DX CONSULTING COLUMN 工場DXコンサルティングコラム

専門コンサルタントが執筆するAI・ロボットコラム
最新のAI・ロボット技術に精通したコンサルタントによる定期コラム

多品種少量生産ロボット導入における人材育成とは?

2020.11.13

中小製造業における多品種少量生産対応のためロボット導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。 近年、人手不足への対応や生産性向上に向けて産業用ロボットの導入が増加しています。 それに伴い産業用ロボットの取り扱いにおける事故(労働災害)件数の増加も懸念されています。 産業用ロボットに関連する事故は重大災害になる可能性が大きく、正しい知識を持った作業者が取り扱う必要があります。 今回は初めてのロボット導入における人材育成について解説していきます。 1.初めてのロボット導入、必要な資格はあるの? 中小製造業において見落としがちな項目として真っ先に挙げられるのが人材育成、特に安全に対する教育についてです。 先にも述べた通り、産業用ロボットに関連する事故は重大災害になる可能性が大きく、ロボットを取り扱う作業者には十分な教育を行う必要があります。 労働安全衛生法では以下のように規定されています。 労働安全衛生法第59条第3項 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-1/hor1-1-1-6-0.htm 以上のように、事業者は産業用ロボットの教示等や検査等の作業に労働者を就かせるときは、その全員に労働安全衛生法第59条第3項に基づき、特別教育を行うことが義務付けられています。 では、具体的にどのような教育を受ける必要があるのでしょうか? 2.産業用ロボットの取り扱いに必要な資格は? では、労働安全衛生法において産業用ロボットにおける教育がどのように規定されているのか見ていきましょう。 安全衛生特別教育規定 (産業用ロボツトの教示等の業務に係る特別教育) 第十八条 安衛則第三十六条第三十一号に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。 2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。(表) 3 第一項の実技教育は、次の各号に掲げる科目について、当該各号に掲げる時間以上行うものとする。 一 産業用ロボツトの操作の方法 一時間 二 産業用ロボツトの教示等の作業の方法 二時間 科 目 範 囲 時 間 産業用ロボツトに関する知識 産業用ロボツトの種類、各部の機能及び取扱いの方法 二時間 産業用ロボツトの教示等の作業に関する知識 教示等の作業の方法 教示等の作業の危険性 関連する機械等との連動の方法 四時間 関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 一時間 (産業用ロボツトの検査等の業務に係る特別教育) 第十九条 安衛則第三十六条第三十二号に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。 2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。(表) 3 第一号の実技教育は、次の各号に掲げる科目について、当該各号に掲げる時間以上行うものとする。 一 産業用ロボツトの操作の方法 一時間 二 産業用ロボツトの検査等の作業の方法 三時間 科 目 範 囲 時 間 産業用ロボツトに関する知識 産業用ロボツトの種類、制御方式、駆動方式、各部の構造及び機能並びに取扱いの方法 制御部品の種類及び特性 四時間 産業用ロボツトの教示等の作業に関する知識 検査等の作業の方法 検査等の作業の危険性 関連する機械等との連動の方法 四時間 関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 一時間 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-16/hor1-16-1-1-0.htm 以上のように、産業用ロボットの特別教育は規定された時間の教育を受けることが義務付けられています。 3.産業用ロボット特別教育ってどこで受ければいいの? 特別教育は全国各地で行われています。 具体的には、 ・ロボットテクニカルセンター https://www.robotec-center.com/robot_school/course_education/ ・安川電機 http://yaskawa-meg.co.jp/tokyo/tokyo-kyouji/ ・カワサキロボットサービス https://www.khi.co.jp/corp/krs/service/introduction/school.html 他にも様々な場所、メーカーで特別教育を受講することが可能です。 導入するロボットメーカーが決まっているのであれば、メーカーの特別教育を受けるのもいいかもしれません。 4.特別教育を受ければロボットは扱えるの? 特別教育を受講すれば、ロボットを扱うのに最低限の教育を受けたと言えるでしょう。 しかし、特別教育を受けたからと言ってその日からロボットを扱えるようになるとは限りません。 ティーチング作業においては専門のティーチング技術者がいるように、非常に難易度の高い作業であり特別教育を受けただけでは実際に現場で使えるレベルには達しないのはお分かり頂けるかと思います。 「ロボット」と一言に言っても、導入するロボットシステムにはそれぞれ特徴があり、中にはカメラ等を用いたビジョンシステムのような付帯機能を持ったシステムを導入する場合もあるでしょう。 そのような場合、カメラやビジョンシステムの知識も最低限必要になってきます。 ロボットを取り扱う人材育成において、そのシステムを専任で任せられる(任せてあげる)人員配置を会社側が考慮する必要があると考えます。 人材不足、特に若手の人材不足に悩む中小製造業においては、最新のロボットシステムを若手に任せることによる新たな技術者の育成が必要ではないでしょうか。 5.おわりに 今回はロボット導入における人材育成について解説しました。 船井総研ではロボットやAIの導入に役立つダウンロードコンテンツやセミナーをご用意しております。 ■セミナー開催のお知らせ 板金・プレス・溶接加工業のAI&ロボット導入!社長セミナー 11/18(水) 10:00~12:00/13:00~15:00 ↓↓↓セミナー詳細は下記からご覧ください このセミナーは終了しました。最新のセミナーはこちらから。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/event/ ■ダウンロード事例集のご案内 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 板金・溶接加工業様向け 多品種少量溶接ロボット導入事例解説レポート この1冊で多品種少量溶接ロボット導入の具体的事例がわかる! ①多品種少量溶接ロボット導入の進め方 ②多品種少量溶接ロボットにおける具体的事例 ③補助金を活用した溶接ロボット導入成功事例 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://lp.funaisoken.co.jp/mt/smart-factory/dltext05-dl.html 中小製造業における多品種少量生産対応のためロボット導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。 近年、人手不足への対応や生産性向上に向けて産業用ロボットの導入が増加しています。 それに伴い産業用ロボットの取り扱いにおける事故(労働災害)件数の増加も懸念されています。 産業用ロボットに関連する事故は重大災害になる可能性が大きく、正しい知識を持った作業者が取り扱う必要があります。 今回は初めてのロボット導入における人材育成について解説していきます。 1.初めてのロボット導入、必要な資格はあるの? 中小製造業において見落としがちな項目として真っ先に挙げられるのが人材育成、特に安全に対する教育についてです。 先にも述べた通り、産業用ロボットに関連する事故は重大災害になる可能性が大きく、ロボットを取り扱う作業者には十分な教育を行う必要があります。 労働安全衛生法では以下のように規定されています。 労働安全衛生法第59条第3項 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-1/hor1-1-1-6-0.htm 以上のように、事業者は産業用ロボットの教示等や検査等の作業に労働者を就かせるときは、その全員に労働安全衛生法第59条第3項に基づき、特別教育を行うことが義務付けられています。 では、具体的にどのような教育を受ける必要があるのでしょうか? 2.産業用ロボットの取り扱いに必要な資格は? では、労働安全衛生法において産業用ロボットにおける教育がどのように規定されているのか見ていきましょう。 安全衛生特別教育規定 (産業用ロボツトの教示等の業務に係る特別教育) 第十八条 安衛則第三十六条第三十一号に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。 2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。(表) 3 第一項の実技教育は、次の各号に掲げる科目について、当該各号に掲げる時間以上行うものとする。 一 産業用ロボツトの操作の方法 一時間 二 産業用ロボツトの教示等の作業の方法 二時間 科 目 範 囲 時 間 産業用ロボツトに関する知識 産業用ロボツトの種類、各部の機能及び取扱いの方法 二時間 産業用ロボツトの教示等の作業に関する知識 教示等の作業の方法 教示等の作業の危険性 関連する機械等との連動の方法 四時間 関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 一時間 (産業用ロボツトの検査等の業務に係る特別教育) 第十九条 安衛則第三十六条第三十二号に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。 2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。(表) 3 第一号の実技教育は、次の各号に掲げる科目について、当該各号に掲げる時間以上行うものとする。 一 産業用ロボツトの操作の方法 一時間 二 産業用ロボツトの検査等の作業の方法 三時間 科 目 範 囲 時 間 産業用ロボツトに関する知識 産業用ロボツトの種類、制御方式、駆動方式、各部の構造及び機能並びに取扱いの方法 制御部品の種類及び特性 四時間 産業用ロボツトの教示等の作業に関する知識 検査等の作業の方法 検査等の作業の危険性 関連する機械等との連動の方法 四時間 関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 一時間 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-16/hor1-16-1-1-0.htm 以上のように、産業用ロボットの特別教育は規定された時間の教育を受けることが義務付けられています。 3.産業用ロボット特別教育ってどこで受ければいいの? 特別教育は全国各地で行われています。 具体的には、 ・ロボットテクニカルセンター https://www.robotec-center.com/robot_school/course_education/ ・安川電機 http://yaskawa-meg.co.jp/tokyo/tokyo-kyouji/ ・カワサキロボットサービス https://www.khi.co.jp/corp/krs/service/introduction/school.html 他にも様々な場所、メーカーで特別教育を受講することが可能です。 導入するロボットメーカーが決まっているのであれば、メーカーの特別教育を受けるのもいいかもしれません。 4.特別教育を受ければロボットは扱えるの? 特別教育を受講すれば、ロボットを扱うのに最低限の教育を受けたと言えるでしょう。 しかし、特別教育を受けたからと言ってその日からロボットを扱えるようになるとは限りません。 ティーチング作業においては専門のティーチング技術者がいるように、非常に難易度の高い作業であり特別教育を受けただけでは実際に現場で使えるレベルには達しないのはお分かり頂けるかと思います。 「ロボット」と一言に言っても、導入するロボットシステムにはそれぞれ特徴があり、中にはカメラ等を用いたビジョンシステムのような付帯機能を持ったシステムを導入する場合もあるでしょう。 そのような場合、カメラやビジョンシステムの知識も最低限必要になってきます。 ロボットを取り扱う人材育成において、そのシステムを専任で任せられる(任せてあげる)人員配置を会社側が考慮する必要があると考えます。 人材不足、特に若手の人材不足に悩む中小製造業においては、最新のロボットシステムを若手に任せることによる新たな技術者の育成が必要ではないでしょうか。 5.おわりに 今回はロボット導入における人材育成について解説しました。 船井総研ではロボットやAIの導入に役立つダウンロードコンテンツやセミナーをご用意しております。 ■セミナー開催のお知らせ 板金・プレス・溶接加工業のAI&ロボット導入!社長セミナー 11/18(水) 10:00~12:00/13:00~15:00 ↓↓↓セミナー詳細は下記からご覧ください このセミナーは終了しました。最新のセミナーはこちらから。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/event/ ■ダウンロード事例集のご案内 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 板金・溶接加工業様向け 多品種少量溶接ロボット導入事例解説レポート この1冊で多品種少量溶接ロボット導入の具体的事例がわかる! ①多品種少量溶接ロボット導入の進め方 ②多品種少量溶接ロボットにおける具体的事例 ③補助金を活用した溶接ロボット導入成功事例 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://lp.funaisoken.co.jp/mt/smart-factory/dltext05-dl.html

AIのいろは「機械学習とディープラーニング」を学ぼう

2020.11.09

今回のコラムは現在のAIを語る上では欠かせない「機械学習とディープラーニング」について説明していきたいと思います。何となく聞いたことがある2つの言葉ですが、きちんと違いがわかりますか? 以前のAIの歴史を振り返るコラムでは第三次ブームの火付け役という紹介をしました。この2つキーワードがなぜ、AI再ブームの火付け役となったのか、ここでは一歩踏み込んだ話をしていきましょう。 1.AIとは「赤ちゃん」です AIの良いところはあらゆる過去の膨大なデータを学習して、忖度なく最適な解を示してくれるということです。AIはよく「赤ちゃん」に例えられます。赤ちゃんは親から動きや言葉を学ぶことで、やがて自分で判断できるようになります。生まれたばかりの赤ちゃんが一人では何も出来ないように、AIも何も教えなければ何もできません。AIも赤ちゃんも経験を積めば積むほど、最適な(精度の高い)言葉や動きが出来るようになります。どちらも最適な解(言葉や動き)を出す為には、たくさんたくさん学習していく必要があるのです。 2.機械学習とディープラーニング では、AIではどのように学習していくのでしょうか。AIの場合、学習の方法(目の付け所)を教えてあげる必要があります。目の付け所を教える=「特徴量を定義する」という言い方をします。例えば、りんごが赤りんごか青りんごを画像処理にて判断させる際には、まず①赤りんごと青りんごの2種類のいろいろな写真(学習データ)をAIに覚えさせます。赤りんごと言ってもたくさんの種類がありますよね。次に②「色に着目しなさい」と指示します。するとAIは自ら色を見て、初めて見る写真でも学習データと照らし合わせて赤りんごか青りんごかを判断することが出来ます。 では誰が「色に着目しなさい」と指示するのでしょうか。2つの言葉の違いは「目の付け所(特徴量の定義)を誰が指示するか?」ここがポイントになっていきます。 【機械学習とは】 機械学習は「人が特徴を定義する」技術です。人が目の付け所(特徴量を定義)を教えておくことで、既存の大量のデータをAI自ら解析してルールを見つけ出します。データはより多くあればあるほど精度は高くなっていきます。 つまり、トレーニングによって「特定のタスク」を実行できるようになる技術です。上記においては「りんごの色を見て赤りんごか青りんごか判断する特定のタスク」ということになります。 この手法は、自動で返答するチャットボットや、店舗来客予測など、出力の予測や傾向の発見を伴うプロジェクトで力を発揮します。 【ディープラーニングとは】 一方で、ディープラーニングは「人工知能が学習データから特徴を自動で抽出する」技術です。 機械学習が進化したとも言えるディープラーニングは、たくさんのデータを解析する際、どこに注目すればよいかを「自分で判断」し、人からの指示ではなく自動で学習して賢くなっていきます。機械学習では人が特徴量を定義していた為、人が特徴を判断できない場合(間違えて判断している場合)、AIは上手く判断が出来ません。 ディープラーニングは、そのような特徴を定義するのが難しい時に高い効果を発揮します。 特にディープラーニングは特徴を定義するのが難しい「言葉」を得意としており、主な適用領域は「音声認識」「画像認識」「言語処理」の3点と言われています。 GoogleHomeやiPhoneに搭載されているSiriなどでは、人間の音声を聞き取り、さらにテキストAIで意味を理解する音声認識技術が活用されています。また、画像認識領域では、商品検索や商品の検査工程など物体認識率が向上し、商用利用が拡大しています。言語処理領域では、機械翻訳などへの適応が始まっています。 機械学習とディープラーニングの違いは、分析の対象を区別する際に「特徴量という目の付け所を自動的に見つけ出せるか」という点になります。 3.Googleの猫(ディープラーニング始まりの話) 2012年にGoogle社の研究チームは、YouTubeに投稿された動画(静止画)の中から無作為に1000万枚の画像を取り出してAIに学習させ、人が教えることなくAIが自発的に猫を認識することに成功したことを発表しました。 この研究の最大のポイントは「人がAIに猫という【概念】を教えたわけではない」という点です。これは当時としてはかなり衝撃的なニュースとして取り上げられました。AI自身がYouTube上にある画像のパターンを自ら特徴をづけ、「猫」という言葉を紐づけていき、「猫」というものを自ら覚えていったのです。これまで必要とされた学習データを使うことなく。これは、人間がものを覚える過程とよく似ています。「猫」いうものは、誰から教わったという事でもなく、周りの人が「猫」と呼んでいるものを何度も聞いて特徴を見て、人は「猫」を認識するようになります。 AI領域では、人がAIに学習させた場合を「教師あり学習(学習データあり)」、人が何も教えていない学習を「教師なし学習(学習データなし)」と言います。 Googleの発表は、1000万枚の画像を学習・パターン分析しているうちにAIが画像内の特長を認識し、特定のものについて自動的に認知が出来るようになった初めての「教師なし学習」の実例として世界で注目され、ディープラーニングの可能性が証明された新しい時代の幕開けの瞬間となりました。 4.ディープラーニングにより可能になること 例えば、米国のSentient Technologies社では、商品検索にディープラーニングを使用しています。靴や服の好みなど、言葉では言い表すことが難しい「感覚」について、消費者がどの商品を検索しクリックしたかなどの情報を基に、次の商品を提案してくれるシステムです。 また、車の自動運転技術は、ディープラーニングを利用して作られた技術で最も期待されているものの1つと言えます。GPSによる位置情報や車に搭載されたカメラの情報などから、AIが学習し道路状況や渋滞状況を分析します。さらに、それらの情報によりAIが自動的に空間を把握することで、交差点の一時停止や右折・左折などもできるようになります。 ロボット工学の分野もディープラーニングとともに大きく進化しています。前述のように、特定の画像を自動的に認識できるようになった技術は検査工程にも応用されています。 AIによる外観検査について、詳しくはこちらをご参照ください。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/glossary/200925/ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け 「AIを活用した業務効率化」最新事例解説レポート この一冊で「AIを活用した業務効率化」の最新事例がわかる! ①類似案件をAIを使って簡単検索 営業・生産計画立案の業務効率 ②生産計画立案を自動最適化・脱属人化 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/210305/ 今回のコラムは現在のAIを語る上では欠かせない「機械学習とディープラーニング」について説明していきたいと思います。何となく聞いたことがある2つの言葉ですが、きちんと違いがわかりますか? 以前のAIの歴史を振り返るコラムでは第三次ブームの火付け役という紹介をしました。この2つキーワードがなぜ、AI再ブームの火付け役となったのか、ここでは一歩踏み込んだ話をしていきましょう。 1.AIとは「赤ちゃん」です AIの良いところはあらゆる過去の膨大なデータを学習して、忖度なく最適な解を示してくれるということです。AIはよく「赤ちゃん」に例えられます。赤ちゃんは親から動きや言葉を学ぶことで、やがて自分で判断できるようになります。生まれたばかりの赤ちゃんが一人では何も出来ないように、AIも何も教えなければ何もできません。AIも赤ちゃんも経験を積めば積むほど、最適な(精度の高い)言葉や動きが出来るようになります。どちらも最適な解(言葉や動き)を出す為には、たくさんたくさん学習していく必要があるのです。 2.機械学習とディープラーニング では、AIではどのように学習していくのでしょうか。AIの場合、学習の方法(目の付け所)を教えてあげる必要があります。目の付け所を教える=「特徴量を定義する」という言い方をします。例えば、りんごが赤りんごか青りんごを画像処理にて判断させる際には、まず①赤りんごと青りんごの2種類のいろいろな写真(学習データ)をAIに覚えさせます。赤りんごと言ってもたくさんの種類がありますよね。次に②「色に着目しなさい」と指示します。するとAIは自ら色を見て、初めて見る写真でも学習データと照らし合わせて赤りんごか青りんごかを判断することが出来ます。 では誰が「色に着目しなさい」と指示するのでしょうか。2つの言葉の違いは「目の付け所(特徴量の定義)を誰が指示するか?」ここがポイントになっていきます。 【機械学習とは】 機械学習は「人が特徴を定義する」技術です。人が目の付け所(特徴量を定義)を教えておくことで、既存の大量のデータをAI自ら解析してルールを見つけ出します。データはより多くあればあるほど精度は高くなっていきます。 つまり、トレーニングによって「特定のタスク」を実行できるようになる技術です。上記においては「りんごの色を見て赤りんごか青りんごか判断する特定のタスク」ということになります。 この手法は、自動で返答するチャットボットや、店舗来客予測など、出力の予測や傾向の発見を伴うプロジェクトで力を発揮します。 【ディープラーニングとは】 一方で、ディープラーニングは「人工知能が学習データから特徴を自動で抽出する」技術です。 機械学習が進化したとも言えるディープラーニングは、たくさんのデータを解析する際、どこに注目すればよいかを「自分で判断」し、人からの指示ではなく自動で学習して賢くなっていきます。機械学習では人が特徴量を定義していた為、人が特徴を判断できない場合(間違えて判断している場合)、AIは上手く判断が出来ません。 ディープラーニングは、そのような特徴を定義するのが難しい時に高い効果を発揮します。 特にディープラーニングは特徴を定義するのが難しい「言葉」を得意としており、主な適用領域は「音声認識」「画像認識」「言語処理」の3点と言われています。 GoogleHomeやiPhoneに搭載されているSiriなどでは、人間の音声を聞き取り、さらにテキストAIで意味を理解する音声認識技術が活用されています。また、画像認識領域では、商品検索や商品の検査工程など物体認識率が向上し、商用利用が拡大しています。言語処理領域では、機械翻訳などへの適応が始まっています。 機械学習とディープラーニングの違いは、分析の対象を区別する際に「特徴量という目の付け所を自動的に見つけ出せるか」という点になります。 3.Googleの猫(ディープラーニング始まりの話) 2012年にGoogle社の研究チームは、YouTubeに投稿された動画(静止画)の中から無作為に1000万枚の画像を取り出してAIに学習させ、人が教えることなくAIが自発的に猫を認識することに成功したことを発表しました。 この研究の最大のポイントは「人がAIに猫という【概念】を教えたわけではない」という点です。これは当時としてはかなり衝撃的なニュースとして取り上げられました。AI自身がYouTube上にある画像のパターンを自ら特徴をづけ、「猫」という言葉を紐づけていき、「猫」というものを自ら覚えていったのです。これまで必要とされた学習データを使うことなく。これは、人間がものを覚える過程とよく似ています。「猫」いうものは、誰から教わったという事でもなく、周りの人が「猫」と呼んでいるものを何度も聞いて特徴を見て、人は「猫」を認識するようになります。 AI領域では、人がAIに学習させた場合を「教師あり学習(学習データあり)」、人が何も教えていない学習を「教師なし学習(学習データなし)」と言います。 Googleの発表は、1000万枚の画像を学習・パターン分析しているうちにAIが画像内の特長を認識し、特定のものについて自動的に認知が出来るようになった初めての「教師なし学習」の実例として世界で注目され、ディープラーニングの可能性が証明された新しい時代の幕開けの瞬間となりました。 4.ディープラーニングにより可能になること 例えば、米国のSentient Technologies社では、商品検索にディープラーニングを使用しています。靴や服の好みなど、言葉では言い表すことが難しい「感覚」について、消費者がどの商品を検索しクリックしたかなどの情報を基に、次の商品を提案してくれるシステムです。 また、車の自動運転技術は、ディープラーニングを利用して作られた技術で最も期待されているものの1つと言えます。GPSによる位置情報や車に搭載されたカメラの情報などから、AIが学習し道路状況や渋滞状況を分析します。さらに、それらの情報によりAIが自動的に空間を把握することで、交差点の一時停止や右折・左折などもできるようになります。 ロボット工学の分野もディープラーニングとともに大きく進化しています。前述のように、特定の画像を自動的に認識できるようになった技術は検査工程にも応用されています。 AIによる外観検査について、詳しくはこちらをご参照ください。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/glossary/200925/ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け 「AIを活用した業務効率化」最新事例解説レポート この一冊で「AIを活用した業務効率化」の最新事例がわかる! ①類似案件をAIを使って簡単検索 営業・生産計画立案の業務効率 ②生産計画立案を自動最適化・脱属人化 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/210305/

最新事例のご紹介(3Dスキャナを用いたティーチングレスなTIG溶接の自動化)

2020.11.02

昨日、筆者は静岡県のとある企業様に視察に行ってきました。 その企業様では、制御BOXや配電盤等に使用される箱型の製品を製作されており、TIG溶接による成形工程にロボットを導入し自動化されていました。 そして多品種対応や製品の個体差による加工不良をとある方法で解決されていました。 本記事ではこちらの企業様が導入された自動化システムのポイントについて述べていきたいと思います。 1.システム構成 まずはロボットシステムの構成ですが、ハンドリング用ロボット1台+溶接用ロボット1台の合計ロボット2台の構成です。 ここまではよくあるロボットの事例ですが、こちらの企業様はリンクウィズ社製のL-ROBOTというレーザースキャナを用いたロボットの自動補正システムを導入されています。 ハンドリングロボットがコンベアから製品をピッキングし、溶接部の端面や角を決める為の治具に製品をセットします。その後溶接ロボットのハンドに取り付けられたレーザースキャナーにて溶接部の形状をサーチし得られたデータから専用のコンピューターが3Dモデルを作成します。そして3Dモデルから溶接する場所が自動的に算出されロボットに溶接位置の指令を出すというモノです。 2.何故、ロボットの補正システムを導入したのか? フィラー無しのTIG溶接では、金属の接合面の合わせ面が非常に大事でシビアですが、前工程の曲げ加工や仮止めの工程で微妙に接合面の位置には歪みや反りも出てきます。 ロボットは基本的には同じ軌道の動作を繰り返すものですが、このロボットの軌道ではワークの歪みや反りに追従できず溶接不良を起こしてしまいます。 こちらの企業様ではもともと溶接用の自動機(溶接トーチが自動で垂直に動くもの)を使い溶接加工をされていましたが、接合部の合わせ面にトーチが通る様に人がワークを微調整しながら加工を行っていた為に、単純な動きの繰り返しでは上手く溶接が出来ない事を理解されていました。その為に自動で補正するシステムが絶対に必要と考えて導入に至った様です。 3.どのような補正システムなのか? L-ROBOTの処理フローは簡易に書くと下記の様になります。 レーザースキャナ(キーエンス製レーザー式変位センサーを使用)をロボットハンドに持たせて加工物を一度スキャンします。 スキャンの結果、それぞれに座標を持った点が点群データがコンピュータに取り込まれます。 コンピュータ上でそれぞれの点群データが3Dモデルを形づくりワークを形状や位置を認識します。 その後その点群データから加工する場所を自動で判別します。 加工させる場所の位置データをロボットに送り、ロボットはそれに従ってトーチを指定の位置に動かして溶接を開始する。 つまり、加工の度にワークの形状や加工面を調べてからそれぞれの個体差に合わせてロボットが動きますので、ロボットティーチングの修正が必要無いという事です。 ある程度の範囲の中で同形状のモノであればティーチングをしなくても同じ様に加工を行ってくれるという代物です。 溶接に限らずロボットで加工を行う際にワークの歪みや反りによる個体差が起因してロボットの加工が上手くいかない、その都度ロボットティーチングの修正を繰り返しているという企業様も多く、結果ロボットを使わなくなってしまう場合も少なからずあるようですが、このような補正システムがロボットに組み込まれていれば、多くの課題が解決されますね。 人間が作業を行う場合は必ず一度考えますよね。ワークの形状であったり加工方法であったりその場に適した加工を行うわけですが、ロボットにはこのようにものを考える頭脳がありません。この頭脳の代わりをしてくれるのが、リンクウィズ製のL-ROBOTだと思います。 4.多品種対応 こちらの企業様では多品種対応を進めており、現在約300種類の製品をロボットで生産出来る様にしておられました。 もちろん導入された時点では代表的な数品種のみ生産可能の状態で、その後自力で品種を追加していった結果です。 300種類の品種はほぼ同一形状ながらも大きさは数百ミリ以上違うモノですが、この300種類の製品を生産する為のプログラムは大体15種類程度だという事です。 普通ならそれぞれの品種専用のPRGを製作する必要がありますが、PRGを共通化しているという所もこのシステムならではだと思います。 そしてこのシステムの管理や品種追加を担当されている方が非常に若手の方でした。 これまでロボットは触った事が無く知識もなかったというこの担当者の方は、導入から半年たった今では、ロボットもL-ROBOTも使いこなしながら品種追加を今も継続していらっしゃいます。 このような若手社員が社内で育つ事で、ロボット活用のノウハウが蓄積し今後の展開にも波及していくでしょうし、会社全体にも良い影響が得られるとこの企業の社長様もおっしゃっていました。 このようにロボット化を進める事で様々な課題に挑戦し、若手の人材が新しい技術を習得する事で会社全体が変革していくという事が最大の成果なのかも知れません。 如何でしたでしょうか。 今回はレーザースキャナーを用いた最新のロボット補正システムを活用して自社のものづくりを自動化した企業様の事例をご紹介しました。 日本の中小製造業のほとんどの多品種少量生産を行う必要があり、自動化したいがロボットは多品種向きでは無いと考えていらっしゃる企業様も多いと思います。 しかし、今回ご紹介させて頂いた企業様の様に自社の製品の特長や癖を見抜き、それを自動化する為に必要な技術を選定し実際にテストを重ねながら導入し導入後も社内の若手社員を活用し多品種化を拡大させている企業様も実際にいます。 このような改善への前向きのスタンスとやりきる強い意志を持つ事が企業のデジタル化への第一歩ではないでしょうか。 昨今どんどん新しい技術が開発されてきています。 過去に自動化に挑戦したが、良い結果が得られず自社のモノ作りを自動化する事を諦めていた企業様にも、現在は違うアプローチでの自動化が可能な場合も十分にあると思います。 日本の労働人口減少が顕著になる中で、ものづくりのデジタルシフトは必ずと言っていいほど必須となってきます。 今回紹介したような様々な技術を活用してものづくりのデジタルシフトを進めていきましょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 板金・溶接加工業様向け 多品種少量溶接ロボット導入事例解説レポート この1冊で多品種少量溶接ロボット導入の具体的事例がわかる! ①多品種少量溶接ロボット導入の進め方 ②多品種少量溶接ロボットにおける具体的事例 ③補助金を活用した溶接ロボット導入成功事例 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://lp.funaisoken.co.jp/mt/smart-factory/dltext05-dl.html 昨日、筆者は静岡県のとある企業様に視察に行ってきました。 その企業様では、制御BOXや配電盤等に使用される箱型の製品を製作されており、TIG溶接による成形工程にロボットを導入し自動化されていました。 そして多品種対応や製品の個体差による加工不良をとある方法で解決されていました。 本記事ではこちらの企業様が導入された自動化システムのポイントについて述べていきたいと思います。 1.システム構成 まずはロボットシステムの構成ですが、ハンドリング用ロボット1台+溶接用ロボット1台の合計ロボット2台の構成です。 ここまではよくあるロボットの事例ですが、こちらの企業様はリンクウィズ社製のL-ROBOTというレーザースキャナを用いたロボットの自動補正システムを導入されています。 ハンドリングロボットがコンベアから製品をピッキングし、溶接部の端面や角を決める為の治具に製品をセットします。その後溶接ロボットのハンドに取り付けられたレーザースキャナーにて溶接部の形状をサーチし得られたデータから専用のコンピューターが3Dモデルを作成します。そして3Dモデルから溶接する場所が自動的に算出されロボットに溶接位置の指令を出すというモノです。 2.何故、ロボットの補正システムを導入したのか? フィラー無しのTIG溶接では、金属の接合面の合わせ面が非常に大事でシビアですが、前工程の曲げ加工や仮止めの工程で微妙に接合面の位置には歪みや反りも出てきます。 ロボットは基本的には同じ軌道の動作を繰り返すものですが、このロボットの軌道ではワークの歪みや反りに追従できず溶接不良を起こしてしまいます。 こちらの企業様ではもともと溶接用の自動機(溶接トーチが自動で垂直に動くもの)を使い溶接加工をされていましたが、接合部の合わせ面にトーチが通る様に人がワークを微調整しながら加工を行っていた為に、単純な動きの繰り返しでは上手く溶接が出来ない事を理解されていました。その為に自動で補正するシステムが絶対に必要と考えて導入に至った様です。 3.どのような補正システムなのか? L-ROBOTの処理フローは簡易に書くと下記の様になります。 レーザースキャナ(キーエンス製レーザー式変位センサーを使用)をロボットハンドに持たせて加工物を一度スキャンします。 スキャンの結果、それぞれに座標を持った点が点群データがコンピュータに取り込まれます。 コンピュータ上でそれぞれの点群データが3Dモデルを形づくりワークを形状や位置を認識します。 その後その点群データから加工する場所を自動で判別します。 加工させる場所の位置データをロボットに送り、ロボットはそれに従ってトーチを指定の位置に動かして溶接を開始する。 つまり、加工の度にワークの形状や加工面を調べてからそれぞれの個体差に合わせてロボットが動きますので、ロボットティーチングの修正が必要無いという事です。 ある程度の範囲の中で同形状のモノであればティーチングをしなくても同じ様に加工を行ってくれるという代物です。 溶接に限らずロボットで加工を行う際にワークの歪みや反りによる個体差が起因してロボットの加工が上手くいかない、その都度ロボットティーチングの修正を繰り返しているという企業様も多く、結果ロボットを使わなくなってしまう場合も少なからずあるようですが、このような補正システムがロボットに組み込まれていれば、多くの課題が解決されますね。 人間が作業を行う場合は必ず一度考えますよね。ワークの形状であったり加工方法であったりその場に適した加工を行うわけですが、ロボットにはこのようにものを考える頭脳がありません。この頭脳の代わりをしてくれるのが、リンクウィズ製のL-ROBOTだと思います。 4.多品種対応 こちらの企業様では多品種対応を進めており、現在約300種類の製品をロボットで生産出来る様にしておられました。 もちろん導入された時点では代表的な数品種のみ生産可能の状態で、その後自力で品種を追加していった結果です。 300種類の品種はほぼ同一形状ながらも大きさは数百ミリ以上違うモノですが、この300種類の製品を生産する為のプログラムは大体15種類程度だという事です。 普通ならそれぞれの品種専用のPRGを製作する必要がありますが、PRGを共通化しているという所もこのシステムならではだと思います。 そしてこのシステムの管理や品種追加を担当されている方が非常に若手の方でした。 これまでロボットは触った事が無く知識もなかったというこの担当者の方は、導入から半年たった今では、ロボットもL-ROBOTも使いこなしながら品種追加を今も継続していらっしゃいます。 このような若手社員が社内で育つ事で、ロボット活用のノウハウが蓄積し今後の展開にも波及していくでしょうし、会社全体にも良い影響が得られるとこの企業の社長様もおっしゃっていました。 このようにロボット化を進める事で様々な課題に挑戦し、若手の人材が新しい技術を習得する事で会社全体が変革していくという事が最大の成果なのかも知れません。 如何でしたでしょうか。 今回はレーザースキャナーを用いた最新のロボット補正システムを活用して自社のものづくりを自動化した企業様の事例をご紹介しました。 日本の中小製造業のほとんどの多品種少量生産を行う必要があり、自動化したいがロボットは多品種向きでは無いと考えていらっしゃる企業様も多いと思います。 しかし、今回ご紹介させて頂いた企業様の様に自社の製品の特長や癖を見抜き、それを自動化する為に必要な技術を選定し実際にテストを重ねながら導入し導入後も社内の若手社員を活用し多品種化を拡大させている企業様も実際にいます。 このような改善への前向きのスタンスとやりきる強い意志を持つ事が企業のデジタル化への第一歩ではないでしょうか。 昨今どんどん新しい技術が開発されてきています。 過去に自動化に挑戦したが、良い結果が得られず自社のモノ作りを自動化する事を諦めていた企業様にも、現在は違うアプローチでの自動化が可能な場合も十分にあると思います。 日本の労働人口減少が顕著になる中で、ものづくりのデジタルシフトは必ずと言っていいほど必須となってきます。 今回紹介したような様々な技術を活用してものづくりのデジタルシフトを進めていきましょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 板金・溶接加工業様向け 多品種少量溶接ロボット導入事例解説レポート この1冊で多品種少量溶接ロボット導入の具体的事例がわかる! ①多品種少量溶接ロボット導入の進め方 ②多品種少量溶接ロボットにおける具体的事例 ③補助金を活用した溶接ロボット導入成功事例 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://lp.funaisoken.co.jp/mt/smart-factory/dltext05-dl.html

製造業におけるAIの歴史

2020.10.19

製造業の世界において、今後さまざまな形で「AI」の導入・活用シーンが増えていくことが 現在各種メディアによって謳われています。 最近でこそ、「AI」という言葉については、 あらゆるビジネス環境において馴染みが出てきておりますが、 実のところ、AIという概念はこれまでの歴史の過程の中で、 「ブーム」と「下火」になることを繰り返し、現在に至ります。 今回のコラムでは、今後、製造業における「AIの活用」や 「AIとの共存」というテーマを考えていくにあたって、 その基盤となる「AIの歴史」について、簡単にご紹介いたします。 1.第一次AIブーム 第一次AIブームは、1950年代後半~1960年代に起こったと言われています。 この時代におけるAIの具体的な機能としては、 コンピューターによる「推論」や「探索」が実現できるようになったという点が挙げられます。 推論とは ⇒ある事実をもとにして、未知の事柄をおしはかり論じること。 探索とは ⇒蓄積された情報の集合から、特定の情報要求を満たすような情報を探し出すこと。 しかしながら、当時のAIの力の及ぶ範囲としては、 例えばコンピューターによってゲームやパズルを解かせることや、 迷路のゴールを探させる程度のものに留まっていたとされており、 「トイ・プロブレム(おもちゃの問題)」以上の複雑な問題を解くことはできませんでした。 当時の社会における現実的かつ複合的な課題に対しては適応することができず、 AIが社会に果たす役割としては極めて限定的なものになるとのことから、 AIブーム自体は下火となり、その後“冬の時代”が続くことになります。 2.第二次AIブーム 第二次AIブームは、1980年代であると言われています。 この時代に起こった顕著な動きとして、専門家の知識をAIに教え込む 「エキスパートシステム」の開発が目指されたことが挙げられます。 各分野の専門家特有の知識をAIに教え込み、 その道の専門家のごとくAIが振る舞うというプログラムの開発が進みました。 しかしながら、AIへ知識を教え込むにあたって、 膨大な量の情報を人が教え込む必要があったことから、 AIの実社会への適用自体はこの時点でも十分には進みませんでした。 コスト・時間・運用面での課題を十分にクリアできなかったことから、 この時代以降、再びAIは、しばらく“冬の時代”へと突入します。 3.第三次AIブーム 第三次AIブームは、2000年代から現在まで続いていると言われています。 この時代における特筆事項として、 ①「機械学習」が実用化された ②「ディープラーニング」が登場した という大きく2つの技術革新が起こったことが挙げられます。 「機械学習」とは、人工知能のプログラム自身が 自律的に学習する仕組みのことを表します。 ここでいう「学習」の根幹は、 「認識・判断の対象となる物事を分類する」という処理のことですが、 人がAIに対してすべての知識をインプットしなくても、 一定のデータを蓄積すれば、そのデータをもとに機械が学習することによって、 解答の精度を上げるという仕組みがこの時代に発展・浸透してきました。 一方、「ディープラーニング」とは、 「第三次AIブーム到来の火付け役」とも言われており、 位置づけとしては「機械学習の一種」ということになります。 従来型の機械学習は、 人による特徴の定義が多くの場合に必要とされていましたが、 一方で、ディープラーニングの場合は、 人が特徴の定義をしなくても、マシンそのものが自律的に特徴づけを行い、 高い精度のもとに自ら学習を進めていくことができます。 元々、ディープラーニングを活用するためには 膨大な情報を長時間にわたって取り扱う必要があったため、 2000年代初頭の段階ではまだまだ実用的でないという 評価・判断が一定数存在しました。 しかし、2016年以降、ビックデータに関する取り組みの広がりや、 マシンの処理速度の高性能化によって、 ディープラーニングの取り組みが急速に広がっていきました。 大量の学習データを確保できることに加えて、 それらを学習するための時間も大幅に短縮することができるようになったことから、 ディープラーニングの導入・活用の機会が増え、第三次AIブームはさらに過熱しました。 このディープラーニングの登場により、AIは単なる一時的なブームではなく、 社会全体の発展を支えるための重要なツール・基盤としての役割を拡大させていきます。 また、このディープラーニングについては、 ①画像・動画識別力(⇒人でいう“眼”の代わり) ②自然言語・会話制御力(⇒人でいう“耳と口”の代わり) ③物体制御力(⇒人でいう“身体”の代わり) という大きく3つの点でAIの力を高め、 社会の中でのAIの実用範囲を広げたと言われています。 以上、ここまでAIの歴史について簡単にお伝えしてきました。 AIについては今後もさらに技術的な発展が見込める中、 現代の技術として「AIでできること」と「AIでできないこと」を見極めた上で、 ・何のためにAIを活用するのか?(AIの活用目的) ・いかにして自社のビジネスに活用していくか?(AIの活用方法) という2点について、積極的に追求していきたいところです。 (参考文献) 『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』 松尾 豊 (著) 『文系AI人材になる―統計・プログラム知識は不要』 野口 竜司 (著) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け “工場のAI・デジタル化”最新事例解説レポート この1冊で、工場のAI・デジタル化の最新事例がわかる! 【事例①】AI活用を通じて「見積もり業務の標準化・脱属人化」を推進! 【事例②】付加価値を生まない検査工程から人手を開放!AIを活用した外観検査体制の構築! 【事例③】現場に散乱していた生産日報・日常点検表等のペーパーレス化を実現! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/ 製造業の世界において、今後さまざまな形で「AI」の導入・活用シーンが増えていくことが 現在各種メディアによって謳われています。 最近でこそ、「AI」という言葉については、 あらゆるビジネス環境において馴染みが出てきておりますが、 実のところ、AIという概念はこれまでの歴史の過程の中で、 「ブーム」と「下火」になることを繰り返し、現在に至ります。 今回のコラムでは、今後、製造業における「AIの活用」や 「AIとの共存」というテーマを考えていくにあたって、 その基盤となる「AIの歴史」について、簡単にご紹介いたします。 1.第一次AIブーム 第一次AIブームは、1950年代後半~1960年代に起こったと言われています。 この時代におけるAIの具体的な機能としては、 コンピューターによる「推論」や「探索」が実現できるようになったという点が挙げられます。 推論とは ⇒ある事実をもとにして、未知の事柄をおしはかり論じること。 探索とは ⇒蓄積された情報の集合から、特定の情報要求を満たすような情報を探し出すこと。 しかしながら、当時のAIの力の及ぶ範囲としては、 例えばコンピューターによってゲームやパズルを解かせることや、 迷路のゴールを探させる程度のものに留まっていたとされており、 「トイ・プロブレム(おもちゃの問題)」以上の複雑な問題を解くことはできませんでした。 当時の社会における現実的かつ複合的な課題に対しては適応することができず、 AIが社会に果たす役割としては極めて限定的なものになるとのことから、 AIブーム自体は下火となり、その後“冬の時代”が続くことになります。 2.第二次AIブーム 第二次AIブームは、1980年代であると言われています。 この時代に起こった顕著な動きとして、専門家の知識をAIに教え込む 「エキスパートシステム」の開発が目指されたことが挙げられます。 各分野の専門家特有の知識をAIに教え込み、 その道の専門家のごとくAIが振る舞うというプログラムの開発が進みました。 しかしながら、AIへ知識を教え込むにあたって、 膨大な量の情報を人が教え込む必要があったことから、 AIの実社会への適用自体はこの時点でも十分には進みませんでした。 コスト・時間・運用面での課題を十分にクリアできなかったことから、 この時代以降、再びAIは、しばらく“冬の時代”へと突入します。 3.第三次AIブーム 第三次AIブームは、2000年代から現在まで続いていると言われています。 この時代における特筆事項として、 ①「機械学習」が実用化された ②「ディープラーニング」が登場した という大きく2つの技術革新が起こったことが挙げられます。 「機械学習」とは、人工知能のプログラム自身が 自律的に学習する仕組みのことを表します。 ここでいう「学習」の根幹は、 「認識・判断の対象となる物事を分類する」という処理のことですが、 人がAIに対してすべての知識をインプットしなくても、 一定のデータを蓄積すれば、そのデータをもとに機械が学習することによって、 解答の精度を上げるという仕組みがこの時代に発展・浸透してきました。 一方、「ディープラーニング」とは、 「第三次AIブーム到来の火付け役」とも言われており、 位置づけとしては「機械学習の一種」ということになります。 従来型の機械学習は、 人による特徴の定義が多くの場合に必要とされていましたが、 一方で、ディープラーニングの場合は、 人が特徴の定義をしなくても、マシンそのものが自律的に特徴づけを行い、 高い精度のもとに自ら学習を進めていくことができます。 元々、ディープラーニングを活用するためには 膨大な情報を長時間にわたって取り扱う必要があったため、 2000年代初頭の段階ではまだまだ実用的でないという 評価・判断が一定数存在しました。 しかし、2016年以降、ビックデータに関する取り組みの広がりや、 マシンの処理速度の高性能化によって、 ディープラーニングの取り組みが急速に広がっていきました。 大量の学習データを確保できることに加えて、 それらを学習するための時間も大幅に短縮することができるようになったことから、 ディープラーニングの導入・活用の機会が増え、第三次AIブームはさらに過熱しました。 このディープラーニングの登場により、AIは単なる一時的なブームではなく、 社会全体の発展を支えるための重要なツール・基盤としての役割を拡大させていきます。 また、このディープラーニングについては、 ①画像・動画識別力(⇒人でいう“眼”の代わり) ②自然言語・会話制御力(⇒人でいう“耳と口”の代わり) ③物体制御力(⇒人でいう“身体”の代わり) という大きく3つの点でAIの力を高め、 社会の中でのAIの実用範囲を広げたと言われています。 以上、ここまでAIの歴史について簡単にお伝えしてきました。 AIについては今後もさらに技術的な発展が見込める中、 現代の技術として「AIでできること」と「AIでできないこと」を見極めた上で、 ・何のためにAIを活用するのか?(AIの活用目的) ・いかにして自社のビジネスに活用していくか?(AIの活用方法) という2点について、積極的に追求していきたいところです。 (参考文献) 『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』 松尾 豊 (著) 『文系AI人材になる―統計・プログラム知識は不要』 野口 竜司 (著) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け “工場のAI・デジタル化”最新事例解説レポート この1冊で、工場のAI・デジタル化の最新事例がわかる! 【事例①】AI活用を通じて「見積もり業務の標準化・脱属人化」を推進! 【事例②】付加価値を生まない検査工程から人手を開放!AIを活用した外観検査体制の構築! 【事例③】現場に散乱していた生産日報・日常点検表等のペーパーレス化を実現! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/

産業用ロボットとは?工場への導入からコストまで成功させる方法徹底解説

2020.10.09

▼無料ダウンロードはこちらをクリック 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットは、工業や製造業などの産業分野で使用される目的を持ったロボットのことを指します。 産業用ロボットは、日本においても自動化された自動車工場や食品製造ラインで幅広く普及しており、さまざまな作業を担当することができます。 例えば、自由度の高いアームを使って、組立、溶接、積載や移動、塗装、検査、搬送、パッケージングなどの作業を効率的に行うことができます。過去に人手で行っていた作業を代替し、高い生産性と品質を維持しながら製品をつくっています。 これらのロボットは、多くの場合、プログラミングなどの技術を利用して制御されます。他にもセンサー技術などを活用することで、環境の変化に応じて柔軟に作業変更することができます。 2.産業用ロボットにはどんな種類がある? 産業用ロボットにはどのような種類のロボットがあるのか解説します。 代表的なものとしては「垂直多関節ロボット」「スカラロボット」「パラレルリンクロボット」「直交ロボット」の4分類に分けられます。 産業用ロボット、と言って真っ先にイメージされるのは「垂直多関節ロボット」だと思います。それぞれのロボットに特徴/得意/不得意があるため、用途に応じて使い分ける必要があります。 「ロボットを何かに使いたいから導入したい」ではロボットの種類を決めることも困難です。 「この目的のためロボットを導入したい」と自社の課題を明確にすることで、よりニーズに合ったロボットシステムの導入が可能となります。 3.産業用ロボットを導入するにはまず何をすればいいの? 先ほども書いた通り、まずは自社の課題を明確にすることが導入の第一歩となります。 すぐに課題が思い浮かばなくても心配はいりません!! 産業用ロボットを工場へ導入した事例を見ていると、「これは自分の工場でも使えそうだ」と気づくことがあると思います。水平多関節ロボットの実際の使用例や、空間を最大限に活用したロボット活用方法を見ることで、導入イメージが湧いてくるはずです。 昨今ではオンライン展示会のようなイベントも多く開催されているので、そのような場で最新の技術や導入事例に触れてヒントを得るのもいいかもしれません。 当サイトでも以下のようなロボット事例紹介コラムや事例集のダウンロードサービスなどがあります。是非参考にしてみて下さい。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/robot-jirei/ 少し情報収集をするとなんとなくイメージが湧いてきたでしょうか?イメージが湧いたら、ここから実際に産業用ロボット導入を進めていきます。 実際にロボット導入をする業者がSIer(システムインテグレーター)です。 SIerとは、構想から設計、見積もり、各種装置の手配、組付け、設置工事、試運転、操作説明等の教育、稼働立ち合いまでを請け負う機械設備屋さんです。 産業用ロボットを導入する際には必ずSIerへの依頼が必要となります。(自社で上記全てを実施できる体制があるのであれば不要ですが、、、) なので、信頼できる腕のいいSIerを選定することも産業用ロボットを導入する上で重要な項目の一つになります。 4.産業用ロボットの価格ってどれくらい? 様々な種類の産業用ロボットがありますが小型で安価な物であれば100万円程度から購入することができます。構造や機器によりますが、一般的に使われるサイズで300万~500万前後となります。 「え、ロボットって意外と安い」、「それなら1台買おう!」 そう思った方、残念ですが産業用ロボット単体ではロボットは駆動しません。 実際にロボットシステムを導入する場合、場合によりますが以下のような付帯設備が必要となります。 安全柵 制御盤 ロボット架台 ロボットハンド 各種センサー類 ワークストッカー 搬送装置 etc、、、 これらの付帯設備を設計製作するのがSIerです。 設計費等をシステムインテグレーション費用といいます。 5.実際に産業用ロボットを導入すると総額は? 上記の通り、産業用ロボット単体ではロボットシステムは成り立ちません。 様々な付帯設備により工場のニーズに合ったロボットシステムを構築していくことが必要になります。 では、実際にロボットシステムを導入しようとした場合、総額はどれくらいになるのでしょうか? 事例を交えながら見ていきましょう。 ①垂直多関節ロボットを用いた塗装ロボットシステム 防爆ロボット ¥5,000,000 付帯設備 ¥5,000,000 ロボット架台 ¥1,000,000 制御装置 ¥4,000,000 設置工事費 ¥7,000,000(試運転調整費含む) 設計費 ¥1,500,000 合計 ¥23,500,000 ②画像認識システムを用いた重量ワークのハンドリングロボットシステム 多関節ロボット ¥3,000,000 付帯設備 ¥5,000,000 制御装置 ¥7,000,000 画像認識システム ¥10,000,000 設置工事費 ¥10,000,000(試運転調整費含む) 設計費 ¥5,000,000 合計 ¥40,000,000 それぞれの現場のニーズにより総額は大きく違ってきます。 ロボットシステムを導入することでどれくらいの投資対効果を得られるのか、事前に把握しておくことが非常に重要です。 概ね、投資金額の回収は2年~5年程度で考えると良いでしょう。 例えば、①の事例のように¥23,000,000の導入コストが掛かる場合について。 人件費1人年間500万円とした場合、ロボットシステムを導入したことで2人の作業者が削減できると仮定すると、¥23,000,000÷¥10,000,000=2.3年となります。 このように投資対効果を計算することで投資判断が可能となります。 6.おわりに いかがでしたでしょうか。新規の産業用ロボット導入の際にお役立ていただけますと幸いです。 更に産業用ロボット導入やコストについてお知りになりたい方向けに、無料のレポートをご用意しております。 以下バナーより、「ロボット導入を成功させる方法と活用事例紹介レポート」を無料でダウンロードいただけます。 まずはこちらのレポートより産業用ロボットについての情報をキャッチアップいただければと思います。   【製造業】経営者向け!!工場の協働ロボット活用成功事例集 ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 中小製造業のロボット活用は協働ロボットが主流になる! 中小製造業が実践すべき協働ロボット活用のポイントと具体的な方法を解説! さらに、実際の中小製造業における協働ロボット活用成功事例をこの1冊にまとめました! https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_01539   [sc name="automation-robot"][/sc] ▼無料ダウンロードはこちらをクリック 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットは、工業や製造業などの産業分野で使用される目的を持ったロボットのことを指します。 産業用ロボットは、日本においても自動化された自動車工場や食品製造ラインで幅広く普及しており、さまざまな作業を担当することができます。 例えば、自由度の高いアームを使って、組立、溶接、積載や移動、塗装、検査、搬送、パッケージングなどの作業を効率的に行うことができます。過去に人手で行っていた作業を代替し、高い生産性と品質を維持しながら製品をつくっています。 これらのロボットは、多くの場合、プログラミングなどの技術を利用して制御されます。他にもセンサー技術などを活用することで、環境の変化に応じて柔軟に作業変更することができます。 2.産業用ロボットにはどんな種類がある? 産業用ロボットにはどのような種類のロボットがあるのか解説します。 代表的なものとしては「垂直多関節ロボット」「スカラロボット」「パラレルリンクロボット」「直交ロボット」の4分類に分けられます。 産業用ロボット、と言って真っ先にイメージされるのは「垂直多関節ロボット」だと思います。それぞれのロボットに特徴/得意/不得意があるため、用途に応じて使い分ける必要があります。 「ロボットを何かに使いたいから導入したい」ではロボットの種類を決めることも困難です。 「この目的のためロボットを導入したい」と自社の課題を明確にすることで、よりニーズに合ったロボットシステムの導入が可能となります。 3.産業用ロボットを導入するにはまず何をすればいいの? 先ほども書いた通り、まずは自社の課題を明確にすることが導入の第一歩となります。 すぐに課題が思い浮かばなくても心配はいりません!! 産業用ロボットを工場へ導入した事例を見ていると、「これは自分の工場でも使えそうだ」と気づくことがあると思います。水平多関節ロボットの実際の使用例や、空間を最大限に活用したロボット活用方法を見ることで、導入イメージが湧いてくるはずです。 昨今ではオンライン展示会のようなイベントも多く開催されているので、そのような場で最新の技術や導入事例に触れてヒントを得るのもいいかもしれません。 当サイトでも以下のようなロボット事例紹介コラムや事例集のダウンロードサービスなどがあります。是非参考にしてみて下さい。 https://smart-factory.funaisoken.co.jp/robot-jirei/ 少し情報収集をするとなんとなくイメージが湧いてきたでしょうか?イメージが湧いたら、ここから実際に産業用ロボット導入を進めていきます。 実際にロボット導入をする業者がSIer(システムインテグレーター)です。 SIerとは、構想から設計、見積もり、各種装置の手配、組付け、設置工事、試運転、操作説明等の教育、稼働立ち合いまでを請け負う機械設備屋さんです。 産業用ロボットを導入する際には必ずSIerへの依頼が必要となります。(自社で上記全てを実施できる体制があるのであれば不要ですが、、、) なので、信頼できる腕のいいSIerを選定することも産業用ロボットを導入する上で重要な項目の一つになります。 4.産業用ロボットの価格ってどれくらい? 様々な種類の産業用ロボットがありますが小型で安価な物であれば100万円程度から購入することができます。構造や機器によりますが、一般的に使われるサイズで300万~500万前後となります。 「え、ロボットって意外と安い」、「それなら1台買おう!」 そう思った方、残念ですが産業用ロボット単体ではロボットは駆動しません。 実際にロボットシステムを導入する場合、場合によりますが以下のような付帯設備が必要となります。 安全柵 制御盤 ロボット架台 ロボットハンド 各種センサー類 ワークストッカー 搬送装置 etc、、、 これらの付帯設備を設計製作するのがSIerです。 設計費等をシステムインテグレーション費用といいます。 5.実際に産業用ロボットを導入すると総額は? 上記の通り、産業用ロボット単体ではロボットシステムは成り立ちません。 様々な付帯設備により工場のニーズに合ったロボットシステムを構築していくことが必要になります。 では、実際にロボットシステムを導入しようとした場合、総額はどれくらいになるのでしょうか? 事例を交えながら見ていきましょう。 ①垂直多関節ロボットを用いた塗装ロボットシステム 防爆ロボット ¥5,000,000 付帯設備 ¥5,000,000 ロボット架台 ¥1,000,000 制御装置 ¥4,000,000 設置工事費 ¥7,000,000(試運転調整費含む) 設計費 ¥1,500,000 合計 ¥23,500,000 ②画像認識システムを用いた重量ワークのハンドリングロボットシステム 多関節ロボット ¥3,000,000 付帯設備 ¥5,000,000 制御装置 ¥7,000,000 画像認識システム ¥10,000,000 設置工事費 ¥10,000,000(試運転調整費含む) 設計費 ¥5,000,000 合計 ¥40,000,000 それぞれの現場のニーズにより総額は大きく違ってきます。 ロボットシステムを導入することでどれくらいの投資対効果を得られるのか、事前に把握しておくことが非常に重要です。 概ね、投資金額の回収は2年~5年程度で考えると良いでしょう。 例えば、①の事例のように¥23,000,000の導入コストが掛かる場合について。 人件費1人年間500万円とした場合、ロボットシステムを導入したことで2人の作業者が削減できると仮定すると、¥23,000,000÷¥10,000,000=2.3年となります。 このように投資対効果を計算することで投資判断が可能となります。 6.おわりに いかがでしたでしょうか。新規の産業用ロボット導入の際にお役立ていただけますと幸いです。 更に産業用ロボット導入やコストについてお知りになりたい方向けに、無料のレポートをご用意しております。 以下バナーより、「ロボット導入を成功させる方法と活用事例紹介レポート」を無料でダウンロードいただけます。 まずはこちらのレポートより産業用ロボットについての情報をキャッチアップいただければと思います。   【製造業】経営者向け!!工場の協働ロボット活用成功事例集 ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ 中小製造業のロボット活用は協働ロボットが主流になる! 中小製造業が実践すべき協働ロボット活用のポイントと具体的な方法を解説! さらに、実際の中小製造業における協働ロボット活用成功事例をこの1冊にまとめました! https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_01539   [sc name="automation-robot"][/sc]

コロナ禍で求められるAI・デジタル活用による業務改革

2020.10.05

1.今、直面している日本の人材不足 日本の人口は、2009年をピークに毎年減少し続けています。総務省によると、2020年1月1日現在の日本の人口は1億2602万人、そのうち15~64歳の人口は7513万人となり、これは全体の約60%の人が労働人口として該当することを示します。また、国立社会保障・人口問題研究所の生産年齢人口の調査によると、2015年には7,728万人いた労働世代の人口が、2029年には7,000万人、2056年には5,000万人を割り込むと予測されています。 さらに、少子高齢化による労働人口の減少により、有効求人倍率も上昇しています。有効求人倍率とは、就職希望者一人当たりに何件の求人があるかを表した数値のことです。厚生労働省によると、2009年度から2019年までに有効求人倍率は10年連続で上昇しています。2019年度の有効求人倍率1.55倍に比べ、2020年度は新型コロナウイルスによる影響で1.08倍まで低下しましたが、人口が減っている以上、人材不足問題は更に大きくなっていくことが予想されます。 また、中小企業庁が発表する「中小企業白書」によると、1986年時点では、ほぼすべての地域で製造業の従業者が最多でした。しかし、2014年時点では、小売業やサービス業の労働者数が最多となる市町村が増加し、製造業からサービス業へと産業構造が変化していることも大きな問題です。 2.Withコロナで求められる本気の業務改革 業務改革と言えば、2016年8月に閣議決定した「働き方改革」より、プライベートの時間を大切にする価値観が広まり、労働者側の価値観の変化と多様化が進みました。 働き方改革の目的の一つは、今年に開催される予定だった東京オリンピックの初日をテレワーク・デイとして、企業への在宅や本社以外のオフィスでの勤務を呼び掛け、通勤者を減らし、東京オリンピックの期間中に観戦者が朝のラッシュ時に移動できるような環境作りをするというものでした。しかし、コロナをきっかけに多くの企業が半ば強制的に従来の仕事のやり方について見直しを迫られました。他人事であったテレワークやそれに伴う社内ツールのデジタル化について避けられない状況に直面した企業は多いでしょう。その中でたくさんの新しい価値観が生まれたことは間違いなく、この価値観は今後の生活・仕事のスタンダードとなっていくでしょう。 仕事の業務についても新しい価値観が生まれました。それはハンコ文化に代表される「業務の簡素化」です。すべてのことに「目の前の業務が本当に意味・価値はあるのか」と立ち止まって考える習慣が生まれました。意味がなければ廃止する。無駄だと感じてきた人力でアナログな作業はデジタル化に移行して効率化しようといった考え方をする人が多くなりました。 このような考え方をする人が多くなってきた中で、企業としてその波に乗れない企業は大きなリスクは抱えることになるでしょう。それは、デジタル化により業務効率化が図れないリスクではありません。最も重要なリスクは「社員のモチベーションの低下」です。今、デジタル化に対する社員の目は敏感です。自社がデジタル化に対応してくれないと感じれば、会社への信頼は揺らぎ、個々人のやる気は失われていくでしょう。逆に会社としてデジタル化に積極的な姿勢を見せれば、社員は「会社が社員のことを考えてくれている」と感じ、積極的に仕事に取り組むようになります。デジタル化への姿勢とは、効率化の数値に見えないところで社員に影響していくものです。 3.各業界の取り組み では、今各業界ではどのような取り組みがなされているのでしょうか。実例を挙げて見ていきましょう。少ない人材を効率よく回しながら従業員の満足度を上げるための第一歩として、マニュアル化された定型度の高い業務の自動化が挙げられます。そこには、人間の知的なふるまいを人工的に再現することができる「AI」が活用されています。ここでは、デジタル化の中でもAIを活用したシステムを紹介していきます。 例えば銀行では、取引時に印鑑票という顧客の印影や個人情報を記載した書類を利用します。実際、とある銀行では、数億ページの印鑑票を複数の倉庫に保管し、必要に応じて専用端末から参照していたのですが、書類の電子化は進んでおらず事務処理に膨大な時間がかかっていたそうです。その書類を、光学的文字認識(OCR)という書面上の文字を読み取り電子化するAI技術(AIOCR)を用いて電子化したことで、大幅に業務が効率化したことが報告されています。 また、弊社船井総合研究所では、人材の採用にAIを活用しています。AIによって、似た志向を持つ、相性の良いコンサルタントをマッチングさせ、面接官ではなくリクルーターとして内定までを応援しています。面接官がすべての学生からの質問を担当するのではなく、選定されたコンサルタントに選考に関しての質問や悩みを相談できるので、入社してからの意識の乖離を減少させることができるだけでなく、お互いが効率よく時間を使うことができます。 他にも、AIチャットボットによりお問い合わせ業務担当者の人員を削減、営業手段の1つであるTwitterへの投稿代行、製造現場では不良発生傾向を自動分類するなどAIでできることは多岐に渡ります。 4.AIが社会基盤を構築するようになった世界 AIによって雇用が奪われる危険性があるとの指摘があります。しかし、それは悲観的な見方であり、実際は期待される要素の方が多くあります。「人員不足が加速する中、AIで出来ることはAIに置きかえ、浮いた時間・人員を本来行うべき付加価値の高い仕事に充てる」という考えが近い将来には主流になっていきます。残念ながら今は長時間労働が前提とした働き方が多いですが、長時間労働のすべてが付加価値の高い仕事ではないはずです。「人がやるべき仕事」「AIにやらせる仕事」の役割分担がより明確になっていく中で、生産性の低い作業は自然になくなっていくでしょう。勘違いしてはいけないのは、AIは大企業だけが導入しているわけではありません。企業規模に関係なくAIを取り入れている企業は多くおります。テレワークが他人事ではなくなったように、AIも他人事ではありません。人口が減少していく日本社会において、AIは 我々の生活・仕事隅々にまで恩恵を与えることでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け “工場のAI・デジタル化”最新事例解説レポート この1冊で、工場のAI・デジタル化の最新事例がわかる! 【事例①】AI活用を通じて「見積もり業務の標準化・脱属人化」を推進! 【事例②】付加価値を生まない検査工程から人手を開放!AIを活用した外観検査体制の構築! 【事例③】現場に散乱していた生産日報・日常点検表等のペーパーレス化を実現! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/ 1.今、直面している日本の人材不足 日本の人口は、2009年をピークに毎年減少し続けています。総務省によると、2020年1月1日現在の日本の人口は1億2602万人、そのうち15~64歳の人口は7513万人となり、これは全体の約60%の人が労働人口として該当することを示します。また、国立社会保障・人口問題研究所の生産年齢人口の調査によると、2015年には7,728万人いた労働世代の人口が、2029年には7,000万人、2056年には5,000万人を割り込むと予測されています。 さらに、少子高齢化による労働人口の減少により、有効求人倍率も上昇しています。有効求人倍率とは、就職希望者一人当たりに何件の求人があるかを表した数値のことです。厚生労働省によると、2009年度から2019年までに有効求人倍率は10年連続で上昇しています。2019年度の有効求人倍率1.55倍に比べ、2020年度は新型コロナウイルスによる影響で1.08倍まで低下しましたが、人口が減っている以上、人材不足問題は更に大きくなっていくことが予想されます。 また、中小企業庁が発表する「中小企業白書」によると、1986年時点では、ほぼすべての地域で製造業の従業者が最多でした。しかし、2014年時点では、小売業やサービス業の労働者数が最多となる市町村が増加し、製造業からサービス業へと産業構造が変化していることも大きな問題です。 2.Withコロナで求められる本気の業務改革 業務改革と言えば、2016年8月に閣議決定した「働き方改革」より、プライベートの時間を大切にする価値観が広まり、労働者側の価値観の変化と多様化が進みました。 働き方改革の目的の一つは、今年に開催される予定だった東京オリンピックの初日をテレワーク・デイとして、企業への在宅や本社以外のオフィスでの勤務を呼び掛け、通勤者を減らし、東京オリンピックの期間中に観戦者が朝のラッシュ時に移動できるような環境作りをするというものでした。しかし、コロナをきっかけに多くの企業が半ば強制的に従来の仕事のやり方について見直しを迫られました。他人事であったテレワークやそれに伴う社内ツールのデジタル化について避けられない状況に直面した企業は多いでしょう。その中でたくさんの新しい価値観が生まれたことは間違いなく、この価値観は今後の生活・仕事のスタンダードとなっていくでしょう。 仕事の業務についても新しい価値観が生まれました。それはハンコ文化に代表される「業務の簡素化」です。すべてのことに「目の前の業務が本当に意味・価値はあるのか」と立ち止まって考える習慣が生まれました。意味がなければ廃止する。無駄だと感じてきた人力でアナログな作業はデジタル化に移行して効率化しようといった考え方をする人が多くなりました。 このような考え方をする人が多くなってきた中で、企業としてその波に乗れない企業は大きなリスクは抱えることになるでしょう。それは、デジタル化により業務効率化が図れないリスクではありません。最も重要なリスクは「社員のモチベーションの低下」です。今、デジタル化に対する社員の目は敏感です。自社がデジタル化に対応してくれないと感じれば、会社への信頼は揺らぎ、個々人のやる気は失われていくでしょう。逆に会社としてデジタル化に積極的な姿勢を見せれば、社員は「会社が社員のことを考えてくれている」と感じ、積極的に仕事に取り組むようになります。デジタル化への姿勢とは、効率化の数値に見えないところで社員に影響していくものです。 3.各業界の取り組み では、今各業界ではどのような取り組みがなされているのでしょうか。実例を挙げて見ていきましょう。少ない人材を効率よく回しながら従業員の満足度を上げるための第一歩として、マニュアル化された定型度の高い業務の自動化が挙げられます。そこには、人間の知的なふるまいを人工的に再現することができる「AI」が活用されています。ここでは、デジタル化の中でもAIを活用したシステムを紹介していきます。 例えば銀行では、取引時に印鑑票という顧客の印影や個人情報を記載した書類を利用します。実際、とある銀行では、数億ページの印鑑票を複数の倉庫に保管し、必要に応じて専用端末から参照していたのですが、書類の電子化は進んでおらず事務処理に膨大な時間がかかっていたそうです。その書類を、光学的文字認識(OCR)という書面上の文字を読み取り電子化するAI技術(AIOCR)を用いて電子化したことで、大幅に業務が効率化したことが報告されています。 また、弊社船井総合研究所では、人材の採用にAIを活用しています。AIによって、似た志向を持つ、相性の良いコンサルタントをマッチングさせ、面接官ではなくリクルーターとして内定までを応援しています。面接官がすべての学生からの質問を担当するのではなく、選定されたコンサルタントに選考に関しての質問や悩みを相談できるので、入社してからの意識の乖離を減少させることができるだけでなく、お互いが効率よく時間を使うことができます。 他にも、AIチャットボットによりお問い合わせ業務担当者の人員を削減、営業手段の1つであるTwitterへの投稿代行、製造現場では不良発生傾向を自動分類するなどAIでできることは多岐に渡ります。 4.AIが社会基盤を構築するようになった世界 AIによって雇用が奪われる危険性があるとの指摘があります。しかし、それは悲観的な見方であり、実際は期待される要素の方が多くあります。「人員不足が加速する中、AIで出来ることはAIに置きかえ、浮いた時間・人員を本来行うべき付加価値の高い仕事に充てる」という考えが近い将来には主流になっていきます。残念ながら今は長時間労働が前提とした働き方が多いですが、長時間労働のすべてが付加価値の高い仕事ではないはずです。「人がやるべき仕事」「AIにやらせる仕事」の役割分担がより明確になっていく中で、生産性の低い作業は自然になくなっていくでしょう。勘違いしてはいけないのは、AIは大企業だけが導入しているわけではありません。企業規模に関係なくAIを取り入れている企業は多くおります。テレワークが他人事ではなくなったように、AIも他人事ではありません。人口が減少していく日本社会において、AIは 我々の生活・仕事隅々にまで恩恵を与えることでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け “工場のAI・デジタル化”最新事例解説レポート この1冊で、工場のAI・デジタル化の最新事例がわかる! 【事例①】AI活用を通じて「見積もり業務の標準化・脱属人化」を推進! 【事例②】付加価値を生まない検査工程から人手を開放!AIを活用した外観検査体制の構築! 【事例③】現場に散乱していた生産日報・日常点検表等のペーパーレス化を実現! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/

VOL2・・協働ロボットって何?<協働ロボットの特徴や現場への導入事例をご紹介>

2020.09.28

前回のコラムで協働ロボットについての記事を作成しましたが、反響が良かった為VOL2と題しまして協働ロボットについてもう少し詳しく述べていこうと思います。 まずは協働ロボットとは何か?のおさらい 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と一緒に作業を行う事の出来る産業用ロボットです。 本来産業用ロボットというのは、非常に力持ちです。ロボットの種類や大きさによるものの人を遥かに超える大きな力をもっている為に産業用ロボットの稼働範囲に人が入ってしまうと重篤な災害を引き起こすリスクがあります。 その為、産業用ロボットの周囲には安全柵の設置が必要であり、安全柵はロボットが停止していないと開かない様になっています。 完全にロボットのみで完結するシステムであれば問題無いのですが、あくまで人が組立作業を行うが人の作業をロボットで補助して欲しいというニーズや普段は必要無いが、生産ラインに欠員等の人員不足等があった際にロボットを使用したいというニーズが多くあります。 2013年12月に以下のとおり規制が緩和されたことをきっかけに、労働者に危険が生じない産業用ロボットの開発が進みました。それこそが協働ロボットです。 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。 厚生労働省『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』より 産業用ロボットを使用する事業者が、労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるときは、本条の「労働者に危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しません。 『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』(平成25年12月24日付基発1224第2号通達)より 協働ロボットは一般的にモーターの定格出力が80Wを超えない様になっています。そして何かに衝突したり大きな負荷がロボットに掛かった場合は即時モータ電源が遮断されるようになっています。感覚的に言えば、道を歩いていてすれ違う人と軽く肩がぶつかった時の衝撃よりも軽い衝撃でロボットは停止する様になっており、作業者が仮にロボットに接触しても大きな災害につながるリスクは小さいのです。 2.協働ロボットの特徴 協働ロボットは安全の為に他の産業用ロボットに比べて非常に非力に作られています。 非力であるが故に大きなモノや重たいモノは持つ事も素早く動く事も出来ません。 しかし、下記の様な特長を持っています。 1、非常にコンパクトで軽量な為に必要に応じてロボットを移動して別の場所で使う事が出来る。 ※協働ロボットの架台にキャスターが付いているモノも多いです。 2、直接教示が可能なモノが多く簡単に動かす事が出来る。 ※直接教示はダイレクトティーチングとも呼ばれ、人の手でロボットハンドを指定したい場所に動かしてポイントを登録するだけでティーチング出来るという教示法。簡単で早い教示が可能です。 3、コンセント繋げれば使える。大がかりなシステムが必要無い為、導入コストを引き下げる事が出来る。 ※協働ロボット単体の単価は一般の産業用ロボットに比べて高めですが、安全対策機器に掛かる費用やシステム設計費等を抑制する事が出来るのでシステム全体としての費用は抑える事が出来ます。 4、ビジョンセンサ等をセンシング機器とアッセンブリで販売されているモノも多く用途に合わせて選ぶ事が出来る。 5、操作が簡単に誰でも出来る様にアプリケーションの開発が進んでおり、一般的な産業用ロボットに比べて遥かに使いやすい。 協働ロボットはこのような特徴をもっており、一般の産業用ロボットでは不可能な事が可能となる面をもっています。作業者のすぐそばで作業をする為に、安全性と操作性に非常に特化されており【身近なロボット】として生産現場で活躍しています。 協働ロボットは非常に非力と記述しましたが、現在の開発競争の中、可搬重量が数10KGを超える協働ロボットも出てきています。安全対策の進歩により、かなり力のある協働ロボットも世に出てきており、数年後には協働ロボットは一般産業用ロボットの可搬性能に並んでいくかも知れませんね。 如何でしょうか。これまでは前回の記事でも述べた協働ロボットとは何か?という記事になりますが、ここからは、より具体的な導入事例について述べていきます。 3.協働ロボットの活用方法や導入事例 協働ロボットのトップメーカーでもあるUR(ユニバーサールロボット社)様では様々な導入事例をYOUTUBEにアップされており誰でも見る事が出来ますので一部ご紹介します。 事例① JVC ELECTRONICS INDONESIA社(日本企業、インドネシア、電子部品)の協働ロボット導入事例:部品の搬送、ネジ留め、はんだ付け https://www.youtube.com/watch?v=HMd7zL6sGDM 事例② 光洋電子工業株式会社 (日本、電子機器関連)の協働ロボット導入:タッチパネルの反応検査 https://www.youtube.com/watch?v=_NegT1jVdgs&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=2 事例③ GKNドライブライン株式会社(日本、自動車関連)の協働ロボット導入事例:ギアの嵌合、プレートの表裏判定 https://www.youtube.com/watch?v=JLQxe6OCGds&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=1 事例④ 日本ゼトック株式会社(日本、医薬品等)の協働ロボット導入事例:商品の小箱入れ、段ボールの梱包 https://www.youtube.com/watch?v=h5EWpnBOEJY 事例⑤ Toolcraft様 (アメリカ、金属および機械加工)の協働ロボット導入: ピック・アンド・プレイス https://www.youtube.com/watch?v=gIGLt1Cyd7k 如何でしたか? 協働ロボットは何か?どのような事が出来るのか?については上記の動画を閲覧頂ければ概要は良くご理解いただけると思います。 協働ロボットは他ロボット同様にハンドエフェクターに様々な工夫を凝らす事で様々な分野に応用出来ます。本コラムでは紹介出来ていませんが、アーク溶接が出来る協働ロボットもあります。 4.協働ロボットの選定 協働ロボットを選定する為には、まず自動化したい工程で把持するワークや工具の重量を確認しましょう。 基本的に産業用ロボットの選定は可搬重量(最大積載量)で決まってきます。 一般的な協働ロボットの可搬重量は10kg程度なので、ワークのピック&プレースを実行させる場合、ハンドエフェクタ+把持するワークの重量を10kg以下に抑える必要がありますので、ハンドエフェクタの設計やロボットの選定にはきちんと自動化したい工程やワークの重量を確認して選定する必要があります。 可搬重量については10kg可搬程度が一般的ですが、ファナック様から35kg可搬のCR35iAもリリースされています。大きなモノを持ち上げるハンドエフェクターの設計が必要ですが、高重量物にも対応する事も可能です。 次に可動範囲(リーチ)です。 協働ロボットを中心にロボットハンドがどの距離まで届くかというものです。 例えば、NC工作機械へのワーク供給、排出をさせたい時、工作機械のチャック部分からワークを仮置きしておく台までの距離でおよそ必要なリーチが把握出来ますので、その距離に無理なく到達出来るリーチのロボットを選定します。注意点としては、ロボットのスペック表等に記載してある最大リーチは極限られた姿勢でしか発揮出来ないものです。実用する為には、各軸が様々な向き位置にいる中で必要なリーチに届く必要がありますので、スペック表の最大リーチギリギリの選定は失敗になりやすいのでご注意下さい。 最後はオプション品です。 自動化させたい工程や要求される品質によって、協働ロボットに様々オプションを付ける事が出来ます。 2D、3Dのカメラであったり、溶接のトーチ、トルクセンサ等あります。 協働ロボットメーカー推奨のオプション品もあり、よりロボットと互換性のあるモノを選ぶ事が出来ますので自動化させたい工程によって必要なオプション品が選べる協働ロボットを選定するのも大事です。 本記事では、協働ロボットの特徴や導入事例、選定方法について述べてきましたが如何でしたか? 協働ロボットの機動性や扱いやすさは他の産業用ロボットとくらべ群を抜いています。 省スペースで安全柵が不要だからこそ、既存のレイアウトに収まる。一つの工程だけではなく、事情、環境に合わせて違う場所、用途で使用できる等メリットが沢山あります。 多品種少量生産が求められる日本の製造業にこそ協働ロボットは活きるのではないでしょうか。 ロボットの導入を検討されているが既存の産業用ロボットはどうかなとお考えの方にも是非検討して頂きたいと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 前回のコラムで協働ロボットについての記事を作成しましたが、反響が良かった為VOL2と題しまして協働ロボットについてもう少し詳しく述べていこうと思います。 まずは協働ロボットとは何か?のおさらい 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と一緒に作業を行う事の出来る産業用ロボットです。 本来産業用ロボットというのは、非常に力持ちです。ロボットの種類や大きさによるものの人を遥かに超える大きな力をもっている為に産業用ロボットの稼働範囲に人が入ってしまうと重篤な災害を引き起こすリスクがあります。 その為、産業用ロボットの周囲には安全柵の設置が必要であり、安全柵はロボットが停止していないと開かない様になっています。 完全にロボットのみで完結するシステムであれば問題無いのですが、あくまで人が組立作業を行うが人の作業をロボットで補助して欲しいというニーズや普段は必要無いが、生産ラインに欠員等の人員不足等があった際にロボットを使用したいというニーズが多くあります。 2013年12月に以下のとおり規制が緩和されたことをきっかけに、労働者に危険が生じない産業用ロボットの開発が進みました。それこそが協働ロボットです。 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。 厚生労働省『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』より 産業用ロボットを使用する事業者が、労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるときは、本条の「労働者に危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しません。 『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』(平成25年12月24日付基発1224第2号通達)より 協働ロボットは一般的にモーターの定格出力が80Wを超えない様になっています。そして何かに衝突したり大きな負荷がロボットに掛かった場合は即時モータ電源が遮断されるようになっています。感覚的に言えば、道を歩いていてすれ違う人と軽く肩がぶつかった時の衝撃よりも軽い衝撃でロボットは停止する様になっており、作業者が仮にロボットに接触しても大きな災害につながるリスクは小さいのです。 2.協働ロボットの特徴 協働ロボットは安全の為に他の産業用ロボットに比べて非常に非力に作られています。 非力であるが故に大きなモノや重たいモノは持つ事も素早く動く事も出来ません。 しかし、下記の様な特長を持っています。 1、非常にコンパクトで軽量な為に必要に応じてロボットを移動して別の場所で使う事が出来る。 ※協働ロボットの架台にキャスターが付いているモノも多いです。 2、直接教示が可能なモノが多く簡単に動かす事が出来る。 ※直接教示はダイレクトティーチングとも呼ばれ、人の手でロボットハンドを指定したい場所に動かしてポイントを登録するだけでティーチング出来るという教示法。簡単で早い教示が可能です。 3、コンセント繋げれば使える。大がかりなシステムが必要無い為、導入コストを引き下げる事が出来る。 ※協働ロボット単体の単価は一般の産業用ロボットに比べて高めですが、安全対策機器に掛かる費用やシステム設計費等を抑制する事が出来るのでシステム全体としての費用は抑える事が出来ます。 4、ビジョンセンサ等をセンシング機器とアッセンブリで販売されているモノも多く用途に合わせて選ぶ事が出来る。 5、操作が簡単に誰でも出来る様にアプリケーションの開発が進んでおり、一般的な産業用ロボットに比べて遥かに使いやすい。 協働ロボットはこのような特徴をもっており、一般の産業用ロボットでは不可能な事が可能となる面をもっています。作業者のすぐそばで作業をする為に、安全性と操作性に非常に特化されており【身近なロボット】として生産現場で活躍しています。 協働ロボットは非常に非力と記述しましたが、現在の開発競争の中、可搬重量が数10KGを超える協働ロボットも出てきています。安全対策の進歩により、かなり力のある協働ロボットも世に出てきており、数年後には協働ロボットは一般産業用ロボットの可搬性能に並んでいくかも知れませんね。 如何でしょうか。これまでは前回の記事でも述べた協働ロボットとは何か?という記事になりますが、ここからは、より具体的な導入事例について述べていきます。 3.協働ロボットの活用方法や導入事例 協働ロボットのトップメーカーでもあるUR(ユニバーサールロボット社)様では様々な導入事例をYOUTUBEにアップされており誰でも見る事が出来ますので一部ご紹介します。 事例① JVC ELECTRONICS INDONESIA社(日本企業、インドネシア、電子部品)の協働ロボット導入事例:部品の搬送、ネジ留め、はんだ付け https://www.youtube.com/watch?v=HMd7zL6sGDM 事例② 光洋電子工業株式会社 (日本、電子機器関連)の協働ロボット導入:タッチパネルの反応検査 https://www.youtube.com/watch?v=_NegT1jVdgs&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=2 事例③ GKNドライブライン株式会社(日本、自動車関連)の協働ロボット導入事例:ギアの嵌合、プレートの表裏判定 https://www.youtube.com/watch?v=JLQxe6OCGds&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=1 事例④ 日本ゼトック株式会社(日本、医薬品等)の協働ロボット導入事例:商品の小箱入れ、段ボールの梱包 https://www.youtube.com/watch?v=h5EWpnBOEJY 事例⑤ Toolcraft様 (アメリカ、金属および機械加工)の協働ロボット導入: ピック・アンド・プレイス https://www.youtube.com/watch?v=gIGLt1Cyd7k 如何でしたか? 協働ロボットは何か?どのような事が出来るのか?については上記の動画を閲覧頂ければ概要は良くご理解いただけると思います。 協働ロボットは他ロボット同様にハンドエフェクターに様々な工夫を凝らす事で様々な分野に応用出来ます。本コラムでは紹介出来ていませんが、アーク溶接が出来る協働ロボットもあります。 4.協働ロボットの選定 協働ロボットを選定する為には、まず自動化したい工程で把持するワークや工具の重量を確認しましょう。 基本的に産業用ロボットの選定は可搬重量(最大積載量)で決まってきます。 一般的な協働ロボットの可搬重量は10kg程度なので、ワークのピック&プレースを実行させる場合、ハンドエフェクタ+把持するワークの重量を10kg以下に抑える必要がありますので、ハンドエフェクタの設計やロボットの選定にはきちんと自動化したい工程やワークの重量を確認して選定する必要があります。 可搬重量については10kg可搬程度が一般的ですが、ファナック様から35kg可搬のCR35iAもリリースされています。大きなモノを持ち上げるハンドエフェクターの設計が必要ですが、高重量物にも対応する事も可能です。 次に可動範囲(リーチ)です。 協働ロボットを中心にロボットハンドがどの距離まで届くかというものです。 例えば、NC工作機械へのワーク供給、排出をさせたい時、工作機械のチャック部分からワークを仮置きしておく台までの距離でおよそ必要なリーチが把握出来ますので、その距離に無理なく到達出来るリーチのロボットを選定します。注意点としては、ロボットのスペック表等に記載してある最大リーチは極限られた姿勢でしか発揮出来ないものです。実用する為には、各軸が様々な向き位置にいる中で必要なリーチに届く必要がありますので、スペック表の最大リーチギリギリの選定は失敗になりやすいのでご注意下さい。 最後はオプション品です。 自動化させたい工程や要求される品質によって、協働ロボットに様々オプションを付ける事が出来ます。 2D、3Dのカメラであったり、溶接のトーチ、トルクセンサ等あります。 協働ロボットメーカー推奨のオプション品もあり、よりロボットと互換性のあるモノを選ぶ事が出来ますので自動化させたい工程によって必要なオプション品が選べる協働ロボットを選定するのも大事です。 本記事では、協働ロボットの特徴や導入事例、選定方法について述べてきましたが如何でしたか? 協働ロボットの機動性や扱いやすさは他の産業用ロボットとくらべ群を抜いています。 省スペースで安全柵が不要だからこそ、既存のレイアウトに収まる。一つの工程だけではなく、事情、環境に合わせて違う場所、用途で使用できる等メリットが沢山あります。 多品種少量生産が求められる日本の製造業にこそ協働ロボットは活きるのではないでしょうか。 ロボットの導入を検討されているが既存の産業用ロボットはどうかなとお考えの方にも是非検討して頂きたいと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

専門コンサルタント厳選!多品種少量中小企業のロボット導入事例3選

2020.09.11

今回は、忙しくてロボット導入事例を調べる時間が取れない経営者の方のために、ロボット導入実証事業(経済産業省)の補助金制度を活用した中小企業のロボット導入事例を厳選して解説します。※ロボット導入実証事業事例紹介ハンドブックはこちらから http://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf 1.従業員を重労働から解放!空いた工数を検査へ回し品質向上!パレット積み工程のロボット化 概要 製品出荷前の最終工程となる段ボールのパレット積み作業で、最大12kgの箱を高さ170cmまで積み上げる作業をロボット化 導入効果 投資金額¥25,000,000 投資効果¥4,800,000/年 ロボット導入により作業人員は導入前の10人から8人に削減 投資回収年はおよそ5年程度 解説 従業員45名の企業様のロボット導入事例です。 ロボット導入に際し問題となった点は、顧客ごとに大きさや形状の違う段ボールを顧客の要望ごとに荷造り(積み方、積載数)する必要があり自動化が困難と思われた点です。 しかし、そのような多種の条件に対応できるハンド設計や制御方法の工夫等、ハードとソフトの両面から解決方法にアプローチし対応を可能としています。 さらに、限られたスペースの中でロボット・コンベア・パレット置き場を設置するために省スペース型のパレットチェンジャーを開発設計しています。これらのことにより検討当初は困難と思われた多品種対応を実現しました。 この工程以外にも、おそらく簡単にロボット導入を検討できる工程はあったはずです。 その中でも“あえて”従業員の負担(重労働)を減らすために優先してパレット積みのロボット化に踏み切ったのだと思われます。 従業員を第一に考えた経営者の姿勢が見えてくる導入事例です。 さらに、空いた工数は検査工程に割り振り品質面でも工場が図れたとのこと。 生産性向上(省人化)、品質向上、重労働からの解放(省力化)の3つを同時に実現した中小企業ならではの良い事例です。 2.熟練職人の溶接作業を整理、分類、パターン化!職人の溶接作業をティーチングレスでロボット化に成功! 概要 受注ごとに寸法や形状が異なる特注大型門扉製造工程における溶接作業をロボット化 導入効果 投資金額¥60,000,000 投資効果 生産数:2倍 利益増:¥10,000,000/年 省人化:2名→1名 ロボット導入により2名の作業員を1名へ省人、さらに生産数は2倍に増加し年間¥10,000,000の利益増を生み出しています。 解説 特注品の大型溶接ワークは受注ごとに寸法や形状が異なることからオフラインティーチングを活用するのが一般的です。しかし、この企業様では溶接の職人作業を1からヒアリングし、整理、分類することでパターン化することを考えました。 そのパターンを事前に何種類かに分け、教示データを作りこみます。現場ではそのパターンの中から種類を選択し必要な数字を入力するだけでロボット自身が動作を作るため、溶接スキルの有無に関わらず、誰でもロボット操作が可能となっています。 難解なオフラインティーチングの導入教育や図面の3次元CAD化をすることなく、多品種生産にロボットを活用できた事例です。 この事例における優れた点は、熟練作業者の勘とコツを整理、分類しパターン化したこと、そのように属人化していた作業をしっかりと分析し体系化したことです。 その結果溶接スキルの有無に関わらず、誰でも操作することが可能となりました。 オフラインティーチングソフト購入費用及び導入教育費用、設計の3次元化等の費用も削減できています。 今回の事例のように数字を入力するだけでシステム自身が動作を作って実行するようなシステムを構築することができれば、通常のティーチングやオフラインティーチングによるシステムではロボット化のメリットが出せないような一品一様の生産の場合でも労働生産性を高めしっかりとメリットを出すことが可能です。 日本の中小製造業における熟練職人の技術力は世界でもトップレベルの技術力であることは間違いありません。近年、世界の製造業では日本の中小企業の職人技術を欲している、との話もあります。しかし、その「職人技」をどのようにして継承していくかという課題もあります。 その職人技の継承に真っ向から取り組み、パターン化しロボット化したことは今後、日本の製造業があらためて世界のトップに上り詰めるためにも、大変重要なことではないでしょうか。 3.システム簡素化で導入コスト削減!!多品種少量マシニングセンター加工のワーク着脱ロボット化! 概要 少ロット切削加工のワーク着脱工程をロボット化、カメラ・画像処理によるワーク判別に代わり、シンプルな位置決めパレットを採用してコストダウン。 導入効果 投資金額¥17,500,000 投資効果 生産数:12個/日→22個/日 省人化:2名→1名 投資回収年 2.2年 解説 航空機向け部品を中心に高精度・小ロットの切削加工を行っている企業の事例です。 1~10個の小ロット品が多く、マシニングセンターへのワーク着脱の頻度が高い状況で作業員が装置の傍についている時間が長く、時間がかかる割に単純作業であることからロボット化を実施しました。 小ロット加工品(多品種少量生産)をロボット化する場合、様々なワーク形状に対応するために3Dカメラや画像処理システム、各種センサーなどと組み合わせロボットに様々な付加機能を持たせた複雑なシステムを構築しがちです。確かに、そのような最新技術を用いたロボットシステムを導入すればロボットができる仕事は増えるかもしれません。しかし、導入費用の高額化や教育の必要性、トラブル対応の難易度などを考慮すると中小企業では導入が困難な場合も少なくありません。 そういった背景の中で今回の事例では以下3つのポイントをおさえてシステムの簡素化に成功しました。 ①加工対象ワークのサイズと種類を絞り込む ②ワークの把持部分を共通化するための設計変更を実施する ③8個以上の中ロット品に限定する 以上のような工夫を行い、ワーク判別のための3Dカメラや画像処理システムをはじめ、導入コスト上昇につながる周辺設備を極力省いたシンプルはロボットシステムを構築しました。 従来コスト¥2480万円のところ、システムの簡素化により導入コストは¥1750万円に抑えられ、¥730万円のコスト削減となりました。 初めてのロボットシステムの導入となると、あれもこれもと付帯設備、付加機能を追加したくなります。 3Dカメラや画像処理システムを付加機能として追加するということはロボットに「目」を持たせる、ということです。それだけでも何百万円ものコストがかかります。 導入検討前は「ロボット=なんでも出来る」と考えてしまう場合も多くあります。これは半分正解で半分間違いです。 正しくは「コストと時間をかければユーザーが要求する仕様に極力近いシステムを構築できる」と言えるでしょう。 コストは導入費用です、時間はそのシステムを構築するのにかかる設計や検証、テスト等の時間です。 もちろん、様々な付加機能を持ったロボットシステムは素晴らしいものです。 大企業においては、最新システムを沢山盛り込んだ豪華なシステムを構築する資金力があり、投資回収年の見通しが立たないような場合でも、ある意味「モデルライン」としての導入や「研究開発」としての導入も可能です。 しかし、中小企業はそうはいきません。 中小企業のロボット導入においては現場のニーズに合ったなるべく低コストのロボットシステムを検討することが重要です。 いかに低コストで最大のメリットを生み出せるか、これはいかに自社のニーズを把握しているかにかかっています。 今回の事例のように、あれもこれも、ではなく必要なものだけをシステムに落とし込みシステムを簡素化することにより低コストで最大のメリットを生み出すことができるのではないでしょうか。 4.おわりに 今回は補助金を活用した中小企業のロボット導入事例をご紹介しました。 ポイントは以下の通りです。 ①従業員の負担を第一に考え重労働から解放した ②属人化している職人作業を分析、パターン化することで誰でも作業できるロボットシステムを作った ③自社のニーズをとらえ不要な付加機能は排除してシステムを簡素化することで導入コストを削減した ロボット導入を検討する際の参考にしてみて下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 今回は、忙しくてロボット導入事例を調べる時間が取れない経営者の方のために、ロボット導入実証事業(経済産業省)の補助金制度を活用した中小企業のロボット導入事例を厳選して解説します。※ロボット導入実証事業事例紹介ハンドブックはこちらから http://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf 1.従業員を重労働から解放!空いた工数を検査へ回し品質向上!パレット積み工程のロボット化 概要 製品出荷前の最終工程となる段ボールのパレット積み作業で、最大12kgの箱を高さ170cmまで積み上げる作業をロボット化 導入効果 投資金額¥25,000,000 投資効果¥4,800,000/年 ロボット導入により作業人員は導入前の10人から8人に削減 投資回収年はおよそ5年程度 解説 従業員45名の企業様のロボット導入事例です。 ロボット導入に際し問題となった点は、顧客ごとに大きさや形状の違う段ボールを顧客の要望ごとに荷造り(積み方、積載数)する必要があり自動化が困難と思われた点です。 しかし、そのような多種の条件に対応できるハンド設計や制御方法の工夫等、ハードとソフトの両面から解決方法にアプローチし対応を可能としています。 さらに、限られたスペースの中でロボット・コンベア・パレット置き場を設置するために省スペース型のパレットチェンジャーを開発設計しています。これらのことにより検討当初は困難と思われた多品種対応を実現しました。 この工程以外にも、おそらく簡単にロボット導入を検討できる工程はあったはずです。 その中でも“あえて”従業員の負担(重労働)を減らすために優先してパレット積みのロボット化に踏み切ったのだと思われます。 従業員を第一に考えた経営者の姿勢が見えてくる導入事例です。 さらに、空いた工数は検査工程に割り振り品質面でも工場が図れたとのこと。 生産性向上(省人化)、品質向上、重労働からの解放(省力化)の3つを同時に実現した中小企業ならではの良い事例です。 2.熟練職人の溶接作業を整理、分類、パターン化!職人の溶接作業をティーチングレスでロボット化に成功! 概要 受注ごとに寸法や形状が異なる特注大型門扉製造工程における溶接作業をロボット化 導入効果 投資金額¥60,000,000 投資効果 生産数:2倍 利益増:¥10,000,000/年 省人化:2名→1名 ロボット導入により2名の作業員を1名へ省人、さらに生産数は2倍に増加し年間¥10,000,000の利益増を生み出しています。 解説 特注品の大型溶接ワークは受注ごとに寸法や形状が異なることからオフラインティーチングを活用するのが一般的です。しかし、この企業様では溶接の職人作業を1からヒアリングし、整理、分類することでパターン化することを考えました。 そのパターンを事前に何種類かに分け、教示データを作りこみます。現場ではそのパターンの中から種類を選択し必要な数字を入力するだけでロボット自身が動作を作るため、溶接スキルの有無に関わらず、誰でもロボット操作が可能となっています。 難解なオフラインティーチングの導入教育や図面の3次元CAD化をすることなく、多品種生産にロボットを活用できた事例です。 この事例における優れた点は、熟練作業者の勘とコツを整理、分類しパターン化したこと、そのように属人化していた作業をしっかりと分析し体系化したことです。 その結果溶接スキルの有無に関わらず、誰でも操作することが可能となりました。 オフラインティーチングソフト購入費用及び導入教育費用、設計の3次元化等の費用も削減できています。 今回の事例のように数字を入力するだけでシステム自身が動作を作って実行するようなシステムを構築することができれば、通常のティーチングやオフラインティーチングによるシステムではロボット化のメリットが出せないような一品一様の生産の場合でも労働生産性を高めしっかりとメリットを出すことが可能です。 日本の中小製造業における熟練職人の技術力は世界でもトップレベルの技術力であることは間違いありません。近年、世界の製造業では日本の中小企業の職人技術を欲している、との話もあります。しかし、その「職人技」をどのようにして継承していくかという課題もあります。 その職人技の継承に真っ向から取り組み、パターン化しロボット化したことは今後、日本の製造業があらためて世界のトップに上り詰めるためにも、大変重要なことではないでしょうか。 3.システム簡素化で導入コスト削減!!多品種少量マシニングセンター加工のワーク着脱ロボット化! 概要 少ロット切削加工のワーク着脱工程をロボット化、カメラ・画像処理によるワーク判別に代わり、シンプルな位置決めパレットを採用してコストダウン。 導入効果 投資金額¥17,500,000 投資効果 生産数:12個/日→22個/日 省人化:2名→1名 投資回収年 2.2年 解説 航空機向け部品を中心に高精度・小ロットの切削加工を行っている企業の事例です。 1~10個の小ロット品が多く、マシニングセンターへのワーク着脱の頻度が高い状況で作業員が装置の傍についている時間が長く、時間がかかる割に単純作業であることからロボット化を実施しました。 小ロット加工品(多品種少量生産)をロボット化する場合、様々なワーク形状に対応するために3Dカメラや画像処理システム、各種センサーなどと組み合わせロボットに様々な付加機能を持たせた複雑なシステムを構築しがちです。確かに、そのような最新技術を用いたロボットシステムを導入すればロボットができる仕事は増えるかもしれません。しかし、導入費用の高額化や教育の必要性、トラブル対応の難易度などを考慮すると中小企業では導入が困難な場合も少なくありません。 そういった背景の中で今回の事例では以下3つのポイントをおさえてシステムの簡素化に成功しました。 ①加工対象ワークのサイズと種類を絞り込む ②ワークの把持部分を共通化するための設計変更を実施する ③8個以上の中ロット品に限定する 以上のような工夫を行い、ワーク判別のための3Dカメラや画像処理システムをはじめ、導入コスト上昇につながる周辺設備を極力省いたシンプルはロボットシステムを構築しました。 従来コスト¥2480万円のところ、システムの簡素化により導入コストは¥1750万円に抑えられ、¥730万円のコスト削減となりました。 初めてのロボットシステムの導入となると、あれもこれもと付帯設備、付加機能を追加したくなります。 3Dカメラや画像処理システムを付加機能として追加するということはロボットに「目」を持たせる、ということです。それだけでも何百万円ものコストがかかります。 導入検討前は「ロボット=なんでも出来る」と考えてしまう場合も多くあります。これは半分正解で半分間違いです。 正しくは「コストと時間をかければユーザーが要求する仕様に極力近いシステムを構築できる」と言えるでしょう。 コストは導入費用です、時間はそのシステムを構築するのにかかる設計や検証、テスト等の時間です。 もちろん、様々な付加機能を持ったロボットシステムは素晴らしいものです。 大企業においては、最新システムを沢山盛り込んだ豪華なシステムを構築する資金力があり、投資回収年の見通しが立たないような場合でも、ある意味「モデルライン」としての導入や「研究開発」としての導入も可能です。 しかし、中小企業はそうはいきません。 中小企業のロボット導入においては現場のニーズに合ったなるべく低コストのロボットシステムを検討することが重要です。 いかに低コストで最大のメリットを生み出せるか、これはいかに自社のニーズを把握しているかにかかっています。 今回の事例のように、あれもこれも、ではなく必要なものだけをシステムに落とし込みシステムを簡素化することにより低コストで最大のメリットを生み出すことができるのではないでしょうか。 4.おわりに 今回は補助金を活用した中小企業のロボット導入事例をご紹介しました。 ポイントは以下の通りです。 ①従業員の負担を第一に考え重労働から解放した ②属人化している職人作業を分析、パターン化することで誰でも作業できるロボットシステムを作った ③自社のニーズをとらえ不要な付加機能は排除してシステムを簡素化することで導入コストを削減した ロボット導入を検討する際の参考にしてみて下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

協働ロボットの特徴と導入事例

2020.08.27

  本記事では、まず協働ロボットの概要や特徴について、従来の産業用ロボットとの違いや導入メリットを踏まえながら紹介します。 次に協働ロボットの主要メーカーや活用方法、導入事例を紹介します。導入事例の紹介では、協働ロボットが多様な工程において導入した事例があることを理解することができます。本記事で協働ロボットの理解が深まれば幸いです。 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と一緒に作業を行う事の出来る産業用ロボットです。 本来産業用ロボットというのは、非常に力持ちです。ロボットの種類や大きさによるものの人を遥かに超える大きな力をもっている為に産業用ロボットの稼働範囲に人が入ってしまうと重篤な災害を引き起こすリスクがあります。 その為、産業用ロボットの周囲には安全柵の設置が必要であり、安全柵はロボットが停止していないと開かない様になっています。 完全にロボットのみで完結するシステムであれば問題無いのですが、あくまで人が組立作業を行うが人の作業をロボットで補助して欲しいというニーズや普段は必要無いが、生産ラインに欠員等の人員不足等があった際にロボットを使用したいというニーズが多くあります。 2013年12月に以下のとおり規制が緩和されたことをきっかけに、労働者に危険が生じない産業用ロボットの開発が進みました。それこそが協働ロボットです。 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。 厚生労働省『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』より 産業用ロボットを使用する事業者が、労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるときは、本条の「労働者に危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しません。 『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』(平成25年12月24日付基発1224第2号通達)より 協働ロボットは一般的にモーターの定格出力が80Wを超えない様になっています。そして何かに衝突したときや、大きな負荷がロボットに掛かった場合は即時モーター電源が遮断されるようになっています。感覚的に言えば、道を歩いていてすれ違う人と軽く肩がぶつかった時の衝撃よりも軽い衝撃でロボットは停止する様になっており、作業者が仮にロボットに接触しても大きな災害につながるリスクは小さいのです。 2.協働ロボットの特徴 上記のように協働ロボットは安全柵が不要で人と並んで作業することが可能です。 協働ロボットの大きな特徴をあげるとすれば、 人間のサポート、というイメージ 軽い物をゆっくり 安全柵が不要 操作が簡単 という4つの特徴が挙げられます。 協働ロボットと産業用ロボットの特徴 上記のような特徴から、 ・産業用ロボット → 大量生産向き ・協働ロボット  → 多品種少量生産向き と言えるでしょう。 具体的には「安全柵が不要」という特徴を活かして、 ・既存の狭いスペースを有効活用 ・使わない時は移動させる、使いたい場所で使う、のようなフレキシブルな運用が可能となります。 また、「簡易的な操作」や「簡易的な設備」という特徴があるため、 ・低コストでの導入 ・低コストでの改善、品種追加 が可能です。 前項でもお話した通り、上記のような特徴から、協働ロボットは中小企業の多品種少量生産の自動化に適したロボットです。 また、近年では協働ロボット用の様々なアプリケーションが開発、販売されています。 安全柵が不要という特徴を活かしたフレキシブルな運用のための移動式のロボット架台は協働ロボットにおけるスタンダードになりつつあります。 多品種少量生産のロボット導入のハードルを下げるアプリケーションとしてはカメラ、画像認識機能があります。 協働ロボットに専用のカメラをはじめから搭載しておくことで、従来の産業用ロボット+カメラ(画像認識)のようなシステムを組む際に必要となる複雑なキャリブレーションなどが不要となり、ロボットや画像処理の知識が無い中小企業でも、まるで大手企業で採用されいているロボット+画像認識によるランダムなピッキング作業等が簡単に実現できるようになってきています。 3.協働ロボットが注目を集める理由 では、協働ロボットはなぜ注目を集めているのでしょうか? ①ロボットと人間の共同作業が安全にできるから 協働ロボットは、人間との共同作業を安全に行うことができます。 従来の産業用ロボットは、安全柵内でのみ運用される場合が必須だったのに対し、協働ロボットは安全柵なしで人と協働で作業が行えます。 ロボットが人間に接近した際には速度を制限したり停止したりするなど、安全性が高い仕組みが備わっています。 ②プログラミング知識が不要だから 協働ロボットは直感的なプログラミングと柔軟性を備えています。 協働ロボットは、直感的な操作でティーチングを行う可能です。 従来の産業用ロボットは、複雑なプログラミング知識を必要としましたが、協働ロボットは直感的な操作や学習機能によって、誰でも簡単にティーチングを行うことが可能です。 従来の産業用ロボットであれば、専門のティーチングを行う技術者が必要でしたが、協働ロボットの場合は多少の教育を受けるだけでティーチングが可能になっています。 ③様々な協働ロボット用アプリケーションが開発されているから 協働ロボットは、人間とのコミュニケーションを取ることも可能です。 従来の産業用ロボットは主に自動化された作業を行うため、人とのコミュニケーションが必要ない場合がほとんどでした。 協働ロボットは人間とのコミュニケーションに対応する機能があります。 例えば、音声認識機能を持つ協働ロボットは、人の声による指示を認識し、動作をすることができます。 また、画像認識のために必要なカメラを標準搭載している協働ロボットもあります。 これはロボットが「目」を持っている状態です。 従来の産業用ロボットに「目」=カメラを持たせる場合にはキャビテーションと呼ばれるような特殊な設定を行う技術者が必要でした。 協働ロボットのように標準でカメラを搭載している場合はそのような特殊な技術は不要で、②項であげたような直感的なプログラムでティーチングが可能になっています。 以上の理由から、近年協働ロボットは注目を集めています。 4.協働ロボットでできること/事例 では実際どのようなことができるのか、簡単に紹介させていただきます。 ①ワークセット 産業ロボットへのワークの共有を行うことが可能です。 それにより今まで人手で行ってきた単純作業の繰り返しをロボットに任せることで貴重な人材を他の業務に回すことができます。 ②仕上げ工程 ロボットのハンドを適したものへ付け替えることで、エアブロー等の仕上げ工程を行うことが可能です。 ③溶接 ロボットに溶接トーチを持たせることで溶接作業を自動化できます。 最近ではワークセットが多少雑でもロボットが自動で補正をかけて溶接を行うなどが見られます。 ④組み立て カバーを被せる・ねじを締めるなど、組み立ての工程もロボットで代替可能です。 自動車がイメージしやすいと思いますが、ボディをセットし、それを固定する。 といったような流れです。 ⑤ピックアップ ベルトコンベアを流れてくる段ボールやからあげなどの食品まで、幅広いものをピックアップが可能です。 重く、従業員の方に負荷がかかるものや、食品のように小さく数の多いもののピッキング作業を行うことが可能です。 それでは次に、具体的な事例を紹介いたします。 4-1.従業員10名の金属機械加工業が協働ロボットを導入して生産性を向上した事例 ■事例企業の概要 ・神奈川県 Y社 ・金属機械加工業 ・従業員10名 ■導入システムの概要 ・ユニバーサルロボットの協働ロボットを導入 ・マシニングセンターにおけるワーク供給を協働ロボットで自動化 ・移動式の架台で使わない時は移動させることで多品種少量生産に対応 ・ワークストッカー等はカラクリのアイディアを採用し低投資を実現 ■事例の詳細 神奈川県で機械加工業を営むY社ではマシニングセンターのワーク供給に協働ロボットを導入しました。 単純なワークセット業務を協働ロボットに代替えすることにより熟練作業者の工数を削減することが狙いです。 導入に際しては、加工機とのインターフェースを取らなくても協働ロボットと加工機が連携できるような仕組みを構築し、簡単にロボットの移動、設置ができるように設計されています。 また、ワークストッカー、ワーク排出のストッカー、治具を締める機構、等はカラクリの技術を応用し自社で制作した物になっています。 これにより、低投資でのロボット導入に成功しました。 4-2.従業員8名の樹脂加工企業が協働ロボットを導入して残業・休日出勤を大幅に削減した事例 ■事例企業の概要 ・兵庫県 S社 ・樹脂加工業 ・従業員8名 ■導入システムの概要 ・ファナック協働ロボットを導入 ・ファナックロボドリルへのワーク供給作業を協働ロボットで自動化 ・移動式の架台で使わない時は移動させることで多品種少量生産に対応 ・ワークストッカーは自社製作で低投資を実現 ・入社2年目の若手従業員がロボットティーチングを担当 ■事例の詳細 兵庫県のS社ではファナックのロボドリルへのワーク供給にファナック協働ロボットを導入しました。 ①の事例と同様に単純なワークセット作業を協働ロボットで自動化することによる工数削減が目的です。 また、こちらの企業では夜間や休日の協働ロボットによる無人運転に取り組んでおり、それにより残業や休日出勤が大幅に削減されました。さらに、人員は増やさずに生産量をUPさせることが可能となっています。 ロボット導入に際しては若手を積極的に登用しています。 今回ロボットティーチングを任されたのは新卒2年目の若手従業員です。 全くの知識0の状態からでも協働ロボットの簡易的な操作という特徴があるためティーチングを行うことが可能となっています。 4-3.従業員100名の板金加工企業が溶接作業に協働ロボットを導入 ■企業概要 ・鹿児島県 F社 ・板金加工業 ・従業員100名 ■事例の概要 ・溶接作業に協働ロボットを導入 ・熟練作業者の技能が必要なTIG溶接を協働ロボットで自動化 ・仮付けを作業者が、本付けを協働ロボットが行うことで自動化に成功 ■事例の詳細 F社では職人技術で難易度の高いTIG溶接への協働ロボット活用を実施しています。 熟練作業者の中でも製品の品質に差が出るTIG溶接を協働ロボットで自動化し今後の人手不足の解消と熟練技術継承の問題を解決し、安定した高品質な製品を提供することを目的としています。 仮付けの工程と本付け工程の作業工程を分割し、仮付けを作業者が、本付けを協働ロボットが行うようにすることで難易度の高いTIG溶接の自動化を実現しています。 従来は、一人前の溶接作業者となるには何年もの時間が必要でしたが、協働ロボットにより溶接を行うことで、数カ月の実務訓練で高品質な溶接作業を協働ロボットに行わせることができるようになり、入社したての新人でも安定して高品質な製品を製造することが可能になりました。 5.協働ロボットの価格と導入までのコスト ◎協働ロボット導入時のコスト 協働ロボットのコストは、その性能や大きさにもよりますが、500万円程度で購入することができます。 例を挙げると、製造業でよく使われる1300㎜程度のリーチを持つ協働ロボットであれば ・A社:約550万円 ・B社:約480万円 ・C社:約600万円 程度の価格となります。 通常の産業用ロボットで同程度のサイズであれば200万円~300万円程度ですので、産業用ロボットに比べるとロボット自体の価格は若干高い印象を受けます。 ただし、ロボットを現場で運用するにはロボット単体では仕事はできません。 必要な付帯装置として具体的な例を挙げると、 ・制御盤 ・ロボット架台 ・ロボットハンド ・各種センサー類 ・ワークストッカー ・搬送装置 etc、、、 これらの付帯設備を設計製作するのがSIerです。 これらの設計等をシステムインテグレーションといいます。 上記の通り、ロボット単体ではロボットシステムは成り立ちません。 様々な付帯設備により工場のニーズに合ったロボットシステムを構築していくことが必要になります。 では、実際にロボットシステムを導入しようとした場合、総額はどれくらいになるのでしょうか? 産業用ロボットの導入事例を交えながら見ていきましょう。 ①垂直多関節ロボットを用いた塗装ロボットシステム 防爆ロボット5,000,000 付帯設備5,000,000 ロボット架台1,000,000 制御装置4,000,000 設置工事費7,000,000(試運転調整費含む) 設計費1,500,000 合計23,500,000 ②画像認識システムを用いた重量ワークのハンドリングロボットシステム 多関節ロボット3,000,000 付帯設備5,000,000 制御装置7,000,000 画像認識システム10,000,000 設置工事費10,000,000(試運転調整費含む) 設計費5,000,000 合計40,000,000 それぞれの現場のニーズにより総額は大きく違ってきます。 ロボットシステムを導入することでどれくらいの投資対効果を得られるのか、事前に把握しておくことが非常に重要です。 概ね、投資金額の回収は2年~5年程度で考えると良いでしょう。 例えば、①の事例のように¥23,000,000の導入コストが掛かる場合について。 人件費1人年間500万円とした場合、ロボットシステムを導入したことで2人の作業者が削減できると仮定すると、¥23,000,000÷¥10,000,000=2.3年となります。 このように投資対効果を計算することで投資判断が可能となります。 このように通常の産業用ロボットではロボット本体以外にも多くのコストがかかることが分かります。 では、協働ロボットではどうでしょうか?こちらも事例を元に見ていきます。 ①兵庫県S社 ■全体投資金約500万円 ■システムの概要 樹脂製品のロボドリル加工機へのワーク投入及び取り出しを自動化。 投入前のワークを置くためのストッカーを自社で製作し、ほぼ協働ロボットの費用のみで自動化に成功した事例。 S社ではシステムインテグレーターを使わず、ストッカー設計やティーチングなどを全て自社で行うことで圧倒的な低コストでの導入を実現しています。 ②茨城県D社 ■全体投資金額約1000万円 ■システムの概要 月産30台ほどの単純な溶接作業を協働ロボットで実現協働ロボット+溶接電源のパッケージに3D定盤を組み合わせたシステムです。 こちらの企業も立ち上げにはシステムインテグレーターを使わずティーチング作業を自社で実施することで機器費用のみでロボット導入を実現しています。 ③神奈川県Y社 ■全体投資金額約500万円 ■システムの概要 金属加工製品のマシニングセンターへのワーク供給を協働ロボットで行っています。 多品種少量生産のためロボットでのワーク供給の対象外となるワークを加工する場合はロボットを移動して人の作業の邪魔にならないように移動することができるシステムとしています。 こちらのY社も①のS社、②のD社同様に自社での立ち上げを行うことにより低コストでの導入を実現しています。 また、ワークストッカーはカラクリを用いたアイディアでモーター等の駆動部無しで多くのワークをストックできるように考えられています。 このように協働ロボットをある程度自社で立ち上げることができればロボット導入のコストを大幅に削減することが可能です。 ですが、協働ロボットは取り扱いが簡単な分、あまり難しいことはできません。 高度な溶接や人を超えるスピードの作業、重量物のハンドリングなどはいまだに産業用ロボットのほうが優位といえるでしょう。 また、企業によってはロボットの立ち上げや構想計画にリソースをかけられない場合がほとんどです。 費用はかけたくないが、ロボットは導入したい、、そのためには「補助金を使うこと」です。 ◎補助金活用成功事例 つぎに紹介する④茨城県F社、⑤長野県C社は、以下の補助金を獲得し、投資コストを抑えることに成功しています。 ④茨城県F社 ■投資と補助額 ・投資金額約5000万円 ・補助額約3000万円 ■システムの概要 ・幅広い寸法 長さ200㎜~5000㎜ 径20A~300A の様々な形状の配管TIG溶接をロボットによって自動化するロボットシステムを事業再構築補助金を活用して導入。 溶接職人による難しい配管溶接を最新技術を駆使してロボット化に成功した事例。 ⑤長野県C社 ■投資と補助額 ・投資金額約8000万円 ・補助額約4000万円 ■システムの概要 多品種のステンレス製板金製品のおける溶接と研磨をロボットで自動化。 水漏れが許されない高品質な溶接と、職人の研磨による外観品質をロボットで実現した事例。 ◎協働ロボット投入時に利用すべき”補助金”の存在 ここでいう”補助金”とは、国が設けている補助金制度のことを指します。 今回取り上げる事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響によって経営が 困難になった中小企業等に対して、事業再構築のための支援を行うために、国が設けた補助 金制度です。 具体的には、以下のような事業再構築に必要な取り組みにかかる費用が対象となります。 生産プロセスの変革や設備の改善 商品・サービスの開発・改良 ITシステムの改善・導入 新規事業の開発・展開 補助額は、事業者の経営状況や補助対象となる取り組み内容によって異なりますが、最大で 1億円まで支給されることがあります。 補助額と補助率は以下の通りです。 ■補助額 中小企業者等、中堅企業等ともに 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円 【従業員数21~50人】100万円~4,000万円 【従業員数51~100人】100万円~6,000万円 【従業員数101人以上】100万円~7,000万円 ■補助率 中小企業者等1/2 中堅企業等1/3 成長枠(旧通常枠)の他にも様々な枠があります。 緊急対策枠 回復・再生応援枠 最低賃金枠 産業構造転換枠(新設) サプライチェーン強靱化枠(新設) グリーン成長枠(要件緩和) 自社に適合した枠を見極めて申請する必要があります。 6.未経験でも協働ロボットを導入する方法 ロボットや自動化において全く知識の無い状態で協働ロボット導入を検討するのは難しいことです。 協働ロボットの導入においては自社の作業工程、製品特性、生産実績等を理解して協働ロボットを活用する工程、製品を決めることが重要です。 協働ロボットは購入するだけでは何の仕事も出来ません。 協働ロボットを活用するために適切な工程、適切な製品を把握し、適切な周辺機器を選定し、適切なセットアップをしてこそ協働ロボットは価値を発揮します。 まずは、自社の状況、ニーズを把握し活用条件を決めることから始めましょう。 と言っても、何から初めて良いか分からない方も多いはず。 工場AI・ロボット.comを運営している㈱船井総合研究所では、これらの現状分析から活用条件の決定、協働ロボット活用構想の立案、投資対効果試算シミュレーション、適切なロボットメーカーの選定、適切なシステムインテグレータの選定、メーカー及びインテグレータとの打ち合わせ、導入後のアフターフォローまで一貫してお手伝いすることが可能です。 まずはオンラインにて無料で御社の協働ロボット活用の可能性を診断致します。 ■中小製造業がロボット導入で費用対効果を最大化するために最初にすべきこと ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02412_S045 【このような方にオススメ】 導入経験がない事業主でもロボット導入において最初にすべきことがわかる! 人手を掛けずに生産性を上げるロボット活用手法がわかる! 多品種少量生産対応の中小製造業のロボット活用手法がわかる!   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="cobot"][/sc]   本記事では、まず協働ロボットの概要や特徴について、従来の産業用ロボットとの違いや導入メリットを踏まえながら紹介します。 次に協働ロボットの主要メーカーや活用方法、導入事例を紹介します。導入事例の紹介では、協働ロボットが多様な工程において導入した事例があることを理解することができます。本記事で協働ロボットの理解が深まれば幸いです。 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と一緒に作業を行う事の出来る産業用ロボットです。 本来産業用ロボットというのは、非常に力持ちです。ロボットの種類や大きさによるものの人を遥かに超える大きな力をもっている為に産業用ロボットの稼働範囲に人が入ってしまうと重篤な災害を引き起こすリスクがあります。 その為、産業用ロボットの周囲には安全柵の設置が必要であり、安全柵はロボットが停止していないと開かない様になっています。 完全にロボットのみで完結するシステムであれば問題無いのですが、あくまで人が組立作業を行うが人の作業をロボットで補助して欲しいというニーズや普段は必要無いが、生産ラインに欠員等の人員不足等があった際にロボットを使用したいというニーズが多くあります。 2013年12月に以下のとおり規制が緩和されたことをきっかけに、労働者に危険が生じない産業用ロボットの開発が進みました。それこそが協働ロボットです。 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。 厚生労働省『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』より 産業用ロボットを使用する事業者が、労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるときは、本条の「労働者に危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しません。 『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』(平成25年12月24日付基発1224第2号通達)より 協働ロボットは一般的にモーターの定格出力が80Wを超えない様になっています。そして何かに衝突したときや、大きな負荷がロボットに掛かった場合は即時モーター電源が遮断されるようになっています。感覚的に言えば、道を歩いていてすれ違う人と軽く肩がぶつかった時の衝撃よりも軽い衝撃でロボットは停止する様になっており、作業者が仮にロボットに接触しても大きな災害につながるリスクは小さいのです。 2.協働ロボットの特徴 上記のように協働ロボットは安全柵が不要で人と並んで作業することが可能です。 協働ロボットの大きな特徴をあげるとすれば、 人間のサポート、というイメージ 軽い物をゆっくり 安全柵が不要 操作が簡単 という4つの特徴が挙げられます。 協働ロボットと産業用ロボットの特徴 上記のような特徴から、 ・産業用ロボット → 大量生産向き ・協働ロボット  → 多品種少量生産向き と言えるでしょう。 具体的には「安全柵が不要」という特徴を活かして、 ・既存の狭いスペースを有効活用 ・使わない時は移動させる、使いたい場所で使う、のようなフレキシブルな運用が可能となります。 また、「簡易的な操作」や「簡易的な設備」という特徴があるため、 ・低コストでの導入 ・低コストでの改善、品種追加 が可能です。 前項でもお話した通り、上記のような特徴から、協働ロボットは中小企業の多品種少量生産の自動化に適したロボットです。 また、近年では協働ロボット用の様々なアプリケーションが開発、販売されています。 安全柵が不要という特徴を活かしたフレキシブルな運用のための移動式のロボット架台は協働ロボットにおけるスタンダードになりつつあります。 多品種少量生産のロボット導入のハードルを下げるアプリケーションとしてはカメラ、画像認識機能があります。 協働ロボットに専用のカメラをはじめから搭載しておくことで、従来の産業用ロボット+カメラ(画像認識)のようなシステムを組む際に必要となる複雑なキャリブレーションなどが不要となり、ロボットや画像処理の知識が無い中小企業でも、まるで大手企業で採用されいているロボット+画像認識によるランダムなピッキング作業等が簡単に実現できるようになってきています。 3.協働ロボットが注目を集める理由 では、協働ロボットはなぜ注目を集めているのでしょうか? ①ロボットと人間の共同作業が安全にできるから 協働ロボットは、人間との共同作業を安全に行うことができます。 従来の産業用ロボットは、安全柵内でのみ運用される場合が必須だったのに対し、協働ロボットは安全柵なしで人と協働で作業が行えます。 ロボットが人間に接近した際には速度を制限したり停止したりするなど、安全性が高い仕組みが備わっています。 ②プログラミング知識が不要だから 協働ロボットは直感的なプログラミングと柔軟性を備えています。 協働ロボットは、直感的な操作でティーチングを行う可能です。 従来の産業用ロボットは、複雑なプログラミング知識を必要としましたが、協働ロボットは直感的な操作や学習機能によって、誰でも簡単にティーチングを行うことが可能です。 従来の産業用ロボットであれば、専門のティーチングを行う技術者が必要でしたが、協働ロボットの場合は多少の教育を受けるだけでティーチングが可能になっています。 ③様々な協働ロボット用アプリケーションが開発されているから 協働ロボットは、人間とのコミュニケーションを取ることも可能です。 従来の産業用ロボットは主に自動化された作業を行うため、人とのコミュニケーションが必要ない場合がほとんどでした。 協働ロボットは人間とのコミュニケーションに対応する機能があります。 例えば、音声認識機能を持つ協働ロボットは、人の声による指示を認識し、動作をすることができます。 また、画像認識のために必要なカメラを標準搭載している協働ロボットもあります。 これはロボットが「目」を持っている状態です。 従来の産業用ロボットに「目」=カメラを持たせる場合にはキャビテーションと呼ばれるような特殊な設定を行う技術者が必要でした。 協働ロボットのように標準でカメラを搭載している場合はそのような特殊な技術は不要で、②項であげたような直感的なプログラムでティーチングが可能になっています。 以上の理由から、近年協働ロボットは注目を集めています。 4.協働ロボットでできること/事例 では実際どのようなことができるのか、簡単に紹介させていただきます。 ①ワークセット 産業ロボットへのワークの共有を行うことが可能です。 それにより今まで人手で行ってきた単純作業の繰り返しをロボットに任せることで貴重な人材を他の業務に回すことができます。 ②仕上げ工程 ロボットのハンドを適したものへ付け替えることで、エアブロー等の仕上げ工程を行うことが可能です。 ③溶接 ロボットに溶接トーチを持たせることで溶接作業を自動化できます。 最近ではワークセットが多少雑でもロボットが自動で補正をかけて溶接を行うなどが見られます。 ④組み立て カバーを被せる・ねじを締めるなど、組み立ての工程もロボットで代替可能です。 自動車がイメージしやすいと思いますが、ボディをセットし、それを固定する。 といったような流れです。 ⑤ピックアップ ベルトコンベアを流れてくる段ボールやからあげなどの食品まで、幅広いものをピックアップが可能です。 重く、従業員の方に負荷がかかるものや、食品のように小さく数の多いもののピッキング作業を行うことが可能です。 それでは次に、具体的な事例を紹介いたします。 4-1.従業員10名の金属機械加工業が協働ロボットを導入して生産性を向上した事例 ■事例企業の概要 ・神奈川県 Y社 ・金属機械加工業 ・従業員10名 ■導入システムの概要 ・ユニバーサルロボットの協働ロボットを導入 ・マシニングセンターにおけるワーク供給を協働ロボットで自動化 ・移動式の架台で使わない時は移動させることで多品種少量生産に対応 ・ワークストッカー等はカラクリのアイディアを採用し低投資を実現 ■事例の詳細 神奈川県で機械加工業を営むY社ではマシニングセンターのワーク供給に協働ロボットを導入しました。 単純なワークセット業務を協働ロボットに代替えすることにより熟練作業者の工数を削減することが狙いです。 導入に際しては、加工機とのインターフェースを取らなくても協働ロボットと加工機が連携できるような仕組みを構築し、簡単にロボットの移動、設置ができるように設計されています。 また、ワークストッカー、ワーク排出のストッカー、治具を締める機構、等はカラクリの技術を応用し自社で制作した物になっています。 これにより、低投資でのロボット導入に成功しました。 4-2.従業員8名の樹脂加工企業が協働ロボットを導入して残業・休日出勤を大幅に削減した事例 ■事例企業の概要 ・兵庫県 S社 ・樹脂加工業 ・従業員8名 ■導入システムの概要 ・ファナック協働ロボットを導入 ・ファナックロボドリルへのワーク供給作業を協働ロボットで自動化 ・移動式の架台で使わない時は移動させることで多品種少量生産に対応 ・ワークストッカーは自社製作で低投資を実現 ・入社2年目の若手従業員がロボットティーチングを担当 ■事例の詳細 兵庫県のS社ではファナックのロボドリルへのワーク供給にファナック協働ロボットを導入しました。 ①の事例と同様に単純なワークセット作業を協働ロボットで自動化することによる工数削減が目的です。 また、こちらの企業では夜間や休日の協働ロボットによる無人運転に取り組んでおり、それにより残業や休日出勤が大幅に削減されました。さらに、人員は増やさずに生産量をUPさせることが可能となっています。 ロボット導入に際しては若手を積極的に登用しています。 今回ロボットティーチングを任されたのは新卒2年目の若手従業員です。 全くの知識0の状態からでも協働ロボットの簡易的な操作という特徴があるためティーチングを行うことが可能となっています。 4-3.従業員100名の板金加工企業が溶接作業に協働ロボットを導入 ■企業概要 ・鹿児島県 F社 ・板金加工業 ・従業員100名 ■事例の概要 ・溶接作業に協働ロボットを導入 ・熟練作業者の技能が必要なTIG溶接を協働ロボットで自動化 ・仮付けを作業者が、本付けを協働ロボットが行うことで自動化に成功 ■事例の詳細 F社では職人技術で難易度の高いTIG溶接への協働ロボット活用を実施しています。 熟練作業者の中でも製品の品質に差が出るTIG溶接を協働ロボットで自動化し今後の人手不足の解消と熟練技術継承の問題を解決し、安定した高品質な製品を提供することを目的としています。 仮付けの工程と本付け工程の作業工程を分割し、仮付けを作業者が、本付けを協働ロボットが行うようにすることで難易度の高いTIG溶接の自動化を実現しています。 従来は、一人前の溶接作業者となるには何年もの時間が必要でしたが、協働ロボットにより溶接を行うことで、数カ月の実務訓練で高品質な溶接作業を協働ロボットに行わせることができるようになり、入社したての新人でも安定して高品質な製品を製造することが可能になりました。 5.協働ロボットの価格と導入までのコスト ◎協働ロボット導入時のコスト 協働ロボットのコストは、その性能や大きさにもよりますが、500万円程度で購入することができます。 例を挙げると、製造業でよく使われる1300㎜程度のリーチを持つ協働ロボットであれば ・A社:約550万円 ・B社:約480万円 ・C社:約600万円 程度の価格となります。 通常の産業用ロボットで同程度のサイズであれば200万円~300万円程度ですので、産業用ロボットに比べるとロボット自体の価格は若干高い印象を受けます。 ただし、ロボットを現場で運用するにはロボット単体では仕事はできません。 必要な付帯装置として具体的な例を挙げると、 ・制御盤 ・ロボット架台 ・ロボットハンド ・各種センサー類 ・ワークストッカー ・搬送装置 etc、、、 これらの付帯設備を設計製作するのがSIerです。 これらの設計等をシステムインテグレーションといいます。 上記の通り、ロボット単体ではロボットシステムは成り立ちません。 様々な付帯設備により工場のニーズに合ったロボットシステムを構築していくことが必要になります。 では、実際にロボットシステムを導入しようとした場合、総額はどれくらいになるのでしょうか? 産業用ロボットの導入事例を交えながら見ていきましょう。 ①垂直多関節ロボットを用いた塗装ロボットシステム 防爆ロボット5,000,000 付帯設備5,000,000 ロボット架台1,000,000 制御装置4,000,000 設置工事費7,000,000(試運転調整費含む) 設計費1,500,000 合計23,500,000 ②画像認識システムを用いた重量ワークのハンドリングロボットシステム 多関節ロボット3,000,000 付帯設備5,000,000 制御装置7,000,000 画像認識システム10,000,000 設置工事費10,000,000(試運転調整費含む) 設計費5,000,000 合計40,000,000 それぞれの現場のニーズにより総額は大きく違ってきます。 ロボットシステムを導入することでどれくらいの投資対効果を得られるのか、事前に把握しておくことが非常に重要です。 概ね、投資金額の回収は2年~5年程度で考えると良いでしょう。 例えば、①の事例のように¥23,000,000の導入コストが掛かる場合について。 人件費1人年間500万円とした場合、ロボットシステムを導入したことで2人の作業者が削減できると仮定すると、¥23,000,000÷¥10,000,000=2.3年となります。 このように投資対効果を計算することで投資判断が可能となります。 このように通常の産業用ロボットではロボット本体以外にも多くのコストがかかることが分かります。 では、協働ロボットではどうでしょうか?こちらも事例を元に見ていきます。 ①兵庫県S社 ■全体投資金約500万円 ■システムの概要 樹脂製品のロボドリル加工機へのワーク投入及び取り出しを自動化。 投入前のワークを置くためのストッカーを自社で製作し、ほぼ協働ロボットの費用のみで自動化に成功した事例。 S社ではシステムインテグレーターを使わず、ストッカー設計やティーチングなどを全て自社で行うことで圧倒的な低コストでの導入を実現しています。 ②茨城県D社 ■全体投資金額約1000万円 ■システムの概要 月産30台ほどの単純な溶接作業を協働ロボットで実現協働ロボット+溶接電源のパッケージに3D定盤を組み合わせたシステムです。 こちらの企業も立ち上げにはシステムインテグレーターを使わずティーチング作業を自社で実施することで機器費用のみでロボット導入を実現しています。 ③神奈川県Y社 ■全体投資金額約500万円 ■システムの概要 金属加工製品のマシニングセンターへのワーク供給を協働ロボットで行っています。 多品種少量生産のためロボットでのワーク供給の対象外となるワークを加工する場合はロボットを移動して人の作業の邪魔にならないように移動することができるシステムとしています。 こちらのY社も①のS社、②のD社同様に自社での立ち上げを行うことにより低コストでの導入を実現しています。 また、ワークストッカーはカラクリを用いたアイディアでモーター等の駆動部無しで多くのワークをストックできるように考えられています。 このように協働ロボットをある程度自社で立ち上げることができればロボット導入のコストを大幅に削減することが可能です。 ですが、協働ロボットは取り扱いが簡単な分、あまり難しいことはできません。 高度な溶接や人を超えるスピードの作業、重量物のハンドリングなどはいまだに産業用ロボットのほうが優位といえるでしょう。 また、企業によってはロボットの立ち上げや構想計画にリソースをかけられない場合がほとんどです。 費用はかけたくないが、ロボットは導入したい、、そのためには「補助金を使うこと」です。 ◎補助金活用成功事例 つぎに紹介する④茨城県F社、⑤長野県C社は、以下の補助金を獲得し、投資コストを抑えることに成功しています。 ④茨城県F社 ■投資と補助額 ・投資金額約5000万円 ・補助額約3000万円 ■システムの概要 ・幅広い寸法 長さ200㎜~5000㎜ 径20A~300A の様々な形状の配管TIG溶接をロボットによって自動化するロボットシステムを事業再構築補助金を活用して導入。 溶接職人による難しい配管溶接を最新技術を駆使してロボット化に成功した事例。 ⑤長野県C社 ■投資と補助額 ・投資金額約8000万円 ・補助額約4000万円 ■システムの概要 多品種のステンレス製板金製品のおける溶接と研磨をロボットで自動化。 水漏れが許されない高品質な溶接と、職人の研磨による外観品質をロボットで実現した事例。 ◎協働ロボット投入時に利用すべき”補助金”の存在 ここでいう”補助金”とは、国が設けている補助金制度のことを指します。 今回取り上げる事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響によって経営が 困難になった中小企業等に対して、事業再構築のための支援を行うために、国が設けた補助 金制度です。 具体的には、以下のような事業再構築に必要な取り組みにかかる費用が対象となります。 生産プロセスの変革や設備の改善 商品・サービスの開発・改良 ITシステムの改善・導入 新規事業の開発・展開 補助額は、事業者の経営状況や補助対象となる取り組み内容によって異なりますが、最大で 1億円まで支給されることがあります。 補助額と補助率は以下の通りです。 ■補助額 中小企業者等、中堅企業等ともに 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円 【従業員数21~50人】100万円~4,000万円 【従業員数51~100人】100万円~6,000万円 【従業員数101人以上】100万円~7,000万円 ■補助率 中小企業者等1/2 中堅企業等1/3 成長枠(旧通常枠)の他にも様々な枠があります。 緊急対策枠 回復・再生応援枠 最低賃金枠 産業構造転換枠(新設) サプライチェーン強靱化枠(新設) グリーン成長枠(要件緩和) 自社に適合した枠を見極めて申請する必要があります。 6.未経験でも協働ロボットを導入する方法 ロボットや自動化において全く知識の無い状態で協働ロボット導入を検討するのは難しいことです。 協働ロボットの導入においては自社の作業工程、製品特性、生産実績等を理解して協働ロボットを活用する工程、製品を決めることが重要です。 協働ロボットは購入するだけでは何の仕事も出来ません。 協働ロボットを活用するために適切な工程、適切な製品を把握し、適切な周辺機器を選定し、適切なセットアップをしてこそ協働ロボットは価値を発揮します。 まずは、自社の状況、ニーズを把握し活用条件を決めることから始めましょう。 と言っても、何から初めて良いか分からない方も多いはず。 工場AI・ロボット.comを運営している㈱船井総合研究所では、これらの現状分析から活用条件の決定、協働ロボット活用構想の立案、投資対効果試算シミュレーション、適切なロボットメーカーの選定、適切なシステムインテグレータの選定、メーカー及びインテグレータとの打ち合わせ、導入後のアフターフォローまで一貫してお手伝いすることが可能です。 まずはオンラインにて無料で御社の協働ロボット活用の可能性を診断致します。 ■中小製造業がロボット導入で費用対効果を最大化するために最初にすべきこと ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02412_S045 【このような方にオススメ】 導入経験がない事業主でもロボット導入において最初にすべきことがわかる! 人手を掛けずに生産性を上げるロボット活用手法がわかる! 多品種少量生産対応の中小製造業のロボット活用手法がわかる!   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="cobot"][/sc]

AI搭載ロボットコントローラーによるロボット制御の事例と解説

2020.07.14

近年、AIを搭載したロボットコントローラーの需要が高まっています。 今回はその「AI搭載ロボットコントローラー」について事例を交えて解説します。 1.ロボットティーチングの現状と課題 ロボットを動かすために必要な作業が「ティーチング」です。 ティーチング作業は非常に複雑、かつ専門知識を要する作業であり、専門のロボットプログラマーが行うのが一般的です。 ロボットを動かすにはペンダント(操作パネル)を使います。 このペンダントでティーチングの修正や動作確認を行っていくのですが、一般的に使用されているペンダントの画面はプログラムが羅列された文字だらけの画面であり非常に複雑です。 このプログラム画面からロボットの動きを想像するのは容易ではありません。そのため工場の現場レベルでティーチングを行うことはほぼ不可能なのが現状となっています。 2.AI搭載ロボットコントローラーによる制御とは そのような背景で近年注目されているのが「AI搭載ロボットコントローラー」です。 通常のロボットコントローラーと比較すると、大きく3つのメリットがあります。 ①ティーチング作業が簡単 ②生産性向上 ③操作性、メンテナンス性の向上 まず、一番のメリットはティーチング作業が圧倒的に簡単であることです。ワークのピンキング位置、ワークの置き位置、を指定するだけで後はAIが自動で判断してロボットの軌跡を生成します。 この時、あらかじめ登録した障害物との干渉を回避しつつ最適な動きをAIが自動で生成してくれます。 次に生産性向上です。 従来のティーチング作業では人間のような滑らかな動きをロボットで表現することは困難でした。 しかし、AI搭載ロボットコントローラーでは先にも記載した通り、AIが最適な動きを自動で生成します。 それにより、従来のような何点ものティーチングポイントを経由する動きと比べるとサイクルタイムが大幅に改善されます。 最後に、メンテナンス性・操作性の向上です。 通常のコントローラーではロボットメーカーごとにコントローラーが異なるため違うメーカーのロボットを導入する度に新しい操作方法を覚える必要がありました。 近年開発されているAI搭載ロボットコントローラーの中には、メーカーを選ばずどんなメーカーのロボットも直接制御できる物もあります。 それにより、操作も覚えやすく、メンテナンス方法も統一されるので操作ミスによるトラブルや「チョコ停」時の復旧時間短縮にも繋がり、結果として生産性も向上します。 3.事例と解説 では、具体的にどのような場面において導入されているのでしょうか。 事例を交えて解説していきます。 ・事例①自動車部品バラ積みピッキング コンテナのような深い箱に無作為に投入されているシャフトやギヤのようなワークを3Dビジョンシステムと組み合わせてピッキングし次工程(例えばバリ取り装置など)にワークセットするシステムが実装されています。この場合における圧倒的なメリットはやはり「バラ積みピッキング」が可能となったことです。 本来であればピッキングするワークは治具等を用いて綺麗に整列して並べて置く必要がありました。 3DビジョンとAIを組み合わせることで、箱の中にある様々なワークの姿勢を判断し、最適な掴み位置を自動で判断してピッキングします。 さらに、箱の底付近のワークをピッキングする際にはロボットと箱の干渉が懸念されますが、それも干渉の無い姿勢をAIが判断して最適な姿勢と軌跡で動きます。ピッキング後の動作もまるで人間が物を手で運ぶようにスムーズな動きを実現し、従来のティーチングによる動きと比べるとサイクルタイムが大幅に減少しています。 人間が行う場合と変わらないスピードで(むしろ、より速く)ロボットが無人で作業を続ける、これを2台、3台と展開していくことにより3名で作業していた工程が2名に、2名で作業していた工程が1名に、1名が付きっ切りだった工程が無人に、と工場の省人化が進んでいきます。 事例②物流倉庫における多品種ケースの荷下ろし作業 物流倉庫において、毎日大量に納品される商品をパレットから仕分け用のコンベアに載せ替える作業があり、これまでは全て手作業で行ってきました。しかし、高さのある積み荷や、時には20kg近いケースもあり作業員の負担となっていました。 この場合においてロボット化の問題となるのが、ランダムにケースが積まれている場合です。 従来のロボットコントローラーではランダムに積まれているケースをロボットで取ろうとした場合には、一つ一つ品種登録し、様々なパターンをプログラムし、と膨大な時間と費用がかかってしまいます。 そのように工数をかけてもあらかじめ設定したパターン以外ではロボットは動けません。要するに現実的には実現不可能となります。 そこで採用されたのがAI搭載ロボットコントローラーと3Dビジョンシステムを組み合わせたデパレタイズ(荷下ろし)システムです。事例①と同様に、AIと3Dビジョンを組み合わせることでランダムに積み重ねられたケースの荷下ろしが可能となりました。 このように、作業員に負荷の高い作業をロボットに行わせ、手の空いた作業員にはより付加価値の高い作業にシフトしてもらうというのもロボット化の目指すべきところです。 4.まとめ いかかがでしたでしょうか? ロボット導入による省人化=従業員数を減らす、ではありません。 その空いた工数を、AI・ロボットの管理メンテナンス人員として育てる、新たなAI・ロボットシステムを作っていく未来ある人材(人財)として育てる。さらにそのような分野の採用を強化し会社を育てる。 中小製造業の目指すべきAI、ロボット導入の本質はそこにあるのかもしれません。 「AIとロボット、なんか難しそう、、」 「どうせ大手じゃなきゃ導入できないんでしょ、、」 「うちは中小で資金力が無いから、、」 そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。が、そんなことはありません。 Withコロナ時代における企業の優位性を確保するため、優秀な人材(人財)を確保するため、最先端のAI搭載ロボットコントローラーの導入を検討してみてはいかがでしょうか? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 近年、AIを搭載したロボットコントローラーの需要が高まっています。 今回はその「AI搭載ロボットコントローラー」について事例を交えて解説します。 1.ロボットティーチングの現状と課題 ロボットを動かすために必要な作業が「ティーチング」です。 ティーチング作業は非常に複雑、かつ専門知識を要する作業であり、専門のロボットプログラマーが行うのが一般的です。 ロボットを動かすにはペンダント(操作パネル)を使います。 このペンダントでティーチングの修正や動作確認を行っていくのですが、一般的に使用されているペンダントの画面はプログラムが羅列された文字だらけの画面であり非常に複雑です。 このプログラム画面からロボットの動きを想像するのは容易ではありません。そのため工場の現場レベルでティーチングを行うことはほぼ不可能なのが現状となっています。 2.AI搭載ロボットコントローラーによる制御とは そのような背景で近年注目されているのが「AI搭載ロボットコントローラー」です。 通常のロボットコントローラーと比較すると、大きく3つのメリットがあります。 ①ティーチング作業が簡単 ②生産性向上 ③操作性、メンテナンス性の向上 まず、一番のメリットはティーチング作業が圧倒的に簡単であることです。ワークのピンキング位置、ワークの置き位置、を指定するだけで後はAIが自動で判断してロボットの軌跡を生成します。 この時、あらかじめ登録した障害物との干渉を回避しつつ最適な動きをAIが自動で生成してくれます。 次に生産性向上です。 従来のティーチング作業では人間のような滑らかな動きをロボットで表現することは困難でした。 しかし、AI搭載ロボットコントローラーでは先にも記載した通り、AIが最適な動きを自動で生成します。 それにより、従来のような何点ものティーチングポイントを経由する動きと比べるとサイクルタイムが大幅に改善されます。 最後に、メンテナンス性・操作性の向上です。 通常のコントローラーではロボットメーカーごとにコントローラーが異なるため違うメーカーのロボットを導入する度に新しい操作方法を覚える必要がありました。 近年開発されているAI搭載ロボットコントローラーの中には、メーカーを選ばずどんなメーカーのロボットも直接制御できる物もあります。 それにより、操作も覚えやすく、メンテナンス方法も統一されるので操作ミスによるトラブルや「チョコ停」時の復旧時間短縮にも繋がり、結果として生産性も向上します。 3.事例と解説 では、具体的にどのような場面において導入されているのでしょうか。 事例を交えて解説していきます。 ・事例①自動車部品バラ積みピッキング コンテナのような深い箱に無作為に投入されているシャフトやギヤのようなワークを3Dビジョンシステムと組み合わせてピッキングし次工程(例えばバリ取り装置など)にワークセットするシステムが実装されています。この場合における圧倒的なメリットはやはり「バラ積みピッキング」が可能となったことです。 本来であればピッキングするワークは治具等を用いて綺麗に整列して並べて置く必要がありました。 3DビジョンとAIを組み合わせることで、箱の中にある様々なワークの姿勢を判断し、最適な掴み位置を自動で判断してピッキングします。 さらに、箱の底付近のワークをピッキングする際にはロボットと箱の干渉が懸念されますが、それも干渉の無い姿勢をAIが判断して最適な姿勢と軌跡で動きます。ピッキング後の動作もまるで人間が物を手で運ぶようにスムーズな動きを実現し、従来のティーチングによる動きと比べるとサイクルタイムが大幅に減少しています。 人間が行う場合と変わらないスピードで(むしろ、より速く)ロボットが無人で作業を続ける、これを2台、3台と展開していくことにより3名で作業していた工程が2名に、2名で作業していた工程が1名に、1名が付きっ切りだった工程が無人に、と工場の省人化が進んでいきます。 事例②物流倉庫における多品種ケースの荷下ろし作業 物流倉庫において、毎日大量に納品される商品をパレットから仕分け用のコンベアに載せ替える作業があり、これまでは全て手作業で行ってきました。しかし、高さのある積み荷や、時には20kg近いケースもあり作業員の負担となっていました。 この場合においてロボット化の問題となるのが、ランダムにケースが積まれている場合です。 従来のロボットコントローラーではランダムに積まれているケースをロボットで取ろうとした場合には、一つ一つ品種登録し、様々なパターンをプログラムし、と膨大な時間と費用がかかってしまいます。 そのように工数をかけてもあらかじめ設定したパターン以外ではロボットは動けません。要するに現実的には実現不可能となります。 そこで採用されたのがAI搭載ロボットコントローラーと3Dビジョンシステムを組み合わせたデパレタイズ(荷下ろし)システムです。事例①と同様に、AIと3Dビジョンを組み合わせることでランダムに積み重ねられたケースの荷下ろしが可能となりました。 このように、作業員に負荷の高い作業をロボットに行わせ、手の空いた作業員にはより付加価値の高い作業にシフトしてもらうというのもロボット化の目指すべきところです。 4.まとめ いかかがでしたでしょうか? ロボット導入による省人化=従業員数を減らす、ではありません。 その空いた工数を、AI・ロボットの管理メンテナンス人員として育てる、新たなAI・ロボットシステムを作っていく未来ある人材(人財)として育てる。さらにそのような分野の採用を強化し会社を育てる。 中小製造業の目指すべきAI、ロボット導入の本質はそこにあるのかもしれません。 「AIとロボット、なんか難しそう、、」 「どうせ大手じゃなきゃ導入できないんでしょ、、」 「うちは中小で資金力が無いから、、」 そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。が、そんなことはありません。 Withコロナ時代における企業の優位性を確保するため、優秀な人材(人財)を確保するため、最先端のAI搭載ロボットコントローラーの導入を検討してみてはいかがでしょうか? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

中小企業・中小製造業におけるロボット導入のポイントを解説

2020.07.30

ご存じの通り、中小企業においても自動化・ロボット化による生産性向上及び省力化、省人化が急務となっており「なんとかしなくては」と考えている経営者も多いかと思います。 今回は初めてロボットを導入する際の「勘どころ」を解説していきます。 1.中小企業におけるロボット導入の必要性と役割 中小製造業において課題となっている重要な項目の一つが人手不足です。 従業員100名以下の企業に関しては人手不足が最重要課題であることも少なくありません。 熟練作業者の高齢化、作業の属人化、若手作業者の定着率悪化、退職率増加、新規採用応募者の減少、など人手不足は深刻な状況になりつつあります。そのような背景の中、中小企業においてロボットはどのような役割を果たすのでしょうか? 中小製造業におけるロボットの役割として大きく3つのポイントが挙げられます。 ①人による作業の代替えによる生産性向上・省人化・省力化 ②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換 ③若手技術者の育成による企業の成長 まず、真っ先に挙げられるのが①生産性向上・省人化・省力化です。 これについてはしっかりと「数字」でコストメリットを試算して導入効果の検証をしていく必要があります。 この段階で検証を誤ると、導入したけど何の効果も無かった、ただスペースを圧迫するだけのオブジェになってしまった、なんて言うことにもなりかねません。 さらに、中小製造業においては多品種少量生産が一般的である場合も多いため一つのロボットシステムでいかに多品種に対応できるか、も重要なポイントになってきます。 月に何万台も生産する自動車部品の量産ラインのような工程では単一品種の対応で大きなメリットが出ますが、月100個の製品を10品種、同一の機械で生産するような多品種少量型の町工場においては、一つのロボットシステム(低投資)で多品種対応(高利益)が求められるため、作業改善や作業方法の変更、設備レイアウトの変更等様々な改善を組み合わせてロボット導入を検討する必要があります。 次に、②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換、③若手技術者の育成による企業の成長です。前述のように生産性が向上し省人化が実現したところで、現在の従業員に退職を迫るわけにはいきません。 そこで、ロボットにより手の空いた熟練作業者は、より付加価値の高い作業への配置転換を行います。中小企業が得意とする「職人の技術」です。 ロボットが出来ることはロボットが、人間にしか出来ないことは人間が、そのように作業を分担して、より短納期でより高品質な製品を提供する、中小企業としての強み(技術)を生かした戦略です。 さて、若手技術者の不足は中小企業において深刻な問題です。入社して半年も経たずに辞めてしまう、待遇を改善したが次の若手を雇っても同じように辞めてしまう、そのように若手が育たないので新しいシステムを導入しても扱える人間がいない、メンテナンスできる人間がいない、さらに新たな技術の導入に手が出せない、と悪循環に陥っていきます。 そこでロボット等の最新技術のオペレーター、技術担当者として若手を採用し「やりがい」や「目標・目的」を持って業務に取り組んでもらうことで若手社員本人としての成長と共に企業として成長していくとこが中小製造業におけるロボット導入のポイントであると考えます。 2.中小企業におけるロボット導入の注意点 では、中小企業においてロボット導入を検討する際に注意しなければいけない点とはどのような事があるのでしょうか? 先にも記載した通りまずは、「数字」でコストメリットを試算、するとこが重要な点となってきます。 生産量、工数、利益、等々様々な要因を数字で集めて分析し、どの製品のどの工程をロボット化していくのか、まずはざっくりと決めていきます。 製品と工程が決まったらさらにその工程を細かく分解して、どれくらいの工数がかかっているか、作業一つ一つの作業時間を出していきます。そのように分割した作業の中でロボットに行わせる作業を決めていきます。 この時点ではあくまでも仮の決定で、ある程度のビジョンを持って導入を計画していくための準備です。 さて、ここからが本題です。 重要なことが二つ、一つ目は優秀なシステムインテグレーター(SIer)を選定することです。 SIerとはロボットシステムや自動化システム等の提案、設計、導入、立ち上げを一手に担ってくれるメーカーや業者の総称です。 例えば、全く同じ工程のロボット化を何社かのSIerに依頼した場合でも、提案内容や導入コストに大きく差が出る場合があります。 これはSIerの「提案力」の差によるものです。機械設計や電気設計はある程度ノウハウ化されそれほど差が出るものではありませんが、この「提案力」は個々の経験とアイデアによる差が顕著に出るものです。 そういった観点から、提案力のある優秀なSIerを選定することが重要なことの一つになってきます。 二つ目はユーザーの分析力です。ここでいう分析とは、例えば大量の数字を集めて傾向を発見する、とかそのような小難しい分析ではなく、実際に現場ではどのように作業が行われているのか、を分析する力です。 ロボット導入となると、現場で作業をしている作業者が実際に打ち合わせに加わったり、一緒にシステム構成を考えたり、というのは生産があるため非常に困難であるため、経営者自らが構想設計から打ち合わせ立ち上げまで、一人でこなしていくケースも多いかと思います。 このような場合に起こりうるのが、把握している作業と実際の現場作業との差です。良くも悪くも、現場作業員が決められた作業手順(作業標準)通りに作業をしているとは限らないからです。 この実際の現場作業の確認(分析)を怠るとロボットシステム導入後に思っていた通りに物が出来ない、試算した通りに生産が進まない等の問題が発生します。現場作業員も「勝手に作業方法を変えられた!」と感じモチベーションも下がってしまいます。そのような問題を起こさないためにも現場分析が重要となってきます。現場分析=現場作業者とのコミュニケーション、であるとも言えます。その現場分析をもとにユーザーからSIerへ要望を出す(ある意味提案する)、その要望(提案)を受けてSIerが実現可能な方法を提案する、といった流れに乗れると良いシステムが作られていきます。 逆に言うと、いかに優秀なSIerとて、ユーザーから要望(提案)が無ければ良い提案が出来ないということです。 3.おわりに 昨今では、SIer側としても上記のような状態を認識し、提案型営業の必要性が問われています。しかしやはりSIerが実際に現場に立って作業分析をすることは困難でしょう。 ロボットだけを買ってきても何の価値も生まない、いかに価値を生み出すロボットシステムを生み出せるかはユーザーの現場分析力(提案力)にかかっている、といっても過言でありません。 このように、ロボットのような最新技術とはいえ「3現主義」のようなモノづくりの基本を大前提において導入を進めることが必要です。 ロボットについて何の知識もないから、とか、難しいことは分からないから、と投げ出してしまうのではなく、良いロボットシステムを作り上げるためには今まで現場で培ってきた経験が必要である、と認識し各々の現場にあったシステムを導入していくのが中小企業・中小製造業におけるロボット導入の「勘どころ」と言えるでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ ご存じの通り、中小企業においても自動化・ロボット化による生産性向上及び省力化、省人化が急務となっており「なんとかしなくては」と考えている経営者も多いかと思います。 今回は初めてロボットを導入する際の「勘どころ」を解説していきます。 1.中小企業におけるロボット導入の必要性と役割 中小製造業において課題となっている重要な項目の一つが人手不足です。 従業員100名以下の企業に関しては人手不足が最重要課題であることも少なくありません。 熟練作業者の高齢化、作業の属人化、若手作業者の定着率悪化、退職率増加、新規採用応募者の減少、など人手不足は深刻な状況になりつつあります。そのような背景の中、中小企業においてロボットはどのような役割を果たすのでしょうか? 中小製造業におけるロボットの役割として大きく3つのポイントが挙げられます。 ①人による作業の代替えによる生産性向上・省人化・省力化 ②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換 ③若手技術者の育成による企業の成長 まず、真っ先に挙げられるのが①生産性向上・省人化・省力化です。 これについてはしっかりと「数字」でコストメリットを試算して導入効果の検証をしていく必要があります。 この段階で検証を誤ると、導入したけど何の効果も無かった、ただスペースを圧迫するだけのオブジェになってしまった、なんて言うことにもなりかねません。 さらに、中小製造業においては多品種少量生産が一般的である場合も多いため一つのロボットシステムでいかに多品種に対応できるか、も重要なポイントになってきます。 月に何万台も生産する自動車部品の量産ラインのような工程では単一品種の対応で大きなメリットが出ますが、月100個の製品を10品種、同一の機械で生産するような多品種少量型の町工場においては、一つのロボットシステム(低投資)で多品種対応(高利益)が求められるため、作業改善や作業方法の変更、設備レイアウトの変更等様々な改善を組み合わせてロボット導入を検討する必要があります。 次に、②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換、③若手技術者の育成による企業の成長です。前述のように生産性が向上し省人化が実現したところで、現在の従業員に退職を迫るわけにはいきません。 そこで、ロボットにより手の空いた熟練作業者は、より付加価値の高い作業への配置転換を行います。中小企業が得意とする「職人の技術」です。 ロボットが出来ることはロボットが、人間にしか出来ないことは人間が、そのように作業を分担して、より短納期でより高品質な製品を提供する、中小企業としての強み(技術)を生かした戦略です。 さて、若手技術者の不足は中小企業において深刻な問題です。入社して半年も経たずに辞めてしまう、待遇を改善したが次の若手を雇っても同じように辞めてしまう、そのように若手が育たないので新しいシステムを導入しても扱える人間がいない、メンテナンスできる人間がいない、さらに新たな技術の導入に手が出せない、と悪循環に陥っていきます。 そこでロボット等の最新技術のオペレーター、技術担当者として若手を採用し「やりがい」や「目標・目的」を持って業務に取り組んでもらうことで若手社員本人としての成長と共に企業として成長していくとこが中小製造業におけるロボット導入のポイントであると考えます。 2.中小企業におけるロボット導入の注意点 では、中小企業においてロボット導入を検討する際に注意しなければいけない点とはどのような事があるのでしょうか? 先にも記載した通りまずは、「数字」でコストメリットを試算、するとこが重要な点となってきます。 生産量、工数、利益、等々様々な要因を数字で集めて分析し、どの製品のどの工程をロボット化していくのか、まずはざっくりと決めていきます。 製品と工程が決まったらさらにその工程を細かく分解して、どれくらいの工数がかかっているか、作業一つ一つの作業時間を出していきます。そのように分割した作業の中でロボットに行わせる作業を決めていきます。 この時点ではあくまでも仮の決定で、ある程度のビジョンを持って導入を計画していくための準備です。 さて、ここからが本題です。 重要なことが二つ、一つ目は優秀なシステムインテグレーター(SIer)を選定することです。 SIerとはロボットシステムや自動化システム等の提案、設計、導入、立ち上げを一手に担ってくれるメーカーや業者の総称です。 例えば、全く同じ工程のロボット化を何社かのSIerに依頼した場合でも、提案内容や導入コストに大きく差が出る場合があります。 これはSIerの「提案力」の差によるものです。機械設計や電気設計はある程度ノウハウ化されそれほど差が出るものではありませんが、この「提案力」は個々の経験とアイデアによる差が顕著に出るものです。 そういった観点から、提案力のある優秀なSIerを選定することが重要なことの一つになってきます。 二つ目はユーザーの分析力です。ここでいう分析とは、例えば大量の数字を集めて傾向を発見する、とかそのような小難しい分析ではなく、実際に現場ではどのように作業が行われているのか、を分析する力です。 ロボット導入となると、現場で作業をしている作業者が実際に打ち合わせに加わったり、一緒にシステム構成を考えたり、というのは生産があるため非常に困難であるため、経営者自らが構想設計から打ち合わせ立ち上げまで、一人でこなしていくケースも多いかと思います。 このような場合に起こりうるのが、把握している作業と実際の現場作業との差です。良くも悪くも、現場作業員が決められた作業手順(作業標準)通りに作業をしているとは限らないからです。 この実際の現場作業の確認(分析)を怠るとロボットシステム導入後に思っていた通りに物が出来ない、試算した通りに生産が進まない等の問題が発生します。現場作業員も「勝手に作業方法を変えられた!」と感じモチベーションも下がってしまいます。そのような問題を起こさないためにも現場分析が重要となってきます。現場分析=現場作業者とのコミュニケーション、であるとも言えます。その現場分析をもとにユーザーからSIerへ要望を出す(ある意味提案する)、その要望(提案)を受けてSIerが実現可能な方法を提案する、といった流れに乗れると良いシステムが作られていきます。 逆に言うと、いかに優秀なSIerとて、ユーザーから要望(提案)が無ければ良い提案が出来ないということです。 3.おわりに 昨今では、SIer側としても上記のような状態を認識し、提案型営業の必要性が問われています。しかしやはりSIerが実際に現場に立って作業分析をすることは困難でしょう。 ロボットだけを買ってきても何の価値も生まない、いかに価値を生み出すロボットシステムを生み出せるかはユーザーの現場分析力(提案力)にかかっている、といっても過言でありません。 このように、ロボットのような最新技術とはいえ「3現主義」のようなモノづくりの基本を大前提において導入を進めることが必要です。 ロボットについて何の知識もないから、とか、難しいことは分からないから、と投げ出してしまうのではなく、良いロボットシステムを作り上げるためには今まで現場で培ってきた経験が必要である、と認識し各々の現場にあったシステムを導入していくのが中小企業・中小製造業におけるロボット導入の「勘どころ」と言えるでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

産業用ロボットの種類と市場規模

2020.06.18

近年では、様々な業界においてロボットが用いられるようになってきています。 その背景には将来的な人口減少により生産年齢人口が減少することや、顧客のニーズを満たすようなロボットを、製造することが出来るまでに技術が発展していることなどが、挙げられます。 ロボットと一口に言っても産業用ロボット・家電ロボット・手術支援ロボット・医療支援ロボットなど様々な種類がありますが、その中でも最も注目を集めているのが産業用ロボットです。 では、「産業用ロボット」とは一体どういうものなのでしょうか? 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットの説明に入る前に、まずはロボットの定義を共有したいと思います。 ロボットの定義は明確に定まっている訳ではなく所々で色々な定義がされていますが、定義の一つに、“人の代わりに何等かの作業を自律的に行う装置、もしくは機械のこと。”とあります。 そのロボットの中で、注目されている産業用ロボットは、「自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレーターであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定してまたは運動機能をもって産業自動化の用途に用いられるロボット」と日本工業規格JISで定義されています。 マニピュレーターとは人の手や腕の代わりに作業する機構を指します。このような産業用ロボットは、資金が潤沢な大企業のみが導入できるものと考えられてきましたが、近年では規模が小さい中小企業においてもロボット導入が可能となっています。 まだまだ多くの方が、ロボット化をただの単品大量生産の自動化だと考えていますが、それは大きな間違いです。 特に中小企業にとってロボット化とは ・売上UP・付加価値UP・生産性UP ・熟練業務の伝承・継承 ・優秀な若手の採用強化・教育育成 ・新規顧客の開拓 ・人手不足の解消 ・ロボットによる3K業務の代替 であり大きなメリットがあります。 2.産業用ロボットに関する市場を調査 先述の通り、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 IFR (国際ロボット連盟)のレポートによると、過去5 年で世界の産業用ロボットの販売台数は2 倍になるといわれています。その背景として、日本・韓国・欧州等における労働力人口減少や中国・新興国等における賃金上昇や品質向上ニーズ拡大等が挙げられます。 IFRのWorld Robotics Report によると、2017 年に世界の産業用ロボットの出荷台数は過去最高となる381,000 台を記録し、前年比30%増となりました。ロボットの年間販売台数は下記の図をみてもわかるように、年々増加しており1 年あたり平均14%増となっています。 *2009~2017年と2018~2021年の世界全体の産業用ロボットの推移年間販売数 出展:国際ロボット連盟2018 また、日本ロボット工業会の統計を見ても、国内メーカーの18年の受注額は9623億円で、前年比5,5%増加しました。6連続の前年比増加で、過去最高を記録しています。 日本は、世界一の産業用ロボット生産国ですが、2017 年に日本メーカーは世界の販売台数の56%を占めました。 輸出比率は 45%の増加を記録し、輸出先は北米や中国、韓国、ヨーロッパです。 日本以外で注目すべき国としては、中国です。近年、中国を中心としたアジア市場が産業用ロボット市場の大きな成長源となっています。 中国は既に稼働台数において日本に次ぐ世界第2位となっていますが、工場労働者1人当たりの台数は少なく、ロボットの導入余地が大きいと考えられ、今後日本を抜いていくことが予想されます。 ここまで数字面で、産業用ロボットが注目される根拠を説明してきましたが、ここからは社会的な面からも見ていきたいと思います。 国際ロボット連盟の会長である津田純嗣は以下のように述べています。 「産業用ロボットは製造業の進歩に欠かせない重要な役割を担っています。ロボットは、視覚認識やスキル学習、AIを用いた故障予測、マン・マシン・コラボレーションという新たな概念、そして容易なプログラミングなどの多くの最新のテクノロジー と共に進化を遂げています。こうしたテクノロジーは、製造業の生産性の向上と、ロボット応用分野の拡大に寄与するでしょう。IFRの予測では、世界中の工場へのロボットの年間導入台数は2021年に約630,000台に到達することが見込まれます。」 OECDの調査によると、テクノロジーを効果的に採用している企業は、採用していない企業よりも10倍生産性が高いことが示されており、津田会長が言うように産業用ロボットは製造業の進歩に必要不可欠であると考えられます。 また、昨今のコロナウイルスの影響により自動化は今後より進んでいくと考えられます。IFRや経済学者らはコロナ危機は、ロボットが産業と社会にもたらす重要な貢献を強調しているとの考えを示しています。 3.産業用ロボットの種類 産業用ロボットは幅広い分野で活用されていますが、一口に産業用ロボットといっても様々なタイプがあります。 ・垂直多関節ロボット 人間の腕に似た構造で自由度が高く、最も普及しているタイプの産業用ロボットです。 軸の数が多く、動作の自由度が非常に高いということから様々な作業を行うことができます。 自由度が高いことから、対象とするワークを回り込んでの作業も得意で、搬送・溶接・塗装・組立等多くの工程で導入されています。 ただ、多軸で自由度が高い半面、制御がやや複雑になります。 ・水平多関節ロボット(スカラロボット) 水平(スカラ)方向の動きに特化したロボットです。 最も主流となっているのが4軸のロボットで、関節は回転軸が全て垂直に揃っているため、必ずアームの先端が水平面内を移動します。 例えばものをつかみ上げる場合は、ハンドを対象物の真上まで動かし、垂直の直線軸でハンドを近づけます。 複雑な動作はできませんが、上下方向の剛性が高く、水平方向への柔軟性を持っているため、部品の押し込み作業などの組立工程に適しています。 ウエハの搬送や、基板を組み立てる際など用途は多岐に渡ります。 ・パラレルリンクロボット 並列なリンクを介して1点の動きを制御する方法(パラレルメカニズム)を使った産業用ロボットです。 複数モーターの出力を1点に集中させ、各関節が直接先端を制御するため、高精度・高出力で、非常に高速に動けるという特徴があります。 そのため、ベルトコンベヤーの上に取り付けられ、流れてくる製品を高速でピックアップして搬送することができます。 ・直交ロボット 直角に組み合わせた直線軸からなるシンプルなロボットです。 作業を施す範囲に対し、設置面積が広くなってしまうというデメリットはありますが、スライド機構による動作になるため、回転がないという特徴があります。 また、複雑な動作はできない代わりに、シンプルで安価であるといったことも特徴として挙げられます。 直行ロボットは重量物の搬送や、基板の組み立てなどに使用されています。最近では、単体で導入するのではなく、多関節ロボットと組み合わせて導入し、使われることが増えてきています。 そのほかにも、液晶パネルの搬送などに利用されている、「円筒座標型ロボット」や 産業用ロボットの元祖である「極座標型ロボット」等様々なロボットがあります。 また、産業用ロボットといっても、「協業ロボット」や「双腕ロボット」など、一般的な産業用ロボットとは違ったタイプのロボットもあります。 このように、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 今後、産業用ロボットによる自動化はより進んでいくことでしょう。 本記事では産業用ロボットの市場について解説しました。 他の記事では、中小企業がロボット化を実現している事例なども紹介しておりますから、ロボット化をお考えの方のきっとお役に立つことと思います。 是非一度、ご覧になって下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 近年では、様々な業界においてロボットが用いられるようになってきています。 その背景には将来的な人口減少により生産年齢人口が減少することや、顧客のニーズを満たすようなロボットを、製造することが出来るまでに技術が発展していることなどが、挙げられます。 ロボットと一口に言っても産業用ロボット・家電ロボット・手術支援ロボット・医療支援ロボットなど様々な種類がありますが、その中でも最も注目を集めているのが産業用ロボットです。 では、「産業用ロボット」とは一体どういうものなのでしょうか? 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットの説明に入る前に、まずはロボットの定義を共有したいと思います。 ロボットの定義は明確に定まっている訳ではなく所々で色々な定義がされていますが、定義の一つに、“人の代わりに何等かの作業を自律的に行う装置、もしくは機械のこと。”とあります。 そのロボットの中で、注目されている産業用ロボットは、「自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレーターであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定してまたは運動機能をもって産業自動化の用途に用いられるロボット」と日本工業規格JISで定義されています。 マニピュレーターとは人の手や腕の代わりに作業する機構を指します。このような産業用ロボットは、資金が潤沢な大企業のみが導入できるものと考えられてきましたが、近年では規模が小さい中小企業においてもロボット導入が可能となっています。 まだまだ多くの方が、ロボット化をただの単品大量生産の自動化だと考えていますが、それは大きな間違いです。 特に中小企業にとってロボット化とは ・売上UP・付加価値UP・生産性UP ・熟練業務の伝承・継承 ・優秀な若手の採用強化・教育育成 ・新規顧客の開拓 ・人手不足の解消 ・ロボットによる3K業務の代替 であり大きなメリットがあります。 2.産業用ロボットに関する市場を調査 先述の通り、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 IFR (国際ロボット連盟)のレポートによると、過去5 年で世界の産業用ロボットの販売台数は2 倍になるといわれています。その背景として、日本・韓国・欧州等における労働力人口減少や中国・新興国等における賃金上昇や品質向上ニーズ拡大等が挙げられます。 IFRのWorld Robotics Report によると、2017 年に世界の産業用ロボットの出荷台数は過去最高となる381,000 台を記録し、前年比30%増となりました。ロボットの年間販売台数は下記の図をみてもわかるように、年々増加しており1 年あたり平均14%増となっています。 *2009~2017年と2018~2021年の世界全体の産業用ロボットの推移年間販売数 出展:国際ロボット連盟2018 また、日本ロボット工業会の統計を見ても、国内メーカーの18年の受注額は9623億円で、前年比5,5%増加しました。6連続の前年比増加で、過去最高を記録しています。 日本は、世界一の産業用ロボット生産国ですが、2017 年に日本メーカーは世界の販売台数の56%を占めました。 輸出比率は 45%の増加を記録し、輸出先は北米や中国、韓国、ヨーロッパです。 日本以外で注目すべき国としては、中国です。近年、中国を中心としたアジア市場が産業用ロボット市場の大きな成長源となっています。 中国は既に稼働台数において日本に次ぐ世界第2位となっていますが、工場労働者1人当たりの台数は少なく、ロボットの導入余地が大きいと考えられ、今後日本を抜いていくことが予想されます。 ここまで数字面で、産業用ロボットが注目される根拠を説明してきましたが、ここからは社会的な面からも見ていきたいと思います。 国際ロボット連盟の会長である津田純嗣は以下のように述べています。 「産業用ロボットは製造業の進歩に欠かせない重要な役割を担っています。ロボットは、視覚認識やスキル学習、AIを用いた故障予測、マン・マシン・コラボレーションという新たな概念、そして容易なプログラミングなどの多くの最新のテクノロジー と共に進化を遂げています。こうしたテクノロジーは、製造業の生産性の向上と、ロボット応用分野の拡大に寄与するでしょう。IFRの予測では、世界中の工場へのロボットの年間導入台数は2021年に約630,000台に到達することが見込まれます。」 OECDの調査によると、テクノロジーを効果的に採用している企業は、採用していない企業よりも10倍生産性が高いことが示されており、津田会長が言うように産業用ロボットは製造業の進歩に必要不可欠であると考えられます。 また、昨今のコロナウイルスの影響により自動化は今後より進んでいくと考えられます。IFRや経済学者らはコロナ危機は、ロボットが産業と社会にもたらす重要な貢献を強調しているとの考えを示しています。 3.産業用ロボットの種類 産業用ロボットは幅広い分野で活用されていますが、一口に産業用ロボットといっても様々なタイプがあります。 ・垂直多関節ロボット 人間の腕に似た構造で自由度が高く、最も普及しているタイプの産業用ロボットです。 軸の数が多く、動作の自由度が非常に高いということから様々な作業を行うことができます。 自由度が高いことから、対象とするワークを回り込んでの作業も得意で、搬送・溶接・塗装・組立等多くの工程で導入されています。 ただ、多軸で自由度が高い半面、制御がやや複雑になります。 ・水平多関節ロボット(スカラロボット) 水平(スカラ)方向の動きに特化したロボットです。 最も主流となっているのが4軸のロボットで、関節は回転軸が全て垂直に揃っているため、必ずアームの先端が水平面内を移動します。 例えばものをつかみ上げる場合は、ハンドを対象物の真上まで動かし、垂直の直線軸でハンドを近づけます。 複雑な動作はできませんが、上下方向の剛性が高く、水平方向への柔軟性を持っているため、部品の押し込み作業などの組立工程に適しています。 ウエハの搬送や、基板を組み立てる際など用途は多岐に渡ります。 ・パラレルリンクロボット 並列なリンクを介して1点の動きを制御する方法(パラレルメカニズム)を使った産業用ロボットです。 複数モーターの出力を1点に集中させ、各関節が直接先端を制御するため、高精度・高出力で、非常に高速に動けるという特徴があります。 そのため、ベルトコンベヤーの上に取り付けられ、流れてくる製品を高速でピックアップして搬送することができます。 ・直交ロボット 直角に組み合わせた直線軸からなるシンプルなロボットです。 作業を施す範囲に対し、設置面積が広くなってしまうというデメリットはありますが、スライド機構による動作になるため、回転がないという特徴があります。 また、複雑な動作はできない代わりに、シンプルで安価であるといったことも特徴として挙げられます。 直行ロボットは重量物の搬送や、基板の組み立てなどに使用されています。最近では、単体で導入するのではなく、多関節ロボットと組み合わせて導入し、使われることが増えてきています。 そのほかにも、液晶パネルの搬送などに利用されている、「円筒座標型ロボット」や 産業用ロボットの元祖である「極座標型ロボット」等様々なロボットがあります。 また、産業用ロボットといっても、「協業ロボット」や「双腕ロボット」など、一般的な産業用ロボットとは違ったタイプのロボットもあります。 このように、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 今後、産業用ロボットによる自動化はより進んでいくことでしょう。 本記事では産業用ロボットの市場について解説しました。 他の記事では、中小企業がロボット化を実現している事例なども紹介しておりますから、ロボット化をお考えの方のきっとお役に立つことと思います。 是非一度、ご覧になって下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/