。 産業用ロボットを導入する際には必ずSIerへの依頼が必要となります。(自社で上記全てを実施できる体制があるのであれば不要ですが、、、) なので、信頼できる腕のいいSIerを選定することも産業用ロボットを導入する上で重要な項目の一つになります。 4.産業用ロボットの価格ってどれくらい? 様々な種類の産業用ロボットがありますが小型で安価な物であれば100万円程度から購入することができます。構造や機器によりますが、一般的に使われるサイズで300万~500万前後となります。 「え、ロボットって意外と安い」、「それなら1台買おう!」 そう思った方、残念ですが産業用ロボット単体ではロボットは駆動しません。 実際にロボットシステムを導入する場合、場合によりますが以下のような付帯設備が必要となります。 安全柵 制御盤 ロボット架台 ロボットハンド 各種センサー類 ワークストッカー 搬送装置 etc、、、 これらの付帯設備を設計製作するのがSIerです。 設計費等をシステムインテグレーション費用といいます。 5.実際に産業用ロボットを導入すると総額は? 上記の通り、産業用ロボット単体ではロボットシステムは成り立ちません。 様々な付帯設備により工場のニーズに合ったロボットシステムを構築していくことが必要になります。 では、実際にロボットシステムを導入しようとした場合、総額はどれくらいになるのでしょうか? 事例を交えながら見ていきましょう。 ①垂直多関節ロボットを用いた塗装ロボットシステム 防爆ロボット ¥5,000,000 付帯設備 ¥5,000,000 ロボット架台 ¥1,000,000 制御装置 ¥4,000,000 設置工事費 ¥7,000,000(試運転調整費含む) 設計費 ¥1,500,000 合計 ¥23,500,000 ②画像認識システムを用いた重量ワークのハンドリングロボットシステム 多関節ロボット ¥3,000,000 付帯設備 ¥5,000,000 制御装置 ¥7,000,000 画像認識システム ¥10,000,000 設置工事費 ¥10,000,000(試運転調整費含む) 設計費 ¥5,000,000 合計 ¥40,000,000 それぞれの現場のニーズにより総額は大きく違ってきます。 ロボットシステムを導入することでどれくらいの投資対効果を得られるのか、事前に把握しておくことが非常に重要です。 概ね、投資金額の回収は2年~5年程度で考えると良いでしょう。 例えば、①の事例のように¥23,000,000の導入コストが掛かる場合について。 人件費1人年間500万円とした場合、ロボットシステムを導入したことで2人の作業者が削減できると仮定すると、¥23,000,000÷¥10,000,000=2.3年となります。 このように投資対効果を計算することで投資判断が可能となります。 6.おわりに いかがでしたでしょうか。新規の産業用ロボット導入の際にお役立ていただけますと幸いです。 更に産業用ロボット導入やコストについてお知りになりたい方向けに、無料のレポートをご用意しております。 以下バナーより、「ロボット導入を成功させる方法と活用事例紹介レポート」を無料でダウンロードいただけます。 まずはこちらのレポートより産業用ロボットについての情報をキャッチアップいただければと思います。   【製造業】経営者向け!!工場の協働ロボット活用成功事例集 ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 中小製造業のロボット活用は協働ロボットが主流になる! 中小製造業が実践すべき協働ロボット活用のポイントと具体的な方法を解説! さらに、実際の中小製造業における協働ロボット活用成功事例をこの1冊にまとめました! https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_01539   [sc name="automation-robot"][/sc]

VOL2・・協働ロボットって何?<協働ロボットの特徴や現場への導入事例をご紹介>

2020.09.28

前回のコラムで協働ロボットについての記事を作成しましたが、反響が良かった為VOL2と題しまして協働ロボットについてもう少し詳しく述べていこうと思います。 まずは協働ロボットとは何か?のおさらい 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と一緒に作業を行う事の出来る産業用ロボットです。 本来産業用ロボットというのは、非常に力持ちです。ロボットの種類や大きさによるものの人を遥かに超える大きな力をもっている為に産業用ロボットの稼働範囲に人が入ってしまうと重篤な災害を引き起こすリスクがあります。 その為、産業用ロボットの周囲には安全柵の設置が必要であり、安全柵はロボットが停止していないと開かない様になっています。 完全にロボットのみで完結するシステムであれば問題無いのですが、あくまで人が組立作業を行うが人の作業をロボットで補助して欲しいというニーズや普段は必要無いが、生産ラインに欠員等の人員不足等があった際にロボットを使用したいというニーズが多くあります。 2013年12月に以下のとおり規制が緩和されたことをきっかけに、労働者に危険が生じない産業用ロボットの開発が進みました。それこそが協働ロボットです。 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。 厚生労働省『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』より 産業用ロボットを使用する事業者が、労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるときは、本条の「労働者に危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しません。 『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』(平成25年12月24日付基発1224第2号通達)より 協働ロボットは一般的にモーターの定格出力が80Wを超えない様になっています。そして何かに衝突したり大きな負荷がロボットに掛かった場合は即時モータ電源が遮断されるようになっています。感覚的に言えば、道を歩いていてすれ違う人と軽く肩がぶつかった時の衝撃よりも軽い衝撃でロボットは停止する様になっており、作業者が仮にロボットに接触しても大きな災害につながるリスクは小さいのです。 2.協働ロボットの特徴 協働ロボットは安全の為に他の産業用ロボットに比べて非常に非力に作られています。 非力であるが故に大きなモノや重たいモノは持つ事も素早く動く事も出来ません。 しかし、下記の様な特長を持っています。 1、非常にコンパクトで軽量な為に必要に応じてロボットを移動して別の場所で使う事が出来る。 ※協働ロボットの架台にキャスターが付いているモノも多いです。 2、直接教示が可能なモノが多く簡単に動かす事が出来る。 ※直接教示はダイレクトティーチングとも呼ばれ、人の手でロボットハンドを指定したい場所に動かしてポイントを登録するだけでティーチング出来るという教示法。簡単で早い教示が可能です。 3、コンセント繋げれば使える。大がかりなシステムが必要無い為、導入コストを引き下げる事が出来る。 ※協働ロボット単体の単価は一般の産業用ロボットに比べて高めですが、安全対策機器に掛かる費用やシステム設計費等を抑制する事が出来るのでシステム全体としての費用は抑える事が出来ます。 4、ビジョンセンサ等をセンシング機器とアッセンブリで販売されているモノも多く用途に合わせて選ぶ事が出来る。 5、操作が簡単に誰でも出来る様にアプリケーションの開発が進んでおり、一般的な産業用ロボットに比べて遥かに使いやすい。 協働ロボットはこのような特徴をもっており、一般の産業用ロボットでは不可能な事が可能となる面をもっています。作業者のすぐそばで作業をする為に、安全性と操作性に非常に特化されており【身近なロボット】として生産現場で活躍しています。 協働ロボットは非常に非力と記述しましたが、現在の開発競争の中、可搬重量が数10KGを超える協働ロボットも出てきています。安全対策の進歩により、かなり力のある協働ロボットも世に出てきており、数年後には協働ロボットは一般産業用ロボットの可搬性能に並んでいくかも知れませんね。 如何でしょうか。これまでは前回の記事でも述べた協働ロボットとは何か?という記事になりますが、ここからは、より具体的な導入事例について述べていきます。 3.協働ロボットの活用方法や導入事例 協働ロボットのトップメーカーでもあるUR(ユニバーサールロボット社)様では様々な導入事例をYOUTUBEにアップされており誰でも見る事が出来ますので一部ご紹介します。 事例① JVC ELECTRONICS INDONESIA社(日本企業、インドネシア、電子部品)の協働ロボット導入事例:部品の搬送、ネジ留め、はんだ付け https://www.youtube.com/watch?v=HMd7zL6sGDM 事例② 光洋電子工業株式会社 (日本、電子機器関連)の協働ロボット導入:タッチパネルの反応検査 https://www.youtube.com/watch?v=_NegT1jVdgs&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=2 事例③ GKNドライブライン株式会社(日本、自動車関連)の協働ロボット導入事例:ギアの嵌合、プレートの表裏判定 https://www.youtube.com/watch?v=JLQxe6OCGds&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=1 事例④ 日本ゼトック株式会社(日本、医薬品等)の協働ロボット導入事例:商品の小箱入れ、段ボールの梱包 https://www.youtube.com/watch?v=h5EWpnBOEJY 事例⑤ Toolcraft様 (アメリカ、金属および機械加工)の協働ロボット導入: ピック・アンド・プレイス https://www.youtube.com/watch?v=gIGLt1Cyd7k 如何でしたか? 協働ロボットは何か?どのような事が出来るのか?については上記の動画を閲覧頂ければ概要は良くご理解いただけると思います。 協働ロボットは他ロボット同様にハンドエフェクターに様々な工夫を凝らす事で様々な分野に応用出来ます。本コラムでは紹介出来ていませんが、アーク溶接が出来る協働ロボットもあります。 4.協働ロボットの選定 協働ロボットを選定する為には、まず自動化したい工程で把持するワークや工具の重量を確認しましょう。 基本的に産業用ロボットの選定は可搬重量(最大積載量)で決まってきます。 一般的な協働ロボットの可搬重量は10kg程度なので、ワークのピック&プレースを実行させる場合、ハンドエフェクタ+把持するワークの重量を10kg以下に抑える必要がありますので、ハンドエフェクタの設計やロボットの選定にはきちんと自動化したい工程やワークの重量を確認して選定する必要があります。 可搬重量については10kg可搬程度が一般的ですが、ファナック様から35kg可搬のCR35iAもリリースされています。大きなモノを持ち上げるハンドエフェクターの設計が必要ですが、高重量物にも対応する事も可能です。 次に可動範囲(リーチ)です。 協働ロボットを中心にロボットハンドがどの距離まで届くかというものです。 例えば、NC工作機械へのワーク供給、排出をさせたい時、工作機械のチャック部分からワークを仮置きしておく台までの距離でおよそ必要なリーチが把握出来ますので、その距離に無理なく到達出来るリーチのロボットを選定します。注意点としては、ロボットのスペック表等に記載してある最大リーチは極限られた姿勢でしか発揮出来ないものです。実用する為には、各軸が様々な向き位置にいる中で必要なリーチに届く必要がありますので、スペック表の最大リーチギリギリの選定は失敗になりやすいのでご注意下さい。 最後はオプション品です。 自動化させたい工程や要求される品質によって、協働ロボットに様々オプションを付ける事が出来ます。 2D、3Dのカメラであったり、溶接のトーチ、トルクセンサ等あります。 協働ロボットメーカー推奨のオプション品もあり、よりロボットと互換性のあるモノを選ぶ事が出来ますので自動化させたい工程によって必要なオプション品が選べる協働ロボットを選定するのも大事です。 本記事では、協働ロボットの特徴や導入事例、選定方法について述べてきましたが如何でしたか? 協働ロボットの機動性や扱いやすさは他の産業用ロボットとくらべ群を抜いています。 省スペースで安全柵が不要だからこそ、既存のレイアウトに収まる。一つの工程だけではなく、事情、環境に合わせて違う場所、用途で使用できる等メリットが沢山あります。 多品種少量生産が求められる日本の製造業にこそ協働ロボットは活きるのではないでしょうか。 ロボットの導入を検討されているが既存の産業用ロボットはどうかなとお考えの方にも是非検討して頂きたいと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 前回のコラムで協働ロボットについての記事を作成しましたが、反響が良かった為VOL2と題しまして協働ロボットについてもう少し詳しく述べていこうと思います。 まずは協働ロボットとは何か?のおさらい 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と一緒に作業を行う事の出来る産業用ロボットです。 本来産業用ロボットというのは、非常に力持ちです。ロボットの種類や大きさによるものの人を遥かに超える大きな力をもっている為に産業用ロボットの稼働範囲に人が入ってしまうと重篤な災害を引き起こすリスクがあります。 その為、産業用ロボットの周囲には安全柵の設置が必要であり、安全柵はロボットが停止していないと開かない様になっています。 完全にロボットのみで完結するシステムであれば問題無いのですが、あくまで人が組立作業を行うが人の作業をロボットで補助して欲しいというニーズや普段は必要無いが、生産ラインに欠員等の人員不足等があった際にロボットを使用したいというニーズが多くあります。 2013年12月に以下のとおり規制が緩和されたことをきっかけに、労働者に危険が生じない産業用ロボットの開発が進みました。それこそが協働ロボットです。 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。 厚生労働省『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』より 産業用ロボットを使用する事業者が、労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるときは、本条の「労働者に危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しません。 『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』(平成25年12月24日付基発1224第2号通達)より 協働ロボットは一般的にモーターの定格出力が80Wを超えない様になっています。そして何かに衝突したり大きな負荷がロボットに掛かった場合は即時モータ電源が遮断されるようになっています。感覚的に言えば、道を歩いていてすれ違う人と軽く肩がぶつかった時の衝撃よりも軽い衝撃でロボットは停止する様になっており、作業者が仮にロボットに接触しても大きな災害につながるリスクは小さいのです。 2.協働ロボットの特徴 協働ロボットは安全の為に他の産業用ロボットに比べて非常に非力に作られています。 非力であるが故に大きなモノや重たいモノは持つ事も素早く動く事も出来ません。 しかし、下記の様な特長を持っています。 1、非常にコンパクトで軽量な為に必要に応じてロボットを移動して別の場所で使う事が出来る。 ※協働ロボットの架台にキャスターが付いているモノも多いです。 2、直接教示が可能なモノが多く簡単に動かす事が出来る。 ※直接教示はダイレクトティーチングとも呼ばれ、人の手でロボットハンドを指定したい場所に動かしてポイントを登録するだけでティーチング出来るという教示法。簡単で早い教示が可能です。 3、コンセント繋げれば使える。大がかりなシステムが必要無い為、導入コストを引き下げる事が出来る。 ※協働ロボット単体の単価は一般の産業用ロボットに比べて高めですが、安全対策機器に掛かる費用やシステム設計費等を抑制する事が出来るのでシステム全体としての費用は抑える事が出来ます。 4、ビジョンセンサ等をセンシング機器とアッセンブリで販売されているモノも多く用途に合わせて選ぶ事が出来る。 5、操作が簡単に誰でも出来る様にアプリケーションの開発が進んでおり、一般的な産業用ロボットに比べて遥かに使いやすい。 協働ロボットはこのような特徴をもっており、一般の産業用ロボットでは不可能な事が可能となる面をもっています。作業者のすぐそばで作業をする為に、安全性と操作性に非常に特化されており【身近なロボット】として生産現場で活躍しています。 協働ロボットは非常に非力と記述しましたが、現在の開発競争の中、可搬重量が数10KGを超える協働ロボットも出てきています。安全対策の進歩により、かなり力のある協働ロボットも世に出てきており、数年後には協働ロボットは一般産業用ロボットの可搬性能に並んでいくかも知れませんね。 如何でしょうか。これまでは前回の記事でも述べた協働ロボットとは何か?という記事になりますが、ここからは、より具体的な導入事例について述べていきます。 3.協働ロボットの活用方法や導入事例 協働ロボットのトップメーカーでもあるUR(ユニバーサールロボット社)様では様々な導入事例をYOUTUBEにアップされており誰でも見る事が出来ますので一部ご紹介します。 事例① JVC ELECTRONICS INDONESIA社(日本企業、インドネシア、電子部品)の協働ロボット導入事例:部品の搬送、ネジ留め、はんだ付け https://www.youtube.com/watch?v=HMd7zL6sGDM 事例② 光洋電子工業株式会社 (日本、電子機器関連)の協働ロボット導入:タッチパネルの反応検査 https://www.youtube.com/watch?v=_NegT1jVdgs&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=2 事例③ GKNドライブライン株式会社(日本、自動車関連)の協働ロボット導入事例:ギアの嵌合、プレートの表裏判定 https://www.youtube.com/watch?v=JLQxe6OCGds&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=1 事例④ 日本ゼトック株式会社(日本、医薬品等)の協働ロボット導入事例:商品の小箱入れ、段ボールの梱包 https://www.youtube.com/watch?v=h5EWpnBOEJY 事例⑤ Toolcraft様 (アメリカ、金属および機械加工)の協働ロボット導入: ピック・アンド・プレイス https://www.youtube.com/watch?v=gIGLt1Cyd7k 如何でしたか? 協働ロボットは何か?どのような事が出来るのか?については上記の動画を閲覧頂ければ概要は良くご理解いただけると思います。 協働ロボットは他ロボット同様にハンドエフェクターに様々な工夫を凝らす事で様々な分野に応用出来ます。本コラムでは紹介出来ていませんが、アーク溶接が出来る協働ロボットもあります。 4.協働ロボットの選定 協働ロボットを選定する為には、まず自動化したい工程で把持するワークや工具の重量を確認しましょう。 基本的に産業用ロボットの選定は可搬重量(最大積載量)で決まってきます。 一般的な協働ロボットの可搬重量は10kg程度なので、ワークのピック&プレースを実行させる場合、ハンドエフェクタ+把持するワークの重量を10kg以下に抑える必要がありますので、ハンドエフェクタの設計やロボットの選定にはきちんと自動化したい工程やワークの重量を確認して選定する必要があります。 可搬重量については10kg可搬程度が一般的ですが、ファナック様から35kg可搬のCR35iAもリリースされています。大きなモノを持ち上げるハンドエフェクターの設計が必要ですが、高重量物にも対応する事も可能です。 次に可動範囲(リーチ)です。 協働ロボットを中心にロボットハンドがどの距離まで届くかというものです。 例えば、NC工作機械へのワーク供給、排出をさせたい時、工作機械のチャック部分からワークを仮置きしておく台までの距離でおよそ必要なリーチが把握出来ますので、その距離に無理なく到達出来るリーチのロボットを選定します。注意点としては、ロボットのスペック表等に記載してある最大リーチは極限られた姿勢でしか発揮出来ないものです。実用する為には、各軸が様々な向き位置にいる中で必要なリーチに届く必要がありますので、スペック表の最大リーチギリギリの選定は失敗になりやすいのでご注意下さい。 最後はオプション品です。 自動化させたい工程や要求される品質によって、協働ロボットに様々オプションを付ける事が出来ます。 2D、3Dのカメラであったり、溶接のトーチ、トルクセンサ等あります。 協働ロボットメーカー推奨のオプション品もあり、よりロボットと互換性のあるモノを選ぶ事が出来ますので自動化させたい工程によって必要なオプション品が選べる協働ロボットを選定するのも大事です。 本記事では、協働ロボットの特徴や導入事例、選定方法について述べてきましたが如何でしたか? 協働ロボットの機動性や扱いやすさは他の産業用ロボットとくらべ群を抜いています。 省スペースで安全柵が不要だからこそ、既存のレイアウトに収まる。一つの工程だけではなく、事情、環境に合わせて違う場所、用途で使用できる等メリットが沢山あります。 多品種少量生産が求められる日本の製造業にこそ協働ロボットは活きるのではないでしょうか。 ロボットの導入を検討されているが既存の産業用ロボットはどうかなとお考えの方にも是非検討して頂きたいと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

専門コンサルタント厳選!多品種少量中小企業のロボット導入事例3選

2020.09.11

今回は、忙しくてロボット導入事例を調べる時間が取れない経営者の方のために、ロボット導入実証事業(経済産業省)の補助金制度を活用した中小企業のロボット導入事例を厳選して解説します。※ロボット導入実証事業事例紹介ハンドブックはこちらから http://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf 1.従業員を重労働から解放!空いた工数を検査へ回し品質向上!パレット積み工程のロボット化 概要 製品出荷前の最終工程となる段ボールのパレット積み作業で、最大12kgの箱を高さ170cmまで積み上げる作業をロボット化 導入効果 投資金額¥25,000,000 投資効果¥4,800,000/年 ロボット導入により作業人員は導入前の10人から8人に削減 投資回収年はおよそ5年程度 解説 従業員45名の企業様のロボット導入事例です。 ロボット導入に際し問題となった点は、顧客ごとに大きさや形状の違う段ボールを顧客の要望ごとに荷造り(積み方、積載数)する必要があり自動化が困難と思われた点です。 しかし、そのような多種の条件に対応できるハンド設計や制御方法の工夫等、ハードとソフトの両面から解決方法にアプローチし対応を可能としています。 さらに、限られたスペースの中でロボット・コンベア・パレット置き場を設置するために省スペース型のパレットチェンジャーを開発設計しています。これらのことにより検討当初は困難と思われた多品種対応を実現しました。 この工程以外にも、おそらく簡単にロボット導入を検討できる工程はあったはずです。 その中でも“あえて”従業員の負担(重労働)を減らすために優先してパレット積みのロボット化に踏み切ったのだと思われます。 従業員を第一に考えた経営者の姿勢が見えてくる導入事例です。 さらに、空いた工数は検査工程に割り振り品質面でも工場が図れたとのこと。 生産性向上(省人化)、品質向上、重労働からの解放(省力化)の3つを同時に実現した中小企業ならではの良い事例です。 2.熟練職人の溶接作業を整理、分類、パターン化!職人の溶接作業をティーチングレスでロボット化に成功! 概要 受注ごとに寸法や形状が異なる特注大型門扉製造工程における溶接作業をロボット化 導入効果 投資金額¥60,000,000 投資効果 生産数:2倍 利益増:¥10,000,000/年 省人化:2名→1名 ロボット導入により2名の作業員を1名へ省人、さらに生産数は2倍に増加し年間¥10,000,000の利益増を生み出しています。 解説 特注品の大型溶接ワークは受注ごとに寸法や形状が異なることからオフラインティーチングを活用するのが一般的です。しかし、この企業様では溶接の職人作業を1からヒアリングし、整理、分類することでパターン化することを考えました。 そのパターンを事前に何種類かに分け、教示データを作りこみます。現場ではそのパターンの中から種類を選択し必要な数字を入力するだけでロボット自身が動作を作るため、溶接スキルの有無に関わらず、誰でもロボット操作が可能となっています。 難解なオフラインティーチングの導入教育や図面の3次元CAD化をすることなく、多品種生産にロボットを活用できた事例です。 この事例における優れた点は、熟練作業者の勘とコツを整理、分類しパターン化したこと、そのように属人化していた作業をしっかりと分析し体系化したことです。 その結果溶接スキルの有無に関わらず、誰でも操作することが可能となりました。 オフラインティーチングソフト購入費用及び導入教育費用、設計の3次元化等の費用も削減できています。 今回の事例のように数字を入力するだけでシステム自身が動作を作って実行するようなシステムを構築することができれば、通常のティーチングやオフラインティーチングによるシステムではロボット化のメリットが出せないような一品一様の生産の場合でも労働生産性を高めしっかりとメリットを出すことが可能です。 日本の中小製造業における熟練職人の技術力は世界でもトップレベルの技術力であることは間違いありません。近年、世界の製造業では日本の中小企業の職人技術を欲している、との話もあります。しかし、その「職人技」をどのようにして継承していくかという課題もあります。 その職人技の継承に真っ向から取り組み、パターン化しロボット化したことは今後、日本の製造業があらためて世界のトップに上り詰めるためにも、大変重要なことではないでしょうか。 3.システム簡素化で導入コスト削減!!多品種少量マシニングセンター加工のワーク着脱ロボット化! 概要 少ロット切削加工のワーク着脱工程をロボット化、カメラ・画像処理によるワーク判別に代わり、シンプルな位置決めパレットを採用してコストダウン。 導入効果 投資金額¥17,500,000 投資効果 生産数:12個/日→22個/日 省人化:2名→1名 投資回収年 2.2年 解説 航空機向け部品を中心に高精度・小ロットの切削加工を行っている企業の事例です。 1~10個の小ロット品が多く、マシニングセンターへのワーク着脱の頻度が高い状況で作業員が装置の傍についている時間が長く、時間がかかる割に単純作業であることからロボット化を実施しました。 小ロット加工品(多品種少量生産)をロボット化する場合、様々なワーク形状に対応するために3Dカメラや画像処理システム、各種センサーなどと組み合わせロボットに様々な付加機能を持たせた複雑なシステムを構築しがちです。確かに、そのような最新技術を用いたロボットシステムを導入すればロボットができる仕事は増えるかもしれません。しかし、導入費用の高額化や教育の必要性、トラブル対応の難易度などを考慮すると中小企業では導入が困難な場合も少なくありません。 そういった背景の中で今回の事例では以下3つのポイントをおさえてシステムの簡素化に成功しました。 ①加工対象ワークのサイズと種類を絞り込む ②ワークの把持部分を共通化するための設計変更を実施する ③8個以上の中ロット品に限定する 以上のような工夫を行い、ワーク判別のための3Dカメラや画像処理システムをはじめ、導入コスト上昇につながる周辺設備を極力省いたシンプルはロボットシステムを構築しました。 従来コスト¥2480万円のところ、システムの簡素化により導入コストは¥1750万円に抑えられ、¥730万円のコスト削減となりました。 初めてのロボットシステムの導入となると、あれもこれもと付帯設備、付加機能を追加したくなります。 3Dカメラや画像処理システムを付加機能として追加するということはロボットに「目」を持たせる、ということです。それだけでも何百万円ものコストがかかります。 導入検討前は「ロボット=なんでも出来る」と考えてしまう場合も多くあります。これは半分正解で半分間違いです。 正しくは「コストと時間をかければユーザーが要求する仕様に極力近いシステムを構築できる」と言えるでしょう。 コストは導入費用です、時間はそのシステムを構築するのにかかる設計や検証、テスト等の時間です。 もちろん、様々な付加機能を持ったロボットシステムは素晴らしいものです。 大企業においては、最新システムを沢山盛り込んだ豪華なシステムを構築する資金力があり、投資回収年の見通しが立たないような場合でも、ある意味「モデルライン」としての導入や「研究開発」としての導入も可能です。 しかし、中小企業はそうはいきません。 中小企業のロボット導入においては現場のニーズに合ったなるべく低コストのロボットシステムを検討することが重要です。 いかに低コストで最大のメリットを生み出せるか、これはいかに自社のニーズを把握しているかにかかっています。 今回の事例のように、あれもこれも、ではなく必要なものだけをシステムに落とし込みシステムを簡素化することにより低コストで最大のメリットを生み出すことができるのではないでしょうか。 4.おわりに 今回は補助金を活用した中小企業のロボット導入事例をご紹介しました。 ポイントは以下の通りです。 ①従業員の負担を第一に考え重労働から解放した ②属人化している職人作業を分析、パターン化することで誰でも作業できるロボットシステムを作った ③自社のニーズをとらえ不要な付加機能は排除してシステムを簡素化することで導入コストを削減した ロボット導入を検討する際の参考にしてみて下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 今回は、忙しくてロボット導入事例を調べる時間が取れない経営者の方のために、ロボット導入実証事業(経済産業省)の補助金制度を活用した中小企業のロボット導入事例を厳選して解説します。※ロボット導入実証事業事例紹介ハンドブックはこちらから http://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf 1.従業員を重労働から解放!空いた工数を検査へ回し品質向上!パレット積み工程のロボット化 概要 製品出荷前の最終工程となる段ボールのパレット積み作業で、最大12kgの箱を高さ170cmまで積み上げる作業をロボット化 導入効果 投資金額¥25,000,000 投資効果¥4,800,000/年 ロボット導入により作業人員は導入前の10人から8人に削減 投資回収年はおよそ5年程度 解説 従業員45名の企業様のロボット導入事例です。 ロボット導入に際し問題となった点は、顧客ごとに大きさや形状の違う段ボールを顧客の要望ごとに荷造り(積み方、積載数)する必要があり自動化が困難と思われた点です。 しかし、そのような多種の条件に対応できるハンド設計や制御方法の工夫等、ハードとソフトの両面から解決方法にアプローチし対応を可能としています。 さらに、限られたスペースの中でロボット・コンベア・パレット置き場を設置するために省スペース型のパレットチェンジャーを開発設計しています。これらのことにより検討当初は困難と思われた多品種対応を実現しました。 この工程以外にも、おそらく簡単にロボット導入を検討できる工程はあったはずです。 その中でも“あえて”従業員の負担(重労働)を減らすために優先してパレット積みのロボット化に踏み切ったのだと思われます。 従業員を第一に考えた経営者の姿勢が見えてくる導入事例です。 さらに、空いた工数は検査工程に割り振り品質面でも工場が図れたとのこと。 生産性向上(省人化)、品質向上、重労働からの解放(省力化)の3つを同時に実現した中小企業ならではの良い事例です。 2.熟練職人の溶接作業を整理、分類、パターン化!職人の溶接作業をティーチングレスでロボット化に成功! 概要 受注ごとに寸法や形状が異なる特注大型門扉製造工程における溶接作業をロボット化 導入効果 投資金額¥60,000,000 投資効果 生産数:2倍 利益増:¥10,000,000/年 省人化:2名→1名 ロボット導入により2名の作業員を1名へ省人、さらに生産数は2倍に増加し年間¥10,000,000の利益増を生み出しています。 解説 特注品の大型溶接ワークは受注ごとに寸法や形状が異なることからオフラインティーチングを活用するのが一般的です。しかし、この企業様では溶接の職人作業を1からヒアリングし、整理、分類することでパターン化することを考えました。 そのパターンを事前に何種類かに分け、教示データを作りこみます。現場ではそのパターンの中から種類を選択し必要な数字を入力するだけでロボット自身が動作を作るため、溶接スキルの有無に関わらず、誰でもロボット操作が可能となっています。 難解なオフラインティーチングの導入教育や図面の3次元CAD化をすることなく、多品種生産にロボットを活用できた事例です。 この事例における優れた点は、熟練作業者の勘とコツを整理、分類しパターン化したこと、そのように属人化していた作業をしっかりと分析し体系化したことです。 その結果溶接スキルの有無に関わらず、誰でも操作することが可能となりました。 オフラインティーチングソフト購入費用及び導入教育費用、設計の3次元化等の費用も削減できています。 今回の事例のように数字を入力するだけでシステム自身が動作を作って実行するようなシステムを構築することができれば、通常のティーチングやオフラインティーチングによるシステムではロボット化のメリットが出せないような一品一様の生産の場合でも労働生産性を高めしっかりとメリットを出すことが可能です。 日本の中小製造業における熟練職人の技術力は世界でもトップレベルの技術力であることは間違いありません。近年、世界の製造業では日本の中小企業の職人技術を欲している、との話もあります。しかし、その「職人技」をどのようにして継承していくかという課題もあります。 その職人技の継承に真っ向から取り組み、パターン化しロボット化したことは今後、日本の製造業があらためて世界のトップに上り詰めるためにも、大変重要なことではないでしょうか。 3.システム簡素化で導入コスト削減!!多品種少量マシニングセンター加工のワーク着脱ロボット化! 概要 少ロット切削加工のワーク着脱工程をロボット化、カメラ・画像処理によるワーク判別に代わり、シンプルな位置決めパレットを採用してコストダウン。 導入効果 投資金額¥17,500,000 投資効果 生産数:12個/日→22個/日 省人化:2名→1名 投資回収年 2.2年 解説 航空機向け部品を中心に高精度・小ロットの切削加工を行っている企業の事例です。 1~10個の小ロット品が多く、マシニングセンターへのワーク着脱の頻度が高い状況で作業員が装置の傍についている時間が長く、時間がかかる割に単純作業であることからロボット化を実施しました。 小ロット加工品(多品種少量生産)をロボット化する場合、様々なワーク形状に対応するために3Dカメラや画像処理システム、各種センサーなどと組み合わせロボットに様々な付加機能を持たせた複雑なシステムを構築しがちです。確かに、そのような最新技術を用いたロボットシステムを導入すればロボットができる仕事は増えるかもしれません。しかし、導入費用の高額化や教育の必要性、トラブル対応の難易度などを考慮すると中小企業では導入が困難な場合も少なくありません。 そういった背景の中で今回の事例では以下3つのポイントをおさえてシステムの簡素化に成功しました。 ①加工対象ワークのサイズと種類を絞り込む ②ワークの把持部分を共通化するための設計変更を実施する ③8個以上の中ロット品に限定する 以上のような工夫を行い、ワーク判別のための3Dカメラや画像処理システムをはじめ、導入コスト上昇につながる周辺設備を極力省いたシンプルはロボットシステムを構築しました。 従来コスト¥2480万円のところ、システムの簡素化により導入コストは¥1750万円に抑えられ、¥730万円のコスト削減となりました。 初めてのロボットシステムの導入となると、あれもこれもと付帯設備、付加機能を追加したくなります。 3Dカメラや画像処理システムを付加機能として追加するということはロボットに「目」を持たせる、ということです。それだけでも何百万円ものコストがかかります。 導入検討前は「ロボット=なんでも出来る」と考えてしまう場合も多くあります。これは半分正解で半分間違いです。 正しくは「コストと時間をかければユーザーが要求する仕様に極力近いシステムを構築できる」と言えるでしょう。 コストは導入費用です、時間はそのシステムを構築するのにかかる設計や検証、テスト等の時間です。 もちろん、様々な付加機能を持ったロボットシステムは素晴らしいものです。 大企業においては、最新システムを沢山盛り込んだ豪華なシステムを構築する資金力があり、投資回収年の見通しが立たないような場合でも、ある意味「モデルライン」としての導入や「研究開発」としての導入も可能です。 しかし、中小企業はそうはいきません。 中小企業のロボット導入においては現場のニーズに合ったなるべく低コストのロボットシステムを検討することが重要です。 いかに低コストで最大のメリットを生み出せるか、これはいかに自社のニーズを把握しているかにかかっています。 今回の事例のように、あれもこれも、ではなく必要なものだけをシステムに落とし込みシステムを簡素化することにより低コストで最大のメリットを生み出すことができるのではないでしょうか。 4.おわりに 今回は補助金を活用した中小企業のロボット導入事例をご紹介しました。 ポイントは以下の通りです。 ①従業員の負担を第一に考え重労働から解放した ②属人化している職人作業を分析、パターン化することで誰でも作業できるロボットシステムを作った ③自社のニーズをとらえ不要な付加機能は排除してシステムを簡素化することで導入コストを削減した ロボット導入を検討する際の参考にしてみて下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

協働ロボットの特徴と導入成功事例3選

2020.08.27

  本記事では、まず協働ロボットの概要や特徴について、従来の産業用ロボットとの違いや導入メリットを踏まえながら紹介します。 次に協働ロボットの主要メーカーや活用方法、導入事例を紹介します。導入事例の紹介では、協働ロボットが多様な工程において導入した事例があることを理解することができます。本記事で協働ロボットの理解が深まれば幸いです。 ⇒関連記事:日本&海外の協働ロボットメーカー16社の特徴を紹介! 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と安全に共存して作業できる産業用ロボットです。従来の産業用ロボットと異なり、安全柵で隔離する必要がなく、人と協力して作業することで、生産性向上や人材不足解消に貢献します。 具体的には、以下の特徴があります。 人が行う作業を補助したり、人と連携して作業したりすることが得意 人と接触しても安全なように、衝突検知機能や速度制限機能などを備えている モーターの出力が小さく、人に危害を加えるリスクが低い 従来の産業用ロボットは安全柵が必要で、人と隔離された場所で作業していました。しかし、協働ロボットは安全性を高めるための様々な技術が搭載されているため、人と並んで作業することが可能です。 具体的には以下のようなシーンで活用が可能です。 このように、協働ロボットは人とロボットが協力して働くことで、より効率的で柔軟な生産システムを実現できる革新的な技術と言えます。 ⇒関連記事:工場の自動化 (ファクトリーオートメーション) とは?成功事例5選やメリット、実現までの流れを一挙解説! 2.協働ロボットの特徴 協働ロボットの大きな特徴をあげるとすれば、 人間のサポート、というイメージ 軽い物をゆっくり 安全柵が不要 操作が簡単 という4つの特徴が挙げられます。 ▲協働ロボットと産業用ロボットの特徴の違い 協働ロボットと産業用ロボットの特徴 上記のような特徴から、 ・産業用ロボット → 大量生産向き ・協働ロボット  → 多品種少量生産向き と言えるでしょう。 具体的には「安全柵が不要」という特徴を活かして、 ・既存の狭いスペースを有効活用 ・使わない時は移動させる、使いたい場所で使う、のようなフレキシブルな運用が可能となります。 また、「簡易的な操作」や「簡易的な設備」という特徴があるため、 ・低コストでの導入 ・低コストでの改善、品種追加 が可能です。 前項でもお話した通り、上記のような特徴から、協働ロボットは中小企業の多品種少量生産の自動化に適したロボットです。 3.協働ロボット導入成功事例3選 協働ロボット導入成功事例①:Y社 ワーク投入取り出し自動化 Y社では、マシニングセンタへのワーク供給作業の自動化に成功しました。業種と自動化効果、投資金額は以下のようになっています。 業種金属機械加工業 従業員10名 自動化効果熟練作業者の工数を削減 費用約500万円 Y社の成功事例の特徴は、ワークストッカーなどを自社で製作し、低コストでの導入を実現した点です。 ロボット導入の際、ロボット本体代金に加え、周辺機器で費用がかさんでしまうケースが少なくありません。Y社では、周辺機器を自社内で製作し、加工機との接続も内製化することで、低コストの自動化に成功しました。ちなみに、加工機との接続は電気的な接続ではありません。加工のスタートボタンはロボットが物理的に押し、加工機の扉はロボットが物理的に開けています。 協働ロボットの導入により、熟練作業者は他の高難易度の業務に集中できるようになりました。 協働ロボット導入成功事例②:S社 ワーク投入取り出し自動化 S 社では、協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂加工業 従業員 8名 自動化効果100時間/月の工数削減 費用約500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:日本&海外の協働ロボットメーカー16社の特徴を紹介! 協働ロボット導入成功事例②:F社 本溶接自動化 F社では、TIG溶接作業の自動化に成功しました。 業種 板金加工業 従業員 100名 自動化効果熟練技術の継承、熟練作業者の工数を削減 費用1200万円 F社の成功事例の特徴は、時間がかかり、かつ熟練技術であった本溶接を自動化した点です。 本溶接は、溶接ビード長が長ければ長いほど、時間がかかってしまいます。また、TIG溶接は難易度が高く、作業者が一人前になるためには数年を要します。F社では、工数削減と熟練技術継承の2つの観点から、効果を出すことができました。協働ロボットを導入し、TIG溶接作業の自動化することで、熟練作業者の工数削減、熟練技術を継承することができました。 4.未経験でも協働ロボットを導入する方法 ロボットや自動化において全く知識の無い状態で協働ロボット導入を検討するのは難しいことです。 協働ロボットの導入においては自社の作業工程、製品特性、生産実績等を理解して協働ロボットを活用する工程、製品を決めることが重要です。 協働ロボットは購入するだけでは何の仕事も出来ません。 協働ロボットを活用するために適切な工程、適切な製品を把握し、適切な周辺機器を選定し、適切なセットアップをしてこそ協働ロボットは価値を発揮します。 まずは、自社の状況、ニーズを把握し活用条件を決めることから始めましょう。 と言っても、何から初めて良いか分からない方も多いはず。 工場AI・ロボット.comを運営している㈱船井総合研究所では、これらの現状分析から活用条件の決定、協働ロボット活用構想の立案、投資対効果試算シミュレーション、適切なロボットメーカーの選定、適切なシステムインテグレータの選定、メーカー及びインテグレータとの打ち合わせ、導入後のアフターフォローまで一貫してお手伝いすることが可能です。 まずはオンラインにて無料で御社の協働ロボット活用の可能性を診断致します。 ■中小製造業がロボット導入で費用対効果を最大化するために最初にすべきこと ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02412_S045 【このような方にオススメ】 導入経験がない事業主でもロボット導入において最初にすべきことがわかる! 人手を掛けずに生産性を上げるロボット活用手法がわかる! 多品種少量生産対応の中小製造業のロボット活用手法がわかる!   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="cobot"][/sc]   本記事では、まず協働ロボットの概要や特徴について、従来の産業用ロボットとの違いや導入メリットを踏まえながら紹介します。 次に協働ロボットの主要メーカーや活用方法、導入事例を紹介します。導入事例の紹介では、協働ロボットが多様な工程において導入した事例があることを理解することができます。本記事で協働ロボットの理解が深まれば幸いです。 ⇒関連記事:日本&海外の協働ロボットメーカー16社の特徴を紹介! 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と安全に共存して作業できる産業用ロボットです。従来の産業用ロボットと異なり、安全柵で隔離する必要がなく、人と協力して作業することで、生産性向上や人材不足解消に貢献します。 具体的には、以下の特徴があります。 人が行う作業を補助したり、人と連携して作業したりすることが得意 人と接触しても安全なように、衝突検知機能や速度制限機能などを備えている モーターの出力が小さく、人に危害を加えるリスクが低い 従来の産業用ロボットは安全柵が必要で、人と隔離された場所で作業していました。しかし、協働ロボットは安全性を高めるための様々な技術が搭載されているため、人と並んで作業することが可能です。 具体的には以下のようなシーンで活用が可能です。 このように、協働ロボットは人とロボットが協力して働くことで、より効率的で柔軟な生産システムを実現できる革新的な技術と言えます。 ⇒関連記事:工場の自動化 (ファクトリーオートメーション) とは?成功事例5選やメリット、実現までの流れを一挙解説! 2.協働ロボットの特徴 協働ロボットの大きな特徴をあげるとすれば、 人間のサポート、というイメージ 軽い物をゆっくり 安全柵が不要 操作が簡単 という4つの特徴が挙げられます。 ▲協働ロボットと産業用ロボットの特徴の違い 協働ロボットと産業用ロボットの特徴 上記のような特徴から、 ・産業用ロボット → 大量生産向き ・協働ロボット  → 多品種少量生産向き と言えるでしょう。 具体的には「安全柵が不要」という特徴を活かして、 ・既存の狭いスペースを有効活用 ・使わない時は移動させる、使いたい場所で使う、のようなフレキシブルな運用が可能となります。 また、「簡易的な操作」や「簡易的な設備」という特徴があるため、 ・低コストでの導入 ・低コストでの改善、品種追加 が可能です。 前項でもお話した通り、上記のような特徴から、協働ロボットは中小企業の多品種少量生産の自動化に適したロボットです。 3.協働ロボット導入成功事例3選 協働ロボット導入成功事例①:Y社 ワーク投入取り出し自動化 Y社では、マシニングセンタへのワーク供給作業の自動化に成功しました。業種と自動化効果、投資金額は以下のようになっています。 業種金属機械加工業 従業員10名 自動化効果熟練作業者の工数を削減 費用約500万円 Y社の成功事例の特徴は、ワークストッカーなどを自社で製作し、低コストでの導入を実現した点です。 ロボット導入の際、ロボット本体代金に加え、周辺機器で費用がかさんでしまうケースが少なくありません。Y社では、周辺機器を自社内で製作し、加工機との接続も内製化することで、低コストの自動化に成功しました。ちなみに、加工機との接続は電気的な接続ではありません。加工のスタートボタンはロボットが物理的に押し、加工機の扉はロボットが物理的に開けています。 協働ロボットの導入により、熟練作業者は他の高難易度の業務に集中できるようになりました。 協働ロボット導入成功事例②:S社 ワーク投入取り出し自動化 S 社では、協働ロボットを使うことによって、加工機へのワーク投入作業の自動化に成功しました。 業種 樹脂加工業 従業員 8名 自動化効果100時間/月の工数削減 費用約500万円 S社の成功事例の特徴は、SIer なしでロボット導入を行った点です。ロボット導入のネックになりがちな費用として、SIer 費用があげられます。 (S社でロボット導入を検討した際は、ロボット本体代金のほかに SIer 費用が 1000 万円近く見積もられていました。) S社では、自社で内製化することで、SIer 費用を押さえながらロボット活用を行うことに成功しました。 内製化の利点は、自動化品種の追加や、製造ラインの変更に比較的容易に対応できることです。ロボット立ち上げ時に、技術的な開発部分を SIer に任せてしまうと、新たに品種追加を行う際はさらに SIer に費用を払わなくてはなりません。内製化は時間も工数もかかりますが、中長期的に見れば経営効果は高いでしょう。 また、この会社様は従業員数 10 名以下の会社様のため、1 日数時間だけ単純作業を自動化するだけでも、高い自動化効果を発揮することができます。従業員数が少なくなればなるほど捻出される時間の価値が高まるため、ロボット活用は事業規模が小さい会社様ほど効果を発揮できるといえます。 ⇒関連記事:日本&海外の協働ロボットメーカー16社の特徴を紹介! 協働ロボット導入成功事例②:F社 本溶接自動化 F社では、TIG溶接作業の自動化に成功しました。 業種 板金加工業 従業員 100名 自動化効果熟練技術の継承、熟練作業者の工数を削減 費用1200万円 F社の成功事例の特徴は、時間がかかり、かつ熟練技術であった本溶接を自動化した点です。 本溶接は、溶接ビード長が長ければ長いほど、時間がかかってしまいます。また、TIG溶接は難易度が高く、作業者が一人前になるためには数年を要します。F社では、工数削減と熟練技術継承の2つの観点から、効果を出すことができました。協働ロボットを導入し、TIG溶接作業の自動化することで、熟練作業者の工数削減、熟練技術を継承することができました。 4.未経験でも協働ロボットを導入する方法 ロボットや自動化において全く知識の無い状態で協働ロボット導入を検討するのは難しいことです。 協働ロボットの導入においては自社の作業工程、製品特性、生産実績等を理解して協働ロボットを活用する工程、製品を決めることが重要です。 協働ロボットは購入するだけでは何の仕事も出来ません。 協働ロボットを活用するために適切な工程、適切な製品を把握し、適切な周辺機器を選定し、適切なセットアップをしてこそ協働ロボットは価値を発揮します。 まずは、自社の状況、ニーズを把握し活用条件を決めることから始めましょう。 と言っても、何から初めて良いか分からない方も多いはず。 工場AI・ロボット.comを運営している㈱船井総合研究所では、これらの現状分析から活用条件の決定、協働ロボット活用構想の立案、投資対効果試算シミュレーション、適切なロボットメーカーの選定、適切なシステムインテグレータの選定、メーカー及びインテグレータとの打ち合わせ、導入後のアフターフォローまで一貫してお手伝いすることが可能です。 まずはオンラインにて無料で御社の協働ロボット活用の可能性を診断致します。 ■中小製造業がロボット導入で費用対効果を最大化するために最初にすべきこと ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02412_S045 【このような方にオススメ】 導入経験がない事業主でもロボット導入において最初にすべきことがわかる! 人手を掛けずに生産性を上げるロボット活用手法がわかる! 多品種少量生産対応の中小製造業のロボット活用手法がわかる!   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="cobot"][/sc]

中小企業・中小製造業におけるロボット導入のポイントを解説

2020.07.30

ご存じの通り、中小企業においても自動化・ロボット化による生産性向上及び省力化、省人化が急務となっており「なんとかしなくては」と考えている経営者も多いかと思います。 今回は初めてロボットを導入する際の「勘どころ」を解説していきます。 1.中小企業におけるロボット導入の必要性と役割 中小製造業において課題となっている重要な項目の一つが人手不足です。 従業員100名以下の企業に関しては人手不足が最重要課題であることも少なくありません。 熟練作業者の高齢化、作業の属人化、若手作業者の定着率悪化、退職率増加、新規採用応募者の減少、など人手不足は深刻な状況になりつつあります。そのような背景の中、中小企業においてロボットはどのような役割を果たすのでしょうか? 中小製造業におけるロボットの役割として大きく3つのポイントが挙げられます。 ①人による作業の代替えによる生産性向上・省人化・省力化 ②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換 ③若手技術者の育成による企業の成長 まず、真っ先に挙げられるのが①生産性向上・省人化・省力化です。 これについてはしっかりと「数字」でコストメリットを試算して導入効果の検証をしていく必要があります。 この段階で検証を誤ると、導入したけど何の効果も無かった、ただスペースを圧迫するだけのオブジェになってしまった、なんて言うことにもなりかねません。 さらに、中小製造業においては多品種少量生産が一般的である場合も多いため一つのロボットシステムでいかに多品種に対応できるか、も重要なポイントになってきます。 月に何万台も生産する自動車部品の量産ラインのような工程では単一品種の対応で大きなメリットが出ますが、月100個の製品を10品種、同一の機械で生産するような多品種少量型の町工場においては、一つのロボットシステム(低投資)で多品種対応(高利益)が求められるため、作業改善や作業方法の変更、設備レイアウトの変更等様々な改善を組み合わせてロボット導入を検討する必要があります。 次に、②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換、③若手技術者の育成による企業の成長です。前述のように生産性が向上し省人化が実現したところで、現在の従業員に退職を迫るわけにはいきません。 そこで、ロボットにより手の空いた熟練作業者は、より付加価値の高い作業への配置転換を行います。中小企業が得意とする「職人の技術」です。 ロボットが出来ることはロボットが、人間にしか出来ないことは人間が、そのように作業を分担して、より短納期でより高品質な製品を提供する、中小企業としての強み(技術)を生かした戦略です。 さて、若手技術者の不足は中小企業において深刻な問題です。入社して半年も経たずに辞めてしまう、待遇を改善したが次の若手を雇っても同じように辞めてしまう、そのように若手が育たないので新しいシステムを導入しても扱える人間がいない、メンテナンスできる人間がいない、さらに新たな技術の導入に手が出せない、と悪循環に陥っていきます。 そこでロボット等の最新技術のオペレーター、技術担当者として若手を採用し「やりがい」や「目標・目的」を持って業務に取り組んでもらうことで若手社員本人としての成長と共に企業として成長していくとこが中小製造業におけるロボット導入のポイントであると考えます。 2.中小企業におけるロボット導入の注意点 では、中小企業においてロボット導入を検討する際に注意しなければいけない点とはどのような事があるのでしょうか? 先にも記載した通りまずは、「数字」でコストメリットを試算、するとこが重要な点となってきます。 生産量、工数、利益、等々様々な要因を数字で集めて分析し、どの製品のどの工程をロボット化していくのか、まずはざっくりと決めていきます。 製品と工程が決まったらさらにその工程を細かく分解して、どれくらいの工数がかかっているか、作業一つ一つの作業時間を出していきます。そのように分割した作業の中でロボットに行わせる作業を決めていきます。 この時点ではあくまでも仮の決定で、ある程度のビジョンを持って導入を計画していくための準備です。 さて、ここからが本題です。 重要なことが二つ、一つ目は優秀なシステムインテグレーター(SIer)を選定することです。 SIerとはロボットシステムや自動化システム等の提案、設計、導入、立ち上げを一手に担ってくれるメーカーや業者の総称です。 例えば、全く同じ工程のロボット化を何社かのSIerに依頼した場合でも、提案内容や導入コストに大きく差が出る場合があります。 これはSIerの「提案力」の差によるものです。機械設計や電気設計はある程度ノウハウ化されそれほど差が出るものではありませんが、この「提案力」は個々の経験とアイデアによる差が顕著に出るものです。 そういった観点から、提案力のある優秀なSIerを選定することが重要なことの一つになってきます。 二つ目はユーザーの分析力です。ここでいう分析とは、例えば大量の数字を集めて傾向を発見する、とかそのような小難しい分析ではなく、実際に現場ではどのように作業が行われているのか、を分析する力です。 ロボット導入となると、現場で作業をしている作業者が実際に打ち合わせに加わったり、一緒にシステム構成を考えたり、というのは生産があるため非常に困難であるため、経営者自らが構想設計から打ち合わせ立ち上げまで、一人でこなしていくケースも多いかと思います。 このような場合に起こりうるのが、把握している作業と実際の現場作業との差です。良くも悪くも、現場作業員が決められた作業手順(作業標準)通りに作業をしているとは限らないからです。 この実際の現場作業の確認(分析)を怠るとロボットシステム導入後に思っていた通りに物が出来ない、試算した通りに生産が進まない等の問題が発生します。現場作業員も「勝手に作業方法を変えられた!」と感じモチベーションも下がってしまいます。そのような問題を起こさないためにも現場分析が重要となってきます。現場分析=現場作業者とのコミュニケーション、であるとも言えます。その現場分析をもとにユーザーからSIerへ要望を出す(ある意味提案する)、その要望(提案)を受けてSIerが実現可能な方法を提案する、といった流れに乗れると良いシステムが作られていきます。 逆に言うと、いかに優秀なSIerとて、ユーザーから要望(提案)が無ければ良い提案が出来ないということです。 3.おわりに 昨今では、SIer側としても上記のような状態を認識し、提案型営業の必要性が問われています。しかしやはりSIerが実際に現場に立って作業分析をすることは困難でしょう。 ロボットだけを買ってきても何の価値も生まない、いかに価値を生み出すロボットシステムを生み出せるかはユーザーの現場分析力(提案力)にかかっている、といっても過言でありません。 このように、ロボットのような最新技術とはいえ「3現主義」のようなモノづくりの基本を大前提において導入を進めることが必要です。 ロボットについて何の知識もないから、とか、難しいことは分からないから、と投げ出してしまうのではなく、良いロボットシステムを作り上げるためには今まで現場で培ってきた経験が必要である、と認識し各々の現場にあったシステムを導入していくのが中小企業・中小製造業におけるロボット導入の「勘どころ」と言えるでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ ご存じの通り、中小企業においても自動化・ロボット化による生産性向上及び省力化、省人化が急務となっており「なんとかしなくては」と考えている経営者も多いかと思います。 今回は初めてロボットを導入する際の「勘どころ」を解説していきます。 1.中小企業におけるロボット導入の必要性と役割 中小製造業において課題となっている重要な項目の一つが人手不足です。 従業員100名以下の企業に関しては人手不足が最重要課題であることも少なくありません。 熟練作業者の高齢化、作業の属人化、若手作業者の定着率悪化、退職率増加、新規採用応募者の減少、など人手不足は深刻な状況になりつつあります。そのような背景の中、中小企業においてロボットはどのような役割を果たすのでしょうか? 中小製造業におけるロボットの役割として大きく3つのポイントが挙げられます。 ①人による作業の代替えによる生産性向上・省人化・省力化 ②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換 ③若手技術者の育成による企業の成長 まず、真っ先に挙げられるのが①生産性向上・省人化・省力化です。 これについてはしっかりと「数字」でコストメリットを試算して導入効果の検証をしていく必要があります。 この段階で検証を誤ると、導入したけど何の効果も無かった、ただスペースを圧迫するだけのオブジェになってしまった、なんて言うことにもなりかねません。 さらに、中小製造業においては多品種少量生産が一般的である場合も多いため一つのロボットシステムでいかに多品種に対応できるか、も重要なポイントになってきます。 月に何万台も生産する自動車部品の量産ラインのような工程では単一品種の対応で大きなメリットが出ますが、月100個の製品を10品種、同一の機械で生産するような多品種少量型の町工場においては、一つのロボットシステム(低投資)で多品種対応(高利益)が求められるため、作業改善や作業方法の変更、設備レイアウトの変更等様々な改善を組み合わせてロボット導入を検討する必要があります。 次に、②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換、③若手技術者の育成による企業の成長です。前述のように生産性が向上し省人化が実現したところで、現在の従業員に退職を迫るわけにはいきません。 そこで、ロボットにより手の空いた熟練作業者は、より付加価値の高い作業への配置転換を行います。中小企業が得意とする「職人の技術」です。 ロボットが出来ることはロボットが、人間にしか出来ないことは人間が、そのように作業を分担して、より短納期でより高品質な製品を提供する、中小企業としての強み(技術)を生かした戦略です。 さて、若手技術者の不足は中小企業において深刻な問題です。入社して半年も経たずに辞めてしまう、待遇を改善したが次の若手を雇っても同じように辞めてしまう、そのように若手が育たないので新しいシステムを導入しても扱える人間がいない、メンテナンスできる人間がいない、さらに新たな技術の導入に手が出せない、と悪循環に陥っていきます。 そこでロボット等の最新技術のオペレーター、技術担当者として若手を採用し「やりがい」や「目標・目的」を持って業務に取り組んでもらうことで若手社員本人としての成長と共に企業として成長していくとこが中小製造業におけるロボット導入のポイントであると考えます。 2.中小企業におけるロボット導入の注意点 では、中小企業においてロボット導入を検討する際に注意しなければいけない点とはどのような事があるのでしょうか? 先にも記載した通りまずは、「数字」でコストメリットを試算、するとこが重要な点となってきます。 生産量、工数、利益、等々様々な要因を数字で集めて分析し、どの製品のどの工程をロボット化していくのか、まずはざっくりと決めていきます。 製品と工程が決まったらさらにその工程を細かく分解して、どれくらいの工数がかかっているか、作業一つ一つの作業時間を出していきます。そのように分割した作業の中でロボットに行わせる作業を決めていきます。 この時点ではあくまでも仮の決定で、ある程度のビジョンを持って導入を計画していくための準備です。 さて、ここからが本題です。 重要なことが二つ、一つ目は優秀なシステムインテグレーター(SIer)を選定することです。 SIerとはロボットシステムや自動化システム等の提案、設計、導入、立ち上げを一手に担ってくれるメーカーや業者の総称です。 例えば、全く同じ工程のロボット化を何社かのSIerに依頼した場合でも、提案内容や導入コストに大きく差が出る場合があります。 これはSIerの「提案力」の差によるものです。機械設計や電気設計はある程度ノウハウ化されそれほど差が出るものではありませんが、この「提案力」は個々の経験とアイデアによる差が顕著に出るものです。 そういった観点から、提案力のある優秀なSIerを選定することが重要なことの一つになってきます。 二つ目はユーザーの分析力です。ここでいう分析とは、例えば大量の数字を集めて傾向を発見する、とかそのような小難しい分析ではなく、実際に現場ではどのように作業が行われているのか、を分析する力です。 ロボット導入となると、現場で作業をしている作業者が実際に打ち合わせに加わったり、一緒にシステム構成を考えたり、というのは生産があるため非常に困難であるため、経営者自らが構想設計から打ち合わせ立ち上げまで、一人でこなしていくケースも多いかと思います。 このような場合に起こりうるのが、把握している作業と実際の現場作業との差です。良くも悪くも、現場作業員が決められた作業手順(作業標準)通りに作業をしているとは限らないからです。 この実際の現場作業の確認(分析)を怠るとロボットシステム導入後に思っていた通りに物が出来ない、試算した通りに生産が進まない等の問題が発生します。現場作業員も「勝手に作業方法を変えられた!」と感じモチベーションも下がってしまいます。そのような問題を起こさないためにも現場分析が重要となってきます。現場分析=現場作業者とのコミュニケーション、であるとも言えます。その現場分析をもとにユーザーからSIerへ要望を出す(ある意味提案する)、その要望(提案)を受けてSIerが実現可能な方法を提案する、といった流れに乗れると良いシステムが作られていきます。 逆に言うと、いかに優秀なSIerとて、ユーザーから要望(提案)が無ければ良い提案が出来ないということです。 3.おわりに 昨今では、SIer側としても上記のような状態を認識し、提案型営業の必要性が問われています。しかしやはりSIerが実際に現場に立って作業分析をすることは困難でしょう。 ロボットだけを買ってきても何の価値も生まない、いかに価値を生み出すロボットシステムを生み出せるかはユーザーの現場分析力(提案力)にかかっている、といっても過言でありません。 このように、ロボットのような最新技術とはいえ「3現主義」のようなモノづくりの基本を大前提において導入を進めることが必要です。 ロボットについて何の知識もないから、とか、難しいことは分からないから、と投げ出してしまうのではなく、良いロボットシステムを作り上げるためには今まで現場で培ってきた経験が必要である、と認識し各々の現場にあったシステムを導入していくのが中小企業・中小製造業におけるロボット導入の「勘どころ」と言えるでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

産業用ロボットの種類と市場規模

2020.06.18

近年では、様々な業界においてロボットが用いられるようになってきています。 その背景には将来的な人口減少により生産年齢人口が減少することや、顧客のニーズを満たすようなロボットを、製造することが出来るまでに技術が発展していることなどが、挙げられます。 ロボットと一口に言っても産業用ロボット・家電ロボット・手術支援ロボット・医療支援ロボットなど様々な種類がありますが、その中でも最も注目を集めているのが産業用ロボットです。 では、「産業用ロボット」とは一体どういうものなのでしょうか? 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットの説明に入る前に、まずはロボットの定義を共有したいと思います。 ロボットの定義は明確に定まっている訳ではなく所々で色々な定義がされていますが、定義の一つに、“人の代わりに何等かの作業を自律的に行う装置、もしくは機械のこと。”とあります。 そのロボットの中で、注目されている産業用ロボットは、「自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレーターであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定してまたは運動機能をもって産業自動化の用途に用いられるロボット」と日本工業規格JISで定義されています。 マニピュレーターとは人の手や腕の代わりに作業する機構を指します。このような産業用ロボットは、資金が潤沢な大企業のみが導入できるものと考えられてきましたが、近年では規模が小さい中小企業においてもロボット導入が可能となっています。 まだまだ多くの方が、ロボット化をただの単品大量生産の自動化だと考えていますが、それは大きな間違いです。 特に中小企業にとってロボット化とは ・売上UP・付加価値UP・生産性UP ・熟練業務の伝承・継承 ・優秀な若手の採用強化・教育育成 ・新規顧客の開拓 ・人手不足の解消 ・ロボットによる3K業務の代替 であり大きなメリットがあります。 2.産業用ロボットに関する市場を調査 先述の通り、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 IFR (国際ロボット連盟)のレポートによると、過去5 年で世界の産業用ロボットの販売台数は2 倍になるといわれています。その背景として、日本・韓国・欧州等における労働力人口減少や中国・新興国等における賃金上昇や品質向上ニーズ拡大等が挙げられます。 IFRのWorld Robotics Report によると、2017 年に世界の産業用ロボットの出荷台数は過去最高となる381,000 台を記録し、前年比30%増となりました。ロボットの年間販売台数は下記の図をみてもわかるように、年々増加しており1 年あたり平均14%増となっています。 *2009~2017年と2018~2021年の世界全体の産業用ロボットの推移年間販売数 出展:国際ロボット連盟2018 また、日本ロボット工業会の統計を見ても、国内メーカーの18年の受注額は9623億円で、前年比5,5%増加しました。6連続の前年比増加で、過去最高を記録しています。 日本は、世界一の産業用ロボット生産国ですが、2017 年に日本メーカーは世界の販売台数の56%を占めました。 輸出比率は 45%の増加を記録し、輸出先は北米や中国、韓国、ヨーロッパです。 日本以外で注目すべき国としては、中国です。近年、中国を中心としたアジア市場が産業用ロボット市場の大きな成長源となっています。 中国は既に稼働台数において日本に次ぐ世界第2位となっていますが、工場労働者1人当たりの台数は少なく、ロボットの導入余地が大きいと考えられ、今後日本を抜いていくことが予想されます。 ここまで数字面で、産業用ロボットが注目される根拠を説明してきましたが、ここからは社会的な面からも見ていきたいと思います。 国際ロボット連盟の会長である津田純嗣は以下のように述べています。 「産業用ロボットは製造業の進歩に欠かせない重要な役割を担っています。ロボットは、視覚認識やスキル学習、AIを用いた故障予測、マン・マシン・コラボレーションという新たな概念、そして容易なプログラミングなどの多くの最新のテクノロジー と共に進化を遂げています。こうしたテクノロジーは、製造業の生産性の向上と、ロボット応用分野の拡大に寄与するでしょう。IFRの予測では、世界中の工場へのロボットの年間導入台数は2021年に約630,000台に到達することが見込まれます。」 OECDの調査によると、テクノロジーを効果的に採用している企業は、採用していない企業よりも10倍生産性が高いことが示されており、津田会長が言うように産業用ロボットは製造業の進歩に必要不可欠であると考えられます。 また、昨今のコロナウイルスの影響により自動化は今後より進んでいくと考えられます。IFRや経済学者らはコロナ危機は、ロボットが産業と社会にもたらす重要な貢献を強調しているとの考えを示しています。 3.産業用ロボットの種類 産業用ロボットは幅広い分野で活用されていますが、一口に産業用ロボットといっても様々なタイプがあります。 ・垂直多関節ロボット 人間の腕に似た構造で自由度が高く、最も普及しているタイプの産業用ロボットです。 軸の数が多く、動作の自由度が非常に高いということから様々な作業を行うことができます。 自由度が高いことから、対象とするワークを回り込んでの作業も得意で、搬送・溶接・塗装・組立等多くの工程で導入されています。 ただ、多軸で自由度が高い半面、制御がやや複雑になります。 ・水平多関節ロボット(スカラロボット) 水平(スカラ)方向の動きに特化したロボットです。 最も主流となっているのが4軸のロボットで、関節は回転軸が全て垂直に揃っているため、必ずアームの先端が水平面内を移動します。 例えばものをつかみ上げる場合は、ハンドを対象物の真上まで動かし、垂直の直線軸でハンドを近づけます。 複雑な動作はできませんが、上下方向の剛性が高く、水平方向への柔軟性を持っているため、部品の押し込み作業などの組立工程に適しています。 ウエハの搬送や、基板を組み立てる際など用途は多岐に渡ります。 ・パラレルリンクロボット 並列なリンクを介して1点の動きを制御する方法(パラレルメカニズム)を使った産業用ロボットです。 複数モーターの出力を1点に集中させ、各関節が直接先端を制御するため、高精度・高出力で、非常に高速に動けるという特徴があります。 そのため、ベルトコンベヤーの上に取り付けられ、流れてくる製品を高速でピックアップして搬送することができます。 ・直交ロボット 直角に組み合わせた直線軸からなるシンプルなロボットです。 作業を施す範囲に対し、設置面積が広くなってしまうというデメリットはありますが、スライド機構による動作になるため、回転がないという特徴があります。 また、複雑な動作はできない代わりに、シンプルで安価であるといったことも特徴として挙げられます。 直行ロボットは重量物の搬送や、基板の組み立てなどに使用されています。最近では、単体で導入するのではなく、多関節ロボットと組み合わせて導入し、使われることが増えてきています。 そのほかにも、液晶パネルの搬送などに利用されている、「円筒座標型ロボット」や 産業用ロボットの元祖である「極座標型ロボット」等様々なロボットがあります。 また、産業用ロボットといっても、「協業ロボット」や「双腕ロボット」など、一般的な産業用ロボットとは違ったタイプのロボットもあります。 このように、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 今後、産業用ロボットによる自動化はより進んでいくことでしょう。 本記事では産業用ロボットの市場について解説しました。 他の記事では、中小企業がロボット化を実現している事例なども紹介しておりますから、ロボット化をお考えの方のきっとお役に立つことと思います。 是非一度、ご覧になって下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 近年では、様々な業界においてロボットが用いられるようになってきています。 その背景には将来的な人口減少により生産年齢人口が減少することや、顧客のニーズを満たすようなロボットを、製造することが出来るまでに技術が発展していることなどが、挙げられます。 ロボットと一口に言っても産業用ロボット・家電ロボット・手術支援ロボット・医療支援ロボットなど様々な種類がありますが、その中でも最も注目を集めているのが産業用ロボットです。 では、「産業用ロボット」とは一体どういうものなのでしょうか? 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットの説明に入る前に、まずはロボットの定義を共有したいと思います。 ロボットの定義は明確に定まっている訳ではなく所々で色々な定義がされていますが、定義の一つに、“人の代わりに何等かの作業を自律的に行う装置、もしくは機械のこと。”とあります。 そのロボットの中で、注目されている産業用ロボットは、「自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレーターであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定してまたは運動機能をもって産業自動化の用途に用いられるロボット」と日本工業規格JISで定義されています。 マニピュレーターとは人の手や腕の代わりに作業する機構を指します。このような産業用ロボットは、資金が潤沢な大企業のみが導入できるものと考えられてきましたが、近年では規模が小さい中小企業においてもロボット導入が可能となっています。 まだまだ多くの方が、ロボット化をただの単品大量生産の自動化だと考えていますが、それは大きな間違いです。 特に中小企業にとってロボット化とは ・売上UP・付加価値UP・生産性UP ・熟練業務の伝承・継承 ・優秀な若手の採用強化・教育育成 ・新規顧客の開拓 ・人手不足の解消 ・ロボットによる3K業務の代替 であり大きなメリットがあります。 2.産業用ロボットに関する市場を調査 先述の通り、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 IFR (国際ロボット連盟)のレポートによると、過去5 年で世界の産業用ロボットの販売台数は2 倍になるといわれています。その背景として、日本・韓国・欧州等における労働力人口減少や中国・新興国等における賃金上昇や品質向上ニーズ拡大等が挙げられます。 IFRのWorld Robotics Report によると、2017 年に世界の産業用ロボットの出荷台数は過去最高となる381,000 台を記録し、前年比30%増となりました。ロボットの年間販売台数は下記の図をみてもわかるように、年々増加しており1 年あたり平均14%増となっています。 *2009~2017年と2018~2021年の世界全体の産業用ロボットの推移年間販売数 出展:国際ロボット連盟2018 また、日本ロボット工業会の統計を見ても、国内メーカーの18年の受注額は9623億円で、前年比5,5%増加しました。6連続の前年比増加で、過去最高を記録しています。 日本は、世界一の産業用ロボット生産国ですが、2017 年に日本メーカーは世界の販売台数の56%を占めました。 輸出比率は 45%の増加を記録し、輸出先は北米や中国、韓国、ヨーロッパです。 日本以外で注目すべき国としては、中国です。近年、中国を中心としたアジア市場が産業用ロボット市場の大きな成長源となっています。 中国は既に稼働台数において日本に次ぐ世界第2位となっていますが、工場労働者1人当たりの台数は少なく、ロボットの導入余地が大きいと考えられ、今後日本を抜いていくことが予想されます。 ここまで数字面で、産業用ロボットが注目される根拠を説明してきましたが、ここからは社会的な面からも見ていきたいと思います。 国際ロボット連盟の会長である津田純嗣は以下のように述べています。 「産業用ロボットは製造業の進歩に欠かせない重要な役割を担っています。ロボットは、視覚認識やスキル学習、AIを用いた故障予測、マン・マシン・コラボレーションという新たな概念、そして容易なプログラミングなどの多くの最新のテクノロジー と共に進化を遂げています。こうしたテクノロジーは、製造業の生産性の向上と、ロボット応用分野の拡大に寄与するでしょう。IFRの予測では、世界中の工場へのロボットの年間導入台数は2021年に約630,000台に到達することが見込まれます。」 OECDの調査によると、テクノロジーを効果的に採用している企業は、採用していない企業よりも10倍生産性が高いことが示されており、津田会長が言うように産業用ロボットは製造業の進歩に必要不可欠であると考えられます。 また、昨今のコロナウイルスの影響により自動化は今後より進んでいくと考えられます。IFRや経済学者らはコロナ危機は、ロボットが産業と社会にもたらす重要な貢献を強調しているとの考えを示しています。 3.産業用ロボットの種類 産業用ロボットは幅広い分野で活用されていますが、一口に産業用ロボットといっても様々なタイプがあります。 ・垂直多関節ロボット 人間の腕に似た構造で自由度が高く、最も普及しているタイプの産業用ロボットです。 軸の数が多く、動作の自由度が非常に高いということから様々な作業を行うことができます。 自由度が高いことから、対象とするワークを回り込んでの作業も得意で、搬送・溶接・塗装・組立等多くの工程で導入されています。 ただ、多軸で自由度が高い半面、制御がやや複雑になります。 ・水平多関節ロボット(スカラロボット) 水平(スカラ)方向の動きに特化したロボットです。 最も主流となっているのが4軸のロボットで、関節は回転軸が全て垂直に揃っているため、必ずアームの先端が水平面内を移動します。 例えばものをつかみ上げる場合は、ハンドを対象物の真上まで動かし、垂直の直線軸でハンドを近づけます。 複雑な動作はできませんが、上下方向の剛性が高く、水平方向への柔軟性を持っているため、部品の押し込み作業などの組立工程に適しています。 ウエハの搬送や、基板を組み立てる際など用途は多岐に渡ります。 ・パラレルリンクロボット 並列なリンクを介して1点の動きを制御する方法(パラレルメカニズム)を使った産業用ロボットです。 複数モーターの出力を1点に集中させ、各関節が直接先端を制御するため、高精度・高出力で、非常に高速に動けるという特徴があります。 そのため、ベルトコンベヤーの上に取り付けられ、流れてくる製品を高速でピックアップして搬送することができます。 ・直交ロボット 直角に組み合わせた直線軸からなるシンプルなロボットです。 作業を施す範囲に対し、設置面積が広くなってしまうというデメリットはありますが、スライド機構による動作になるため、回転がないという特徴があります。 また、複雑な動作はできない代わりに、シンプルで安価であるといったことも特徴として挙げられます。 直行ロボットは重量物の搬送や、基板の組み立てなどに使用されています。最近では、単体で導入するのではなく、多関節ロボットと組み合わせて導入し、使われることが増えてきています。 そのほかにも、液晶パネルの搬送などに利用されている、「円筒座標型ロボット」や 産業用ロボットの元祖である「極座標型ロボット」等様々なロボットがあります。 また、産業用ロボットといっても、「協業ロボット」や「双腕ロボット」など、一般的な産業用ロボットとは違ったタイプのロボットもあります。 このように、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 今後、産業用ロボットによる自動化はより進んでいくことでしょう。 本記事では産業用ロボットの市場について解説しました。 他の記事では、中小企業がロボット化を実現している事例なども紹介しておりますから、ロボット化をお考えの方のきっとお役に立つことと思います。 是非一度、ご覧になって下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

産業用ロボットによる自動化のメリットを解説!

2020.06.12

1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットとひとことで言っても、その中には様々な特徴や性能をもったロボットが沢山あります。 代表的なものは、直行ロボット、多関節ロボット、双椀ロボット、パラレルリンクロボット等を挙げる事が出来ます。 そして、ロボットを使用する環境や求められる能力に合わせて様々な追加機能を持たせていく事で様々なジャンルへ適用していき、ハンドリング、ピッキング、溶接、塗装、研磨、検査、倉庫、等の工程に導入されています。 産業用ロボットの一番のメリットはその汎用性にあります。 上記で挙げた工程に要求される追加機能を持たせる事で様々な工程に対応出来ます。 それと同様に一つの工程の中では、多品種への対応が可能です。 例えば、溶接工程へのロボット導入の場合、多関節ロボットのハンドに溶接トーチを持たす事で溶接用のロボットとなります。 そして溶接トーチをTIG、MIG、YEG等に置き換える事で様々な溶接に対応可能です。 更には様々な形状と溶接条件のワークの加工が可能となり多品種対応も可能となります。 このように産業用ロボットの最大のメリットはその汎用性にあります。 小品種大ロット生産の場合、専用の自動機を製作し高い生産能力と低いコストでの生産が中心でしたが、世界的な不況や昨今のコロナショックにより、多品種少量生産のニーズが高まる環境下で大きく力を発揮するものです。 これまではロボットへの教示(ロボットの動くポイントや動作順等をロボットPRGにしてロボットコントローラに書き込む作業)は専門的な知識が必要で敷居の高いものでしたが、昨今では、世界的にロボット用ソフトウェアの開発が進み、専門知識の無い人、これまでロボットと縁の無かった人でも簡単に操作出来る様に開発が進んでいます。 特にヨーロッパや中国などはロボットの導入が積極的に行われておりますが、日本のロボット導入はあまり進んでおらず世界的に見て先進的とは言えない状況になっています。 20年後30年後の労働人口の不足は様々なメディアから報じられており、間違い無い事実であると思いますが、それでも日本ではロボットの導入が進んでいない状況です。 その理由として挙げられるのは、ロボットを導入して自動化する事のメリットを知らない事にあると思います。 そしてそのメリットを効果として投資対効果の試算を行う事と汎用性の高いロボットを自社の製造工程に合わせてカスタマイズする等の生産技術部門が無い企業が多いのもまた事実です。 本記事では、産業用ロボットをおすすめする理由を3つの視点から取り上げたいと思います。 2.自動化とは? まずは産業用ロボットによる自動化の進め方と大まかなコストを把握しましょう。 上述した通り産業用ロボットは単体では何も出来ません。何をさせるかによってカスタマイズが必要です。 そのカスタマイズを請け負ってくれるのがロボットシステムインテグレータです。日本にも大小数百のシステムインテグレータが存在しておりそれぞれ得意な分野や技術を保有しております。 そのため、ロボット導入を進める場合まずロボットシステムインテグレータに相談をする事をおすすめします。 対象の工程や必要な機能を洗い出してから設備構想を作っていくのですが、当然ロボットや追加機器の費用に加え、ロボットシステムインテグレータに支払う費用も発生します。 構想設計日や設置工事、立ち合い調整などの費用がメインとなりますがここに掛かる金額は必ず掛かってきますのでこれを踏まえての購入判断が必要となります。 例えば、小型から中型とされるロボットを用いて簡単なシステムを組んだ場合でも一千万近くは掛かります。 ロボットと追加機器の価格が五百万円程度だった場合に多くの場合はそれと同額程度のシステムインテグレータに支払う費用が掛かります。大体これが相場です。 つまりシンプルなシステム構成でもロボット+周辺機器+システムインテグレーションでは一千万円近くは掛かってきます。 システムインテグレーション費用は高い比率を占めていますが、安い買い物では無いので失敗してロボットを導入したが全く使っていない等の事態にならないようにきちんとシステムインテグレータと相談しながらシステムを構築していく必要があり独力でロボット導入を進める技術が無い限りは必ず必要になってきます。 高額投資にはなりますが、生産現場、生産品種に合わせたシステムを構築し運用する事が出来れば様々なメリットが生まれる為に投資対効果で回収する事が可能なのです。 投資対効果の中には省人や労働生産性の向上から生まれる直接効果とそれ以外の間接効果がありますが、特に間接効果によるメリットが大きく産業用ロボットをおすすめする理由として挙げる事が出来ます。 3.産業用ロボットをおすすめする理由①品質向上 まずロボット化によって生まれる間接効果として品質の向上があります。 卓越した職人の感覚による加工には敵いませんが、ロボットを用いて自動化出来た場合、繰り返し再現性が非常に高まります。 この繰り返し精度こそ人間を遥かに上回る性能をもっている為に加工や品質の仕上がりが一定になります。 導入初期段階ではもちろん調整が必要なのですが、一度良い品質のモノが出来てしまえば同じ品質のモノを作り続ける事が出来るのです。 逆に言ってしまえばそれ以上もそれ以下のモノも生産しないという事です。 しかし、ここで非常に重要なのはロボットで加工するモノの状態がいつも同じか?という所です。 生産現場では材料調達からはじまり大小様々な変化は日常的に発生します。 この材料の変化がロボットでの加工の品質結果を変化させてしまうのです。 ロボットを導入して安定した品質を保つ為には材料の安定が鍵となりますので注意しましょう。 4.産業用ロボットをおすすめする理由②危険な作業を省人化 昔から製造現場には3Kとよばれる作業があります。 キケン、キツイ、クサイの頭文字と取った造語ですが、ロボットはまさにこのような作業をさせるには持ってこいです。 ロボットは文句も言わず、何時間でも3K作業をこなす事が出来ます。 例えば、高温環境にある鋳造工程や溶接工程等、重量鉄骨の切断作業等の危険作業等にロボットを導入される企業が増えています。 これからの労働人口減少の影響を最初に受けるであろう3K作業を早めに自動化しておく事で将来的にも企業の存続を図る事がこの分野に置ける自動化の最大の効果とも言えます。 そして最先端の技術を使って自動化を進めている企業様にはおのずと優秀な人材が集まる事も想定出来ます。 3K作業はロボットにやらせて、優秀な人材にはロボットのプログラミング等を任せていくという企業も増えてきており、今後の製造業の主流とも言えると思います。 5.産業用ロボットをおすすめする理由③熟練工はさらに高い技術へ 上記の3K作業以外にも、自動化にむいている工程があります。手間が掛かるが格別特殊な技術の要らない加工工程です。 ロボットも周辺機器も各段に進歩を続けていますが、現時点では現場の職人に匹敵するものではありません。ロボットでは再現出来ない加工も多いです。 職人を育てる為には何年、何十年もの月日が必要でありその存在自体が会社の財産とも言える存在です。そしてその職人さんも徐々に減ってきている状況です。 それでは職人さんは本当にその特殊な技能を100%発揮しているでしょうか。誰でも出来る様な仕事を特殊な技能を持った職人にさせていないでしょうか。 そういう時にこそロボットを導入し簡単な加工はロボットにやらせてしまうのです。そして職人さんの手を空けて、その人にしか出来ない作業をやって貰う事で能力を100%発揮して貰います。 その中で更に高い技術を習得、技術伝承を担って貰うのです。 簡単な作業はロボットにやらせておいて熟練工はさらに高い技術の習得をする事で企業には更に高い技術が必要な仕事を取り込む事が出来ます。 そしてロボットと専門職人が共存する非常に魅力ある企業になる事でしょう。 本記事では産業用ロボットによる自動化のメリットについて述べてきましたが、如何でしたでしょうか。 もはやロボット後進国となりつつある日本の製造現場ですが、確かにロボットを導入する際の技術的な障壁やコスト面での課題も多くあると思います。 しかし将来を見据えてしっかりと腰を据えて自社に適したシステムを構築する事が今の時代に必要な取り組みではないでしょうか。 日本の中小企業の中でも時流に敏感な企業様はロボット導入を開始しており、今後のロボット導入を進める為の相談も増えつつあります。 そのような企業様は一歩先んじて自動化の技術を身に着け、着々と将来への準備をしております。 導入に関して課題も多いですが、しっかりと課題と効果を分析し、自動化への取り組みを進めて行って頂きたいですね。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/   [sc name="robot"][/sc] 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットとひとことで言っても、その中には様々な特徴や性能をもったロボットが沢山あります。 代表的なものは、直行ロボット、多関節ロボット、双椀ロボット、パラレルリンクロボット等を挙げる事が出来ます。 そして、ロボットを使用する環境や求められる能力に合わせて様々な追加機能を持たせていく事で様々なジャンルへ適用していき、ハンドリング、ピッキング、溶接、塗装、研磨、検査、倉庫、等の工程に導入されています。 産業用ロボットの一番のメリットはその汎用性にあります。 上記で挙げた工程に要求される追加機能を持たせる事で様々な工程に対応出来ます。 それと同様に一つの工程の中では、多品種への対応が可能です。 例えば、溶接工程へのロボット導入の場合、多関節ロボットのハンドに溶接トーチを持たす事で溶接用のロボットとなります。 そして溶接トーチをTIG、MIG、YEG等に置き換える事で様々な溶接に対応可能です。 更には様々な形状と溶接条件のワークの加工が可能となり多品種対応も可能となります。 このように産業用ロボットの最大のメリットはその汎用性にあります。 小品種大ロット生産の場合、専用の自動機を製作し高い生産能力と低いコストでの生産が中心でしたが、世界的な不況や昨今のコロナショックにより、多品種少量生産のニーズが高まる環境下で大きく力を発揮するものです。 これまではロボットへの教示(ロボットの動くポイントや動作順等をロボットPRGにしてロボットコントローラに書き込む作業)は専門的な知識が必要で敷居の高いものでしたが、昨今では、世界的にロボット用ソフトウェアの開発が進み、専門知識の無い人、これまでロボットと縁の無かった人でも簡単に操作出来る様に開発が進んでいます。 特にヨーロッパや中国などはロボットの導入が積極的に行われておりますが、日本のロボット導入はあまり進んでおらず世界的に見て先進的とは言えない状況になっています。 20年後30年後の労働人口の不足は様々なメディアから報じられており、間違い無い事実であると思いますが、それでも日本ではロボットの導入が進んでいない状況です。 その理由として挙げられるのは、ロボットを導入して自動化する事のメリットを知らない事にあると思います。 そしてそのメリットを効果として投資対効果の試算を行う事と汎用性の高いロボットを自社の製造工程に合わせてカスタマイズする等の生産技術部門が無い企業が多いのもまた事実です。 本記事では、産業用ロボットをおすすめする理由を3つの視点から取り上げたいと思います。 2.自動化とは? まずは産業用ロボットによる自動化の進め方と大まかなコストを把握しましょう。 上述した通り産業用ロボットは単体では何も出来ません。何をさせるかによってカスタマイズが必要です。 そのカスタマイズを請け負ってくれるのがロボットシステムインテグレータです。日本にも大小数百のシステムインテグレータが存在しておりそれぞれ得意な分野や技術を保有しております。 そのため、ロボット導入を進める場合まずロボットシステムインテグレータに相談をする事をおすすめします。 対象の工程や必要な機能を洗い出してから設備構想を作っていくのですが、当然ロボットや追加機器の費用に加え、ロボットシステムインテグレータに支払う費用も発生します。 構想設計日や設置工事、立ち合い調整などの費用がメインとなりますがここに掛かる金額は必ず掛かってきますのでこれを踏まえての購入判断が必要となります。 例えば、小型から中型とされるロボットを用いて簡単なシステムを組んだ場合でも一千万近くは掛かります。 ロボットと追加機器の価格が五百万円程度だった場合に多くの場合はそれと同額程度のシステムインテグレータに支払う費用が掛かります。大体これが相場です。 つまりシンプルなシステム構成でもロボット+周辺機器+システムインテグレーションでは一千万円近くは掛かってきます。 システムインテグレーション費用は高い比率を占めていますが、安い買い物では無いので失敗してロボットを導入したが全く使っていない等の事態にならないようにきちんとシステムインテグレータと相談しながらシステムを構築していく必要があり独力でロボット導入を進める技術が無い限りは必ず必要になってきます。 高額投資にはなりますが、生産現場、生産品種に合わせたシステムを構築し運用する事が出来れば様々なメリットが生まれる為に投資対効果で回収する事が可能なのです。 投資対効果の中には省人や労働生産性の向上から生まれる直接効果とそれ以外の間接効果がありますが、特に間接効果によるメリットが大きく産業用ロボットをおすすめする理由として挙げる事が出来ます。 3.産業用ロボットをおすすめする理由①品質向上 まずロボット化によって生まれる間接効果として品質の向上があります。 卓越した職人の感覚による加工には敵いませんが、ロボットを用いて自動化出来た場合、繰り返し再現性が非常に高まります。 この繰り返し精度こそ人間を遥かに上回る性能をもっている為に加工や品質の仕上がりが一定になります。 導入初期段階ではもちろん調整が必要なのですが、一度良い品質のモノが出来てしまえば同じ品質のモノを作り続ける事が出来るのです。 逆に言ってしまえばそれ以上もそれ以下のモノも生産しないという事です。 しかし、ここで非常に重要なのはロボットで加工するモノの状態がいつも同じか?という所です。 生産現場では材料調達からはじまり大小様々な変化は日常的に発生します。 この材料の変化がロボットでの加工の品質結果を変化させてしまうのです。 ロボットを導入して安定した品質を保つ為には材料の安定が鍵となりますので注意しましょう。 4.産業用ロボットをおすすめする理由②危険な作業を省人化 昔から製造現場には3Kとよばれる作業があります。 キケン、キツイ、クサイの頭文字と取った造語ですが、ロボットはまさにこのような作業をさせるには持ってこいです。 ロボットは文句も言わず、何時間でも3K作業をこなす事が出来ます。 例えば、高温環境にある鋳造工程や溶接工程等、重量鉄骨の切断作業等の危険作業等にロボットを導入される企業が増えています。 これからの労働人口減少の影響を最初に受けるであろう3K作業を早めに自動化しておく事で将来的にも企業の存続を図る事がこの分野に置ける自動化の最大の効果とも言えます。 そして最先端の技術を使って自動化を進めている企業様にはおのずと優秀な人材が集まる事も想定出来ます。 3K作業はロボットにやらせて、優秀な人材にはロボットのプログラミング等を任せていくという企業も増えてきており、今後の製造業の主流とも言えると思います。 5.産業用ロボットをおすすめする理由③熟練工はさらに高い技術へ 上記の3K作業以外にも、自動化にむいている工程があります。手間が掛かるが格別特殊な技術の要らない加工工程です。 ロボットも周辺機器も各段に進歩を続けていますが、現時点では現場の職人に匹敵するものではありません。ロボットでは再現出来ない加工も多いです。 職人を育てる為には何年、何十年もの月日が必要でありその存在自体が会社の財産とも言える存在です。そしてその職人さんも徐々に減ってきている状況です。 それでは職人さんは本当にその特殊な技能を100%発揮しているでしょうか。誰でも出来る様な仕事を特殊な技能を持った職人にさせていないでしょうか。 そういう時にこそロボットを導入し簡単な加工はロボットにやらせてしまうのです。そして職人さんの手を空けて、その人にしか出来ない作業をやって貰う事で能力を100%発揮して貰います。 その中で更に高い技術を習得、技術伝承を担って貰うのです。 簡単な作業はロボットにやらせておいて熟練工はさらに高い技術の習得をする事で企業には更に高い技術が必要な仕事を取り込む事が出来ます。 そしてロボットと専門職人が共存する非常に魅力ある企業になる事でしょう。 本記事では産業用ロボットによる自動化のメリットについて述べてきましたが、如何でしたでしょうか。 もはやロボット後進国となりつつある日本の製造現場ですが、確かにロボットを導入する際の技術的な障壁やコスト面での課題も多くあると思います。 しかし将来を見据えてしっかりと腰を据えて自社に適したシステムを構築する事が今の時代に必要な取り組みではないでしょうか。 日本の中小企業の中でも時流に敏感な企業様はロボット導入を開始しており、今後のロボット導入を進める為の相談も増えつつあります。 そのような企業様は一歩先んじて自動化の技術を身に着け、着々と将来への準備をしております。 導入に関して課題も多いですが、しっかりと課題と効果を分析し、自動化への取り組みを進めて行って頂きたいですね。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/   [sc name="robot"][/sc]

産業用ロボットの4つのティーチング種類と解説

2020.04.24

▼無料ダウンロードはこちらをクリック 産業用ロボット導入だけで終わっていませんか? 近年、工場のロボット化は製造業種を問わず、様々な分野で進んできております。大企業だけでなく中小企業においてもロボット化・自動化が導入されています。しかしながら、ロボット導入したら終わり、自動化が自然に実現でき、生産性を高められる訳ではありません。 周知の事実の通り、ロボットはプログラミングを行うことにより動作を制御しています。 中小企業のように多品種でありながら、ロット数が少量であるということは生産工程が逐次変化するということを表しています。そのため変化が多い中小企業のロボット化では”ティーチング“という作業が重要になっていきます。 一体“ティーチング”とは何なのか? 簡単に一言で表すと、「ロボットに望む動作を教えること」です。 動作を教える方法は様々な種類があります。 ティーチングの種類と概要について簡単に説明していきます。 産業用ロボットのティーチングの種類とその概要 前項で述べたティーチングですが、その方法は様々です。 現在一般的なティーチングの種類としては、以下の4つの種類が挙げられます。 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) 3.ダイレクトティーチング 4.AIによるティーチングレス より大きく分類すると下記になります。 ◆ロボットに直接触れることなくティーチング(間接教示)する 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) ◆ロボットに直接触れながらティーチング(直接教示)する 3.ダイレクトティーチング ◆ティーチング作業をAIにより行う 4.AIによるティーチングレス 本ページでは一般的な教示方法である 間接教示法と直接教示法について述べていきます。 その前にまず、 本項ではそれぞれのティーチング方法を表にまとめてみました。 ティーチングの種類 概要 オフラインティーチング(間接教示法) テキスト型 ロボットの動きの元となる、プログラムをテキストエディット用のソフトウェアで直接記入します。複雑な動きのプログラムには向かないため、簡単な動きをするロボットに用いられます。 シミュレータ型 ロボット言語のアップロードや、ダウンロードなどのデータのやり取りが可能です。ロボット言語を変換することができるため、各社のロボットに対応することが可能です。 エミュレータ型 教示者にとってティーチングが容易であるため、多くの産業用ロボットに採用されています。ロボット言語を用いて動作をプログラムし、直接実行させるティーチング方法となるためプログラム精度が高いという利点があります。 自動ティーチングシステム CADデータから加工プログラムを自動的に作成するシステムです。技術的な難易度の高さから、まだ導入例は多くないと言われています。 オンラインティーチング (ティーチング・プレイバック) 間接教示法 教示者が直接ロボット本体を動かすことにより動きを教示する方法になります。導入が増加している協働ロボットのティーチングではこの方法が多く採用されています。教示者が可動部を動かし、動作を記録させることで、より直観的にティーチングすることを可能にします。 AIによるティーチングレス ティーチング作業は属人的なものでありましたが、近年AIの自己学習機能を活用したティーチングレス化が進んでいます。オフラインティーチングにて行ったプログラミング作業に加え、オンラインティーチングで修正を繰り返すことで高品質の作業をミスなく高速で行うことが可能となります。 自社にはどの教示方法が適しているのか? では、自社がロボットを導入し、自動化を実現するためにはどのような教示法、あるいはティーチングを行えるロボットが適しているのかということで悩まれると思います。 ・間接教示法に適した作業工程 ・直接教示法に適した作業工程 上記に分けて説明していきます。 まず、間接教示法と直接教示法のそれぞれが許容できる 作業工程を包含関係で表してみたいと思います。 上記のように直接教示法にできる作業工程が限られることが分かります。 では、包含関係を考慮したうえで直接教示法にはどのような作業工程が向いているのかを説明していきます。 直接教示法に適した作業工程とは? 直接教示法とは、ロボットを直接動かすことによって動作を教示する方法になります。この教示方法はロボットの動作に対して比較的精密度が求められない作業において用いることが一般的となります。 具体的には、以下のような作業工程において用いられております。 ・ネジ締め作業工程 ・組立て作業工程 ・部品の仕分け工程 ・整列工程 ・箱詰め工程 ・ピッキング工程 ・搬送工程 ・検査工程 ・測定工程 間接教示法に適した作業工程とは? 間接教示法は、精密度が求められる工程においても対応することが可能となります。 これは、人の手によるティーチングではなく機械を用いたプログラミングを行うことにより、精度を高めることが可能となるからです。 これらの教示方法により可能となる作業工程は 以下のような作業があります。 ・溶接 ・バリ取り ・シーリング ・ローラーヘム ・カット ・穴あけ ・溶射 ・塗装 ・洗浄 ・搬送(軽量でないもの) 上記のような作業は勿論のこと、前述した包含関係の図からも、この間接教示法は直接教示法による作業もカバーすることが可能です。 間接教示法の中でもペンダントを使用する為に最も初期投資が掛からない方法です。 高頻度での教示の修正や複雑な軌道のロボットパスを生成する必要が無い場合はこちらがおすすめです。 しかし、一度の教示に掛かる時間は教示と動作確認と修正で数日間かかる場合も多く、教示を行う技術者の力量にも大きく差が出てくるので注意が必要です。 またオフラインティーチング法ではパソコンのソフトウェアを用いる必要があるので、初期投資が掛かります。ソフトウェアの購入費用として初期投資300万円~程掛かる事もめずらしく有りません。 立体的な形状のワークにそって軌道を作る時や、複雑な形状、多台のロボットの複合作業などの難易度の高い教示作業や、高頻度の品種追加、寸法変更などのマイナーチェンジが発生する場合に非常に有効です。また作業者の力量に左右されずにロボットパスを生成できる事も魅力です。 まとめ 本ページでは2つの教示方法と、ティーチングの種類について説明してきました。 間接教示法は直接教示法が可能とする作業工程を包含していることから汎用性が高い教示方法であることがわかります。 これを考えると、「間接教示法だけで良いのでは?」と、思われるかもしれません。 しかし、直接教示法では、ティーチングペンダントを用いることなく教示者が直接ロボットにティーイングすることが可能であるということから間接的な教示法よりもティーチングが簡単です。つまりはティーチングに掛かる作業時間を短縮することができるため、生産性が高くなるというメリットも考えられます。 このように、それぞれの作業工程に適した教示方法があることを理解すると自社におけるロボット選定や導入した後の運用面が明らかになり、ロボット化・自動化のイメージが着きやすくなると思います。 さらに、本サイトではティーチングの種類や教示方法だけでなく、それぞれの業種やその工程に特化したロボットについて様々な事例をもとに解説しております。 他社事例をご覧になって頂けるとより自社に適したロボットがどのようなものか理解を深めることが出来ると思います。 是非、自社のロボットにおける導入検討のために御一読いただければと思います。 ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc] ▼無料ダウンロードはこちらをクリック 産業用ロボット導入だけで終わっていませんか? 近年、工場のロボット化は製造業種を問わず、様々な分野で進んできております。大企業だけでなく中小企業においてもロボット化・自動化が導入されています。しかしながら、ロボット導入したら終わり、自動化が自然に実現でき、生産性を高められる訳ではありません。 周知の事実の通り、ロボットはプログラミングを行うことにより動作を制御しています。 中小企業のように多品種でありながら、ロット数が少量であるということは生産工程が逐次変化するということを表しています。そのため変化が多い中小企業のロボット化では”ティーチング“という作業が重要になっていきます。 一体“ティーチング”とは何なのか? 簡単に一言で表すと、「ロボットに望む動作を教えること」です。 動作を教える方法は様々な種類があります。 ティーチングの種類と概要について簡単に説明していきます。 産業用ロボットのティーチングの種類とその概要 前項で述べたティーチングですが、その方法は様々です。 現在一般的なティーチングの種類としては、以下の4つの種類が挙げられます。 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) 3.ダイレクトティーチング 4.AIによるティーチングレス より大きく分類すると下記になります。 ◆ロボットに直接触れることなくティーチング(間接教示)する 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) ◆ロボットに直接触れながらティーチング(直接教示)する 3.ダイレクトティーチング ◆ティーチング作業をAIにより行う 4.AIによるティーチングレス 本ページでは一般的な教示方法である 間接教示法と直接教示法について述べていきます。 その前にまず、 本項ではそれぞれのティーチング方法を表にまとめてみました。 ティーチングの種類 概要 オフラインティーチング(間接教示法) テキスト型 ロボットの動きの元となる、プログラムをテキストエディット用のソフトウェアで直接記入します。複雑な動きのプログラムには向かないため、簡単な動きをするロボットに用いられます。 シミュレータ型 ロボット言語のアップロードや、ダウンロードなどのデータのやり取りが可能です。ロボット言語を変換することができるため、各社のロボットに対応することが可能です。 エミュレータ型 教示者にとってティーチングが容易であるため、多くの産業用ロボットに採用されています。ロボット言語を用いて動作をプログラムし、直接実行させるティーチング方法となるためプログラム精度が高いという利点があります。 自動ティーチングシステム CADデータから加工プログラムを自動的に作成するシステムです。技術的な難易度の高さから、まだ導入例は多くないと言われています。 オンラインティーチング (ティーチング・プレイバック) 間接教示法 教示者が直接ロボット本体を動かすことにより動きを教示する方法になります。導入が増加している協働ロボットのティーチングではこの方法が多く採用されています。教示者が可動部を動かし、動作を記録させることで、より直観的にティーチングすることを可能にします。 AIによるティーチングレス ティーチング作業は属人的なものでありましたが、近年AIの自己学習機能を活用したティーチングレス化が進んでいます。オフラインティーチングにて行ったプログラミング作業に加え、オンラインティーチングで修正を繰り返すことで高品質の作業をミスなく高速で行うことが可能となります。 自社にはどの教示方法が適しているのか? では、自社がロボットを導入し、自動化を実現するためにはどのような教示法、あるいはティーチングを行えるロボットが適しているのかということで悩まれると思います。 ・間接教示法に適した作業工程 ・直接教示法に適した作業工程 上記に分けて説明していきます。 まず、間接教示法と直接教示法のそれぞれが許容できる 作業工程を包含関係で表してみたいと思います。 上記のように直接教示法にできる作業工程が限られることが分かります。 では、包含関係を考慮したうえで直接教示法にはどのような作業工程が向いているのかを説明していきます。 直接教示法に適した作業工程とは? 直接教示法とは、ロボットを直接動かすことによって動作を教示する方法になります。この教示方法はロボットの動作に対して比較的精密度が求められない作業において用いることが一般的となります。 具体的には、以下のような作業工程において用いられております。 ・ネジ締め作業工程 ・組立て作業工程 ・部品の仕分け工程 ・整列工程 ・箱詰め工程 ・ピッキング工程 ・搬送工程 ・検査工程 ・測定工程 間接教示法に適した作業工程とは? 間接教示法は、精密度が求められる工程においても対応することが可能となります。 これは、人の手によるティーチングではなく機械を用いたプログラミングを行うことにより、精度を高めることが可能となるからです。 これらの教示方法により可能となる作業工程は 以下のような作業があります。 ・溶接 ・バリ取り ・シーリング ・ローラーヘム ・カット ・穴あけ ・溶射 ・塗装 ・洗浄 ・搬送(軽量でないもの) 上記のような作業は勿論のこと、前述した包含関係の図からも、この間接教示法は直接教示法による作業もカバーすることが可能です。 間接教示法の中でもペンダントを使用する為に最も初期投資が掛からない方法です。 高頻度での教示の修正や複雑な軌道のロボットパスを生成する必要が無い場合はこちらがおすすめです。 しかし、一度の教示に掛かる時間は教示と動作確認と修正で数日間かかる場合も多く、教示を行う技術者の力量にも大きく差が出てくるので注意が必要です。 またオフラインティーチング法ではパソコンのソフトウェアを用いる必要があるので、初期投資が掛かります。ソフトウェアの購入費用として初期投資300万円~程掛かる事もめずらしく有りません。 立体的な形状のワークにそって軌道を作る時や、複雑な形状、多台のロボットの複合作業などの難易度の高い教示作業や、高頻度の品種追加、寸法変更などのマイナーチェンジが発生する場合に非常に有効です。また作業者の力量に左右されずにロボットパスを生成できる事も魅力です。 まとめ 本ページでは2つの教示方法と、ティーチングの種類について説明してきました。 間接教示法は直接教示法が可能とする作業工程を包含していることから汎用性が高い教示方法であることがわかります。 これを考えると、「間接教示法だけで良いのでは?」と、思われるかもしれません。 しかし、直接教示法では、ティーチングペンダントを用いることなく教示者が直接ロボットにティーイングすることが可能であるということから間接的な教示法よりもティーチングが簡単です。つまりはティーチングに掛かる作業時間を短縮することができるため、生産性が高くなるというメリットも考えられます。 このように、それぞれの作業工程に適した教示方法があることを理解すると自社におけるロボット選定や導入した後の運用面が明らかになり、ロボット化・自動化のイメージが着きやすくなると思います。 さらに、本サイトではティーチングの種類や教示方法だけでなく、それぞれの業種やその工程に特化したロボットについて様々な事例をもとに解説しております。 他社事例をご覧になって頂けるとより自社に適したロボットがどのようなものか理解を深めることが出来ると思います。 是非、自社のロボットにおける導入検討のために御一読いただければと思います。 ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc]

【投資対効果の考え方】多品種少量生産の自動化・ロボット化

2020.03.26

▼無料ダウンロードはこちらをクリック 近年、顧客ニーズの多様化に伴い、これらのニーズに応える手法として多品種少量生産に取り組む企業が増えています。 また労働人口減少の環境下で多品種少量生産体制の企業が生産工程の自動化に取り組む企業も増えています。 しかし、生産体制によって自動化の考え方は大きく異なってきます。特に多品種少量生産を行う生産体制の場合は、自動化する事が非常に困難なイメージを持たれている方も多く、自動化が進まない要因の一つとなっています。 多品種少量生産のメリットとデメリットについて メリット ・顧客のニーズに合わせた質と量の製品を供給する事が出来る ・必要なものを必要な数だけ生産する事で、在庫を抑制する事が出来る ・細かな仕様変更などにも対応できる。 ・品質不具合発生時に細かくロット管理が出来る。 ・設備の切り替え時短改善等が進み、質の高い生産が出来る ・作業者や技術者が多品種対応する事で著しく成長する。 ・一部製品の需要が無くなり受注が無くなっても他製品でカバーする事が出来る。 デメリット ・切り替え性を高める事が出来なければ生産効率を低下させてしまう。 ・品質再現性を高める事が出来なければ、品質が不安定になってしまう。 ・原料、材料の保管にスペースが必要 ・原料、材料の調達にシビアなコントロールが必要 ・生産計画調整にシビアなコントロールが必要 ・人員教育に時間が掛かる(技術、作業習得) ・一部の人間しか生産する事が出来ない等の技術的課題が発生する。 上記の様に多品種少量生産が大量生産システムに比べてはるかに難易度の高い仕事が求められるのが多品種少量生産です。 さらにメリットとデメリット比較すると、基本的にはデメリットを解消すればそれがすべてメリットになるという事が言えます。 そういう意味でも多品種少量生産が【質の高いものづくり】といわれる所以ですね。 多品種少量生産はロボット化に向かないと思われてる方も多いですが、上記デメリットを見ると自動化した方が解決する問題の方が多い事が分かると思います。 ・設備の切り替え性 人が切り替え作業している工程を自動した場合、属人的な違いが無くなります。 ・品質再現性 人よりも機械の方が同じ作業を繰り返すのは上手です。 ・生産計画調整や原料、材料調達  計画をもとに自動で調達を行うシステムを導入すれば、属人的な能力差が発生しない。 ・一部の人間しか生産出来ない  自動化する事で誰でもボタンを押せば生産する事が出来ます。 つまり多品種少量生産ほど自動化に向いているのです。 多品種生産工程の自動化課題 しかし、多品種少量生産のデメリットである点を自動機で克服していく為には、課題も多いです。 この課題を克服する自動機を投資回収できる範囲の投資で構築出来るかがポイントであり難しい所です。 直近では多様な製品、技術が開発されており、基本的に自動化出来ない工程は無いというレベルまで来てると思いますが、高額な費用を捻出する必要があります。 自社製品の工法や加工内容や受注ロット、切り替え頻度を加味した上で自動化設備の中身を取捨選択していく必要があります。 基本的に自動化設備に用いられる機器は高額なものが多く、機器単体では機能を果たせないものが多い為、生産システムとして成り立つ状態に仕上げるにはシステムインテグレーターの協力が必要であり、システムインテグレーターにも設計費用や工賃を支払う必要がありますので、どうしても費用全体は高額になってしまい、自動化設備の導入障壁となってしまうのです。 性能を維持したまま、価格を大幅に下げる事は難しい為、システム全体の費用を下げる為には機器の数を減らす必要が出てきます。そうすると求めるスペックが出ないという悪循環に落ちてしまいます。 この悪循環に陥らない為に最も必要な考え方は、自動化システム導入した際の効果算出にあるのではないでしょうか。 正しく導入効果を算出して長期的な視点で投資判断を行う事が肝要と思います。 投資対効果算出の考え方 定量的効果 人間が行っていた作業を自動化することで、労働時間を短縮させることができます。 自動化と作業配分の見直し等で残業代も削減できれば効果の上積みとなります。 自動化システムの導入により削減できた人件費が定量的効果にあたります。 定量的効果の具体的な値は、以下の計算式で求めることができます。 削減できた人件費(年)=1年間に自動化した工程の作業に掛けていた時間(単位:時間)×担当者の時給 となります。 しかし、自動化したからといってそれまで作業していた作業者が居なくなるという事では無い場合、自動化する事で浮いた時間を他作業に置き換えた場合の生産能力向上や作業配分された事での残業時間や休日出勤の抑制の効果を算出する必要があります。 つまり、自動化システムで如何に既存作業者の時間を浮かすか、そして浮いた時間で如何に付加価値を生むかが重要な要素です。 定性的効果 自動化システムを導入する効果は、定量的効果のほかに数値で表しにくい効果もあります。 (自動システム導入後には効果を算出しやすいが導入前段階での試算が難しいです。) ・特定のスキルを持った人材を確保、育成する必要がなくなる。 ・生産能力が一定になる。(生産数のムラが無くなる) ・人的ミスの削減 ・品質の安定 ・人的ミスの削減と品質の安定により、加工ミスや不良品が発生した場合に必要になる後追い調査や再処理の手間とかかる人件費なども減らすことが可能 ・一度自動化してしまえば、属人的な要素が限りなく減少するので、技術者の退職や人員の配置変更や人手不足の影響が受けなくなります。 ・材料の供給方法を検討すれば24時間での稼働も可能です。夜間に翌日使用分の加工をさせておく事も可能です。 投資対効果を大きくするにはどうすればよいのか 投資対効果を最大限に発揮するには、前述したとおり、自動化して浮いた人手を如何に付加価値の高い業務にシフトさせる事が出来るかがカギとなります。 これまでに取り込めなかった新規分野での受注獲得する事で新たな収益を生み出す事などが最も良い例ですね。 平行して、自動化システムの稼働率向上や、切り替え時間の短縮、生産能力の向上も当然必須となります。 自動化システム導入の前の効果算出の段階で、自動機導入後の付加価値を生み出すシナリオを作成し、自動システムを導入した後にも継続して導入効果を最大限高める工夫と努力が必要です。 システム導入費用を削減するのは、自力では難しいですが、システム導入による効果は自力でいかようにも膨らませる事が出来ると思います。 まとめ 今回は、多品種少量生産の自動化について述べてきましたが如何でしょうか。 基本的に多品種少量生産こそ自動化に向いていると思います。 しかし導入障壁となっている多品種対応故の設備費用に対して、価格に注目してしまうと前に進めなくなってしまいます。 自動化システムを導入後に如何にして効果を生み出すかを正確に試算していく事で投資判断を進める事が肝要ではないかと考えます。 そして、自動システム導入後の継続した付加価値業務の推進で自動化システムの導入効果を最大限に高めていく取り組みを組織方針として打ち出し実行していく事が必要ではないでしょうか。 ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="robot"][/sc] ▼無料ダウンロードはこちらをクリック 近年、顧客ニーズの多様化に伴い、これらのニーズに応える手法として多品種少量生産に取り組む企業が増えています。 また労働人口減少の環境下で多品種少量生産体制の企業が生産工程の自動化に取り組む企業も増えています。 しかし、生産体制によって自動化の考え方は大きく異なってきます。特に多品種少量生産を行う生産体制の場合は、自動化する事が非常に困難なイメージを持たれている方も多く、自動化が進まない要因の一つとなっています。 多品種少量生産のメリットとデメリットについて メリット ・顧客のニーズに合わせた質と量の製品を供給する事が出来る ・必要なものを必要な数だけ生産する事で、在庫を抑制する事が出来る ・細かな仕様変更などにも対応できる。 ・品質不具合発生時に細かくロット管理が出来る。 ・設備の切り替え時短改善等が進み、質の高い生産が出来る ・作業者や技術者が多品種対応する事で著しく成長する。 ・一部製品の需要が無くなり受注が無くなっても他製品でカバーする事が出来る。 デメリット ・切り替え性を高める事が出来なければ生産効率を低下させてしまう。 ・品質再現性を高める事が出来なければ、品質が不安定になってしまう。 ・原料、材料の保管にスペースが必要 ・原料、材料の調達にシビアなコントロールが必要 ・生産計画調整にシビアなコントロールが必要 ・人員教育に時間が掛かる(技術、作業習得) ・一部の人間しか生産する事が出来ない等の技術的課題が発生する。 上記の様に多品種少量生産が大量生産システムに比べてはるかに難易度の高い仕事が求められるのが多品種少量生産です。 さらにメリットとデメリット比較すると、基本的にはデメリットを解消すればそれがすべてメリットになるという事が言えます。 そういう意味でも多品種少量生産が【質の高いものづくり】といわれる所以ですね。 多品種少量生産はロボット化に向かないと思われてる方も多いですが、上記デメリットを見ると自動化した方が解決する問題の方が多い事が分かると思います。 ・設備の切り替え性 人が切り替え作業している工程を自動した場合、属人的な違いが無くなります。 ・品質再現性 人よりも機械の方が同じ作業を繰り返すのは上手です。 ・生産計画調整や原料、材料調達  計画をもとに自動で調達を行うシステムを導入すれば、属人的な能力差が発生しない。 ・一部の人間しか生産出来ない  自動化する事で誰でもボタンを押せば生産する事が出来ます。 つまり多品種少量生産ほど自動化に向いているのです。 多品種生産工程の自動化課題 しかし、多品種少量生産のデメリットである点を自動機で克服していく為には、課題も多いです。 この課題を克服する自動機を投資回収できる範囲の投資で構築出来るかがポイントであり難しい所です。 直近では多様な製品、技術が開発されており、基本的に自動化出来ない工程は無いというレベルまで来てると思いますが、高額な費用を捻出する必要があります。 自社製品の工法や加工内容や受注ロット、切り替え頻度を加味した上で自動化設備の中身を取捨選択していく必要があります。 基本的に自動化設備に用いられる機器は高額なものが多く、機器単体では機能を果たせないものが多い為、生産システムとして成り立つ状態に仕上げるにはシステムインテグレーターの協力が必要であり、システムインテグレーターにも設計費用や工賃を支払う必要がありますので、どうしても費用全体は高額になってしまい、自動化設備の導入障壁となってしまうのです。 性能を維持したまま、価格を大幅に下げる事は難しい為、システム全体の費用を下げる為には機器の数を減らす必要が出てきます。そうすると求めるスペックが出ないという悪循環に落ちてしまいます。 この悪循環に陥らない為に最も必要な考え方は、自動化システム導入した際の効果算出にあるのではないでしょうか。 正しく導入効果を算出して長期的な視点で投資判断を行う事が肝要と思います。 投資対効果算出の考え方 定量的効果 人間が行っていた作業を自動化することで、労働時間を短縮させることができます。 自動化と作業配分の見直し等で残業代も削減できれば効果の上積みとなります。 自動化システムの導入により削減できた人件費が定量的効果にあたります。 定量的効果の具体的な値は、以下の計算式で求めることができます。 削減できた人件費(年)=1年間に自動化した工程の作業に掛けていた時間(単位:時間)×担当者の時給 となります。 しかし、自動化したからといってそれまで作業していた作業者が居なくなるという事では無い場合、自動化する事で浮いた時間を他作業に置き換えた場合の生産能力向上や作業配分された事での残業時間や休日出勤の抑制の効果を算出する必要があります。 つまり、自動化システムで如何に既存作業者の時間を浮かすか、そして浮いた時間で如何に付加価値を生むかが重要な要素です。 定性的効果 自動化システムを導入する効果は、定量的効果のほかに数値で表しにくい効果もあります。 (自動システム導入後には効果を算出しやすいが導入前段階での試算が難しいです。) ・特定のスキルを持った人材を確保、育成する必要がなくなる。 ・生産能力が一定になる。(生産数のムラが無くなる) ・人的ミスの削減 ・品質の安定 ・人的ミスの削減と品質の安定により、加工ミスや不良品が発生した場合に必要になる後追い調査や再処理の手間とかかる人件費なども減らすことが可能 ・一度自動化してしまえば、属人的な要素が限りなく減少するので、技術者の退職や人員の配置変更や人手不足の影響が受けなくなります。 ・材料の供給方法を検討すれば24時間での稼働も可能です。夜間に翌日使用分の加工をさせておく事も可能です。 投資対効果を大きくするにはどうすればよいのか 投資対効果を最大限に発揮するには、前述したとおり、自動化して浮いた人手を如何に付加価値の高い業務にシフトさせる事が出来るかがカギとなります。 これまでに取り込めなかった新規分野での受注獲得する事で新たな収益を生み出す事などが最も良い例ですね。 平行して、自動化システムの稼働率向上や、切り替え時間の短縮、生産能力の向上も当然必須となります。 自動化システム導入の前の効果算出の段階で、自動機導入後の付加価値を生み出すシナリオを作成し、自動システムを導入した後にも継続して導入効果を最大限高める工夫と努力が必要です。 システム導入費用を削減するのは、自力では難しいですが、システム導入による効果は自力でいかようにも膨らませる事が出来ると思います。 まとめ 今回は、多品種少量生産の自動化について述べてきましたが如何でしょうか。 基本的に多品種少量生産こそ自動化に向いていると思います。 しかし導入障壁となっている多品種対応故の設備費用に対して、価格に注目してしまうと前に進めなくなってしまいます。 自動化システムを導入後に如何にして効果を生み出すかを正確に試算していく事で投資判断を進める事が肝要ではないかと考えます。 そして、自動システム導入後の継続した付加価値業務の推進で自動化システムの導入効果を最大限に高めていく取り組みを組織方針として打ち出し実行していく事が必要ではないでしょうか。 ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="robot"][/sc]

溶接ロボットシステムの構成と使用方法

2020.02.28

▼無料ダウンロードはこちらをクリック 一般的に産業用ロボットによる自動溶接にはガスシールドアーク溶接を用います。 ガスシールドアーク溶接とは、溶接による接合部に不活性ガスを吹き付けながら接合し、接合部の変色や錆を防止するものです。不活性ガスにてアーク発生部の周囲をシールド(保護)する溶接方法を下記に分類していきます。 ガスシールドアーク溶接の分類と使い分けについて ガスシールドアーク溶接は, 1、消耗電極式 2、非消耗電極式 に大別されます。 ・消耗電極式にはシールドガスの種類によって分類されます 1、MIG(Metal Inert Gas)溶接 ミグ溶接はAr,He(または,これらの混合ガス)のような不活性ガス,あるいは,これに酸素や炭素ガスのような活性ガスを少量添加してシールドガスとして用いる方法 2、MAG(Metal Active Gas)溶接 ①炭酸ガスアーク溶接(シールドガスとして炭酸ガスを用いるもの) ②混合ガスアーク溶接(シールドガスとしてアルゴンと炭酸ガスの混合ガスを用いる) ・非消耗電極式のガスシールドアーク溶接 3、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接(アルゴン雰囲気中でタングステン電極と母材との間にアークを発生させ,そのアーク熱によって溶加材および母材を溶融して溶接する方法) それぞれの溶接方法の特徴 (1) マグ溶接(MAG溶接) マグ溶接は安価な炭酸ガスを単独で,またはアルゴンと混合して用いる溶接方法で軟鋼,高張力鋼,および低合金鋼の溶接に広く用いられています。マグ溶接に用いられるソリッドワイヤやフラックス入りワイヤは,自動化が安易で溶接の合理化が図りやすいため,全溶接材料の中に占める使用比率は近年非常に高くなっています。 (2) ミグ溶接(MIG溶接) ミグ溶接はアルミニウム,チタンのように本来は溶接時に酸化,窒化しやすい金属を対象に開発され,その他非鉄金属,ステンレス鋼等にも使用されていた。純イナートガスでシールドしながら溶接する場合と,ステンレス鋼の場合のようにアーク安定性の面より若干の酸素を混合して使用する場合があります。ミグ溶接によれば清浄な溶着金属が得られますが,アルゴンが高価なため適用される範囲はアルミニウム合金,ステンレス鋼,耐熱合金鋼等が主体です。 (3) ティグ溶接(TIG溶接) 溶接トーチと溶加棒とをそれぞれ手で持って行う溶接が主ですが,溶接ワイヤを自動的に送給してトーチも自動送りする全自動ティグ溶接装置も実用化されており,溶接ロボットにティグ溶接を適用している例もあります。 ティグ溶接は非消耗電極式であるためワイヤ自身が電極となってアーク熱で溶融する消耗電極式と異なり,電極からの溶融金属の移行がないので,これによるアーク不安定さやスパッタの発生がなく静かな溶接法です。 ロボット化が進んでいる製造現場 ロボットは工場で加工する溶接作業に多く用いられています。 特に自動車は,溶接個所が多く,同じ物が繰り返し生産されるので,ロボット化が容易に行えます。溶接方法としては、SPOT溶接が特に進んでいます。ロボット溶接によって自動車部品の溶接個所で品質の安定と大量生産が可能になりました。 他には事務機器・農機具・家電・車両など工場内溶接で量産品がある場合は,溶接物の材質(鋼材・ステンレス材・アルミニウム材)や板厚に関係なく,また企業の規模に関係なくロボット化が進んでいます。 一方,造船や橋梁・建設も溶接は多いですが,現場溶接が多いことと溶接部位が多種多様にわたるため一部を除いてロボット化は進んでおりません。 溶接ロボットシステムの構成 アーク溶接ロボットの標準的な構成は下記があります。対象となるワークや工法に応じて最適なシステム選定が必要です。 ①マニピュレータ(ロボット本体) ②制御装置(コントローラ) ③ティーチペンダント ④溶接電源 ⑤溶接トーチ(MIG,MAG、TIG溶接方法に合ったもの) ⑥ワイヤ供給装置(溶接方法に合ったもの) ⑦回転テーブル(小物、複雑形状物対象) 様々な角度で最適な溶接を実現する為に、多関節ロボット+回転テーブルでの自動化システムが昨今では標準になってきています。 回転テーブルとは、単軸、複数軸を持ち、溶接するワークを固定しながら、任意の角度にテーブルが回転し、様々な形状のワークに対しても効率的なロボット溶接を可能にしてくれるテーブルです。軸数や可搬重量もさまざまラインナップがあり、複雑な形状のワークや指定された加工条件を満たすための溶接方法の実現を助けてくれます。またロボットコントローラーと連動して動かす事が出来るので、ティーチングも比較的簡単になってきています。 溶接ロボットの使用方法 溶接ロボットを使用する為には手順を正確に行う必要があります。ロボットを導入すればすぐに良い品質のモノが出来るわけではありません。地道に一つ一つの作業にて発生する課題をクリアしていく事で、最終的な品質を担保していくことができます。 ①溶接ワークの固定治具設計 (接合物やワークを固定する治具の設計) ②ロボットのティーチング (溶接トーチの軌道や溶接開始点、終了点の教示) ③溶接条件の見直し (溶接状況や仕上がりを確認しながら、溶接電流やトーチの向き、角度の調整) ④自動運転 (実際に自動運転をしてさらに高品質なモノが生産できるように調整を重ねていく) 溶接方法やワーク形状によっては、トーチがワークに届かない、うまく接合が出来ないなど発生します。課題が発生した時は、治具の設計を見直し、溶接トーチの大きさや角度を調整する必要があります。 ロボットは、良くも悪くも融通が利きませんので、人任せに行っていた作業を自動化する際は必ず作業の要素分解と技術的な解決策が必要です。 ロボットティーチング(教示)について 基本的には、各社ロボットメーカーの標準ソフトウェアとティーチングペンダントを使用してロボットにティーチングを行います。ティーチングペンダントによるロボットの操作は各社メーカーが行う教育を受ければ、数日で動作させる事が可能です。(一般的にロボットメーカーで2日間程度の講習会を開催しています。) しかし、ペンダントによる操作が出来るようになっても、実際に溶接が品質水準を満たすものに仕上げるために、何度も試運転と調整が必要です。溶接に対する知識を持っている方のアドバイスも必要になってくるでしょう。 ロボットメーカー以外にも、CAD上で溶接の軌道を自動でシュミレーションしてロボットPRGを作成してくれるオフラインティーチングソフトウェアを販売している会社も数社あります。非常に便利なソフトウェアが開発されており、ライセンス制で価格も数百万しますが、ティーチングの頻度や難易度を検討した上で購入される企業も多いようです。 そして、安全面については特に注意し、ロボット作業に従事する人は,労働安全衛生法で「産業用ロボットに関する安全衛生特別教育」の受講が義務づけられていますので必ず受講してからの作業が必須となります。この資格はロボットメーカーで行われる操作講習会に参加することで得られます。 まとめ 今回は溶接の種類やロボット溶接の方法について述べて来ました。もともと人が行ってきた作業を自動化するのは、要件定義ができれば難しいことではありません。一番大事なのは、導入のコストや自動化システムの継続的な活用(品種追加や溶接条件変更への対応)です。 溶接工が不足すると想定される溶接業界のロボット塗装の取り組みは、今後も加速していくと考えられますが、自在にロボットを操れる人材が少ないのも現状です。 すでにロボット塗装を導入されている企業は、比較的若手社員にロボットを自在に操る教育に力を入れています。ロボット操作者の教育と確保が今後溶接業全体の主流になりそうだと感じます。 (参考文献 一般社団法人 日本溶接協会HP  http://www-it.jwes.or.jp/qa/index.jsp ) ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="welding-robot"][/sc] ▼無料ダウンロードはこちらをクリック 一般的に産業用ロボットによる自動溶接にはガスシールドアーク溶接を用います。 ガスシールドアーク溶接とは、溶接による接合部に不活性ガスを吹き付けながら接合し、接合部の変色や錆を防止するものです。不活性ガスにてアーク発生部の周囲をシールド(保護)する溶接方法を下記に分類していきます。 ガスシールドアーク溶接の分類と使い分けについて ガスシールドアーク溶接は, 1、消耗電極式 2、非消耗電極式 に大別されます。 ・消耗電極式にはシールドガスの種類によって分類されます 1、MIG(Metal Inert Gas)溶接 ミグ溶接はAr,He(または,これらの混合ガス)のような不活性ガス,あるいは,これに酸素や炭素ガスのような活性ガスを少量添加してシールドガスとして用いる方法 2、MAG(Metal Active Gas)溶接 ①炭酸ガスアーク溶接(シールドガスとして炭酸ガスを用いるもの) ②混合ガスアーク溶接(シールドガスとしてアルゴンと炭酸ガスの混合ガスを用いる) ・非消耗電極式のガスシールドアーク溶接 3、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接(アルゴン雰囲気中でタングステン電極と母材との間にアークを発生させ,そのアーク熱によって溶加材および母材を溶融して溶接する方法) それぞれの溶接方法の特徴 (1) マグ溶接(MAG溶接) マグ溶接は安価な炭酸ガスを単独で,またはアルゴンと混合して用いる溶接方法で軟鋼,高張力鋼,および低合金鋼の溶接に広く用いられています。マグ溶接に用いられるソリッドワイヤやフラックス入りワイヤは,自動化が安易で溶接の合理化が図りやすいため,全溶接材料の中に占める使用比率は近年非常に高くなっています。 (2) ミグ溶接(MIG溶接) ミグ溶接はアルミニウム,チタンのように本来は溶接時に酸化,窒化しやすい金属を対象に開発され,その他非鉄金属,ステンレス鋼等にも使用されていた。純イナートガスでシールドしながら溶接する場合と,ステンレス鋼の場合のようにアーク安定性の面より若干の酸素を混合して使用する場合があります。ミグ溶接によれば清浄な溶着金属が得られますが,アルゴンが高価なため適用される範囲はアルミニウム合金,ステンレス鋼,耐熱合金鋼等が主体です。 (3) ティグ溶接(TIG溶接) 溶接トーチと溶加棒とをそれぞれ手で持って行う溶接が主ですが,溶接ワイヤを自動的に送給してトーチも自動送りする全自動ティグ溶接装置も実用化されており,溶接ロボットにティグ溶接を適用している例もあります。 ティグ溶接は非消耗電極式であるためワイヤ自身が電極となってアーク熱で溶融する消耗電極式と異なり,電極からの溶融金属の移行がないので,これによるアーク不安定さやスパッタの発生がなく静かな溶接法です。 ロボット化が進んでいる製造現場 ロボットは工場で加工する溶接作業に多く用いられています。 特に自動車は,溶接個所が多く,同じ物が繰り返し生産されるので,ロボット化が容易に行えます。溶接方法としては、SPOT溶接が特に進んでいます。ロボット溶接によって自動車部品の溶接個所で品質の安定と大量生産が可能になりました。 他には事務機器・農機具・家電・車両など工場内溶接で量産品がある場合は,溶接物の材質(鋼材・ステンレス材・アルミニウム材)や板厚に関係なく,また企業の規模に関係なくロボット化が進んでいます。 一方,造船や橋梁・建設も溶接は多いですが,現場溶接が多いことと溶接部位が多種多様にわたるため一部を除いてロボット化は進んでおりません。 溶接ロボットシステムの構成 アーク溶接ロボットの標準的な構成は下記があります。対象となるワークや工法に応じて最適なシステム選定が必要です。 ①マニピュレータ(ロボット本体) ②制御装置(コントローラ) ③ティーチペンダント ④溶接電源 ⑤溶接トーチ(MIG,MAG、TIG溶接方法に合ったもの) ⑥ワイヤ供給装置(溶接方法に合ったもの) ⑦回転テーブル(小物、複雑形状物対象) 様々な角度で最適な溶接を実現する為に、多関節ロボット+回転テーブルでの自動化システムが昨今では標準になってきています。 回転テーブルとは、単軸、複数軸を持ち、溶接するワークを固定しながら、任意の角度にテーブルが回転し、様々な形状のワークに対しても効率的なロボット溶接を可能にしてくれるテーブルです。軸数や可搬重量もさまざまラインナップがあり、複雑な形状のワークや指定された加工条件を満たすための溶接方法の実現を助けてくれます。またロボットコントローラーと連動して動かす事が出来るので、ティーチングも比較的簡単になってきています。 溶接ロボットの使用方法 溶接ロボットを使用する為には手順を正確に行う必要があります。ロボットを導入すればすぐに良い品質のモノが出来るわけではありません。地道に一つ一つの作業にて発生する課題をクリアしていく事で、最終的な品質を担保していくことができます。 ①溶接ワークの固定治具設計 (接合物やワークを固定する治具の設計) ②ロボットのティーチング (溶接トーチの軌道や溶接開始点、終了点の教示) ③溶接条件の見直し (溶接状況や仕上がりを確認しながら、溶接電流やトーチの向き、角度の調整) ④自動運転 (実際に自動運転をしてさらに高品質なモノが生産できるように調整を重ねていく) 溶接方法やワーク形状によっては、トーチがワークに届かない、うまく接合が出来ないなど発生します。課題が発生した時は、治具の設計を見直し、溶接トーチの大きさや角度を調整する必要があります。 ロボットは、良くも悪くも融通が利きませんので、人任せに行っていた作業を自動化する際は必ず作業の要素分解と技術的な解決策が必要です。 ロボットティーチング(教示)について 基本的には、各社ロボットメーカーの標準ソフトウェアとティーチングペンダントを使用してロボットにティーチングを行います。ティーチングペンダントによるロボットの操作は各社メーカーが行う教育を受ければ、数日で動作させる事が可能です。(一般的にロボットメーカーで2日間程度の講習会を開催しています。) しかし、ペンダントによる操作が出来るようになっても、実際に溶接が品質水準を満たすものに仕上げるために、何度も試運転と調整が必要です。溶接に対する知識を持っている方のアドバイスも必要になってくるでしょう。 ロボットメーカー以外にも、CAD上で溶接の軌道を自動でシュミレーションしてロボットPRGを作成してくれるオフラインティーチングソフトウェアを販売している会社も数社あります。非常に便利なソフトウェアが開発されており、ライセンス制で価格も数百万しますが、ティーチングの頻度や難易度を検討した上で購入される企業も多いようです。 そして、安全面については特に注意し、ロボット作業に従事する人は,労働安全衛生法で「産業用ロボットに関する安全衛生特別教育」の受講が義務づけられていますので必ず受講してからの作業が必須となります。この資格はロボットメーカーで行われる操作講習会に参加することで得られます。 まとめ 今回は溶接の種類やロボット溶接の方法について述べて来ました。もともと人が行ってきた作業を自動化するのは、要件定義ができれば難しいことではありません。一番大事なのは、導入のコストや自動化システムの継続的な活用(品種追加や溶接条件変更への対応)です。 溶接工が不足すると想定される溶接業界のロボット塗装の取り組みは、今後も加速していくと考えられますが、自在にロボットを操れる人材が少ないのも現状です。 すでにロボット塗装を導入されている企業は、比較的若手社員にロボットを自在に操る教育に力を入れています。ロボット操作者の教育と確保が今後溶接業全体の主流になりそうだと感じます。 (参考文献 一般社団法人 日本溶接協会HP  http://www-it.jwes.or.jp/qa/index.jsp ) ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="welding-robot"][/sc]