DX CONSULTING COLUMN 工場DXコンサルティングコラム

専門コンサルタントが執筆するAI・ロボットコラム
最新のAI・ロボット技術に精通したコンサルタントによる定期コラム

VOL2・・協働ロボットって何?<協働ロボットの特徴や現場への導入事例をご紹介>

2020.09.28

前回のコラムで協働ロボットについての記事を作成しましたが、反響が良かった為VOL2と題しまして協働ロボットについてもう少し詳しく述べていこうと思います。 まずは協働ロボットとは何か?のおさらい 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と一緒に作業を行う事の出来る産業用ロボットです。 本来産業用ロボットというのは、非常に力持ちです。ロボットの種類や大きさによるものの人を遥かに超える大きな力をもっている為に産業用ロボットの稼働範囲に人が入ってしまうと重篤な災害を引き起こすリスクがあります。 その為、産業用ロボットの周囲には安全柵の設置が必要であり、安全柵はロボットが停止していないと開かない様になっています。 完全にロボットのみで完結するシステムであれば問題無いのですが、あくまで人が組立作業を行うが人の作業をロボットで補助して欲しいというニーズや普段は必要無いが、生産ラインに欠員等の人員不足等があった際にロボットを使用したいというニーズが多くあります。 2013年12月に以下のとおり規制が緩和されたことをきっかけに、労働者に危険が生じない産業用ロボットの開発が進みました。それこそが協働ロボットです。 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。 厚生労働省『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』より 産業用ロボットを使用する事業者が、労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるときは、本条の「労働者に危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しません。 『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』(平成25年12月24日付基発1224第2号通達)より 協働ロボットは一般的にモーターの定格出力が80Wを超えない様になっています。そして何かに衝突したり大きな負荷がロボットに掛かった場合は即時モータ電源が遮断されるようになっています。感覚的に言えば、道を歩いていてすれ違う人と軽く肩がぶつかった時の衝撃よりも軽い衝撃でロボットは停止する様になっており、作業者が仮にロボットに接触しても大きな災害につながるリスクは小さいのです。 2.協働ロボットの特徴 協働ロボットは安全の為に他の産業用ロボットに比べて非常に非力に作られています。 非力であるが故に大きなモノや重たいモノは持つ事も素早く動く事も出来ません。 しかし、下記の様な特長を持っています。 1、非常にコンパクトで軽量な為に必要に応じてロボットを移動して別の場所で使う事が出来る。 ※協働ロボットの架台にキャスターが付いているモノも多いです。 2、直接教示が可能なモノが多く簡単に動かす事が出来る。 ※直接教示はダイレクトティーチングとも呼ばれ、人の手でロボットハンドを指定したい場所に動かしてポイントを登録するだけでティーチング出来るという教示法。簡単で早い教示が可能です。 3、コンセント繋げれば使える。大がかりなシステムが必要無い為、導入コストを引き下げる事が出来る。 ※協働ロボット単体の単価は一般の産業用ロボットに比べて高めですが、安全対策機器に掛かる費用やシステム設計費等を抑制する事が出来るのでシステム全体としての費用は抑える事が出来ます。 4、ビジョンセンサ等をセンシング機器とアッセンブリで販売されているモノも多く用途に合わせて選ぶ事が出来る。 5、操作が簡単に誰でも出来る様にアプリケーションの開発が進んでおり、一般的な産業用ロボットに比べて遥かに使いやすい。 協働ロボットはこのような特徴をもっており、一般の産業用ロボットでは不可能な事が可能となる面をもっています。作業者のすぐそばで作業をする為に、安全性と操作性に非常に特化されており【身近なロボット】として生産現場で活躍しています。 協働ロボットは非常に非力と記述しましたが、現在の開発競争の中、可搬重量が数10KGを超える協働ロボットも出てきています。安全対策の進歩により、かなり力のある協働ロボットも世に出てきており、数年後には協働ロボットは一般産業用ロボットの可搬性能に並んでいくかも知れませんね。 如何でしょうか。これまでは前回の記事でも述べた協働ロボットとは何か?という記事になりますが、ここからは、より具体的な導入事例について述べていきます。 3.協働ロボットの活用方法や導入事例 協働ロボットのトップメーカーでもあるUR(ユニバーサールロボット社)様では様々な導入事例をYOUTUBEにアップされており誰でも見る事が出来ますので一部ご紹介します。 事例① JVC ELECTRONICS INDONESIA社(日本企業、インドネシア、電子部品)の協働ロボット導入事例:部品の搬送、ネジ留め、はんだ付け https://www.youtube.com/watch?v=HMd7zL6sGDM 事例② 光洋電子工業株式会社 (日本、電子機器関連)の協働ロボット導入:タッチパネルの反応検査 https://www.youtube.com/watch?v=_NegT1jVdgs&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=2 事例③ GKNドライブライン株式会社(日本、自動車関連)の協働ロボット導入事例:ギアの嵌合、プレートの表裏判定 https://www.youtube.com/watch?v=JLQxe6OCGds&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=1 事例④ 日本ゼトック株式会社(日本、医薬品等)の協働ロボット導入事例:商品の小箱入れ、段ボールの梱包 https://www.youtube.com/watch?v=h5EWpnBOEJY 事例⑤ Toolcraft様 (アメリカ、金属および機械加工)の協働ロボット導入: ピック・アンド・プレイス https://www.youtube.com/watch?v=gIGLt1Cyd7k 如何でしたか? 協働ロボットは何か?どのような事が出来るのか?については上記の動画を閲覧頂ければ概要は良くご理解いただけると思います。 協働ロボットは他ロボット同様にハンドエフェクターに様々な工夫を凝らす事で様々な分野に応用出来ます。本コラムでは紹介出来ていませんが、アーク溶接が出来る協働ロボットもあります。 4.協働ロボットの選定 協働ロボットを選定する為には、まず自動化したい工程で把持するワークや工具の重量を確認しましょう。 基本的に産業用ロボットの選定は可搬重量(最大積載量)で決まってきます。 一般的な協働ロボットの可搬重量は10kg程度なので、ワークのピック&プレースを実行させる場合、ハンドエフェクタ+把持するワークの重量を10kg以下に抑える必要がありますので、ハンドエフェクタの設計やロボットの選定にはきちんと自動化したい工程やワークの重量を確認して選定する必要があります。 可搬重量については10kg可搬程度が一般的ですが、ファナック様から35kg可搬のCR35iAもリリースされています。大きなモノを持ち上げるハンドエフェクターの設計が必要ですが、高重量物にも対応する事も可能です。 次に可動範囲(リーチ)です。 協働ロボットを中心にロボットハンドがどの距離まで届くかというものです。 例えば、NC工作機械へのワーク供給、排出をさせたい時、工作機械のチャック部分からワークを仮置きしておく台までの距離でおよそ必要なリーチが把握出来ますので、その距離に無理なく到達出来るリーチのロボットを選定します。注意点としては、ロボットのスペック表等に記載してある最大リーチは極限られた姿勢でしか発揮出来ないものです。実用する為には、各軸が様々な向き位置にいる中で必要なリーチに届く必要がありますので、スペック表の最大リーチギリギリの選定は失敗になりやすいのでご注意下さい。 最後はオプション品です。 自動化させたい工程や要求される品質によって、協働ロボットに様々オプションを付ける事が出来ます。 2D、3Dのカメラであったり、溶接のトーチ、トルクセンサ等あります。 協働ロボットメーカー推奨のオプション品もあり、よりロボットと互換性のあるモノを選ぶ事が出来ますので自動化させたい工程によって必要なオプション品が選べる協働ロボットを選定するのも大事です。 本記事では、協働ロボットの特徴や導入事例、選定方法について述べてきましたが如何でしたか? 協働ロボットの機動性や扱いやすさは他の産業用ロボットとくらべ群を抜いています。 省スペースで安全柵が不要だからこそ、既存のレイアウトに収まる。一つの工程だけではなく、事情、環境に合わせて違う場所、用途で使用できる等メリットが沢山あります。 多品種少量生産が求められる日本の製造業にこそ協働ロボットは活きるのではないでしょうか。 ロボットの導入を検討されているが既存の産業用ロボットはどうかなとお考えの方にも是非検討して頂きたいと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 前回のコラムで協働ロボットについての記事を作成しましたが、反響が良かった為VOL2と題しまして協働ロボットについてもう少し詳しく述べていこうと思います。 まずは協働ロボットとは何か?のおさらい 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と一緒に作業を行う事の出来る産業用ロボットです。 本来産業用ロボットというのは、非常に力持ちです。ロボットの種類や大きさによるものの人を遥かに超える大きな力をもっている為に産業用ロボットの稼働範囲に人が入ってしまうと重篤な災害を引き起こすリスクがあります。 その為、産業用ロボットの周囲には安全柵の設置が必要であり、安全柵はロボットが停止していないと開かない様になっています。 完全にロボットのみで完結するシステムであれば問題無いのですが、あくまで人が組立作業を行うが人の作業をロボットで補助して欲しいというニーズや普段は必要無いが、生産ラインに欠員等の人員不足等があった際にロボットを使用したいというニーズが多くあります。 2013年12月に以下のとおり規制が緩和されたことをきっかけに、労働者に危険が生じない産業用ロボットの開発が進みました。それこそが協働ロボットです。 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。 厚生労働省『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』より 産業用ロボットを使用する事業者が、労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるときは、本条の「労働者に危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しません。 『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』(平成25年12月24日付基発1224第2号通達)より 協働ロボットは一般的にモーターの定格出力が80Wを超えない様になっています。そして何かに衝突したり大きな負荷がロボットに掛かった場合は即時モータ電源が遮断されるようになっています。感覚的に言えば、道を歩いていてすれ違う人と軽く肩がぶつかった時の衝撃よりも軽い衝撃でロボットは停止する様になっており、作業者が仮にロボットに接触しても大きな災害につながるリスクは小さいのです。 2.協働ロボットの特徴 協働ロボットは安全の為に他の産業用ロボットに比べて非常に非力に作られています。 非力であるが故に大きなモノや重たいモノは持つ事も素早く動く事も出来ません。 しかし、下記の様な特長を持っています。 1、非常にコンパクトで軽量な為に必要に応じてロボットを移動して別の場所で使う事が出来る。 ※協働ロボットの架台にキャスターが付いているモノも多いです。 2、直接教示が可能なモノが多く簡単に動かす事が出来る。 ※直接教示はダイレクトティーチングとも呼ばれ、人の手でロボットハンドを指定したい場所に動かしてポイントを登録するだけでティーチング出来るという教示法。簡単で早い教示が可能です。 3、コンセント繋げれば使える。大がかりなシステムが必要無い為、導入コストを引き下げる事が出来る。 ※協働ロボット単体の単価は一般の産業用ロボットに比べて高めですが、安全対策機器に掛かる費用やシステム設計費等を抑制する事が出来るのでシステム全体としての費用は抑える事が出来ます。 4、ビジョンセンサ等をセンシング機器とアッセンブリで販売されているモノも多く用途に合わせて選ぶ事が出来る。 5、操作が簡単に誰でも出来る様にアプリケーションの開発が進んでおり、一般的な産業用ロボットに比べて遥かに使いやすい。 協働ロボットはこのような特徴をもっており、一般の産業用ロボットでは不可能な事が可能となる面をもっています。作業者のすぐそばで作業をする為に、安全性と操作性に非常に特化されており【身近なロボット】として生産現場で活躍しています。 協働ロボットは非常に非力と記述しましたが、現在の開発競争の中、可搬重量が数10KGを超える協働ロボットも出てきています。安全対策の進歩により、かなり力のある協働ロボットも世に出てきており、数年後には協働ロボットは一般産業用ロボットの可搬性能に並んでいくかも知れませんね。 如何でしょうか。これまでは前回の記事でも述べた協働ロボットとは何か?という記事になりますが、ここからは、より具体的な導入事例について述べていきます。 3.協働ロボットの活用方法や導入事例 協働ロボットのトップメーカーでもあるUR(ユニバーサールロボット社)様では様々な導入事例をYOUTUBEにアップされており誰でも見る事が出来ますので一部ご紹介します。 事例① JVC ELECTRONICS INDONESIA社(日本企業、インドネシア、電子部品)の協働ロボット導入事例:部品の搬送、ネジ留め、はんだ付け https://www.youtube.com/watch?v=HMd7zL6sGDM 事例② 光洋電子工業株式会社 (日本、電子機器関連)の協働ロボット導入:タッチパネルの反応検査 https://www.youtube.com/watch?v=_NegT1jVdgs&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=2 事例③ GKNドライブライン株式会社(日本、自動車関連)の協働ロボット導入事例:ギアの嵌合、プレートの表裏判定 https://www.youtube.com/watch?v=JLQxe6OCGds&list=TLPQMTYwOTIwMjCYKM0X9Ry5Ew&index=1 事例④ 日本ゼトック株式会社(日本、医薬品等)の協働ロボット導入事例:商品の小箱入れ、段ボールの梱包 https://www.youtube.com/watch?v=h5EWpnBOEJY 事例⑤ Toolcraft様 (アメリカ、金属および機械加工)の協働ロボット導入: ピック・アンド・プレイス https://www.youtube.com/watch?v=gIGLt1Cyd7k 如何でしたか? 協働ロボットは何か?どのような事が出来るのか?については上記の動画を閲覧頂ければ概要は良くご理解いただけると思います。 協働ロボットは他ロボット同様にハンドエフェクターに様々な工夫を凝らす事で様々な分野に応用出来ます。本コラムでは紹介出来ていませんが、アーク溶接が出来る協働ロボットもあります。 4.協働ロボットの選定 協働ロボットを選定する為には、まず自動化したい工程で把持するワークや工具の重量を確認しましょう。 基本的に産業用ロボットの選定は可搬重量(最大積載量)で決まってきます。 一般的な協働ロボットの可搬重量は10kg程度なので、ワークのピック&プレースを実行させる場合、ハンドエフェクタ+把持するワークの重量を10kg以下に抑える必要がありますので、ハンドエフェクタの設計やロボットの選定にはきちんと自動化したい工程やワークの重量を確認して選定する必要があります。 可搬重量については10kg可搬程度が一般的ですが、ファナック様から35kg可搬のCR35iAもリリースされています。大きなモノを持ち上げるハンドエフェクターの設計が必要ですが、高重量物にも対応する事も可能です。 次に可動範囲(リーチ)です。 協働ロボットを中心にロボットハンドがどの距離まで届くかというものです。 例えば、NC工作機械へのワーク供給、排出をさせたい時、工作機械のチャック部分からワークを仮置きしておく台までの距離でおよそ必要なリーチが把握出来ますので、その距離に無理なく到達出来るリーチのロボットを選定します。注意点としては、ロボットのスペック表等に記載してある最大リーチは極限られた姿勢でしか発揮出来ないものです。実用する為には、各軸が様々な向き位置にいる中で必要なリーチに届く必要がありますので、スペック表の最大リーチギリギリの選定は失敗になりやすいのでご注意下さい。 最後はオプション品です。 自動化させたい工程や要求される品質によって、協働ロボットに様々オプションを付ける事が出来ます。 2D、3Dのカメラであったり、溶接のトーチ、トルクセンサ等あります。 協働ロボットメーカー推奨のオプション品もあり、よりロボットと互換性のあるモノを選ぶ事が出来ますので自動化させたい工程によって必要なオプション品が選べる協働ロボットを選定するのも大事です。 本記事では、協働ロボットの特徴や導入事例、選定方法について述べてきましたが如何でしたか? 協働ロボットの機動性や扱いやすさは他の産業用ロボットとくらべ群を抜いています。 省スペースで安全柵が不要だからこそ、既存のレイアウトに収まる。一つの工程だけではなく、事情、環境に合わせて違う場所、用途で使用できる等メリットが沢山あります。 多品種少量生産が求められる日本の製造業にこそ協働ロボットは活きるのではないでしょうか。 ロボットの導入を検討されているが既存の産業用ロボットはどうかなとお考えの方にも是非検討して頂きたいと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

専門コンサルタント厳選!多品種少量中小企業のロボット導入事例3選

2020.09.11

今回は、忙しくてロボット導入事例を調べる時間が取れない経営者の方のために、ロボット導入実証事業(経済産業省)の補助金制度を活用した中小企業のロボット導入事例を厳選して解説します。※ロボット導入実証事業事例紹介ハンドブックはこちらから http://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf 1.従業員を重労働から解放!空いた工数を検査へ回し品質向上!パレット積み工程のロボット化 概要 製品出荷前の最終工程となる段ボールのパレット積み作業で、最大12kgの箱を高さ170cmまで積み上げる作業をロボット化 導入効果 投資金額¥25,000,000 投資効果¥4,800,000/年 ロボット導入により作業人員は導入前の10人から8人に削減 投資回収年はおよそ5年程度 解説 従業員45名の企業様のロボット導入事例です。 ロボット導入に際し問題となった点は、顧客ごとに大きさや形状の違う段ボールを顧客の要望ごとに荷造り(積み方、積載数)する必要があり自動化が困難と思われた点です。 しかし、そのような多種の条件に対応できるハンド設計や制御方法の工夫等、ハードとソフトの両面から解決方法にアプローチし対応を可能としています。 さらに、限られたスペースの中でロボット・コンベア・パレット置き場を設置するために省スペース型のパレットチェンジャーを開発設計しています。これらのことにより検討当初は困難と思われた多品種対応を実現しました。 この工程以外にも、おそらく簡単にロボット導入を検討できる工程はあったはずです。 その中でも“あえて”従業員の負担(重労働)を減らすために優先してパレット積みのロボット化に踏み切ったのだと思われます。 従業員を第一に考えた経営者の姿勢が見えてくる導入事例です。 さらに、空いた工数は検査工程に割り振り品質面でも工場が図れたとのこと。 生産性向上(省人化)、品質向上、重労働からの解放(省力化)の3つを同時に実現した中小企業ならではの良い事例です。 2.熟練職人の溶接作業を整理、分類、パターン化!職人の溶接作業をティーチングレスでロボット化に成功! 概要 受注ごとに寸法や形状が異なる特注大型門扉製造工程における溶接作業をロボット化 導入効果 投資金額¥60,000,000 投資効果 生産数:2倍 利益増:¥10,000,000/年 省人化:2名→1名 ロボット導入により2名の作業員を1名へ省人、さらに生産数は2倍に増加し年間¥10,000,000の利益増を生み出しています。 解説 特注品の大型溶接ワークは受注ごとに寸法や形状が異なることからオフラインティーチングを活用するのが一般的です。しかし、この企業様では溶接の職人作業を1からヒアリングし、整理、分類することでパターン化することを考えました。 そのパターンを事前に何種類かに分け、教示データを作りこみます。現場ではそのパターンの中から種類を選択し必要な数字を入力するだけでロボット自身が動作を作るため、溶接スキルの有無に関わらず、誰でもロボット操作が可能となっています。 難解なオフラインティーチングの導入教育や図面の3次元CAD化をすることなく、多品種生産にロボットを活用できた事例です。 この事例における優れた点は、熟練作業者の勘とコツを整理、分類しパターン化したこと、そのように属人化していた作業をしっかりと分析し体系化したことです。 その結果溶接スキルの有無に関わらず、誰でも操作することが可能となりました。 オフラインティーチングソフト購入費用及び導入教育費用、設計の3次元化等の費用も削減できています。 今回の事例のように数字を入力するだけでシステム自身が動作を作って実行するようなシステムを構築することができれば、通常のティーチングやオフラインティーチングによるシステムではロボット化のメリットが出せないような一品一様の生産の場合でも労働生産性を高めしっかりとメリットを出すことが可能です。 日本の中小製造業における熟練職人の技術力は世界でもトップレベルの技術力であることは間違いありません。近年、世界の製造業では日本の中小企業の職人技術を欲している、との話もあります。しかし、その「職人技」をどのようにして継承していくかという課題もあります。 その職人技の継承に真っ向から取り組み、パターン化しロボット化したことは今後、日本の製造業があらためて世界のトップに上り詰めるためにも、大変重要なことではないでしょうか。 3.システム簡素化で導入コスト削減!!多品種少量マシニングセンター加工のワーク着脱ロボット化! 概要 少ロット切削加工のワーク着脱工程をロボット化、カメラ・画像処理によるワーク判別に代わり、シンプルな位置決めパレットを採用してコストダウン。 導入効果 投資金額¥17,500,000 投資効果 生産数:12個/日→22個/日 省人化:2名→1名 投資回収年 2.2年 解説 航空機向け部品を中心に高精度・小ロットの切削加工を行っている企業の事例です。 1~10個の小ロット品が多く、マシニングセンターへのワーク着脱の頻度が高い状況で作業員が装置の傍についている時間が長く、時間がかかる割に単純作業であることからロボット化を実施しました。 小ロット加工品(多品種少量生産)をロボット化する場合、様々なワーク形状に対応するために3Dカメラや画像処理システム、各種センサーなどと組み合わせロボットに様々な付加機能を持たせた複雑なシステムを構築しがちです。確かに、そのような最新技術を用いたロボットシステムを導入すればロボットができる仕事は増えるかもしれません。しかし、導入費用の高額化や教育の必要性、トラブル対応の難易度などを考慮すると中小企業では導入が困難な場合も少なくありません。 そういった背景の中で今回の事例では以下3つのポイントをおさえてシステムの簡素化に成功しました。 ①加工対象ワークのサイズと種類を絞り込む ②ワークの把持部分を共通化するための設計変更を実施する ③8個以上の中ロット品に限定する 以上のような工夫を行い、ワーク判別のための3Dカメラや画像処理システムをはじめ、導入コスト上昇につながる周辺設備を極力省いたシンプルはロボットシステムを構築しました。 従来コスト¥2480万円のところ、システムの簡素化により導入コストは¥1750万円に抑えられ、¥730万円のコスト削減となりました。 初めてのロボットシステムの導入となると、あれもこれもと付帯設備、付加機能を追加したくなります。 3Dカメラや画像処理システムを付加機能として追加するということはロボットに「目」を持たせる、ということです。それだけでも何百万円ものコストがかかります。 導入検討前は「ロボット=なんでも出来る」と考えてしまう場合も多くあります。これは半分正解で半分間違いです。 正しくは「コストと時間をかければユーザーが要求する仕様に極力近いシステムを構築できる」と言えるでしょう。 コストは導入費用です、時間はそのシステムを構築するのにかかる設計や検証、テスト等の時間です。 もちろん、様々な付加機能を持ったロボットシステムは素晴らしいものです。 大企業においては、最新システムを沢山盛り込んだ豪華なシステムを構築する資金力があり、投資回収年の見通しが立たないような場合でも、ある意味「モデルライン」としての導入や「研究開発」としての導入も可能です。 しかし、中小企業はそうはいきません。 中小企業のロボット導入においては現場のニーズに合ったなるべく低コストのロボットシステムを検討することが重要です。 いかに低コストで最大のメリットを生み出せるか、これはいかに自社のニーズを把握しているかにかかっています。 今回の事例のように、あれもこれも、ではなく必要なものだけをシステムに落とし込みシステムを簡素化することにより低コストで最大のメリットを生み出すことができるのではないでしょうか。 4.おわりに 今回は補助金を活用した中小企業のロボット導入事例をご紹介しました。 ポイントは以下の通りです。 ①従業員の負担を第一に考え重労働から解放した ②属人化している職人作業を分析、パターン化することで誰でも作業できるロボットシステムを作った ③自社のニーズをとらえ不要な付加機能は排除してシステムを簡素化することで導入コストを削減した ロボット導入を検討する際の参考にしてみて下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 今回は、忙しくてロボット導入事例を調べる時間が取れない経営者の方のために、ロボット導入実証事業(経済産業省)の補助金制度を活用した中小企業のロボット導入事例を厳選して解説します。※ロボット導入実証事業事例紹介ハンドブックはこちらから http://robo-navi.com/webroot/document/2018RobotHandBook.pdf 1.従業員を重労働から解放!空いた工数を検査へ回し品質向上!パレット積み工程のロボット化 概要 製品出荷前の最終工程となる段ボールのパレット積み作業で、最大12kgの箱を高さ170cmまで積み上げる作業をロボット化 導入効果 投資金額¥25,000,000 投資効果¥4,800,000/年 ロボット導入により作業人員は導入前の10人から8人に削減 投資回収年はおよそ5年程度 解説 従業員45名の企業様のロボット導入事例です。 ロボット導入に際し問題となった点は、顧客ごとに大きさや形状の違う段ボールを顧客の要望ごとに荷造り(積み方、積載数)する必要があり自動化が困難と思われた点です。 しかし、そのような多種の条件に対応できるハンド設計や制御方法の工夫等、ハードとソフトの両面から解決方法にアプローチし対応を可能としています。 さらに、限られたスペースの中でロボット・コンベア・パレット置き場を設置するために省スペース型のパレットチェンジャーを開発設計しています。これらのことにより検討当初は困難と思われた多品種対応を実現しました。 この工程以外にも、おそらく簡単にロボット導入を検討できる工程はあったはずです。 その中でも“あえて”従業員の負担(重労働)を減らすために優先してパレット積みのロボット化に踏み切ったのだと思われます。 従業員を第一に考えた経営者の姿勢が見えてくる導入事例です。 さらに、空いた工数は検査工程に割り振り品質面でも工場が図れたとのこと。 生産性向上(省人化)、品質向上、重労働からの解放(省力化)の3つを同時に実現した中小企業ならではの良い事例です。 2.熟練職人の溶接作業を整理、分類、パターン化!職人の溶接作業をティーチングレスでロボット化に成功! 概要 受注ごとに寸法や形状が異なる特注大型門扉製造工程における溶接作業をロボット化 導入効果 投資金額¥60,000,000 投資効果 生産数:2倍 利益増:¥10,000,000/年 省人化:2名→1名 ロボット導入により2名の作業員を1名へ省人、さらに生産数は2倍に増加し年間¥10,000,000の利益増を生み出しています。 解説 特注品の大型溶接ワークは受注ごとに寸法や形状が異なることからオフラインティーチングを活用するのが一般的です。しかし、この企業様では溶接の職人作業を1からヒアリングし、整理、分類することでパターン化することを考えました。 そのパターンを事前に何種類かに分け、教示データを作りこみます。現場ではそのパターンの中から種類を選択し必要な数字を入力するだけでロボット自身が動作を作るため、溶接スキルの有無に関わらず、誰でもロボット操作が可能となっています。 難解なオフラインティーチングの導入教育や図面の3次元CAD化をすることなく、多品種生産にロボットを活用できた事例です。 この事例における優れた点は、熟練作業者の勘とコツを整理、分類しパターン化したこと、そのように属人化していた作業をしっかりと分析し体系化したことです。 その結果溶接スキルの有無に関わらず、誰でも操作することが可能となりました。 オフラインティーチングソフト購入費用及び導入教育費用、設計の3次元化等の費用も削減できています。 今回の事例のように数字を入力するだけでシステム自身が動作を作って実行するようなシステムを構築することができれば、通常のティーチングやオフラインティーチングによるシステムではロボット化のメリットが出せないような一品一様の生産の場合でも労働生産性を高めしっかりとメリットを出すことが可能です。 日本の中小製造業における熟練職人の技術力は世界でもトップレベルの技術力であることは間違いありません。近年、世界の製造業では日本の中小企業の職人技術を欲している、との話もあります。しかし、その「職人技」をどのようにして継承していくかという課題もあります。 その職人技の継承に真っ向から取り組み、パターン化しロボット化したことは今後、日本の製造業があらためて世界のトップに上り詰めるためにも、大変重要なことではないでしょうか。 3.システム簡素化で導入コスト削減!!多品種少量マシニングセンター加工のワーク着脱ロボット化! 概要 少ロット切削加工のワーク着脱工程をロボット化、カメラ・画像処理によるワーク判別に代わり、シンプルな位置決めパレットを採用してコストダウン。 導入効果 投資金額¥17,500,000 投資効果 生産数:12個/日→22個/日 省人化:2名→1名 投資回収年 2.2年 解説 航空機向け部品を中心に高精度・小ロットの切削加工を行っている企業の事例です。 1~10個の小ロット品が多く、マシニングセンターへのワーク着脱の頻度が高い状況で作業員が装置の傍についている時間が長く、時間がかかる割に単純作業であることからロボット化を実施しました。 小ロット加工品(多品種少量生産)をロボット化する場合、様々なワーク形状に対応するために3Dカメラや画像処理システム、各種センサーなどと組み合わせロボットに様々な付加機能を持たせた複雑なシステムを構築しがちです。確かに、そのような最新技術を用いたロボットシステムを導入すればロボットができる仕事は増えるかもしれません。しかし、導入費用の高額化や教育の必要性、トラブル対応の難易度などを考慮すると中小企業では導入が困難な場合も少なくありません。 そういった背景の中で今回の事例では以下3つのポイントをおさえてシステムの簡素化に成功しました。 ①加工対象ワークのサイズと種類を絞り込む ②ワークの把持部分を共通化するための設計変更を実施する ③8個以上の中ロット品に限定する 以上のような工夫を行い、ワーク判別のための3Dカメラや画像処理システムをはじめ、導入コスト上昇につながる周辺設備を極力省いたシンプルはロボットシステムを構築しました。 従来コスト¥2480万円のところ、システムの簡素化により導入コストは¥1750万円に抑えられ、¥730万円のコスト削減となりました。 初めてのロボットシステムの導入となると、あれもこれもと付帯設備、付加機能を追加したくなります。 3Dカメラや画像処理システムを付加機能として追加するということはロボットに「目」を持たせる、ということです。それだけでも何百万円ものコストがかかります。 導入検討前は「ロボット=なんでも出来る」と考えてしまう場合も多くあります。これは半分正解で半分間違いです。 正しくは「コストと時間をかければユーザーが要求する仕様に極力近いシステムを構築できる」と言えるでしょう。 コストは導入費用です、時間はそのシステムを構築するのにかかる設計や検証、テスト等の時間です。 もちろん、様々な付加機能を持ったロボットシステムは素晴らしいものです。 大企業においては、最新システムを沢山盛り込んだ豪華なシステムを構築する資金力があり、投資回収年の見通しが立たないような場合でも、ある意味「モデルライン」としての導入や「研究開発」としての導入も可能です。 しかし、中小企業はそうはいきません。 中小企業のロボット導入においては現場のニーズに合ったなるべく低コストのロボットシステムを検討することが重要です。 いかに低コストで最大のメリットを生み出せるか、これはいかに自社のニーズを把握しているかにかかっています。 今回の事例のように、あれもこれも、ではなく必要なものだけをシステムに落とし込みシステムを簡素化することにより低コストで最大のメリットを生み出すことができるのではないでしょうか。 4.おわりに 今回は補助金を活用した中小企業のロボット導入事例をご紹介しました。 ポイントは以下の通りです。 ①従業員の負担を第一に考え重労働から解放した ②属人化している職人作業を分析、パターン化することで誰でも作業できるロボットシステムを作った ③自社のニーズをとらえ不要な付加機能は排除してシステムを簡素化することで導入コストを削減した ロボット導入を検討する際の参考にしてみて下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

協働ロボットの特徴と導入事例

2020.08.27

  本記事では、まず協働ロボットの概要や特徴について、従来の産業用ロボットとの違いや導入メリットを踏まえながら紹介します。 次に協働ロボットの主要メーカーや活用方法、導入事例を紹介します。導入事例の紹介では、協働ロボットが多様な工程において導入した事例があることを理解することができます。本記事で協働ロボットの理解が深まれば幸いです。 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と一緒に作業を行う事の出来る産業用ロボットです。 本来産業用ロボットというのは、非常に力持ちです。ロボットの種類や大きさによるものの人を遥かに超える大きな力をもっている為に産業用ロボットの稼働範囲に人が入ってしまうと重篤な災害を引き起こすリスクがあります。 その為、産業用ロボットの周囲には安全柵の設置が必要であり、安全柵はロボットが停止していないと開かない様になっています。 完全にロボットのみで完結するシステムであれば問題無いのですが、あくまで人が組立作業を行うが人の作業をロボットで補助して欲しいというニーズや普段は必要無いが、生産ラインに欠員等の人員不足等があった際にロボットを使用したいというニーズが多くあります。 2013年12月に以下のとおり規制が緩和されたことをきっかけに、労働者に危険が生じない産業用ロボットの開発が進みました。それこそが協働ロボットです。 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。 厚生労働省『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』より 産業用ロボットを使用する事業者が、労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるときは、本条の「労働者に危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しません。 『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』(平成25年12月24日付基発1224第2号通達)より 協働ロボットは一般的にモーターの定格出力が80Wを超えない様になっています。そして何かに衝突したときや、大きな負荷がロボットに掛かった場合は即時モーター電源が遮断されるようになっています。感覚的に言えば、道を歩いていてすれ違う人と軽く肩がぶつかった時の衝撃よりも軽い衝撃でロボットは停止する様になっており、作業者が仮にロボットに接触しても大きな災害につながるリスクは小さいのです。 2.協働ロボットの特徴 上記のように協働ロボットは安全柵が不要で人と並んで作業することが可能です。 協働ロボットの大きな特徴をあげるとすれば、 人間のサポート、というイメージ 軽い物をゆっくり 安全柵が不要 操作が簡単 という4つの特徴が挙げられます。 協働ロボットと産業用ロボットの特徴 上記のような特徴から、 ・産業用ロボット → 大量生産向き ・協働ロボット  → 多品種少量生産向き と言えるでしょう。 具体的には「安全柵が不要」という特徴を活かして、 ・既存の狭いスペースを有効活用 ・使わない時は移動させる、使いたい場所で使う、のようなフレキシブルな運用が可能となります。 また、「簡易的な操作」や「簡易的な設備」という特徴があるため、 ・低コストでの導入 ・低コストでの改善、品種追加 が可能です。 前項でもお話した通り、上記のような特徴から、協働ロボットは中小企業の多品種少量生産の自動化に適したロボットです。 また、近年では協働ロボット用の様々なアプリケーションが開発、販売されています。 安全柵が不要という特徴を活かしたフレキシブルな運用のための移動式のロボット架台は協働ロボットにおけるスタンダードになりつつあります。 多品種少量生産のロボット導入のハードルを下げるアプリケーションとしてはカメラ、画像認識機能があります。 協働ロボットに専用のカメラをはじめから搭載しておくことで、従来の産業用ロボット+カメラ(画像認識)のようなシステムを組む際に必要となる複雑なキャリブレーションなどが不要となり、ロボットや画像処理の知識が無い中小企業でも、まるで大手企業で採用されいているロボット+画像認識によるランダムなピッキング作業等が簡単に実現できるようになってきています。 3.協働ロボットが注目を集める理由 では、協働ロボットはなぜ注目を集めているのでしょうか? ①ロボットと人間の共同作業が安全にできるから 協働ロボットは、人間との共同作業を安全に行うことができます。 従来の産業用ロボットは、安全柵内でのみ運用される場合が必須だったのに対し、協働ロボットは安全柵なしで人と協働で作業が行えます。 ロボットが人間に接近した際には速度を制限したり停止したりするなど、安全性が高い仕組みが備わっています。 ②プログラミング知識が不要だから 協働ロボットは直感的なプログラミングと柔軟性を備えています。 協働ロボットは、直感的な操作でティーチングを行う可能です。 従来の産業用ロボットは、複雑なプログラミング知識を必要としましたが、協働ロボットは直感的な操作や学習機能によって、誰でも簡単にティーチングを行うことが可能です。 従来の産業用ロボットであれば、専門のティーチングを行う技術者が必要でしたが、協働ロボットの場合は多少の教育を受けるだけでティーチングが可能になっています。 ③様々な協働ロボット用アプリケーションが開発されているから 協働ロボットは、人間とのコミュニケーションを取ることも可能です。 従来の産業用ロボットは主に自動化された作業を行うため、人とのコミュニケーションが必要ない場合がほとんどでした。 協働ロボットは人間とのコミュニケーションに対応する機能があります。 例えば、音声認識機能を持つ協働ロボットは、人の声による指示を認識し、動作をすることができます。 また、画像認識のために必要なカメラを標準搭載している協働ロボットもあります。 これはロボットが「目」を持っている状態です。 従来の産業用ロボットに「目」=カメラを持たせる場合にはキャビテーションと呼ばれるような特殊な設定を行う技術者が必要でした。 協働ロボットのように標準でカメラを搭載している場合はそのような特殊な技術は不要で、②項であげたような直感的なプログラムでティーチングが可能になっています。 以上の理由から、近年協働ロボットは注目を集めています。 4.協働ロボットでできること/事例 では実際どのようなことができるのか、簡単に紹介させていただきます。 ①ワークセット 産業ロボットへのワークの共有を行うことが可能です。 それにより今まで人手で行ってきた単純作業の繰り返しをロボットに任せることで貴重な人材を他の業務に回すことができます。 ②仕上げ工程 ロボットのハンドを適したものへ付け替えることで、エアブロー等の仕上げ工程を行うことが可能です。 ③溶接 ロボットに溶接トーチを持たせることで溶接作業を自動化できます。 最近ではワークセットが多少雑でもロボットが自動で補正をかけて溶接を行うなどが見られます。 ④組み立て カバーを被せる・ねじを締めるなど、組み立ての工程もロボットで代替可能です。 自動車がイメージしやすいと思いますが、ボディをセットし、それを固定する。 といったような流れです。 ⑤ピックアップ ベルトコンベアを流れてくる段ボールやからあげなどの食品まで、幅広いものをピックアップが可能です。 重く、従業員の方に負荷がかかるものや、食品のように小さく数の多いもののピッキング作業を行うことが可能です。 それでは次に、具体的な事例を紹介いたします。 4-1.従業員10名の金属機械加工業が協働ロボットを導入して生産性を向上した事例 ■事例企業の概要 ・神奈川県 Y社 ・金属機械加工業 ・従業員10名 ■導入システムの概要 ・ユニバーサルロボットの協働ロボットを導入 ・マシニングセンターにおけるワーク供給を協働ロボットで自動化 ・移動式の架台で使わない時は移動させることで多品種少量生産に対応 ・ワークストッカー等はカラクリのアイディアを採用し低投資を実現 ■事例の詳細 神奈川県で機械加工業を営むY社ではマシニングセンターのワーク供給に協働ロボットを導入しました。 単純なワークセット業務を協働ロボットに代替えすることにより熟練作業者の工数を削減することが狙いです。 導入に際しては、加工機とのインターフェースを取らなくても協働ロボットと加工機が連携できるような仕組みを構築し、簡単にロボットの移動、設置ができるように設計されています。 また、ワークストッカー、ワーク排出のストッカー、治具を締める機構、等はカラクリの技術を応用し自社で制作した物になっています。 これにより、低投資でのロボット導入に成功しました。 4-2.従業員8名の樹脂加工企業が協働ロボットを導入して残業・休日出勤を大幅に削減した事例 ■事例企業の概要 ・兵庫県 S社 ・樹脂加工業 ・従業員8名 ■導入システムの概要 ・ファナック協働ロボットを導入 ・ファナックロボドリルへのワーク供給作業を協働ロボットで自動化 ・移動式の架台で使わない時は移動させることで多品種少量生産に対応 ・ワークストッカーは自社製作で低投資を実現 ・入社2年目の若手従業員がロボットティーチングを担当 ■事例の詳細 兵庫県のS社ではファナックのロボドリルへのワーク供給にファナック協働ロボットを導入しました。 ①の事例と同様に単純なワークセット作業を協働ロボットで自動化することによる工数削減が目的です。 また、こちらの企業では夜間や休日の協働ロボットによる無人運転に取り組んでおり、それにより残業や休日出勤が大幅に削減されました。さらに、人員は増やさずに生産量をUPさせることが可能となっています。 ロボット導入に際しては若手を積極的に登用しています。 今回ロボットティーチングを任されたのは新卒2年目の若手従業員です。 全くの知識0の状態からでも協働ロボットの簡易的な操作という特徴があるためティーチングを行うことが可能となっています。 4-3.従業員100名の板金加工企業が溶接作業に協働ロボットを導入 ■企業概要 ・鹿児島県 F社 ・板金加工業 ・従業員100名 ■事例の概要 ・溶接作業に協働ロボットを導入 ・熟練作業者の技能が必要なTIG溶接を協働ロボットで自動化 ・仮付けを作業者が、本付けを協働ロボットが行うことで自動化に成功 ■事例の詳細 F社では職人技術で難易度の高いTIG溶接への協働ロボット活用を実施しています。 熟練作業者の中でも製品の品質に差が出るTIG溶接を協働ロボットで自動化し今後の人手不足の解消と熟練技術継承の問題を解決し、安定した高品質な製品を提供することを目的としています。 仮付けの工程と本付け工程の作業工程を分割し、仮付けを作業者が、本付けを協働ロボットが行うようにすることで難易度の高いTIG溶接の自動化を実現しています。 従来は、一人前の溶接作業者となるには何年もの時間が必要でしたが、協働ロボットにより溶接を行うことで、数カ月の実務訓練で高品質な溶接作業を協働ロボットに行わせることができるようになり、入社したての新人でも安定して高品質な製品を製造することが可能になりました。 5.協働ロボットの価格と導入までのコスト ◎協働ロボット導入時のコスト 協働ロボットのコストは、その性能や大きさにもよりますが、500万円程度で購入することができます。 例を挙げると、製造業でよく使われる1300㎜程度のリーチを持つ協働ロボットであれば ・A社:約550万円 ・B社:約480万円 ・C社:約600万円 程度の価格となります。 通常の産業用ロボットで同程度のサイズであれば200万円~300万円程度ですので、産業用ロボットに比べるとロボット自体の価格は若干高い印象を受けます。 ただし、ロボットを現場で運用するにはロボット単体では仕事はできません。 必要な付帯装置として具体的な例を挙げると、 ・制御盤 ・ロボット架台 ・ロボットハンド ・各種センサー類 ・ワークストッカー ・搬送装置 etc、、、 これらの付帯設備を設計製作するのがSIerです。 これらの設計等をシステムインテグレーションといいます。 上記の通り、ロボット単体ではロボットシステムは成り立ちません。 様々な付帯設備により工場のニーズに合ったロボットシステムを構築していくことが必要になります。 では、実際にロボットシステムを導入しようとした場合、総額はどれくらいになるのでしょうか? 産業用ロボットの導入事例を交えながら見ていきましょう。 ①垂直多関節ロボットを用いた塗装ロボットシステム 防爆ロボット5,000,000 付帯設備5,000,000 ロボット架台1,000,000 制御装置4,000,000 設置工事費7,000,000(試運転調整費含む) 設計費1,500,000 合計23,500,000 ②画像認識システムを用いた重量ワークのハンドリングロボットシステム 多関節ロボット3,000,000 付帯設備5,000,000 制御装置7,000,000 画像認識システム10,000,000 設置工事費10,000,000(試運転調整費含む) 設計費5,000,000 合計40,000,000 それぞれの現場のニーズにより総額は大きく違ってきます。 ロボットシステムを導入することでどれくらいの投資対効果を得られるのか、事前に把握しておくことが非常に重要です。 概ね、投資金額の回収は2年~5年程度で考えると良いでしょう。 例えば、①の事例のように¥23,000,000の導入コストが掛かる場合について。 人件費1人年間500万円とした場合、ロボットシステムを導入したことで2人の作業者が削減できると仮定すると、¥23,000,000÷¥10,000,000=2.3年となります。 このように投資対効果を計算することで投資判断が可能となります。 このように通常の産業用ロボットではロボット本体以外にも多くのコストがかかることが分かります。 では、協働ロボットではどうでしょうか?こちらも事例を元に見ていきます。 ①兵庫県S社 ■全体投資金約500万円 ■システムの概要 樹脂製品のロボドリル加工機へのワーク投入及び取り出しを自動化。 投入前のワークを置くためのストッカーを自社で製作し、ほぼ協働ロボットの費用のみで自動化に成功した事例。 S社ではシステムインテグレーターを使わず、ストッカー設計やティーチングなどを全て自社で行うことで圧倒的な低コストでの導入を実現しています。 ②茨城県D社 ■全体投資金額約1000万円 ■システムの概要 月産30台ほどの単純な溶接作業を協働ロボットで実現協働ロボット+溶接電源のパッケージに3D定盤を組み合わせたシステムです。 こちらの企業も立ち上げにはシステムインテグレーターを使わずティーチング作業を自社で実施することで機器費用のみでロボット導入を実現しています。 ③神奈川県Y社 ■全体投資金額約500万円 ■システムの概要 金属加工製品のマシニングセンターへのワーク供給を協働ロボットで行っています。 多品種少量生産のためロボットでのワーク供給の対象外となるワークを加工する場合はロボットを移動して人の作業の邪魔にならないように移動することができるシステムとしています。 こちらのY社も①のS社、②のD社同様に自社での立ち上げを行うことにより低コストでの導入を実現しています。 また、ワークストッカーはカラクリを用いたアイディアでモーター等の駆動部無しで多くのワークをストックできるように考えられています。 このように協働ロボットをある程度自社で立ち上げることができればロボット導入のコストを大幅に削減することが可能です。 ですが、協働ロボットは取り扱いが簡単な分、あまり難しいことはできません。 高度な溶接や人を超えるスピードの作業、重量物のハンドリングなどはいまだに産業用ロボットのほうが優位といえるでしょう。 また、企業によってはロボットの立ち上げや構想計画にリソースをかけられない場合がほとんどです。 費用はかけたくないが、ロボットは導入したい、、そのためには「補助金を使うこと」です。 ◎補助金活用成功事例 つぎに紹介する④茨城県F社、⑤長野県C社は、以下の補助金を獲得し、投資コストを抑えることに成功しています。 ④茨城県F社 ■投資と補助額 ・投資金額約5000万円 ・補助額約3000万円 ■システムの概要 ・幅広い寸法 長さ200㎜~5000㎜ 径20A~300A の様々な形状の配管TIG溶接をロボットによって自動化するロボットシステムを事業再構築補助金を活用して導入。 溶接職人による難しい配管溶接を最新技術を駆使してロボット化に成功した事例。 ⑤長野県C社 ■投資と補助額 ・投資金額約8000万円 ・補助額約4000万円 ■システムの概要 多品種のステンレス製板金製品のおける溶接と研磨をロボットで自動化。 水漏れが許されない高品質な溶接と、職人の研磨による外観品質をロボットで実現した事例。 ◎協働ロボット投入時に利用すべき”補助金”の存在 ここでいう”補助金”とは、国が設けている補助金制度のことを指します。 今回取り上げる事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響によって経営が 困難になった中小企業等に対して、事業再構築のための支援を行うために、国が設けた補助 金制度です。 具体的には、以下のような事業再構築に必要な取り組みにかかる費用が対象となります。 生産プロセスの変革や設備の改善 商品・サービスの開発・改良 ITシステムの改善・導入 新規事業の開発・展開 補助額は、事業者の経営状況や補助対象となる取り組み内容によって異なりますが、最大で 1億円まで支給されることがあります。 補助額と補助率は以下の通りです。 ■補助額 中小企業者等、中堅企業等ともに 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円 【従業員数21~50人】100万円~4,000万円 【従業員数51~100人】100万円~6,000万円 【従業員数101人以上】100万円~7,000万円 ■補助率 中小企業者等1/2 中堅企業等1/3 成長枠(旧通常枠)の他にも様々な枠があります。 緊急対策枠 回復・再生応援枠 最低賃金枠 産業構造転換枠(新設) サプライチェーン強靱化枠(新設) グリーン成長枠(要件緩和) 自社に適合した枠を見極めて申請する必要があります。 6.未経験でも協働ロボットを導入する方法 ロボットや自動化において全く知識の無い状態で協働ロボット導入を検討するのは難しいことです。 協働ロボットの導入においては自社の作業工程、製品特性、生産実績等を理解して協働ロボットを活用する工程、製品を決めることが重要です。 協働ロボットは購入するだけでは何の仕事も出来ません。 協働ロボットを活用するために適切な工程、適切な製品を把握し、適切な周辺機器を選定し、適切なセットアップをしてこそ協働ロボットは価値を発揮します。 まずは、自社の状況、ニーズを把握し活用条件を決めることから始めましょう。 と言っても、何から初めて良いか分からない方も多いはず。 工場AI・ロボット.comを運営している㈱船井総合研究所では、これらの現状分析から活用条件の決定、協働ロボット活用構想の立案、投資対効果試算シミュレーション、適切なロボットメーカーの選定、適切なシステムインテグレータの選定、メーカー及びインテグレータとの打ち合わせ、導入後のアフターフォローまで一貫してお手伝いすることが可能です。 まずはオンラインにて無料で御社の協働ロボット活用の可能性を診断致します。 ■中小製造業がロボット導入で費用対効果を最大化するために最初にすべきこと ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02412_S045 【このような方にオススメ】 導入経験がない事業主でもロボット導入において最初にすべきことがわかる! 人手を掛けずに生産性を上げるロボット活用手法がわかる! 多品種少量生産対応の中小製造業のロボット活用手法がわかる!   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="cobot"][/sc]   本記事では、まず協働ロボットの概要や特徴について、従来の産業用ロボットとの違いや導入メリットを踏まえながら紹介します。 次に協働ロボットの主要メーカーや活用方法、導入事例を紹介します。導入事例の紹介では、協働ロボットが多様な工程において導入した事例があることを理解することができます。本記事で協働ロボットの理解が深まれば幸いです。 1.協働ロボットとは何か。 協働ロボットとは、人と一緒に作業を行う事の出来る産業用ロボットです。 本来産業用ロボットというのは、非常に力持ちです。ロボットの種類や大きさによるものの人を遥かに超える大きな力をもっている為に産業用ロボットの稼働範囲に人が入ってしまうと重篤な災害を引き起こすリスクがあります。 その為、産業用ロボットの周囲には安全柵の設置が必要であり、安全柵はロボットが停止していないと開かない様になっています。 完全にロボットのみで完結するシステムであれば問題無いのですが、あくまで人が組立作業を行うが人の作業をロボットで補助して欲しいというニーズや普段は必要無いが、生産ラインに欠員等の人員不足等があった際にロボットを使用したいというニーズが多くあります。 2013年12月に以下のとおり規制が緩和されたことをきっかけに、労働者に危険が生じない産業用ロボットの開発が進みました。それこそが協働ロボットです。 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。 厚生労働省『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』より 産業用ロボットを使用する事業者が、労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるときは、本条の「労働者に危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しません。 『安衛則第150条の4(運転中の危険の防止)』(平成25年12月24日付基発1224第2号通達)より 協働ロボットは一般的にモーターの定格出力が80Wを超えない様になっています。そして何かに衝突したときや、大きな負荷がロボットに掛かった場合は即時モーター電源が遮断されるようになっています。感覚的に言えば、道を歩いていてすれ違う人と軽く肩がぶつかった時の衝撃よりも軽い衝撃でロボットは停止する様になっており、作業者が仮にロボットに接触しても大きな災害につながるリスクは小さいのです。 2.協働ロボットの特徴 上記のように協働ロボットは安全柵が不要で人と並んで作業することが可能です。 協働ロボットの大きな特徴をあげるとすれば、 人間のサポート、というイメージ 軽い物をゆっくり 安全柵が不要 操作が簡単 という4つの特徴が挙げられます。 協働ロボットと産業用ロボットの特徴 上記のような特徴から、 ・産業用ロボット → 大量生産向き ・協働ロボット  → 多品種少量生産向き と言えるでしょう。 具体的には「安全柵が不要」という特徴を活かして、 ・既存の狭いスペースを有効活用 ・使わない時は移動させる、使いたい場所で使う、のようなフレキシブルな運用が可能となります。 また、「簡易的な操作」や「簡易的な設備」という特徴があるため、 ・低コストでの導入 ・低コストでの改善、品種追加 が可能です。 前項でもお話した通り、上記のような特徴から、協働ロボットは中小企業の多品種少量生産の自動化に適したロボットです。 また、近年では協働ロボット用の様々なアプリケーションが開発、販売されています。 安全柵が不要という特徴を活かしたフレキシブルな運用のための移動式のロボット架台は協働ロボットにおけるスタンダードになりつつあります。 多品種少量生産のロボット導入のハードルを下げるアプリケーションとしてはカメラ、画像認識機能があります。 協働ロボットに専用のカメラをはじめから搭載しておくことで、従来の産業用ロボット+カメラ(画像認識)のようなシステムを組む際に必要となる複雑なキャリブレーションなどが不要となり、ロボットや画像処理の知識が無い中小企業でも、まるで大手企業で採用されいているロボット+画像認識によるランダムなピッキング作業等が簡単に実現できるようになってきています。 3.協働ロボットが注目を集める理由 では、協働ロボットはなぜ注目を集めているのでしょうか? ①ロボットと人間の共同作業が安全にできるから 協働ロボットは、人間との共同作業を安全に行うことができます。 従来の産業用ロボットは、安全柵内でのみ運用される場合が必須だったのに対し、協働ロボットは安全柵なしで人と協働で作業が行えます。 ロボットが人間に接近した際には速度を制限したり停止したりするなど、安全性が高い仕組みが備わっています。 ②プログラミング知識が不要だから 協働ロボットは直感的なプログラミングと柔軟性を備えています。 協働ロボットは、直感的な操作でティーチングを行う可能です。 従来の産業用ロボットは、複雑なプログラミング知識を必要としましたが、協働ロボットは直感的な操作や学習機能によって、誰でも簡単にティーチングを行うことが可能です。 従来の産業用ロボットであれば、専門のティーチングを行う技術者が必要でしたが、協働ロボットの場合は多少の教育を受けるだけでティーチングが可能になっています。 ③様々な協働ロボット用アプリケーションが開発されているから 協働ロボットは、人間とのコミュニケーションを取ることも可能です。 従来の産業用ロボットは主に自動化された作業を行うため、人とのコミュニケーションが必要ない場合がほとんどでした。 協働ロボットは人間とのコミュニケーションに対応する機能があります。 例えば、音声認識機能を持つ協働ロボットは、人の声による指示を認識し、動作をすることができます。 また、画像認識のために必要なカメラを標準搭載している協働ロボットもあります。 これはロボットが「目」を持っている状態です。 従来の産業用ロボットに「目」=カメラを持たせる場合にはキャビテーションと呼ばれるような特殊な設定を行う技術者が必要でした。 協働ロボットのように標準でカメラを搭載している場合はそのような特殊な技術は不要で、②項であげたような直感的なプログラムでティーチングが可能になっています。 以上の理由から、近年協働ロボットは注目を集めています。 4.協働ロボットでできること/事例 では実際どのようなことができるのか、簡単に紹介させていただきます。 ①ワークセット 産業ロボットへのワークの共有を行うことが可能です。 それにより今まで人手で行ってきた単純作業の繰り返しをロボットに任せることで貴重な人材を他の業務に回すことができます。 ②仕上げ工程 ロボットのハンドを適したものへ付け替えることで、エアブロー等の仕上げ工程を行うことが可能です。 ③溶接 ロボットに溶接トーチを持たせることで溶接作業を自動化できます。 最近ではワークセットが多少雑でもロボットが自動で補正をかけて溶接を行うなどが見られます。 ④組み立て カバーを被せる・ねじを締めるなど、組み立ての工程もロボットで代替可能です。 自動車がイメージしやすいと思いますが、ボディをセットし、それを固定する。 といったような流れです。 ⑤ピックアップ ベルトコンベアを流れてくる段ボールやからあげなどの食品まで、幅広いものをピックアップが可能です。 重く、従業員の方に負荷がかかるものや、食品のように小さく数の多いもののピッキング作業を行うことが可能です。 それでは次に、具体的な事例を紹介いたします。 4-1.従業員10名の金属機械加工業が協働ロボットを導入して生産性を向上した事例 ■事例企業の概要 ・神奈川県 Y社 ・金属機械加工業 ・従業員10名 ■導入システムの概要 ・ユニバーサルロボットの協働ロボットを導入 ・マシニングセンターにおけるワーク供給を協働ロボットで自動化 ・移動式の架台で使わない時は移動させることで多品種少量生産に対応 ・ワークストッカー等はカラクリのアイディアを採用し低投資を実現 ■事例の詳細 神奈川県で機械加工業を営むY社ではマシニングセンターのワーク供給に協働ロボットを導入しました。 単純なワークセット業務を協働ロボットに代替えすることにより熟練作業者の工数を削減することが狙いです。 導入に際しては、加工機とのインターフェースを取らなくても協働ロボットと加工機が連携できるような仕組みを構築し、簡単にロボットの移動、設置ができるように設計されています。 また、ワークストッカー、ワーク排出のストッカー、治具を締める機構、等はカラクリの技術を応用し自社で制作した物になっています。 これにより、低投資でのロボット導入に成功しました。 4-2.従業員8名の樹脂加工企業が協働ロボットを導入して残業・休日出勤を大幅に削減した事例 ■事例企業の概要 ・兵庫県 S社 ・樹脂加工業 ・従業員8名 ■導入システムの概要 ・ファナック協働ロボットを導入 ・ファナックロボドリルへのワーク供給作業を協働ロボットで自動化 ・移動式の架台で使わない時は移動させることで多品種少量生産に対応 ・ワークストッカーは自社製作で低投資を実現 ・入社2年目の若手従業員がロボットティーチングを担当 ■事例の詳細 兵庫県のS社ではファナックのロボドリルへのワーク供給にファナック協働ロボットを導入しました。 ①の事例と同様に単純なワークセット作業を協働ロボットで自動化することによる工数削減が目的です。 また、こちらの企業では夜間や休日の協働ロボットによる無人運転に取り組んでおり、それにより残業や休日出勤が大幅に削減されました。さらに、人員は増やさずに生産量をUPさせることが可能となっています。 ロボット導入に際しては若手を積極的に登用しています。 今回ロボットティーチングを任されたのは新卒2年目の若手従業員です。 全くの知識0の状態からでも協働ロボットの簡易的な操作という特徴があるためティーチングを行うことが可能となっています。 4-3.従業員100名の板金加工企業が溶接作業に協働ロボットを導入 ■企業概要 ・鹿児島県 F社 ・板金加工業 ・従業員100名 ■事例の概要 ・溶接作業に協働ロボットを導入 ・熟練作業者の技能が必要なTIG溶接を協働ロボットで自動化 ・仮付けを作業者が、本付けを協働ロボットが行うことで自動化に成功 ■事例の詳細 F社では職人技術で難易度の高いTIG溶接への協働ロボット活用を実施しています。 熟練作業者の中でも製品の品質に差が出るTIG溶接を協働ロボットで自動化し今後の人手不足の解消と熟練技術継承の問題を解決し、安定した高品質な製品を提供することを目的としています。 仮付けの工程と本付け工程の作業工程を分割し、仮付けを作業者が、本付けを協働ロボットが行うようにすることで難易度の高いTIG溶接の自動化を実現しています。 従来は、一人前の溶接作業者となるには何年もの時間が必要でしたが、協働ロボットにより溶接を行うことで、数カ月の実務訓練で高品質な溶接作業を協働ロボットに行わせることができるようになり、入社したての新人でも安定して高品質な製品を製造することが可能になりました。 5.協働ロボットの価格と導入までのコスト ◎協働ロボット導入時のコスト 協働ロボットのコストは、その性能や大きさにもよりますが、500万円程度で購入することができます。 例を挙げると、製造業でよく使われる1300㎜程度のリーチを持つ協働ロボットであれば ・A社:約550万円 ・B社:約480万円 ・C社:約600万円 程度の価格となります。 通常の産業用ロボットで同程度のサイズであれば200万円~300万円程度ですので、産業用ロボットに比べるとロボット自体の価格は若干高い印象を受けます。 ただし、ロボットを現場で運用するにはロボット単体では仕事はできません。 必要な付帯装置として具体的な例を挙げると、 ・制御盤 ・ロボット架台 ・ロボットハンド ・各種センサー類 ・ワークストッカー ・搬送装置 etc、、、 これらの付帯設備を設計製作するのがSIerです。 これらの設計等をシステムインテグレーションといいます。 上記の通り、ロボット単体ではロボットシステムは成り立ちません。 様々な付帯設備により工場のニーズに合ったロボットシステムを構築していくことが必要になります。 では、実際にロボットシステムを導入しようとした場合、総額はどれくらいになるのでしょうか? 産業用ロボットの導入事例を交えながら見ていきましょう。 ①垂直多関節ロボットを用いた塗装ロボットシステム 防爆ロボット5,000,000 付帯設備5,000,000 ロボット架台1,000,000 制御装置4,000,000 設置工事費7,000,000(試運転調整費含む) 設計費1,500,000 合計23,500,000 ②画像認識システムを用いた重量ワークのハンドリングロボットシステム 多関節ロボット3,000,000 付帯設備5,000,000 制御装置7,000,000 画像認識システム10,000,000 設置工事費10,000,000(試運転調整費含む) 設計費5,000,000 合計40,000,000 それぞれの現場のニーズにより総額は大きく違ってきます。 ロボットシステムを導入することでどれくらいの投資対効果を得られるのか、事前に把握しておくことが非常に重要です。 概ね、投資金額の回収は2年~5年程度で考えると良いでしょう。 例えば、①の事例のように¥23,000,000の導入コストが掛かる場合について。 人件費1人年間500万円とした場合、ロボットシステムを導入したことで2人の作業者が削減できると仮定すると、¥23,000,000÷¥10,000,000=2.3年となります。 このように投資対効果を計算することで投資判断が可能となります。 このように通常の産業用ロボットではロボット本体以外にも多くのコストがかかることが分かります。 では、協働ロボットではどうでしょうか?こちらも事例を元に見ていきます。 ①兵庫県S社 ■全体投資金約500万円 ■システムの概要 樹脂製品のロボドリル加工機へのワーク投入及び取り出しを自動化。 投入前のワークを置くためのストッカーを自社で製作し、ほぼ協働ロボットの費用のみで自動化に成功した事例。 S社ではシステムインテグレーターを使わず、ストッカー設計やティーチングなどを全て自社で行うことで圧倒的な低コストでの導入を実現しています。 ②茨城県D社 ■全体投資金額約1000万円 ■システムの概要 月産30台ほどの単純な溶接作業を協働ロボットで実現協働ロボット+溶接電源のパッケージに3D定盤を組み合わせたシステムです。 こちらの企業も立ち上げにはシステムインテグレーターを使わずティーチング作業を自社で実施することで機器費用のみでロボット導入を実現しています。 ③神奈川県Y社 ■全体投資金額約500万円 ■システムの概要 金属加工製品のマシニングセンターへのワーク供給を協働ロボットで行っています。 多品種少量生産のためロボットでのワーク供給の対象外となるワークを加工する場合はロボットを移動して人の作業の邪魔にならないように移動することができるシステムとしています。 こちらのY社も①のS社、②のD社同様に自社での立ち上げを行うことにより低コストでの導入を実現しています。 また、ワークストッカーはカラクリを用いたアイディアでモーター等の駆動部無しで多くのワークをストックできるように考えられています。 このように協働ロボットをある程度自社で立ち上げることができればロボット導入のコストを大幅に削減することが可能です。 ですが、協働ロボットは取り扱いが簡単な分、あまり難しいことはできません。 高度な溶接や人を超えるスピードの作業、重量物のハンドリングなどはいまだに産業用ロボットのほうが優位といえるでしょう。 また、企業によってはロボットの立ち上げや構想計画にリソースをかけられない場合がほとんどです。 費用はかけたくないが、ロボットは導入したい、、そのためには「補助金を使うこと」です。 ◎補助金活用成功事例 つぎに紹介する④茨城県F社、⑤長野県C社は、以下の補助金を獲得し、投資コストを抑えることに成功しています。 ④茨城県F社 ■投資と補助額 ・投資金額約5000万円 ・補助額約3000万円 ■システムの概要 ・幅広い寸法 長さ200㎜~5000㎜ 径20A~300A の様々な形状の配管TIG溶接をロボットによって自動化するロボットシステムを事業再構築補助金を活用して導入。 溶接職人による難しい配管溶接を最新技術を駆使してロボット化に成功した事例。 ⑤長野県C社 ■投資と補助額 ・投資金額約8000万円 ・補助額約4000万円 ■システムの概要 多品種のステンレス製板金製品のおける溶接と研磨をロボットで自動化。 水漏れが許されない高品質な溶接と、職人の研磨による外観品質をロボットで実現した事例。 ◎協働ロボット投入時に利用すべき”補助金”の存在 ここでいう”補助金”とは、国が設けている補助金制度のことを指します。 今回取り上げる事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響によって経営が 困難になった中小企業等に対して、事業再構築のための支援を行うために、国が設けた補助 金制度です。 具体的には、以下のような事業再構築に必要な取り組みにかかる費用が対象となります。 生産プロセスの変革や設備の改善 商品・サービスの開発・改良 ITシステムの改善・導入 新規事業の開発・展開 補助額は、事業者の経営状況や補助対象となる取り組み内容によって異なりますが、最大で 1億円まで支給されることがあります。 補助額と補助率は以下の通りです。 ■補助額 中小企業者等、中堅企業等ともに 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円 【従業員数21~50人】100万円~4,000万円 【従業員数51~100人】100万円~6,000万円 【従業員数101人以上】100万円~7,000万円 ■補助率 中小企業者等1/2 中堅企業等1/3 成長枠(旧通常枠)の他にも様々な枠があります。 緊急対策枠 回復・再生応援枠 最低賃金枠 産業構造転換枠(新設) サプライチェーン強靱化枠(新設) グリーン成長枠(要件緩和) 自社に適合した枠を見極めて申請する必要があります。 6.未経験でも協働ロボットを導入する方法 ロボットや自動化において全く知識の無い状態で協働ロボット導入を検討するのは難しいことです。 協働ロボットの導入においては自社の作業工程、製品特性、生産実績等を理解して協働ロボットを活用する工程、製品を決めることが重要です。 協働ロボットは購入するだけでは何の仕事も出来ません。 協働ロボットを活用するために適切な工程、適切な製品を把握し、適切な周辺機器を選定し、適切なセットアップをしてこそ協働ロボットは価値を発揮します。 まずは、自社の状況、ニーズを把握し活用条件を決めることから始めましょう。 と言っても、何から初めて良いか分からない方も多いはず。 工場AI・ロボット.comを運営している㈱船井総合研究所では、これらの現状分析から活用条件の決定、協働ロボット活用構想の立案、投資対効果試算シミュレーション、適切なロボットメーカーの選定、適切なシステムインテグレータの選定、メーカー及びインテグレータとの打ち合わせ、導入後のアフターフォローまで一貫してお手伝いすることが可能です。 まずはオンラインにて無料で御社の協働ロボット活用の可能性を診断致します。 ■中小製造業がロボット導入で費用対効果を最大化するために最初にすべきこと ▼事例レポート無料ダウンロードお申し込みはこちら▼ https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/smart-factory_smart-factory_02412_S045 【このような方にオススメ】 導入経験がない事業主でもロボット導入において最初にすべきことがわかる! 人手を掛けずに生産性を上げるロボット活用手法がわかる! 多品種少量生産対応の中小製造業のロボット活用手法がわかる!   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="cobot"][/sc]

AI搭載ロボットコントローラーによるロボット制御の事例と解説

2020.07.14

近年、AIを搭載したロボットコントローラーの需要が高まっています。 今回はその「AI搭載ロボットコントローラー」について事例を交えて解説します。 1.ロボットティーチングの現状と課題 ロボットを動かすために必要な作業が「ティーチング」です。 ティーチング作業は非常に複雑、かつ専門知識を要する作業であり、専門のロボットプログラマーが行うのが一般的です。 ロボットを動かすにはペンダント(操作パネル)を使います。 このペンダントでティーチングの修正や動作確認を行っていくのですが、一般的に使用されているペンダントの画面はプログラムが羅列された文字だらけの画面であり非常に複雑です。 このプログラム画面からロボットの動きを想像するのは容易ではありません。そのため工場の現場レベルでティーチングを行うことはほぼ不可能なのが現状となっています。 2.AI搭載ロボットコントローラーによる制御とは そのような背景で近年注目されているのが「AI搭載ロボットコントローラー」です。 通常のロボットコントローラーと比較すると、大きく3つのメリットがあります。 ①ティーチング作業が簡単 ②生産性向上 ③操作性、メンテナンス性の向上 まず、一番のメリットはティーチング作業が圧倒的に簡単であることです。ワークのピンキング位置、ワークの置き位置、を指定するだけで後はAIが自動で判断してロボットの軌跡を生成します。 この時、あらかじめ登録した障害物との干渉を回避しつつ最適な動きをAIが自動で生成してくれます。 次に生産性向上です。 従来のティーチング作業では人間のような滑らかな動きをロボットで表現することは困難でした。 しかし、AI搭載ロボットコントローラーでは先にも記載した通り、AIが最適な動きを自動で生成します。 それにより、従来のような何点ものティーチングポイントを経由する動きと比べるとサイクルタイムが大幅に改善されます。 最後に、メンテナンス性・操作性の向上です。 通常のコントローラーではロボットメーカーごとにコントローラーが異なるため違うメーカーのロボットを導入する度に新しい操作方法を覚える必要がありました。 近年開発されているAI搭載ロボットコントローラーの中には、メーカーを選ばずどんなメーカーのロボットも直接制御できる物もあります。 それにより、操作も覚えやすく、メンテナンス方法も統一されるので操作ミスによるトラブルや「チョコ停」時の復旧時間短縮にも繋がり、結果として生産性も向上します。 3.事例と解説 では、具体的にどのような場面において導入されているのでしょうか。 事例を交えて解説していきます。 ・事例①自動車部品バラ積みピッキング コンテナのような深い箱に無作為に投入されているシャフトやギヤのようなワークを3Dビジョンシステムと組み合わせてピッキングし次工程(例えばバリ取り装置など)にワークセットするシステムが実装されています。この場合における圧倒的なメリットはやはり「バラ積みピッキング」が可能となったことです。 本来であればピッキングするワークは治具等を用いて綺麗に整列して並べて置く必要がありました。 3DビジョンとAIを組み合わせることで、箱の中にある様々なワークの姿勢を判断し、最適な掴み位置を自動で判断してピッキングします。 さらに、箱の底付近のワークをピッキングする際にはロボットと箱の干渉が懸念されますが、それも干渉の無い姿勢をAIが判断して最適な姿勢と軌跡で動きます。ピッキング後の動作もまるで人間が物を手で運ぶようにスムーズな動きを実現し、従来のティーチングによる動きと比べるとサイクルタイムが大幅に減少しています。 人間が行う場合と変わらないスピードで(むしろ、より速く)ロボットが無人で作業を続ける、これを2台、3台と展開していくことにより3名で作業していた工程が2名に、2名で作業していた工程が1名に、1名が付きっ切りだった工程が無人に、と工場の省人化が進んでいきます。 事例②物流倉庫における多品種ケースの荷下ろし作業 物流倉庫において、毎日大量に納品される商品をパレットから仕分け用のコンベアに載せ替える作業があり、これまでは全て手作業で行ってきました。しかし、高さのある積み荷や、時には20kg近いケースもあり作業員の負担となっていました。 この場合においてロボット化の問題となるのが、ランダムにケースが積まれている場合です。 従来のロボットコントローラーではランダムに積まれているケースをロボットで取ろうとした場合には、一つ一つ品種登録し、様々なパターンをプログラムし、と膨大な時間と費用がかかってしまいます。 そのように工数をかけてもあらかじめ設定したパターン以外ではロボットは動けません。要するに現実的には実現不可能となります。 そこで採用されたのがAI搭載ロボットコントローラーと3Dビジョンシステムを組み合わせたデパレタイズ(荷下ろし)システムです。事例①と同様に、AIと3Dビジョンを組み合わせることでランダムに積み重ねられたケースの荷下ろしが可能となりました。 このように、作業員に負荷の高い作業をロボットに行わせ、手の空いた作業員にはより付加価値の高い作業にシフトしてもらうというのもロボット化の目指すべきところです。 4.まとめ いかかがでしたでしょうか? ロボット導入による省人化=従業員数を減らす、ではありません。 その空いた工数を、AI・ロボットの管理メンテナンス人員として育てる、新たなAI・ロボットシステムを作っていく未来ある人材(人財)として育てる。さらにそのような分野の採用を強化し会社を育てる。 中小製造業の目指すべきAI、ロボット導入の本質はそこにあるのかもしれません。 「AIとロボット、なんか難しそう、、」 「どうせ大手じゃなきゃ導入できないんでしょ、、」 「うちは中小で資金力が無いから、、」 そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。が、そんなことはありません。 Withコロナ時代における企業の優位性を確保するため、優秀な人材(人財)を確保するため、最先端のAI搭載ロボットコントローラーの導入を検討してみてはいかがでしょうか? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 近年、AIを搭載したロボットコントローラーの需要が高まっています。 今回はその「AI搭載ロボットコントローラー」について事例を交えて解説します。 1.ロボットティーチングの現状と課題 ロボットを動かすために必要な作業が「ティーチング」です。 ティーチング作業は非常に複雑、かつ専門知識を要する作業であり、専門のロボットプログラマーが行うのが一般的です。 ロボットを動かすにはペンダント(操作パネル)を使います。 このペンダントでティーチングの修正や動作確認を行っていくのですが、一般的に使用されているペンダントの画面はプログラムが羅列された文字だらけの画面であり非常に複雑です。 このプログラム画面からロボットの動きを想像するのは容易ではありません。そのため工場の現場レベルでティーチングを行うことはほぼ不可能なのが現状となっています。 2.AI搭載ロボットコントローラーによる制御とは そのような背景で近年注目されているのが「AI搭載ロボットコントローラー」です。 通常のロボットコントローラーと比較すると、大きく3つのメリットがあります。 ①ティーチング作業が簡単 ②生産性向上 ③操作性、メンテナンス性の向上 まず、一番のメリットはティーチング作業が圧倒的に簡単であることです。ワークのピンキング位置、ワークの置き位置、を指定するだけで後はAIが自動で判断してロボットの軌跡を生成します。 この時、あらかじめ登録した障害物との干渉を回避しつつ最適な動きをAIが自動で生成してくれます。 次に生産性向上です。 従来のティーチング作業では人間のような滑らかな動きをロボットで表現することは困難でした。 しかし、AI搭載ロボットコントローラーでは先にも記載した通り、AIが最適な動きを自動で生成します。 それにより、従来のような何点ものティーチングポイントを経由する動きと比べるとサイクルタイムが大幅に改善されます。 最後に、メンテナンス性・操作性の向上です。 通常のコントローラーではロボットメーカーごとにコントローラーが異なるため違うメーカーのロボットを導入する度に新しい操作方法を覚える必要がありました。 近年開発されているAI搭載ロボットコントローラーの中には、メーカーを選ばずどんなメーカーのロボットも直接制御できる物もあります。 それにより、操作も覚えやすく、メンテナンス方法も統一されるので操作ミスによるトラブルや「チョコ停」時の復旧時間短縮にも繋がり、結果として生産性も向上します。 3.事例と解説 では、具体的にどのような場面において導入されているのでしょうか。 事例を交えて解説していきます。 ・事例①自動車部品バラ積みピッキング コンテナのような深い箱に無作為に投入されているシャフトやギヤのようなワークを3Dビジョンシステムと組み合わせてピッキングし次工程(例えばバリ取り装置など)にワークセットするシステムが実装されています。この場合における圧倒的なメリットはやはり「バラ積みピッキング」が可能となったことです。 本来であればピッキングするワークは治具等を用いて綺麗に整列して並べて置く必要がありました。 3DビジョンとAIを組み合わせることで、箱の中にある様々なワークの姿勢を判断し、最適な掴み位置を自動で判断してピッキングします。 さらに、箱の底付近のワークをピッキングする際にはロボットと箱の干渉が懸念されますが、それも干渉の無い姿勢をAIが判断して最適な姿勢と軌跡で動きます。ピッキング後の動作もまるで人間が物を手で運ぶようにスムーズな動きを実現し、従来のティーチングによる動きと比べるとサイクルタイムが大幅に減少しています。 人間が行う場合と変わらないスピードで(むしろ、より速く)ロボットが無人で作業を続ける、これを2台、3台と展開していくことにより3名で作業していた工程が2名に、2名で作業していた工程が1名に、1名が付きっ切りだった工程が無人に、と工場の省人化が進んでいきます。 事例②物流倉庫における多品種ケースの荷下ろし作業 物流倉庫において、毎日大量に納品される商品をパレットから仕分け用のコンベアに載せ替える作業があり、これまでは全て手作業で行ってきました。しかし、高さのある積み荷や、時には20kg近いケースもあり作業員の負担となっていました。 この場合においてロボット化の問題となるのが、ランダムにケースが積まれている場合です。 従来のロボットコントローラーではランダムに積まれているケースをロボットで取ろうとした場合には、一つ一つ品種登録し、様々なパターンをプログラムし、と膨大な時間と費用がかかってしまいます。 そのように工数をかけてもあらかじめ設定したパターン以外ではロボットは動けません。要するに現実的には実現不可能となります。 そこで採用されたのがAI搭載ロボットコントローラーと3Dビジョンシステムを組み合わせたデパレタイズ(荷下ろし)システムです。事例①と同様に、AIと3Dビジョンを組み合わせることでランダムに積み重ねられたケースの荷下ろしが可能となりました。 このように、作業員に負荷の高い作業をロボットに行わせ、手の空いた作業員にはより付加価値の高い作業にシフトしてもらうというのもロボット化の目指すべきところです。 4.まとめ いかかがでしたでしょうか? ロボット導入による省人化=従業員数を減らす、ではありません。 その空いた工数を、AI・ロボットの管理メンテナンス人員として育てる、新たなAI・ロボットシステムを作っていく未来ある人材(人財)として育てる。さらにそのような分野の採用を強化し会社を育てる。 中小製造業の目指すべきAI、ロボット導入の本質はそこにあるのかもしれません。 「AIとロボット、なんか難しそう、、」 「どうせ大手じゃなきゃ導入できないんでしょ、、」 「うちは中小で資金力が無いから、、」 そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。が、そんなことはありません。 Withコロナ時代における企業の優位性を確保するため、優秀な人材(人財)を確保するため、最先端のAI搭載ロボットコントローラーの導入を検討してみてはいかがでしょうか? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

中小企業・中小製造業におけるロボット導入のポイントを解説

2020.07.30

ご存じの通り、中小企業においても自動化・ロボット化による生産性向上及び省力化、省人化が急務となっており「なんとかしなくては」と考えている経営者も多いかと思います。 今回は初めてロボットを導入する際の「勘どころ」を解説していきます。 1.中小企業におけるロボット導入の必要性と役割 中小製造業において課題となっている重要な項目の一つが人手不足です。 従業員100名以下の企業に関しては人手不足が最重要課題であることも少なくありません。 熟練作業者の高齢化、作業の属人化、若手作業者の定着率悪化、退職率増加、新規採用応募者の減少、など人手不足は深刻な状況になりつつあります。そのような背景の中、中小企業においてロボットはどのような役割を果たすのでしょうか? 中小製造業におけるロボットの役割として大きく3つのポイントが挙げられます。 ①人による作業の代替えによる生産性向上・省人化・省力化 ②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換 ③若手技術者の育成による企業の成長 まず、真っ先に挙げられるのが①生産性向上・省人化・省力化です。 これについてはしっかりと「数字」でコストメリットを試算して導入効果の検証をしていく必要があります。 この段階で検証を誤ると、導入したけど何の効果も無かった、ただスペースを圧迫するだけのオブジェになってしまった、なんて言うことにもなりかねません。 さらに、中小製造業においては多品種少量生産が一般的である場合も多いため一つのロボットシステムでいかに多品種に対応できるか、も重要なポイントになってきます。 月に何万台も生産する自動車部品の量産ラインのような工程では単一品種の対応で大きなメリットが出ますが、月100個の製品を10品種、同一の機械で生産するような多品種少量型の町工場においては、一つのロボットシステム(低投資)で多品種対応(高利益)が求められるため、作業改善や作業方法の変更、設備レイアウトの変更等様々な改善を組み合わせてロボット導入を検討する必要があります。 次に、②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換、③若手技術者の育成による企業の成長です。前述のように生産性が向上し省人化が実現したところで、現在の従業員に退職を迫るわけにはいきません。 そこで、ロボットにより手の空いた熟練作業者は、より付加価値の高い作業への配置転換を行います。中小企業が得意とする「職人の技術」です。 ロボットが出来ることはロボットが、人間にしか出来ないことは人間が、そのように作業を分担して、より短納期でより高品質な製品を提供する、中小企業としての強み(技術)を生かした戦略です。 さて、若手技術者の不足は中小企業において深刻な問題です。入社して半年も経たずに辞めてしまう、待遇を改善したが次の若手を雇っても同じように辞めてしまう、そのように若手が育たないので新しいシステムを導入しても扱える人間がいない、メンテナンスできる人間がいない、さらに新たな技術の導入に手が出せない、と悪循環に陥っていきます。 そこでロボット等の最新技術のオペレーター、技術担当者として若手を採用し「やりがい」や「目標・目的」を持って業務に取り組んでもらうことで若手社員本人としての成長と共に企業として成長していくとこが中小製造業におけるロボット導入のポイントであると考えます。 2.中小企業におけるロボット導入の注意点 では、中小企業においてロボット導入を検討する際に注意しなければいけない点とはどのような事があるのでしょうか? 先にも記載した通りまずは、「数字」でコストメリットを試算、するとこが重要な点となってきます。 生産量、工数、利益、等々様々な要因を数字で集めて分析し、どの製品のどの工程をロボット化していくのか、まずはざっくりと決めていきます。 製品と工程が決まったらさらにその工程を細かく分解して、どれくらいの工数がかかっているか、作業一つ一つの作業時間を出していきます。そのように分割した作業の中でロボットに行わせる作業を決めていきます。 この時点ではあくまでも仮の決定で、ある程度のビジョンを持って導入を計画していくための準備です。 さて、ここからが本題です。 重要なことが二つ、一つ目は優秀なシステムインテグレーター(SIer)を選定することです。 SIerとはロボットシステムや自動化システム等の提案、設計、導入、立ち上げを一手に担ってくれるメーカーや業者の総称です。 例えば、全く同じ工程のロボット化を何社かのSIerに依頼した場合でも、提案内容や導入コストに大きく差が出る場合があります。 これはSIerの「提案力」の差によるものです。機械設計や電気設計はある程度ノウハウ化されそれほど差が出るものではありませんが、この「提案力」は個々の経験とアイデアによる差が顕著に出るものです。 そういった観点から、提案力のある優秀なSIerを選定することが重要なことの一つになってきます。 二つ目はユーザーの分析力です。ここでいう分析とは、例えば大量の数字を集めて傾向を発見する、とかそのような小難しい分析ではなく、実際に現場ではどのように作業が行われているのか、を分析する力です。 ロボット導入となると、現場で作業をしている作業者が実際に打ち合わせに加わったり、一緒にシステム構成を考えたり、というのは生産があるため非常に困難であるため、経営者自らが構想設計から打ち合わせ立ち上げまで、一人でこなしていくケースも多いかと思います。 このような場合に起こりうるのが、把握している作業と実際の現場作業との差です。良くも悪くも、現場作業員が決められた作業手順(作業標準)通りに作業をしているとは限らないからです。 この実際の現場作業の確認(分析)を怠るとロボットシステム導入後に思っていた通りに物が出来ない、試算した通りに生産が進まない等の問題が発生します。現場作業員も「勝手に作業方法を変えられた!」と感じモチベーションも下がってしまいます。そのような問題を起こさないためにも現場分析が重要となってきます。現場分析=現場作業者とのコミュニケーション、であるとも言えます。その現場分析をもとにユーザーからSIerへ要望を出す(ある意味提案する)、その要望(提案)を受けてSIerが実現可能な方法を提案する、といった流れに乗れると良いシステムが作られていきます。 逆に言うと、いかに優秀なSIerとて、ユーザーから要望(提案)が無ければ良い提案が出来ないということです。 3.おわりに 昨今では、SIer側としても上記のような状態を認識し、提案型営業の必要性が問われています。しかしやはりSIerが実際に現場に立って作業分析をすることは困難でしょう。 ロボットだけを買ってきても何の価値も生まない、いかに価値を生み出すロボットシステムを生み出せるかはユーザーの現場分析力(提案力)にかかっている、といっても過言でありません。 このように、ロボットのような最新技術とはいえ「3現主義」のようなモノづくりの基本を大前提において導入を進めることが必要です。 ロボットについて何の知識もないから、とか、難しいことは分からないから、と投げ出してしまうのではなく、良いロボットシステムを作り上げるためには今まで現場で培ってきた経験が必要である、と認識し各々の現場にあったシステムを導入していくのが中小企業・中小製造業におけるロボット導入の「勘どころ」と言えるでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ ご存じの通り、中小企業においても自動化・ロボット化による生産性向上及び省力化、省人化が急務となっており「なんとかしなくては」と考えている経営者も多いかと思います。 今回は初めてロボットを導入する際の「勘どころ」を解説していきます。 1.中小企業におけるロボット導入の必要性と役割 中小製造業において課題となっている重要な項目の一つが人手不足です。 従業員100名以下の企業に関しては人手不足が最重要課題であることも少なくありません。 熟練作業者の高齢化、作業の属人化、若手作業者の定着率悪化、退職率増加、新規採用応募者の減少、など人手不足は深刻な状況になりつつあります。そのような背景の中、中小企業においてロボットはどのような役割を果たすのでしょうか? 中小製造業におけるロボットの役割として大きく3つのポイントが挙げられます。 ①人による作業の代替えによる生産性向上・省人化・省力化 ②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換 ③若手技術者の育成による企業の成長 まず、真っ先に挙げられるのが①生産性向上・省人化・省力化です。 これについてはしっかりと「数字」でコストメリットを試算して導入効果の検証をしていく必要があります。 この段階で検証を誤ると、導入したけど何の効果も無かった、ただスペースを圧迫するだけのオブジェになってしまった、なんて言うことにもなりかねません。 さらに、中小製造業においては多品種少量生産が一般的である場合も多いため一つのロボットシステムでいかに多品種に対応できるか、も重要なポイントになってきます。 月に何万台も生産する自動車部品の量産ラインのような工程では単一品種の対応で大きなメリットが出ますが、月100個の製品を10品種、同一の機械で生産するような多品種少量型の町工場においては、一つのロボットシステム(低投資)で多品種対応(高利益)が求められるため、作業改善や作業方法の変更、設備レイアウトの変更等様々な改善を組み合わせてロボット導入を検討する必要があります。 次に、②熟練作業者の高付加価値作業への配置転換、③若手技術者の育成による企業の成長です。前述のように生産性が向上し省人化が実現したところで、現在の従業員に退職を迫るわけにはいきません。 そこで、ロボットにより手の空いた熟練作業者は、より付加価値の高い作業への配置転換を行います。中小企業が得意とする「職人の技術」です。 ロボットが出来ることはロボットが、人間にしか出来ないことは人間が、そのように作業を分担して、より短納期でより高品質な製品を提供する、中小企業としての強み(技術)を生かした戦略です。 さて、若手技術者の不足は中小企業において深刻な問題です。入社して半年も経たずに辞めてしまう、待遇を改善したが次の若手を雇っても同じように辞めてしまう、そのように若手が育たないので新しいシステムを導入しても扱える人間がいない、メンテナンスできる人間がいない、さらに新たな技術の導入に手が出せない、と悪循環に陥っていきます。 そこでロボット等の最新技術のオペレーター、技術担当者として若手を採用し「やりがい」や「目標・目的」を持って業務に取り組んでもらうことで若手社員本人としての成長と共に企業として成長していくとこが中小製造業におけるロボット導入のポイントであると考えます。 2.中小企業におけるロボット導入の注意点 では、中小企業においてロボット導入を検討する際に注意しなければいけない点とはどのような事があるのでしょうか? 先にも記載した通りまずは、「数字」でコストメリットを試算、するとこが重要な点となってきます。 生産量、工数、利益、等々様々な要因を数字で集めて分析し、どの製品のどの工程をロボット化していくのか、まずはざっくりと決めていきます。 製品と工程が決まったらさらにその工程を細かく分解して、どれくらいの工数がかかっているか、作業一つ一つの作業時間を出していきます。そのように分割した作業の中でロボットに行わせる作業を決めていきます。 この時点ではあくまでも仮の決定で、ある程度のビジョンを持って導入を計画していくための準備です。 さて、ここからが本題です。 重要なことが二つ、一つ目は優秀なシステムインテグレーター(SIer)を選定することです。 SIerとはロボットシステムや自動化システム等の提案、設計、導入、立ち上げを一手に担ってくれるメーカーや業者の総称です。 例えば、全く同じ工程のロボット化を何社かのSIerに依頼した場合でも、提案内容や導入コストに大きく差が出る場合があります。 これはSIerの「提案力」の差によるものです。機械設計や電気設計はある程度ノウハウ化されそれほど差が出るものではありませんが、この「提案力」は個々の経験とアイデアによる差が顕著に出るものです。 そういった観点から、提案力のある優秀なSIerを選定することが重要なことの一つになってきます。 二つ目はユーザーの分析力です。ここでいう分析とは、例えば大量の数字を集めて傾向を発見する、とかそのような小難しい分析ではなく、実際に現場ではどのように作業が行われているのか、を分析する力です。 ロボット導入となると、現場で作業をしている作業者が実際に打ち合わせに加わったり、一緒にシステム構成を考えたり、というのは生産があるため非常に困難であるため、経営者自らが構想設計から打ち合わせ立ち上げまで、一人でこなしていくケースも多いかと思います。 このような場合に起こりうるのが、把握している作業と実際の現場作業との差です。良くも悪くも、現場作業員が決められた作業手順(作業標準)通りに作業をしているとは限らないからです。 この実際の現場作業の確認(分析)を怠るとロボットシステム導入後に思っていた通りに物が出来ない、試算した通りに生産が進まない等の問題が発生します。現場作業員も「勝手に作業方法を変えられた!」と感じモチベーションも下がってしまいます。そのような問題を起こさないためにも現場分析が重要となってきます。現場分析=現場作業者とのコミュニケーション、であるとも言えます。その現場分析をもとにユーザーからSIerへ要望を出す(ある意味提案する)、その要望(提案)を受けてSIerが実現可能な方法を提案する、といった流れに乗れると良いシステムが作られていきます。 逆に言うと、いかに優秀なSIerとて、ユーザーから要望(提案)が無ければ良い提案が出来ないということです。 3.おわりに 昨今では、SIer側としても上記のような状態を認識し、提案型営業の必要性が問われています。しかしやはりSIerが実際に現場に立って作業分析をすることは困難でしょう。 ロボットだけを買ってきても何の価値も生まない、いかに価値を生み出すロボットシステムを生み出せるかはユーザーの現場分析力(提案力)にかかっている、といっても過言でありません。 このように、ロボットのような最新技術とはいえ「3現主義」のようなモノづくりの基本を大前提において導入を進めることが必要です。 ロボットについて何の知識もないから、とか、難しいことは分からないから、と投げ出してしまうのではなく、良いロボットシステムを作り上げるためには今まで現場で培ってきた経験が必要である、と認識し各々の現場にあったシステムを導入していくのが中小企業・中小製造業におけるロボット導入の「勘どころ」と言えるでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

産業用ロボットの種類と市場規模

2020.06.18

近年では、様々な業界においてロボットが用いられるようになってきています。 その背景には将来的な人口減少により生産年齢人口が減少することや、顧客のニーズを満たすようなロボットを、製造することが出来るまでに技術が発展していることなどが、挙げられます。 ロボットと一口に言っても産業用ロボット・家電ロボット・手術支援ロボット・医療支援ロボットなど様々な種類がありますが、その中でも最も注目を集めているのが産業用ロボットです。 では、「産業用ロボット」とは一体どういうものなのでしょうか? 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットの説明に入る前に、まずはロボットの定義を共有したいと思います。 ロボットの定義は明確に定まっている訳ではなく所々で色々な定義がされていますが、定義の一つに、“人の代わりに何等かの作業を自律的に行う装置、もしくは機械のこと。”とあります。 そのロボットの中で、注目されている産業用ロボットは、「自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレーターであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定してまたは運動機能をもって産業自動化の用途に用いられるロボット」と日本工業規格JISで定義されています。 マニピュレーターとは人の手や腕の代わりに作業する機構を指します。このような産業用ロボットは、資金が潤沢な大企業のみが導入できるものと考えられてきましたが、近年では規模が小さい中小企業においてもロボット導入が可能となっています。 まだまだ多くの方が、ロボット化をただの単品大量生産の自動化だと考えていますが、それは大きな間違いです。 特に中小企業にとってロボット化とは ・売上UP・付加価値UP・生産性UP ・熟練業務の伝承・継承 ・優秀な若手の採用強化・教育育成 ・新規顧客の開拓 ・人手不足の解消 ・ロボットによる3K業務の代替 であり大きなメリットがあります。 2.産業用ロボットに関する市場を調査 先述の通り、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 IFR (国際ロボット連盟)のレポートによると、過去5 年で世界の産業用ロボットの販売台数は2 倍になるといわれています。その背景として、日本・韓国・欧州等における労働力人口減少や中国・新興国等における賃金上昇や品質向上ニーズ拡大等が挙げられます。 IFRのWorld Robotics Report によると、2017 年に世界の産業用ロボットの出荷台数は過去最高となる381,000 台を記録し、前年比30%増となりました。ロボットの年間販売台数は下記の図をみてもわかるように、年々増加しており1 年あたり平均14%増となっています。 *2009~2017年と2018~2021年の世界全体の産業用ロボットの推移年間販売数 出展:国際ロボット連盟2018 また、日本ロボット工業会の統計を見ても、国内メーカーの18年の受注額は9623億円で、前年比5,5%増加しました。6連続の前年比増加で、過去最高を記録しています。 日本は、世界一の産業用ロボット生産国ですが、2017 年に日本メーカーは世界の販売台数の56%を占めました。 輸出比率は 45%の増加を記録し、輸出先は北米や中国、韓国、ヨーロッパです。 日本以外で注目すべき国としては、中国です。近年、中国を中心としたアジア市場が産業用ロボット市場の大きな成長源となっています。 中国は既に稼働台数において日本に次ぐ世界第2位となっていますが、工場労働者1人当たりの台数は少なく、ロボットの導入余地が大きいと考えられ、今後日本を抜いていくことが予想されます。 ここまで数字面で、産業用ロボットが注目される根拠を説明してきましたが、ここからは社会的な面からも見ていきたいと思います。 国際ロボット連盟の会長である津田純嗣は以下のように述べています。 「産業用ロボットは製造業の進歩に欠かせない重要な役割を担っています。ロボットは、視覚認識やスキル学習、AIを用いた故障予測、マン・マシン・コラボレーションという新たな概念、そして容易なプログラミングなどの多くの最新のテクノロジー と共に進化を遂げています。こうしたテクノロジーは、製造業の生産性の向上と、ロボット応用分野の拡大に寄与するでしょう。IFRの予測では、世界中の工場へのロボットの年間導入台数は2021年に約630,000台に到達することが見込まれます。」 OECDの調査によると、テクノロジーを効果的に採用している企業は、採用していない企業よりも10倍生産性が高いことが示されており、津田会長が言うように産業用ロボットは製造業の進歩に必要不可欠であると考えられます。 また、昨今のコロナウイルスの影響により自動化は今後より進んでいくと考えられます。IFRや経済学者らはコロナ危機は、ロボットが産業と社会にもたらす重要な貢献を強調しているとの考えを示しています。 3.産業用ロボットの種類 産業用ロボットは幅広い分野で活用されていますが、一口に産業用ロボットといっても様々なタイプがあります。 ・垂直多関節ロボット 人間の腕に似た構造で自由度が高く、最も普及しているタイプの産業用ロボットです。 軸の数が多く、動作の自由度が非常に高いということから様々な作業を行うことができます。 自由度が高いことから、対象とするワークを回り込んでの作業も得意で、搬送・溶接・塗装・組立等多くの工程で導入されています。 ただ、多軸で自由度が高い半面、制御がやや複雑になります。 ・水平多関節ロボット(スカラロボット) 水平(スカラ)方向の動きに特化したロボットです。 最も主流となっているのが4軸のロボットで、関節は回転軸が全て垂直に揃っているため、必ずアームの先端が水平面内を移動します。 例えばものをつかみ上げる場合は、ハンドを対象物の真上まで動かし、垂直の直線軸でハンドを近づけます。 複雑な動作はできませんが、上下方向の剛性が高く、水平方向への柔軟性を持っているため、部品の押し込み作業などの組立工程に適しています。 ウエハの搬送や、基板を組み立てる際など用途は多岐に渡ります。 ・パラレルリンクロボット 並列なリンクを介して1点の動きを制御する方法(パラレルメカニズム)を使った産業用ロボットです。 複数モーターの出力を1点に集中させ、各関節が直接先端を制御するため、高精度・高出力で、非常に高速に動けるという特徴があります。 そのため、ベルトコンベヤーの上に取り付けられ、流れてくる製品を高速でピックアップして搬送することができます。 ・直交ロボット 直角に組み合わせた直線軸からなるシンプルなロボットです。 作業を施す範囲に対し、設置面積が広くなってしまうというデメリットはありますが、スライド機構による動作になるため、回転がないという特徴があります。 また、複雑な動作はできない代わりに、シンプルで安価であるといったことも特徴として挙げられます。 直行ロボットは重量物の搬送や、基板の組み立てなどに使用されています。最近では、単体で導入するのではなく、多関節ロボットと組み合わせて導入し、使われることが増えてきています。 そのほかにも、液晶パネルの搬送などに利用されている、「円筒座標型ロボット」や 産業用ロボットの元祖である「極座標型ロボット」等様々なロボットがあります。 また、産業用ロボットといっても、「協業ロボット」や「双腕ロボット」など、一般的な産業用ロボットとは違ったタイプのロボットもあります。 このように、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 今後、産業用ロボットによる自動化はより進んでいくことでしょう。 本記事では産業用ロボットの市場について解説しました。 他の記事では、中小企業がロボット化を実現している事例なども紹介しておりますから、ロボット化をお考えの方のきっとお役に立つことと思います。 是非一度、ご覧になって下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ 近年では、様々な業界においてロボットが用いられるようになってきています。 その背景には将来的な人口減少により生産年齢人口が減少することや、顧客のニーズを満たすようなロボットを、製造することが出来るまでに技術が発展していることなどが、挙げられます。 ロボットと一口に言っても産業用ロボット・家電ロボット・手術支援ロボット・医療支援ロボットなど様々な種類がありますが、その中でも最も注目を集めているのが産業用ロボットです。 では、「産業用ロボット」とは一体どういうものなのでしょうか? 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットの説明に入る前に、まずはロボットの定義を共有したいと思います。 ロボットの定義は明確に定まっている訳ではなく所々で色々な定義がされていますが、定義の一つに、“人の代わりに何等かの作業を自律的に行う装置、もしくは機械のこと。”とあります。 そのロボットの中で、注目されている産業用ロボットは、「自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレーターであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定してまたは運動機能をもって産業自動化の用途に用いられるロボット」と日本工業規格JISで定義されています。 マニピュレーターとは人の手や腕の代わりに作業する機構を指します。このような産業用ロボットは、資金が潤沢な大企業のみが導入できるものと考えられてきましたが、近年では規模が小さい中小企業においてもロボット導入が可能となっています。 まだまだ多くの方が、ロボット化をただの単品大量生産の自動化だと考えていますが、それは大きな間違いです。 特に中小企業にとってロボット化とは ・売上UP・付加価値UP・生産性UP ・熟練業務の伝承・継承 ・優秀な若手の採用強化・教育育成 ・新規顧客の開拓 ・人手不足の解消 ・ロボットによる3K業務の代替 であり大きなメリットがあります。 2.産業用ロボットに関する市場を調査 先述の通り、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 IFR (国際ロボット連盟)のレポートによると、過去5 年で世界の産業用ロボットの販売台数は2 倍になるといわれています。その背景として、日本・韓国・欧州等における労働力人口減少や中国・新興国等における賃金上昇や品質向上ニーズ拡大等が挙げられます。 IFRのWorld Robotics Report によると、2017 年に世界の産業用ロボットの出荷台数は過去最高となる381,000 台を記録し、前年比30%増となりました。ロボットの年間販売台数は下記の図をみてもわかるように、年々増加しており1 年あたり平均14%増となっています。 *2009~2017年と2018~2021年の世界全体の産業用ロボットの推移年間販売数 出展:国際ロボット連盟2018 また、日本ロボット工業会の統計を見ても、国内メーカーの18年の受注額は9623億円で、前年比5,5%増加しました。6連続の前年比増加で、過去最高を記録しています。 日本は、世界一の産業用ロボット生産国ですが、2017 年に日本メーカーは世界の販売台数の56%を占めました。 輸出比率は 45%の増加を記録し、輸出先は北米や中国、韓国、ヨーロッパです。 日本以外で注目すべき国としては、中国です。近年、中国を中心としたアジア市場が産業用ロボット市場の大きな成長源となっています。 中国は既に稼働台数において日本に次ぐ世界第2位となっていますが、工場労働者1人当たりの台数は少なく、ロボットの導入余地が大きいと考えられ、今後日本を抜いていくことが予想されます。 ここまで数字面で、産業用ロボットが注目される根拠を説明してきましたが、ここからは社会的な面からも見ていきたいと思います。 国際ロボット連盟の会長である津田純嗣は以下のように述べています。 「産業用ロボットは製造業の進歩に欠かせない重要な役割を担っています。ロボットは、視覚認識やスキル学習、AIを用いた故障予測、マン・マシン・コラボレーションという新たな概念、そして容易なプログラミングなどの多くの最新のテクノロジー と共に進化を遂げています。こうしたテクノロジーは、製造業の生産性の向上と、ロボット応用分野の拡大に寄与するでしょう。IFRの予測では、世界中の工場へのロボットの年間導入台数は2021年に約630,000台に到達することが見込まれます。」 OECDの調査によると、テクノロジーを効果的に採用している企業は、採用していない企業よりも10倍生産性が高いことが示されており、津田会長が言うように産業用ロボットは製造業の進歩に必要不可欠であると考えられます。 また、昨今のコロナウイルスの影響により自動化は今後より進んでいくと考えられます。IFRや経済学者らはコロナ危機は、ロボットが産業と社会にもたらす重要な貢献を強調しているとの考えを示しています。 3.産業用ロボットの種類 産業用ロボットは幅広い分野で活用されていますが、一口に産業用ロボットといっても様々なタイプがあります。 ・垂直多関節ロボット 人間の腕に似た構造で自由度が高く、最も普及しているタイプの産業用ロボットです。 軸の数が多く、動作の自由度が非常に高いということから様々な作業を行うことができます。 自由度が高いことから、対象とするワークを回り込んでの作業も得意で、搬送・溶接・塗装・組立等多くの工程で導入されています。 ただ、多軸で自由度が高い半面、制御がやや複雑になります。 ・水平多関節ロボット(スカラロボット) 水平(スカラ)方向の動きに特化したロボットです。 最も主流となっているのが4軸のロボットで、関節は回転軸が全て垂直に揃っているため、必ずアームの先端が水平面内を移動します。 例えばものをつかみ上げる場合は、ハンドを対象物の真上まで動かし、垂直の直線軸でハンドを近づけます。 複雑な動作はできませんが、上下方向の剛性が高く、水平方向への柔軟性を持っているため、部品の押し込み作業などの組立工程に適しています。 ウエハの搬送や、基板を組み立てる際など用途は多岐に渡ります。 ・パラレルリンクロボット 並列なリンクを介して1点の動きを制御する方法(パラレルメカニズム)を使った産業用ロボットです。 複数モーターの出力を1点に集中させ、各関節が直接先端を制御するため、高精度・高出力で、非常に高速に動けるという特徴があります。 そのため、ベルトコンベヤーの上に取り付けられ、流れてくる製品を高速でピックアップして搬送することができます。 ・直交ロボット 直角に組み合わせた直線軸からなるシンプルなロボットです。 作業を施す範囲に対し、設置面積が広くなってしまうというデメリットはありますが、スライド機構による動作になるため、回転がないという特徴があります。 また、複雑な動作はできない代わりに、シンプルで安価であるといったことも特徴として挙げられます。 直行ロボットは重量物の搬送や、基板の組み立てなどに使用されています。最近では、単体で導入するのではなく、多関節ロボットと組み合わせて導入し、使われることが増えてきています。 そのほかにも、液晶パネルの搬送などに利用されている、「円筒座標型ロボット」や 産業用ロボットの元祖である「極座標型ロボット」等様々なロボットがあります。 また、産業用ロボットといっても、「協業ロボット」や「双腕ロボット」など、一般的な産業用ロボットとは違ったタイプのロボットもあります。 このように、産業用ロボットは今非常に注目を集めています。 今後、産業用ロボットによる自動化はより進んでいくことでしょう。 本記事では産業用ロボットの市場について解説しました。 他の記事では、中小企業がロボット化を実現している事例なども紹介しておりますから、ロボット化をお考えの方のきっとお役に立つことと思います。 是非一度、ご覧になって下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

産業用ロボットによる自動化のメリットを解説!

2020.06.12

1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットとひとことで言っても、その中には様々な特徴や性能をもったロボットが沢山あります。 代表的なものは、直行ロボット、多関節ロボット、双椀ロボット、パラレルリンクロボット等を挙げる事が出来ます。 そして、ロボットを使用する環境や求められる能力に合わせて様々な追加機能を持たせていく事で様々なジャンルへ適用していき、ハンドリング、ピッキング、溶接、塗装、研磨、検査、倉庫、等の工程に導入されています。 産業用ロボットの一番のメリットはその汎用性にあります。 上記で挙げた工程に要求される追加機能を持たせる事で様々な工程に対応出来ます。 それと同様に一つの工程の中では、多品種への対応が可能です。 例えば、溶接工程へのロボット導入の場合、多関節ロボットのハンドに溶接トーチを持たす事で溶接用のロボットとなります。 そして溶接トーチをTIG、MIG、YEG等に置き換える事で様々な溶接に対応可能です。 更には様々な形状と溶接条件のワークの加工が可能となり多品種対応も可能となります。 このように産業用ロボットの最大のメリットはその汎用性にあります。 小品種大ロット生産の場合、専用の自動機を製作し高い生産能力と低いコストでの生産が中心でしたが、世界的な不況や昨今のコロナショックにより、多品種少量生産のニーズが高まる環境下で大きく力を発揮するものです。 これまではロボットへの教示(ロボットの動くポイントや動作順等をロボットPRGにしてロボットコントローラに書き込む作業)は専門的な知識が必要で敷居の高いものでしたが、昨今では、世界的にロボット用ソフトウェアの開発が進み、専門知識の無い人、これまでロボットと縁の無かった人でも簡単に操作出来る様に開発が進んでいます。 特にヨーロッパや中国などはロボットの導入が積極的に行われておりますが、日本のロボット導入はあまり進んでおらず世界的に見て先進的とは言えない状況になっています。 20年後30年後の労働人口の不足は様々なメディアから報じられており、間違い無い事実であると思いますが、それでも日本ではロボットの導入が進んでいない状況です。 その理由として挙げられるのは、ロボットを導入して自動化する事のメリットを知らない事にあると思います。 そしてそのメリットを効果として投資対効果の試算を行う事と汎用性の高いロボットを自社の製造工程に合わせてカスタマイズする等の生産技術部門が無い企業が多いのもまた事実です。 本記事では、産業用ロボットをおすすめする理由を3つの視点から取り上げたいと思います。 2.自動化とは? まずは産業用ロボットによる自動化の進め方と大まかなコストを把握しましょう。 上述した通り産業用ロボットは単体では何も出来ません。何をさせるかによってカスタマイズが必要です。 そのカスタマイズを請け負ってくれるのがロボットシステムインテグレータです。日本にも大小数百のシステムインテグレータが存在しておりそれぞれ得意な分野や技術を保有しております。 そのため、ロボット導入を進める場合まずロボットシステムインテグレータに相談をする事をおすすめします。 対象の工程や必要な機能を洗い出してから設備構想を作っていくのですが、当然ロボットや追加機器の費用に加え、ロボットシステムインテグレータに支払う費用も発生します。 構想設計日や設置工事、立ち合い調整などの費用がメインとなりますがここに掛かる金額は必ず掛かってきますのでこれを踏まえての購入判断が必要となります。 例えば、小型から中型とされるロボットを用いて簡単なシステムを組んだ場合でも一千万近くは掛かります。 ロボットと追加機器の価格が五百万円程度だった場合に多くの場合はそれと同額程度のシステムインテグレータに支払う費用が掛かります。大体これが相場です。 つまりシンプルなシステム構成でもロボット+周辺機器+システムインテグレーションでは一千万円近くは掛かってきます。 システムインテグレーション費用は高い比率を占めていますが、安い買い物では無いので失敗してロボットを導入したが全く使っていない等の事態にならないようにきちんとシステムインテグレータと相談しながらシステムを構築していく必要があり独力でロボット導入を進める技術が無い限りは必ず必要になってきます。 高額投資にはなりますが、生産現場、生産品種に合わせたシステムを構築し運用する事が出来れば様々なメリットが生まれる為に投資対効果で回収する事が可能なのです。 投資対効果の中には省人や労働生産性の向上から生まれる直接効果とそれ以外の間接効果がありますが、特に間接効果によるメリットが大きく産業用ロボットをおすすめする理由として挙げる事が出来ます。 3.産業用ロボットをおすすめする理由①品質向上 まずロボット化によって生まれる間接効果として品質の向上があります。 卓越した職人の感覚による加工には敵いませんが、ロボットを用いて自動化出来た場合、繰り返し再現性が非常に高まります。 この繰り返し精度こそ人間を遥かに上回る性能をもっている為に加工や品質の仕上がりが一定になります。 導入初期段階ではもちろん調整が必要なのですが、一度良い品質のモノが出来てしまえば同じ品質のモノを作り続ける事が出来るのです。 逆に言ってしまえばそれ以上もそれ以下のモノも生産しないという事です。 しかし、ここで非常に重要なのはロボットで加工するモノの状態がいつも同じか?という所です。 生産現場では材料調達からはじまり大小様々な変化は日常的に発生します。 この材料の変化がロボットでの加工の品質結果を変化させてしまうのです。 ロボットを導入して安定した品質を保つ為には材料の安定が鍵となりますので注意しましょう。 4.産業用ロボットをおすすめする理由②危険な作業を省人化 昔から製造現場には3Kとよばれる作業があります。 キケン、キツイ、クサイの頭文字と取った造語ですが、ロボットはまさにこのような作業をさせるには持ってこいです。 ロボットは文句も言わず、何時間でも3K作業をこなす事が出来ます。 例えば、高温環境にある鋳造工程や溶接工程等、重量鉄骨の切断作業等の危険作業等にロボットを導入される企業が増えています。 これからの労働人口減少の影響を最初に受けるであろう3K作業を早めに自動化しておく事で将来的にも企業の存続を図る事がこの分野に置ける自動化の最大の効果とも言えます。 そして最先端の技術を使って自動化を進めている企業様にはおのずと優秀な人材が集まる事も想定出来ます。 3K作業はロボットにやらせて、優秀な人材にはロボットのプログラミング等を任せていくという企業も増えてきており、今後の製造業の主流とも言えると思います。 5.産業用ロボットをおすすめする理由③熟練工はさらに高い技術へ 上記の3K作業以外にも、自動化にむいている工程があります。手間が掛かるが格別特殊な技術の要らない加工工程です。 ロボットも周辺機器も各段に進歩を続けていますが、現時点では現場の職人に匹敵するものではありません。ロボットでは再現出来ない加工も多いです。 職人を育てる為には何年、何十年もの月日が必要でありその存在自体が会社の財産とも言える存在です。そしてその職人さんも徐々に減ってきている状況です。 それでは職人さんは本当にその特殊な技能を100%発揮しているでしょうか。誰でも出来る様な仕事を特殊な技能を持った職人にさせていないでしょうか。 そういう時にこそロボットを導入し簡単な加工はロボットにやらせてしまうのです。そして職人さんの手を空けて、その人にしか出来ない作業をやって貰う事で能力を100%発揮して貰います。 その中で更に高い技術を習得、技術伝承を担って貰うのです。 簡単な作業はロボットにやらせておいて熟練工はさらに高い技術の習得をする事で企業には更に高い技術が必要な仕事を取り込む事が出来ます。 そしてロボットと専門職人が共存する非常に魅力ある企業になる事でしょう。 本記事では産業用ロボットによる自動化のメリットについて述べてきましたが、如何でしたでしょうか。 もはやロボット後進国となりつつある日本の製造現場ですが、確かにロボットを導入する際の技術的な障壁やコスト面での課題も多くあると思います。 しかし将来を見据えてしっかりと腰を据えて自社に適したシステムを構築する事が今の時代に必要な取り組みではないでしょうか。 日本の中小企業の中でも時流に敏感な企業様はロボット導入を開始しており、今後のロボット導入を進める為の相談も増えつつあります。 そのような企業様は一歩先んじて自動化の技術を身に着け、着々と将来への準備をしております。 導入に関して課題も多いですが、しっかりと課題と効果を分析し、自動化への取り組みを進めて行って頂きたいですね。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/   [sc name="robot"][/sc] 1.産業用ロボットとは? 産業用ロボットとひとことで言っても、その中には様々な特徴や性能をもったロボットが沢山あります。 代表的なものは、直行ロボット、多関節ロボット、双椀ロボット、パラレルリンクロボット等を挙げる事が出来ます。 そして、ロボットを使用する環境や求められる能力に合わせて様々な追加機能を持たせていく事で様々なジャンルへ適用していき、ハンドリング、ピッキング、溶接、塗装、研磨、検査、倉庫、等の工程に導入されています。 産業用ロボットの一番のメリットはその汎用性にあります。 上記で挙げた工程に要求される追加機能を持たせる事で様々な工程に対応出来ます。 それと同様に一つの工程の中では、多品種への対応が可能です。 例えば、溶接工程へのロボット導入の場合、多関節ロボットのハンドに溶接トーチを持たす事で溶接用のロボットとなります。 そして溶接トーチをTIG、MIG、YEG等に置き換える事で様々な溶接に対応可能です。 更には様々な形状と溶接条件のワークの加工が可能となり多品種対応も可能となります。 このように産業用ロボットの最大のメリットはその汎用性にあります。 小品種大ロット生産の場合、専用の自動機を製作し高い生産能力と低いコストでの生産が中心でしたが、世界的な不況や昨今のコロナショックにより、多品種少量生産のニーズが高まる環境下で大きく力を発揮するものです。 これまではロボットへの教示(ロボットの動くポイントや動作順等をロボットPRGにしてロボットコントローラに書き込む作業)は専門的な知識が必要で敷居の高いものでしたが、昨今では、世界的にロボット用ソフトウェアの開発が進み、専門知識の無い人、これまでロボットと縁の無かった人でも簡単に操作出来る様に開発が進んでいます。 特にヨーロッパや中国などはロボットの導入が積極的に行われておりますが、日本のロボット導入はあまり進んでおらず世界的に見て先進的とは言えない状況になっています。 20年後30年後の労働人口の不足は様々なメディアから報じられており、間違い無い事実であると思いますが、それでも日本ではロボットの導入が進んでいない状況です。 その理由として挙げられるのは、ロボットを導入して自動化する事のメリットを知らない事にあると思います。 そしてそのメリットを効果として投資対効果の試算を行う事と汎用性の高いロボットを自社の製造工程に合わせてカスタマイズする等の生産技術部門が無い企業が多いのもまた事実です。 本記事では、産業用ロボットをおすすめする理由を3つの視点から取り上げたいと思います。 2.自動化とは? まずは産業用ロボットによる自動化の進め方と大まかなコストを把握しましょう。 上述した通り産業用ロボットは単体では何も出来ません。何をさせるかによってカスタマイズが必要です。 そのカスタマイズを請け負ってくれるのがロボットシステムインテグレータです。日本にも大小数百のシステムインテグレータが存在しておりそれぞれ得意な分野や技術を保有しております。 そのため、ロボット導入を進める場合まずロボットシステムインテグレータに相談をする事をおすすめします。 対象の工程や必要な機能を洗い出してから設備構想を作っていくのですが、当然ロボットや追加機器の費用に加え、ロボットシステムインテグレータに支払う費用も発生します。 構想設計日や設置工事、立ち合い調整などの費用がメインとなりますがここに掛かる金額は必ず掛かってきますのでこれを踏まえての購入判断が必要となります。 例えば、小型から中型とされるロボットを用いて簡単なシステムを組んだ場合でも一千万近くは掛かります。 ロボットと追加機器の価格が五百万円程度だった場合に多くの場合はそれと同額程度のシステムインテグレータに支払う費用が掛かります。大体これが相場です。 つまりシンプルなシステム構成でもロボット+周辺機器+システムインテグレーションでは一千万円近くは掛かってきます。 システムインテグレーション費用は高い比率を占めていますが、安い買い物では無いので失敗してロボットを導入したが全く使っていない等の事態にならないようにきちんとシステムインテグレータと相談しながらシステムを構築していく必要があり独力でロボット導入を進める技術が無い限りは必ず必要になってきます。 高額投資にはなりますが、生産現場、生産品種に合わせたシステムを構築し運用する事が出来れば様々なメリットが生まれる為に投資対効果で回収する事が可能なのです。 投資対効果の中には省人や労働生産性の向上から生まれる直接効果とそれ以外の間接効果がありますが、特に間接効果によるメリットが大きく産業用ロボットをおすすめする理由として挙げる事が出来ます。 3.産業用ロボットをおすすめする理由①品質向上 まずロボット化によって生まれる間接効果として品質の向上があります。 卓越した職人の感覚による加工には敵いませんが、ロボットを用いて自動化出来た場合、繰り返し再現性が非常に高まります。 この繰り返し精度こそ人間を遥かに上回る性能をもっている為に加工や品質の仕上がりが一定になります。 導入初期段階ではもちろん調整が必要なのですが、一度良い品質のモノが出来てしまえば同じ品質のモノを作り続ける事が出来るのです。 逆に言ってしまえばそれ以上もそれ以下のモノも生産しないという事です。 しかし、ここで非常に重要なのはロボットで加工するモノの状態がいつも同じか?という所です。 生産現場では材料調達からはじまり大小様々な変化は日常的に発生します。 この材料の変化がロボットでの加工の品質結果を変化させてしまうのです。 ロボットを導入して安定した品質を保つ為には材料の安定が鍵となりますので注意しましょう。 4.産業用ロボットをおすすめする理由②危険な作業を省人化 昔から製造現場には3Kとよばれる作業があります。 キケン、キツイ、クサイの頭文字と取った造語ですが、ロボットはまさにこのような作業をさせるには持ってこいです。 ロボットは文句も言わず、何時間でも3K作業をこなす事が出来ます。 例えば、高温環境にある鋳造工程や溶接工程等、重量鉄骨の切断作業等の危険作業等にロボットを導入される企業が増えています。 これからの労働人口減少の影響を最初に受けるであろう3K作業を早めに自動化しておく事で将来的にも企業の存続を図る事がこの分野に置ける自動化の最大の効果とも言えます。 そして最先端の技術を使って自動化を進めている企業様にはおのずと優秀な人材が集まる事も想定出来ます。 3K作業はロボットにやらせて、優秀な人材にはロボットのプログラミング等を任せていくという企業も増えてきており、今後の製造業の主流とも言えると思います。 5.産業用ロボットをおすすめする理由③熟練工はさらに高い技術へ 上記の3K作業以外にも、自動化にむいている工程があります。手間が掛かるが格別特殊な技術の要らない加工工程です。 ロボットも周辺機器も各段に進歩を続けていますが、現時点では現場の職人に匹敵するものではありません。ロボットでは再現出来ない加工も多いです。 職人を育てる為には何年、何十年もの月日が必要でありその存在自体が会社の財産とも言える存在です。そしてその職人さんも徐々に減ってきている状況です。 それでは職人さんは本当にその特殊な技能を100%発揮しているでしょうか。誰でも出来る様な仕事を特殊な技能を持った職人にさせていないでしょうか。 そういう時にこそロボットを導入し簡単な加工はロボットにやらせてしまうのです。そして職人さんの手を空けて、その人にしか出来ない作業をやって貰う事で能力を100%発揮して貰います。 その中で更に高い技術を習得、技術伝承を担って貰うのです。 簡単な作業はロボットにやらせておいて熟練工はさらに高い技術の習得をする事で企業には更に高い技術が必要な仕事を取り込む事が出来ます。 そしてロボットと専門職人が共存する非常に魅力ある企業になる事でしょう。 本記事では産業用ロボットによる自動化のメリットについて述べてきましたが、如何でしたでしょうか。 もはやロボット後進国となりつつある日本の製造現場ですが、確かにロボットを導入する際の技術的な障壁やコスト面での課題も多くあると思います。 しかし将来を見据えてしっかりと腰を据えて自社に適したシステムを構築する事が今の時代に必要な取り組みではないでしょうか。 日本の中小企業の中でも時流に敏感な企業様はロボット導入を開始しており、今後のロボット導入を進める為の相談も増えつつあります。 そのような企業様は一歩先んじて自動化の技術を身に着け、着々と将来への準備をしております。 導入に関して課題も多いですが、しっかりと課題と効果を分析し、自動化への取り組みを進めて行って頂きたいですね。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/   [sc name="robot"][/sc]

コロナ禍における製造業が目指していくべき姿とは

2020.05.28

コロナウィルスが引き起こした社会の変化と、これから製造業が目指していくべき姿について8つのポイントをご紹介します。 afterコロナではなくwithコロナ 緊急事態宣言が明け、いわゆる「afterコロナ」の時期に突入しました。 同時に、「withコロナ」という言葉も出てきています。「afterコロナ」と「withコロナ」、皆さんはこの違いを考えたことがありますか? 「afterコロナ」とは、文字の通りコロナ終息後の世界を示します。 それに対し、「withコロナ」とは、当面コロナが終息しないことを見込み、その前提で上手に「共生」しようという考え方です。 人類が感染症の消息に成功したのはペストだけだとも言われています。考え方によっては、意味と意義があって新型コロナ問題が噴出したとも捉えられますね。 オフィスワークにおける変化 コロナによって経済活動が止まり、失われた6週間なんて言われておりますが、同時にテクノロジーが一気に進化したのも、また事実です。まず、自宅のオフィス化についてどのように変わるでしょうか。 o 通勤という感覚は無くなる o 専用の部屋が必要になり、マンションの買い替え需要が増える(オフィス部屋) o マンションのリノベーション需要が増える(オンラインミーティングに合った内装) o 引っ越し時にはインターネット回線をかなり気にする o 自宅オフィススペースには香りや音楽が欲しくなる o スーツや仕事着を着る機会が減るので、関連ファッションは売上が下がる o 一方、部屋着は売れ、自宅のファシリティは売れる o 女子は洋服と化粧の消費が下がる o 自宅の光熱費が増える o 震災対応で備蓄が増える o PCは普通に2台持ち o 地元商店街が活性化する o 家事代行が流行る(旦那さんが家事をアウトソーシング) o 1人の時間を大切にしたくなる(ワンルームマンションを借りる) o 一方で、人の接点を増やしたがる(メリハリが効いたライフスタイル) 続いて、オフィスの変化はどのようなものがあるでしょうか。 o オフィスの面積・家賃、ウォーターサーバー、水道光熱費、会議室、ランチデリバリーは減る o 勤務はシフト制になる o 会議室の家賃はリモートツール関連費用に入れ替わる o リモートツールでのルールが会社の規律(就業規則)に加わる o フリーアドレス・フリーデスクが促進される o 総じてオフィスの販管費が減るので、それを従業員の在宅化支援に使える会社が喜ばれる o 接待文化は少なくなる o オフィスはブレストの場になる(オフィス家具の種類が変わるしおしゃれになる) o 会社の存在が少なくなる(存在意義、求心力がない) o 帰属意識が少なくなるので、同じ価値観が大切になる o 会社としての存在意義を出すためにレクリエーションが増える?(社員旅行、運動会、忘年会) o リモートランチやリモート飲み会が当たり前になる o リモートワークに対応できない会社には優秀な人財が集まらなくなる o 昔は「3K職種」の人気がなかったが、今後は「3密職種」も嫌がられる o 逆に、リモートワーク最先端を行くと、優秀な人財が採りやすくなる withコロナを生きていくためには しかし、現実として直面しているのは、生産調整やライン部分停止などの自粛活動による影響です。 さらに大きな影響を受けている場合は、事業撤退や廃業に追い込まれている企業もあります。M&Aや事業統合、海外進出している企業は国内回帰し、仕入れ先・調達先・販路の新規開拓が始まっています。 製造業が目指すべき方向は、大きく以下の4つだと考えます。 o スマートファクトリー o デジタルファクトリー o リモートファクトリー o スピードファクトリー スマートファクトリー・リモートファクトリーの一例をご紹介します。 o リモートでの営業から「リモート営業」へ o リモートでの受注から「リモート営業」へ o リモートで金型設計していたものは「金型設計AI」で o リモートで設備運転管理していたものは「設備運転管理IoT」へ o リモートで工程管理していたものは「工程管理IoT」へ o リモートで生産管理していたものは「生産管理クラウド」へ o リモートで現場監視していたものは「遠隔監視モニター」へ o リモートで見積もりしていたものは「見積もりAI」へ o リモートでプログラム設計していたものは「プログラム設計AI」へ o リモートで生産計画していたものは「生産計画AI」へ o リモートでロボットティーチングしていたものは「ロボットIoT」へ o リモートで外観検査していたものは「外観検査AI」へ o リモートで品質改善していたものは「品質改善AI」へ o リモートで行っていた朝礼は「遠隔監視モニター」へ これらは一体どういうことか、共通するのは以下のキーワードです。 o オンライン化・リモート化・クラウド化・遠隔化 o デジタル化・ソフト化・脱ハード依存 o AI化・IoT化 o ロボット化 o 5G化 o 縮小最適生産・少数精鋭生産 o 差別化生産・高付加価値生産 いやいやそんなの大企業でしょ、なんて思うかもしれませんが現実は変わってきています。 プログラムや金型を設計したり、見積もりや営業、受注が自宅からできれば、場所を選ばないので全国各地から優秀な人財を採ることができます。 将来的には日本に限らず、世界から採ることもできるかもしれません。採るべき人財を適切に採ると、生産は上がります。 ロボットを使うことで仕事を取られるのではなく、人を「活かす」ことができるからです。 製造業の場合、遠隔監視モニターを使ってオフラインティーチングをするなど、AIやIoTによって改善できるポイントはたくさんあります。 製造業がこれからを生き抜く大切なポイントまとめ 以上をまとめると、すぐに取り組み始めたい8つのポイントが見えてきます。 o 既存業務の自動化・省人化 o 3K業務の自動化 o 熟練業務・属人業務の標準化・見える化 o 熟練業務・属人業務の技術継承・誰でも出来る化・若手育成 o 熟練者をより高付加価値業務へ移行・付加価値UP o 新規顧客の開拓(新規売上UP) o 採用強化 o 3密の削減(リモート化) 短期的には、経営環境は全くの目先不透明感いっぱいかと思います。 しかし、中長期的には、ロボット化・AI化・デジタル化は間違いのない経営戦略であると言えます。 ロボット化・AI化・デジタル化(ソフト)を前提として、それに人間が合わせて各種生産設備(ハード)を選択する経営を目指していきませんか。 最後までご覧いただきありがとうございました。 この記事は、船井総研「スマートファクトリー研究会」での講演を一部抜粋したものです。 本研究会は、上記紹介させていただいたような取り組みをされている企業の皆様で構成されております。 よろしければ「スマートファクトリー研究会」へ参加してみませんか? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け “工場のAI・デジタル化”最新事例解説レポート この1冊で、工場のAI・デジタル化の最新事例がわかる! 【事例①】AI活用を通じて「見積もり業務の標準化・脱属人化」を推進! 【事例②】付加価値を生まない検査工程から人手を開放!AIを活用した外観検査体制の構築! 【事例③】現場に散乱していた生産日報・日常点検表等のペーパーレス化を実現! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/ コロナウィルスが引き起こした社会の変化と、これから製造業が目指していくべき姿について8つのポイントをご紹介します。 afterコロナではなくwithコロナ 緊急事態宣言が明け、いわゆる「afterコロナ」の時期に突入しました。 同時に、「withコロナ」という言葉も出てきています。「afterコロナ」と「withコロナ」、皆さんはこの違いを考えたことがありますか? 「afterコロナ」とは、文字の通りコロナ終息後の世界を示します。 それに対し、「withコロナ」とは、当面コロナが終息しないことを見込み、その前提で上手に「共生」しようという考え方です。 人類が感染症の消息に成功したのはペストだけだとも言われています。考え方によっては、意味と意義があって新型コロナ問題が噴出したとも捉えられますね。 オフィスワークにおける変化 コロナによって経済活動が止まり、失われた6週間なんて言われておりますが、同時にテクノロジーが一気に進化したのも、また事実です。まず、自宅のオフィス化についてどのように変わるでしょうか。 o 通勤という感覚は無くなる o 専用の部屋が必要になり、マンションの買い替え需要が増える(オフィス部屋) o マンションのリノベーション需要が増える(オンラインミーティングに合った内装) o 引っ越し時にはインターネット回線をかなり気にする o 自宅オフィススペースには香りや音楽が欲しくなる o スーツや仕事着を着る機会が減るので、関連ファッションは売上が下がる o 一方、部屋着は売れ、自宅のファシリティは売れる o 女子は洋服と化粧の消費が下がる o 自宅の光熱費が増える o 震災対応で備蓄が増える o PCは普通に2台持ち o 地元商店街が活性化する o 家事代行が流行る(旦那さんが家事をアウトソーシング) o 1人の時間を大切にしたくなる(ワンルームマンションを借りる) o 一方で、人の接点を増やしたがる(メリハリが効いたライフスタイル) 続いて、オフィスの変化はどのようなものがあるでしょうか。 o オフィスの面積・家賃、ウォーターサーバー、水道光熱費、会議室、ランチデリバリーは減る o 勤務はシフト制になる o 会議室の家賃はリモートツール関連費用に入れ替わる o リモートツールでのルールが会社の規律(就業規則)に加わる o フリーアドレス・フリーデスクが促進される o 総じてオフィスの販管費が減るので、それを従業員の在宅化支援に使える会社が喜ばれる o 接待文化は少なくなる o オフィスはブレストの場になる(オフィス家具の種類が変わるしおしゃれになる) o 会社の存在が少なくなる(存在意義、求心力がない) o 帰属意識が少なくなるので、同じ価値観が大切になる o 会社としての存在意義を出すためにレクリエーションが増える?(社員旅行、運動会、忘年会) o リモートランチやリモート飲み会が当たり前になる o リモートワークに対応できない会社には優秀な人財が集まらなくなる o 昔は「3K職種」の人気がなかったが、今後は「3密職種」も嫌がられる o 逆に、リモートワーク最先端を行くと、優秀な人財が採りやすくなる withコロナを生きていくためには しかし、現実として直面しているのは、生産調整やライン部分停止などの自粛活動による影響です。 さらに大きな影響を受けている場合は、事業撤退や廃業に追い込まれている企業もあります。M&Aや事業統合、海外進出している企業は国内回帰し、仕入れ先・調達先・販路の新規開拓が始まっています。 製造業が目指すべき方向は、大きく以下の4つだと考えます。 o スマートファクトリー o デジタルファクトリー o リモートファクトリー o スピードファクトリー スマートファクトリー・リモートファクトリーの一例をご紹介します。 o リモートでの営業から「リモート営業」へ o リモートでの受注から「リモート営業」へ o リモートで金型設計していたものは「金型設計AI」で o リモートで設備運転管理していたものは「設備運転管理IoT」へ o リモートで工程管理していたものは「工程管理IoT」へ o リモートで生産管理していたものは「生産管理クラウド」へ o リモートで現場監視していたものは「遠隔監視モニター」へ o リモートで見積もりしていたものは「見積もりAI」へ o リモートでプログラム設計していたものは「プログラム設計AI」へ o リモートで生産計画していたものは「生産計画AI」へ o リモートでロボットティーチングしていたものは「ロボットIoT」へ o リモートで外観検査していたものは「外観検査AI」へ o リモートで品質改善していたものは「品質改善AI」へ o リモートで行っていた朝礼は「遠隔監視モニター」へ これらは一体どういうことか、共通するのは以下のキーワードです。 o オンライン化・リモート化・クラウド化・遠隔化 o デジタル化・ソフト化・脱ハード依存 o AI化・IoT化 o ロボット化 o 5G化 o 縮小最適生産・少数精鋭生産 o 差別化生産・高付加価値生産 いやいやそんなの大企業でしょ、なんて思うかもしれませんが現実は変わってきています。 プログラムや金型を設計したり、見積もりや営業、受注が自宅からできれば、場所を選ばないので全国各地から優秀な人財を採ることができます。 将来的には日本に限らず、世界から採ることもできるかもしれません。採るべき人財を適切に採ると、生産は上がります。 ロボットを使うことで仕事を取られるのではなく、人を「活かす」ことができるからです。 製造業の場合、遠隔監視モニターを使ってオフラインティーチングをするなど、AIやIoTによって改善できるポイントはたくさんあります。 製造業がこれからを生き抜く大切なポイントまとめ 以上をまとめると、すぐに取り組み始めたい8つのポイントが見えてきます。 o 既存業務の自動化・省人化 o 3K業務の自動化 o 熟練業務・属人業務の標準化・見える化 o 熟練業務・属人業務の技術継承・誰でも出来る化・若手育成 o 熟練者をより高付加価値業務へ移行・付加価値UP o 新規顧客の開拓(新規売上UP) o 採用強化 o 3密の削減(リモート化) 短期的には、経営環境は全くの目先不透明感いっぱいかと思います。 しかし、中長期的には、ロボット化・AI化・デジタル化は間違いのない経営戦略であると言えます。 ロボット化・AI化・デジタル化(ソフト)を前提として、それに人間が合わせて各種生産設備(ハード)を選択する経営を目指していきませんか。 最後までご覧いただきありがとうございました。 この記事は、船井総研「スマートファクトリー研究会」での講演を一部抜粋したものです。 本研究会は、上記紹介させていただいたような取り組みをされている企業の皆様で構成されております。 よろしければ「スマートファクトリー研究会」へ参加してみませんか? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中堅・中小製造業 経営者様向け “工場のAI・デジタル化”最新事例解説レポート この1冊で、工場のAI・デジタル化の最新事例がわかる! 【事例①】AI活用を通じて「見積もり業務の標準化・脱属人化」を推進! 【事例②】付加価値を生まない検査工程から人手を開放!AIを活用した外観検査体制の構築! 【事例③】現場に散乱していた生産日報・日常点検表等のペーパーレス化を実現! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/201208/

【成功事例に学ぶ】産業用ロボット活用による小物部品出庫(ピッキング)の自動化

2020.05.22

※以下導入事例は一般社団法人 日本ロボット工業会(JARA)「ロボット導入実証事業:事例紹介ハンドブック2017 」より抜粋 企業情報 業種:金属部品製造業 従業員規模:500名 エリア:関西 投資金額 66,000千円 直接効果・・省人効果4名省人(労働生産性3倍) 間接効果・・ミスピッキングの抑制、労働環境改善 この事例におけるロボット化によるメリット □ 人手に頼っていた部品の入出庫作業(使用先別の仕分け)のロボット化を実現。 □ 入庫時の衝撃や部品の接触による傷、破損を防止するハンドリング。 □ 4名分の工数を省人化 課題 こちらの企業様では、毎日の生産に合わせて自動機を製作する為に必要な部品をピッキングする作業を6名で実施されていました。ピッキング作業は従来の部品棚に並んでいるコンテナから一つ一つリストと照合しながら歩いて部品を探す為に部品間違いやピッキングの時間に多くの工数を費やしていました。歩行量が多く時間もかかる作業である点とピッキングが完了しないと生産が開始できないという点、6名もの作業者が必要という点、一人当たりの労働生産性を向上させる為に自動化を取り組む必要がありました。 ロボットを導入した工程 大小様々な形状で3000品目ある自動機組立用部品のピッキング作業 ポイント 貨幣処理機、自動サービス機器の組立用に納品された部品を、各組立ラインの工程別に用意された部品箱に入庫(振り分け)する。部品は、材質、大きさ、重量、形状がそれぞれ異なり、1日に3,000品目が入荷している。 この作業を、可動式の垂直多関節ロボット2台を使用し自動化を実施した。作業者が伝票のバーコードを読み取り、部品をコンベア上のトレーに入れると、バーコードの情報をもとに専用アプリケーションが必要な情報をICタグに書き込み、これを利用してロボットが行き先別の部品箱に部品を投入するシステムである。 ハンドリング方法の検討により、重量2,000gまでの部品の傷つかない形での投入を実現した。作業者に占める高齢者や女性の比率が高いため、これらの自動化をはかることで、作業者を身体および神経疲労から開放するとともに、4名分の工数が削減できた。 コンサルタントの視点 今回の事例の様に、製造業のうち特に組立を行う業態では、部品のピッキングが必要不可欠です。ピッキングを自動化する為には色々な方法がありますがこちらの企業様の様に汎用の多関節ロボットを用いて投資額を抑制しつつ自社で使いやすい様にカスタマイズする方法もあります。 産業用ロボットとQRコードなどによるデジタル機器との併用による部品管理は直近では多くのメーカーが開発設計を行っており、部品の入出庫を全自動で行う自動倉庫がコンパクトサイズで販売されるようになりました。ロボットとQR、ICタグ等のデジタル機器を用いた自動化システムの開発は今後更に加速していく事でしょう。 またアプリケーションについても改良が加えられロボットに対して知見が無い人でも操作できる様に更に使いやすくなっていく事でしょう。このような自動ピッキングシステムは大規模の倉庫だけではなく、小規模で多品種少量生産方式の採用している企業に導入してこそ真価を発揮すると考えています。 日本の働き手の減少の問題は深刻であり、すでにこのような倉庫でのピッキングシステムを導入し自動化されている企業様も多いです。まだ自動化に取り組まれていない企業様は要チェックですね。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/ ※以下導入事例は一般社団法人 日本ロボット工業会(JARA)「ロボット導入実証事業:事例紹介ハンドブック2017 」より抜粋 企業情報 業種:金属部品製造業 従業員規模:500名 エリア:関西 投資金額 66,000千円 直接効果・・省人効果4名省人(労働生産性3倍) 間接効果・・ミスピッキングの抑制、労働環境改善 この事例におけるロボット化によるメリット □ 人手に頼っていた部品の入出庫作業(使用先別の仕分け)のロボット化を実現。 □ 入庫時の衝撃や部品の接触による傷、破損を防止するハンドリング。 □ 4名分の工数を省人化 課題 こちらの企業様では、毎日の生産に合わせて自動機を製作する為に必要な部品をピッキングする作業を6名で実施されていました。ピッキング作業は従来の部品棚に並んでいるコンテナから一つ一つリストと照合しながら歩いて部品を探す為に部品間違いやピッキングの時間に多くの工数を費やしていました。歩行量が多く時間もかかる作業である点とピッキングが完了しないと生産が開始できないという点、6名もの作業者が必要という点、一人当たりの労働生産性を向上させる為に自動化を取り組む必要がありました。 ロボットを導入した工程 大小様々な形状で3000品目ある自動機組立用部品のピッキング作業 ポイント 貨幣処理機、自動サービス機器の組立用に納品された部品を、各組立ラインの工程別に用意された部品箱に入庫(振り分け)する。部品は、材質、大きさ、重量、形状がそれぞれ異なり、1日に3,000品目が入荷している。 この作業を、可動式の垂直多関節ロボット2台を使用し自動化を実施した。作業者が伝票のバーコードを読み取り、部品をコンベア上のトレーに入れると、バーコードの情報をもとに専用アプリケーションが必要な情報をICタグに書き込み、これを利用してロボットが行き先別の部品箱に部品を投入するシステムである。 ハンドリング方法の検討により、重量2,000gまでの部品の傷つかない形での投入を実現した。作業者に占める高齢者や女性の比率が高いため、これらの自動化をはかることで、作業者を身体および神経疲労から開放するとともに、4名分の工数が削減できた。 コンサルタントの視点 今回の事例の様に、製造業のうち特に組立を行う業態では、部品のピッキングが必要不可欠です。ピッキングを自動化する為には色々な方法がありますがこちらの企業様の様に汎用の多関節ロボットを用いて投資額を抑制しつつ自社で使いやすい様にカスタマイズする方法もあります。 産業用ロボットとQRコードなどによるデジタル機器との併用による部品管理は直近では多くのメーカーが開発設計を行っており、部品の入出庫を全自動で行う自動倉庫がコンパクトサイズで販売されるようになりました。ロボットとQR、ICタグ等のデジタル機器を用いた自動化システムの開発は今後更に加速していく事でしょう。 またアプリケーションについても改良が加えられロボットに対して知見が無い人でも操作できる様に更に使いやすくなっていく事でしょう。このような自動ピッキングシステムは大規模の倉庫だけではなく、小規模で多品種少量生産方式の採用している企業に導入してこそ真価を発揮すると考えています。 日本の働き手の減少の問題は深刻であり、すでにこのような倉庫でのピッキングシステムを導入し自動化されている企業様も多いです。まだ自動化に取り組まれていない企業様は要チェックですね。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 自動化・ロボット化事例集 vol.2 本事例集は、全国の先進的な工場が取り組む「自動化・ロボット化」の事例をまとめたものとなります。 これから自動化・ロボット化に取組もうと考える皆さまに、 「工場にロボット・IoTを導入する」ための具体的なノウハウを、 事例を通して知っていただくことを目的に作成しました。 ※こちらの事例集は、導入を検討している工場の担当者様限定となっております。 同業他社、メーカーや商社、SI事業者の方にはご送付をお断わりさせていただいております。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://smart-factory.funaisoken.co.jp/download/automation-robotization-examples-02/

産業用ロボットの4つのティーチング種類と解説

2020.04.24

▼無料ダウンロードはこちらをクリック 産業用ロボット導入だけで終わっていませんか? 近年、工場のロボット化は製造業種を問わず、様々な分野で進んできております。大企業だけでなく中小企業においてもロボット化・自動化が導入されています。しかしながら、ロボット導入したら終わり、自動化が自然に実現でき、生産性を高められる訳ではありません。 周知の事実の通り、ロボットはプログラミングを行うことにより動作を制御しています。 中小企業のように多品種でありながら、ロット数が少量であるということは生産工程が逐次変化するということを表しています。そのため変化が多い中小企業のロボット化では”ティーチング“という作業が重要になっていきます。 一体“ティーチング”とは何なのか? 簡単に一言で表すと、「ロボットに望む動作を教えること」です。 動作を教える方法は様々な種類があります。 ティーチングの種類と概要について簡単に説明していきます。 産業用ロボットのティーチングの種類とその概要 前項で述べたティーチングですが、その方法は様々です。 現在一般的なティーチングの種類としては、以下の4つの種類が挙げられます。 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) 3.ダイレクトティーチング 4.AIによるティーチングレス より大きく分類すると下記になります。 ◆ロボットに直接触れることなくティーチング(間接教示)する 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) ◆ロボットに直接触れながらティーチング(直接教示)する 3.ダイレクトティーチング ◆ティーチング作業をAIにより行う 4.AIによるティーチングレス 本ページでは一般的な教示方法である 間接教示法と直接教示法について述べていきます。 その前にまず、 本項ではそれぞれのティーチング方法を表にまとめてみました。 ティーチングの種類 概要 オフラインティーチング(間接教示法) テキスト型 ロボットの動きの元となる、プログラムをテキストエディット用のソフトウェアで直接記入します。複雑な動きのプログラムには向かないため、簡単な動きをするロボットに用いられます。 シミュレータ型 ロボット言語のアップロードや、ダウンロードなどのデータのやり取りが可能です。ロボット言語を変換することができるため、各社のロボットに対応することが可能です。 エミュレータ型 教示者にとってティーチングが容易であるため、多くの産業用ロボットに採用されています。ロボット言語を用いて動作をプログラムし、直接実行させるティーチング方法となるためプログラム精度が高いという利点があります。 自動ティーチングシステム CADデータから加工プログラムを自動的に作成するシステムです。技術的な難易度の高さから、まだ導入例は多くないと言われています。 オンラインティーチング (ティーチング・プレイバック) 間接教示法 教示者が直接ロボット本体を動かすことにより動きを教示する方法になります。導入が増加している協働ロボットのティーチングではこの方法が多く採用されています。教示者が可動部を動かし、動作を記録させることで、より直観的にティーチングすることを可能にします。 AIによるティーチングレス ティーチング作業は属人的なものでありましたが、近年AIの自己学習機能を活用したティーチングレス化が進んでいます。オフラインティーチングにて行ったプログラミング作業に加え、オンラインティーチングで修正を繰り返すことで高品質の作業をミスなく高速で行うことが可能となります。 自社にはどの教示方法が適しているのか? では、自社がロボットを導入し、自動化を実現するためにはどのような教示法、あるいはティーチングを行えるロボットが適しているのかということで悩まれると思います。 ・間接教示法に適した作業工程 ・直接教示法に適した作業工程 上記に分けて説明していきます。 まず、間接教示法と直接教示法のそれぞれが許容できる 作業工程を包含関係で表してみたいと思います。 上記のように直接教示法にできる作業工程が限られることが分かります。 では、包含関係を考慮したうえで直接教示法にはどのような作業工程が向いているのかを説明していきます。 直接教示法に適した作業工程とは? 直接教示法とは、ロボットを直接動かすことによって動作を教示する方法になります。この教示方法はロボットの動作に対して比較的精密度が求められない作業において用いることが一般的となります。 具体的には、以下のような作業工程において用いられております。 ・ネジ締め作業工程 ・組立て作業工程 ・部品の仕分け工程 ・整列工程 ・箱詰め工程 ・ピッキング工程 ・搬送工程 ・検査工程 ・測定工程 間接教示法に適した作業工程とは? 間接教示法は、精密度が求められる工程においても対応することが可能となります。 これは、人の手によるティーチングではなく機械を用いたプログラミングを行うことにより、精度を高めることが可能となるからです。 これらの教示方法により可能となる作業工程は 以下のような作業があります。 ・溶接 ・バリ取り ・シーリング ・ローラーヘム ・カット ・穴あけ ・溶射 ・塗装 ・洗浄 ・搬送(軽量でないもの) 上記のような作業は勿論のこと、前述した包含関係の図からも、この間接教示法は直接教示法による作業もカバーすることが可能です。 間接教示法の中でもペンダントを使用する為に最も初期投資が掛からない方法です。 高頻度での教示の修正や複雑な軌道のロボットパスを生成する必要が無い場合はこちらがおすすめです。 しかし、一度の教示に掛かる時間は教示と動作確認と修正で数日間かかる場合も多く、教示を行う技術者の力量にも大きく差が出てくるので注意が必要です。 またオフラインティーチング法ではパソコンのソフトウェアを用いる必要があるので、初期投資が掛かります。ソフトウェアの購入費用として初期投資300万円~程掛かる事もめずらしく有りません。 立体的な形状のワークにそって軌道を作る時や、複雑な形状、多台のロボットの複合作業などの難易度の高い教示作業や、高頻度の品種追加、寸法変更などのマイナーチェンジが発生する場合に非常に有効です。また作業者の力量に左右されずにロボットパスを生成できる事も魅力です。 まとめ 本ページでは2つの教示方法と、ティーチングの種類について説明してきました。 間接教示法は直接教示法が可能とする作業工程を包含していることから汎用性が高い教示方法であることがわかります。 これを考えると、「間接教示法だけで良いのでは?」と、思われるかもしれません。 しかし、直接教示法では、ティーチングペンダントを用いることなく教示者が直接ロボットにティーイングすることが可能であるということから間接的な教示法よりもティーチングが簡単です。つまりはティーチングに掛かる作業時間を短縮することができるため、生産性が高くなるというメリットも考えられます。 このように、それぞれの作業工程に適した教示方法があることを理解すると自社におけるロボット選定や導入した後の運用面が明らかになり、ロボット化・自動化のイメージが着きやすくなると思います。 さらに、本サイトではティーチングの種類や教示方法だけでなく、それぞれの業種やその工程に特化したロボットについて様々な事例をもとに解説しております。 他社事例をご覧になって頂けるとより自社に適したロボットがどのようなものか理解を深めることが出来ると思います。 是非、自社のロボットにおける導入検討のために御一読いただければと思います。 ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc] ▼無料ダウンロードはこちらをクリック 産業用ロボット導入だけで終わっていませんか? 近年、工場のロボット化は製造業種を問わず、様々な分野で進んできております。大企業だけでなく中小企業においてもロボット化・自動化が導入されています。しかしながら、ロボット導入したら終わり、自動化が自然に実現でき、生産性を高められる訳ではありません。 周知の事実の通り、ロボットはプログラミングを行うことにより動作を制御しています。 中小企業のように多品種でありながら、ロット数が少量であるということは生産工程が逐次変化するということを表しています。そのため変化が多い中小企業のロボット化では”ティーチング“という作業が重要になっていきます。 一体“ティーチング”とは何なのか? 簡単に一言で表すと、「ロボットに望む動作を教えること」です。 動作を教える方法は様々な種類があります。 ティーチングの種類と概要について簡単に説明していきます。 産業用ロボットのティーチングの種類とその概要 前項で述べたティーチングですが、その方法は様々です。 現在一般的なティーチングの種類としては、以下の4つの種類が挙げられます。 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) 3.ダイレクトティーチング 4.AIによるティーチングレス より大きく分類すると下記になります。 ◆ロボットに直接触れることなくティーチング(間接教示)する 1.オフラインティーチング 2.オンラインティーチング(ティーチング・プレイバック) ◆ロボットに直接触れながらティーチング(直接教示)する 3.ダイレクトティーチング ◆ティーチング作業をAIにより行う 4.AIによるティーチングレス 本ページでは一般的な教示方法である 間接教示法と直接教示法について述べていきます。 その前にまず、 本項ではそれぞれのティーチング方法を表にまとめてみました。 ティーチングの種類 概要 オフラインティーチング(間接教示法) テキスト型 ロボットの動きの元となる、プログラムをテキストエディット用のソフトウェアで直接記入します。複雑な動きのプログラムには向かないため、簡単な動きをするロボットに用いられます。 シミュレータ型 ロボット言語のアップロードや、ダウンロードなどのデータのやり取りが可能です。ロボット言語を変換することができるため、各社のロボットに対応することが可能です。 エミュレータ型 教示者にとってティーチングが容易であるため、多くの産業用ロボットに採用されています。ロボット言語を用いて動作をプログラムし、直接実行させるティーチング方法となるためプログラム精度が高いという利点があります。 自動ティーチングシステム CADデータから加工プログラムを自動的に作成するシステムです。技術的な難易度の高さから、まだ導入例は多くないと言われています。 オンラインティーチング (ティーチング・プレイバック) 間接教示法 教示者が直接ロボット本体を動かすことにより動きを教示する方法になります。導入が増加している協働ロボットのティーチングではこの方法が多く採用されています。教示者が可動部を動かし、動作を記録させることで、より直観的にティーチングすることを可能にします。 AIによるティーチングレス ティーチング作業は属人的なものでありましたが、近年AIの自己学習機能を活用したティーチングレス化が進んでいます。オフラインティーチングにて行ったプログラミング作業に加え、オンラインティーチングで修正を繰り返すことで高品質の作業をミスなく高速で行うことが可能となります。 自社にはどの教示方法が適しているのか? では、自社がロボットを導入し、自動化を実現するためにはどのような教示法、あるいはティーチングを行えるロボットが適しているのかということで悩まれると思います。 ・間接教示法に適した作業工程 ・直接教示法に適した作業工程 上記に分けて説明していきます。 まず、間接教示法と直接教示法のそれぞれが許容できる 作業工程を包含関係で表してみたいと思います。 上記のように直接教示法にできる作業工程が限られることが分かります。 では、包含関係を考慮したうえで直接教示法にはどのような作業工程が向いているのかを説明していきます。 直接教示法に適した作業工程とは? 直接教示法とは、ロボットを直接動かすことによって動作を教示する方法になります。この教示方法はロボットの動作に対して比較的精密度が求められない作業において用いることが一般的となります。 具体的には、以下のような作業工程において用いられております。 ・ネジ締め作業工程 ・組立て作業工程 ・部品の仕分け工程 ・整列工程 ・箱詰め工程 ・ピッキング工程 ・搬送工程 ・検査工程 ・測定工程 間接教示法に適した作業工程とは? 間接教示法は、精密度が求められる工程においても対応することが可能となります。 これは、人の手によるティーチングではなく機械を用いたプログラミングを行うことにより、精度を高めることが可能となるからです。 これらの教示方法により可能となる作業工程は 以下のような作業があります。 ・溶接 ・バリ取り ・シーリング ・ローラーヘム ・カット ・穴あけ ・溶射 ・塗装 ・洗浄 ・搬送(軽量でないもの) 上記のような作業は勿論のこと、前述した包含関係の図からも、この間接教示法は直接教示法による作業もカバーすることが可能です。 間接教示法の中でもペンダントを使用する為に最も初期投資が掛からない方法です。 高頻度での教示の修正や複雑な軌道のロボットパスを生成する必要が無い場合はこちらがおすすめです。 しかし、一度の教示に掛かる時間は教示と動作確認と修正で数日間かかる場合も多く、教示を行う技術者の力量にも大きく差が出てくるので注意が必要です。 またオフラインティーチング法ではパソコンのソフトウェアを用いる必要があるので、初期投資が掛かります。ソフトウェアの購入費用として初期投資300万円~程掛かる事もめずらしく有りません。 立体的な形状のワークにそって軌道を作る時や、複雑な形状、多台のロボットの複合作業などの難易度の高い教示作業や、高頻度の品種追加、寸法変更などのマイナーチェンジが発生する場合に非常に有効です。また作業者の力量に左右されずにロボットパスを生成できる事も魅力です。 まとめ 本ページでは2つの教示方法と、ティーチングの種類について説明してきました。 間接教示法は直接教示法が可能とする作業工程を包含していることから汎用性が高い教示方法であることがわかります。 これを考えると、「間接教示法だけで良いのでは?」と、思われるかもしれません。 しかし、直接教示法では、ティーチングペンダントを用いることなく教示者が直接ロボットにティーイングすることが可能であるということから間接的な教示法よりもティーチングが簡単です。つまりはティーチングに掛かる作業時間を短縮することができるため、生産性が高くなるというメリットも考えられます。 このように、それぞれの作業工程に適した教示方法があることを理解すると自社におけるロボット選定や導入した後の運用面が明らかになり、ロボット化・自動化のイメージが着きやすくなると思います。 さらに、本サイトではティーチングの種類や教示方法だけでなく、それぞれの業種やその工程に特化したロボットについて様々な事例をもとに解説しております。 他社事例をご覧になって頂けるとより自社に適したロボットがどのようなものか理解を深めることが出来ると思います。 是非、自社のロボットにおける導入検討のために御一読いただければと思います。 ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc]

【成功事例に学ぶ】ロボットによる肉盛り溶接とオフラインティーチングで脱職人化

2020.04.09

※以下導入事例は一般社団法人 日本ロボット工業会(JARA)「ロボット導入実証事業:事例紹介ハンドブック2017 」より抜粋 企業情報 業種:金属部品製造業 従業員規模:200名 エリア:岡山県 この事例におけるロボット化によるメリット □ 非常に高度な技術を要する金型の修繕の為の肉盛り溶接加工を自動化する事で脱職人を達成すると同時に生産能力の大幅UPに成功した。 課題 こちらの企業様では、多品種の金属製品を生産しており、数万個に及ぶ多様な金型を保有しております。金型の保守や新規製作工程において、摩耗補修時に表面を硬化肉盛り処理しますが、高度な熟練技能と長い工数が必要となるため生産活動のネックでした。また高い技術を保有する職人を育てるには数十年の時間を要するので、今後の職人不足を想定したうえで脱職人化に向けた取り組み(デジタルイノベーション)を行う必要がありました。 ロボットを導入した工程 金型新規製作や金型修繕時の硬化肉盛り溶接工程 ポイント 硬化肉盛り溶接を自動化する為に、レーザクラッティング工法(金属の粉体を利用した肉盛り溶接工法)を採用されました。 自動化するための課題は、溶接欠陥が無く金型への入熱が少ない溶接条件と溶接歪が発生しにくい加パス(熟練者の経験値)を正確に再現するロボット軌跡制御と、ロボットティーチング作業の簡略化がありました。 課題を解決する為に、ロボットペンダントを用いたダイレクトティーチング方法ではなく、オフラインティーチングソフトウェアを導入しました。PCを用いて最適な加工パスを生成した上で、溶接工の経験と知識を加えて溶接条件やトーチの調整を重ねました。ペンダントによるティーチングではロボットを停止する必要があり、その間生産する事が出来ませんし、溶接工の技術を再現するようなトーチの軌道を教示するにも非常に多くの時間が必要となります。オフラインティーチングソフトを用いる事で、生産を行いながら他の金型の修繕の為のロボットプログラムを生成する事で多品種対応を実現されています。 結果として、溶接を自動化することで一連の金型製作/保守工程の熟練作業の置き換えを図り、専任者2名を削減できました。加えて処理時間を大幅短縮することに成功し、従業員を過酷な環境から解放することにも繋がりました。 コンサルタントの視点 金型の修繕など高い溶接技能が必要な場合でもロボットは対応できます。事例企業様も自動化システムを構築するまでは、多くの工夫や試行錯誤を行っていたと考えられますが、一度自動化してしまえば、「何故この作業を人が行っていたのか」と言えます。そして、1つでも工程を自動化すると自然とノウハウが身につき、他工程の自動化も進んでいくことでしょう。今回は2017年の導入事例ですが、数年経ったことで更なる成果を挙げられていると考えられます。初期投資費用はかかりますが、今後10年、20年先を考えた場合は正しい選択ではないでしょうか。国や地方自治体の補助金を上手に利用して負担を軽くする対策もあります。オフラインティーチングソフトにも色々な種類があります。例えば、海外で開発されたソフトウェアはメーカー純正のソフトウェアに比べて多機能ですが、初期導入費用は数百万円になります。しかし外部業者にロボットティーチングを依頼し、生産停止してティーチングすることを考えると、多品種であればあるほど効果が見込めます。さらに複雑な形状部品や色々な角度でのアプローチが必要な場合はより効果を発揮します。現在の製品がいつまで需要があるのか分からない、仕様変更が頻繁にある場合にも有効です。初期導入費用は掛かりますが、職人の雇用にかかっていた費用に置き換えると効果が期待できるかもしれません。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 板金・溶接加工業様向け 多品種少量溶接ロボット導入事例解説レポート この1冊で多品種少量溶接ロボット導入の具体的事例がわかる! ①多品種少量溶接ロボット導入の進め方 ②多品種少量溶接ロボットにおける具体的事例 ③補助金を活用した溶接ロボット導入成功事例 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://lp.funaisoken.co.jp/mt/smart-factory/dltext05-dl.html ※以下導入事例は一般社団法人 日本ロボット工業会(JARA)「ロボット導入実証事業:事例紹介ハンドブック2017 」より抜粋 企業情報 業種:金属部品製造業 従業員規模:200名 エリア:岡山県 この事例におけるロボット化によるメリット □ 非常に高度な技術を要する金型の修繕の為の肉盛り溶接加工を自動化する事で脱職人を達成すると同時に生産能力の大幅UPに成功した。 課題 こちらの企業様では、多品種の金属製品を生産しており、数万個に及ぶ多様な金型を保有しております。金型の保守や新規製作工程において、摩耗補修時に表面を硬化肉盛り処理しますが、高度な熟練技能と長い工数が必要となるため生産活動のネックでした。また高い技術を保有する職人を育てるには数十年の時間を要するので、今後の職人不足を想定したうえで脱職人化に向けた取り組み(デジタルイノベーション)を行う必要がありました。 ロボットを導入した工程 金型新規製作や金型修繕時の硬化肉盛り溶接工程 ポイント 硬化肉盛り溶接を自動化する為に、レーザクラッティング工法(金属の粉体を利用した肉盛り溶接工法)を採用されました。 自動化するための課題は、溶接欠陥が無く金型への入熱が少ない溶接条件と溶接歪が発生しにくい加パス(熟練者の経験値)を正確に再現するロボット軌跡制御と、ロボットティーチング作業の簡略化がありました。 課題を解決する為に、ロボットペンダントを用いたダイレクトティーチング方法ではなく、オフラインティーチングソフトウェアを導入しました。PCを用いて最適な加工パスを生成した上で、溶接工の経験と知識を加えて溶接条件やトーチの調整を重ねました。ペンダントによるティーチングではロボットを停止する必要があり、その間生産する事が出来ませんし、溶接工の技術を再現するようなトーチの軌道を教示するにも非常に多くの時間が必要となります。オフラインティーチングソフトを用いる事で、生産を行いながら他の金型の修繕の為のロボットプログラムを生成する事で多品種対応を実現されています。 結果として、溶接を自動化することで一連の金型製作/保守工程の熟練作業の置き換えを図り、専任者2名を削減できました。加えて処理時間を大幅短縮することに成功し、従業員を過酷な環境から解放することにも繋がりました。 コンサルタントの視点 金型の修繕など高い溶接技能が必要な場合でもロボットは対応できます。事例企業様も自動化システムを構築するまでは、多くの工夫や試行錯誤を行っていたと考えられますが、一度自動化してしまえば、「何故この作業を人が行っていたのか」と言えます。そして、1つでも工程を自動化すると自然とノウハウが身につき、他工程の自動化も進んでいくことでしょう。今回は2017年の導入事例ですが、数年経ったことで更なる成果を挙げられていると考えられます。初期投資費用はかかりますが、今後10年、20年先を考えた場合は正しい選択ではないでしょうか。国や地方自治体の補助金を上手に利用して負担を軽くする対策もあります。オフラインティーチングソフトにも色々な種類があります。例えば、海外で開発されたソフトウェアはメーカー純正のソフトウェアに比べて多機能ですが、初期導入費用は数百万円になります。しかし外部業者にロボットティーチングを依頼し、生産停止してティーチングすることを考えると、多品種であればあるほど効果が見込めます。さらに複雑な形状部品や色々な角度でのアプローチが必要な場合はより効果を発揮します。現在の製品がいつまで需要があるのか分からない、仕様変更が頻繁にある場合にも有効です。初期導入費用は掛かりますが、職人の雇用にかかっていた費用に置き換えると効果が期待できるかもしれません。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 板金・溶接加工業様向け 多品種少量溶接ロボット導入事例解説レポート この1冊で多品種少量溶接ロボット導入の具体的事例がわかる! ①多品種少量溶接ロボット導入の進め方 ②多品種少量溶接ロボットにおける具体的事例 ③補助金を活用した溶接ロボット導入成功事例 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー https://lp.funaisoken.co.jp/mt/smart-factory/dltext05-dl.html

【投資対効果の考え方】多品種少量生産の自動化・ロボット化

2020.03.26

▼無料ダウンロードはこちらをクリック 近年、顧客ニーズの多様化に伴い、これらのニーズに応える手法として多品種少量生産に取り組む企業が増えています。 また労働人口減少の環境下で多品種少量生産体制の企業が生産工程の自動化に取り組む企業も増えています。 しかし、生産体制によって自動化の考え方は大きく異なってきます。特に多品種少量生産を行う生産体制の場合は、自動化する事が非常に困難なイメージを持たれている方も多く、自動化が進まない要因の一つとなっています。 多品種少量生産のメリットとデメリットについて メリット ・顧客のニーズに合わせた質と量の製品を供給する事が出来る ・必要なものを必要な数だけ生産する事で、在庫を抑制する事が出来る ・細かな仕様変更などにも対応できる。 ・品質不具合発生時に細かくロット管理が出来る。 ・設備の切り替え時短改善等が進み、質の高い生産が出来る ・作業者や技術者が多品種対応する事で著しく成長する。 ・一部製品の需要が無くなり受注が無くなっても他製品でカバーする事が出来る。 デメリット ・切り替え性を高める事が出来なければ生産効率を低下させてしまう。 ・品質再現性を高める事が出来なければ、品質が不安定になってしまう。 ・原料、材料の保管にスペースが必要 ・原料、材料の調達にシビアなコントロールが必要 ・生産計画調整にシビアなコントロールが必要 ・人員教育に時間が掛かる(技術、作業習得) ・一部の人間しか生産する事が出来ない等の技術的課題が発生する。 上記の様に多品種少量生産が大量生産システムに比べてはるかに難易度の高い仕事が求められるのが多品種少量生産です。 さらにメリットとデメリット比較すると、基本的にはデメリットを解消すればそれがすべてメリットになるという事が言えます。 そういう意味でも多品種少量生産が【質の高いものづくり】といわれる所以ですね。 多品種少量生産はロボット化に向かないと思われてる方も多いですが、上記デメリットを見ると自動化した方が解決する問題の方が多い事が分かると思います。 ・設備の切り替え性 人が切り替え作業している工程を自動した場合、属人的な違いが無くなります。 ・品質再現性 人よりも機械の方が同じ作業を繰り返すのは上手です。 ・生産計画調整や原料、材料調達  計画をもとに自動で調達を行うシステムを導入すれば、属人的な能力差が発生しない。 ・一部の人間しか生産出来ない  自動化する事で誰でもボタンを押せば生産する事が出来ます。 つまり多品種少量生産ほど自動化に向いているのです。 多品種生産工程の自動化課題 しかし、多品種少量生産のデメリットである点を自動機で克服していく為には、課題も多いです。 この課題を克服する自動機を投資回収できる範囲の投資で構築出来るかがポイントであり難しい所です。 直近では多様な製品、技術が開発されており、基本的に自動化出来ない工程は無いというレベルまで来てると思いますが、高額な費用を捻出する必要があります。 自社製品の工法や加工内容や受注ロット、切り替え頻度を加味した上で自動化設備の中身を取捨選択していく必要があります。 基本的に自動化設備に用いられる機器は高額なものが多く、機器単体では機能を果たせないものが多い為、生産システムとして成り立つ状態に仕上げるにはシステムインテグレーターの協力が必要であり、システムインテグレーターにも設計費用や工賃を支払う必要がありますので、どうしても費用全体は高額になってしまい、自動化設備の導入障壁となってしまうのです。 性能を維持したまま、価格を大幅に下げる事は難しい為、システム全体の費用を下げる為には機器の数を減らす必要が出てきます。そうすると求めるスペックが出ないという悪循環に落ちてしまいます。 この悪循環に陥らない為に最も必要な考え方は、自動化システム導入した際の効果算出にあるのではないでしょうか。 正しく導入効果を算出して長期的な視点で投資判断を行う事が肝要と思います。 投資対効果算出の考え方 定量的効果 人間が行っていた作業を自動化することで、労働時間を短縮させることができます。 自動化と作業配分の見直し等で残業代も削減できれば効果の上積みとなります。 自動化システムの導入により削減できた人件費が定量的効果にあたります。 定量的効果の具体的な値は、以下の計算式で求めることができます。 削減できた人件費(年)=1年間に自動化した工程の作業に掛けていた時間(単位:時間)×担当者の時給 となります。 しかし、自動化したからといってそれまで作業していた作業者が居なくなるという事では無い場合、自動化する事で浮いた時間を他作業に置き換えた場合の生産能力向上や作業配分された事での残業時間や休日出勤の抑制の効果を算出する必要があります。 つまり、自動化システムで如何に既存作業者の時間を浮かすか、そして浮いた時間で如何に付加価値を生むかが重要な要素です。 定性的効果 自動化システムを導入する効果は、定量的効果のほかに数値で表しにくい効果もあります。 (自動システム導入後には効果を算出しやすいが導入前段階での試算が難しいです。) ・特定のスキルを持った人材を確保、育成する必要がなくなる。 ・生産能力が一定になる。(生産数のムラが無くなる) ・人的ミスの削減 ・品質の安定 ・人的ミスの削減と品質の安定により、加工ミスや不良品が発生した場合に必要になる後追い調査や再処理の手間とかかる人件費なども減らすことが可能 ・一度自動化してしまえば、属人的な要素が限りなく減少するので、技術者の退職や人員の配置変更や人手不足の影響が受けなくなります。 ・材料の供給方法を検討すれば24時間での稼働も可能です。夜間に翌日使用分の加工をさせておく事も可能です。 投資対効果を大きくするにはどうすればよいのか 投資対効果を最大限に発揮するには、前述したとおり、自動化して浮いた人手を如何に付加価値の高い業務にシフトさせる事が出来るかがカギとなります。 これまでに取り込めなかった新規分野での受注獲得する事で新たな収益を生み出す事などが最も良い例ですね。 平行して、自動化システムの稼働率向上や、切り替え時間の短縮、生産能力の向上も当然必須となります。 自動化システム導入の前の効果算出の段階で、自動機導入後の付加価値を生み出すシナリオを作成し、自動システムを導入した後にも継続して導入効果を最大限高める工夫と努力が必要です。 システム導入費用を削減するのは、自力では難しいですが、システム導入による効果は自力でいかようにも膨らませる事が出来ると思います。 まとめ 今回は、多品種少量生産の自動化について述べてきましたが如何でしょうか。 基本的に多品種少量生産こそ自動化に向いていると思います。 しかし導入障壁となっている多品種対応故の設備費用に対して、価格に注目してしまうと前に進めなくなってしまいます。 自動化システムを導入後に如何にして効果を生み出すかを正確に試算していく事で投資判断を進める事が肝要ではないかと考えます。 そして、自動システム導入後の継続した付加価値業務の推進で自動化システムの導入効果を最大限に高めていく取り組みを組織方針として打ち出し実行していく事が必要ではないでしょうか。 ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="robot"][/sc] ▼無料ダウンロードはこちらをクリック 近年、顧客ニーズの多様化に伴い、これらのニーズに応える手法として多品種少量生産に取り組む企業が増えています。 また労働人口減少の環境下で多品種少量生産体制の企業が生産工程の自動化に取り組む企業も増えています。 しかし、生産体制によって自動化の考え方は大きく異なってきます。特に多品種少量生産を行う生産体制の場合は、自動化する事が非常に困難なイメージを持たれている方も多く、自動化が進まない要因の一つとなっています。 多品種少量生産のメリットとデメリットについて メリット ・顧客のニーズに合わせた質と量の製品を供給する事が出来る ・必要なものを必要な数だけ生産する事で、在庫を抑制する事が出来る ・細かな仕様変更などにも対応できる。 ・品質不具合発生時に細かくロット管理が出来る。 ・設備の切り替え時短改善等が進み、質の高い生産が出来る ・作業者や技術者が多品種対応する事で著しく成長する。 ・一部製品の需要が無くなり受注が無くなっても他製品でカバーする事が出来る。 デメリット ・切り替え性を高める事が出来なければ生産効率を低下させてしまう。 ・品質再現性を高める事が出来なければ、品質が不安定になってしまう。 ・原料、材料の保管にスペースが必要 ・原料、材料の調達にシビアなコントロールが必要 ・生産計画調整にシビアなコントロールが必要 ・人員教育に時間が掛かる(技術、作業習得) ・一部の人間しか生産する事が出来ない等の技術的課題が発生する。 上記の様に多品種少量生産が大量生産システムに比べてはるかに難易度の高い仕事が求められるのが多品種少量生産です。 さらにメリットとデメリット比較すると、基本的にはデメリットを解消すればそれがすべてメリットになるという事が言えます。 そういう意味でも多品種少量生産が【質の高いものづくり】といわれる所以ですね。 多品種少量生産はロボット化に向かないと思われてる方も多いですが、上記デメリットを見ると自動化した方が解決する問題の方が多い事が分かると思います。 ・設備の切り替え性 人が切り替え作業している工程を自動した場合、属人的な違いが無くなります。 ・品質再現性 人よりも機械の方が同じ作業を繰り返すのは上手です。 ・生産計画調整や原料、材料調達  計画をもとに自動で調達を行うシステムを導入すれば、属人的な能力差が発生しない。 ・一部の人間しか生産出来ない  自動化する事で誰でもボタンを押せば生産する事が出来ます。 つまり多品種少量生産ほど自動化に向いているのです。 多品種生産工程の自動化課題 しかし、多品種少量生産のデメリットである点を自動機で克服していく為には、課題も多いです。 この課題を克服する自動機を投資回収できる範囲の投資で構築出来るかがポイントであり難しい所です。 直近では多様な製品、技術が開発されており、基本的に自動化出来ない工程は無いというレベルまで来てると思いますが、高額な費用を捻出する必要があります。 自社製品の工法や加工内容や受注ロット、切り替え頻度を加味した上で自動化設備の中身を取捨選択していく必要があります。 基本的に自動化設備に用いられる機器は高額なものが多く、機器単体では機能を果たせないものが多い為、生産システムとして成り立つ状態に仕上げるにはシステムインテグレーターの協力が必要であり、システムインテグレーターにも設計費用や工賃を支払う必要がありますので、どうしても費用全体は高額になってしまい、自動化設備の導入障壁となってしまうのです。 性能を維持したまま、価格を大幅に下げる事は難しい為、システム全体の費用を下げる為には機器の数を減らす必要が出てきます。そうすると求めるスペックが出ないという悪循環に落ちてしまいます。 この悪循環に陥らない為に最も必要な考え方は、自動化システム導入した際の効果算出にあるのではないでしょうか。 正しく導入効果を算出して長期的な視点で投資判断を行う事が肝要と思います。 投資対効果算出の考え方 定量的効果 人間が行っていた作業を自動化することで、労働時間を短縮させることができます。 自動化と作業配分の見直し等で残業代も削減できれば効果の上積みとなります。 自動化システムの導入により削減できた人件費が定量的効果にあたります。 定量的効果の具体的な値は、以下の計算式で求めることができます。 削減できた人件費(年)=1年間に自動化した工程の作業に掛けていた時間(単位:時間)×担当者の時給 となります。 しかし、自動化したからといってそれまで作業していた作業者が居なくなるという事では無い場合、自動化する事で浮いた時間を他作業に置き換えた場合の生産能力向上や作業配分された事での残業時間や休日出勤の抑制の効果を算出する必要があります。 つまり、自動化システムで如何に既存作業者の時間を浮かすか、そして浮いた時間で如何に付加価値を生むかが重要な要素です。 定性的効果 自動化システムを導入する効果は、定量的効果のほかに数値で表しにくい効果もあります。 (自動システム導入後には効果を算出しやすいが導入前段階での試算が難しいです。) ・特定のスキルを持った人材を確保、育成する必要がなくなる。 ・生産能力が一定になる。(生産数のムラが無くなる) ・人的ミスの削減 ・品質の安定 ・人的ミスの削減と品質の安定により、加工ミスや不良品が発生した場合に必要になる後追い調査や再処理の手間とかかる人件費なども減らすことが可能 ・一度自動化してしまえば、属人的な要素が限りなく減少するので、技術者の退職や人員の配置変更や人手不足の影響が受けなくなります。 ・材料の供給方法を検討すれば24時間での稼働も可能です。夜間に翌日使用分の加工をさせておく事も可能です。 投資対効果を大きくするにはどうすればよいのか 投資対効果を最大限に発揮するには、前述したとおり、自動化して浮いた人手を如何に付加価値の高い業務にシフトさせる事が出来るかがカギとなります。 これまでに取り込めなかった新規分野での受注獲得する事で新たな収益を生み出す事などが最も良い例ですね。 平行して、自動化システムの稼働率向上や、切り替え時間の短縮、生産能力の向上も当然必須となります。 自動化システム導入の前の効果算出の段階で、自動機導入後の付加価値を生み出すシナリオを作成し、自動システムを導入した後にも継続して導入効果を最大限高める工夫と努力が必要です。 システム導入費用を削減するのは、自力では難しいですが、システム導入による効果は自力でいかようにも膨らませる事が出来ると思います。 まとめ 今回は、多品種少量生産の自動化について述べてきましたが如何でしょうか。 基本的に多品種少量生産こそ自動化に向いていると思います。 しかし導入障壁となっている多品種対応故の設備費用に対して、価格に注目してしまうと前に進めなくなってしまいます。 自動化システムを導入後に如何にして効果を生み出すかを正確に試算していく事で投資判断を進める事が肝要ではないかと考えます。 そして、自動システム導入後の継続した付加価値業務の推進で自動化システムの導入効果を最大限に高めていく取り組みを組織方針として打ち出し実行していく事が必要ではないでしょうか。 ▼無料ダウンロードはこちらをクリック   [sc name="automation-robot"][/sc] [sc name="robot"][/sc]